特許第6582577号(P6582577)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6582577
(24)【登録日】2019年9月13日
(45)【発行日】2019年10月2日
(54)【発明の名称】取付装置
(51)【国際特許分類】
   H01Q 1/12 20060101AFI20190919BHJP
【FI】
   H01Q1/12 E
【請求項の数】8
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2015-119085(P2015-119085)
(22)【出願日】2015年6月12日
(65)【公開番号】特開2017-5570(P2017-5570A)
(43)【公開日】2017年1月5日
【審査請求日】2018年5月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109313
【弁理士】
【氏名又は名称】机 昌彦
(74)【代理人】
【識別番号】100124154
【弁理士】
【氏名又は名称】下坂 直樹
(72)【発明者】
【氏名】塚田 晃
【審査官】 新田 亮
(56)【参考文献】
【文献】 特開平06−232620(JP,A)
【文献】 特開2014−149078(JP,A)
【文献】 特開2001−111316(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01Q 1/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一部に所定の形状をなす形状体を有し、この形状体を回転させて物体の向きが可変となるよう前記物体を軸支する軸部と、
前記形状体に対し、少なくとも所定の二方向のうち、第1の方向から前記形状体の所定の領域を押さえ、第2の方向から前記所定の領域内に向けて前記形状体を押さえて、前記物体を取り付ける支持体に対し前記物体の向きを固定する第1の状態と前記形状体から離れ、前記支持体に対し前記物体の向きを可変とする第2の状態との間で遷移する軸受け部と、
前記軸受け部に係合して配置され、前記第1の状態と第2の状態との間で前記軸受け部を遷移させる操作部と、
前記軸部、前記軸受け部、前記操作部を収容し、前記支持体に取り付けるための支持金具と、を具備し、
前記軸受け部は、前記形状体に向かって摺動可能となるよう前記支持金具に収容される、
ことを特徴とする取付装置。
【請求項2】
少なくとも一部に所定の形状をなす形状体を有し、この形状体を回転させて物体の向きが可変となるよう前記物体を軸支する軸部と、
前記形状体に対し、少なくとも所定の二方向のうち、第1の方向から前記形状体の所定の領域を押さえ、第2の方向から前記所定の領域内に向けて前記形状体を押さえて、前記物体を取り付ける支持体に対し前記物体の向きを固定する第1の状態と前記形状体から離れ、前記支持体に対し前記物体の向きを可変とする第2の状態との間で遷移する軸受け部と、
前記軸受け部に係合して配置され、前記第1の状態と第2の状態との間で前記軸受け部を遷移させる操作部と、
前記軸部を挿通させ、この軸部の軸回り方向のふり幅を把握可能な可動領域制御板と、を具備する、
ことを特徴とする取付装置。
【請求項3】
少なくとも一部に所定の形状をなす形状体を有し、この形状体を回転させて物体の向きが可変となるよう前記物体を軸支する軸部と、
前記形状体に対し、少なくとも所定の二方向のうち、第1の方向から前記形状体の所定の領域を押さえ、第2の方向から前記所定の領域内に向けて前記形状体を押さえて、前記物体を取り付ける支持体に対し前記物体の向きを固定する第1の状態と前記形状体から離れ、前記支持体に対し前記物体の向きを可変とする第2の状態との間で遷移する軸受け部と、
前記軸受け部に係合して配置され、前記第1の状態と第2の状態との間で前記軸受け部を遷移させる操作部と、
前記軸部を挿通させ、この軸部の軸に対する垂直方向のふり幅を把握可能なスライド板と、を具備する、
ことを特徴とする取付装置。
【請求項4】
前記軸部、前記軸受け部、前記操作部を収容し、前記支持体に取り付けるための支持金具を具備し、
前記軸受け部は、前記形状体に向かって摺動可能となるよう前記支持金具に収容される、
ことを特徴とする請求項2又は3記載の取付装置。
【請求項5】
前記軸部を挿通させ、この軸部の軸回り方向のふり幅を把握可能な可動領域制御板を具備する、
ことを特徴とする請求項1又は3記載の取付装置。
