(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
入力される分包数を含む処方設定データを設定し、当該設定された処方設定データに従って、粉粒体が堆積する溝が形成された溝部材を移動して、当該溝上の粉粒体を掻き出す第1掻き出し部材、又は前記第1掻き出し部材よりも掻き出す幅が広い第2掻き出し部材を用いて、前記溝上の粉粒体を掻き出す掻き出し動作を行い分包する分包装置であって、
前記第1掻き出し部材に対する第1上限値、及び前記第2掻き出し部材に対する第2上限値を記憶する記憶手段と、
前記溝上の粉粒体を掻き出す掻き出し部材と、
前記分包装置に装着された前記掻き出し部材に、当該掻き出し部材が、前記第1掻き出し部材であるか、前記第2掻き出し部材かを識別するための識別部が設けられており、当該識別部を検出する検出手段と、
前記検出手段により前記掻き出し部材に設けられた前記識別部が検出されることで、前記掻き出し部材が、前記第1掻き出し部材であるか、前記第2掻き出し部材であるかを判定する判定手段と、
前記判定手段により、前記分包装置に装着された前記掻き出し部材が、前記第1掻き出し部材であると判定された場合には、前記入力される分包数が前記第1上限値以下である場合に前記第1掻き出し部材による掻き出し動作を許可するように制御し、また、前記判定手段により、前記分包装置に装着された前記掻き出し部材が、前記第2掻き出し部材であると判定された場合には、前記入力される分包数が前記第2上限値以下である場合に前記第2掻き出し部材による掻き出し動作を許可するように制御する制御手段と、
を備えることを特徴とする分包装置。
前記掻き出し部材は、当該掻き出し部材が、前記第1掻き出し部材であるか、前記第2掻き出し部材かを識別するための識別部として、磁石、又はRFIDが設けられており、
前記検出手段は、当該識別部を検出する磁気センサー、又はRFIDの読取装置であることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の分包装置。
入力される分包数を含む処方設定データを設定し、当該設定された処方設定データに従って、粉粒体が堆積する溝が形成された溝部材を移動して、当該溝上の粉粒体を掻き出す第1掻き出し部材、又は前記第1掻き出し部材よりも掻き出す幅が広い第2掻き出し部材を用いて、前記溝上の粉粒体を掻き出す掻き出し動作を行い分包する分包装置であって、前記第1掻き出し部材に対する第1上限値、及び前記第2掻き出し部材に対する第2上限値を記憶する記憶手段を備えた分包装置における制御方法であって、
掻き出し部材が、前記溝上の粉粒体を掻き出す掻き出し工程と、
検出手段が、前記分包装置に装着された前記掻き出し部材に、当該掻き出し部材が、前記第1掻き出し部材であるか、前記第2掻き出し部材かを識別するための識別部が設けられており、当該識別部を検出する検出工程と、
判定手段が、前記検出工程により前記掻き出し部材に設けられた前記識別部が検出されることで、前記掻き出し部材が、前記第1掻き出し部材であるか、前記第2掻き出し部材であるかを判定する判定工程と、
制御手段が、前記判定工程により、前記分包装置に装着された前記掻き出し部材が、前記第1掻き出し部材であると判定された場合には、前記入力される分包数が前記第1上限値以下である場合に前記第1掻き出し部材による掻き出し動作を許可するように制御し、また、前記判定工程により、前記分包装置に装着された前記掻き出し部材が、前記第2掻き出し部材であると判定された場合には、前記入力される分包数が前記第2上限値以下である場合に前記第2掻き出し部材による掻き出し動作を許可するように制御する制御工程と、
を備えることを特徴とする制御方法。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態の一例を、図面を参照して説明する。
【0019】
以下、図面を用いて、本発明の薬剤分包機について説明する。
【0020】
