【実施例】
【0061】
以下、実施例により本発明を詳細に説明する。本発明における各特性の定義および測定法は以下のとおりである。
【0062】
(1)カナダ標準ろ水度
カナダ標準ろ水度は、JIS P8121(1995)カナダ標準ろ水度試験方法に準拠して測定した。
【0063】
(2)二酸化炭素遮蔽率
幅0.36m、長さ0.60m、高さ0.36m(0.078m
3)のボックスの開口部(20cm×20cm)に試験片(25cm×25cm)を貼り、ボックス内の濃度が8,000ppmとなるように二酸化炭素を注入し、1時間後のボックス内の二酸化炭素濃度(ppm)を測定し、次式により二酸化炭素遮蔽率(%)を計算した。
二酸化炭素遮蔽率(%)
={(1時間後のボックス内の二酸化炭素濃度−外気二酸化炭素濃度炭素濃度)/(ボックス内の初期二酸化炭素濃度−外気二酸化炭素濃度)}×100
(3)透湿度
透湿度は、JIS Z0208(1976)透湿度(カップ法)の方法により測定した。使用したカップは、直径φ60mmで深さ25mmである。試験片は、直径φ70mmの円形を5枚採取した。試験片は、80℃の温度に設定した乾燥機を用いて1時間処理し、20℃の温度で湿度65%RHに設定した恒温恒湿槽内で1時間処理した。次に、その試験片を、水分測定用塩化カルシウム(和光純薬工業製)の入ったカップに設置し、初期質量(T0)を測定し、20℃の温度で湿度65%RHに設定した恒温恒湿槽内で1時間、2時間、3時間、4時間、および5時間処理し、それぞれの時間での質量(それぞれT1、T2、T3、T4およびT5)を測定した。下記式により透湿度を求め、5枚の平均値を値とした。
透湿度(g/m
2/hr)={[(T−T0)/T0)+((T−T1)/T1)+((T−T2)/T2)+((T−T3)/T3)+((T−T4)/T4)+((T−T5)/T5)]/5}×100。
【0064】
(4)厚み
厚みは、試料の異なる箇所から長さ200mm、幅200mmの試験片を3枚採取し、温度20℃、湿度65%RHで24hr放置後、それぞれの中央と4隅の5点の厚さ(μm)を測定器(型式ID−112、(株)ミツトヨ製)を用いて1μmまで測定し、平均値を値とした。
【0065】
(5)目付
JIS L1906(2000)5.2の方法により目付を測定した。試料の異なる箇所から長さ200mm、幅250mmの試験片を3枚採取し、温度20℃、湿度65%RHで24時間放置後、それぞれの質量(g)を量り、その平均値を1m
2当たりの質量(g/m
2)で表し、3枚の平均値を値とした。
【0066】
また、第1の層の目付及び第2の層の目付については、各層につき抄き上げ部にて長さ200mm、幅250mmの試験片を3枚採取し、乾燥後、上記と同様の方法により測定した。
【0067】
また、熱交換用原紙の目付けは、抄紙後の質量から求めるものとし、抄紙工程で用いる剤以外の剤(例えば吸湿剤、防炎剤など)が付着している場合は、全て取り除いてから、上記と同様の方法により測定した。
【0068】
(6)ナノファイバーの繊維径および数平均繊維径
ナノファイバーの数平均繊維径は、次のようにして求めた。すなわち、走査型電子顕微鏡(日立製作所社製S−3500N型)で倍率30,000倍で撮影したナノファイバーの集合体の写真を、画像処理ソフト(WINROOF)を用いて、5mm角のサンプル内で無作為抽出した30本の単繊維直径をnm単位で小数の1桁目まで測定して、少数の1桁目を四捨五入する。サンプリングは、合計10回行って各30本の単繊維直径のデータを取り、合計300本の単繊維直径のデータを取得した。数平均繊維径は単繊維直径の値を積算し、全数で除した単純平均値を使用した。
【0069】
(7)全熱交換素子の温度交換効率と湿度交換効率