【請求項6】
前記軸部を挿通させ、この軸部の軸に対する垂直方向のふり幅を把握可能なスライド板を具備する、
ことを特徴とする請求項記載の取付装置。
【請求項7】
前記形状体の表面には、凹凸加工が施されている、
ことを特徴とする請求項1乃至6の何れか一項に記載の取付装置。
【請求項8】
前記軸受け部の前記形状体との当接面の少なくとも一部には、エラストマが塗布されている、
ことを特徴とする請求項1乃至7の何れか一項に記載の取付装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンテナ等の物体を支柱等の支持体に固定する取付装置に関する。
【背景技術】
【0002】
アンテナ等の物体は、建造物の外壁、ベランダ等の支柱に取付装置を介して取り付けられる。この取付装置は、アンテナ等の物体を支柱等の支持体に固定する際、アンテナを支柱に固定する固定機構を有するだけでなく、アンテナが適切な方向を向くように向きを調整する調整機構を有する必要がある。
【0003】
ここで、支柱にアンテナを固定した後に、例えば、強風、積雪の影響によりアンテナに多大な荷重が加わると、アンテナが意図しない方向に向いてしまう可能性がある。アンテナが意図しない方向に向いてしまうと、アンテナの指向方向にズレが生じてしまい、アンテナの送受信の感度が低下してしまう。このため、利用者は、アンテナの向きを再度、調整する必要がある。
【0004】
例えば、特許文献1には、アンテナ方向調整装置が開示されている。この特許文献1記載の技術は、上クランプ及び下クランプからなる本体固定部と、アンテナ金具と、方位角調整ボルトと、仰角調整ボルトと、を具備している。特許文献1記載の技術は、上クランプ及び下クランプの各々で支柱を締め付けることで、上下のクランプを支柱に固定し、アンテナを強固に固定している。また、上記特許文献1記載の技術は、アンテナの方位角を調整する場合には、ボルトにて上クランプの締め付けを緩めた上で、方位角調整ボルトを通じて上クランプを支柱の軸回りに回動させ、アンテナを方位角方向に回動させている。また、上記特許文献1記載の技術は、アンテナの仰角を調整する場合には、固定ボルトを緩めた上で、仰角回転軸を支軸としてアンテナ金具を回動させ、アンテナを仰角方向に回動させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−313204号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1記載の技術は、アンテナの向きを調整する際、ボルトの締め付けを緩める必要がある。また、上記特許文献1記載の技術は、物体を所望の向きに向けた後に、ボルトにて締め付ける必要がある。
【0007】
ここで、ボルトにて締め付ける際、ボルトの締め付け方向に力が加わるため、アンテナを強い力で押さえていないと、ボルトの締め付けとともに、アンテナの向きが上述の所望の向きからボルトの締め付け方向にずれてしまう可能性がある。しかし、アンテナを強い力で押さえられるか否かについては、利用者の力量によってバラつきが生じてしまうため、利用者の力量によっては、上述したようなアンテナの向きが所望の向きからずれてしまう可能性がある。このように、ボルトにて締め付ける場合、利用者の力量によっては、作業時間を増やしてしまうという技術的課題がある。
【0008】
このように、上記特許文献1記載の技術は、アンテナの向きを調整する際に、その都度、ボルトの締め付けを緩めたり、ボルトを締め付けたりする必要があるため、上述の理由により作業時間を増やしてしまうという技術的課題がある。このため、上記特許文献1記載の技術は、作業効率を低下させてしまうという技術的課題がある。
【0009】
本発明の目的は、物体の向きを調整する際に要する作業時間を軽減することで、作業効率を向上させることが可能な取付装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明に係る取付装置は、少なくとも一部に所定の形状をなす形状体を有し、この形状体を回転させて物体の向きが可変となるよう前記物体を軸支する軸部と、前記形状体に対し、少なくとも所定の二方向のうち、第1の方向から前記形状体の所定の領域を押さえ、第2の方向から前記所定の領域内に向けて前記形状体を押さえて、前記物体を取り付ける支持体に対し前記物体の向きを固定する第1の状態と前記形状体から離れ、前記支持体に対し前記物体の向きを可変とする第2の状態との間で遷移する軸受け部と、前記軸受け部に係合して配置され、前記第1の状態と第2の状態との間で前記軸受け部を遷移させる操作部と、を具備して構成される。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、物体の向きを調整する際に要する作業時間を軽減することで、作業効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態(第1の実施形態)に係る取付装置の斜視図である。
