(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
例えば、自動取引装置(以下、ATM:Automatic Teller Machine)において、キャッシュカードやクレジットカードが利用されている。キャッシュカードやクレジットカードの認識技術として、磁気ストライプが世界で多く利用されている。
【0003】
近年、ICチップが内蔵された接触型又は非接触型の認識技術も出現しているが、依然として磁気ストライプが付与されたカードが多数利用されている。また、日本における磁気ストライプの規格は、国際標準化機構(ISO)の国際標準規格ISO/IECと同等の「JIS−I型」と、「JIS−II型」とがある。
【0004】
外国の金融機関やカード会社が発行するカード(以下、「外国発行カード」とも呼ぶ。)の多くは、いわゆる「JIS−I型」の磁気ストライプが付与され、日本の金融機関やカード会社が発行するカード(以下、「国内発行カード)とも呼ぶ。)の多くは、「JIS−II型」の磁気ストライプが付与されている。
【0005】
従来のATMは、挿入されたカードの磁気ストライプの情報から、通常の目的外のカードであると判定した場合、カードを返却している(特許文献1参照)。つまり、従来のATMは、挿入されたカードが外国発行カードであるか否かを判断せずに、通常目的外カードとしてカードを返却している。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(A)主たる実施形態
以下では、本発明に係る自動取引装置の実施形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0014】
この実施形態は、本発明を利用して、金融機関の各支店や駅や空港やコンビニエンスストア等に設置されているATMに適用する場合を例示する。
【0015】
(A−1)実施形態の構成
図1は、実施形態に係る自動取引装置の外観構成を示す構成図である。
【0016】
図1において、実施形態に係る自動取引装置10は、筐体11、カード入出口12、通帳入出口13、紙幣入出口14、硬貨入出口15、操作表示部16、を備える。
【0017】
筐体11の内部には、自動取引装置10が搭載する各種機構部や制御系の構成などが内蔵されている。
【0018】
カード入出口12は、取引用カードとして、キャッシュカード、クレジットカードの挿入又は排出を行なう部分である。
【0019】
この実施形態の自動取引装置10は、国内
のATMである場合を例示する。したがって、自動取引装置10が取り扱うことができる取引用カード
は、磁気ストライプ付きの金融カード(キャッシュカード、クレジットカード)や、ICチップ内蔵の金融カードである場合を例示す
る。
【0020】
通帳入出口13は、通帳の挿入又は排出を行なう部分である。紙幣入出口14は、紙幣の受け入れ又は排出を行なう部分であり、硬貨入出口15は、硬貨の受け入れ又は排出を行なう部分である。操作表示部16は、タッチパネル付きのディスプレイであり、取引の進行に応じた画面を表示する。顧客は、所望のボタン(例えば、所望の取引が描かれたボタン)に触れることで、取引を進行させることができる。
【0021】
図2は、実施形態に係る自動取引装置10の内部構成を示す構成図である。
【0022】
図2において、実施形態に係る自動取引装置10は、主として、制御部100、操作表示部16、カード処理部400を有する。
【0023】
制御部100は、自動取引装置10の機能を司るものである。制御部100のハードウェアは図示しないが、例えば、CPU、ROM、RAM、EEPROM、入出力インタフェース部を有する。CPUは、ROMに格納される処理プログラム(例えば、カード判定処理プログラム等)を実行することにより、自動取引装置10の機能を実現する。なお、処理プログラムが自動取引装置10にインストールされることにより、自動取引装置10の機能を構築できるようしても良い。
【0024】
実施形態に係る制御部100は、主として、取引処理部110と、カード判定部120とを有する。
【0025】
取引処理部110は、自動取引装置10において取引可能な種類の取引処理を行なうものである。例えば、取引処理部110は、入金取引、出金取引、振込取引等の取引処理を行なう。
