特許第6583032号(P6583032)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6583032
(24)【登録日】2019年9月13日
(45)【発行日】2019年10月2日
(54)【発明の名称】雌端子
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/11 20060101AFI20190919BHJP
【FI】
   H01R13/11 301D
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-23712(P2016-23712)
(22)【出願日】2016年2月10日
(65)【公開番号】特開2017-142986(P2017-142986A)
(43)【公開日】2017年8月17日
【審査請求日】2018年5月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】特許業務法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】安藤 基泰
【審査官】 鈴木 重幸
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−078373(JP,A)
【文献】 特開平10−228938(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R13/10−13/14
H01R12/00−12/91
H01R24/00−24/86
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属板材の側端縁同士を突き合わせた筒状の基部と、
前記基部に設けられ、同基部の径方向に弾性変位可能に設けられた複数の弾性接触片とを備え、
前記複数の弾性接触片のうち前記側端縁に隣接する隣接接触片とは異なる非隣接接触片は、前記隣接接触片よりも弾性力が小さく設定されており、
前記隣接接触片の基端部は、前記側端縁から離れる方向に偏心して設けられている雌端子。
【請求項2】
前記非隣接接触片には、前記隣接接触片よりも弾性力を小さくする開口状の荷重低減部が設けられている請求項1に記載の雌端子。
【請求項3】
前記非隣接接触片は板状をなしており、
前記荷重低減部は、前記非隣接接触片の板厚方向に貫通して形成されている請求項2に記載の雌端子。
【請求項4】
前記隣接接触片の前記基端部における前記側端縁側の側方には、コネクタハウジングに弾性変位可能に設けられた端子係止部が嵌合可能とされている請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の雌端子。
【請求項5】
前記隣接接触片の前記側端縁側の側縁における前記基端部よりも前側の位置には、前記コネクタハウジングに設けられた前記端子係止部と係止可能な被係止部が突出して設けられている請求項に記載の雌端子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書によって開示される技術は、複数の弾性接触片を有する雌端子に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、相手側のピン端子が挿入されて嵌合される筒部を有するソケット端子として、特開2010−113962号公報(下記特許文献1)に記載のものが知られている。
【0003】
このソケット端子の筒部は、端縁同士を突き合わせた円筒状の基部と、基部から嵌合方向に片持ち状に延びて筒部の径方向に弾性変位可能な複数の弾性接触片とを備えており、ピン端子が筒部内に挿入されると、ピン端子によって複数の弾性接触片が径方向外側に押圧され、ピン端子と複数の弾性接触片とが弾性的に接触することでピン端子とソケット端子とが電気的に接続されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−113962号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記のソケット端子によると、弾性接触片がピン端子によって径方向外側に押圧される際に、基部の端縁同士を突き合わせた部分にも応力が作用する。
【0006】
すると、端縁同士が互いに離れるようにして基部が開いてしまい、基部の端縁に隣接する弾性接触片のピン端子に対する接触荷重が、基部の端縁から離れた弾性接触片のピン端子に対する接触荷重よりも低下してしまい、各弾性接触片の接触荷重にばらつきが生じてしまう。