JIS B8628(2003)に規定される方法により、室外から熱交換器に導入する空気(外気)と、室内から熱交換器に導入する空気(環気)と、熱交換器から室内に供給する空気(給気)の温度と湿度を測定し温度交換効率と湿度交換効率を求めた。温度と湿度の測定は、温度・湿度データロガー(ティアンドデイ製“おんどとり”(登録商標)TR−71Ui)を使用した。温度と湿度の測定位置は、全熱交換素子から30cm離れた位置で測定した。測定空気は、冷房条件として、外気が温度35℃、湿度64%RHで風量150m
3/hrとし、環気が温度27℃、湿度52%RHで風量150m
3/hrとし、湿度交換効率を求めた。また、暖房条件として、外気が温度5℃、湿度58%RHで風量150m
3/hrとし、環気が温度20℃、湿度51%RHで風量150m
3/hrとし、温度交換効率を求めた。
【0070】
(8)全熱交換素子の有効換気量率
JIS B8628(2003)に規定される方法により、室内から熱交換器に導入する空気(環気)に8,000ppmの濃度の二酸化炭素を導入し、室外から熱交換器に導入する空気(外気)と、熱交換器から室内に供給する空気(給気)の二酸化炭素濃度を測定し、下記式により有効換気量率を求めた。二酸化炭素濃度は、(株式会社テストー製“CO
2計測器testo535”)を使用した。測定位置は、全熱交換素子から30cm離れた位置で測定した。測定空気は、外気が温度20℃、湿度50%RHで風量150m
3/hrとし、環気が温度20℃、湿度50%RHで風量150m
3/hrとした。
有効換気量率(%)=(給気側二酸化炭素濃度−外気側二酸化炭素濃度)/(環気側二酸化炭素濃度−外気側二酸化炭素濃度)×100
(9)シート強度
シート強度は、丸網抄紙機により熱交換用原紙を長さ100mにわたり抄紙し、その熱交換用原紙を用いて全熱交換素子を成型する工程での方法によって評価した。紙切れが1回以下の原紙(生産性良好)を「良」と判定した。また、紙切れが2回以上の原紙、又は、丸網抄紙機において抄紙不良により熱交換用原紙を長さ100m得られないものを「不良」として判定した。
(10)ナノファイバーの含有率
試料の異なる箇所から長さ200mm、幅250mmの試験片を5枚採取し、温度20℃、湿度65%RHで24時間放置後、それぞれの初期質量(g)を量った。この際、初期質量は、抄紙後の質量から求めるものとし、抄紙工程で用いる剤以外の剤(例えば吸湿剤、防炎剤など)が付着している場合は、全て取り除いてから、上記と同様の方法により量った。
【0071】
次に、ナノファイバーは溶解するが繊維状物質が溶解しない剤(例えばナノファイバーがポリエステル系であれば水酸化ナトリウム溶液、ナイロン系であれば蟻酸)に試料を24時間浸漬させ、水洗後、乾燥させる。その後、温度20℃、湿度65%RHで24時間放置後、それぞれの処理後質量(g)を量った。下記式によりナノファイバーの含有率を求め、5枚の平均値を値とした。
【0072】
ナノファイバー含有率(%)=初期質量(g)−処理後質量(g)/初期質量(g)×100 。
【0073】
[
比較例11]
(第1の層)
針葉樹パルプを水に分散し、ビーターにより表1記載のJIS P8121(1995)に規定されるカナダ標準ろ水度(CSF)となるように叩解し、第1の層用繊維を得た。
【0074】
(第2の層)
針葉樹パルプを水に分散し、ビーターにより表1記載のJIS P8121(1995)に規定されるカナダ標準ろ水度(CSF)となるように叩解し、第2の層用セルロース繊維を得た。
【0075】
(熱交換用原紙の作製)
上記で得られた第1の層繊維と第2の層繊維をそれぞれ抄き上げ部に準備し、丸網抄紙機を用いて多層抄きにより第1の層の目付30g/m
2、第2の層の目付10g/m
