(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の製造装置においては、負極材供給ローラと第1の重合せローラとの間、第1の供給ローラと第1の重合せローラとの間、正極材供給ローラと第2の重合せローラとの間、及び、第2の供給ローラと第2の重合せローラとの間のそれぞれに対して、一対の磁気ローラを設けている。これにより、負極材、正極材、第1のセパレータ、及び、第2のセパレータのそれぞれの表面に付着した磁性金属不純物等の異物を除去することを図っている。このように、上記技術分野においては、電極とセパレータとの間に異物が混入することを抑制することが望まれている。
【0005】
本発明は、電極とセパレータとの間に異物が混入することを抑制可能なセパレータ付き電極の製造装置及びセパレータ付き電極の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るセパレータ付き電極の製造装置は、セパレータとセパレータに収容された電極とを含むセパレータ付き電極の製造装置であって、セパレータのための長尺状の第1のセパレータ部材を第1の搬送経路に沿って搬送する第1の搬送部と、セパレータのための長尺状の第2のセパレータ部材を、第1の搬送経路に合流する第2の搬送経路に沿って搬送することによって、第2のセパレータ部材を第1のセパレータ部材に並行させる第2の搬送部と、第1の搬送経路及び第2の搬送経路に合流する第3の搬送経路に沿って電極を搬送することにより、第1のセパレータ部材と第2のセパレータ部材との間に電極を供給する第3の搬送部と、第1の搬送経路と第3の搬送経路との合流箇所に配置された第1の磁石と、第2の搬送経路と第3の搬送経路との合流箇所に配置された第2の磁石と、を備える。
【0007】
この製造装置においては、セパレータのための第1のセパレータ部材を第1の搬送経路に沿って搬送すると共に、セパレータのための第2のセパレータ部材を、第1の搬送経路に合流する第2の搬送経路に沿って搬送することによって第1のセパレータ部材に並行させる。また、第1の搬送経路及び第2の搬送経路に合流する第3の搬送経路に沿って電極を搬送することにより、第1のセパレータ部材と第2のセパレータ部材との間に電極を供給する。ここで、この製造装置においては、第1の搬送経路と第3の搬送経路との合流箇所に第1の磁石を配置しており、第2の搬送経路と第3の搬送経路との合流箇所に第2の磁石を配置している。したがって、この製造装置にあっては、電極が第1のセパレータ部材と第2のセパレータ部材との間に供給される際に、第1及び第2の磁石により異物が捕集される。このため、電極とセパレータ(第1及び第2のセパレータ部材)との間に異物が混入することを抑制可能である。なお、この製造装置にあっては、異物の混入の抑制に際して、電極の搬送経路と第1及び第2のセパレータ部材の搬送経路との合流箇所に配置した第1及び第2の磁石を用いる。このため、搬送経路ごとに磁石を設ける場合と比較して、構成を簡略化することが可能である。
【0008】
本発明に係るセパレータ付き電極の製造装置においては、第3の搬送部は、第3の搬送経路に沿って第1の搬送部から離間して配置されており、第1の磁石は、第1の搬送部と第3の搬送部との間に配置されていてもよい。この場合、第1の搬送部と第3の搬送部との間を通過して第1のセパレータ部材又は電極に向かう異物を第1の磁石により確実に捕集可能である。
【0009】
本発明に係るセパレータ付き電極の製造装置においては、第1の搬送経路と第3の搬送経路との合流箇所は、第2の搬送経路と第3の搬送経路との合流箇所から第3の搬送経路に沿って離間していてもよい。この場合、第1の磁石が第3の搬送経路に沿って第2の磁石から離間するため、第1の磁石の磁界と第2の磁石の磁界との相互作用が異物の捕集に影響を及ぼすことを抑制可能である。
【0010】
本発明に係るセパレータ付き電極の製造装置においては、第1の磁石及び第2の磁石は、セパレータ部材の短手方向について電極の幅以上の幅を有してもよい。この場合、電極の全幅にわたって異物を捕集可能である。