【0007】
本明細書では、各弾性接触片の接触荷重のばらつきを抑制する技術を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本明細書によって開示される技術は、雌端子であって、金属板材の側端縁同士を突き合わせた筒状の基部と、前記基部に設けられ、同基部の径方向に弾性変位可能に設けられた複数の弾性接触片とを備え、前記複数の弾性接触片のうち前記側端縁に隣接する隣接接触片とは異なる非隣接接触片は、前記隣接接触片よりも弾性力が小さく設定されている構成とした。
【0009】
このような構成の雌端子によると、隣接接触片よりも非隣接接触片の弾性力が小さくなっているから、弾性接触片が雄端子に弾性的に接触することに起因して基部が開いた場合における隣接接触片の雄端子に対する接触荷重と、非隣接接触片の雄端子に対する接触荷重とに差が生じることを抑制できる。これにより、各弾性接触片の雄端子に対する接触荷重にばらつきが生じることを抑制することができる。
【0010】
本明細書によって開示される雌端子は、以下の構成としてもよい。
前記非隣接接触片には、前記隣接接触片よりも弾性力を小さくする開口状の荷重低減部が設けられている構成としてもよい。
このような構成によると、非隣接接触片に開口状の荷重低減部を設けることで非隣接接触片の弾性力を小さくすることができる。
【0011】
ところで、例えば、非隣接接触片を幅狭にすることで、非隣接接触片の接触荷重を小さくする方法も考えられる。しかしながら、非隣接接触片を幅狭にすると、非隣接接触片の接触荷重を小さくすることはできるものの、幅狭になることで非隣接接触片がへたりやすくなってしまう嫌いがある。しかしながら、上記の構成によると、荷重低減部が非隣接接触片に開口した構成となっており、荷重低減部の両側2箇所の部分によって非隣接接触片を構成するから、非隣接接触片がへたりやすくなることを抑制しつつ、非隣接接触片の接触荷重を小さくすることができる。
【0012】
前記非隣接接触片は板状をなしており、前記荷重低減部は、前記非隣接接触片の板厚方向に貫通して形成されている構成としてもよい。
このような構成によると、例えば、非隣接接触片を貫通していない荷重低減部に比べて、荷重低減部の開口が大型化することを抑制しつつ、非隣接接触片の弾性力を小さくすることができる。つまり、荷重低減部の開口が大きくなることによって非隣接接触片がへたりやすくなることを抑制しつつ、非隣接接触片の弾性力を小さくすることができる。
【0013】
前記隣接接触片の基端部は、前記側端縁から離れる方向に偏心して設けられている構成としてもよい。
このような構成によると、隣接接触片の基端部が側端縁から離れる方向に偏心しているから、例えば、隣接接触片の基端部が偏心していない場合に比べて、弾性接触片が弾性変位することに起因して基部が開くことを抑制することができる。また、基部が開くことによって隣接接触片の雄端子に対する接触荷重が低下することを抑制することができる。
【0014】
前記隣接接触片の前記基端部における前記側端縁側の側方には、コネクタハウジングに弾性変位可能に設けられた端子係止部が嵌合可能とされている構成としてもよい。
このような構成によると、隣接接触片の基端部を偏心させることで生じた空間にコネクタハウジングの端子係止部を嵌合させて、隣接接触片と端子係止部とを係止させることで雌端子の抜け止めを図ることができるから、雌端子にコネクタハウジングの端子係止部を嵌合させる被係止部を別途設ける場合に比べて、雌端子を小型化することができる。
【0015】
前記隣接接触片の前記側端縁側の側縁における前記基端部よりも前側の位置には、前記コネクタハウジングに設けられた前記端子係止部と係止可能な被係止部が突出して設けられている構成としてもよい。
このような構成によると、隣接接触片と端子係止部とが係止可能になることに加え、被係止部と端子係止部とが係止可能となるから、雌端子における端子係止部との係り代を大きくすることができる。
【発明の効果】
【0016】
本明細書によって開示される技術によれば、各弾性接触片における相手側の端子に対する接触荷重のばらつきを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】雌端子を斜め前上方から視た状態を示す斜視図
図2】同正面図
図3】同平面図
図4】同側面図
図5】雌端子を斜め上から視た状態を示す側面図
図6】同底面図
図7】端子本体を斜め前上方から視た状態を示す斜視図
