特許第6582647号(P6582647)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6582647
(24)【登録日】2019年9月13日
(45)【発行日】2019年10月2日
(54)【発明の名称】電池収容構造
(51)【国際特許分類】
   H01M 2/10 20060101AFI20190919BHJP
   H01M 2/20 20060101ALI20190919BHJP
   H01M 2/30 20060101ALI20190919BHJP
【FI】
   H01M2/10 M
   H01M2/20 A
   H01M2/30 C
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-137465(P2015-137465)
(22)【出願日】2015年7月9日
(65)【公開番号】特開2017-21944(P2017-21944A)
(43)【公開日】2017年1月26日
【審査請求日】2018年6月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006286
【氏名又は名称】三菱自動車工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100089875
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 茂
(72)【発明者】
【氏名】近藤 裕次
(72)【発明者】
【氏名】楢崎 弘幸
(72)【発明者】
【氏名】白鳥 彰男
(72)【発明者】
【氏名】竹原 誠
(72)【発明者】
【氏名】杉浦 克彦
(72)【発明者】
【氏名】加藤 久貴
【審査官】 儀同 孝信
(56)【参考文献】
【文献】 実公昭09−013406(JP,Y1)
【文献】 特開平11−086832(JP,A)
【文献】 特開2001−283807(JP,A)
【文献】 特開2012−064555(JP,A)
【文献】 実開平07−022459(JP,U)
【文献】 実公平08−006362(JP,Y2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 2/10
H01M 2/20
H01M 2/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電池セルの電極端子同士が複数のバスバーを介して接続される組電池を収容するトレーと、前記トレーを開閉するカバーとを備える電池収容構造であって、
前記カバーを前記トレーに対して揺動可能に結合する第1ヒンジと、
絶縁材料で形成され前記第1ヒンジに前記カバーとは個別に揺動可能に結合され前記バスバーを保持する第1揺動板と、
を備えることを特徴とする電池収容構造。
【請求項2】
前記組電池は、前記複数の電池セルが各電池セルの一対の電極端子が並べられた方向と直交する方向に並べられて構成され、
前記電池セルが並べられた方向に沿って前記第1ヒンジの回転中心軸が延在し、
前記第1揺動板は、各電池セルの一対の電極端子が並べられた方向において互いに対向する一組の前記バスバー毎に個別に揺動可能に設けられている、
ことを特徴とする請求項1記載の電池収容構造。
【請求項3】
前記組電池は、前記電極端子が突設された前記複数の電池セルの面からなる端子面を有し、
前記第1揺動板は、前記組電池の端子面を開放する開放位置と、前記組電池の端子面上に位置し前記バスバーで電極端子同士を電気的に接続する接続位置との間で揺動し、
前記バスバーが前記電極端子に接続される箇所を露出させる孔が前記第1揺動板に貫通形成され、
前記第1揺動板が前記接続位置に位置した状態で、前記端子面と反対に位置する前記揺動板の面で前記孔の周囲の箇所は、前記電極端子よりも前記端子面から離れた箇所に位置している、
ことを特徴とする請求項1または2記載の電池収容構造。
【請求項4】
前記バスバーが前記電極端子に接続される箇所に、前記第1ヒンジの回転中心軸に直交する方向に延在する長孔がそれぞれ形成されている、
ことを特徴とする請求項1から3の何れか1項記載の電池収容構造。
