特許第6582613号(P6582613)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6582613-光の屈折実験用テンプレート 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6582613
(24)【登録日】2019年9月13日
(45)【発行日】2019年10月2日
(54)【発明の名称】光の屈折実験用テンプレート
(51)【国際特許分類】
   G02B 27/32 20060101AFI20190919BHJP
   G09B 23/22 20060101ALI20190919BHJP
【FI】
   G02B27/32
   G09B23/22
【請求項の数】3
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2015-128099(P2015-128099)
(22)【出願日】2015年6月9日
(65)【公開番号】特開2017-3951(P2017-3951A)
(43)【公開日】2017年1月5日
【審査請求日】2018年6月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】596174813
【氏名又は名称】八島 武久
(72)【発明者】
【氏名】八島 武久
【審査官】 堀部 修平
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭51−016941(JP,A)
【文献】 実公昭44−012835(JP,Y1)
【文献】 実開平04−040990(JP,U)
【文献】 特開昭62−172243(JP,A)
【文献】 特開昭48−029481(JP,A)
【文献】 米国特許第03962802(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 27/00 − 27/64
G09B 23/22
A63H 33/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
円形透明樹脂板に、水平直径線3を印刷し、取手を加工したテンプレート1と、
円形透明樹脂板に、垂直半径線6、中心から垂直半径線6の方向に設定された線分8の終点から引いた水平線7を印刷し、取手を加工したテンプレート5と、
円形透明樹脂板に、垂直半径線10、中心から垂直半径線10の延長上に設定された線分12の終点から引いた水平線11を印刷し、取手を加工したテンプレート9と、
を備え、
それら3枚のテンプレート1,5,9の中心に穴を施し、3枚重ねてハトメ等で固定し、それぞれのテンプレートが、自由に回転出来るようにするとともに、
テンプレート1の水平直径線3に対して、テンプレート5の垂直半径線6を入射光に合わせ、テンプレート9の垂直半径線10を屈折光の進路に合わせ、線分8と線分12の長さを設定することで、水平直径線3と水平線7と水平線11とを一点で交わらせることができる光の屈折実験用テンプレート。
【請求項2】
テンプレート5の線分8と、テンプレート9の線分12の長さの比を、1対1/nに設定した請求項1に基づく光の屈折実験用テンプレート、但しnは屈折光側の物質の屈折率とする。
【請求項3】
テンプレートの線分8と、テンプレート9の線分12の長さの比を、1対1/1.0、1対1/1.2、1対1/1.4、1対1/1.6、1対1/1.8、1対1/2.0に設定した6若しくはそれ以上の数の水平線を引い屈折率直読可能とした請求項1に基づく光の屈折実験用テンプレート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
光の屈折実験用テンプレートを使った光の屈折実験では、三枚のテンプレートそれぞれに特徴のある垂直線、水平線を印刷し、入射光の角度を、一枚目のテンプレートに設定し、三水平線が一点で交わるという原理に基づき、二枚目のテンプレートを合わせると、屈折光の進路が決定され、テンプレート上に実際の角度で現れることで、定性的な実験から、定量的な実験へと実験の質の向上が期待できる、光の屈折実験用テンプレートに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の光の屈折実験装置は、円形の水槽に角度目盛りを施し、入射光の角度と、屈折光の角度を目盛りで測り、角度の差を見て光の屈折現象が起きたことを、確認するに留まっていた。少し進んだ検討をした場合でも、入射角の正弦と屈折角の正弦の比が、一定の値を示し、それを屈折率と呼ぶことを、定理として理解させることで完結するに留まっていた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
三枚のテンプレートの、三つの水平線が一点で交わるように合わせることで、入射角の正弦、屈折角の正弦の比が屈折率に等しくなる入射角、屈折角を簡単に決めるという課題。
三つの水平線が一点で交わった図形から、単位時間に光の進む速さの違いから、屈折現象が現れることを簡単に説明する課題。
【課題を解決するための手段】
【0004】