図1は、供給された錠剤を包装する包装装置5と錠剤を取り出して包装装置5(以下、分包装置とも称する)に供給する錠剤供給装置10(以下、錠剤取出装置とも称する)と、手撒き投入部102と、散薬投入部103を含む錠剤供給システム(以下、錠剤取出システムとも称する)を示す図である。錠剤供給装置10には、複数の錠剤取出ユニット1が搭載されており、この錠剤取出ユニット1により錠剤シートから錠剤が取り出される。このような錠剤取出ユニット1は、情報処理装置300や包装装置5に設けられたタッチパネル式のディスプレイ101等から分包条件を入力されることで、錠剤の取出動作を行うことができる。
次に、
図2を用いて、包装ユニット501の内部構造について説明する。
図2は、包装ユニット501の内部構造を示す図である。
【0021】
包装ユニット501は、包装装置5内のユニットである。502は、包装シートが連なるロール紙(分包紙がロール状になっている紙)を包装機構に送り出すロール紙送出機構である。503は、メインホッパー406内に集積された薬剤(散薬(枌粒体)、錠剤)(1回飲用分の薬剤)が包装シートの中に投入された後に、当該包装シートを加熱し溶着することにより、包装シートの中に投入された薬剤を、包装シートの中に封入する包装機構である。そして、504は、メインホッパー406内に集積された薬剤が包装シートの中に投入された後に、当該包装シートを加熱し溶着することにより、包装シートの中に投入された薬剤を、包装シートの中に封入する包装機構である。すなわち、包装機構503と、包装機構504とで、包装シートを加熱し溶着することにより、包装シートの中に投入された薬剤を一包化する。
【0022】
505は、連なるロール紙を1包毎の包装シートに分断するための分断用ミシン目を包装シートに形成する分断機構である。506はプリンタであり、包装シートに、日付、患者データ、エラー情報を印字することができる印字機構である。
【0023】
このような
図2に示す包装ユニットにより、投薬1回分の錠剤または散薬を包装シートに分包することができる。なお包装シートとしては、表面に熱溶着可能な樹脂材をコーティングした紙のみならず、中身を視認することができる透明なフィルム材を用いることもできる。そのため、包装紙のことを包装材や分包体とも言う。
図3は、掻出し装置を備えた包装装置5の簡易斜視図である。
【0024】
図3に示すように、この実施形態の包装装置5は、散薬投入ホッパー303に投入された散薬を回転テーブル301(枌粒体が堆積する溝が形成された溝部材)に供給する散薬フィーダー304と、散薬フィーダー304から落下する散薬を受け入れる回転テーブル301と、回転テーブル301の回転に連動して、回転テーブル301に供給された散薬を外方に定量的に掻き出してメインホッパー406に供給する掻出装置305と、この掻出装置305によって掻き出された散薬を包装する包装ユニット501を備えた構成となっている。
図4は回転テーブルの上面図と断面図である。
【0025】
回転テーブル301は、平面視円盤状からなり、重力方向の上下方向の軸線を中心(回転テーブルの中心)にして回転自在に支持され、その外周部上面に、散薬フィーダー304より落下する散薬を受け入れる断面円弧状の環状溝401を有する構成とされている。この回転テーブル301は、駆動機構により回転駆動される。
【0026】
散薬フィーダー304は、回転する回転テーブル301の環状溝401に対して散薬を落下させるもので、環状溝401の上部に配置されている。
図5は掻出装置の簡易斜視図である。
【0027】
掻出装置305は、分割ローターユニット510と、アーム511と、図示しない駆動モータなどから構成されている。
【0028】
分割ローターユニット510は、回転テーブル301の径の内外方向に延在しているアーム511の先端側に、回転テーブル301の接線方向の軸線を中心に回転駆動されるように取付けられている。アーム511は、基端側において、回転テーブル301の接線方向の軸線を持つアーム支持軸によって回動自在に支持されている。
【0029】