【0011】
本発明に係るセパレータ付き電極の製造装置においては、第1の磁石及び第2の磁石の磁力は、セパレータ部材の短手方向について複数のピークを有してもよい。この場合、第1のセパレータ部材の短手方向に沿って磁力の偏りを抑制し、確実に異物を捕集可能である。
【0012】
本発明に係るセパレータ付き電極の製造装置においては、第1の磁石及び第2の磁石は、円柱状であってもよい。この場合、例えば第1及び第2の磁石を回転させながら、第1及び第2の磁石に付着した異物を除去することが可能となる。
【0013】
本発明に係るセパレータ付き電極の製造方法は、セパレータとセパレータに収容された電極とを含むセパレータ付き電極の製造方法であって、セパレータのための長尺状の第1のセパレータ部材を第1の搬送経路に沿って搬送する第1の搬送ステップと、セパレータのための長尺状の第2のセパレータ部材を、第1の搬送経路に合流する第2の搬送経路に沿って搬送することによって、第2のセパレータ部材を第1のセパレータ部材に並行させる第2の搬送ステップと、第1の搬送経路及び第2の搬送経路に合流する第3の搬送経路に沿って電極を搬送することにより、第1のセパレータ部材と第2のセパレータ部材との間に電極を供給する第3の搬送ステップと、第1の搬送経路と第3の搬送経路との合流箇所において、第1の磁石により異物を捕集する第1の捕集ステップと、第2の搬送経路と第3の搬送経路との合流箇所において、第2の磁石により異物を捕集する第2の捕集ステップと、を備える。
【0014】
この製造方法においては、セパレータのための第1のセパレータ部材を第1の搬送経路に沿って搬送すると共に、セパレータのための第2のセパレータ部材を、第1の搬送経路に合流する第2の搬送経路に沿って搬送することによって第1のセパレータ部材に並行させる。また、第1の搬送経路及び第2の搬送経路に合流する第3の搬送経路に沿って電極を搬送することにより、第1のセパレータ部材と第2のセパレータ部材との間に電極を供給する。ここで、この製造方法においては、第1の搬送経路と第3の搬送経路との合流箇所において第1の磁石により異物を捕集し、第2の搬送経路と第3の搬送経路との合流箇所において第2の磁石により異物を捕集する。つまり、この製造方法にあっては、第1のセパレータ部材と第2のセパレータ部材との間に電極が供給される際に異物が捕集される。このため、電極とセパレータ(第1及び第2のセパレータ部材)との間に異物が混入することを抑制可能である。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、電極とセパレータとの間に異物が混入することを抑制可能なセパレータ付き電極の製造装置及びセパレータ付き電極の製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照しながら、本発明の一実施形態について詳細に説明する。なお、図面において同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する場合がある。
【0018】
図1は、本実施形態に係る蓄電装置の断面図である。
図2は、
図1のII-II線に沿った断面図である。
図1及び
図2に示される蓄電装置1は、例えばリチウムイオン二次電池といった非水電解質二次電池として構成されている。
【0019】
蓄電装置1は、例えば略直方体形状をなす中空のケース2と、ケース2内に収容された電極組立体3と、を備えている。ケース2は、例えばアルミニウム等の金属によって形成されている。ケース2の内面上には、絶縁フィルム(不図示)が設けられる。ケース2の内部には、例えば非水系有機溶媒系の電解液が注液されている。電極組立体3では、後述する正極11の正極活物質層15、負極12の負極活物質層18、及びセパレータ13が多孔質をなしており、その空孔内に電解液が含浸されている。ケース2の上面部には、正極端子5と負極端子6とが互いに離間して配置されている。正極端子5は、絶縁リング7を介してケース2に固定され、負極端子6は、絶縁リング8を介してケース2に固定されている。
