特許第6582630号(P6582630)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6582630
(24)【登録日】2019年9月13日
(45)【発行日】2019年10月2日
(54)【発明の名称】基板分断装置及び基板分断方法
(51)【国際特許分類】
   B28D 5/00 20060101AFI20190919BHJP
   C03B 33/033 20060101ALI20190919BHJP
   G02F 1/13 20060101ALI20190919BHJP
【FI】
   B28D5/00 Z
   C03B33/033
   G02F1/13 101
【請求項の数】4
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2015-134087(P2015-134087)
(22)【出願日】2015年7月3日
(65)【公開番号】特開2017-13418(P2017-13418A)
(43)【公開日】2017年1月19日
【審査請求日】2018年6月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】390000608
【氏名又は名称】三星ダイヤモンド工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】新樹グローバル・アイピー特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】西尾 仁孝
(72)【発明者】
【氏名】高松 生芳
(72)【発明者】
【氏名】上野 勉
【審査官】 豊島 唯
(56)【参考文献】
【文献】 特開平06−305757(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0011928(US,A1)
【文献】 特開2001−163642(JP,A)
【文献】 特開2007−156310(JP,A)
【文献】 特開平10−268275(JP,A)
【文献】 特開2014−214054(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B28D 5/00
C03B 33/033
G02F 1/13
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
端部を切り離すためのスクライブラインが表面に形成された第1基板と、前記第1基板の裏面に貼り合わされた第2基板と、を有する貼り合わせ基板の分断装置であって、
前記第1基板側から前記端部を押圧して、前記端部を前記スクライブラインに沿って分断する押圧部と、
前記押圧部により分断された前記端部を吸着して、前記第1基板から前記端部を取り出す吸着部と、
を備え、
前記貼り合わせ基板が載置される水平移動可能なテーブルと、
前記テーブルに対して横方向及び上下方向に相対移動が可能なヘッドと、
をさらに備え、
前記貼り合わせ基板は、前記スクライブラインが前記テーブルの端部からさらに外側に位置するように前記テーブル上に載置され、
前記押圧部及び前記吸着部は前記ヘッドに一体として設けられ、
前記吸着部は、前記押圧部の側方であって前記テーブルの端部から遠い側に配置され、
前記押圧部は前記端部を押圧する押圧面を有し、
前記吸着部は、前記押圧面よりも前記貼り合わせ基板側に突出して形成され、前記端部を吸着する吸着面を有している基板分断装置。
【請求項2】
前記押圧部は前記端部を押圧した際に弾性変形可能な弾性部材で形成されている、請求項1に記載の基板分断装置。
【請求項3】
前記吸着部は多孔質材で形成されている、請求項1又は2に記載の基板分断装置。
【請求項4】
請求項1に記載の基板分断装置を使用する貼り合わせ基板の分断方法であって、
前記貼り合わせ基板を、前記第1基板を上方にして、かつ前記スクライブラインがテーブルの端部からさらに外側に位置するようにテーブル上に載置するステップと、
前記第1基板の端部の真上に位置するように前記端部を押圧する押圧部を配置するステップと、
前記端部を上方から押圧して、前記端部をスクライブラインに沿って分断するステップと、
前記端部を吸着する吸着部を前記端部の真上に位置するように前記テーブルを移動するステップと、
前記押圧部により分断された前記端部を吸着して、前記第1基板から前記端部を取り出すステップと、
を備えた基板分断方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板分断装置、特に、端部を切り離すためのスクライブラインが表面に形成された第1基板と、第1基板の裏面に貼り合わされた第2基板と、を有する貼り合わせ基板の分断装置に関する。また、本発明は、基板分断方法に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶装置は、液晶層を間に介在するように第1基板と第2基板とがシール材によって貼り合わされる貼り合わせ基板によって構成される。この貼り合わせ基板は、生産性の観点から、まず大判の状態で作製され、これを分断することによって複数の貼り合わせ基板が得られる。この分断方法について詳細に説明すると、まず貼り合わせ基板の第1基板側の面にスクライブラインを形成し、次に、第2基板側から貼り合わせ基板を押圧して撓ませ、第1基板をスクライブラインに沿ってブレイクする。続いて、貼り合わせ基板の第2基板側の面にスクライブラインを形成し、次に、第1基板側から貼り合わせ基板を押圧して撓ませ、第2基板をスクライブラインに沿ってブレイクする。
【0003】