【請求項5】
前記組電池は、前記複数の電池セルが各電池セルの一対の電極端子が並べられた方向と直交する方向に並べられて構成され、
前記組電池は、前記電極端子が突設された前記複数の電池セルの面からなる平面視矩形の端子面を有し、
前記電池セルが並べられた方向である前記矩形の一方の辺に沿って前記第1ヒンジの回転中心軸が延在し、
前記第1揺動板により前記第1ヒンジ寄りに位置する前記電極端子同士を接続する前記バスバーが保持され、
前記矩形の前記一方の辺に対向する辺に沿って延在する回転中心軸を有する前記第2ヒンジが設けられ、
絶縁材料で形成され前記第2ヒンジに揺動可能に結合された第2揺動板が設けられ、
前記第2揺動板により前記第2ヒンジ寄りに位置する前記電極端子同士を接続する前記バスバーが保持される、
ことを特徴とする請求項1記載の電池収容構造
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電動車に使用される電池収容構造に関する。
【背景技術】
【0002】
モータを駆動源とした電気自動車やハイブリッド自動車などの電動車においてモータに電力を供給するバッテリが使用されている。
バッテリは、高圧の直流電力をモータに供給することから複数の電池セルを直列に接続した組電池を複数個直列に接続して構成されている。
このような組電池の収容構造として、隣り合う電池セルの電極端子同士がバスバーを介して接続された組電池を収容するトレーと、トレーを開閉するカバーとを備えるものが提供されている(特許文献1、2参照)。
バスバーは、その長手方向の両端に孔が形成されており、バスバーの孔に隣り合う電池セルの電極端子が挿通された状態で電極端子の雄ねじ部にナットが締結されることによりバスバーと電極端子とが電気的に接続される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−282816号公報
【特許文献2】特開2012−101663号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、トレー内部に収容された組電池の保守作業を行なう際には、トレーからカバーを取り外した後、バスバーや電池セルの電極端子を絶縁シートによって覆った上で、電極端子からナットを外してバスバーを取り外し、電池セルの交換や周辺装置の修理を行ない、その後、バスバーをナットにより電極端子に締結する必要がある。また、組電池の組み立て作業を行なう際にも、上記と同様の作業が必要となる。
そのため、絶縁シートによってバスバーや電池セルの電極端子を覆うことが必要となることから、保守作業、組み立て作業が煩雑化し作業の効率化を図る上で改善の余地がある。
本発明は上記事情に鑑みなされたものであり、本発明の目的は、保守作業や組み立て作業の効率化を図る上で有利な電池収容構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記目的を達成するため、請求項1記載の発明は、複数の電池セルの電極端子同士が複数のバスバーを介して接続される組電池を収容するトレーと、前記トレーを開閉するカバーとを備える電池収容構造であって、前記カバーを前記トレーに対して揺動可能に結合する第1ヒンジと、絶縁材料で形成され前記第1ヒンジに前記カバーとは個別に揺動可能に結合され前記バスバーを保持する第1揺動板とを備えることを特徴とする。
請求項2記載の発明は、前記組電池は、前記複数の電池セルが各電池セルの一対の電極端子が並べられた方向と直交する方向に並べられて構成され、前記電池セルが並べられた方向に沿って前記第1ヒンジの回転中心軸が延在し、前記第1揺動板は、各電池セルの一対の電極端子が並べられた方向において互いに対向する一組の前記バスバー毎に個別に揺動可能に設けられていることを特徴とする。
請求項3記載の発明は、前記組電池は、前記電極端子が突設された前記複数の電池セルの面からなる端子面を有し、前記第1揺動板は、前記組電池の端子面を開放する開放位置と、前記組電池の端子面上に位置し前記バスバーで電極端子同士を電気的に接続する接続位置との間で揺動し、前記バスバーが前記電極端子に接続される箇所を露出させる孔が前記第1揺動板に貫通形成され、前記第1揺動板が前記接続位置に位置した状態で、前記端子面と反対に位置する前記揺動板の面で前記孔の周囲の箇所は、前記電極端子よりも前記端子面から離れた箇所に位置していることを特徴とする。
