特許第6583022号(P6583022)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6583022スラグ系土木材料の褐色化方法および簡易舗装路の施工方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6583022
(24)【登録日】2019年9月13日
(45)【発行日】2019年10月2日
(54)【発明の名称】スラグ系土木材料の褐色化方法および簡易舗装路の施工方法
(51)【国際特許分類】
   E01C 7/10 20060101AFI20190919BHJP
   E01C 5/00 20060101ALI20190919BHJP
   E01C 15/00 20060101ALI20190919BHJP
   E02D 17/18 20060101ALI20190919BHJP
   C04B 41/65 20060101ALI20190919BHJP
【FI】
   E01C7/10
   E01C5/00
   E01C15/00
   E02D17/18 Z
   C04B41/65
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-17023(P2016-17023)
(22)【出願日】2016年2月1日
(65)【公開番号】特開2017-137624(P2017-137624A)
(43)【公開日】2017年8月10日
【審査請求日】2018年10月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006655
【氏名又は名称】日本製鉄株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000637
【氏名又は名称】特許業務法人樹之下知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】原 良治
(72)【発明者】
【氏名】金子 敏行
【審査官】 湯本 照基
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−058828(JP,A)
【文献】 特開2012−052408(JP,A)
【文献】 国際公開第03/095589(WO,A1)
【文献】 特開2004−123504(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0158609(US,A1)
【文献】 特開2002−336870(JP,A)
【文献】 特開2006−122786(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01C 7/10
C04B 41/65
E01C 5/00
E01C 15/00
E02D 17/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
製鋼スラグ70質量%以上と高炉水砕スラグ15質量%以上を含有して合計100質量%となるスラグ系土木材料に、水溶液全体に対する質量%で、5〜40質量%の濃度のポリ硫酸第二鉄を含む水溶液を、スラグ系土木材料表面に、2〜6L/m散布することを特徴とするスラグ系土木材料の褐色化方法。
【請求項2】
前記スラグ系土木材料がさらに、高炉スラグ微粉末とセメントの1種以上を合計10質量%以下含有して、製鋼スラグ70質量%以上と高炉水砕スラグ15質量%以上と合わせて合計100質量%とすることを特徴とする請求項1に記載のスラグ系土木材料の褐色化方法。
【請求項3】
前記スラグ系土木材料が、法面形成材料、簡易舗装材料のいずれか1つであることを特徴とする請求項1又は2に記載のスラグ系土木材料の褐色化方法。
【請求項4】
製鋼スラグ70質量%以上と高炉水砕スラグ15質量%以上を含有して合計100質量%となる簡易舗装材料を敷き均して散水した後、水溶液全体に対する質量%で、5〜40質量%の濃度のポリ硫酸第二鉄を含む水溶液を2〜6L/m散布し、転圧することを特徴とする簡易舗装路の施工方法。
