(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面に基づき本発明を実現するにあたっての好適な一実施の形態の例を説明する。
図1は、本実施の形態の構成例についての概念的なモジュール構成図を示している。
なお、モジュールとは、一般的に論理的に分離可能なソフトウェア(コンピュータ・プログラム)、ハードウェア等の部品を指す。したがって、本実施の形態におけるモジュールはコンピュータ・プログラムにおけるモジュールのことだけでなく、ハードウェア構成におけるモジュールも指す。それゆえ、本実施の形態は、それらのモジュールとして機能させるためのコンピュータ・プログラム(コンピュータにそれぞれの手順を実行させるためのプログラム、コンピュータをそれぞれの手段として機能させるためのプログラム、コンピュータにそれぞれの機能を実現させるためのプログラム)、システム及び方法の説明をも兼ねている。ただし、説明の都合上、「記憶する」、「記憶させる」、これらと同等の文言を用いるが、これらの文言は、実施の形態がコンピュータ・プログラムの場合は、記憶装置に記憶させる、又は記憶装置に記憶させるように制御するという意味である。また、モジュールは機能に一対一に対応していてもよいが、実装においては、1モジュールを1プログラムで構成してもよいし、複数モジュールを1プログラムで構成してもよく、逆に1モジュールを複数プログラムで構成してもよい。また、複数モジュールは1コンピュータによって実行されてもよいし、分散又は並列環境におけるコンピュータによって1モジュールが複数コンピュータで実行されてもよい。なお、1つのモジュールに他のモジュールが含まれていてもよい。また、以下、「接続」とは物理的な接続の他、論理的な接続(データの授受、指示、データ間の参照関係等)の場合にも用いる。「予め定められた」とは、対象としている処理の前に定まっていることをいい、本実施の形態による処理が始まる前はもちろんのこと、本実施の形態による処理が始まった後であっても、対象としている処理の前であれば、そのときの状況・状態に応じて、又はそれまでの状況・状態に応じて定まることの意を含めて用いる。「予め定められた値」が複数ある場合は、それぞれ異なった値であってもよいし、2以上の値(もちろんのことながら、全ての値も含む)が同じであってもよい。また、「Aである場合、Bをする」という意味を有する記載は、「Aであるか否かを判断し、Aであると判断した場合はBをする」の意味で用いる。ただし、Aであるか否かの判断が不要である場合を除く。
また、システム又は装置とは、複数のコンピュータ、ハードウェア、装置等がネットワーク(一対一対応の通信接続を含む)等の通信手段で接続されて構成されるほか、1つのコンピュータ、ハードウェア、装置等によって実現される場合も含まれる。「装置」と「システム」とは、互いに同義の用語として用いる。もちろんのことながら、「システム」には、人為的な取り決めである社会的な「仕組み」(社会システム)にすぎないものは含まない。
また、各モジュールによる処理毎に又はモジュール内で複数の処理を行う場合はその処理毎に、対象となる情報を記憶装置から読み込み、その処理を行った後に、処理結果を記憶装置に書き出すものである。したがって、処理前の記憶装置からの読み込み、処理後の記憶装置への書き出しについては、説明を省略する場合がある。なお、ここでの記憶装置としては、ハードディスク、RAM(Random Access Memory)、外部記憶媒体、通信回線を介した記憶装置、CPU(Central Processing Unit)内のレジスタ等を含んでいてもよい。
【0018】
本実施の形態である画像処理装置100は、画像を出力、読み取る等の機能を有する画像処理装置100の使用する電力を、電力低減要求にしたがって低減させるものであって、
図1の例に示すように、要求受付モジュール110、操作者検知モジュール115、電力管理モジュール120、制御モジュール130、画像形成モジュール160、画像読取モジュール165、通信モジュール170、記憶装置モジュール175を有している。
画像処理装置100は、一般的に複合機(スキャナー、プリンター、複写機、ファックス、画像の記憶等のいずれか2つ以上の機能を有している画像処理装置)と言われているものである。なお、ここでの画像処理装置100は、少なくともスキャナー、プリンターの機能を有している。