以上の方法では、第1基板をブレイクした後に、貼り合わせ基板の表裏を反転させて第2基板をブレイクする必要がある。このような貼り合わせ基板の表裏を反転させることを不要とした装置が、特許文献1に示されている。
【0004】
特許文献1の装置は、第1ブレイクユニット及び第2ブレイクユニットを備えている。そして、搬送ユニットによって搬送される貼り合わせ基板は、まず第1ブレイクユニットによって第1基板がブレイクされ、次に、第2ブレイクユニットによって第2基板がブレイクされる。このように、搬送方向に並べて配置された第1ブレイクユニット及び第2ブレイクユニットによって、貼り合わせ基板の表裏を反転させることなく第1基板及び第2基板をブレイクするようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2014−200940号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の装置では、第1ブレイクユニット及び第2ブレイクユニットは、上下方向において対向する位置にブレイクバーとバックアップバーとを有している。しかし、このようなブレイクバーとバックアップバーとを用いる方法では、ブレイクバーの押し込み量の最適レンジが狭い。例えば、厚みが0.2mmのガラス基板では、最適な押し込み量は0.2mm〜0.3mmである。そして、押し込み量がこのレンジよりも浅いと、クラックが形成されず、また逆に深いと、反対側の基板にまで予期しない形状のクラックが形成される場合がある。
【0007】
本発明の課題は、貼り合わせ基板の分断に際して、押し込み量の最適レンジが広く、確実に良好なクラックを形成できるとともに、特に端材を容易に除去できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)本発明の一側面に係る基板分断装置は、端部を切り離すためのスクライブラインが表面に形成された第1基板と、第1基板の裏面に貼り合わされた第2基板と、を有する貼り合わせ基板の分断装置である。この分断装置は、押圧部と、吸着部と、を備えている。押圧部は、第1基板側から端部を押圧して、端部をスクライブラインに沿って分断する。吸着部は、押圧部により分断された端部を吸着して、第1基板から端部を取り出す。
【0009】
この装置では、従来のようにスクライブラインが形成された側と逆側から押圧するのではなく、逆に、スクライブラインが形成された側から基板を押圧する。そして、押圧によって分断された端部は吸着部により吸着されて、基板から取り出される。
【0010】
このような分断によって、押し込み量の最適レンジが、従来に比較してより広くなり、確実に良好なクラックを形成することができる。また、吸着部によって、分断された端部を、容易に基板から除去することができる。
【0011】
(2)好ましくは、この装置は、貼り合わせ基板が載置される水平移動可能なテーブルと、テーブルに対して横方向及び上下方向に相対移動が可能なヘッドと、をさらに備えている。そして、押圧部及び吸着部はヘッドに一体として設けられている。ここでは、ヘッドに押圧部及び吸着部が一体として設けられているので、装置をコンパクトにすることができる。さらに、吸着部は、押圧部の側方であってテーブルの端部から遠い側に配置されている。
【0012】
(3)好ましくは、貼り合わせ基板は、スクライブラインがテーブルの端部からさらに外側に位置するようにテーブル上に載置される。ここでは、端部を押圧部によって押圧することにより、スクライブラインに沿って容易に分断することができる。
【0013】
(4)好ましくは、押圧部は端部を押圧する押圧面を有し、吸着部は、押圧面よりも貼り合わせ基板側に突出して形成され、端部を吸着する吸着面を有している。
【0014】
ここで、押圧部の押圧面と吸着部の吸着面とを同じ高さ(すなわち面一)に設定すると、吸着部で分断された端部を吸着する際に、押圧部が基板の他の部分の表面に接触することになる。すると、押圧部が接触した基板表面が損傷するおそれがある。
【0015】
そこで、押圧面に比較して吸着面の方を突出させている。このため、吸着部の吸着面によって端部を吸着した際に、押圧部の押圧面が基板表面に当たるのを避けることができる。
【0016】
(5)好ましくは、押圧部は端部を押圧した際に弾性変形可能な弾性部材で形成されている。
【0017】
(6)好ましくは、吸着部は多孔質材で形成されている。
【0018】
(7)本発明の一側面に係る基板分断方法は、端部を切り離すためのスクライブラインが表面に形成された第1基板と、第1基板の裏面に貼り合わされた第2基板と、を有する貼り合わせ基板の分断方法である。そして、以下のステップを有している。
【0019】
a:貼り合わせ基板を、第1基板を上方にして、かつスクライブラインがテーブルの端部からさらに外側に位置するようにテーブル上に載置するステップと、
第1基板の端部の真上に位置するように端部を押圧する押圧部を配置するステップ
【0020】
b:第1基板の端部を上方から押圧して、端部をスクライブラインに沿って分断するステップ
【0021】
c:端部を吸着する吸着部を端部の真上に位置するようにテーブルを移動するステップと、
押圧部により分断された端部を吸着して、第1基板から端部を取り出すステップ。
【発明の効果】
【0022】
以上のような本発明では、貼り合わせ基板の分断に際して、押し込み量の最適レンジが広くなり、確実に良好なクラックを形成できるとともに、端材を容易に除去できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の一実施形態による基板分断装置の模式図。
図2】基板分断方法の押圧ステップを説明するための模式図。
図3】基板分断方法の基板移動ステップを説明するための模式図。
