特許第6582969号(P6582969)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6582969空気清浄機およびこの空気清浄機を有する空気調和システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6582969
(24)【登録日】2019年9月13日
(45)【発行日】2019年10月2日
(54)【発明の名称】空気清浄機およびこの空気清浄機を有する空気調和システム
(51)【国際特許分類】
   F24F 7/00 20060101AFI20190919BHJP
   A61L 9/015 20060101ALI20190919BHJP
   F24F 11/65 20180101ALI20190919BHJP
   F24F 7/007 20060101ALI20190919BHJP
【FI】
   F24F7/00 A
   A61L9/015
   F24F11/65
   F24F7/007 B
【請求項の数】2
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-252715(P2015-252715)
(22)【出願日】2015年12月25日
(65)【公開番号】特開2017-116187(P2017-116187A)
(43)【公開日】2017年6月29日
【審査請求日】2018年5月31日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006611
【氏名又は名称】株式会社富士通ゼネラル
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 恵望
【審査官】 ▲高▼藤 啓
(56)【参考文献】
【文献】 特開平06−241540(JP,A)
【文献】 特開2015−161478(JP,A)
【文献】 特開2011−027354(JP,A)
【文献】 特開2015−052431(JP,A)
【文献】 特開2014−77599(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 7/00
A61L 9/015
F24F 7/007
F24F 11/65
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸込んだ空気を浄化して吹き出す空気清浄機であって、
他の電気機器より送信された信号を受信する受信部と、
前記受信部を制御する制御部を備え、
前記制御部は複数の運転モードを有し、
前記受信部が、部屋の広さに合わせて設置された前記他の電機機器の運転能力に関する信号を受信した場合、
前記制御部は前記受信部が受信した運転能力に基づいて前記空気清浄機の運転モードを選択することを特徴とする空気清浄機。
【請求項2】
前記空気清浄機へ部屋の広さに合わせて設置された前記他の電機機器の運転能力に関する信号を送信する送信部を備えた空気調和機である前記他の電気機器と請求項1に記載の空気清浄機を備えたことを特徴とする空気調和システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気清浄機およびこの空気清浄機を有する空気調和システムに関わるものである。
【背景技術】
【0002】
空気清浄機は、特許文献1に示すように、埃などが含まれた室内空気を吸い込み、内部に設けられたフィルタなどで埃を取り除いて、室内空気を浄化することができる。
【0003】
また、空気清浄機は内部に設けられたオゾン発生ユニットより発生したオゾンによって、吸い込んだ室内空気に含まれるタバコやペットなどの臭いを脱臭することができる。
【0004】
一般に、空気清浄機は、運転開始時にユーザーが手動で空気清浄機を設置した部屋の大きさに応じて運転モードを切り替えて、風量の強弱やオゾン発生ユニットで発生させるオゾンの量を調整している。例えば、空気清浄機を設置した部屋が広い(例えば、20畳)場合は送風量を多くする必要があるが、空気清浄機を設置した部屋が狭い(例えば、6畳)場合は送風量を少なくしてもよく、送風量を小さくすることで省電力になる。また、空気清浄機を設置した部屋が広い場合は発生させるオゾンの量を多くし、空気清浄機を設置した部屋が狭い場合は発生させるオゾンの量を少なくしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2014―37964号公報
【特許文献2】特開2015―161478号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1ではユーザーが空気清浄機を操作しない限り送風量やオゾンの発生量が変化することはない。そのため、例えばユーザーが空気清浄機を広い部屋から狭い部屋に運び、運転モードを変更せずに運転を開始した場合、風が部屋の広さに対して必要以上に吹き出されるため、必要以上に電力が消費されるおそれがあった。さらに、部屋の広さに対して必要以上の量のオゾンが生成されるため、部屋の中のオゾン濃度が高くなり、オゾン臭が生じるおそれがあった。また、ユーザーが空気清浄機を狭い部屋から広い部屋に運び、運転モードを変更せずに運転を開始した場合、風が部屋の広さに対して必要な風量を吹き出されないため、風が部屋全体を循環しないため、部屋全体の空気を浄化できないおそれがあった。さらに、部屋の広さに対して必要な量のオゾンが生成されないため、部屋の隅々では脱臭効果が得られないおそれもあった。
【0007】
また、特許文献2に示すように、空気調和機と空気清浄機が通信を行うものがある。しかし、この特許文献2に開示されている技術は、空気調和機が運転開始を示す信号を送信して空気清浄機を運転させる、または空気清浄機の送風量を増加させて空気調和機と空気清浄機を共働させているだけで、空気清浄機が部屋の広さまたはこれに準じるような情報(例えば、空気調和機の運転能力)を得られず、部屋の広さに適した運転モードにするものではなかった。
【0008】
