(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記捩れ剛性低下部は、前記トーションバーの外壁面から内壁面に達するスリットが前記ロータの回転軸を挟み対向配置されている、請求項1乃至請求項8に記載のローラ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、フレキシブル基板や曲面ディスプレイに用いられる液晶フィルムあるいは有機ELフィルム等の高機能フィルムの製造に用いられるフィルム搬送装置では、フィルムにスリップによる擦り傷や皺、変形等の欠陥を生じることなく、高速かつ適正張力でフィルムを搬送する必要がある。従来、このようなフィルム搬送装置においては、フィルムにかかる張力を検出するためのローラを別途設け、張力検出用のローラにかかる荷重を検出して張力を算出し、その値をフィードバックして張力制御を行っている。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、フィルム搬送経路で使用する総ローラ数を減らすことが可能なローラを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、ローラは、ステータ及び該ステータの径方向外側に対向配置されて相対回転するロータを含むモータ部と、前記ロータと共に回転する円筒状のローラハウジングと、前記ステータが固定される筒状のトーションバーと、前記トーションバーの内壁との間に間隙を介して貫通され、前記トーションバーの軸方向の一方端を固定させる貫通シャフトと、軸方向に前記モータ部を間に挟む位置に配置され、前記ローラハウジングを回転自在に支持する第1軸受及び第2軸受と、前記ローラハウジングの回転を検出する第1の回転検出器と、前記貫通シャフトに対する前記トーションバーの軸方向の他方端の相対的な回転を検出する第2の回転検出器と、を備え、前記トーションバーは、軸方向の一方端側に、軸方向の他方端側よりも捩れ方向に対する剛性が低い捩れ剛性低下部を有する。
【0007】
上記構成により、第1の回転検出器により検出されるモータ部の位置情報と、第2の回転検出器により検出されるトーションバーの軸方向の他方端の角度変位とを用いて、目標とする張力が得られるようなトルクとなるようにモータ部を出力制御することで、帯状搬送物を適正張力で搬送するための張力制御が可能となる。また、トーションバーの軸方向の一方端側に、トーションバーの軸方向の他方端側の部分よりも、捩れ方向に対する剛性が低い捩れ剛性低下部を設けることで、第2の回転検出器により検出されるトーションバーの開放端の角度変位(微小角度θ)の検出精度を向上させることができる。
【0008】
また、前記第1の回転検出器は、前記モータ部よりも軸方向の一方端側に設けられ、前記捩れ剛性低下部は、前記トーションバーと前記貫通シャフトとの固定端と、前記第1の回転検出器との間に設けられていても良い。
【0009】
また、前記第1の回転検出器は、前記モータ部と前記第2の回転検出器との間に設けられ、前記捩れ剛性低下部は、前記トーションバーと前記貫通シャフトとの固定端と、前記モータ部との間に設けられていても良い。
【0010】
また、前記第1の回転検出器は、前記第2の回転検出器よりも軸方向の他方端側に設けられ、前記捩れ剛性低下部は、前記トーションバーと前記貫通シャフトとの固定端と、前記モータ部との間に設けられていても良い。
【0011】
また、上述した課題を解決し、目的を達成するために、ローラは、ステータ及び該ステータの径方向外側に対向配置されて相対回転するロータを含むモータ部と、前記ロータと共に回転する円筒状のローラハウジングと、前記ステータが固定される筒状のトーションバーと、前記トーションバーの内壁との間に間隙を介して貫通され、前記トーションバーの軸方向の一方端を固定させる貫通シャフトと、軸方向に前記モータ部を間に挟む位置に配置され、前記ローラハウジングを回転自在に支持する第1軸受及び第2軸受と、前記ローラハウジングの回転を検出する第1の回転検出器と、前記トーションバーの軸方向の他方端に対する前記ローラハウジングの相対的な回転を検出する第2の回転検出器と、を備え、前記トーションバーは、軸方向の一方端側に、軸方向の他方端側よりも捩れ方向に対する剛性が低い捩れ剛性低下部を有する。
【0012】
上記構成により、第1の回転検出器により検出される位置情報と、第1の回転検出器により検出されるモータ部の位置情報と第2の回転検出器により検出されるモータ部の位置情報との差分とを用いて、目標とする張力が得られるようなトルクとなるようにモータ部を出力制御することで、帯状搬送物を適正張力で搬送するための張力制御が可能となる。また、トーションバーの軸方向の一方端側に、トーションバーの軸方向の他方端側の部分よりも、捩れ方向に対する剛性が低い捩れ剛性低下部を設けることで、第1の回転検出器により検出される位置情報と、第2の回転検出器により検出される位置情報との差分、つまり、トーションバーの回転方向の捩れによる角度変位(微小角度θ)の検出精度を向上させることができる。
【0013】
また、前記第1の回転検出器は、前記モータ部よりも軸方向の一方端側に設けられ、前記捩れ剛性低下部は、前記トーションバーと前記貫通シャフトとの固定端と、前記第1の回転検出器との間に設けられていても良い。
【0014】
また、前記第1の回転検出器は、前記モータ部よりも軸方向の一方端側に設けられ、前記捩れ剛性低下部は、前記モータ部と、前記第1の回転検出器との間に設けられていても良い。
【0015】
また、前記第1の回転検出器は、前記第2の回転検出器よりも軸方向の他方端側に設けられ、前記捩れ剛性低下部は、前記トーションバーと前記貫通シャフトとの固定端と、前記モータ部との間に設けられていても良い。
【0016】
また、前記捩れ剛性低下部は、前記トーションバーの外壁面から内壁面に達する穴部が前記ロータの回転軸を挟み対向配置された構成であっても良い。
【0017】
また、前記捩れ剛性低下部は、前記トーションバーの外壁面から内壁面に達する穴部が周方向に均等配置された構成であっても良い。
【0018】
また、望ましい態様として、前記穴部の形状は、角丸長方形を呈しているのが好ましい。
【0019】
上記構成により、捩れ剛性低下部に回転方向の捩れが作用した際に、穴部の両端部に掛かる応力を分散することができる。
【0020】
また、前記穴部は、長手方向が軸方向と一致していても良い。
【0021】
また、前記穴部は、長手方向が軸方向に対して所定角度傾いていても良い。
【0022】
また、前記捩れ剛性低下部は、前記トーションバーの外壁面から内壁面に達するスリットが前記ロータの回転軸を挟み対向配置された構成であっても良い。
【0023】