昨今の地球温暖化や電力不足から節電が叫ばれ、Internet of Things(IoT)に代表されるあらゆる物にインターネットがつながり、スマートメーターなどを用いたHEMS(Home Energy Management System)/BEMS(Building Energy Management System)など自動で電力管理をする技術により総量規制やピークシフトに対応する動きがある。複合機もスマートメーターなどからの電力低減要求に対応して、電力を削減する必要がある。
【0019】
要求受付モジュール110は、電力管理モジュール120と接続されている。要求受付モジュール110は、電力低減要求を受け付ける。例えば、通信回線を介してスマートメーター等から電力低減要求を受け付ける。電力低減要求には、低減させる電力量を示す複数段階からなる低減レベルが含まれていてもよい。例えば、
図8に示すように、低減レベルが大きくなるほど、電力低減効果量が増えるように定義されていてもよい。
【0020】
操作者検知モジュール115は、電力管理モジュール120と接続されている。操作者検知モジュール115は、画像処理装置100を操作している操作者を検知する。例えば、画像処理装置100に人感センサーを設置して、その検知結果を用いるようにしてもよい。また、画像処理装置100がICカード等で操作者(画像処理装置100を利用することの権利を有していること)を認識する機能を有している場合、そのICカード等の内容を読み取ることが可能であるとき(具体的には、カードリーダー内にそのICカードがあること)は、操作者がいると検知しているとしてもよい。また、画像処理装置100がカメラを有しており、操作者の顔認識を行う場合、その操作者が撮影されている間は、操作者がいると検知しているとしてもよい。
【0021】
画像処理装置100の複合機としての機能を果たすために、画像形成モジュール160、画像読取モジュール165、通信モジュール170、記憶装置モジュール175を有している。なお、少なくとも画像形成モジュール160、画像読取モジュール165を有していればよい。
画像形成モジュール160は、制御モジュール130と接続されている。画像形成モジュール160は、プリンターであって、印刷指示された画像を印刷する。また、複写機能、ファックス機能における印刷機能として利用してもよい。
画像読取モジュール165は、制御モジュール130と接続されている。画像読取モジュール165は、スキャナーであって、画像を読み取る。また、複写機能、ファックス機能における読み取り機能として利用してもよい。
通信モジュール170は、制御モジュール130と接続されている。通信モジュール170は、他の装置との間で主に画像を主の対象とした通信を行う。また、ファックス機能における通信機能として利用してもよい。
記憶装置モジュール175は、制御モジュール130と接続されている。記憶装置モジュール175は、画像読取モジュール165が読み取った画像、他の装置から送信されてきた画像(ファックスの受信画像、プリンターへの印刷指示における画像等)を記憶する。また、記憶装置モジュール175に記憶された画像は、画像形成モジュール160での印刷処理の対象とされたり、他の装置への送信対象とされる。他の装置への送信対象として、例えば、ファックスの送信画像、画像記憶装置に記憶させる画像等がある。なお、記憶装置モジュール175は、
図1の例では画像処理装置100内に構成しているが、画像処理装置100内にはなく、通信回線を介して、他の装置(リポジトリとしての役割を有する装置、又は、他の画像処理装置100であってもよい)内の記憶装置モジュール175を利用するようにしてもよい。
【0022】
制御モジュール130は、プリンター機能制御モジュール135、スキャナー機能制御モジュール140、複写機機能制御モジュール145、ファックス機能制御モジュール150、記憶装置機能制御モジュール155を有しており、電力管理モジュール120、画像形成モジュール160、画像読取モジュール165、通信モジュール170、記憶装置モジュール175と接続されている。制御モジュール130内のモジュールによる制御は、画像形成モジュール160等の本来の機能に対する制御の他に、電力管理モジュール120の制御によって、画像形成モジュール160等の電力を低減させるための、性能の制限等を含む。