アーム511の後方には駆動モータが配設されており、この駆動モータによるの回転駆動力は、ギヤを介してアーム支持軸に伝達され、更にアーム511内に設けられたプーリー、伝達ベルトなどの駆動力伝達機構を介して分割ローターユニットの駆動軸512に伝達され、この回転駆動力によって、分割ローターユニット510が駆動軸512が回転中心点となり回転駆動されるようになっている。
【0030】
図6は、掻出装置305を構成する分割ローターユニット510、駆動軸601、該駆動軸に取り付けられ分割ローターユニット510を支持する保持円板602、分割ローターユニット固定ねじ603の分解図である。
【0031】
分割ローターユニット510は、回転板604と、仕切部605と、掻取爪606とからなり、分割ローターユニット固定ねじ603によって、駆動軸601に螺着されている。
【0032】
駆動軸601は、掻取装置内の駆動モータの回転駆動力が伝達される図示しないプーリーに取り付けられており、その先端側には、保持円板602が螺着されている。
【0033】
ユーザーは分割ローターユニット固定ねじ603の螺着脱(取り外すこと)により、回転板604、仕切部605、掻取爪606を保持円盤602から取り外してそれらを清掃したり、摩耗がある場合は新品に交換し再び取り付けることが可能である。
次に掻取爪606の幅と包装装置5の最大分割数(最大包数)について説明する。
図7は回転テーブルの上面図である。
【0034】
掻取爪606の幅は、環状溝401に堆積された散薬を、包装装置5の仕様最大分割数の掻き出しが可能となるように設計されている。
【0035】
例えば、包装装置の仕様最大分割数が93に設定されている包装装置5の掻取爪の幅は、環状溝の最深部の円の周長を93等分した値(近似値)702となっている。
【0036】
散薬の環状溝401への分布供給が完了した後、掻出装置305が散薬を掻き出す際は、回転テーブル301が間欠運転されるとともに、回転板604で散薬を堰き止め、分割ローターユニット510を回転テーブルの内周側から外周側へ間欠回動させる。この間欠回動に伴い、散薬が掻取爪606によって掻き出され、散薬が1包分ずつ包装ユニット501に供給される。
【0037】
回転テーブル301と分割ローターユニット510の間欠運転は、具体的には、回転テーブル301を必要な角度(以降、分割角度と呼ぶ)だけ回転させると同時に分割ローターユニット510を1周回転させる動作を、必要な包数分繰り返す動作である。分割角度は、回転テーブル全周を分割数(分包数)で割った値となる。例えば、分包数が12包の場合、回転テーブル全周360°/12包=30°となる。
次に、撒布された散薬の掻き出しにおける課題について説明する。
【0038】
図8は散薬掻き出し中の回転テーブルと分割ローターユニットと撒布された散薬の簡略図である。
【0039】
分包数(分割数)が少なく分包量が多い場合は、分割角度の値が大きいことにより、掻取爪606の幅に本来掻き取るべき散薬が収まらず、掻取爪の幅に収まらない散薬802が、本来分包される包に分包されず、分包量が規定量に満たないので、分包精度が悪くなるという課題が考えられる。
【0040】
図9は、散薬掻き出し中の回転テーブル301と分割ローターユニット510と撒布された散薬の簡略図である。
図10は回転テーブルの上面図である。
【0041】
前述の問題を回避するため、
図10のように回転テーブルの回動を2回以上の複数回数に分けて行うと同時に、1包に分包する散薬を2回以上の複数回数に分けて(以降、2回分割モードと呼ぶ)、1度の掻き取り量を掻取爪の幅に収まるようにすることで回避することは出来た。(
図9)しかし、掻き取り動作の回数が増えるため、分包時間の増大につながる課題が発生する。
【0042】
図11は、散薬掻き出し中の回転テーブル301と分割ローターユニット510と撒布された散薬の簡略図である。
【0043】