【0026】
カード判定部120は、カード処理部40に挿入されたカードが取引用カードであるか否かを判定するものである。カード判定部120は、挿入されたカードが取引用カードでない場合に、当該挿入されたカードを取り扱うことができる自動取引装置10に関する情報を操作表示部16に出力する。なお、カード判定部120の詳細な説明は動作の項で詳細に説明する。
【0027】
カード処理部40は、カード入出口12から挿入されたカードの磁気ストライプ、ICチップから読み出した情報に基づいてカードの認識処理を行なうと共に、磁気ストライプ、ICチップから読み出した情報を制御部100に与えるものである。
【0028】
図3は、実施形態に係るカード処理部40の構成を示す構成図である。
【0029】
図3において、実施形態に係るカード処理部40は、搬送路401と、搬送ローラ402と、挿入検知センサ403と、第1磁気センサ406と、第2磁気センサ407と、エンボス読取り部410と、IC読取り部414と、取り忘れ収納庫416とを備える。なお、カード処理部40内には、搬送状況(例えば、取引用キャッシュカードの位置等)を検出するセンサも設けられる。
【0030】
搬送路401は、挿入されたカード1を搬送する通路であり、カード入出口12と取り忘れ収納庫416とを連結する。
【0031】
搬送ローラ402は、搬送路401に互いに間隔を置いて複数設けられ、図示しないローラ駆動装置によって駆動される。これにより、搬送ローラ402は、搬送路401内のカード1を、取り忘れ収納庫416側及びカード入出口12側に搬送する。即ち、カード入出口12に矢印A方向に挿入されたカード1は、搬送ローラ402によって搬送路401内に導入される。その後、挿入されたカード1は、搬送ローラ402によって搬送路401内で搬送され、最終的に、カード入出口12から顧客に返却されるか、または、取り忘れ収納庫416に矢印C方向に排出される。
【0032】
挿入検知センサ403は、搬送路401に導かれたカード1を検知する。挿入検知センサ403は、カード1を検知した場合には、その旨の検知情報を制御部100に出力する。
【0033】
第1磁気センサ406は、挿入検知センサ403の後方(取り忘れ収納庫416側)かつ搬送路401の上方に設けられ、図示しない第1磁気センサ駆動装置により駆動されることで、カード1に付された第1磁気ストライプ(例えば、「JIS−II型」の磁気ストライプ)に接触する。これにより、第1磁気センサ406は、カード1に付されている第1磁気ストライプ(例えば、「JIS−II型」の磁気ストライプ)に記憶された第1磁気情報を読み込む。そして、第1磁気センサ406は、読み込んだ第1磁気情報を制御部100に出力する。
【0034】
第2磁気センサ407は、搬送路401の下方かつ第1磁気センサ406に対向する位置に設けられ、図示しない第2磁気センサ駆動装置により駆動されることで、カード1に付された第2磁気ストライプ(例えば、「JIS−I型」の磁気ストライプ)に接触する。これにより、第2磁気センサ407は、第2磁気ストライプ(例えば、「JIS−I型」の磁気ストライプ)に記憶された第2磁気情報を読み込む。そして、第2磁気センサ407は、読み込んだ第2磁気情報を制御部100に出力する。
【0035】
エンボス読取り部410は、第1磁気センサ406の後方に設けられ、取引用キャッシュカードの所定の画像読取領域に描かれた情報(例えば、エンボス領域4に印字された口座番号等)を光学的に読み取り、読み取った情報を制御部100に出力する。この情報は、明細票の作成の際に使用される。
【0036】
IC読取り部414は、エンボス読取り部410の後方の、搬送路401から離れた位置に設けられる。IC読取り部414は、カード1がICチップを有すると判定された場合に、矢印B方向に移動して、カード1のICチップ部分に圧接する。そして、IC読取り部414は、ICチップに記憶されたIC情報を読み込んで、制御部100に出力する。
【0037】
(A−2)実施形態の動作
次に、実施形態に係る自動取引装置10におけるカード判定処理の動作を、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0038】