プリンター機能制御モジュール135は、画像を出力する画像形成モジュール160を制御する。画像形成モジュール160の電力の低減として、画像形成モジュール160の性能を制限する。性能として、印刷速度、解像度、カラー・白黒印刷の使い分け等がある。ここでは、主に、印刷速度の制限を用いて説明する。例えば、画像形成モジュール160内の定着ユニットを制御してもよい。
スキャナー機能制御モジュール140は、画像を読み取る画像読取モジュール165を制御する。画像読取モジュール165の電力の低減として、画像読取モジュール165の性能を制限する。性能として、読取速度、解像度、カラー・白黒読み取りの使い分け等がある。ここでは、主に、読取速度の制限を用いて説明する。例えば、画像形成モジュール160の印刷速度と画像読取モジュール165の読取速度を合わせる(印刷速度と読取速度を同じ速度にすること)ように制御してもよい。一般的に、性能として読取速度は、印刷速度よりも速い。複写機能としての機能を担保するために、印刷速度と同じになるまで、読取速度を遅くするようにしてもよい。
【0023】
複写機機能制御モジュール145は、複写機能を実現するために画像読取モジュール165と画像形成モジュール160を制御する。画像読取モジュール165と画像形成モジュール160の電力の低減として、画像読取モジュール165と画像形成モジュール160の性能を制限する。上述したように、画像読取モジュール165と画像形成モジュール160の性能を制限する。
ファックス機能制御モジュール150は、画像読取モジュール165と画像形成モジュール160と通信モジュール170を制御する。画像読取モジュール165と画像形成モジュール160と通信モジュール170の電力の低減として、画像読取モジュール165と画像形成モジュール160の性能を制限する。上述したように、画像読取モジュール165と画像形成モジュール160の性能を制限する。
記憶装置機能制御モジュール155は、画像を記憶する記憶装置モジュール175を制御する。
なお、通信モジュール170、記憶装置モジュール175による電力低減は困難であることから、通信モジュール170、記憶装置モジュール175とともに利用される画像形成モジュール160、画像読取モジュール165の性能を制限する。
【0024】
電力管理モジュール120は、要求受付モジュール110、操作者検知モジュール115、制御モジュール130と接続されている。電力管理モジュール120は、制御モジュール130内の各モジュールを制御して、画像形成モジュール160又は画像読取モジュール165の性能を制限する。
電力管理モジュール120は、要求受付モジュール110によって電力低減要求を受け付けた場合に、プリンター機能制御モジュール135又はスキャナー機能制御モジュール140に対して、その電力低減要求を満たすように、画像形成モジュール160又は画像読取モジュール165の性能を制限するように制御する。
また、電力管理モジュール120は、要求受付モジュール110によって操作者を検知し、画像読取モジュール165及び画像形成モジュール160が利用される場合は、その操作者を検知している間(つまり、画像処理装置100の近辺に操作者がいる間)は、画像読取モジュール165の性能は制限せずに、電力低減要求を満たすように、画像形成モジュール160の性能を制限するように制御するようにしてもよい。
また、電力管理モジュール120は、画像読取モジュール165による読み取り速度を画像形成モジュール160の速度と合わせるように制御するようにしてもよい。
また、電力管理モジュール120は、記憶装置モジュール175及び画像形成モジュール160が利用される場合は、電力低減要求を満たすように、画像形成モジュール160の性能を制限するように制御するようにしてもよい。
【0025】
図2は、本実施の形態を利用したシステム構成例を示す説明図である。
画像処理装置100A、画像処理装置100B、画像処理装置100C、画像処理装置100D、電力管理装置200、記憶装置210は、通信回線290を介してそれぞれ接続されている。通信回線290は、無線、有線、これらの組み合わせであってもよく、例えば、通信インフラとしてのインターネット、イントラネット等であってもよい。電力管理装置200は、建物単位、事業所単位等で、画像処理装置100等の電気使用量を監視し、画像処理装置100に対して電力低減要求を行うものである。例えば、HEMS/BEMSにおける電力管理センター装置、スマートメーター等が該当する。記憶装置210は、前述の記憶装置モジュール175が記憶装置210内に構成されている。例えば、画像処理装置100Bには記憶装置モジュール175がなく、通信回線290を介して記憶装置210を利用してもよい。また、記憶装置210内に記憶された画像を画像処理装置100Cが印刷する等してもよい。