また、2回分割モードにならないようにする為、掻取爪の幅を広げた幅広掻取爪606(b)で掻き出そうとすると、掻取爪の幅を下回るような分割角度(の溝の最深部の距離)となる分包数の掻き出しが不可能となってしまう。(分割角度を超える掻き取爪の幅では、掻出装置305が1包目の散薬を掻き出す際に次包の散薬の一部まで余分に掻き出してしまい、分包量が規定量(一包分の量)を超えてしまうため不可能である。)
【0044】
つまり、掻取爪の幅を広げると、包装装置5の最大分割数が減ってしまうこととなる。
図12は掻取爪606の斜視図である。
【0045】
そこで、ユーザーが付け替え可能な(着脱可能な)、少なくとも2種類以上の幅の掻取爪を用意する。本実施例においては、幅が狭い幅狭掻取爪606(a)(第1掻き出し部材)と幅が広い幅広掻取爪606(b)(第2掻き出し部材)を用意した。
【0046】
幅狭掻取爪606(a)の幅は
図7で示した最深部の円の周長を93等分し、12.5mmとしている。同様に、幅広掻取爪606(b)の幅は
図7で示した最深部の円の周長を63等分し、18.5mmとしている。
図17は掻取爪606と仕切部605の簡易斜視図である。
【0047】
さらに、各掻取爪の幅に対応したユーザーが付け替え可能な(着脱可能な)、少なくとも2種類以上の幅の仕切部を用意する。本実施例においては、幅が狭い幅狭仕切部605(a)と幅が広い仕切部605(b)を用意した。
そして、ユーザーが、使用する掻取爪606を選択して使用出来るようにした。
【0048】
掻取爪606は位置決めピン2501を備え、仕切部はそれに対応する位置にピン受け入れ部2502を備え、幅狭の掻取爪606(a)は幅狭の仕切部605(a)に、幅広の掻取爪606(b)は幅広の仕切部605(b)にしか取りつかないようになっている。
【0049】
本実施例においては、消耗品である掻取爪606と仕切部605を各消耗に合わせ、別々に交換できるよう別部品としたが、位置決めピン2501とピン受け入れ部2502を無くし、掻取爪606と仕切部605を一体化し一つの部品としても良い。
【0050】
また、掻取爪606と仕切部605に加え回転板604まで一体化しても良いし、幅違いの掻取爪606ごとに分割ローターユニット510を一体で交換可能としても良い。
図21は掻取爪606と仕切部605の簡易斜視図である。
【0051】
掻取爪606が取りつけられる仕切部605には、どの幅の掻取爪606が装着されているかを判別するための識別子として、位置を変えてネオジウム磁石2503が備えられ、それを磁気センサで読み取る。(磁石と磁気センサの変わりにRFIDモジュール等で代用することも可能である。)
磁気センサは、本発明の検出手段の適用例である。
【0052】
また、検出手段は、掻取爪(掻き出し部材)に、当該掻き出し部材が、幅狭の第1掻き出し部材であるか、幅広の第2掻き出し部材かを識別するための識別部(磁石やRFIDなど)が設けられており、当該識別部を検出する検出手段(磁気センサや、RFIDの読取装置)である。
【0053】
磁石の代わりにRFIDを用いた場合には、そのRFIDに、幅狭の第1掻き出し部材であるか、幅広の第2掻き出し部材かを識別するための識別情報が記録されており、検出手段が、その識別情報を読み取ることで、装着されている掻き出し部材が、幅狭の第1掻き出し部材であるか、幅広の第2掻き出し部材かを識別することができる。
【0054】
具体的には、S1402で、検出手段により掻き出し部材に設けられた識別部が検出されることで、掻き出し部材が、第1掻き出し部材であるか、第2掻き出し部材であるかを判定する(判定手段)ことができる。
図22はトップカバーを開いた状態の分包装置の簡易斜視図である。
【0055】
図25はトップカバーを閉じた時に、掻取爪が初期位置にある時、掻取爪と磁気センサの位置を示す簡易斜視図である。
【0056】
仕切部605に備えられたネオジウム磁石2503の位置情報(=掻取爪の幅情報)を読み取る磁気センサ2801は、トップカバー2701の内側に取り付けられていて、トップカバー2701を閉じたときに、トップカバー2701と同時に磁気センサ2801が掻取爪606及び仕切部605の初期位置横に降りてくる。そして、どの幅の仕切部605及び掻取爪606が装着されているか判別する。