請求項4記載の発明は、前記バスバーが前記電極端子に接続される箇所に、前記第1ヒンジの回転中心軸に直交する方向に延在する長孔がそれぞれ形成されていることを特徴とする。
請求項5記載の発明は、前記組電池は、前記複数の電池セルが各電池セルの一対の電極端子が並べられた方向と直交する方向に並べられて構成され、前記組電池は、前記電極端子が突設された前記複数の電池セルの面からなる平面視矩形の端子面を有し、前記電池セルが並べられた方向である前記矩形の一方の辺に沿って前記第1ヒンジの回転中心軸が延在し、前記第1揺動板により前記第1ヒンジ寄りに位置する前記電極端子同士を接続する前記バスバーが保持され、前記矩形の前記一方の辺に対向する辺に沿って延在する回転中心軸を有する前記第2ヒンジが設けられ、絶縁材料で形成され前記第2ヒンジに揺動可能に結合された第2揺動板が設けられ、前記第2揺動板により前記第2ヒンジ寄りに位置する前記電極端子同士を接続する前記バスバーが保持されることを特徴とする
【発明の効果】
【0006】
請求項1記載の発明によれば、絶縁材料で形成され第1ヒンジにカバーとは個別に揺動可能に結合されバスバーを保持する第1揺動板を設けた。
したがって、従来のように、バスバーの取り付け、取り外しの作業を行なう際に、バスバーや電池セルの電極端子を絶縁シートによって覆うといった煩雑な作業が不要となり、第1の揺動板を揺動させるだけで、バスバーの取り付け、取り外しの作業を行なえるため、保守作業や組み立て作業の効率化を図る上で有利となる。
請求項2記載の発明によれば、保守作業を行いたい箇所の第1揺動板のみを開放位置と接続位置との間で揺動できるため、保守作業の効率化を図る上でより有利となる。
請求項3記載の発明によれば、第1揺動板が接続位置に位置した状態で、工具が揺動板の上面に落下しても、工具が電極端子に接触することはなく、電極端子の保護が図られ、組電池の耐久性の向上を図る上で有利となる。
請求項4記載の発明によれば、バスバーと電極端子とが干渉することなく第1揺動板を開放位置と接続位置とにわたって円滑に揺動させる上で有利となる。
請求項5記載の発明によれば、保守作業を行いたい箇所の第1揺動板あるいは第2揺動板のみを開放位置と接続位置との間で揺動できるため、保守作業の効率化を図る上でより一層有利となる
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1の実施の形態に係る電池収容構造の斜視図であり、カバーおよび第1揺動板が開放位置に位置した状態を示す。
図2】第1の実施の形態に係る電池収容構造の斜視図であり、第1揺動板が接続位置に位置した状態を示す。
図3】第1の実施の形態に係る電池収容構造における第1揺動板の平面図であり、(A)は電極端子がバスバーの長孔に挿通された状態を示し、(B)は電極端子とバスバーとがナットにより締結された状態を示す。
図4】第1の実施の形態に係る電池収容構造の縦断面図である。
図5】第2の実施の形態に係る電池収容構造の斜視図であり、カバー、第1揺動板、第2揺動板が開放位置に位置した状態を示す。
図6】第3の実施の形態に係る電池収容構造の斜視図であり、カバー、第1揺動板、第2揺動板が開放位置に位置した状態を示す。
図7】第3の実施の形態に係る電池収容構造の斜視図であり、第1揺動板、第2揺動板が接続位置に位置した状態を示す。
図8】第3の実施の形態に係る電池収容構造の縦断面図である。
図9】第4の実施の形態に係る電池収容構造の斜視図であり、カバー、第1揺動板、第2揺動板が開放位置に位置した状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(第1の実施の形態)
以下、本発明の実施の形態を図面にしたがって説明する。
本実施の形態の電池収容構造が適用される電池ケースは、モータのみを駆動源とする電気自動車、あるいは、ハイブリッド車、あるいは、プラグインハイブリッド車などのモータを駆動源とした電動車に搭載されるものである。