また、前記捩れ剛性低下部は、前記トーションバーの外壁面から内壁面に達するスリットが周方向に均等配置された構成であっても良い。
【0024】
また、望ましい態様として、前記スリットは、両端部に円形状の穴が設けられているのが好ましい。
【0025】
上記構成により、捩れ剛性低下部に回転方向の捩れが作用した際に、スリットの両端部に掛かる応力を分散することができる。
【0026】
また、前記スリットは、軸方向と一致していても良い。
【0027】
また、前記スリットは、軸方向に対して所定角度傾いていても良い。
【0028】
また、前記捩れ剛性低下部は、前記トーションバーの径方向の厚さが周囲よりも薄い薄肉部で構成されていても良い。
【0029】
また、望ましい態様として、前記薄肉部は、軸方向の両端部から中央部に向かい凹曲線状に傾斜しているのが好ましい。
【0030】
上記構成により、捩れ剛性低下部に回転方向の捩れが作用した際に、薄肉部の両端部に掛かる応力を分散することができる。
【0031】
また、望ましい態様として、前記第1の回転検出器及び前記第2の回転検出器の少なくとも一方はレゾルバであるのが好ましい。
【0032】
上記構成により、振動に強く、また、高温環境下での用途に適したローラを得ることができる。
【発明の効果】
【0033】
本発明によれば、フィルム搬送経路で使用する総ローラ数を減らすことが可能なローラを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0035】
本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。
【0036】
(実施形態1)
図1は、実施形態1に係るローラの一例を示す断面図である。
図1に示す例において、ローラ1は、減速機構を介さずに、発生した動力を対象物にダイレクトに伝達するダイレクトドライブモータである。
図1に示すように、ローラ1は、フレキシブル基板や曲面ディスプレイに用いられる液晶フィルムあるいは有機ELフィルム等の高機能フィルムを一例とする帯状搬送物を搬送するための動力を発生するモータ部2と、モータ部2の回転を検出する回転検出器3と、モータ部2及び回転検出器3を保持するハウジング4と、ローラ1で発生するトルクを検出するためのトルク検出器5とを備えている。モータ部2、回転検出器3、及びトルク検出器5は、それぞれ図示せぬ制御装置に電気的に接続されており、ローラ1は、この制御装置によって制御される。
【0037】
モータ部2は、ステータ21と、ステータ21に対して回転可能なロータ22とを有する。ロータ22は、回転軸AXを中心に回転する。以下、回転軸AXと平行な方向を「軸方向」ともいう。
【0038】
本実施形態において、モータ部2は、アウターロータ型のモータである。ロータ22は、ステータ21の周囲に配置される。回転軸AXに対して、ロータ22は、ステータ21の外側に配置される。
【0039】
ステータ21は、ステータコア21Aと、ステータコア21Aに支持されるコイル21Bとを有する。ステータコア21Aは、回転軸AXの周囲において、等間隔で複数配置されるティースを有する。コイル21Bは、複数設けられる。コイル21Bは、ステータコア21Aの複数のティースのそれぞれに支持される。
【0040】
ロータ22は、回転軸AXの周囲において、等間隔で複数配置された永久磁石を含む。ステータ21のステータコア21Aとロータ22とは、間隙g1を介して対向する。
【0041】
本実施形態において、回転検出器3は、レゾルバステータ31とレゾルバロータ32とを含むレゾルバであり、モータ部2におけるロータ22の回転速度、回転方向、及び回転角度の少なくとも一つを含む位置情報を検出する。
【0042】
本実施形態において、トルク検出器5は、レゾルバステータ51とレゾルバロータ52とを含むレゾルバである。このトルク検出器5については後述する。
【0043】
ハウジング4は、ロータ22と共に回転する円筒状のローラハウジング41と、トーションバー42と、貫通シャフト43と、円盤部材45とを含む。
【0044】
貫通シャフト43は、トーションバー42を貫通して設けられている。貫通シャフト43の軸方向の一方端は、トーションバー42の軸方向の一方端が固定されると共に、設備100に対してインロウによる位置決めを行うための嵌合部43Aが設けられている。貫通シャフト43は、トーションバー42との固定部から軸方向の他方端に向けて、トーションバー42と間隙g2を介して対向している。貫通シャフト43の軸方向の他方端は、円盤部材45を貫通しており、ナット43Bで弾性部材である皿ばね43Cを介して円盤部材45に機械的に接続されている。
【0045】
トーションバー42は、貫通シャフト43に固定された軸方向の一方端に設けられた円盤部42Aと、貫通シャフト43との間に間隙g2を介しつつ、円盤部42Aから軸方向の他方端に延びる円筒部42Bとを含む。トーションバー42の円盤部42Aには、ネジ101で設備100に固定するためのネジ穴42Cと、設備100への取付け面とが設けられている。トーションバー42の円筒部42Bの外周面には、ステータ21のステータコア21A及び回転検出器3のレゾルバステータ31が設けられている。円筒部42Bの軸方向の他方端には、支持部材44が設けられている。以下、トーションバー42が貫通シャフト43に固定された軸方向の一方端を、「トーションバー42と貫通シャフト43との固定端」ともいう。また、円筒部42Bの軸方向の他方端を、「トーションバー42の開放端」ともいう。
【0046】
支持部材44は、トーションバー42の開放端に固定される円盤部44Aと、円盤部44Aの外周部から軸方向の他方端側に延びる円筒部44Bとを含む。支持部材44の円筒部44Bの内周面には、トルク検出器5のレゾルバロータ52が設けられており、貫通シャフト43には、レゾルバロータ52と対向する位置にトルク検出器5のレゾルバステータ51が設けられている。
【0047】
ローラハウジング41は、軸方向の一方端が第1軸受6を介してトーションバー42の円盤部42Aの外周部で支持され、軸方向の他方端が第2軸受7を介して円盤部材45の外周部で支持されている。第1軸受6は、内輪がトーションバー42の円盤部42Aに支持され、外輪がローラハウジング41の内周面に支持されている。第2軸受7は、内輪が円盤部材45に支持され、外輪がローラハウジング41の内周面に支持されている。ローラハウジング41の内周面には、モータ部2のステータ21に対向する位置にモータ部2のロータ22が設けられ、回転検出器3のレゾルバステータ31に対向する位置に回転検出器3のレゾルバロータ32が設けられている。
【0048】
なお、
図1に示す例では、回転検出器3をモータ部2よりもトーションバー42の固定端側に配置した例を示している。