図8】同平面図
図9】同側面図
図10】同底面図
【発明を実施するための形態】
【0018】
<実施形態>
本明細書に開示された技術における一実施形態について図1から図10を参照して説明する。
本実施形態は、図4に示すように、コネクタハウジングH内に収容され、図示しない丸ピン状をなす雄端子に接続される雌端子10を例示している。
【0019】
雌端子10は、導電性に優れた金属板材、例えば、銅合金などからなる板材をプレスなどで加工することによって形成されており、図1から図6に示すように、端子本体20と、端子本体20の外周面に装着される別体のカバー40とを備えて構成されている。
【0020】
端子本体20は、図7から図10に示すように、電線(図示せず)に接続される電線接続部23と、雄端子と接続される端子接続部21と、端子接続部21と電線接続部23とを前後方向に繋ぐ繋ぎ部22とを備えて構成されている。
【0021】
電線接続部23は、電線の芯線に圧着されるワイヤバレル23Aと、電線の被覆に圧着されるインシュレーションバレル23Bとを前後に連ねた形態とされており、ワイヤバレル23Aが芯線に圧着されることで電線と雌端子10とが電気的に接続されるようになっている。
【0022】
端子接続部21は、図2図7から図10に示すように、全体としては略円筒状をなしており、電線接続部23の前方に繋ぎ部22を介して連なる基部24と、基部24に設けられた複数(本実施形態では、3つ)の弾性接触片25とを備えて構成されている。
【0023】
基部24は、金属板材を丸めるように曲げ加工を施すことで、金属板材の側端縁24A同士を突き合わせた円筒状に形成されている。
【0024】
各弾性接触片25は、基部24の前端縁から雄端子との嵌合方向である前方に向かうほど端子接続部21の軸心に向けて僅かに傾斜する片持ち状に形成されており、弾性接触片25の付け根部分である基端部を支点に径方向に弾性変位可能とされている。
【0025】
また、各弾性接触片25は、図2に示すように、端子接続部21の軸心を中心とする正面視円弧状に形成されており、端子接続部21における複数の弾性接触片25は、基部24の側端縁24Aの両側に配された弾性接触片25である一対の隣接接触片26と、端子接続部21の軸心を境に基部24の側端縁24Aが配された上部とは反対側の下部に配された弾性接触片25である非隣接接触片27との合計3つの弾性接触片25によって構成されている。
【0026】
したがって、基部24よりも前側の端子接続部21は、図7から図10に示すように、前方に向かうほど僅かに先細りとなる略円筒状に構成されている。そして、一対の隣接接触片26と非隣接接触片27との間には、雄端子が前方から嵌合可能とされている。
【0027】
また、一対の隣接接触片26と非隣接接触片27との3つの弾性接触片25によって構成される前端開口の内径寸法は、一対の隣接接触片26と非隣接接触片27とが弾性変位していない自然状態では、雄端子の外径寸法よりも僅かに小さく設定されている。そして、雄端子が一対の隣接接触片26と非隣接接触片27との間に挿入されて正規の嵌合状態に至ると、一対の隣接接触片26と非隣接接触片27とが、雄端子によって押圧されることで径方向外側に向けて弾性変位し、端子接続部21が雄端子に弾性的に接触する。これにより、雄端子と雌端子10とが電気的に接続されるようになっている。
【0028】
カバー40は、例えば、端子本体20よりも剛性が高い金属板材、例えば、ステンレス鋼板などからなる板材をプレスなどによって加工することによって形成されている。カバー40は、図1から図6に示すように、端子接続部21における前端部の外周面に装着される付勢部41と、端子接続部21の非隣接接触片27における基端部27Aの外周面に装着される固定片42と、付勢部41と固定片42との間を繋ぐ複数の連結部43とを備えて構成されている。
【0029】
付勢部41は、図2に示すように、上方に開口する正面視C字状の略円筒状をなしており、拡径するように弾性変位可能とされている。また、付勢部41は、その内径寸法が、端子接続部21の先端外周面の外径寸法よりも僅かに大きくなるように、端子接続部21の先端外周面に沿った先細り状に構成されており、付勢部41の内面には、図2に示すように、端子接続部21の外周面に接触する複数の押圧部44が設けられている。
【0030】
押圧部44は、図2に示すように、付勢部41の上端開口の両側上端部と下端部との3箇所に突出して設けられており、押圧部44の突出寸法は、端子接続部21の先端外周面と付勢部41の内周面と間の隙間とほぼ同じに設定されている。