【0026】
図3は、本実施の形態による処理例を示すフローチャートである。
ステップS302では、要求受付モジュール110は、電力管理装置200から低減要求があるか否かを判断し、低減要求有の場合はステップS304へ進み、それ以外の場合は処理を終了する(ステップS399)。
ステップS304では、制御モジュール130は、画像処理装置100における処理要求(ジョブともいわれる)があるか否かを判断し、処理要求有の場合はステップS306へ進み、それ以外の場合は処理を終了する(ステップS399)。処理要求としては、画像処理装置100に対して、プリント、スキャン、複写、ファックス送信、ファックス受信、記憶装置へのアクセスがある。また、これらは、画像処理装置100を操作者が直に操作(画像処理装置100の液晶ディスプレイ等に表示されるボタン等への操作)することによって発生する場合と、通信回線を介したパソコン等からの指示によって発生する場合がある。
【0027】
ステップS306では、電力管理モジュール120は、低減レベル確認(A%低減)を行う。つまり、低減レベルに応じた割合を抽出する。
ステップS308では、電力管理モジュール120は、プリントであるか否かを判断し、プリントである場合はステップS310へ進み、それ以外の場合はステップS312へ進む。
ステップS310では、複合低減処理を行う。詳細な処理内容は、
図4に例示するフローチャートを用いて後述する。
ステップS312では、電力管理モジュール120は、スキャンであるか否かを判断し、スキャンである場合はステップS314へ進み、それ以外の場合はステップS316へ進む。
ステップS314では、スキャン生産性A%ダウン設定を行う。詳細な処理内容は、
図5に例示するフローチャートを用いて後述する。
【0028】
ステップS316では、電力管理モジュール120は、複写であるか否かを判断し、複写である場合はステップS318へ進み、それ以外の場合はステップS320へ進む。
ステップS318では、複写生産性A%ダウン設定を行う。詳細な処理内容は、
図5に例示するフローチャートを用いて後述する。
ステップS320では、電力管理モジュール120は、ファックス送信であるか否かを判断し、ファックス送信である場合はステップS322へ進み、それ以外の場合はステップS324へ進む。
ステップS322では、スキャン生産性A%ダウン設定を行う。詳細な処理内容は、
図5に例示するフローチャートを用いて後述する。
【0029】
ステップS324では、電力管理モジュール120は、ファックス受信であるか否かを判断し、ファックス受信である場合はステップS326へ進み、それ以外の場合はステップS328へ進む。
ステップS326では、複合低減処理を行う。詳細な処理内容は、
図4に例示するフローチャートを用いて後述する。
ステップS328では、電力管理モジュール120は、記憶装置モジュール175を用いたプリントであるか否かを判断し、記憶装置モジュール175を用いたプリントである場合はステップS330へ進み、それ以外の場合はステップS332へ進む。
ステップS330では、複合低減処理を行う。詳細な処理内容は、
図4に例示するフローチャートを用いて後述する。
ステップS332では、制御モジュール130は、処理設定を行う。電力低減の設定内容にしたがって、処理要求に応じた画像形成モジュール160、画像読取モジュール165、通信モジュール170、記憶装置モジュール175が処理を行う。
なお、ステップS308、S312、S316、S320、S324、S328の判断処理の順番は、必ずしもこの順番でなくてもよい。また、ステップS308の判断処理を最初に行って、その後は、どの判断処理を先に行ってもよい。もちろんのことながら、
図3に例示した順番に限定してもよい。
【0030】