2から構成される総目付40g/m
2の紙を得た。ここで、第2の層を抄き合わせる前の第1の層を採取した。第1の層は目付30g/m
2であり、二酸化炭素遮蔽率77%であった。
【0076】
吸湿剤として塩化リチウムを含浸加工により7g/m
2添加し、乾燥することで熱交換用原紙を得た。ここで、熱交換用原紙の断面をSEMにて観察した結果、100μm角の正方形の領域に、10μm角以下の微多孔が12個空いていた。
【0077】
(全熱交換素子の作製)
上記セルロース繊維を用い、別途作製した目付60g/m
2のセルロースクラフト紙を、中芯紙とし、熱交換用原紙とコルゲート加工を行い、段高さ2mm、段ピッチ5mmの片面段ボールを得た。上記片面段ボールを、段目方向が一段ずつ交差するように積層し、縦350mm、横350mm、高さ200mmの全熱交換素子を作製した。
【0078】
以上のようにして得られた熱交換用原紙の物性およびそれを用いた全熱交換素子の特性を表1に示す。
【0079】
[
比較例12]
アラミド繊維(東レ・デュポン(株)製、「ケブラー」、1.7dtex、長さ3mm)を、パルパーとファイバライザーにて、表1記載のJIS P8121(1995)に規定されるカナダ標準濾水度(CSF)となるように叩解し、第1の層用の繊維状物質を得た。これを第1の層用の繊維状物質に用いた以外は、
比較例11と同じ方法で熱交換用原紙および全熱交換素子を作製した。
【0080】
以上のようにして得られた熱交換用原紙の物性およびそれを用いた全熱交換素子の特性を表1に示す。
【0081】
[実施例3]
(ナノファイバーの作製)
融点220℃のナイロン6、40質量%と、融点170℃のポリL乳酸(光学純度99.5%以上)、60質量%を、2軸型の押出混練機を用いて220℃で溶融混練してポリマーアロイチップを得た。
【0082】
上記ポリマーアロイチップを、1軸型の押出機を備えたステープル用の溶融紡糸装置に投入し、235℃で溶融し、スピンブロックに導いた。そして、ポリマーアロイ溶融体を限界濾過径15μmの金属不織布に濾過させ、紡糸温度235℃で、孔径0.3mmの吐出孔を有し口金面温度215℃とした口金から吐出させた。吐出された線状の溶融ポリマーを冷却風で冷却固化し、油剤を付与し、紡糸速度1350m/分で引き取った。得られた未延伸糸を合糸した後、延伸温度90℃、延伸倍率3.04倍、熱セット温度130℃で延伸熱処理し、単繊維繊度3.0dtex、総繊度50万dtexのポリマーアロイ繊維のトウを得た。得られたポリマーアロイ繊維は、強度3.4cN/dtex、伸度45%であった。上記ポリマーアロイ繊維のトウを、95℃に保った5%水酸化ナトリウム水溶液に1時間浸漬し、ポリマーアロイ繊維中で海成分となっているポリL乳酸成分を加水分解によって除去(脱海)した。次いで酢酸で中和し、水洗、乾燥し、ナノファイバーの繊維束を得て、この繊維束を1mm長にカットした。このカット繊維を、水10Lあたり30gの濃度で、熊谷理機工業(株)製、試験用ナイヤガラビーターに仕込み、5分間予備叩解し、水を切って回収した。次いでこの回収物を自動式PFIミル(熊谷理機工業(株)製)に仕込み、回転数1500rpmクリアランス0.2mmの条件で6分間叩解した。そして、水を含んで粘土状となった回収物を80℃の熱風乾燥機内で24時間乾燥させ、ナノファイバーを得た。得られたナノファイバーの直径は110〜180nmで、その数平均繊維径は150nmであった。
【0083】
(第2の層)
上記で得られた数平均繊維径150nmのナイロン6ナノファイバー60質量%と、実施例1と同じ方法で得られた第2の層用の繊維状物質40質量%とを、水中で攪拌し混合物を作製した。これを本実施例の第2の層用の材料として用いた。
【0084】