【0020】
電極組立体3は、正極(電極)11と、負極12と、正極11と負極12との間に配置された袋状のセパレータ13とによって構成されている。セパレータ13内には、例えば正極11が収容される。ここでは、セパレータ13内に正極11が収容された状態で、正極11と負極12とがセパレータ13を介して交互に積層されている。つまり、ここでは、セパレータ13と、セパレータ13に収容された正極11と、を含むセパレータ付き正極(セパレータ付き電極)10が構成されている。
【0021】
図3は、セパレータ付き正極を模式的に示す図である。
図2,3に示されるように、正極11は、主面11aと、主面11aの反対側の主面11bと、を有している。正極11は、例えばアルミニウム箔からなる金属箔14を含む。正極11の金属箔14は、本体部14aと、タブ14bと、を有する。本体部14aは、矩形状を呈している。本体部14aは、一端部14pと、一端部14pの反対側の他端部14rと、一端部14pと他端部14rとを接続する一対の側端部14sと、を含む。タブ14bは、矩形状を呈しており、正極端子5の位置に対応するように本体部14aの一端部14pから突出する。
【0022】
正極11は、金属箔14の両面(主面11a,11b)に形成された正極活物質層15を含む。正極活物質層15は、正極活物質とバインダとを含んで形成されている多孔質の層である。正極活物質層15は、本体部14aの両面において、少なくとも一端部14p及び他端部14rの間の中央部分に正極活物質が担持されて形成されている。正極活物質としては、例えば複合酸化物、金属リチウム、硫黄等が挙げられる。複合酸化物には、例えばマンガン、ニッケル、コバルト及びアルミニウムの少なくとも1つと、リチウムとが含まれる。ここでは、一例として、タブ14bには、正極活物質が担持されていない。ただし、タブ14bにおける本体部14a側の基端部分には、活物質が担持されている場合もある。タブ14bは、本体部14aの一端部14pから上方に延び、導電部材16を介して正極端子5に接続されている。
【0023】
負極12は、例えば銅箔からなる金属箔17を含む。負極12の金属箔17は、正極11の金属箔14と同様に、本体部17aと、タブ17bとを有する。本体部17aは、矩形状を呈している。タブ17bは、矩形状を呈しており、負極端子6の位置に対応するように本体部17aの一端部から突出する。
【0024】
負極12は、金属箔17の両面に形成された負極活物質層18を含む。負極活物質層18は、本体部17aの両面において、少なくとも一端部及び他端部の間の中央部分に負極活物質が担持されて形成されている。負極活物質層18は、負極活物質とバインダとを含んで形成されている多孔質の層である。負極活物質としては、例えば黒鉛、高配向性グラファイト、メソカーボンマイクロビーズ、ハードカーボン、ソフトカーボン等のカーボン、リチウム、ナトリウム等のアルカリ金属、金属化合物、SiOx(0.5≦x≦1.5)等の金属酸化物、ホウ素添加炭素等が挙げられる。ここでは、一例として、タブ17bには、負極活物質が担持されていない。ただし、タブ17bにおける本体部17a側の基端部分には、活物質が担持されている場合もある。タブ17bは、本体部17aの上縁部から上方に延び、導電部材19を介して負極端子6に接続されている。
【0025】
セパレータ13は、正極11を収容している。セパレータ13は、正極11及び負極12の積層方向からみて矩形状である。セパレータ13は、一対の長尺状のセパレータ部材を互いに溶着して袋状に形成される。具体的には、セパレータ13は、一対のセパレータ部材を互いに溶着して形成される第1の溶着領域W1、一対の第2の溶着領域W2、及び第3の溶着領域W3によって外縁が規定される袋状をなしている。なお、
図3においては、説明のために第1の溶着領域W1〜第3の溶着領域W3に網掛けを施している。
【0026】