図4】基板分断方法の吸着ステップを説明するための模式図。
図5】基板分断方法の端材取り出しステップを説明するための模式図。
図6】基板分断方法の端材排出ステップを説明するための模式図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1は本発明の一実施形態による基板分断装置の模式図である。この装置は、貼り合わせ基板Gの一方の表面の端部に位置する端材GLを除去するための装置である。貼り合わせ基板Gは、図1に示すように、第1基板G1と、第1基板G1に貼り合わされた第2基板G2と、から構成されている。ここでは、第1基板G1の表面にスクライブラインSが形成され、このスクライブラインSに沿って端材Glが除去される。
【0025】
分断装置は、複数のヘッド1と、テーブル2と、を有している。複数のヘッド1は、図示しないガントリー等の支持機構に、図1の紙面垂直方向に並べて支持されている。各ヘッド1は、駆動機構M1によって昇降自在であり、押圧部11と、吸着部12と、を有している。テーブル2は、第1基板G1が上方に位置するようにして、貼り合わせ基板Gが載置される。また、貼り合わせ基板Gは、端材GLがテーブル2の端面からさらに外側に位置するように、すなわち端材GLの下方にテーブル2の載置面が存在しないように配置される。テーブル2は、駆動モータやガイド機構等を含む駆動機構M2によって、図1の左右方向に移動可能である。
【0026】
ヘッド1の押圧部11は、貼り合わせ基板Gに対して、第1基板G1側から端材GLを押圧する。これにより、端材GLはスクライブラインSに沿って分断される。押圧部11は、第1基板G1よりも剛性の低い樹脂等で形成されている。したがって、押圧部11は、端材GLを押圧した際に、弾性変形可能である。
【0027】
吸着部12は、押圧部11の側方(テーブル2の移動方向に沿った側方)に配置されている。吸着部12は、多孔質材料で形成されており、ヘッド1の内部に設けられた通路等及び外部配管3を介して真空ポンプPに接続されている。
【0028】
押圧部11の下面は、端材GLに接触して下方に押圧する押圧面11aとなっている。また、吸着部12の下面は、押圧面11aよりも下方(第1基板G1側)に突出して形成され、端材GLを吸着する吸着面12aとなっている。
【0029】
次に、貼り合わせ基板Gから第1基板G1の端材GLを分断し、分断された端材GLを第1基板G1から取り出す方法について説明する。
【0030】
まず、第1基板G1及び第2基板G2が貼り合わされた貼り合わせ基板Gを準備し、図示しないスクライブライン形成装置によって、第1基板G1の表面(第2基板G2が貼り合わされていない側の表面)に、スクライブラインSを形成する。
【0031】
次に、貼り合わせ基板Gをテーブル2の載置面に載置する。ここで、貼り合わせ基板Gをテーブル2上に載置する際には、以下のようにして載置する。すなわち、図1に示すように、表面にスクライブラインSが形成された第1基板G1が上方に位置するように、かつスクライブラインS及び端部(端材となる部分)GLが、テーブル2の載置面からさらに外側に位置するように、貼り合わせ基板Gを配置する。さらに、端材GLが、ヘッド1の押圧部11の真下に位置するように、かつ吸着部12からずれるように(ヘッド1が下降した際に、吸着部12が端材GLに接触しないように)配置する。
【0032】
次に、図2に示すように、ヘッド1を下降させ、押圧部11によって端材GLを下方に押圧する。このとき、端材GLの下方にはテーブル2の載置面が存在しないので、押圧部11により端材GL部分を押圧することによって、第1基板G1には、スクライブラインSを起点にクラックが形成され、端材GLがフルカットされる。
【0033】
その後、図3に示すように、ヘッド1を上昇させ、さらにテーブル2を図3の左方向に移動させる。このとき、端材GLの真上にヘッド1の吸着部12が位置するように、テーブル2を移動させる。
【0034】
次に、図4に示すように、ヘッド1を下降させ、吸着部12を端材GLに当接させる。これにより、吸着部12に端材GLが吸着され、保持される。この状態で、図5に示すように、ヘッド1を上昇させる。これにより、端材GLは第1基板G1から切り離される。
【0035】
その後、図6に示すように、テーブル2を後退(図の右方向に移動)させて、貼り合わせ基板Gをヘッド1の下方から退避させる。そして、吸着部12により吸着を解除すれば、端材GLは端材置き場に落下する。
【0036】
以上のような本実施形態の方法では、例えば、厚さが0.2mmの貼り合わせ基板の場合、押し込み量の最適レンジが、従来方法では0.2mm〜0.3mmであったところ、0.2mm〜0.5mmに広がった。
【0037】
また、押圧面11aと吸着面12aとを段違いにして、吸着面12aをより下方に位置させているので、吸着部12によって端材GLを吸着する際に、押圧面11aが第1基板G1の表面に接触するのを避けることができる。したがって、第1基板G1の表面が押圧部11によって損傷するのを避けることができる。
【0038】
[他の実施形態]
本発明は以上のような実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱することなく種々の変形又は修正が可能である。
【0039】
前記実施形態では、1つのヘッドに押圧部及び吸着部を設けたが、押圧部と吸着部とを別の部材に設けてもよい。
【符号の説明】
【0040】
1 ヘッド
2 テーブル
11 押圧部
11a 押圧面
12 吸着部
12a 吸着面
G 貼り合わせ基板
G1 第1基板
G2 第2基板
GL 端材
S スクライブライン
図1
図2
図3
図4
図5
図6