【0049】
貫通シャフト43と、トーションバー42の円盤部42Aと、円盤部材45と、皿ばね43Cとは、第1軸受6及び第2軸受7に予圧を加える予圧機構を構成している。
【0050】
第1軸受6は、外輪の角部がローラハウジング41の段差41Aに当接し、内輪の角部がトーションバー42の円盤部42Aの段差42Dに当接した状態で軸方向に挟持される。第2軸受7は、外輪の角部がローラハウジング41の段差41Bに当接し、内輪の角部が円盤部材45の段差45Cに当接した状態で軸方向に挟持される。この状態で、皿ばね43Cを介してナット43Bを締め込み、皿ばね43Cが自然長よりも短いLに圧縮されることで、第1軸受6及び第2軸受7の双方に予圧を加えることができる。これにより、軸方向及び径方向のズレが抑制され、モータ部2を駆動した際の軸方向及び径方向のガタツキの発生を抑制することができる。
【0051】
また、
図1に示す例では、トーションバー42の軸方向の一方端側の一部、より具体的には、トーションバー42と貫通シャフト43との固定端と回転検出器3との間に、トーションバー42の軸方向の他方端側、つまりトーションバー42の開放端側の部分よりも、捩れ方向(回転軸AXを中心軸とする回転方向)に対する剛性が低い捩れ剛性低下部60が設けられている。この捩れ剛性低下部60については後述する。
【0052】
次に、
図1乃至
図3を用いて、実施形態1に係るローラ1の動作について説明する。
図2は、実施形態1に係るローラにおいて帯状搬送物にかかる張力とトルクとの関係を説明する図である。
図3は、実施形態1に係るローラの動作例を示す図である。
【0053】
図2に示すように、ローラ1におけるローラハウジング41の半径をrとし、帯状搬送物200にかかる張力をFとすると、回転軸AX周りに働くトルクTは、T=F×rで表される。これを張力Fについて変形すると、以下の(1)式のように表される。つまり、トルクTを検出することにより、張力Fを求めることができる。
【0055】
ここで、本実施形態において、貫通シャフト43の回転方向に対する剛性は、モータ部2の駆動力により生じるトルクに対して十分に大きく、トーションバー42の回転方向に対する剛性は、貫通シャフト43の回転方向に対する剛性よりも小さいものとする。
【0056】
図3に示すように、モータ部2を駆動してローラハウジング41をA矢示方向に回転させると、ステータ21のステータコア21Aが固定されたトーションバー42の円筒部42BにB矢示方向の反力が作用し、貫通シャフト43に対して相対的な捩れが生じる。
【0057】
本実施形態では、回転検出器3を第1の回転検出器とし、トルク検出器5として、例えば、1度以下の角度変位を検出可能な第2の回転検出器を用いて、モータ部2を駆動したときのトーションバー42の開放端の角度変位(微小角度θ)を検出する。このトーションバー42の開放端の角度変位をトルクTに換算することで、(1)式に示す張力Fを求めることができる。すなわち、回転検出器3(第1の回転検出器)により検出されるモータ部2の位置情報と、トルク検出器5(第2の回転検出器)により検出されるトーションバー42の開放端の角度変位(微小角度θ)とを用いて、目標とする張力が得られるようなトルクとなるようにモータ部2を出力制御することで、帯状搬送物200を適正張力で搬送するための張力制御が可能となる。
【0058】
ここで、トーションバー42と貫通シャフト43との固定端、及び、トーションバー42の円筒部42Bのモータ部2が設けられる部分については、捩れによる変形が見込めない。特に、ローラ1の軸方向の長さ(全長)が短くなるほど、トーションバー42の軸方向の長さも短くなるため、トーションバー42の貫通シャフト43に対する相対的な捩れ量、すなわち、トーションバー42の開放端の角度変位(微小角度θ)が小さくなり、十分な精度を得られない場合がある。
【0059】
このため、本実施形態において、トーションバー42は、軸方向の一方端側(トーションバー42と貫通シャフト43との固定端側)に、軸方向の他方端側(トーションバー42の開放端側)よりも捩れ方向(回転軸AXを中心軸とする回転方向)に対する剛性が低い捩れ剛性低下部60を有する構成としている。
【0060】
図4は、捩れ剛性低下部の
図1に示すA−A断面図を示す図である。
図5は、捩れ剛性低下部を構成する穴部の例を示す図である。
図4及び
図5では、トーションバー42の円筒部42Bの外壁面から内壁面に達する穴部61を複数設けて捩れ剛性低下部60を構成する例を示している。
【0061】
図4(a)に示す例では、
図5(a)に示す穴部61が回転軸AXを挟み対向配置された例を示している。また、
図5(a)に示す例では、穴部61の形状を、軸方向の長さL1及び周方向の幅W1の軸方向に長い角丸長方形とした例を示したが、この穴部61の軸方向両端部の半円部は、捩れ剛性低下部60に回転方向の捩れが作用した際に、穴部61の両端部に掛かる応力を分散する作用を有している。例えば、
図5(b)に示すような矩形の穴部61を設けても良いが、捩れ剛性低下部60に回転方向の捩れが作用した際に、穴部61の両端部に掛かる応力を分散させるために、
図5(a)に示すように、穴部61の形状を軸方向に長い角丸長方形とした方がより好ましい。このようなトーションバー42の円筒部42Bの外壁面から内壁面に達する穴部61を、トーションバー42と貫通シャフト43との固定端と回転検出器3との間に設けることで、トーションバー42の開放端側の部分よりも、捩れ方向(回転軸AXを中心軸とする回転方向)に対する剛性が低い捩れ剛性低下部60が構成される。
【0062】
また、
図5(a)及び
図5(b)では、穴部61の長軸方向が回転軸AX(軸方向)と一致した例を示したが、
図5(c)に示すように、穴部61の長軸方向が回転軸AX(軸方向)に対して所定角度α傾いた構成であっても良い。
【0063】
なお、穴部61の態様は、
図5(a)及び
図5(c)に示すような軸方向に長い角丸長方形や、
図5(b)に示す矩形以外の態様であってもよく、例えば、
図5(d)に示すように、複数の円形状の穴62で構成されていても良い。この穴部61の態様により本発明が限定されるものではない。
【0064】
また、
図4(a)に示す例では、軸方向の長さL1及び周方向の幅W1が等しい同一形状の穴部61が回転軸AXを挟み対向配置された構成を示し、
図4(b)に示す例では、軸方向の長さL1及び周方向の幅W1が等しい同一形状の穴部61が周方向に3個均等配置された構成を示したが、穴部61の数はこれに限らず、軸方向の長さL1及び周方向の幅W1が等しい同一形状の穴部61が周方向に3個以上均等配置された構成であっても良い。
【0065】