【請求項5】
前記簡易舗装材料がさらに、高炉スラグ微粉末とセメントの1種以上を合計10質量%以下含有して、製鋼スラグ70質量%以上と高炉水砕スラグ15質量%以上と合わせて合計100質量%とすることを特徴とする請求項4に記載の簡易舗装路の施工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スラグ系土木材料の褐色化方法および簡易舗装路の施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
鉱石より鉄鋼を製造する鉄鋼製錬プロセスにおいて、高炉プロセスでは高炉スラグが、製鋼プロセスでは製鋼スラグが副生物として生成する。これら高炉スラグ、製鋼スラグは、水と反応して固まり、時間とともに強度が向上する水硬性を有している。そのため、これらスラグは、セメントの原料、土木用の砂材、道路の路盤材、セメントの代わりの水硬性物質、コンクリート用の細骨材、粗骨材、簡易舗装材料等の土木材料として用いられている。これらスラグを土木材料として使用できることは、資源の再利用の観点から非常に有用なものとなっている。
【0003】
ところが、土で覆われた茶褐色の場所や、森の木のような茶色が目立つ自然の多い場所にこれらスラグを用いたスラグ系土木材料を施工すると、スラグの色が白や灰色であるため、施工場所の褐色と、スラグ系土木材料の色が調和せず、土木材料を施工した箇所が白や灰色として視覚的に浮いてしまう。そのため、施工場所によっては自然に調和した、真砂土色のような褐色の色彩としたスラグ系土木材料が求められている。
【0004】
スラグに着色する方法としては、以下のような従来技術が開示されている。
【0005】
特許文献1には、高炉水砕スラグとセメントを混合したものに顔料を添加する透水性舗装平板の製造方法が開示されている。
【0006】
特許文献2には、高炉や平炉で生成されるスラグを粒状とし、これに無機質顔料を吹き付け吸着させた後、1000〜1250℃で焼成、粗粒状の着色焼成骨材とし、バインダーと混練して舗装材として成形することが記載されている。
【0007】
特許文献1、2の顔料を添加する方法では、いずれにしても、人や自転車又は、車両の通行による摩擦により、着色顔料がはがれるか、磨滅し、脱色してしまう。
【0008】
さらに、特許文献2の技術では、焼成することが必要であるため費用がかかる。また焼成してしまうためにスラグの特徴である水硬性を失い、舗装材等に適用する際のような強度が必要な場合、使用することができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2002−242108号公報
【特許文献2】特開平2−133350号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
そこで本発明は、自然に調和した褐色の色彩をスラグ系土木材料に付与することを課題とする。また、土木材料とした際の強度を向上させること、および、褐色の色彩を付与したスラグ系土木材料を簡易舗装に適用した際の簡易舗装方法を提供することを合わせて課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
即ち、本発明の要旨とするところは以下のとおりである。
【0012】
(1)製鋼スラグ70質量%以上と高炉水砕スラグ15質量%以上を含有して合計100質量%となるスラグ系土木材料に、水溶液全体に対する質量%で、5〜40質量%の濃度のポリ硫酸第二鉄を含む水溶液を、スラグ系土木材料表面に、2〜6L/m散布することを特徴とするスラグ系土木材料の褐色化方法。
(2)前記スラグ系土木材料がさらに、高炉スラグ微粉末とセメントの1種以上を合計10質量%以下含有して、製鋼スラグ70質量%以上と高炉水砕スラグ15質量%以上と合わせて合計100質量%とすることを特徴とする(1)に記載のスラグ系土木材料の褐色化方法。
(3)前記スラグ系土木材料が、法面形成材料、簡易舗装材料のいずれか1つであることを特徴とする(1)又は(2)に記載のスラグ系土木材料の褐色化方法。