そこで、本発明は、上記の課題を解決するために、空気清浄機の運転を開始した場合、自動で部屋の広さに適切な運転モードに切り替えることができる空気清浄機を提供することを目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決するために、本発明の空気清浄機は、 吸込んだ空気を浄化して吹き出す空気清浄機であって、他の電気機器より送信された信号を受信する受信部と、前記受信部を制御する制御部を備え、前記制御部は複数の運転モードを有し、前記受信部が、部屋の広さに合わせて設置された前記他の電機機器の運転能力に関する信号を受信した場合、前記制御部は前記受信部が受信した運転能力に基づいて前記空気清浄機の運転モードを選択することを特徴とする。
【0010】
また、本発明の空気調和システムは、空気清浄機へ運転能力に関する信号を送信する送信部を備えた空気調和機である他の電気機器と上記の空気清浄機を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、空気清浄機は運転を開始した時に、自動で部屋の広さに合わせた運転モードで運転することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、本発明にかかる空気清浄機と空気調和機の外観を示した斜視図である。
図2図2は、本発明にかかる空気清浄機の外観を示した斜視図である。
図3図3は、本発明にかかる空気清浄機と空気調和機の構成を示したブロック図である。
図4図4は、本発明にかかる空気清浄機の動作を示したフローチャートである。
図5図5は、本発明にかかる空気調和機の動作を示したフローチャートである。
図6図6(a)は、空気調和機の運転能力と空気清浄機の運転モードとの対比を示したテーブルである。図6(b)は各運転モードでのUVランプの点滅時間を示したテーブルである。
図7図7は、本発明にかかる空気調和システムの動作を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明にかかる空気清浄機の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の説明により本発明が限定されるものではない。また、以下の説明による構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、或いは実質的同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。
【実施例】
【0014】
まず、本実施例の空気清浄機について説明する。図1は、本実施例の空気清浄機100と空気調和機200の正面側の外観を示した斜視図である。図2は、空気清浄機100の背面側の外観を示した斜視図である。
【0015】
空気清浄機100は、図1図2に示すように、筐体110が縦長の略直方体形状で構成されており、面積の最も大きい側面の一方を前面パネル132とし、前面パネル132と対向する他方の側面を背面パネル134として、背面パネル134には多数の開口部を設けた空気の吸込口126が形成されている。前面パネル132と背面パネル134以外の左右の側面パネルには、空気清浄機100を持ち運ぶための把手となる凹部110aが形成されている。また、筐体110の上面には、ユーザーが空気清浄機100を運転操作するための各種ボタンや表示ランプ等が配置された操作部である操作パネル144と、その操作パネル144に隣接する位置には、手動により開閉する矩形状のルーバ130が配置されている。このルーバ130が開くことで、空気清浄機100の内部で浄化された空気を吹き出す吹出口が形成される。この操作パネル144にある図示しない運転モードのボタンをユーザーが操作することにより、送風量を「強」、「中」、「弱」のいずれかに設定することができる。また、図示しないオゾン発生量のボタンを操作することによりオゾンの発生量を「多」、「中」、「少」のいずれかに設定することができる。操作パネル144には他の電気機器である空気調和機200と通信するための送受信部170が配置されている。送受信部170は、図示しないリモコンや空気調和機200から送信された信号を受信する機能と、内部にある赤外線発光ダイオードを用いて空気調和機200に対して信号を送信する機能を有している。送受信部170は信号を受信した後、受信した信号を後述する制御部190に送る。
【0016】
空気清浄機100の内部構成について図3を用いて説明する。図3に示すように、本実施例の空気清浄機100は、送風機181と、オゾン発生ユニット182と、操作パネル144と、送受信部170と、制御部190を備えている。
【0017】
送風機181は、図示しないファンモータとファンで構成され、ファンモータがファンを回転させることによって、吸込口126から室内の空気を吸引する。オゾン発生ユニット182は、オゾン発生ユニット182の内部に取り込まれた空気から図示しないUVランプの紫外線によりオゾンを発生させている。操作パネル144は上述のように筐体110の上面に配置された空気清浄機100を運転操作するための各種の操作ボタンを備えている。送受信部170も上述のように筐体110の上面に配置され他の電気機器と通信するためのものである。制御部190は、空気清浄機100の動作を制御するものである。この制御部190は、操作パネル144からの指示に基づいて、運転制御を行う。例えば、制御部190は送風機181の送風量を「強」、「中」、「弱」のいずれか一つの運転モードに制御すると共に、オゾン発生ユニット182内にある図示しないUVランプの点滅制御を行うことでオゾンの発生量を制御する。具体的には、図6(b)に示すように、オゾン発生ユニット182はオゾンの発生量が「多」の場合はUVランプを1秒間点灯させた後にUVランプを1秒間消灯させ、オゾンの発生量が「中」の場合はUVランプを1秒間点灯させた後にUVランプを2秒間消灯させ、オゾンの発生量が「少」の場合はUVランプを1秒間点灯させた後にUVランプを3秒間消灯させている。また、制御部190は図6(a)に示す能力対比テーブルを記憶している。この能力対比テーブルは後述する空気調和機200の運転能力から推測される部屋の広さに応じた運転モードが関連づけされたテーブルである。