第1の溶着領域W1は、本体部14aの他端部14rに対向すると共に他端部14rに沿って延びる領域である。第3の溶着領域W3は、本体部14aの一端部14pに対向すると共に一端部14pに沿って延びる領域である。第3の溶着領域W3には、非溶着領域WNが介在されている。つまり、セパレータ13は、非溶着領域WNにおいて閉じられていない。セパレータ13においては、非溶着領域WNを介してタブ14bが突出させられている。
【0027】
第2の溶着領域W2は、本体部14aの側端部14sに対向すると共に側端部14sに沿って延びる領域である。第2の溶着領域W2は、第1の溶着領域W1と第3の溶着領域W3とを互いに接続する。セパレータ13の形成材料としては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン系樹脂からなる多孔質フィルム、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、メチルセルロース等からなる織布又は不織布等が例示される。
【0028】
引き続いて、
図4〜6を参照して、製造装置20について説明する。
図4及び
図5には、直交座標系Sが示されている。一例として、直交座標系SのX方向及びY方向は水平方向を示し、Z方向は鉛直上向き方向を示す。
【0029】
図4及び
図5に示されるように、製造装置20は、セパレータ13と、セパレータ13に収容された正極11と、を含むセパレータ付き正極10を製造するセパレータ付き正極の製造装置(セパレータ付き電極の製造装置)である。製造装置20は、搬送部(第1の搬送部)21と、搬送部(第2の搬送部)22と、搬送部(第3の搬送部)23と、溶着部24と、磁石(第1の磁石)31と、磁石(第2の磁石)32と、を備えている。ここでは、セパレータ13の元となる(すなわちセパレータ13のための)長尺シート状のセパレータ部材(第1のセパレータ部材)13a及びセパレータ部材(第2のセパレータ部材)13bが用意される。セパレータ部材13aは、原反ロール13cから繰り出される。セパレータ部材13bは、原反ロール13dから繰り出される。
【0030】
搬送部21は、一例として、原反ロール13cの上方に設けられている。搬送部21は、例えば、ベルトコンベアである。搬送部21は、原反ロール13cから繰り出されたセパレータ部材13aを搬送経路(第1の搬送経路)R1に沿って搬送する。より具体的には、搬送部21は、水平面(XY平面)に沿って延びる搬送面21sを有する。搬送部21は、図示しない駆動源によって、搬送面21sを構成する循環部分(例えばベルト部分)を循環させるように駆動される。
【0031】
これにより、搬送部21は、原反ロール13cから繰り出されたセパレータ部材13aを搬送面21sに沿って搬送する。つまり、ここでは、搬送部21の循環部分のうち、セパレータ部材13a側において水平面に沿って延びる部分の表面が常に搬送面21sとされる。搬送経路R1は、セパレータ部材13aの搬送経路であって、原反ロール13cから搬送部21に向かう経路と搬送面21sに沿った経路とを含む。
【0032】
搬送部22は、ガイドロール25と、駆動部26と、を含む。ガイドロール25は、一例として、搬送部21の上方であり、且つ、原反ロール13dよりも下方側に配置されている。ガイドロール25は、一例として、搬送部21の上方における搬送経路R1の下流側の位置に配置されている。駆動部26は、搬送部21よりも搬送経路R1の下流側に配置されている。駆動部26は、例えば、ベルトコンベアである。ガイドロール25及び駆動部26は、搬送経路(第2の搬送経路)R2に沿ってセパレータ部材13bを搬送する。より具体的には、駆動部26は、水平面(XY平面)に沿って延びる搬送面26sを有する。ここでは、搬送面26sは、搬送部21の搬送面21sと略平行であり、且つ、搬送面21sと略面一とされている。駆動部26は、図示しない駆動源によって、搬送面26sを構成する循環部分(例えばベルト部分)を循環させるように駆動される。
【0033】