(熱交換用原紙および全熱交換素子)
第2の層の組成を前記のとおりとした他は、実施例1と同じ方法で熱交換用原紙および全熱交換素子を作製した。
【0085】
ここで、熱交換用原紙の断面を透過型電子顕微鏡(以下「SEM」という。)にて観察した結果、100μm角の正方形の領域に、3μm角以下の微多孔が98個空いていた。
【0086】
以上のようにして得られた熱交換用原紙の物性およびそれを用いた全熱交換素子の特性を表2に示す。
【0087】
[実施例4]
(第2の層)
実施例3と同じ方法で得られた数平均繊維径150nmのナイロン6ナノファイバー5質量%と、実施例1と同じ方法で得られた第2の層用の繊維状物質95質量%とを、水中で攪拌し混合物を作製した。
【0088】
これを本実施例の第2の層用の材料として用いた。
【0089】
(熱交換用原紙および全熱交換素子)
第2の層の組成を前記のとおりとした他は、実施例1と同じ方法で熱交換用原紙および全熱交換素子を作製した。
【0090】
以上のようにして得られた熱交換用原紙の物性およびそれを用いた全熱交換素子の特性を表2に示す。
【0091】
[実施例5]
(第2の層)
実施例3と同じ方法で得られた数平均繊維径150nmのナイロン6ナノファイバー30質量%と、実施例1と同じ方法でえられた第2の層用の繊維状物質70質量%を、水中で攪拌し混合物を作製した。これを本実施例の第2の層用の材料として用いた。
【0092】
(熱交換用原紙および全熱交換素子)
第2の層の組成を前記のとおりとした他は、実施例1と同じ方法で熱交換用原紙および全熱交換素子を作製した。
【0093】
以上のようにして得られた熱交換用原紙の物性およびそれを用いた全熱交換素子の特性を表2に示す。
【0094】
[実施例6]
(第2の層)
実施例3と同じ方法で得られた数平均繊維径150nmのナイロン6ナノファイバー70質量%と、実施例1と同様にして得られた第2の層用の繊維状物質30質量%とを、水中で攪拌し混合物を作製した。これを本実施例の第2の層用の材料として用いた。
【0095】
(熱交換用原紙および全熱交換素子)
第2の層の組成を前記のとおりとした他は、実施例1と同じ方法で熱交換用原紙および全熱交換素子を作製した。
【0096】
以上のようにして得られた熱交換用原紙の物性およびそれを用いた全熱交換素子の特性を表2に示す。
【0097】
[実施例7]
(熱交換用原紙の作製)
実施例1と同じ方法で得られた第1の層用の繊維状物質と、実施例3と同じ方法で得られた第2の層用の材料をそれぞれ抄き上げ部に準備し、丸網抄紙機を用いて多層抄きにより第1の層の目付30g/m
2、第2の層の目付5g/m
2から構成される総目付35g/m
2の熱交換用原紙を得た。これを熱交換用原紙として用いた以外は、実施例1と同じ方法で全熱交換素子を作製した。
【0098】
以上のようにして得られた熱交換用原紙の物性およびそれを用いた全熱交換素子の特性を表3に示す。
【0099】
[実施例8]
(熱交換用原紙の作製)
実施例1と同じ方法で得られた第1の層用の繊維状物質と、実施例3と同じ方法で得た第2の層用の材料とをそれぞれ抄き上げ部に準備し、丸網抄紙機を用いて多層抄きを行った。そして第1の層の目付30g/m
2、第2の層の目付20g/m
2から構成される総目付50g/m
2の熱交換用原紙を得た。これを熱交換用原紙として用いた以外は、実施例1と同じ方法で全熱交換素子を作製した。
【0100】
以上のようにして得られた熱交換用原紙の物性およびそれを用いた全熱交換素子の特性を表3に示す。
【0101】
[
比較例8]
(熱交換用原紙の作製)
実施例1と同じ方法で得られた第1の層用の繊維状物質と、実施例3と同じ方法でえら得た第2の層用の材料とをそれぞれ抄き上げ部に準備し、丸網抄紙機を用いて多層抄きを行った。そして第1の層の目付30g/m