図2】本発明の一実施形態(第1の実施形態)に係る取付装置の分解斜視図である。
図3】本発明の他の実施形態(第2の実施形態)に係る取付装置の斜視図である。
図4】本発明の他の実施形態(第2の実施形態)に係る取付装置の分解斜視図である。
図5】本発明の他の実施形態(第2の実施形態)に係る取付装置の正面図である。
図6図5における線I−I´を示す断面図である。
図7】本発明の他の実施形態(第2の実施形態)に係る取付装置の支持金具の斜視図である。
図8】本発明の他の実施形態(第2の実施形態)に係る取付装置のレバー及び固定板の斜視図である。
図9】本発明の他の実施形態(第2の実施形態)に係る取付装置の軸受け部及び回転軸用金具の斜視図である。
図10】本発明の他の実施形態(第2の実施形態)に係る取付装置の可動領域制御板の正面図である。
図11】本発明の他の実施形態(第2の実施形態)に係る取付装置の可動領域制御板の平面図である。
図12】本発明の他の実施形態(第2の実施形態)に係る取付装置のスライド板の正面図である。
図13】本発明の他の実施形態(第2の実施形態)に係る取付装置のスライド板の平面図である。
図14】本発明の他の実施形態(第2の実施形態)に係る取付装置の正面図であり、この取付装置の一態様を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を用いて、本発明の実施形態について説明する。
【0014】
(第1の実施形態)
図1及び図2を用いて、本発明の一実施形態(第1の実施形態)について説明する。図1及び図2は、本実施形態(第1の実施形態)に係る取付装置100の斜視図及び分解斜視図である。
【0015】
取付装置100は、軸部170と、軸受け部160と、操作部140とを具備している。軸部170は、少なくとも一部に所定の形状をなす形状体171を有し、この形状体171を回転させて物体101の向きが可変となるよう物体101を軸支する。軸受け部160は、形状体171に対し、少なくとも所定の二方向のうち、第1の方向から形状体171の所定の領域を押さえ、第2の方向から所定の領域内に向けて形状体171を押さえて、物体101を取り付ける支持体102に対し物体101の向きを固定する第1の状態と形状体171から離れ、支持体102に対し物体101の向きを可変とする第2の状態との間で遷移する。操作部140は、軸受け部160に係合して配置され、第1の状態と第2の状態との間で軸受け部160を遷移させる。
【0016】
取付装置100は、操作者により操作部140を用いて操作されることで、軸受け部160内での形状体171の回転と固定とを可能としている。ここで、軸部170は、形状体171を回転させて物体101の向きを調整可能である。物体101の向きを調整した後に、操作部140を操作して形状体171を固定することが可能となる。物体101を固定する際に、ボルト等を必要とせず、操作部140の操作にて形状体171を固定することが可能となるため、物体101の向きを調整する際に要する作業時間を軽減することが可能となる。
【0017】
本実施形態によれば、物体101の向きを調整する際に要する作業時間を軽減することで、作業効率を向上させることができる。
【0018】
(第2の実施形態)
図3乃至図14を用いて、本発明の他の実施形態(第2の実施形態)について説明する。まず、図3乃至図6を用いて、本実施形態の取付装置200の外部構成について説明する。図3乃至図5は、本実施形態(第2の実施形態)に係る取付装置200の斜視図、分解斜視図、及び正面図である。図6は、図5における線I−I´を示す断面図である。
【0019】
(取付装置200の構成)
取付装置200は、アンテナ(物体)201を支柱202に固定するために設けられる。取付装置200は、アンテナ201を支柱202の側方に突き出す状態で固定している。取付装置200は、クランプ(支持部)と、固定部と、方向調整部と、を具備する。
【0020】