【0057】
掻取爪606、仕切部605の取り付け、交換の時は、トップカバーを開けるので、掻取爪606、仕切部605の取り付けや交換時にはセンサは邪魔にならない。また、分包作業中はトップカバーを閉じるのでセンサで掻取爪606の幅を検知出来ないという問題が発生しない。
【0058】
分包装置は、取り付けられた掻取爪606の幅を判別し、その最大包数以上の処方は分包出来ないようにする。表示画面にはどの掻取爪606が取りつけられているかのモード(幅広掻取爪モード、幅狭掻取爪モード)表示をする。。
【0059】
例えば、幅広掻取爪606(b)が取り付けられている時は1〜63包までしか入力出来なく、分包作業も最大63包までしか出来ないようにする。
【0060】
同様に、幅狭掻取爪606(a)が取り付けられている時は1包〜93包まで入力可能とさせる。
【0061】
そして、幅狭掻取爪606(a)が取りつけられている時に、幅広掻取爪606(b)で分包した方が望ましい分包数が入力された場合は、幅狭掻取爪606(a)にて1包分の散薬掻き出し回数を複数回に分割して掻き出す。
【0062】
以降、包装装置5のCPUなどの制御部が各部材を操作して実行される処理について説明する。
【0063】
図13は、包装装置5上のタッチパネル式ディスプレイ101(表示部)に表示される基本設定画面であり、包装装置5に搭載している制御部(制御用コンピュータ)よって制御されている。
【0064】
1301は設定包数欄であり、分包数(=1回の分包で薬剤を包装する数)を表示している。この欄をタッチすると、分包数入力画面(
図15)へ移行する。
【0065】
1302は掻取爪モードの表示部であり、
図14で示す掻取爪判定の処理により、「幅広掻取爪モード」、または、「幅狭掻取爪モード」が表示される部分である。
1303はストップボタンであり、タッチすると分包動作を一時停止させる。
【0066】
1304はスタートボタンであり、タッチすると分包動作を開始する。また、分包動作が一時停止中の場合は、分包動作を再開する。
【0067】
図14は、掻取爪判定の流れを示すフローチャートである。包装装置5に搭載している制御用コンピュータが処理を実行する。
【0068】
S1401は、掻取爪の種別を取得している。具体的には、仕切部605に備えられたネオジウム磁石2503の位置が幅広掻取爪と幅狭掻取爪で異なるため、この位置の違いを磁気センサ2801で読み取ることにより、掻取爪を判別する。磁気センサ2801上にはホール素子が2つ装備されており、そのどちらで磁気を検出するかによって、磁石の位置の違いを判別することが可能である。
【0069】
S1402は、S1401で取得した掻取爪の種別が幅広であるかを判定している。幅広の掻取爪であれば、S1403へ分岐し、幅広掻取爪モードに決定、制御コンピュータのメモリ内に記憶する。さらに、S1404へ進み、
図13の掻取爪モードの表示部に「幅広掻取爪モード」を表示する。幅広の掻取爪でなければ、S1405へ分岐し、幅狭掻取爪モードに決定、制御コンピュータのメモリ内に記憶する。さらに、S1406へ進み、
図13の掻取爪モードの表示部に「幅狭掻取爪モード」を表示する。
図15は分包数入力画面であり、分包数をユーザーが入力する画面である。
【0070】
1502はテンキー及びクリアボタンであり、分包数を入力、消去するボタンである。
【0071】
1503は決定ボタンであり、入力された分包数を確定し、基本操作画面(
図13)へ戻る。
【0072】
図16は、包装装置5の電源投入から分包動作を終了するまでの一連の処理を示すフローチャートである。包装装置5に搭載している制御用コンピュータが処理を実行する。
S1601は、基本操作画面(
図13)を表示している。
【0073】
S1602は、
図14で示す掻取爪判定のサブフローを呼び出している。 S1603は、ユーザーが基本設定画面の設定包数欄1301をタッチすることにより、分包数入力画面(