図4は、実施形態に係るカード判定処理の動作を示すフローチャートである。
【0039】
自動取引装置10において、所定の取引処理を希望する顧客により、カードがカード入出口12に挿入される。カード入出口12に挿入されたカードは、カード処理部40において挿入検知センサ403により検知される(S101)。
【0040】
カード処理部40では、カードが搬送路401に沿って取り忘れ収納庫416側の方向に搬送され、第1磁気センサ406及び第2磁気センサ407により、カードに付されている磁気ストライプ情報が読み取られる(S
102)。
【0041】
ここで、磁気ストライプは、カードに付される位置や格納される磁気情報のフォーマット等が規格化されている。例えば、「JIS−II型」の磁気ストライプは、カードの表面の所定位置に付与される。従って、第1磁気センサ406は、カードの表面の所定位置に付与されている磁気ストライプから磁気情報を読み取る。また例えば、「JIS−I型」の磁気ストライプは、カードの裏面の所定位置に付与されている。従って、第2磁気センサ407が、カードの裏面の所定位置に付与されている磁気ストライプから磁気情報を読み取る。
【0042】
第1磁気センサ406及び第2磁気センサ407はそれぞれ、磁気ストライプから読み出した情報を制御部100に出力する。
【0043】
制御部100のカード判定部120は、第1磁気ストライプ(すなわち、「JIS−II型」の磁気ストライプ)の第1磁気情報があるか否かを判定する(S103)。第1磁気情報がある場合、S104に移行する。第1磁気情報がない場合、S107に移行する。
【0044】
第1磁気情報がある場合、カード判定部120は、第1磁気情報の内容を確認して(S104)、金融カードに関するものであるか否かを判定する(S105)。
【0045】
つまり、カード判定部120は、第1磁気情報が、金融カードとしてのキャッシュカードやクレジットカードであるか否かを判定し、金融カードである場合、S106に移行して取引の実行処理に進む(S106)。なお、取引処理は、通常の入金取引や出金取引であるため、ここでの詳細な説明は省略する。一方、金融カードでないと判定した場合、処理はS112に移行して、挿入されたカードを返却する(S112)。
【0046】
S107では、第1磁気情報がない場合、カード判定部120は、第2磁気ストライプ(すなわち、「JIS−I型」の磁気ストライプ)の第2磁気情報があるか否かを判定する(S107)。第2磁気情報がある場合、S108に移行する。第2磁気情報がない場合、S112に移行して、カードを排出する(S112)。
【0047】
第2磁気情報がある場合、カード判定部120は、第2磁気情報の内容を確認して(S104)、金融カードに関するものであるか否かを判定する(S105)。金融カードである場合、S110に移行する。また、金融カードでない場合、S112に移行して、カードを返却する(S112)。
【0048】
磁気ストライプは、キャッシュカードやクレジットカードのみではなく、例えば、IDカードや会員カードなどのように様々なカードに広く適用される。また、磁気ストライプの偽造等も考えられる。そこで、第2磁気情報がある場合でも、カード判定部120は、第2磁気情報に基づいて、キャッシュカードやクレジットカード等の金融カードであるか否かを判定するようにしている。より具体的には、金融カードの磁気情報は、金融機関コード、支店コード等の情報(データ)が、所定のセパレータに区分されて格納されている。そこで、カード判定部120は、第2磁気情報に基づいて、所定のフォーマットで構成されているものであり、さらに金融機関コードや支店コード等が正しく含まれているか否かを判定することで実現できる。
【0049】
そして、第2磁気情報に基づいて金融カードであると判定した場合、S110に移行し、カードを返却した後(S110)、当該挿入されたカードを取り扱っている自動取引装置10に関する情報を含む顧客誘導画面を操作表示部16に表示する(S111)。
【0050】
つま