(4)製鋼スラグ70質量%以上と高炉水砕スラグ15質量%以上を含有して合計100質量%となる簡易舗装材料を敷き均して散水した後、水溶液全体に対する質量%で、5〜40質量%の濃度のポリ硫酸第二鉄を含む水溶液を2〜6L/m散布し、転圧することを特徴とする簡易舗装路の施工方法。
(5)前記簡易舗装材料がさらに、高炉スラグ微粉末とセメントの1種以上を合計10質量%以下含有して、製鋼スラグ70質量%以上と高炉水砕スラグ15質量%以上と合わせて合計100質量%とすることを特徴とする(4)に記載の簡易舗装路の施工方法。
【発明の効果】
【0013】
本発明により、自然と調和した褐色を呈した色彩のスラグ系土木材料が得られる。また、スラグ系土木材料の強度を向上させることができる。さらに、自然と調和した褐色の色彩を有し、強度を有する簡易舗装路を施工することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】ポリ硫酸第二鉄濃度を7質量%として添加したスラグ系土木材料の表面SEM写真と元素分析結果を示す図である。
図2】ポリ硫酸第二鉄濃度を30質量%として添加したスラグ系土木材料の表面SEM写真と元素分析結果を示す図である。
図3】ポリ硫酸第二鉄濃度を40質量%として添加したスラグ系土木材料の表面SEM写真と元素分析結果を示す図である。
図4】ポリ硫酸第二鉄濃度と一軸圧縮強度(N/mm)の関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明に係るスラグ系土木材料は、製鋼スラグ70質量%以上と、高炉水砕スラグ15質量%以上を含有するものをベースとするものである。本発明者は、このベースとなるスラグ系土木材料に、所定濃度のポリ硫酸第二鉄([Fe(OH)(SO3−n/2)水溶液を、所定の量、混合することにより、白から灰色のスラグ材料の色が、褐色に変化することを見出した。
【0016】
本発明のスラグ系土木材料に、ポリ硫酸第二鉄を添加、混合すると、反応してゲータイト[別名:ゲーサイト、化学式:(FeO(OH))]が生成する。このゲータイトは、いわゆる褐鉄鉱の成分でもある水酸化鉄であり、ゲータイト自体の色が、褐色の色彩である。このため、スラグ成分からゲータイトが生成すると、スラグ系土木材料が褐色に変化するのである。本発明における、「褐色」とは、ゲータイト由来の色であり、生成したゲータイトの量によっては、暗赤色や赤褐色、茶褐、黄褐色、黄土色等の色彩を呈するものである。本発明の「褐色」とは、これら暗赤色や赤褐色、茶褐、黄褐色、黄土色、真砂土色であること等を含むものである。ちなみに真砂土は、花崗岩が風化してできた砂土である。
【0017】
最初に本発明に使用されるスラグについて説明する。本発明は、製鋼スラグと高炉水砕スラグと水分が混合されることにより、スラグの水硬性により、スラグ系土木材料の強度が向上する。これは、製鋼スラグから溶け出すカルシウム分と、高炉水砕スラグから溶け出すシリカ、アルミナと、保有水分とによりポゾラン反応といわれるセメントが硬化する際の反応と類似の反応が促進されるためである。本発明において、スラグ系土木材料に含まれる製鋼スラグが70質量%以上と規定したのは、製鋼スラグが70質量%未満では、溶出するカルシウムが少なくなるため、ポゾラン反応が十分に起こらずスラグ系土木材料の強度が上昇しないため、70質量%以上とする。なお、製鋼スラグの鉄以外の主な酸化物成分は、SiO:10〜20質量%、Al:2〜5質量%、CaO:40〜50質量%であり、これに、鉄酸化物として、ウスタイト(wustite)FeO、ダイカルシウムフェライト(dicalcium ferrite)2CaO・Feが含まれるものである。
【0018】
また、製鋼スラグには、ゲータイトの原料となる鉄分が15〜20質量%含まれるが、高炉スラグには、鉄分はほとんど含まれない。したがって、スラグ系土木材料に含まれる製鋼スラグの量が低い場合は、鉄分が少ないことから十分にゲータイトが生成せず、スラグ系土木材料の色を褐色とすることができない。
【0019】