2、第2の層の目付30g/m
2から構成される総目付60g/m
2の熱交換用原紙を得た。これを熱交換用原紙として用いた以外は、実施例1と同じ方法で全熱交換素子を作製した。
【0102】
以上のようにして得られた熱交換用原紙の物性およびそれを用いた全熱交換素子の特性を表3に示す。
【0103】
[
比較例9]
(第1の層)
針葉樹パルプを水に分散し、ビーターにより表4記載のJIS P8121(1995)に規定されるカナダ標準ろ水度(CSF)となるように叩解し、第1の層用の繊維を得た。
(熱交換用原紙および全熱交換素子)
実施例1と同同じ方法で得られた第1の層用の繊維状物質と、実施例3第2の層用の材料をそれぞれ抄き上げ部に準備し、丸網抄紙機を用いて多層抄きにより第1の層の目付30g/m
2、第2の層の目付10g/m
2から構成される総目付40g/m
2の熱交換用原紙を得た。これを熱交換用原紙として用いた以外は、実施例1と同じ方法で全熱交換素子を作製した。
【0104】
ここで、第2の層を抄き合わせる前の第1の層を採取した。第1の層は目付30g/m
2であり、二酸化炭素遮蔽率51%であった。
【0105】
以上のようにして得られた熱交換用原紙の物性およびそれを用いた全熱交換素子の特性を表4に示す。
【0106】
[実施例11]
実施例1と同じ方法で得られた第1の層用の繊維状物質と、実施例3と同じ方法で得た第2の層用の材料をそれぞれ抄き上げ部に準備し、丸網抄紙機を用いて多層抄きを行った。そして第1の層の目付28g/m
2、第2の層の目付10g/m
2から構成される総目付38g/m
2の熱交換用原紙を得た。これを熱交換用原紙として用いた以外は、実施例1と同じ方法で全熱交換素子を作製した。
【0107】
以上のようにして得られた熱交換用原紙の物性およびそれを用いた全熱交換素子の特性を表4に示す。
【0108】
[
比較例13]
比較例11と同じ方法で得られた第1の層用の繊維状物質と、実施例3と同じ方法で得た第2の層用の材料とをそれぞれ抄き上げ部に準備し、丸網抄紙機を用いて多層抄きを行った。そして第1の層の目付26g/m
2、第2の層の目付10g/m
2から構成される総目付36g/m
2の熱交換用原紙を得た。これを熱交換用原紙として用いた以外は、
比較例11と同じ方法で全熱交換素子を作製した。
【0109】
以上のようにして得られた熱交換用原紙の物性およびそれを用いた全熱交換素子の特性を表4に示す。
【0110】
[
比較例10]
実施例1と同じ方法で得られた第1の層用の繊維状物質と、実施例3と同じ方法で得られた第2の層用の材料とをそれぞれ抄き上げ部に準備し、丸網抄紙機を用いて多層抄きを行った。そして第1の層の目付14g/m
2、第2の層の目付10g/m
2から構成される総目付24g/m
2の熱交換用原紙を得た。これを熱交換用原紙として用いた以外は、実施例1と同じ方法で全熱交換素子を作製した。
【0111】
以上のようにして得られた熱交換用原紙の物性およびそれを用いた全熱交換素子の特性を表4に示す。
【0112】
[
比較例14]
(熱交換用原紙および全熱交換素子)
比較例11と同じ方法で得られた第1の層用の繊維状物質と、実施例3と同じ方法で得られた第2の層用の材料とをそれぞれ抄き上げ部に準備し、丸網抄紙機を用いて多層抄きを行った。そして第1の層の目付17g/m
2、第2の層の目付10g/m
2から構成される総目付27g/m
2の熱交換用原紙を得た。これを熱交換用原紙として用いた以外は、
比較例11と同じ方法で全熱交換素子を作製した。
【0113】
以上のようにして得られた熱交換用原紙の物性およびそれを用いた全熱交換素子の特性を表4に示す。
【0114】