円形透明樹脂板に、垂直直径線2、水平直径線3、角度目盛り4を印刷したテンプレート1および、円形透明樹脂板に、垂直半径線6、中心から垂直半径線6の方向に線分8を設定し、終点より水平線7を印刷した、テンプレート5および、円形透明樹脂板に、垂直半径線10、中心から垂直半径線10の延長上に線分8に対して1/屈折率に設定された長さを持つ線分12を引き、その終点より水平線11を印刷したテンプレート、この三枚のテンプレート1,5,9を重ねて、円形の中心に穴を施しハトメ等で固定し、三つのテンプレート1,5,9が自由に回転出来るようにし、入射光の方向を垂直半径線6に、屈折光の方向を垂直半径線10に合わせるとき、三つの水平線3,7,11は一点で交わる。実施時に、テンプレート1は水槽に固定し、可動なテンプレートは5と9になる。(図4
【0005】
任意方向からの入射光に対し、その方向に垂直半径線6を合わせ、三水平線3,7,11を一点で交わるようにするとき、垂直半径線10は屈折光の進路を決定し表示する。
【0006】
課題を解決するための手段について、簡単に原理の説明を述べる。図4の核心部分を抽出した図5において、直角三角形18と、直角三角形19は共通な斜辺17を持つ、その長さを1とすると、入射光の角度15の正弦は線分8の長さに等しい、屈折光の角度16の正弦は線分12の長さに等しい。予め線分8と線分12の長さの比は屈折率に等しく設定されている。よって入射角の正弦を屈折角の正弦で割ったものは屈折率に等しい。スネルの原理と呼ばれている内容を端的に解決している。
直角三角形19を、図6の直角三角形20の位置に移動しても図形の本質は変わらない。入射光6に平行に直線13を、屈折光10に平行に直線14を引くことにより、図5図6では、例えば空気中で光が線分8の距離を進む時間に、水中の光は線分12の距離を進み、屈折現象が起きることを図6は明瞭に説明している。
【0007】
図7は請求項3に関する。テンプレート5を変更し図7のテンプレートにすれば、屈折率が直読出来る。図8は、屈折率が1.4と直読出来たときの例である。
【発明の効果】
【0008】
図9のような装置に、図4のようにテンプレートを適用し、光の屈折がスネルの原理に従うことが理解でき、その原理によって光の進路が明確に示され、定性的な実験が、定量的な実験へと進化している。入射角を与えると、屈折角が即、図形上で決められるという優れた機能を持っている。一方、理科教育上、中学、高校での扱いになっていた光の屈折実験は光の進み方が水中では遅れることを教えることにすれば、小学校での理科教材にも適用可能といえる。図6は小学生でも理解可能な内容と考えられる。
入射光、屈折光の方向を回転可能なテンプレート上に決め、スネルの原理に従う入射角、屈折角を明快に決定する方法は、今までに見あたらない。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】 入射光の入射角、屈折光の屈折角を測るための角度目盛り付きテンプレート
図2】 入射光の入射方向に軸を合わせるテンプレート
図3】 屈折光の屈折方向に軸を合わせるテンプレート
図4】 三枚のテンプレートの中心を重ねてハトメで固定し、使用方法を説明する図
図5】 入射角の正弦、屈折角の正弦、屈折率の関係を説明する図
図6】 空気中の光の速度と、例えば水中の光の速度の差から屈折現象を説明する図
図7】 屈折率が直読出来るテンプレート
図8】 例として、屈折率が1.4と判読出来たときの図
図9】 テンプレートを使用しているときの水槽、光源との関係の概略図
【発明を実施するための形態】
【0010】
図9は発明の効果を説明する概略図であり、実施するための形態を図4で説明する。図4において、三枚重ねのテンプレートの重ねる順序は、図1のテンプレート1の下に、図2のテンプレート5、次に図3のテンプレート9のように重ねるのが望ましい。光源が用意された水槽に、テンプレート1の取手部分をテープ等で固定する。この場合水面の線は水平直径線3に一致して合わさなくてはならない。次に光源からの入射光の方向を決め、テンプレート5の垂直半径線6をその方向に合わせる。次にテンプレート9を回転させ、水平直径線3と水平線7の交点に、水平線11を交わらせ、三水平線3,7,11が一点で交わることを確認し、垂直半径線10の方向を見れば、屈折光の方向が垂直半径線10の方向に一致していることが確認出来る。
同様に、光源を下に設け、水の方から入射光をあて、水から空気への屈折光の実験も行なうことが出来る。特異な例として、予め垂直半径線6を水平直径線3に一致させ、テンプレート9を回転し、三水平線3,7,11が一点で交わるように決めるとき、垂直半径線10の方向を見れば、入射角は臨界屈折角を現している。
【符号の説明】
【0011】
1 入射光の入射角、屈折光の屈折角を測る目盛り付きテンプレート
2 入射光、屈折光の角度の測定の起点となる垂直直径線
3 入射光側、屈折光側を区別する境界水平線、水平直径線
4 入射光、屈折光の角度を測る目盛り線
5 入射光の方向に垂直半径線を合わせて用いるテンプレート
6 入射光の方向に合わせる垂直半径線
7 入射光側にあり、屈折原理に関係する垂直半径線に水平な直線、
8 長さが、空気中の光の速度に対応する線分
9 屈折光の方向に垂直半径線を合わせて用いるテンプレート
10 屈折光の方向に合わせる垂直半径線
11 屈折光側にあり、屈折原理に関係する垂直半径線に水平な直線
12 長さが、水中の光の速度に対応する線分(例、水の場合、線分8の0.75倍)
13 入射光の方向に平行な補助的付加直線
14 屈折光の方向に平行な補助的付加直線
15 入射角をあらわす
16 屈折角をあらわす
17 二つの直角三角形18、19の共通斜辺
18 入射光に関係する直角三角形
19 屈折光に関係する直角三角形
20 直角三角形19の位置を逆にした屈折光に関係する直角三角形
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9