原反ロール13dから繰り出されたセパレータ部材13bは、ガイドロール25によりガイドされて搬送部21の搬送面21s及び駆動部26の搬送面26s上に配置される。一方、搬送面26s上にはセパレータ部材13aも配置される。つまり、ここでは、駆動部26の循環部分のうち、セパレータ部材13a,13b側において水平面に沿って延びる部分の表面が常に搬送面26sとされる。セパレータ部材13aとセパレータ部材13bとは、搬送部21と駆動部26との間において、溶着部24により互いに溶着されている。したがって、駆動部26の駆動により、セパレータ部材13aが搬送面26sに沿って搬送されるのに伴って、セパレータ部材13bも搬送面26sに沿って搬送される。
【0034】
搬送経路R2は、セパレータ部材13bの搬送経路であって、原反ロール13dからガイドロール25に向かって搬送経路R1に合流する経路と、ガイドロール25から延びて搬送面21s及び搬送面26sに沿う経路と、を含む。すなわち、搬送経路R2は、搬送部21とガイドロール25との間において搬送経路R1に合流する。これにより、搬送部22は、セパレータ部材13bを、搬送経路R2に沿って搬送することによってセパレータ部材13aに並行(平行に移動)させる。
【0035】
搬送部23は、搬送部21の上流に設けられている。搬送部23は、例えば、ベルトコンベアである。搬送部23は、搬送経路(第3の搬送経路)R3に沿って正極(電極)11を搬送する。より具体的には、搬送部23は、水平面(XY平面)に沿って延びる搬送面23sを有する。ここでは、搬送面23sは、搬送面21s及び搬送面26sと略平行であり、且つ、搬送面21s及び搬送面26sと略面一とされている。搬送部23は、図示しない駆動源によって、搬送面23sを構成する循環部分(例えばベルト部分)を循環させるように駆動される。ここでは、搬送部23の循環部分のうち、正極11側において水平面に沿って延びる部分の表面が常に搬送面23sとされる。
【0036】
搬送経路R3は、正極11の搬送経路であって、搬送面23sに沿って搬送経路R1及び搬送経路R2に合流する経路を含む。すなわち、搬送経路R3は、搬送部21と搬送部23との間において搬送経路R1に合流する。また、搬送経路R3は、搬送部21とガイドロール25との間において搬送経路R2に合流する。なお、搬送経路が合流するとは、ここでは、搬送経路同士が平行となることを意味する。一例として、搬送経路R3が搬送経路R1に合流するとは、正極11が搬送部23から搬送部21上に移り、セパレータ部材13a上に配置された状態で搬送されることによって、搬送経路R3と搬送経路R1とが平行となることを意味する。
【0037】
このように、搬送部23は、搬送経路R3に沿って正極11を搬送することにより、セパレータ部材13aとセパレータ部材13bとの間に正極11を供給する。なお、ここでは、正極11の主面11aが搬送面23sに接するように正極11が搬送面23s上に配置される。また、正極11は、セパレータ部材13a,13bの短手方向にタブ14bの突出方向が沿うように、搬送面23s上に配置される。また、搬送部23は、搬送経路R3に沿って搬送部21から離間して配置されている。搬送経路R1と搬送経路R3との合流箇所は、搬送経路R2と搬送経路R3との合流箇所から搬送経路R3に沿って離間している。
【0038】
溶着部24は、搬送部21と搬送部22の駆動部26との間に配置されている。溶着部24は、セパレータ部材13aとセパレータ部材13bとの間に正極11が配置された状態において、セパレータ部材13aとセパレータ部材13bとを互いに溶着して一体化する。より具体的には、溶着部24は、例えば、セパレータ部材13a,13bを挟み込んで加熱することにより、セパレータ部材13a,13bの短手方向(例えばY方向)に沿ってセパレータ部材13a,13bを互いに溶着し、第2の溶着領域W2を形成する。
【0039】
磁石31は、搬送経路R1と搬送経路R3との合流箇所に配置されている。すなわち、磁石31は、搬送部21と搬送部23との間に配置されている。特に、磁石31は、搬送経路R3よりも下方側に配置されている。したがって、磁石31は、磁石31上を正極11が通過する際に、セパレータ部材13aと正極11の主面11aとの間に位置することになる。なお、原反ロール13cから繰り出されたセパレータ部材13aは、搬送部21と磁石31との間を通って搬送面21sに至る。