図15)を表示している。
【0074】
S1604は、ユーザーにより分包数入力画面を介して分包数の入力を受け付けて、決定ボタン1503の押下を受け付けることで当該分包数を制御コンピュータのメモリ内に記憶する。
【0075】
S1604は、分包する分包数を含む処方設定データを入力する入力手段の適用例である。
【0076】
分包数入力画面では、分包する分包数を入力しているが、その他の処方データを入力するようにしてもよい。分包数入力画面を介して入力されるデータは、処方設定データであり、そのデータには、分包する分包数を含む。
【0077】
ステップS1605では、S1604で受け付けた分包数が93包を超えているかを判定する。分包数が93包を超えていると判定された場合には(YES)、
図23(b)に示すメッセージを表示部に表示して(ステップS1612)、処理をステップS1603に戻す。一方、S1604で受け付けた分包数が93包を超えていないと判定された場合には(NO)、処理をステップS1606に移行する。
【0078】
S1612、S1613は、本発明の通知手段の適用例である。そして、S1612、S1613では、入力された処方設定データの分包に適した掻き出し部材に交換することをユーザに知らせるべく通知することができる。すなわち、その旨を画面内に表示することができる。
【0079】
S1606は、S1602で決定した掻取爪の選択が幅広であるかを判断している。幅広であればS1610へ分岐し、幅狭であればS1607へ分岐する。
S1607は、S1604で受け付けた分包数が63包を超えているかを判断している。
【0080】
63包を超えている場合は、前述の通り、掻取爪の幅に本来掻き取るべき散薬が収まるため、S1609に分岐し、2回分割モードをOFFにする。63包を超えていない場合は、幅狭掻取爪では掻取爪の幅内に本来掻き取るべき散薬が収まらず分包精度が悪化してしまうため、S1608へ分岐し、2回分割モードをONにする。
【0081】
S1607、S1610で判断した『63包』、及びS1605で判断した『93包』は、それぞれ、第1掻き出し部材、及び第2掻き出し部材における、設定を許容する分包数の上限値としてそれぞれ記憶するメモリ(記憶手段)に記憶されている。
【0082】
S1605、S1607、S1610は、入力手段により入力された処方設定データに含まれる分包数が、切替手段により切り替えられた分包数の上限値よりも大きな値であって、第1掻き出し部材における分包数の上限値以下の値であるか否かを判定する本発明の判定手段の適用例である。
【0083】
S1610は、S1604で受け付けた分包数が63包を超えているかを判断している。
【0084】
63包を超えている場合は、前述のように1包目で掻き取爪の幅を下回るような分割角度となってしまい、分包量が規定量を超えてしまうことになるため、S1613に分岐して包数オーバーのメッセージ(
図23(a))を表示する。63包を超えていない場合、掻取爪の幅に本来掻き取るべき散薬が収まるため、S1611に分岐し、2回分割モードをOFFにする。
【0085】
S1614は、ユーザにより分包数入力画面(
図15)を介して入力された分包数(包数)と、掻取爪モード決定(S1602)により決定された掻取爪(の種別)に従って、包装動作を行う際の分割回数を判定し、また分割角度を計算して算出した結果をもとに、包装動作を行う際の分割回数や分割角度を示す包装動作設定テーブル(
図20)を作成している。
【0086】
これは、選択を受け付けた掻き出し部材に応じて、掻き出しに係る動作設定を切り替える切替手段の適用例である。
【0087】
S1615は、ユーザーからの分包開始を受け付けている。基本操作画面でスタートボタン1304が押下されると、S1616へ移行する。
【0088】
S1616は、準備動作であり、回転テーブル上に散薬を撒布する等の包装動作を行う前の準備の動作である。
【0089】
S1617は、包装動作であり、ユーザーから指示された包数だけ散薬を包装する動作である。