図6は、実施形態1に係るローラの他の一例を示す断面図である。
図6に示す例では、
図1に示す例における捩れ剛性低下部60に代えて、捩れ剛性低下部60aを有する構成を示している。
【0066】
図7は、捩れ剛性低下部の
図6に示すB−B断面図を示す図である。
図8は、捩れ剛性低下部を構成するスリットの例を示す図である。
図7及び
図8では、トーションバー42の円筒部42Bの外壁面から内壁面に達するスリット61aを複数設けて捩れ剛性低下部60aを構成する例を示している。
【0067】
図7に示す例では、
図8(a)に示すスリット61aが周方向に均等配置された例を示している。スリット61aは、実質的な周方向の幅W2が0以上(W2≧0)であれば良い。また、
図8(a)に示す例では、軸方向の長さL2及び周方向の幅W2のスリット61aの両端部に円形状の穴62aを設けた例を示したが、この穴62aは、捩れ剛性低下部60aに回転方向の捩れが作用した際に、スリット61aの両端部に掛かる応力を分散する作用を有している。例えば、
図8(b)に示すように、スリット61aの両端部に円形状の穴62aを設けない構成であっても良いが、捩れ剛性低下部60aに回転方向の捩れが作用した際に、スリット61aの両端部に掛かる応力を分散させるために、
図8(a)に示すように、スリット61aの両端部に円形状の穴62aを設けた方がより好ましい。このようなトーションバー42の円筒部42Bの外壁面から内壁面に達するスリット61aを、トーションバー42と貫通シャフト43との固定端と回転検出器3との間に設けることで、トーションバー42の開放端側の部分よりも、捩れ方向(回転軸AXを中心軸とする回転方向)に対する剛性が低い捩れ剛性低下部60aが構成される。
【0068】
また、
図8(a)及び
図8(b)では、スリット61aが回転軸AX(軸方向)と一致した例を示したが、
図8(c)に示すように、スリット61aが回転軸AX(軸方向)に対して所定角度β傾いた構成であっても良い。
【0069】
なお、スリット61aの態様は、
図8(a)、
図8(b)、
図8(c)以外の態様であってもよく、このスリット61aの態様により本発明が限定されるものではない。
【0070】
なお、
図7に示す例では、軸方向の長さL2及び周方向の幅W2が等しい同一形状のスリット61aが周方向に8個均等配置された構成を示したが、スリット61aの数はこれに限るものではなく、例えば、軸方向の長さL2及び周方向の幅W2が等しい同一形状のスリット61aが回転軸AXを挟み対向配置された構成であっても良いし、軸方向の長さL2及び周方向の幅W2が等しい同一形状のスリット61aが周方向に3個以上均等配置された構成であっても良い。
【0071】
図9は、実施形態1に係るローラの他の一例を示す断面図である。
図9に示す例では、
図1に示す例における捩れ剛性低下部60に代えて、捩れ剛性低下部60bを有する構成を示している。
【0072】
図10は、捩れ剛性低下部の
図9に示すC−C矢示断面図を示す図である。
図11は、捩れ剛性低下部を構成する薄肉部の例を示す図である。
図10及び
図11では、トーションバー42の径方向の厚さが軸方向の両端部よりも中央部が薄い薄肉部61bで捩れ剛性低下部60bを構成する例を示している。
【0073】
図10に示す例では、
図11(a)に示す軸方向の長さL3の薄肉部61bが周方向に均等に設けられた例を示している。また、
図11(a)に示す例では、薄肉部61bの軸方向の中央部における円筒部44Bの径方向の厚さD3が薄肉部61bの軸方向の両端部よりも外側における円筒部44Bの径方向の厚さD4よりも薄くなっている例を示している(D3<D4)。また、
図11(a)に示す例では、薄肉部61bの軸方向の両端部から中央部に向かい凹曲線状に傾斜した例を示したが、
図11(a)に示す薄肉部61bの形状は、捩れ剛性低下部60bに回転方向の捩れが作用した際に、薄肉部61bの両端部に掛かる応力を分散する作用を有している。例えば、
図11(b)に示すように、軸方向の長さL3の範囲内で径方向の厚さD3を均一としても良いが、捩れ剛性低下部60bに回転方向の捩れが作用した際に、薄肉部61bの両端部に掛かる応力を分散させるために、
図11(a)に示すように、薄肉部61bの軸方向の両端部から中央部に向かい凹曲線状に傾斜した形状とした方がより好ましい。このような薄肉部61bを、トーションバー42と貫通シャフト43との固定端と回転検出器3との間に設けることで、トーションバー42の開放端側の部分よりも、捩れ方向(回転軸AXを中心軸とする回転方向)に対する剛性が低い捩れ剛性低下部60bが構成される。
【0074】
なお、薄肉部61bの態様は、
図11(a)や
図11(b)以外の態様であってもよく、薄肉部61bの態様により本発明が限定されるものではない。
【0075】
上述したように、本実施形態において、ローラ1は、トーションバー42と貫通シャフト43との固定端と回転検出器3との間に、トーションバー42の軸方向の他方端側、つまりトーションバー42の開放端側の部分よりも、捩れ方向(回転軸AXを中心軸とする回転方向)に対する剛性が低い捩れ剛性低下部60,60a,60bが設けられている。これにより、例えば、軸方向の長さが比較的短い場合でも、トルク検出器5(第2の回転検出器)により検出されるトーションバー42の開放端の角度変位(微小角度θ)の検出精度を向上させることができる。
【0076】
なお、捩れ剛性低下部60,60a,60bの軸方向の長さ、すなわち、捩れ剛性低下部60における穴部61の軸方向の長さL1、捩れ剛性低下部60aにおけるスリット61aの軸方向の長さL2、あるいは、捩れ剛性低下部60bにおける薄肉部61bの軸方向の長さL3については、ローラ1の軸方向の長さ(全長)や回転数、その他の使用条件に応じて適宜決定すれば良い。捩れ剛性低下部60における穴部61の周方向の幅W1や穴部61の数、捩れ剛性低下部60aにおけるスリットの数、捩れ剛性低下部60bにおける円筒部44Bの厚さD3についても同様である。更に、捩れ剛性低下部60における穴部61と捩れ剛性低下部60bにおける薄肉部61bとを併用しても良いし、捩れ剛性低下部60aにおけるスリット61aと捩れ剛性低下部60bにおける薄肉部61bとを併用しても良い。
【0077】
また、間隙g2は、モータ部2の駆動時におけるトーションバー42の捩れを阻害しない程度に狭いのが好ましく、より具体的には、例えば、0.05mm乃至0.2mm程度であることが望ましい。また、トーションバー42の円筒部42Bと貫通シャフト43との間に間隙g2を設けることで、ステータ21のステータコア21Aとロータ22との間に介在する間隙g1の誤差範囲が大きくなる。ここで、間隙g1と間隙g2との関係がg1≦g2である場合、モータ部2の駆動時においてステータ21のステータコア21Aとロータ22とが接触する可能性がある。このため、間隙g1と間隙g2との関係は、g1>g2であるのが望ましい。