【0009】
図1に示すように、組電池12を収容する電池ケース10は、トレー16と、カバー18と、第1ヒンジ20と、第1揺動板22とを含んで構成されている。
組電池12は、複数の電池セル14が各電池セル14の一対の電極端子1402が並べられた方向と直交する方向に並べられて構成されている。
電極端子1402が位置する組電池12の面が端子面1202であり、端子面1202は、平面視矩形を呈している。
電池セル14から突設された一対の電極端子1402は、正極の電極端子1402Aおよび負極の電極端子1402Bであり、各電極端子1402の外周面には雄ねじ部が形成されている。
【0010】
トレー16は、矩形状の底壁1602と、底壁1602の4辺から起立する4つの側壁1604と、4つの側壁1604の上縁からなる上方に開放状の開口1610とを備え、トレー16には組電池12が収容されている。
トレー16の互いに対向する側壁1604のうち一方の側壁1604の上縁に、第1ヒンジ20が設けられ、他方の側壁1604の上縁にフランジ1606が設けられている。
第1ヒンジ20の回転中心軸は、電池セル14が並べられた方向に沿って延在している。
フランジ1606は、他方の側壁1604の上縁からトレー16の外側に突出し、他方の側壁1604に沿って延在形成されている。
【0011】
カバー18は、底壁1602に対向する矩形状の上壁1802と、上壁1802の4辺から垂設される4つの側壁1804とを備えている。
カバー18の互いに対向する側壁1804のうちの一方の側壁1804の下縁は、第1ヒンジ20に揺動可能に結合され、他方の側壁1804の下縁にフランジ1806が設けられている。
フランジ1806は、他方の側壁1804の下縁からカバー18の外側に突出し、他方の側壁1804に沿って延在形成されている。
したがって、カバー18は、図4に示すように第1ヒンジ20を支点としてトレー16の開口1610を閉塞する閉塞位置と、図1図2に示すようにトレー16の開口1610を開放する開放位置とに揺動可能となっており、閉塞位置においてトレー16のフランジ1606とカバー18のフランジ1806が合わされ、従来公知の様々な係脱機構によりカバー18によりトレー16の開口1610を閉塞した状態が保持される。
【0012】
第1揺動板22は、第1ヒンジ20にカバー18とは個別に揺動可能に結合されている。
第1揺動板22は、絶縁材料で形成され、第1揺動板22は複数のバスバー24を保持し、組電池12の端子面1202に対応して平面視矩形を呈している。
第1揺動板22は、図1に示すように組電池12の端子面1202を開放する開放位置と、図2図4に示すように組電池12の端子面1202上に位置しバスバー24で隣接する電池セル14の正極の電極端子1402Aと負極の電極端子1402Bとを電気的に接続する接続位置との間で揺動する。
バスバー24は導電材料で形成され、第1揺動板22にインサート成形され、第1揺動板22の厚さ方向の中間に埋め込まれている。
バスバー24は、組電池12の2列の電極端子1402に対応して2列設けられている。
バスバー24は、図3(A)、図4に示すように、電池セル14が並べられた方向に細長の帯板状を呈し、長手方向の両端に、第1ヒンジ20の回転中心軸に直交する方向に延在する長孔2402がそれぞれ形成されている。長孔2402には接続位置において隣接する電池セル14の正極の電極端子1402Aと負極の電極端子1402Bとが挿入される。
【0013】
図4に示すように、接続位置において組電池12の端子面1202と反対に位置する第1揺動板22の面2202に、第1ヒンジ20の回転中心軸に平行する方向に延在する凸条2204が、第1ヒンジ20の回転中心軸と直交する方向に間隔をおいて2つ設けられている。それら凸条2204は、組電池12の2列の電極端子1402に対応する箇所に設けられている。
そして、各凸条2204には、接続位置において組電池12の電極端子1402が挿入されると共に、工具により電極端子1402にナット2を挿脱するための大きさの孔2210が形成されている。すなわち、バスバー24が電極端子1402に接続される箇所を露出させる孔2210が第1揺動板22に貫通形成されている。