図4は、本実施の形態(主に電力管理モジュール120、制御モジュール130)による処理例を示すフローチャートである。画像形成モジュール160と他のモジュール(画像読取モジュール165、記憶装置モジュール175)とが同時に動作する場合があり得るので、それに対応するものである。なお、低減負荷カウントについては、記憶装置モジュール175へのアクセスがあるか否かを示す情報であるが、詳細については
図6に例示するフローチャートを用いて後述する。
ステップS402では、スキャン実施中であるか否かを判断し、スキャン実施中である場合(プリント処理要求があった上で、スキャンが行われている場合)はステップS412へ進み、それ以外の場合はステップS404へ進む。
ステップS404では、低減負荷カウント=0であるか否かを判断し、低減負荷カウント=0である場合はステップS406へ進み、それ以外の場合(プリント処理要求があった上で、記憶装置モジュール175へのアクセスがある場合)はステップS408へ進む。
ステップS406では、プリント生産性A%ダウン設定を行う。つまり、画像形成モジュール160単独での処理であるので、画像形成モジュール160の性能をA%低減させるように制限する。
【0031】
ステップS408では、低減負荷カウントを−1する。つまり、低減負荷カウントをリセットする。
ステップS410では、(記憶装置モジュール175へのアクセス電力分+プリント電力分)のA%低減相当のプリント生産性のダウン設定を行う。つまり、画像形成モジュール160と記憶装置モジュール175へのアクセスが行われているので、画像処理装置100全体の電力をA%低減させるために、画像形成モジュール160の性能を低減させるように制限する。したがって、画像形成モジュール160の低減割合は、A%以上となる。
【0032】
ステップS412では、操作者検知モジュール115の検知結果から、画像処理装置100の周辺に操作者がいるか否かを判断し、操作者ありの場合はステップS414へ進み、それ以外の場合はステップS422へ進む。操作者ありの場合は、そのスキャン処理は、その操作者によって指示されたものであることを示している。この場合、画像読取モジュール165の性能を低減させずに、画像形成モジュール160の性能を低減させる。その場合、低減要求に合致させるように画像形成モジュール160の性能を低減させることとなるので、A%以上の値で画像形成モジュール160の性能を低減させることとなる。
ステップS414では、低減負荷カウント=0であるか否かを判断し、低減負荷カウント=0である場合はステップS416へ進み、それ以外の場合はステップS418へ進む。
ステップS416では、(スキャン電力分+プリント電力分)のA%低減相当のプリント生産性のダウン設定を行う。つまり、画像形成モジュール160と画像読取モジュール165による処理が行われており、画像読取モジュール165の処理性能を低減させないので、画像処理装置100全体の電力をA%低減させるために、画像形成モジュール160の性能を低減させるように制限する。したがって、画像形成モジュール160の低減割合は、A%以上となる。
【0033】
ステップS418では、低減負荷カウントを−1する。つまり、低減負荷カウントをリセットする。
ステップS420では、(記憶装置モジュール175へのアクセス電力分+スキャン電力分+プリント電力分)のA%低減相当のプリント生産性のダウン設定を行う。つまり、画像形成モジュール160と画像読取モジュール165による処理、記憶装置モジュール175へのアクセスが行われており、画像読取モジュール165の処理性能を低減させず、記憶装置モジュール175へのアクセスも行われているので、画像処理装置100全体の電力をA%低減させるために、画像形成モジュール160の性能を低減させるように制限する。したがって、画像形成モジュール160の低減割合は、A%以上となる。
【0034】
ステップS422では、低減負荷カウント=0であるか否かを判断し、低減負荷カウント=0である場合はステップS424へ進み、それ以外の場合はステップS426へ進む。
ステップS424では、(スキャン生産性A%ダウン電力分+プリント電力分)のA%低減相当のプリント生産性のダウン設定を行う。つまり、画像形成モジュール160と画像読取モジュール165による処理、記憶装置モジュール175へのアクセスは行われていない状態であり、記憶装置モジュール175へのアクセスは行われていないので、画像処理装置100全体の電力をA%低減させるために、画像読取モジュール165の性能をA%低減させ、画像形成モジュール160の性能を低減させるように制限する。