クランプは、支柱202を挟んで互いに対向して配置される後方支持金具220及び前方支持金具230を有する。クランプは、これら後方支持金具220及び前方支持金具230にて支柱202を挟み、この支柱202を締め付けることにより、アンテナ201を支柱202に固定する。
【0021】
固定部は、レバー240、固定板250及び軸受け部260を有する。固定部は、利用者によるレバー240への操作により、固定板250及び軸受け部260を稼動させ、軸受け部260により回転軸用金具270の球体271を挟むことにより、球体271の全方向の動きを規制する。
【0022】
方向調整部は、回転軸用金具270、可動領域制御板280及びスライド板290を有する。方向調整部は、アンテナ201の仰角及び方位角を調整する。
【0023】
以下、図3乃至図6に加え、図7乃至図13を用いて、これら後方支持金具220、前方支持金具230、レバー(操作部)240、固定板250、軸受け部260、回転軸用金具(軸部)270、可動領域制御板280、及びスライド板290の細部の構成について順に説明する。まず、図3図4及び図7を用いて、クランプについて説明する。図7は、本実施形態(第2の実施形態)に係る取付装置200の前方支持金具230の斜視図である。なお、以下では、図3の左下方側から目視した場合における前面を正面といい、この正面を基準として、背面、平面、底面、側面という。また、これに基づいて、正面−背面方向、平面−底面方向、側面方向という。
【0024】
(クランプ)
クランプは、上述したように、後方支持金具220及び前方支持金具230からなる。クランプは、これら後方支持金具220及び前方支持金具230にて支柱202を挟み、この支柱202を締め付けることにより、アンテナ201を支柱202に固定する。
【0025】
(後方支持金具)
後方支持金具220は、金属を用いて構成され、ダイカスト鋳物等の金型を用いた成形方法によって形成される。なお、この方法に限定されず、例えば、板金、切削加工等の他の方法によって形成しても良い。以下、レバー240を除く、前方支持金具230、固定板250、軸受け部260、回転軸用金具270、可動領域制御板280、及びスライド板290についても、同様であるため、材質、成形方法の説明については省略する。
【0026】
図3及び図4に例示されるように、後方支持金具220は、支柱202の周面を覆う面を平面視V字状に形成するとともに、このV字状の端部に平坦面を連設してなる。なお、本実施形態の後方支持金具220は、支柱202の周面を覆う面を平面視V字状に形成しているが、これに限定されず、例えば、半円状、U字状等に形成しても良い。
【0027】
平坦面は、後述する前方支持金具230の短板部228に当接する。クランプは、これら平坦面と短板部228とを当接させ、後方支持金具220及び前方支持金具230にて支柱202を挟むことで、支柱202に取付装置200を取り付ける。平坦面には、第1の連結用孔221が形成されている。第1の連結用孔221は、正面−背面方向に沿って形成される。この第1の連結用孔221には、ボルトが挿通される。このボルトは、第1の連結用孔221とともに、後述する前方支持金具230の短板部に位置する第2の連結用孔231に挿通される。これら第1の連結用孔221と第2の連結用孔231とにボルトが挿通され、このボルトを締めることで、支柱202に取付装置200を固定している。
【0028】
(前方支持金具230)
図3図4及び図7に例示されるように、前方支持金具230は、左前方支持金具230aと右前方支持金具230bとからなる。なお、左前方支持金具230a、及び右前方支持金具230bは、対をなして形成され、形状自体は同形状であるため、左前方支持金具230aについて説明し、右前方支持金具230bの説明については、省略する。
【0029】
図7に例示されるように、左前方支持金具230aは、平面視すると、L字状をなして形成される。左前方支持金具230aは、後方支持金具220の平坦面と対向した位置に位置する短板部228aと、この短板部228aに連接され、右前方支持金具230bと対向した位置に位置する長板部229aと、を有する。左前方支持金具230aは、これら短板部228aと長板部229aとの接続部を弧状としている。なお、左前方支持金具230aは、短板部228aと長板部229aとの接続部を弧状としているが、これに限定されず、例えば、角状をなして形成しても良い。
【0030】