第1揺動板22が接続位置に位置した状態で、端子面1202と反対に位置する揺動板の面2202で孔2210の周囲の箇所2202Aは、孔2210に挿入された電極端子1402よりも端子面1202から離れた箇所に位置する。
したがって、図3(A)、図4に示すように、接続位置において孔2210に電極端子1402が挿入され電極端子1402を露出させるとともに、バスバー24が電極端子1402に接続される箇所は、孔2210を介して第1揺動板22から露出しており、第1揺動板22は、接続位置において電極端子1402に接触する箇所を除いた残りのバスバー24の部分を覆うようにバスバー24を保持している。
【0014】
なお、図1に示すように、複数の電池セル14が並べられた方向の一方の端部に位置する電池セル14の一方の電極端子1402が、組電池12から電力を取り出す正極の電極端子1402Aとなる。また、複数の電池セル14が並べられた方向の他方の端部に位置する電池セル14の一方の電極端子1402が、組電池12から電力を取り出す負極の電極端子1402Bとなる。
そのため、それら電力取り出し用の2つの電極端子1402A、1402Bに対応する第1揺動板22の箇所には、バスバー24の代わりに、2つの電極端子1402が挿通する貫通孔2210がそれぞれ設けられている。
そして、第1揺動板22の接続位置において、それら貫通孔2210に挿通された電極端子1402に不図示の配線部材が接続され、それら配線部材を介して組電池12の電力が取り出される。
【0015】
次に、本実施の形態の作用効果について説明する。
電池ケース10に組電池12を収容する場合について説明する。
まず、カバー18、第1揺動板22を開放位置に揺動させ、トレー16の開口1610を開放させる。
次いで、複数の電池セル14を並べてトレー16に収容する。
次いで、第1揺動板22を開放位置から接続位置に揺動させ、各電極端子1402を各バスバー24の長孔2402に挿通させる。
そして、図3(B)、図4に示すように、孔2210内で各電極端子1402の先部にナット2を締結することで隣接する電池セル14の電極端子1402同士をバスバー24を介して接続させる。これにより複数の電池セル14が直列接続された組電池12が構成される。
次いで、組電池12の両端に位置する電力取り出し用の電極端子1402に貫通孔2210内で不図示の配線部材を接続する。
最後に、カバー18によりトレー16の開口1610を閉塞することで、第1揺動板22はカバー18とトレー16により保持され、電池ケース10の組み立てが終了する。
【0016】
次に、電池ケース10に収容された組電池12の保守作業について説明する。
まず、カバー18とトレー16との結合を解除して、カバー18を開放位置に揺動させる。
次に、第1揺動板22の上面から工具を用いて各電極端子1402に締結されたナット2を順次取外す。
全てのナット2を取り外したならば、第1揺動板22を接続位置から開放位置に揺動させる。これにより、組電池12を構成する電池セル14同士の電気的な接続が解除される。
次いで、電池セル14の点検、あるいは、電池セル14の交換など必要な作業を実施する。
作業が終了したならば、上述した組み立て作業と同様の手順で電池ケース10の組み立てを行い、保守作業が終了する。
【0017】
以上説明したように、本実施の形態によれば、絶縁材料で形成され第1ヒンジ20にカバー18とは個別に揺動可能に結合されバスバー24を保持する第1揺動板22を設けた。
そのため、従来のように、バスバー24の取り付け、取り外しの作業を行なう際に、バスバー24や電池セル14の電極端子1402を絶縁シートによって覆うといった煩雑な作業が不要となり、第1の揺動板を揺動させるだけで、バスバー24の取り付け、取り外しの作業を行なえる。
したがって、保守作業や組み立て作業の効率化を図る上で有利となる。
【0018】
また、本実施の形態によれば、第1揺動板22が接続位置に位置した状態で、端子面1202と反対に位置する第1揺動板22の面2202で孔2210の周囲の箇所2202Aは、電極端子1402よりも端子面1202から離れた箇所に位置している。