【0031】
したがって、押圧部44は、図2に示すように、端子接続部21を三方から取り囲むように付勢部41に設けられており、端子接続部21の一対の隣接接触片26と非隣接接触片27とが径方向外側に向けて弾性変位する際に、これら3つの押圧部44によって、一対の隣接接触片26と非隣接接触片27とを径方向外側から内側に向けて付勢する。これにより、各弾性接触片25の雄端子に対する接触荷重が確保され、雌端子10と雄端子との間の接続信頼性が確保されるようになっている。
【0032】
固定片42は、付勢部41の後端縁における中央部およびその両端部の3箇所から後方に向けて延出する3つの連結部43を介して付勢部41の後方に設けられており、固定片42は、図4および図6に示すように、非隣接接触片27の基端部27Aを外側から覆うと共に、非隣接接触片27における基端部27Aの両側縁を両側から包み込む形態とされている。
【0033】
一方、非隣接接触片27の両側縁における前後方向略中央部には、図6および図10に示すように、周方向外側に向けて突出する一対の保持片28が設けられており、図4および図6に示すように、この一対の保持片28の後端縁にカバー40の固定片42が後方から係止することで、端子接続部21に対するカバー40の前方への抜け止めが図られている。
【0034】
さて、非隣接接触片27の基端部27Aは、図10に示すように、隣接接触片26の基端部26Aに比べて幅広に形成されているものの、非隣接接触片27の基端部27Aの周方向略中央部である端子接続部21の下端部には、板厚方向である上下方向に貫通する開口状の荷重低減開口部30が設けられている。
【0035】
荷重低減開口部30は、前後方向に長く前側がやや幅狭な略矩形状をなしており、荷重低減開口部30の周方向の幅寸法は、非隣接接触片27の基端部27A全体の周方向の幅寸法と非隣接接触片27の前後方向略中央部における周方向の幅寸法の差とほぼ同じ寸法に設定されている。また、荷重低減開口部30の前後方向の開口寸法は、基部24から非隣接接触片27の保持片28が設けられた位置までの長さ寸法とほぼ同じ寸法に設定されている。
【0036】
つまり、図10に示すように、非隣接接触片27の基端部27Aは、荷重低減開口部30が設けられることで、非隣接接触片27の前後方向略中央部よりも幅狭な2つの弾性片27Bによって構成されている。
【0037】
一方、一対の隣接接触片26の基端部26Aは、基部24の側端縁24Aから周方向に離れるように下側に配されている。言い換えると、隣接接触片26の基端部26Aは、隣接接触片26の中心線Rよりも下側に偏心して配されている。
そして、一対の隣接接触片26の基端部26Aが周方向下側に偏心したことにより、一対の隣接接触片26の基端部26Aにおける互いに隣り合う側縁部には、互いに離れる方向に凹んだ一対の凹部29が構成されている。
【0038】
また、一対の隣接接触片26における凹部29の直前には、互いに近接する位置まで周方向に突出した突出片31がそれぞれ設けられている。
したがって、一対の隣接接触片26の間(端子接続部21の上端部)には、図3に示すように、平面視略矩形状の開口が構成されており、この開口は、図4に示すように、コネクタハウジングHに弾性変位可能に設けられた端子係止部H2が嵌合可能な係止孔32とされている。
【0039】
つまり、係止孔32にコネクタハウジングHの端子係止部H2が嵌合されると、係止孔32の前側開口縁を構成する凹部29の前側縁に加え、一対の突出片31が、端子係止部H2と係止可能となることで端子係止部H2の係り代が大きくなり、コネクタハウジングH内における雌端子10の抜け止めを確実に行うことができるようになっている。
【0040】
本実施形態は、以上のような構成であって、続いて、雌端子10の作用および効果について説明する。
例えば、金属板材の側端縁同士を突き合わせるようにして円筒状に設けられた基部の前縁に、ピン状の雄端子の外周面に弾性接触可能な複数の弾性接触片が設けられた雌端子の場合、弾性接触片が雄端子によって径方向外側に押圧されると、これに伴って基部の端縁同士が互いに離れるようにして基部が開いてしまう。
すると、基部の端縁に隣接する弾性接触片の雄端子に対する接触荷重が、基部の端縁から離れた弾性接触片の雄端子に対する接触荷重よりも低下しまい、各弾性接触片の接触荷重にばらつきが生じてしまう。
【0041】
ところが、本実施形態によると、端子接続部21の軸心を境に基部24の側端縁24Aが配された上部とは反対側に配された非隣接接触片27の基端部27Aは、隣接接触片26の基端部26Aよりも幅広に形成されているものの、その周方向中央部には、非隣接接触片27を板厚方向に貫通して開口する荷重低減開口部30が設けられている。