【0018】
次に、空気調和機200について説明する。
【0019】
空気調和機200は、図1に示すように、筐体210が横長の略直方体形状で構成されており、室内の壁に取り付けられる一方の面を背面とし、この背面と対向する他方の面を前面パネル220とする。前面パネル220が開くことで吸込口が形成される。この前面パネルには空気調和機200の運転状況を示す表示ランプ230が配置されている。また、前面パネル220の下方には筐体210内に吸込まれた空気が吹き出される吹出口240が配置されている。この吹出口240の右隣で筐体210の表面には空気清浄機100などの空気調和機200以外の電気機器と信号を送受信する空調機送受信部250が配置されている。この空調機送受信部250は、図示しないリモコンや空気清浄機100などの空気調和機200以外の電気機器から送信された信号を受信する機能と、内部にある赤外線発光ダイオードを用いてリモコンや空気清浄機100などの空気調和機200以外の電気機器に対して信号を送信する機能を有している。
【0020】
空気調和機200の内部構成について、図3を用いて説明する。図3に示すように、空気調和機200は、記憶部260と、空調機送受信部250と、空調機制御部270を備えている。
【0021】
記憶部260は、空気調和機200の運転能力(例えば、2.2kw、4.0kw、6.3kwなど)を記憶している。通常、部屋の広さに合わせて空気調和機は設置される。例えば、20畳の広い部屋に設置される空気調和機の運転能力は6.3kwと大きく、6畳ほどの狭い部屋に設置される空気調和機の運転能力は2.2kwと小さい。空調機送受信部250は、上述のように、空気清浄機100と信号を送受信するものである。空調機制御部270は空気調和機200の動作を制御するものである。
【0022】
以上の構成を用いた本実施例の空気清浄機100が自動で運転能力を設定する制御方法について、図4を基に説明する。なお、空気清浄機100は運転を開始した時に自機の運転能力を自動で設定する。
【0023】
空気清浄機100が運転を開始して自動で運転能力を設定するまでの動作について以下に説明する。空気清浄機100が運転を開始した時、空気清浄機100の制御部190は送受信部170より運転開始を示す信号を空気調和機200に対して送信する(S101)。制御部190は、空気調和機200からの運転能力に関する信号を受信したか否かを判断する(S102)。空気調和機200からの運転能力に関する信号を受信した(S102−Yes)場合、制御部190は内部に記憶している図6(a)に示す能力対比テーブルを基に、受信した信号に含まれる運転能力に基づいて運転モードを選択し、選択した運転モードに応じたオゾン発生量を選択する(S103)。制御部190は選択した運転モードで送風機181が動作するよう制御すると共に、選択した発生量のオゾンをオゾン発生ユニット182が生成するよう制御する(S104)。空気調和機200からの運転能力に関する信号を受信していない(S102−No)場合、制御部190は信号を送信してから所定時間(例えば、10秒間)が経過したか否かを判断する(S105)。所定時間が経過していない(S105−No)場合、S102に戻る。所定時間が経過した(S105−Yes)場合、制御部190は送風機181の運転モードを「弱」に設定し、オゾン発生ユニット182のオゾン発生量を「少」に設定する(S106)。
【0024】
一方、空気調和機200では、空気清浄機100が送信した運転開始を示す信号を空調機送受信部250が受信した(S201)後、受信した信号を空調機制御部270に送る。空調機制御部270は記憶部260に記憶されている運転能力に関する情報を取得する(S202)。そして、空調機制御部270は取得した運転能力に関する情報を信号として空調機送受信部250から送信するよう制御する(S203)。
【0025】
なお、空気清浄機100と空気調和機200を備えた空気調和システムの動作について図7を基に以下に説明する。初めに、空気清浄機100が運転開始を示す信号を空気調和機200に対して送信する(S301)。空気調和機200は運転開始を示す信号を受信したか否かを判断する(S302)。運転開始を示す信号を受信していない(S302−No)場合、空気調和機200の動作は終了する。運転開始を示す信号を受信した(S302−Yes)場合、空気調和機200は運転能力に関する信号を空気清浄機100に送信する(S303)。
【0026】
空気清浄機100は運転能力に関する信号を受信したか否かを判断する(S304)。運転能力に関する信号を受信した(S304−Yes)場合、空気清浄機100は受信した信号に含まれる運転能力に基づいて運転モードを選択し、運転する(S305)。その際、空気清浄機100は選択した運転モードに応じたオゾン発生量を発生させる。運転能力に関する信号を受信していない(S304−No)場合、空気清浄機100は送風機181の運転モードを「弱」に設定し、オゾン発生ユニット182のオゾン発生量を「少」に設定し、運転する(S306)。
【0027】
以上に説明した本実施例では、空気清浄機100と空気調和機200は双方向通信を行なっているが、本発明はこれに限定したものではない。例えば、空気調和機200が運転能力に関する情報を定期的に送信するようにして、空気清浄機100はその運転能力に関する情報を受信できるようにしてもよい。この場合、空気調和機200は送信部だけでよく、空気清浄機100は受信部だけを備えればよい。
【0028】
以上より、本実施例の空気清浄機100は、自動的に適切な運転モードを設定することができる。
【符号の説明】
【0029】
100 空気清浄機
110 筺体
170 送受信部
182 オゾン発生ユニット
190 制御部
200 空気調和機
250 空調機送受信部
260 記憶部
270 空調機制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7