【0078】
また、
図1に示す例では、回転検出器3とモータ部2との相互間の磁気干渉を防ぐ遮蔽板8を設けているが、回転検出器3とモータ部2とが相互間の磁気干渉による影響を受けない程度に離れて配置される場合には、遮蔽板8を設けなくても良い。また、磁気遮蔽効果を有する強磁性体の部材で支持部材44を構成することで、トルク検出器5とモータ部2との相互間の磁気干渉を防ぐことが可能であり、
図1に示す例では、トルク検出器5とモータ部2との間には遮蔽板を設けていないが、支持部材44を樹脂やアルミニウム等の部材で構成する場合には、トルク検出器5とモータ部2との間に遮蔽板を設けて相互間の磁気干渉を防ぐようにしても良い。
【0079】
(変形例1)
図12は、実施形態1の変形例1に係るローラの一例を示す断面図である。
図12に示すローラ1aでは、回転検出器3をモータ部2とトルク検出部5との間に配置し、捩れ剛性低下部60をトーションバー42と貫通シャフト43との固定端とモータ部2との間に設けている。
【0080】
(変形例2)
図13は、実施形態1の変形例2に係るローラの一例を示す断面図である。
図13に示すローラ1bでは、回転検出器3をトルク検出器5よりも軸方向の他方端側に設け、捩れ剛性低下部60をトーションバー42と貫通シャフト43との固定端とモータ部2との間に設けている。
【0081】
モータ部2を駆動したときに回転検出器3により検出されるモータ部2の位置情報の変化範囲は、貫通シャフト43に対するトーションバー42の円筒部42Bの相対的な捩れに対して十分に大きい。このため、回転検出器3を設ける軸方向の位置によって回転検出器3の検出精度に与える影響は小さい。
【0082】
図12に示す変形例1では、モータ部2を駆動したときの貫通シャフト43に対する回転検出器3のレゾルバステータ31の回転方向位置における捩れが
図1に示す例よりも大きくなるが、上述したように、モータ部2を駆動したときに回転検出器3により検出されるモータ部2の位置情報の変化範囲は、貫通シャフト43に対するトーションバー42の円筒部42Bの相対的な捩れに対して十分に大きいため、回転検出器3のトーションバー42上における位置によって回転検出器3の検出精度に与える影響を無視することができる。
【0083】
また、
図13に示す変形例2では、回転検出器3のレゾルバステータ31は、トーションバー42よりも回転方向の剛性が大きい貫通シャフト43に設けられる。このため、モータ部2を駆動したときの回転検出器3の検出精度が貫通シャフト43に対するトーションバー42の円筒部42Bの相対的な捩れによる影響を受けることがない。
【0084】
以上のように、回転検出器3により検出される位置情報は、回転検出器3のレゾルバステータ31をトーションバー42の円筒部42Bに配置したとしても、回転検出器3のレゾルバステータ31を貫通シャフト43に配置した場合と等価と見做すことができる。すなわち、回転検出器3は、貫通シャフト43に対するローラハウジング41の位置情報を検出しているものと見做すことができる。
【0085】
また、
図12及び
図13に示すローラ1a,1bは、トーションバー42と貫通シャフト43との固定端とモータ部2との間に、トーションバー42の軸方向の他方端側、つまりトーションバー42の開放端側の部分よりも、捩れ方向(回転軸AXを中心軸とする回転方向)に対する剛性が低い捩れ剛性低下部60が設けられている。これにより、例えば、軸方向の長さが比較的短い場合でも、トルク検出器5(第2の回転検出器)により検出されるトーションバー42の開放端の角度変位(微小角度θ)の検出精度を向上させることができる。
【0086】
(変形例3)
図14は、実施形態1の変形例3に係るローラの一例を示す断面図である。
図14に示すローラ1cでは、設備100aに対してインロウによる位置決めを行うための嵌合部45Aが円盤部材45a側に設けられている。
【0087】
円盤部材45aには、ネジ101で設備100aに固定するためのネジ穴45Bと、設備100aへの取付け面とが設けられている。
【0088】
図14に示す構成では、設備100aに調整孔102を開口することで、設備100a側からナット43Bにアクセス可能であり、予圧調整等のメンテナンス作業が容易となる。また、モータ部2、回転検出器3、及びトルク検出器5が軸方向の設備100a側に寄せて配置されることで、ローラ1cの軸方向の重心位置が設備100a側に近い位置となり、設備100aとの接続部にかかる負荷を小さくすることができる。
【0089】
また、
図14に示すローラ1cは、
図12に示すローラ1aと同様に、トーションバー42と貫通シャフト43との固定端とモータ部2との間に、トーションバー42の軸方向の他方端側、つまりトーションバー42の開放端側の部分よりも、捩れ方向(回転軸AXを中心軸とする回転方向)に対する剛性が低い捩れ剛性低下部60が設けられている。これにより、例えば、軸方向の長さが比較的短い場合でも、トルク検出器5(第2の回転検出器)により検出されるトーションバー42の開放端の角度変位(微小角度θ)の検出精度を向上させることができる。
【0090】
なお、本実施形態では、上述したように、回転検出器3を第1の回転検出器とし、トルク検出器5として、例えば、1度以下の角度変位を検出可能な第2の回転検出器を用いて、モータ部2を駆動したときの貫通シャフト43に対するトーションバー42の開放端の角度変位(微小角度θ)を検出する構成である。すなわち、トルク検出器5(第2の回転検出器)としては、モータ部2の位置情報を検出する回転検出器3(第1の回転検出器)よりも高分解能な回転検出器を用いることが好ましく、より具体的には、モータ部2の最大トルク発生時におけるトーションバー42の捩れ量を1としたとき、1/100よりも小さい分解能を有しているのが望ましい。
【0091】
また、本実施形態において、トルク検出器5は、例えばトーションバー42に設けた歪ゲージであっても良い。この場合、モータ部2を駆動したときの歪ゲージの抵抗値変動量を検出し、この歪ゲージの抵抗値変動量をトルクTに換算することで、(1)式に示す張力Fを求めることができ、上述したように、帯状搬送物200を適正張力で搬送するための張力制御が可能となる。
【0092】
なお、
図12乃至
図14に示す例では、捩れ剛性低下部60を設ける例を示したが、捩れ剛性低下部60に代えて、
図6に示すように、捩れ剛性低下部60aを設けても良いし、
図9に示すように、捩れ剛性低下部60bを設けても良いことは言うまでもない。
【0093】