左前方支持金具230aの短板部228aには、第2の連結用孔231aが形成されている。第2の連結用孔231aは、正面−背面方向に沿って形成されている。この第2の連結用孔231aには、上述したように、ボルトが挿通される。
【0031】
左前方支持金具230aの長板部229aには、第1の溝232a、軸孔233a、ロックピン用孔234a、第2の溝235a、枠236a、半円形溝237a、ネジ孔238a及び第3の連結用孔239aが形成されている。
【0032】
第1の溝232aは、平面に位置している。第1の溝232aは、正面視すると、L字状をなして形成され、正面−背面に沿って、延設されている。この第1の溝232aと、右前方支持金具230bの第1の溝232bとにより、正面視凹状をなして形成され、これら第1の溝232a,232bにレバー240が収容される。
【0033】
軸孔233aは、第1の溝232aの側面に位置し、この第1の溝232aの側面を貫通させている。この軸孔233aには、図示しない連結ピンが挿通される。この連結ピンは、軸孔233aと後述するレバー240の第1の棒状部材241とに挿通されており、前方支持金具230とレバー240とを連結している。
【0034】
ロックピン用孔234aは、軸孔233aと同様に、第1の溝232aの側面に位置し、この第1の溝232aの側面を貫通させている。このロックピン用孔234aには、レバー240を固定する図示しない固定ピンが挿通される。この固定ピンは、後述するレバー240の第2の棒状部材242に挿通されており、前方支持金具230とレバー240とを連結している。なお、この固定ピンには、図示しない切り換えスイッチが接続されている。固定ピンは、切り換えスイッチの操作に連動して、第2の棒状部材242から突出したり、第2の棒状部材242内に収容されたりする。
【0035】
第2の溝235aは、左前方支持金具230aの内側面に位置している。第2の溝235aは、平面−底面方向に沿って凹状をなして形成される。この第2の溝235aには、固定板250が収容される。
【0036】
枠236aは、左前方支持金具230aの内側面に位置している。枠236aは、凹状をなして形成され、正面−背面方向に沿って延設されている。この枠236aには、軸受け部260が収容される。
【0037】
半円形溝237aは、左前方支持金具230aの正面に位置している。半円形溝237aは、正面視すると、半円形状をなして形成される。この半円形溝237aと、右前方支持金具230bの半円形溝237bとにより、正面視円形溝が形成され、この円形溝に可動領域制御板280が収容される。
【0038】
ネジ孔238aは、半円形状溝237aの底面に形成される。ネジ孔238aは、正面−背面方向に沿って形成される。このネジ孔238aにネジが挿通されることで、可動領域制御板280が前方支持金具230に固定される。
【0039】
第3の連結用孔239aは、対となる右前方支持金具230bと連結するためにボルトを挿通させるための孔である。第3の連結用孔239aは、左前方支持金具230aの側面を貫通させている。なお、本実施形態では、第3の連結用孔239aは、左前方支持金具230aの側面に四か所、形成されているが、この数は限定されず、左前方支持金具230aと右前方支持金具230bとが強固に連結できれば、例えば、三か所であっても良い。
【0040】
(レバー240)
次に、図3図4及び図8を用いて、レバー240、及び固定板250について説明する。図8は、本実施形態(第2の実施形態)に係る取付装置200のレバー240、及び固定板250の斜視図である。レバー240は、四本の棒状部材を矩形状となるよう連結して構成される。レバー240は、これら四本の棒状部材のうち、第1の棒状部材241を握り手としている。レバー240は、第1の棒状部材241に対向する第2の棒状部材242を回転軸としている。レバー240は、これら第1の棒状部材241及び第2の棒状部材242の両端に位置し、これらを支持する第3の棒状部材243及び第2の棒状部材244を有する。レバー240は、利用者が第1の棒状部材241を握り、第2の棒状部材242を回転軸として、第3の棒状部材243及び第4の棒状部材244の往復移動を可能としている。
【0041】
第3の棒状部材243には、第1のガイド長孔245が形成されている。第4の棒状部材244にも、同様に、第2のガイド長孔246が形成されている。これら第1のガイド長孔245及び第2のガイド長孔246には、固定板250の突起部251が摺動可能に収容されている。
【0042】