【0090】
図18は、回転テーブル上に散薬を撒布する等の包装動作を行う前の準備動作の流れを示している。
図16のS1616で呼び出されるサブフロー処理である。
【0091】
S1801は、回転テーブルの回転を開始している。回転テーブル上に散薬を均一に撒布するよう、散薬が遠心力によって飛び出さない回転速度で高速回転させる。
【0092】
S1802は、散薬フィーダー304の動作(散薬投入ホッパー303に投入された散薬を回転テーブル上に落下させる動作)を開始し、散薬投入ホッパー303に投入された散薬を回転テーブル上に落下させている。この動作は、従来の方法と同様であるため、説明を省略する。
【0093】
S1803は、散薬フィーダー304の排出口付近に位置する図示しない散薬検出センサにより散薬の落下を検出し、散薬フィーダー上の散薬の有無を判定する。散薬がすべて無くなればS1804へ移行する。
S1804は、散薬フィーダーの動作を停止する。
S1805は、回転テーブルの回転を停止する。
【0094】
S1806は、分割ローターユニットを回転テーブルの環状溝401と回転板604が接触する位置まで下降させる。
ここまで動作により、包装動作を行うための準備が終了する。
【0095】
図19は、ユーザーから指示された分包数の散薬を包装する包装動作の流れを示している。
図16のS1617で呼び出されるサブフロー処理である。
【0096】
S1901は、包装動作設定テーブル(
図20)の参照位置を初期化している。つまり、参照位置を1包目の包装データにしている。
S1902は、包装動作設定テーブルから分割回数と分割角度を読み出す。
【0097】
S1903は、散薬の掻き出し動作であり、回転テーブル301をS1902で読み出した角度だけ回転させる(処方設定データに従って、枌粒体が堆積する溝が形成された溝部材を移動させる)と同時に、分割ローターユニット510を1回転させることにより散薬を外周へ向けて掻き出す。掻き出された散薬は包装ユニット501に供給される。この掻き出し動作は、S1904によってS1902で読み出した分割回数だけ繰り返される。
【0098】
S1905は、1包の包装動作であり、S1903〜S1904により掻き出された散薬を包装シート内に包装する動作である。
【0099】
S1906は、ユーザーから指示された分包数が終了したかを判断している。分包数が終了していなければS1907で包装動作設定テーブル(
図20)の参照位置を次の包装データ位置へ更新した後、S1902へ移行し、散薬の包装動作を続行する。分包数が終了していれば、S1908で分割ローターユニットを上昇させて元の位置に戻し、分包動作を終了する。
【0100】
図20は、包装動作設定テーブルであり、包装動作を行う際の分割回数や分割角度を示すデータテーブルである。このテーブルは、包装装置5に搭載している制御用コンピュータのメモリ内に一時的に作成される。
【0101】
S2001は分割回数であり、1包に分包する散薬に対して行う分割動作(掻き出し動作)の回数を設定する部分である。今回の実施例では、2回分割モードがONの場合は2回、OFFの場合は1回とする。
【0102】
S2002は分割角度であり、1回の分割動作で回転テーブルが回転する角度である。
各行は包装データであり、1包目〜最終包までの各包に対応している。
【0103】
図20の(a)及び(b)は、分包数が30包の場合の例である。これらの例の分割角度の算出について説明する。
【0104】
(a)は2回分割モードがOFFの場合である。掻取爪は幅広が取り付けられている状態である。回転テーブル全周360°/30包=12°であり、1包あたりの分割角度は12°となる。ただし、1包目に関しては、掻取爪の幅分を動作させる必要はない。分割ローターユニットが下降した後、1包目の掻き出し動作の際には掻取爪の幅内に散薬が存在しているためである。掻取爪の幅を角度に換算すると360°/63包≒5.71°となる。よって、1包目の分割角度は12−5.71=6.29°となる。