以上説明したように、実施形態1に係るローラ1,1a,1b,1cは、ステータ21及び該ステータ21の径方向外側に対向配置されて相対回転するロータ22を含むモータ部2と、ロータ22と共に回転する円筒状のローラハウジング41と、ステータ21が固定される筒状のトーションバー42と、トーションバー42の内壁との間に間隙を介して貫通され、トーションバー42の軸方向の一方端を固定させる貫通シャフト43と、軸方向にモータ部2を間に挟む位置に配置され、ローラハウジング41を回転自在に支持する第1軸受6及び第2軸受7と、ローラハウジング41の回転を検出する回転検出器3(第1の回転検出器)と、貫通シャフト43に対するトーションバー42の軸方向の他方端の相対的な回転を検出するトルク検出器5(第2の回転検出器)と、を備えている。トーションバー42は、軸方向の一方端側に、軸方向の他方端側よりも捩れ方向に対する剛性が低い捩れ剛性低下部60,60a,60bを有している。
【0094】
この構成において、回転検出器3(第1の回転検出器)により検出されるモータ部2の位置情報と、トルク検出器5(第2の回転検出器)により検出されるトーションバー42の軸方向の他方端の角度変位(微小角度θ)とを用いて、目標とする張力が得られるようなトルクとなるようにモータ部2を出力制御することで、帯状搬送物200を適正張力で搬送するための張力制御が可能となる。これにより、張力検出用のローラが不要となり、フィルム搬送経路で使用する総ローラ数を減らすことが可能となる。また、トーションバー42の軸方向の一方端側に、トーションバー42の軸方向の他方端側の部分よりも、捩れ方向(回転軸AXを中心軸とする回転方向)に対する剛性が低い捩れ剛性低下部60,60a,60bを設けることで、トルク検出器5(第2の回転検出器)により検出されるトーションバー42の開放端の角度変位(微小角度θ)の検出精度を向上させることができる。
【0095】
また、回転検出器3(第1の回転検出器)をモータ部2よりも軸方向の一方端側に設けた構成において、トーションバー42と貫通シャフト43との固定端と回転検出器3との間に、トーションバー42の軸方向の他方端側、つまりトーションバー42の開放端側の部分よりも、捩れ方向(回転軸AXを中心軸とする回転方向)に対する剛性が低い捩れ剛性低下部60,60a,60bを設けることで、トルク検出器5(第2の回転検出器)により検出されるトーションバー42の開放端の角度変位(微小角度θ)の検出精度を向上させることができる。
【0096】
また、回転検出器3(第1の回転検出器)をモータ部2とトルク検出器5(第2の回転検出器)との間に設けた構成において、トーションバー42と貫通シャフト43との固定端とモータ部2との間に、トーションバー42の軸方向の他方端側、つまりトーションバー42の開放端側の部分よりも、捩れ方向(回転軸AXを中心軸とする回転方向)に対する剛性が低い捩れ剛性低下部60,60a,60bを設けることで、トルク検出器5(第2の回転検出器)により検出されるトーションバー42の開放端の角度変位(微小角度θ)の検出精度を向上させることができる。
【0097】
また、回転検出器3(第1の回転検出器)をトルク検出器5(第2の回転検出器)よりも軸方向の他方端側に設けた構成において、トーションバー42と貫通シャフト43との固定端とモータ部2との間に、トーションバー42の軸方向の他方端側、つまりトーションバー42の開放端側の部分よりも、捩れ方向(回転軸AXを中心軸とする回転方向)に対する剛性が低い捩れ剛性低下部60,60a,60bを設けることで、トルク検出器5(第2の回転検出器)により検出されるトーションバー42の開放端の角度変位(微小角度θ)の検出精度を向上させることができる。
【0098】
(実施形態2)
図15は、実施形態2に係るローラの一例を示す断面図である。なお、上述した実施形態1と同じ構成要素には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
【0099】
本実施形態におけるローラ1dでは、実施形態1の構成とは異なり、第2の回転検出器5によってトーションバー42の開放端に対するローラハウジング41の相対的な位置情報を検出する構成としている。
【0100】
図15に示す例では、第2の回転検出器5がトーションバー42の開放端に設けられ、第1の回転検出器3は、第2の回転検出器5に対し、モータ部2を挟んでトーションバー42の固定端側に設けられている。より具体的には、第2の回転検出器5のレゾルバステータ51がトーションバー42の開放端に設けられ、第1の回転検出器3のレゾルバステータ31がモータ2よりもトーションバー42の固定端寄りに設けられている。第1の回転検出器3のレゾルバロータ32は、ロータ22の内周面において第1の回転検出器3のレゾルバステータ31に対向する位置に設けられ、第2の回転検出器5のレゾルバロータ52は、ロータ22の内周面において第2の回転検出器5のレゾルバステータ51に対向する位置に設けられている。
【0101】
また、
図15に示す例では、トーションバー42の軸方向の一方端側の一部、より具体的には、トーションバー42と貫通シャフト43との固定端と回転検出器3との間に、トーションバー42の軸方向の他方端側、つまりトーションバー42の開放端側の部分よりも、捩れ方向(回転軸AXを中心軸とする回転方向)に対する剛性が低い捩れ剛性低下部60が設けられている。
【0102】
モータ部2を駆動したときにトーションバー42が受ける反力によって生じる貫通シャフト43に対するトーションバー42の回転方向の捩れ量は、トーションバー42の固定端では0となり、軸方向にトーションバー42の開放端に向かうに従い大きくなる。すなわち、第1の回転検出器3が配置されるトーションバー42の軸方向位置における回転方向の捩れ量は、第2の回転検出器5が配置されるトーションバー42の開放端における回転方向の捩れ量よりも小さい。換言すると、第1の回転検出器3により検出される位置情報は、第2の回転検出器5により検出される位置情報よりもトーションバー42の回転方向の捩れによる影響をより受け難い。
【0103】
本実施形態では、第1の回転検出器3により検出される位置情報と、第2の回転検出器5により検出される位置情報との差分をとり、この差分をトーションバー42の回転方向の捩れによる角度変位(微小角度θ)としてトルクTに換算する。これにより、実施形態1の(1)式に示す張力Fを求めることができる。すなわち、第1の回転検出器3により検出される位置情報と、第1の回転検出器3により検出されるモータ部2の位置情報と第2の回転検出器5により検出されるモータ部2の位置情報との差分とを用いて、目標とする張力が得られるようなトルクとなるようにモータ部2を出力制御することで、帯状搬送物200を適正張力で搬送するための張力制御が可能となる。