【0035】
ステップS426では、低減負荷カウントを−1する。つまり、低減負荷カウントをリセットする。
ステップS428では、(記憶装置モジュール175へのアクセス電力分+スキャン生産性A%ダウン電力分+プリント電力分)のA%低減相当のプリント生産性のダウン設定を行う。つまり、画像形成モジュール160と画像読取モジュール165による処理、記憶装置モジュール175へのアクセスも行われている状態であり、画像処理装置100全体の電力をA%低減させるために、画像形成モジュール160の性能を低減させるように制限する。
ステップS430では、ジョブ終了後にはスキャン性能を通常の生産性に復帰する。
また、スキャンまたはプリントが先に終了する場合、ジョブを実行しているモジュールは、終了したジョブ(スキャンまたはプリント)が使用していた電力分だけの生産性を上げてもよい。
なお、画像読取モジュール165による処理が行われており、操作者がいない場合(ステップS412でNの場合)、画像読取モジュール165の性能を元に戻さずに、そのまま低減させた状態としてもよい。
【0036】
図5は、本実施の形態による処理例を示すフローチャートである。
ステップS502では、低減レベルをセットする。電力低減要求に対応した低減率を用いる。
ステップS504では、低減生産性を算出する。例えば、次のように算出する。
・スキャン処理に対する低減要求(画像読取モジュール165のみが単独で処理を行っている場合)
低減生産性=画像読取モジュール165の最大生産性×(1−低減率)
・プリント処理に対する低減要求(画像形成モジュール160のみが単独で処理を行っている場合)
低減生産性=画像形成モジュール160の最大生産性×(1−低減率)
・コンカレント処理(画像形成モジュール160と画像読取モジュール165による処理が並列的に行われている場合)に対する低減要求は、電力低減制御マトリックス700を用いる。電力低減制御マトリックス700については、
図7の例を用いて後述する。
ステップS506では、対象とするモジュールに低減生産性を設定する。設定した生産性に従ってジョブは実施される。
【0037】
図6は、本実施の形態による処理例を示すフローチャートである。
ステップS602では、記憶装置モジュール175へのアクセスであるか否かを判断し、記憶装置モジュール175へのアクセスである場合はステップS604へ進み、それ以外の場合は処理を終了する(ステップS699)。
ステップS604では、低減カウントを+1(1加算)する。つまり、低減カウントをセットした状態にする。低減カウントを−1(1減算)することによって、リセットとなる。
【0038】
図7は、電力低減制御マトリックス700のデータ構造例を示す説明図である。
電力低減制御マトリックス700は、行方向にプリント生産性欄710を有しており、列方向にスキャン生産性欄750を有している。
プリント生産性欄710は、Full欄712、(3)低減1欄714、(3)低減2欄716、(3)低減3欄718、(5)停止欄720を有している。スキャン生産性欄750は、Full欄752、(2)欄754、(4)低減1欄756、(4)低減2欄758、(4)低減3欄760を有している。なお、ここで、「Full」とは、電力低減なく、画像形成モジュール160又は画像読取モジュール165の性能を発揮することをいう。
(2)欄754の値は、画像形成モジュール160の生産性により決定する。つまり、画像読取モジュール165の生産性を画像形成モジュール160の生産性に合わせる(速度を同じにする)ことを意味する。特に、複写処理(ステップS318)の場合に適用する。
例えば、画像読取モジュール165によるスキャン処理を行っている場合は、(5)停止欄720の対処(画像形成モジュール160の処理停止)を行うようにしてもよい。
電力低減制御マトリックス700によって、(1)「(2)欄754」によって、画像読取モジュール165のスキャン生産性を画像形成モジュール160のプリント生産性の合わせる、(2)「(3)低減1欄714、(3)低減2欄716、(3)低減3欄718」によって、画像形成モジュール160のプリント生産性を変更、(3)「(4)低減1欄756、(4)低減2欄758、(4)低減3欄760」によって、画像読取モジュール165のスキャン生産性を変更、(4)「(5)停止欄720」によって、画像読取モジュール165によるスキャン処理時は、画像形成モジュール160のプリント処理を停止、のいずれかの制御を行うことになる。