り、カード判定部120は、挿入されたカードが、通常目的対象外の「JIS−I型磁気ストライプ」が付与されている外国発行カードであると判定した場合、その外国発行カードを取り扱うことができる自動取引装置が設けられている場所等を含むメッセージやその場所等までの案内図を含む情報を、操作表示部16に表示する。これにより、外国発行カードを使用する顧客に対して、どの場所等の自動取引装置であれば、取引ができるかを認識させることができる。
【0051】
図5は、実施形態に係る顧客誘導画面を説明する説明図である。
【0052】
図5に示すように、顧客誘導画面500は、挿入されたカードでは取引を行なうことができず、当該カードを取り扱うことができるATMを紹介するメッセージ501を含む。また、自動取引装置10に挿入されたカードは外国発行カードであるため、上記メッセージ501は、外国語で表記することが望ましく、また、複数の言語で併記する場合を例示している。例えば、
図5では、英語、繁体文字、簡体文字で併記する場合を例示しているが、スペイン語、ポルトガル語、韓国語等で併記、又は表記してもよい。
【0053】
さらに、顧客誘導画面500は、
挿入された外国発行カードの取り扱い場所を紹介するURLを含む二次元コード(又は一次元コードであってもよい。)を含む。これにより、顧客が、二次元コードの読み取り機能及び通信機能を有するスマートフォンや携帯端末等で、顧客誘導画面500上の二次元コードを読み取り、URLにアクセスすることで、顧客は外国発行カードの取り扱い場所を知ることができる。
【0054】
なお、顧客誘導画面500は、例えば、当該自動取引装置10から、外国発行カードを取り扱う場所までの地図情報を表示するようにしてもよい。これにより、近くに位置している自動取引装置までの場所を顧客に知らせることができる。
【0055】
顧客誘導画面500は、自動取引装置10の表示画面として予め制御部100に設定されているようにしてもよいし、又は通信回線を通じて接続可能なサーバから表示画面情報を取得して表示するようにしてもよい。
【0056】
(A−3)実施形態の効果
以上のように、実施形態によれば、国内
のATMに海外カードが挿入されても、
取引不可の海外カードと判定できることにより、海外カード使用者に向けた案内図やメッセージ等を表示できるという効果が得られる。
【0057】
(B)他の実施形態
上述した実施形態においても種々の変形実施形態を言及したが、本発明は以下の変形実施形態にも適用できる。
【0058】
(B−1)上述した実施形態では、顧客誘導画面上に、外国発行カードを取り扱う自動取引装置の場所等を含む情報を表示する場合を例示した。しかし、自動取引装置は、取引内容を印字した明細票を排出する明細票印字出力部を有している。そのため、顧客誘導画面の表示に代えて、又は、顧客誘導画面のため、明細票印字出力部が、外国発行カード対応のATMまでの地図情報を印字した用紙を排出するようにしてもよい。
【0059】
(B−2)上述した実施形態では、顧客誘導画面が、メッセージについて複数の言語表記を併記する場合を例示した。しかし、例えば、顧客誘導画面が、複数の言語表記への切替ボタンを言語ごとに含むようにしてもよい。つまり、顧客誘導画面には、英語で表記したメッセージを含み、他の言語表記への切替ボタンが選択されたときには、メッセージの言語表記を、選択された言語表記に切り替えて表示する。これにより、顧客がメッセージを判読できる言語で、メッセージを切り替えて表示できるため、顧客が望む言語で、外国発行カード対応のATMを案内できる。
【0060】
(B−3)上述した実施形態では、カード判定部120が、第1磁気センサ406及び第2磁気センサ407からの第1磁気情報及び第2磁気情報に基づいて、挿入されたカードが国内発行カード又は外国発行カードであることを判定することを説明した。しかし、エンボス読取り部410により撮像されたカード面に付されているエンボス情報に基づいて、挿入されたカードが、国内発行カード又は外国発行カードであることを判定するようにしてもよい。
【0061】
例えば、クレジットカードの券面に付されている16桁の番号に基づいて、日本国内の会社が発行したものと、外国の会社が発行したものとで異なる。従って、エンボス読取り部410により読み取られたカード券面のエンボス情報に基づいて、カードの発行先が日本国であるか又は外国であるかを判定してもよい。