【0104】
なお、実施形態1において、モータ部2を駆動したときに回転検出器3により検出されるモータ部2の位置情報の変化範囲は、貫通シャフト43に対するトーションバー42の円筒部42Bの相対的な捩れに対して十分に大きく、第1の回転検出器3を設ける軸方向の位置によって第1の回転検出器3の検出精度に与える影響は小さいものとして説明したが、本実施形態では、上述したように、第1の回転検出器3により検出される位置情報と、第2の回転検出器5により検出される位置情報との差分をとり、この差分をトーションバー42の回転方向の捩れによる角度変位としてトルクTに換算することを意図した構成である。このため、実施形態2における第1の回転検出器3及び第2の回転検出器5としては、実施形態1におけるトルク検出器5(第2の回転検出器)と同等の高分解能な回転検出器を用いることが好ましく、より具体的には、モータ部2の最大トルク発生時におけるトーションバー42の捩れ量を1としたとき、1/100よりも小さい分解能を有しているのが望ましい。
【0105】
また、
図15に示すローラ1dは、上述したように、トーションバー42と貫通シャフト43との固定端と回転検出器3との間に、トーションバー42の軸方向の他方端側、つまりトーションバー42の開放端側の部分よりも、捩れ方向(回転軸AXを中心軸とする回転方向)に対する剛性が低い捩れ剛性低下部60が設けられている。これにより、例えば、軸方向の長さが比較的短い場合でも、第1の回転検出器3により検出される位置情報と、第2の回転検出器5により検出される位置情報との差分、つまり、トーションバー42の回転方向の捩れによる角度変位(微小角度θ)の検出精度を向上させることができる。
【0106】
(変形例1)
図16は、実施形態2の変形例1に係るローラの一例を示す断面図である。
図16に示すローラ1eでは、第1の回転検出器3を
図15に示す例よりもトーションバー42の固定端に近い位置に配置し、捩れ剛性低下部60をモータ部2と第1の回転検出器3との間に設けている。
【0107】
(変形例2)
図17は、実施形態2の変形例2に係るローラの一例を示す断面図である。
図17に示すローラ1fでは、第1の回転検出器3を第2の回転検出器5よりも軸方向の他方端側に設け、捩れ剛性低下部60をトーションバー42と貫通シャフト43との固定端とモータ部2との間に設けている。
【0108】
実施形態1において説明したように、モータ部2を駆動したときに第1の回転検出器3により検出されるモータ部2の位置情報の変化範囲は、貫通シャフト43に対するトーションバー42の円筒部42Bの相対的な捩れに対して十分に大きい。従って、第1の回転検出器3のレゾルバステータ31を貫通シャフト43に配置した場合と等価と見做すことができる。すなわち、第1の回転検出器3は、貫通シャフト43に対するローラハウジング41の位置情報を検出しているものと見做すことができる。
【0109】
一方、本実施形態では、第1の回転検出器3により検出される位置情報と第2の回転検出器5により検出される位置情報との差分が大きいほど、後段の制御精度を向上させることができる。
【0110】
図16に示す変形例1では、モータ部2を駆動したときの貫通シャフト43に対する第1の回転検出器3のレゾルバステータ31の回転方向位置における捩れが
図1に示す例よりも小さくなる。すなわち、モータ部2を駆動したときの貫通シャフト43に対する第1の回転検出器3のレゾルバステータ31の回転方向位置における捩れによって第1の回転検出器3の検出精度に与える影響を小さくすることができ、第1の回転検出器3により検出される位置情報と第2の回転検出器5により検出される位置情報との差分を
図15に示す例よりも大きくすることができる。
【0111】
また、
図16に示すローラ1eは、モータ部2と第1の回転検出器3との間に、トーションバー42の軸方向の他方端側、つまりトーションバー42の開放端側の部分よりも、捩れ方向(回転軸AXを中心軸とする回転方向)に対する剛性が低い捩れ剛性低下部60が設けられている。これにより、例えば、軸方向の長さが比較的短い場合でも、第1の回転検出器3により検出される位置情報と、第2の回転検出器5により検出される位置情報との差分、つまり、トーションバー42の回転方向の捩れによる角度変位(微小角度θ)の検出精度を向上させることができる。
【0112】
図17に示す変形例2では、第1の回転検出器3のレゾルバステータ31は、トーションバー42よりも回転方向の剛性が大きい貫通シャフト43に設けられる。このため、モータ部2を駆動したときの第1の回転検出器3の検出精度が貫通シャフト43に対するトーションバー42の円筒部42Bの相対的な捩れによる影響を受けることがなく、第1の回転検出器3により検出される位置情報と第2の回転検出器5により検出される位置情報との差分を
図16に示す例よりもさらに大きくすることができる。
【0113】
また、
図17に示すローラ1fは、トーションバー42と貫通シャフト43との固定端とモータ部2との間に、トーションバー42の軸方向の他方端側、つまりトーションバー42の開放端側の部分よりも、捩れ方向(回転軸AXを中心軸とする回転方向)に対する剛性が低い捩れ剛性低下部60が設けられている。これにより、例えば、軸方向の長さが比較的短い場合でも、第1の回転検出器3により検出される位置情報と、第2の回転検出器5により検出される位置情報との差分、つまり、トーションバー42の回転方向の捩れによる角度変位(微小角度θ)の検出精度を向上させることができる。
【0114】
(変形例3)
図18は、実施形態2の変形例3に係るローラの一例を示す断面図である。
図18に示すローラ1gでは、設備100aに対してインロウによる位置決めを行うための嵌合部45Aが円盤部材45a側に設けられている。
【0115】
円盤部材45aには、ネジ101で設備100aに固定するためのネジ穴45Bと、設備100aへの取付け面とが設けられている。
【0116】
図18に示す構成では、設備100aに調整孔102を開口することで、設備100a側からナット43Bにアクセス可能であり、メンテナンス作業が容易となる。また、モータ部2、回転検出器3、及びトルク検出器5が軸方向の設備100a側に寄せて配置されることで、ローラ1gの軸方向の重心位置が設備100a側に近い位置となり、設備100aとの接続部にかかる負荷を小さくすることができる。
【0117】
また、
図18に示すローラ1gは、