【0105】
(b)は2回分割モードがONの場合である。掻取爪は幅狭が取り付けられている状態である。回転テーブル全周360°/30包=12°であるが、分割回数が2回であるため、分割角度は12°/2=6°となる。また、前述のように1包目は掻取爪の幅を減算するため、12°−(360°/93包)≒8.12°であり、さらに、分割回数が2回であることにより、分割角度は8.12°/2=4.06°となる。
【0106】
S1602は、
図14で示す掻取爪判定のサブフローを呼び出している。
【0107】
以上で説明したように、本発明によれば、ユーザーが付け替え可能な複数の幅の掻取爪が用意され、ユーザーが、処方する分包数に合わせて幅の違う掻取爪を選択して使用することが可能となった。
【0108】
そして、分包(分割)数に対して、より適切な幅の掻取爪の使用をユーザーに知らせることが可能となり、分包(分割)数が少ない場合に優先的に幅が広い掻取爪を使用して分包することが誘導可能となった。その結果、分包(分割)数が少なく、分包量が多い処方があっても、幅広掻取爪を使用することで、掻取爪の幅に、本来掻き取るべき散薬が収まり、動作時間を増大させずに分包精度の向上が可能となった。
【0109】
また、幅狭掻取爪のまま、少ない分包(分割)数の分包を行う時は、分包時間は長くなってしまうが、1包分の散薬掻き出し回数を複数回に分割して掻き出すので、分割精度の悪化を防ぐことは可能である。
【0110】
以上、本発明によれば、ユーザにより取り付けられる幅の掻き出し部材に対する掻き出し動作に係る動作設定を容易に行うことできる。
【0111】
上述した本発明の実施形態を構成する各手段及び各ステップは、コンピュータのRAMやROM等に記憶されたプログラムが動作することによって実現できる。装置が読み取り実行可能なこのプログラム及び前記プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体は本発明に含まれる。
【0112】
また、本発明は、例えば、システム、装置、方法、プログラムもしくは記録媒体等としての実施形態も可能であり、具体的には、一又は複数の機器からなる装置に適用してもよい。
【0113】
本実施形態では、情報処理装置300、包装装置5、錠剤供給装置10をそれぞれ分けた筐体として説明したが、これらを一体型にした包装装置、又は錠剤供給装置とすることもできる。
【0114】
なお、本発明は、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムを、システム又は装置に直接、又は遠隔から供給する。そして、そのシステム又は装置のコンピュータが前記供給されたプログラムコードを読み出して実行することによっても達成される場合を含む。
【0115】
従って、本発明の機能処理をコンピュータで実現するために、前記コンピュータにインストールされるプログラムコード自体も本発明を実現するものである。つまり、本発明は、本発明の機能処理を実現するためのコンピュータプログラム自体も含まれる。その場合、プログラムの機能を有していれば、オブジェクトコード、インタプリタにより実行されるプログラム、OSに供給するスクリプトデータ等の形態であってもよい。
【0116】
また、コンピュータが、読み出したプログラムを実行することによって、前述した実施形態の機能が実現される。更に、そのプログラムの指示に基づき、コンピュータ上で稼動しているOS等が、実際の処理の一部又は全部を行い、その処理によっても前述した実施形態の機能が実現され得る。
【0117】
更に、その他の方法として、まず記録媒体から読み出されたプログラムが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書き込まれる。そして、そのプログラムの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPU等が実際の処理の一部又は全部を行い、その処理によっても前述した実施形態の機能が実現される。