【0042】
言い換えると、非隣接接触片27の基端部27Aは、荷重低減開口部30の両側において、非隣接接触片27の前後方向略中央部よりも幅狭な2つの弾性片27Bによって構成されている。
したがって、例えば、荷重低減開口部が設けられていない非隣接接触片に比べて、非隣接接触片27の弾性力を低減させることができることはもちろんのこと、例えば、非隣接接触片の基端部を幅狭な1つの弾性片によって構成する場合に比べて、非隣接接触片27がへたりやすくなることを抑制しつつ、非隣接接触片27の弾性力を低減させることができる。
【0043】
また、本実施形態によると、基部24の側端縁24Aに対して周方向に隣接する一対の隣接接触片26の基端部26Aが、基部24の側端縁24Aから周方向に離れるように下側に偏心して設けられているから、例えば、隣接接触片の基端部が偏心していない場合に比べて、一対の隣接接触片26が基端部26Aを支点に弾性変形する際に、その応力が基部24に伝わって基部24が開くことを抑制することができる。また、仮に基部24が開く場合には、基部24が開くことに伴う一対の隣接接触片26への影響が低減されるから、一対の隣接接触片26の雄端子に対する接触荷重が低下することを抑制することができる。
【0044】
これにより、一対の隣接接触片26が雄端子に接触するそれぞれの接触荷重と、非隣接接触片27の雄端子に対する接触荷重とに差が生じることを抑制し、各弾性接触片25の雄端子に対する接触荷重のばらつきを抑制することができる。
【0045】
さらに、本実施形態によると、一対の隣接接触片26の基端部26Aを下方に偏心させることで構成された開口を、コネクタハウジングHの端子係止部H2が嵌合する係止孔32として使用し、コネクタハウジングHに対する雌端子10の抜け止めを図っているから、例えば、端子接続部の後端部とコネクタハウジングの端子係止部とを係止させて雌端子の抜け止めを図る場合に比べて、端子接続部21と電線接続部23との間の長さ寸法を短くすることができ、雌端子10を前後方向に小型化することができる。
【0046】
<他の実施形態>
本明細書で開示される技術は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような種々の態様も含まれる。
(1)上記実施形態では、荷重低減開口部30を、非隣接接触片27を貫通する前後方向に長い略矩形状に構成した。しかしながら、これに限らず、荷重低減開口部を長円形や円形に構成してもよい。また、荷重低減開口部が、非隣接接触片を貫通せず、非隣接接触片に凹んで開口する構成してもよい。
(2)上記実施形態では、端子接続部21の弾性接触片25を3つに構成した。しかしながら、これに限らず、弾性接触片は、2つや4つ以上に構成してもよい。
【0047】
(3)上記実施形態では、端子本体20にカバー40を装着する構成にした。しかしながら、これに限らず、端子本体の剛性を高くするなどして端子本体にカバーを装着しない構成としてもよい。
(4)上記実施形態では、端子接続部21および基部24を円筒状に構成した。しかしながら、これに限らず、端子接続部や基部を、三角や四角以上の多角の筒状に構成してもよい。
(5)上記実施形態では、非隣接接触片27の基端部27Aにおける周方向略中央部の1箇所に荷重低減開口部30を設けた構成とした。しかしながら、これに限らず、荷重低減開口部は、非隣接接触片に複数設けてもよく、非隣接接触片の前後方向略中央部に設けてもよい。
【0048】
(6)上記実施形態では、非隣接接触片27の基端部27Aに荷重低減開口部30を設けると共に、隣接接触片26の基端部26Aを下側に偏心させることで、各弾性接触片25の雄端子に対する接触荷重がほぼ同一とになるように構成にした。しかしながら、これに限らず、非隣接接触片の基端部における荷重低減開口部の大きさを調整することで、隣接接触片の基端部を下側に偏心させなくとも、各弾性接触片の雄端子に対する接触荷重がほぼ同一となるように構成してもよい。
【符号の説明】
【0049】
10:雌端子
24:基部
24A:側端縁
25:弾性接触片
26:隣接接触片
27:非隣接接触片
30:荷重低減開口部(「荷重低減部」の一例)
31:突出片(「被係止部」の一例)
H:コネクタハウジング
H2:端子係止部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10