第3の棒状部材243及び第4の棒状部材244の往復動作に連動して、突起部251aが第1のガイド長孔245内を、突起部251bが第2のガイド長孔246内を往復移動する。第3の棒状部材243及び第4の棒状部材244が底面側に移動すると、固定板250も、これら突起部251a,251bが往復移動しながら、底面側に移動する。
【0043】
(固定板250)
固定板250は、左固定板250aと右固定板250bとからなる。これら左固定板250a、及び右固定板250bは、夫々、金属を用いて構成され、ダイカスト鋳物等の金型を用いた成形方法によって形成される。なお、この方法に限定されず、例えば、板金、切削加工等の他の方法によって形成しても良い。なお、左固定板250a、及び右固定板250bは、対をなして形成され、形状自体は同形状であるため、左固定板250aについて説明し、右固定板250bの説明については、省略する。
【0044】
左固定板250aは、上述したように、左前方支持金具230aの第2の溝235aに収容されている。図8に例示されるように、左固定板250aは、板状をなして形成される。板状をなして形成された左固定板250aは、平面側における内側面に突起部251aを有する。突起部251aは、内側に向かって突出して形成される。固定板250aの内側面は、平面から底面に向かって先細り、すなわち、傾斜面となる。固定板250aは、上述したように、第2の溝235内でレバー240の動きに連動して平面−底面方向に沿って移動する。固定板250aの内側面は、上述したように、傾斜しているため、レバー240の動きに連動して平面−底面方向に沿って移動することで、軸受け部260aの外面側を内側に押圧する。
【0045】
(軸受け部260)
次に、図9を用いて、軸受け部260、及び回転軸用金具270について説明する。図9は、本実施形態(第2の実施形態)に係る取付装置200の軸受け部260、及び回転軸用金具270の斜視図である。
【0046】
軸受け部260は、左軸受け部260aと右軸受け部260bとからなる。なお、左軸受け部260a、及び右軸受け部260bは、対をなして形成され、形状自体は同形状であるため、左軸受け部260aについて説明し、右軸受け部260bの説明については、省略する。
【0047】
左軸受け部260aは、上述したように、左前方支持金具230aの枠236aに収容されている。左軸受け部260aの外側面は、左固定板250aの傾斜面と対をなし、平面から底面に向かって外側に広がる傾斜面となる。左軸受け部260aは、上述したように、左固定板250aの動きに連動して側面方向に沿って移動する。左軸受け部260aは、外側面に位置する際には、回転軸用金具270の球体271から離れている。左軸受け部260aは、内側面に位置する際には、回転軸用金具270の球体271を挟持している。左軸受け部260aは、球体271を内部で遊動させたり、固定させたりしている。左軸受け部260aは、回転軸用金具270の球体271に適合した加圧用曲面261aを有する。この加圧用曲面261aには、図示しないエラストマ等の弾性素材が取り付けられている。
【0048】
(回転軸用金具270)
回転軸用金具270は、正面−背面方向に沿って配設されている。回転軸用金具270は、球体(回転体)271と、球体271から伸び、アンテナ201を取り付けるための継手272と、その継手272の途中に位置する凸部273と、を具備する。
【0049】
球体271は、上述したように、軸受け部260に収容される。球体271の表面には、図示しない凹凸加工が施されている。この凹凸加工は、球体271の表面に、例えば、ゴルフボールの表面のような加工を施している。球体271は、表面に凹凸加工を有することで、軸受け部260の加圧用曲面261との摩擦係数を高め、軸受け部260による保持力を高めている。継手272は、棒状をなして形成され、正面−背面方向に沿って配設される。継手272の一端側には、球体271が位置し、他端側には、アンテナ201が位置している。回転軸用金具270は、球体271を回転させることで、継手272を遊動させることが可能となる。回転軸用金具270は、継手270の他端側のアンテナ201の向きを調整することが可能となる。凸部273は、継手272の略中央に位置している。凸部273は、後述するように、可動領域制御板280及びスライド板290に挿通される。凸部273がこれら可動領域制御板280及びスライド板290により支持される。
【0050】
(可動領域制御板280)