[実施例15]
(熱交換用原紙および全熱交換素子)
実施例1と同じ方法で得られた第1の層用の繊維状物質と、ナイロン6ナノファイバーおよびセルロースパルプの混合物を第2の層用の材料として、第2の層用の材料、そして上記と同じ第1の層用の繊維状物質、第2の層用の材料の順となるよう3箇所の抄き上げ部にそれぞれ準備し、丸網抄紙機を用いて順次多層抄きにより抄き上げ、上面の第2の層の目付7g/m
2、第1の層の目付28g/m
2、下面の第2の層の目付7g/m
2から構成される総目付42g/m
2の3層構造である熱交換用原紙を得た。これを熱交換用原紙として用いた以外は実施例1と同じ方法で全熱交換素子を作製した。
【0115】
以上のようにして得られた熱交換用原紙の物性およびそれを用いた全熱交換素子の特性を表4に示す。
【0116】
[実施例16]
(第1の層)
針葉樹パルプを水に分散し、ビーターにより表3記載のJIS P8121(1995)に規定されるカナダ標準ろ水度(CSF)となるように叩解し、第1の層用の繊維状物質を得た。
【0117】
(熱交換用原紙および全熱交換素子)
上記で得られた第1の層用の繊維状物質と、実施例3と同じ方法で得られた第2の層用の材料をそれぞれ抄き上げ部に準備し、丸網抄紙機を用いて多層抄きを行った。そして第1の層の目付30g/m
2、第2の層の目付10g/m
2から構成される総目付40g/m
2の熱交換用原紙を得た。これを熱交換用原紙として用いた以外は、実施例1と同じ方法で全熱交換素子を作製した。ここで、第2の層を抄き合わせる前の第1の層を採取した。第1の層は目付30g/m
2であり、二酸化炭素遮蔽率71%であった。
【0118】
以上のようにして得られた熱交換用原紙の物性およびそれを用いた全熱交換素子の特性を表3に示す。
【0119】
[実施例17]
(熱交換用原紙および全熱交換素子)
実施例16と同じ方法で得られた第1の層用の繊維状物質と第2の層用の材料をそれぞれ抄き上げ部に準備し、丸網抄紙機を用いて多層抄きにより第1の層の目付40g/m
2、第2の層の目付10g/m
2から構成される総目付50g/m
2の熱交換用原紙を得た。これを熱交換用原紙として用いた以外は、実施例1と同じ方法で作製した。
ここで、第2の層を抄き合わせる前の第1の層を採取した。第1の層は目付30g/m
2であり、二酸化炭素遮蔽率84%であった。
【0120】
以上のようにして得られた熱交換用原紙の物性およびそれを用いた全熱交換素子の特性を表3に示す。
【0121】
[
比較例11]
(熱交換用原紙および全熱交換素子)
実施例16と同じ方法で得られた第1の層用の繊維状物質と第2の層用の材料をそれぞれ抄き上げ部に準備し、丸網抄紙機を用いて多層抄きにより第1の層の目付50g/m
2、第2の層の目付10g/m
2から構成される総目付60g/m
2の熱交換用原紙を得た。これを熱交換用原紙として用いた以外は、実施例1と同じ方法で作製した。
【0122】
ここで、第2の層を抄き合わせる前の第1の層を採取した。第1の層は目付30g/m
2であり、二酸化炭素遮蔽率89%であった。
【0123】
以上のようにして得られた熱交換用原紙の物性およびそれを用いた全熱交換素子の特性を表3に示す。
【0124】
[比較例1]
(第1の層)
針葉樹パルプを水に分散し、リファイナーにより表1記載のJIS P8121(1995)に規定されるカナダ標準ろ水度(CSF)となるように叩解し第1の層用の繊維状物質を得た。
【0125】
(熱交換用原紙および全熱交換素子)
上記で得られた第1の層用繊維状物質のみ抄き上げ部に準備し、丸網抄紙機を用いて単層抄きにより第1の層の目付30g/m
2から構成される総目付30g/m
2の原紙を得た。