【0040】
一方、磁石32は、搬送経路R2と搬送経路R3との合流箇所に配置されている。すなわち、磁石32は、搬送部21とガイドロール25との間に配置されている。特に、磁石32は、搬送経路R3よりも上方に位置している。換言すれば、磁石32は、搬送経路R3を挟んで搬送経路R1の反対側に配置されている。したがって、磁石32は、磁石32の下方を正極11が通過する際に、セパレータ部材13bと正極11の主面11bとの間に位置することになる。
【0041】
ここで、磁石31,32は、セパレータ部材13a,13bの短手方向について正極11の幅以上の幅を有している。また、磁石31,32は、セパレータ部材13a,13bの短手方向に沿って延びる円柱状を呈している。そして、
図6に示されるように、磁石31,32は、セパレータ部材13a,13bの短手方向に沿ってN極とS極とが交互に繰り返されるように構成されている。したがって、磁石31,32の磁力は、セパレータ部材13a,13bの短手方向に沿って複数のピークを有する。そして、
図5に示されるように、磁石31,32は、搬送経路R3に沿って互いに離間している。つまり、磁石31,32は、搬送面21sに交差(直交)する方向からみて、互いに重複していない。
【0042】
なお、製造装置20は、溶着部24よりも下流側において、セパレータ部材13a,13bの長手方向に沿って、セパレータ部材13aとセパレータ部材13bとを互いに溶着し、第1の溶着領域W1及び第3の溶着領域W3を形成する別の溶着部(不図示)を備えることができる。また、製造装置20は、その別の溶着部よりもさらに下流側に配置された切断部(不図示)を備えることができる。切断部は、例えば、第1の溶着領域W1〜第3の溶着領域W3が形成されたセパレータ部材13a,13bを切断することにより、
図3に示されるように、セパレータ付き正極10を個片化する。
【0043】
引き続き、セパレータ付き正極(セパレータ付き電極)10の製造方法の一例について説明する。この製造方法は、例えば上記の製造装置20により実施される。この製造方法においては、まず、セパレータ13の元となる一対のセパレータ部材13a,13bが準備される。また、ここでは、上記の正極11が準備される。セパレータ部材13aは、原反ロール13cから繰り出され、搬送部21の搬送面21s及び駆動部26の搬送面26s上に架け渡される。
【0044】
セパレータ部材13bは、原反ロール13dから繰り出され、セパレータ部材13aを介して搬送面21s及び搬送面26s上に架け渡される。セパレータ部材13a,13bは、その先端側において、溶着部24による溶着により一体化されている。また、複数の正極11が、搬送部23の搬送面23s上に配置されている。
【0045】
その状態において、搬送部21及び駆動部26の循環部分を循環させるように搬送部21及び駆動部26を駆動する。これにより、搬送面21s及び搬送面26s上のセパレータ部材13a,13bが搬送される。つまり、ここでは、セパレータ部材13aを搬送経路R1に沿って搬送する(第1の搬送ステップ)と共に、セパレータ部材13bを、搬送経路R2に沿って搬送することによって、セパレータ部材13bをセパレータ部材13aに並行させる(第2の搬送ステップ)。
【0046】
また、これらのステップと同時に、搬送部23の循環部分を循環させるように搬送部23を駆動する。これにより、搬送面23s上の正極11が搬送される。つまり、ここでは、搬送経路R3に沿って正極11を搬送することにより、セパレータ部材13aとセパレータ部材13bとの間に正極11を供給する(第3の搬送ステップ)。なお、搬送面23s上には、所定の保管場所から正極11が順次供給される。
【0047】