次に、図10及び図11を用いて、可動領域制御板280について説明する。図10及び図11は、本実施形態(第2の実施形態)に係る取付装置200の可動領域制御板280の正面図及び平面図である。
【0051】
可動領域制御板280は、上述したように、前方支持金具230の円形溝に収容される。可動領域制御板280は、回転軸用金具270の継手272が挿入できるU字型溝281、外周縁近傍に沿った二つの円弧状孔282,283、ロック用スライド板を挿入できるスライド板用溝284と、固定用ネジ孔285と、を具備する。
【0052】
U字型溝281は、正面視すると、平面−底面方向に沿って形成されている。このU字型溝281には、継手272が挿通される。円弧状溝282,283は、正面−背面方向に貫通している。この円弧状溝282,283内における所定の箇所にネジが挿通される。スライド板用溝284は、正面視すると、平面−底面方向に沿って形成されている。スライド板用溝284は、平面視すると、凸状をなして形成される。このスライド板用溝284には、スライド板290が収容される。固定用ネジ孔285は、スライド板290を固定する際に、ネジを受け入れるネジ孔である。
【0053】
(スライド板290)
次に、図12及び図13を用いて、スライド板290について説明する。図12及び図13は、本実施形態(第2の実施形態)に係る取付装置200のスライド板290の正面図及び平面図である。
【0054】
スライド板290は、上述したように、可動領域制御板280に収容される。図12及び図13に例示されるように、スライド板290は、凸状の断面が延設される。スライド板290の面には、回転軸用金具270の凸部273を挿通させる挿通孔291が形成される。スライド板290の面には、このスライド板290を可動領域制御板280に固定する際、ネジを挿通させるスライド調整用長孔292が形成される。
【0055】
(取付装置200におけるアンテナ201の向きを調整する調整工程)
次に、図14を用いて、本実施形態の取付装置200におけるアンテナ201の向きを調整する調整工程について説明する。図14は、本実施形態(第2の実施形態)に係る取付装置200の正面図であり、この取付装置200の一態様を示す図である。
【0056】
アンテナ201が取付装置200を介して支柱202に固定されている場合、レバー240は、第1の溝232a,232bに収容されている。この状態において、アンテナ201の向きを調整する場合、利用者は、まず、レバー240を上げる。これに伴い、レバー240の第1のガイド長孔245及び第2のガイド長孔246に収容されている固定板250の突起部251が引き上げられる。また、突起部251が引き上げられることで、固定板250による軸受け部260への押圧力が解放される。これにより、球体271への軸受け部260による保持力が解放され、球体271は、回転可能となる。この状態で、利用者は、アンテナ201の向きを所望する向きに向ける。
【0057】
アンテナ201の向きを所望する向きに向ける際、アンテナ201を回転させると、アンテナ201を支持する回転軸用金具270の凸部273とスライド板290の挿通孔291とが嵌合しているため、可動領域制御板280及びスライド板290が回転する。アンテナ201を回転させることで、可動領域制御板280が回転するため、利用者は、この可動領域制御板280によりアンテナ201の仰角のふり幅を把握することが可能となる。
【0058】
また、アンテナ201を往復移動させると、上述したように、回転軸用金具270の凸部273とスライド板290の挿通孔291とが嵌合しているため、スライド板290が移動する。アンテナ201を往復移動させることで、スライド板290が移動するため、利用者は、このスライド板290によりアンテナ201の方位角のふり幅を把握することが可能となる。
【0059】
アンテナ201の向きを決めた後に、レバー240を下げる。このとき、レバー240を下げる前に、可動領域制御板280の円弧状孔282,283にネジを挿通させ、可動領域制御板280を仮止めしておいても良い。同様に、スライド板290のスライド調整用長孔292にネジを挿通させ、スライド板290を仮止めしておいても良い。
【0060】