吸湿剤として塩化リチウムを含浸加工により塗工しようとしたところ、加工時に紙切れが多発(2回以上発生)し、全熱交換素子を得ることができなかった。
【0126】
[比較例2]
(熱交換用原紙および全熱交換素子)
比較例1と同じ方法で得られた第1の層用の繊維状物質を丸網抄紙機を用いて単層抄きにより抄紙し、第1の層の目付40g/m
2から構成される総目付40g/m
2の熱交換用原紙を得た。これを熱交換用原紙として用いた以外は実施例1と同じ方法で作製した。
【0127】
以上のようにして得られた熱交換用原紙の物性およびそれを用いた全熱交換素子の特性を表1に示す。
【0128】
[比較例3]
(第2の層)
針葉樹パルプを水に分散し、表1記載のJIS P8121(1995)に規定されるカナダ標準ろ水度(CSF)となるように叩解し、第2の層用繊維状物質を得た。
【0129】
(熱交換用原紙および全熱交換素子)
上記で得られた第2の層用の繊維状物質のみを抄き上げ部に準備し、丸網抄紙機を用いて多層抄きにより第2の層の目付10g/m
2から構成される総目付10g/m
2の原紙を得ようとしたところ、紙切れが発生し、熱交換用原紙を得ることができなかった。
【0130】
[比較例4]
(熱交換用原紙および全熱交換素子)
比較例3と同じ方法で得られた第2の層用の繊維状物質を丸網抄紙機を用いて単層抄きにより抄紙し、第2の層の目付40g/m
2から構成される総目付40g/m
2の熱交換用原紙を得た。これを熱交換用原紙として用いた以外は実施例1と同じ方法で作製した。
【0131】
以上のようにして得られた熱交換用原紙の物性およびそれを用いた全熱交換素子の特性を表1に示す。
【0132】
[比較例5]
(第2の層)
実施例3と同じ方法で得られた数平均繊維径150nmのナイロン6ナノファイバー60質量%と、実施例1と同じ方法で得られた第2の層用の繊維状物質40質量%を、水中で攪拌し混合繊維を作製した。これを第2の層用の材料として用い目付を10g/m
2とした以外は比較例3と同じ方法で熱交換用原紙を得ようとしたところ、紙切れが発生し、熱交換用原紙を得ることができなかった。
【0133】
[比較例6]
(第2の層)
実施例3と同じ方法で得られた数平均繊維径150nmのナイロン6ナノファイバー60質量%と、実施例1と同じ方法で得られた第2の層用の繊維状物質40質量%を、水中で攪拌し第2の層の材料を作製した。これを第2の層の材料として用い目付を40g/m
2とした以外は比較例4と同じ方法で作製した。
【0134】
以上のようにして得られた熱交換用原紙の物性およびそれを用いた全熱交換素子の特性を表2に示す。
【0135】
[比較例7]
(第1の層)
針葉樹パルプを水に分散し、リファイナーにより表4記載のJIS P8121(1995)に規定されるカナダ標準ろ水度(CSF)となるように叩解し第1の層の繊維状物質を得た。
【0136】
(熱交換用原紙および全熱交換素子)
第1の層の組成を前記のとおりとした他は実施例3と同じ方法で熱交換用原紙および全熱交換素子を作製した。
【0137】
以上のようにして得られた熱交換用原紙の物性およびそれを用いた全熱交換素子の特性を表4に示す。
【0138】
【表1】
【0139】
【表2】
【0140】
【表3】
【0141】
【表4】
【0142】
表1〜4に示すとおり、実施例1〜18は比較例1〜7に対し、二酸化炭素遮蔽率が高く気体遮蔽性に優れるため、結果、熱交換器として望ましくない汚れた空気の混入を表す指標である有効換気量率に優れている。さらに、比較例2に対し、高い有効換気量率を確保しつつ、高い透湿性を発現した結果、優れた湿度交換効率を有する。また、積層構造とした結果、比較例1及び4に対し、後加工や全熱交換素子の成形に必要なシート強度を付与することができる。