したがって、第1揺動板22が接続位置に位置した状態で、工具が揺動板の上面に落下しても、工具が電極端子1402に接触することはなく、電極端子1402の保護が図られ、組電池12の耐久性の向上が図られている。
【0019】
また、本実施の形態によれば、バスバー24が電極端子1402に接続される箇所に長孔2402が形成されているので、バスバー24と電極端子1402とが干渉することなく第1揺動板22を開放位置と接続位置とにわたって円滑に揺動させる上で有利となる。
【0020】
(第2の実施の形態)
次に第2の実施の形態について図5を参照して説明する。なお、以下の実施の形態では、第1の実施の形態と同様の部分、部材については第1の実施の形態と同一の符号を付してその説明を省略する。
第2の実施の形態では、第1揺動板26が複数設けられ、各第1揺動板26は、各電池セル14の一対の電極端子1402が並べられた方向において互いに対向する一組のバスバー24毎に個別に揺動可能に設けられている点が第1の実施の形態と異なっている。
このような第2の実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様な作用、効果が得られるほか、保守作業を行いたい箇所の第1揺動板26のみを開放位置と接続位置との間で揺動できるため、保守作業の効率化を図る上でより有利となる。
【0021】
(第3の実施の形態)
次に第3の実施の形態について図6図7図8を参照して説明する。
第3の実施の形態は、互いに対向させて第1揺動板28と第2揺動板30とを設けたものである。
組電池12は、電極端子1402が突設された複数の電池セル14の面からなる平面視矩形の端子面1202を有している。
電池セル14が並べられた方向である矩形の一方の辺に沿って第1ヒンジ20の回転中心軸が延在し、第1揺動板28により第1ヒンジ20寄りに位置する電極端子1402同士を接続するためのバスバー24が保持されている。
矩形の一方の辺に対向する辺に沿って延在する回転中心軸を有する第2ヒンジ32が設けられ、絶縁材料で形成され第2ヒンジ32に揺動可能に結合され第2ヒンジ32寄りに位置する電極端子1402同士を接続するためのバスバー24を保持する第2揺動板30が設けられている。
第1揺動板28に凸条2204、孔2210が形成されている点は第1の実施の形態と同様である。
また、第2揺動板30に、第1揺動板28と同様に凸条2204、孔2210が形成されている。
このような第3の実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様な作用、効果が得られるほか、保守作業を行いたい箇所の第1揺動板28あるいは第2揺動板30のみを開放位置と接続位置との間で揺動できるため、保守作業の効率化を図る上でより一層有利となる。
【0022】
(第4の実施の形態)
次に第4の実施の形態について図9を参照して説明する。
第4の実施の形態は、第3の実施の形態の変形例である。
第4の実施の形態は、第1揺動板34が複数設けられ、各第1揺動板34は、第1ヒンジ20寄りに位置するバスバー24毎に個別に揺動可能に設けられている。また、第2揺動板36が複数設けられ、各第2揺動板36は、第2ヒンジ32寄りに位置するバスバー24毎に個別に揺動可能に設けられている。
このような第4の実施の形態によれば、第3の実施の形態と同様な作用、効果が得られるほか、バスバー24毎に第1揺動板34あるいは第2揺動板36のみを開放位置と接続位置との間で揺動できるため、保守作業の効率化を図る上でより一層有利となる。
【符号の説明】
【0023】
2 ナット
10 電池ケース
12 組電池
1202 端子面
14 電池セル
1402 電極端子
1402A 正極の電極端子
1402B 負極の電極端子
16 トレー
18 カバー
20 第1ヒンジ
22 第1揺動板
2202 面
2204 凸条
2210 孔
24 バスバー
2402 長孔
26 第1揺動板
28 第1揺動板
30 第2揺動板
32 第2ヒンジ
34 第1揺動板
36 第2揺動板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9