レバー240を下げると、これに伴い、レバー240の第1のガイド長孔245及び第2のガイド長孔246に収容されている突起部251が引き下げられる。突起部251が引き下げられることで、固定板250が下がる。固定板250が下がると、固定板250の傾斜面で軸受け部260を押圧する。固定板250の押圧力により軸受け部260が球体271側に向かって移動する。軸受け部260が回転軸用金具270の球体271を挟み込む。これにより、球体271が固定される。このとき、軸受け部260の内面には、エラストマ等の弾性部材が施されている。また、球体271の表面は凹凸形状となっている。これにより、軸受け部260と球体271との当接面の摩擦係数を高め、軸受け部260による球体271への保持力を高めている。軸受け部260による球体271への保持力を高め、軸受け部260内で球体271の遊動を規制しているため、球体271の全方向に対する動きが規制される。
【0061】
可動領域制御板280の円弧状孔282,283にネジを挿通させ、可動領域制御板280を固定する。スライド板290のスライド調整用長孔292にネジを挿通させ、スライド板290を固定する。可動領域制御板280とロック用スライド板290で回転軸用金具270を押さえる。回転軸用金具270の凸部273とスライド板290の挿通孔291とが嵌合しており、球体271のみならず、継手272も保持されるため、回転軸用金具270の固定後の保持力を向上させ、全方向に対する動きが規制される。
【0062】
本実施形態の取付装置200は、操作者によりレバー240を用いて操作されることで、軸受け部260内での球体271の遊動と固定とを可能としている。アンテナ201の向きを調整した後に、操作部240を操作して球体271を固定することが可能となる。アンテナ201を固定する際に、ボルト等を必要とせず、操作部240の操作にて球体271を固定することが可能となるため、アンテナ201の向きを調整する際に要する作業時間を軽減することが可能となる。本実施形態によれば、アンテナ201の向きを調整する際に要する作業時間を軽減することで、作業効率を向上させることができる。
【0063】
以上、本発明を、上述した模範的な実施形態に適用した例として説明した。しかしながら、本発明の技術的範囲は、上述した各実施形態に記載した範囲には限定されない。当業者には、係る実施形態に対して多様な変更または改良を加えることが可能であることは明らかである。そのような場合、係る変更または改良を加えた新たな実施形態も、本発明の技術的範囲に含まれ得る。そしてこのことは、特許請求の範囲に記載した事項から明らかである。
【0064】
例えば、上述の実施形態では、物体の一例としてアンテナ201を例示しているが、向きの調整を必要とする物体であれば、アンテナ201に限定されず、例えば、指向性スピーカ、風車等であっても良い。また、支持体の一例として、支柱202を例示しているが、アンテナ201を支持することが可能であれば、支柱202に限定されず、例えば、ベランダ等の梁であっても良い。
【0065】
また、上述の実施形態では、形状体の一例として、球体271を例示しているが、アンテナ201の向きを全方向に調整可能であれば、球体271に限定されず、例えば、球体271の一部をくり抜いて形成する等、必ずしも完全な球体でなくても良い。
【0066】
また、上述の実施形態では、軸受け部の一例として、軸受け部260a及び軸受け部260bを例示しているが、球体271に対し、所定の二方向のうち、第1の方向から球体271の所定の領域を押さえ、第2の方向から所定の領域内に向けて球体271を押さえて、球体271を固定するものであれば、特に限定されない。例えば、第1の方向から球体271の三か所を押さえ、この三か所を繋ぐ領域を所定の領域とし、この所定の領域内に向けて一か所を押さえて固定しても良い。また、上述の実施形態では、対とする軸受け部260a及び軸受け部260bを例示しているが、対に限定されず、一体の軸受け部を平面視凹状に形成し、この凹状の内部で球体271を固定しても良い。
【0067】
また、上述の実施形態では、操作部の一例として矩形状のレバー240を例示しているが、軸受け部260を第1の状態と第2の状態とに可変させるものであれば、例えば、棒状のレバーであっても良い。
【符号の説明】
【0068】
100 取付装置
101 物体
102 支持体
140 操作部
160 軸受け部
170 軸部
171 形状体
図1
図2
図3
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図5
図6
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図10
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図14