【0039】
電力低減制御マトリックス700での組み合わせはコンカレント処理時のみで、画像形成モジュール160によるプリント処理又は画像読取モジュール165によるスキャン処理が終了すると残りの生産性は目標レベルに応じて変更する。
例えば、レベル10で制御していてスキャン処理が終了するとレベル4に切り替わる。
本低減レベルの選択は、画像処理装置100の操作者がいる場合(画像処理装置100の周辺に人がいる場合)、例えば複写処理が実施されている場合は、画像読取モジュール165のスキャン生産性は低減せずに、目標低減レベルに適合するようにコンカレントで動作している画像形成モジュール160のプリント処理のみで低減する制御を実施し、操作性を確保しつつ省エネを実現する。
また、電力センサーを搭載することにより、目標レベルに合致した各生産性を電力低減制御マトリックス700から探す制御を行う。
また、コンカレント処理を行うことによって、その機器の電力定格(例えば、1.5kVA等)を超えるか否かを判断し、超える場合は電力低減制御マトリックス700内から選択して、その電力定格以内にするように制御してもよい。
【0040】
図9を参照して、本実施の形態の画像処理装置のハードウェア構成例について説明する。
図9に示す構成は、例えばパーソナルコンピュータ(PC)等によって構成されるものであり、スキャナー等のデータ読み取り部917と、プリンター等のデータ出力部918を備えたハードウェア構成例を示している。
【0041】
CPU(Central Processing Unit)901は、前述の実施の形態において説明した各種のモジュール、すなわち、要求受付モジュール110、操作者検知モジュール115、電力管理モジュール120、制御モジュール130、プリンター機能制御モジュール135、スキャナー機能制御モジュール140、複写機機能制御モジュール145、ファックス機能制御モジュール150、記憶装置機能制御モジュール155等の各モジュールの実行シーケンスを記述したコンピュータ・プログラムにしたがった処理を実行する制御部である。
【0042】
ROM(Read Only Memory)902は、CPU901が使用するプログラムや演算パラメータ等を格納する。RAM(Random Access Memory)903は、CPU901の実行において使用するプログラムや、その実行において適宜変化するパラメータ等を格納する。これらはCPUバス等から構成されるホストバス904により相互に接続されている。
【0043】
ホストバス904は、ブリッジ905を介して、PCI(Peripheral Component Interconnect/Interface)バス等の外部バス906に接続されている。
【0044】
キーボード908、マウス等のポインティングデバイス909は、操作者により操作される入力デバイスである。ディスプレイ910は、液晶表示装置又はCRT(Cathode Ray Tube)等があり、各種情報をテキストやイメージ情報として表示する。
【0045】
HDD(Hard Disk Drive)911は、ハードディスク(フラッシュメモリ等であってもよい)を内蔵し、ハードディスクを駆動し、CPU901によって実行するプログラムや情報を記録又は再生させる。ハードディスクには、電力低減要求、電力低減制御マトリックス700等が格納される。さらに、その他の各種データ、各種コンピュータ・プログラム等が格納される。
【0046】
ドライブ912は、装着されている磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、又は半導体メモリ等のリムーバブル記録媒体913に記録されているデータ又はプログラムを読み出して、そのデータ又はプログラムを、インタフェース907、外部バス906、ブリッジ905、及びホストバス904を介して接続されているRAM903に供給する。リムーバブル記録媒体913も、ハードディスクと同様のデータ記録領域として利用可能である。
【0047】