このとき、搬送経路R1と搬送経路R3との合流箇所において、磁石31により異物を捕集する(第1の捕集ステップ)と共に、搬送経路R2と搬送経路R3との合流箇所において、磁石32により異物を捕集する(第2の捕集ステップ)。つまり、ここでは、正極11がセパレータ部材13a上に配置される直前において、磁石31によって磁石31の周辺に存在する異物を捕集する。また、ここでは、正極11がセパレータ部材13aとセパレータ部材13bとに挟まれる直前において、磁石32によって磁石32の周辺に存在する異物を捕集する。
【0048】
磁石31の周辺に存在する異物とは、例えば、正極11の主面11aに付着した異物、セパレータ部材13aの表面に付着した異物、及び、正極11の主面11aとセパレータ部材13aとの間の雰囲気中の異物等である。磁石32の周辺に存在する異物とは、例えば、正極11の主面11bに付着した異物、セパレータ部材13bの表面に付着した異物、及び、正極11の主面11bとセパレータ部材13bとの間の雰囲気中の異物等である。また、ここでの異物とは、磁力により捕集可能な微小な金属(磁性金属)片であって、例えば、製造装置の各部の摩耗粉等である。
【0049】
続いて、互いに隣り合う正極11の間の領域において、セパレータ部材13a,13bの短手方向に沿ってセパレータ部材13aとセパレータ部材13bとを互いに溶着し、第2の溶着領域W2を形成する。また、この後に(或いは同時に)、図示しない別の溶着部によって、セパレータ部材13aとセパレータ部材13bとを互いに溶着し、第1の溶着領域W1及び第3の溶着領域W3を形成する。これらの溶着工程は、セパレータ部材13aとセパレータ部材13bとの間に正極11が配置された状態において、搬送部21,22によりセパレータ部材13a,13bと正極11とを搬送しながら行われる。
【0050】
これにより、一続きのセパレータ部材13a,13bに対して、袋状のセパレータ13が形成されると共に、正極11がセパレータ13に収容された状態となる。すなわち、セパレータ付き正極10が製造される。そして、図示しない切断部により、第2の溶着領域W2においてセパレータ付き正極10を切断する(すなわち、セパレータ部材13a,13bを切断する)。これにより、セパレータ付き正極10が個片化される。
【0051】
以上説明したように、製造装置20においては、セパレータ13のためのセパレータ部材13aを搬送経路R1に沿って搬送すると共に、セパレータ13のためのセパレータ部材13bを、搬送経路R1に合流する搬送経路R2に沿って搬送することによってセパレータ部材13aに並行させる。また、搬送経路R1及び搬送経路R2に合流する搬送経路R3に沿って正極11を搬送することにより、セパレータ部材13aとセパレータ部材13bとの間に正極11を供給する。ここで、製造装置20においては、搬送経路R1と搬送経路R3との合流箇所に磁石31を配置しており、搬送経路R2と搬送経路R3との合流箇所に磁石32を配置している。
【0052】
したがって、製造装置20にあっては、正極11がセパレータ部材13aとセパレータ部材13bとの間に供給される際に、磁石31,32により異物が捕集される。このため、正極11とセパレータ(セパレータ部材13a,13b)13との間に異物が混入することを抑制可能である。これにより、セパレータ付き正極10を含む電極組立体3において、異物に起因した短絡が生じることを抑制し、蓄電装置1の信頼性を向上可能である。なお、製造装置20にあっては、異物の混入の抑制に際して、正極11の搬送経路R3とセパレータ部材13a,13bの搬送経路R1,R2との合流箇所に配置した一対の磁石31,32を用いる。このため、搬送経路R1〜R3ごとに磁石を設ける場合と比較して、構成を簡略化することが可能である。
【0053】
また、一旦、正極やセパレータ部材の表面より異物を除去しても、特に、設備の磨耗に起因し、雰囲気中の存在する異物が、製造工程中で再付着する可能性がある。しかし、製造装置20にあっては、正極11とセパレータ部材13a,13bとが合流して重ねられる合流個所に磁石31及び磁石32を配置して、構成を簡略化することで小型化している。従って、異物が一旦除去された後に、別の異物が再付着することを抑制することが出来る。