本発明において、スラグ系土木材料に含まれる高炉水砕スラグは、15質量%以上と規定した。高炉水砕スラグが15質量%未満では、高炉水砕スラグ(SiO=30〜35質量%、Al=10〜15質量%、CaO=38〜43質量%)から溶け出すシリカ、アリミナが少ないために、ポゾラン反応が十分に起こらずスラグ系土木材料として強度が必要な場合に、強度を得ることができない。高炉水砕スラグの大きさは、4.75mm以下の砂状とされており、下限は特に定められていないが、通常、おおよそ、95質量%以上は0.1mm以上の大きさである。
【0020】
本発明において、上記のスラグ系土木材料に、水溶液全体に対する質量%で、5〜40質量%の濃度のポリ硫酸第二鉄を含む水溶液(ポリ硫酸第二鉄水溶液)を、スラグ系土木材料表面に、2〜6L/m添加すると規定した。ポリ硫酸第二鉄の濃度が5質量%未満であると、十分なゲータイトが生成せず、十分な褐色に着色できない。より好ましいポリ硫酸第二鉄水溶液の濃度の下限は7質量%以上である。添加量が2L/m未満であるとスラグ系土木材料表面に均一に散布することができず色むらが発生する。また、ポリ硫酸第二鉄の濃度が5質量%以上、40質量%未満の水溶液を、2〜6L/mで散布することにより、土木材料の強度が向上する。これは、エトリンガイト(3CaO・Al・3CaSO・32HO)の針状結晶が生成することにより、エトリンガイトの針状結晶が繊維強化の繊維材のような骨材の役割を果たすためと思われる。
【0021】
一方、ポリ硫酸第二鉄水溶液の濃度が高すぎたり、添加量が多すぎたりすると板状の強度の弱い結晶(石膏;CaSO)が生成するとともに、酸性であるポリ硫酸第二鉄によりスラグのアルカリ分が中和され、水硬性という特徴が消失してしまう。また、水溶液中のポリ硫酸第二鉄の濃度が40質量%を超えるか、あるいは、添加量がスラグ系土木材料表面に対し、6L/mを超えると、石膏が生成して強度が落ち始める。そのため、土木材料の強度を向上、ないしポリ硫酸第二鉄水溶液を添加しない場合と同等の強度とするには、水溶液中のポリ硫酸第二鉄の濃度は、40質量%以下、ポリ硫酸第二鉄水溶液は6L/m以下で散布することが、それぞれ好ましい。より好ましい水溶液のポリ硫酸第二鉄の濃度の上限は、40質量%未満、さらに好ましい上限は、30質量%以下である。
【0022】
さらに強度を向上させるには、コンクリート、セメントに添加される、高炉スラグ微粉末(JIS A 6206)とセメントのいずれか1つ又は2つを合計10質量%以下含有させるとよい。入れ過ぎると色が着きにくくなる。高炉スラグ微粉末とは、JIS A 6206に規定された粉末であり、比表面積2750〜10000cm/g程度、平均粒径6〜10μm程度に高炉水砕スラグを粉砕したものである。
【0023】
本発明のスラグ系土木材料は、周囲に褐色の自然が多い場所に使用されることが多い、法面形成材料、ブロック、歩道の舗装等に使用される簡易舗装材として好適である。また、褐色のスラグ系土木材料が好ましい際のあらゆる場所や用途に適用できる。ちなみに、法面とは、土木工事により人工的に形成される斜面である。
【0024】
本発明のスラグ系土木材料を、実際に簡易舗装材料として施工する場合は、上記のスラグ系土木材料を敷き均した後に、5〜40質量%の濃度のポリ硫酸第二鉄を含む水溶液を2〜6L/m散布する。濃度が5質量%未満、あるいは、散布量が2L/m未満であると、十分なゲータイトが生成せず、十分な褐色に着色できない。また、ポリ硫酸第二鉄を含む水溶液を5質量%以上、40質量%未満で2〜6L/mで散布することにより、簡易舗装体の強度が向上する。これは、エトリンガイト(3CaO・Al・3CaSO・32HO)の針状結晶が生成することにより、エトリンガイトの針状結晶が繊維強化の繊維材のような骨材の役割を果たすためと思われる。
【0025】
一方、ポリ硫酸第二鉄を含む水溶液の濃度が高すぎたり、散布量が多すぎたりすると板状の強度の弱い結晶(石膏;CaSO)が生成するとともに、酸性であるポリ硫酸第二鉄によりスラグのアルカリ分が中和され、水硬性という特徴が消失してしまう。ポリ硫酸第二鉄を含む水溶液の濃度が40質量%を超えるか、あるいは、散布量が6L/mを超えると、石膏が生成して強度が落ち始める。そのため、簡易舗装材の強度を向上ないしポリ硫酸第二鉄を含む水溶液を添加しない場合と同等の強度とするには、ポリ硫酸第二鉄を含む水溶液の濃度は、40質量%以下、ポリ硫酸第二鉄水溶液は6L/m以下で散布することが、それぞれ好ましい。