接続ポート914は、外部接続機器915を接続するポートであり、USB、IEEE1394等の接続部を持つ。接続ポート914は、インタフェース907、及び外部バス906、ブリッジ905、ホストバス904等を介してCPU901等に接続されている。通信部916は、通信回線に接続され、外部とのデータ通信処理を実行する。データ読み取り部917は、例えばスキャナーであり、ドキュメントの読み取り処理を実行する。データ出力部918は、例えばプリンターであり、ドキュメントデータの出力処理を実行する。
【0048】
なお、
図9に示す画像処理装置のハードウェア構成は、1つの構成例を示すものであり、本実施の形態は、
図9に示す構成に限らず、本実施の形態において説明したモジュールを実行可能な構成であればよい。例えば、一部のモジュールを専用のハードウェア(例えば特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)等)で構成してもよく、一部のモジュールは外部のシステム内にあり通信回線で接続しているような形態でもよく、さらに
図9に示すシステムが複数互いに通信回線によって接続されていて互いに協調動作するようにしてもよい。また、複写機、ファックス、スキャナー、プリンター、複合機などに組み込まれていてもよい。
【0049】
なお、本実施の形態による電力制御の対象として、画像形成モジュール160等の他に、後処理装置(フィニッシャーともいわれ、パンチ(穴開け)、ステープラー処理、紙折り等の機能を有している装置)を電力制御の対象として含めてもよい。
また、機器毎に優先機能を設定してもよい。例えば、画像読取モジュール165によるスキャン処理、通信モジュール170によるファックス送信、記憶装置モジュール175へのアクセス処理等を電力低減の対象としない処理として設定を行う。
複数の機器で連携して処理を行う場合、その複数の機器を対象とする。その場合、その親機を設定し、機器連携で処理実効時間により電力量を算出し、各機器の低減レベルを設定するようにしてもよい。ここでの電力量は、機器毎の平均電力とすればよい。
また、処理時間が予め定められた閾値より長い又は以上である処理を、電力制御の対象としてもよい。
【0050】
なお、説明したプログラムについては、記録媒体に格納して提供してもよく、また、そのプログラムを通信手段によって提供してもよい。その場合、例えば、前記説明したプログラムについて、「プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体」の発明として捉えてもよい。
「プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、プログラムのインストール、実行、プログラムの流通等のために用いられる、プログラムが記録されたコンピュータで読み取り可能な記録媒体をいう。
なお、記録媒体としては、例えば、デジタル・バーサタイル・ディスク(DVD)であって、DVDフォーラムで策定された規格である「DVD−R、DVD−RW、DVD−RAM等」、DVD+RWで策定された規格である「DVD+R、DVD+RW等」、コンパクトディスク(CD)であって、読出し専用メモリ(CD−ROM)、CDレコーダブル(CD−R)、CDリライタブル(CD−RW)等、ブルーレイ・ディスク(Blu−ray(登録商標) Disc)、光磁気ディスク(MO)、フレキシブルディスク(FD)、磁気テープ、ハードディスク、読出し専用メモリ(ROM)、電気的消去及び書換可能な読出し専用メモリ(EEPROM(登録商標))、フラッシュ・メモリ、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)、SD(Secure Digital)メモリーカード等が含まれる。
そして、前記のプログラム又はその一部は、前記記録媒体に記録して保存や流通等させてもよい。また、通信によって、例えば、ローカル・エリア・ネットワーク(LAN)、メトロポリタン・エリア・ネットワーク(MAN)、ワイド・エリア・ネットワーク(WAN)、インターネット、イントラネット、エクストラネット等に用いられる有線ネットワーク、又は無線通信ネットワーク、さらにこれらの組み合わせ等の伝送媒体を用いて伝送させてもよく、また、搬送波に乗せて搬送させてもよい。
さらに、前記のプログラムは、他のプログラムの一部分であってもよく、又は別個のプログラムと共に記録媒体に記録されていてもよい。また、複数の記録媒体に分割して記録されていてもよい。また、圧縮や暗号化等、復元可能であればどのような態様で記録されていてもよい。