【0054】
また、製造装置20においては、搬送部23が、搬送経路R3に沿って搬送部21から離間して配置されている。そして、磁石31が、搬送部21と搬送部23との間に配置されている。このため、搬送部21と搬送部23との間を通過してセパレータ部材13a又は正極11に向かう異物を磁石31により確実に捕集可能である。
【0055】
また、製造装置20においては、磁石32が、搬送経路R3に沿って磁石31から離間している。このため、磁石31の磁界と磁石32の磁界との相互作用が異物の捕集に影響を及ぼすことを抑制可能である。
【0056】
また、製造装置20においては、磁石31及び磁石32は、セパレータ部材13a,13bの短手方向について正極11の幅以上の幅を有している。このため、正極11の全幅にわたって異物を捕集可能である。
【0057】
また、製造装置20においては、磁石31及び磁石32の磁力は、セパレータ部材13a,13bの短手方向について複数のピークを有している。このため、セパレータ部材13a,13bの短手方向に沿って磁力の偏りを抑制し、確実に異物を捕集可能である。
【0058】
さらに、製造装置20においては、磁石31及び磁石32は、円柱状である。このため、例えば磁石31,32を回転させながら、磁石31,32に付着した異物を除去することが可能となる。このため、磁石31,32の異物の捕集能力を維持することが容易である。
【0059】
ここで、本実施形態に係るセパレータ付き正極10の製造方法においては、セパレータ13のためのセパレータ部材13aを搬送経路R1に沿って搬送すると共に、セパレータ13のためのセパレータ部材13bを、搬送経路R1に合流する搬送経路R2に沿って搬送することによってセパレータ部材13aに並行させる。また、搬送経路R1及び搬送経路R2に合流する搬送経路R3に沿って正極11を搬送することにより、セパレータ部材13aとセパレータ部材13bとの間に正極11を供給する。ここで、この製造方法においては、搬送経路R1と搬送経路R3との合流箇所において磁石31により異物を捕集し、搬送経路R2と搬送経路R3との合流箇所において磁石32により異物を捕集する。つまり、この製造方法にあっては、セパレータ部材13aとセパレータ部材13bとの間に正極11が供給される際に異物が捕集される。このため、正極11とセパレータ(セパレータ部材13a,13b)13との間に異物が混入することを抑制可能である。
【0060】
以上の実施形態は、本発明に係るセパレータ付き電極の製造装置、及びセパレータ付き電極の製造方法の一実施形態を説明したものである。したがって、本発明に係るセパレータ付き電極の製造装置、及びセパレータ付き電極の製造方法は、上述したものに限定されない。本発明に係るセパレータ付き電極の製造装置、及びセパレータ付き電極の製造方法は、各請求項の要旨を変更しない範囲において、上述したものを任意に変形したものとすることができる。
【0061】
上記実施形態においては、正極11がセパレータ13に収容される場合について説明した。しかしながら、負極12がセパレータ13に収容されてもよい。すなわち、正極11及び負極12のうちのいずれか一方の電極がセパレータ13に収容されてセパレータ付き電極が構成されていればよい。
【0062】
また、上記実施形態においては、搬送部21の搬送面21s、搬送部22(駆動部26)の搬送面26s、及び、搬送部23の搬送面23sが、水平方向に沿って延びる態様について説明した。しかしながら、これらの搬送面21s,26s,23sは、水平方向に対して一定の角度で傾斜しつつ、互いに略面一となるような態様であってもよい。
【0063】
さらに、上記実施形態においては、溶着部24により第2の溶着領域W2を形成し、別の溶着部により第1の溶着領域W1と第3の溶着領域W3とを形成する態様について説明した。しかしながら、例えば溶着部24を一対のヒータローラにより構成することにより、第1の溶着領域W1〜第3の溶着領域W3を一括して形成してもよい。