図15に示すローラ1dと同様に、トーションバー42と貫通シャフト43との固定端と回転検出器3との間に、トーションバー42の軸方向の他方端側、つまりトーションバー42の開放端側の部分よりも、捩れ方向(回転軸AXを中心軸とする回転方向)に対する剛性が低い捩れ剛性低下部60が設けられている。これにより、例えば、軸方向の長さが比較的短い場合でも、第1の回転検出器3により検出される位置情報と、第2の回転検出器5により検出される位置情報との差分、つまり、トーションバー42の回転方向の捩れによる角度変位(微小角度θ)の検出精度を向上させることができる。
【0118】
なお、
図15乃至
図18に示す例では、捩れ剛性低下部60を設ける例を示したが、捩れ剛性低下部60に代えて、実施形態1の
図6に示すように、捩れ剛性低下部60aを設けても良いし、実施形態1の
図9に示すように、捩れ剛性低下部60bを設けても良いことは言うまでもない。
【0119】
以上説明したように、実施形態2に係るローラ1d,1e,1f,1gは、ステータ21及び該ステータ21の径方向外側に対向配置されて相対回転するロータ22を含むモータ部2と、ロータ22と共に回転する円筒状のローラハウジング41と、ステータ21が固定される筒状のトーションバー42と、トーションバー42の内壁との間に間隙を介して貫通され、トーションバー42の軸方向の一方端を固定させる貫通シャフト43と、軸方向にモータ部2を間に挟む位置に配置され、ローラハウジング41を回転自在に支持する第1軸受6及び第2軸受7と、ローラハウジング41の回転を検出する第1の回転検出器3と、トーションバー42の軸方向の他方端に対するローラハウジング41の相対的な回転を検出する第2の回転検出器5と、を備えている。トーションバー42は、軸方向の一方端側に、軸方向の他方端側よりも捩れ方向に対する剛性が低い捩れ剛性低下部60,60a,60bを有している。
【0120】
この構成において、第1の回転検出器3により検出される位置情報と、第1の回転検出器3により検出されるモータ部2の位置情報と第2の回転検出器5により検出されるモータ部2の位置情報との差分とを用いて、目標とする張力が得られるようなトルクとなるようにモータ部2を出力制御することで、帯状搬送物200を適正張力で搬送するための張力制御が可能となる。これにより、張力検出用のローラが不要となり、フィルム搬送経路で使用する総ローラ数を減らすことが可能となる。また、トーションバー42の軸方向の一方端側に、トーションバー42の軸方向の他方端側の部分よりも、捩れ方向(回転軸AXを中心軸とする回転方向)に対する剛性が低い捩れ剛性低下部60,60a,60bを設けることで、回転検出器3(第1の回転検出器)により検出される位置情報と、トルク検出器5(第2の回転検出器)により検出される位置情報との差分、つまり、トーションバー42の回転方向の捩れによる角度変位(微小角度θ)の検出精度を向上させることができる。
【0121】
また、回転検出器3(第1の回転検出器)をモータ部2よりも軸方向の一方端側に設けた構成において、トーションバー42と貫通シャフト43との固定端と回転検出器3(第1の回転検出器)との間に、トーションバー42の軸方向の他方端側、つまりトーションバー42の開放端側の部分よりも、捩れ方向(回転軸AXを中心軸とする回転方向)に対する剛性が低い捩れ剛性低下部60,60a,60bを設けることで、回転検出器3(第1の回転検出器)により検出される位置情報と、トルク検出器5(第2の回転検出器)により検出される位置情報との差分、つまり、トーションバー42の回転方向の捩れによる角度変位(微小角度θ)の検出精度を向上させることができる。
【0122】
また、回転検出器3(第1の回転検出器)をモータ部2よりも軸方向の一方端側に設けた構成において、モータ部2と回転検出器3(第1の回転検出器)との間に、トーションバー42の軸方向の他方端側、つまりトーションバー42の開放端側の部分よりも、捩れ方向(回転軸AXを中心軸とする回転方向)に対する剛性が低い捩れ剛性低下部60,60a,60bを設けることで、回転検出器3(第1の回転検出器)により検出される位置情報と、トルク検出器5(第2の回転検出器)により検出される位置情報との差分、つまり、トーションバー42の回転方向の捩れによる角度変位(微小角度θ)の検出精度を向上させることができる。
【0123】
また、回転検出器3(第1の回転検出器)をトルク検出器5(第2の回転検出器)よりも軸方向の他方端側に設けた構成において、トーションバー42と貫通シャフト43との固定端とモータ部2との間に、トーションバー42の軸方向の他方端側、つまりトーションバー42の開放端側の部分よりも、捩れ方向(回転軸AXを中心軸とする回転方向)に対する剛性が低い捩れ剛性低下部60,60a,60bを設けることで、回転検出器3(第1の回転検出器)により検出される位置情報と、トルク検出器5(第2の回転検出器)により検出される位置情報との差分、つまり、トーションバー42の回転方向の捩れによる角度変位(微小角度θ)の検出精度を向上させることができる。
【0124】
なお、上述した実施形態1,2では、第1軸受6及び第2軸受7に予圧を加える弾性部材として皿ばね43Cを用いる例を示したが、皿ばね43Cに代えて、圧縮コイルばねを用いても良いことは言うまでもない。弾性部材として圧縮コイルばねを用いることにより、弾性部材として皿ばね43Cを用いた実施形態1,2に対し、高温環境下やローラ1bの内部温度と外部温度との差が大きい場合でも、定圧予圧状態を維持することが可能となる。
【0125】
また、上述した実施形態1,2では、回転検出器としてレゾルバを用いる例について説明した。レゾルバのような磁気式センサは、振動に強く、また、高温環境下での用途に適しているが、より高精度な制御を行う必要がある場合には、回転検出器として光学式のエンコーダを用いても良いことはいうまでもない。
【0126】
また、上述した実施形態1,2では、モータ部に永久磁石を用いたPM(Permanent Magnet)型のモータを用いる例について説明したが、VR(Variable Reluctance)型モータを用いた構成であっても良い。PM型モータは、より滑らかな回転が可能であるが、高温環境下での用途としては、VR型モータが適しており、モータ部としてVR型のモータを用いても良いことはいうまでもない。
【0127】
また、回転検出器としてレゾルバを用いる場合には、レゾルバの歯数をモータ部の歯数と合わせることで、起動時における磁極位置推定動作を省略することができる。
【0128】
上述したように、本実施形態に係るローラ1,1a,1b,1c,1d,1e,1f,1gを用いることで、張力検出用のローラを用いることなく帯状搬送物200の張力制御が可能となるので、この実施形態に係るモータ1,1a,1b,1c,1d,1e,1f,1gは、例えば、フレキシブル基板や曲面ディスプレイに用いられる液晶フィルムあるいは有機ELフィルム等の高機能フィルムの製造に用いられるフィルム搬送装置に用いるのに適している。