図1〜3に、それぞれ、水溶液のポリ硫酸第二鉄濃度7質量%、30質量%、40質量%で簡易舗装材料に添加した際の、電子顕微鏡SEM写真と、EDXによる元素分析の結果を示す。図1、2に示したように、ポリ硫酸第二鉄濃度が7質量%、30質量%の場合は、SEM写真において針状結晶が確認でき、Ca、S、Al、Oが検出されることより、エトリンガイトが生成されていると見られる。一方、図3にみられるように、ポリ硫酸第二鉄濃度が40質量%の場合は、SEM写真において板状結晶が確認でき、CaとSとOに際立ったピークがあることより、強度の弱い石膏(CaSO)が生成していると見られる。
【0026】
また、簡易舗装材料を敷き均して散水した後、ポリ硫酸第二鉄を含む水溶液を散布した後、転圧する。散水することで水硬性が発現して、舗装材が硬化し、転圧することで、さらに強度が向上する。
【0027】
簡易舗装材料を施工する際の、その他の施工条件は、通常と同様の条件とすればよい。たとえば、製鋼スラグの粒径は、大きすぎると剥離しやすくなるため、25mm未満、高炉水砕スラグの粒径は、製造上必然的にこのサイズになる5mm未満、敷き均し厚みは、100〜150mm、散水量は、簡易舗装材料に対する質量比で、7〜10%がそれぞれ好ましい。
【実施例】
【0028】
表1に示す組成で各原料を混合して簡易舗装材料とし、厚さ150mmに敷き均した後、ポリ硫酸第二鉄を含む水溶液を表1に示す濃度と量で散布し、簡易舗装材料に対する質量比8%の水を散水した後、転圧して簡易舗装路を施工した。施工後2週間後の着色状況と強度試験結果を表1に示す。肉眼で目視し、着色が見られなかったものと色むらが発生したものは×、淡褐色に均一に着色したものは△、褐色〜濃褐色に均一に着色したものは○と評価した。また、強度試験は、簡易舗装路と同一条件で一軸圧縮試験用の供試体(直径100mm、高さ200mmの円柱体)を作成して、2週間後に一軸圧縮試験を行い、強度1.2N/mm以上を高強度とした。
【0029】
【表1】

下線は本発明範囲外。
【0030】
No1〜8は発明例であり、簡易舗装路に淡褐色〜濃褐色の均一な着色がみられ、強度も1.2N/mm以上が得られている。No9は、製鋼スラグが少なすぎる例であり、必要な強度が得られなかった。No.10は高炉水砕スラグが少な過ぎる例であり、必要な強度が得られなかった。No.11はポリ塩化第二鉄水溶液の散布量が少な過ぎる例であり、部分的に褐色の着色がみられたが色むらを生じていた。No.12はポリ塩化第二鉄水溶液の散布量が多すぎる例であり、必要な強度が得られなかった。No.13はポリ塩化第二鉄水溶液の濃度が低すぎる例であり、褐色の着色が見られなかった。No.14はポリ塩化第二鉄の濃度が高すぎる例であり、必要な強度が得られなかった。
【0031】
ポリ硫酸第二鉄濃度と一軸圧縮強度(N/mm)の関係(一軸圧縮強度は製造して2週間後の強度)について、さらに詳細に検討した。
製鋼スラグ80質量%、高炉水砕スラグ20質量%の簡易舗装材料に、濃度0〜50質量%のポリ硫酸第二鉄水溶液を3L/m散布し、質量比8%の水を添加して、直径100mm、高さ200mmの円柱形に固めて、2週間後に、JIS A 5015付属書C(道路用鉄鋼スラグの一軸圧縮試験方法)に基づいて一軸圧縮試験を実施した。結果を図4に示した。
ポリ硫酸第二鉄の濃度は7質量%から30質量%で最も強度は強く、40質量%になると若干低下し、未添加の場合と同等の強度となることが確認できた。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明により、自然と調和した褐色を呈した色彩のスラグ系土木材料が得られる。また、スラグ系土木材料の強度を向上させることができる。さらに、自然と調和した褐色の色彩を有し、強度を有する簡易舗装路を施工することができる。
図1
図2
図3
図4