(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6583077
(24)【登録日】2019年9月13日
(45)【発行日】2019年10月2日
(54)【発明の名称】カメラフード
(51)【国際特許分類】
H04N 5/225 20060101AFI20190919BHJP
G03B 15/00 20060101ALI20190919BHJP
G03B 11/04 20060101ALI20190919BHJP
【FI】
H04N5/225 100
H04N5/225 430
G03B15/00 S
G03B11/04 C
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-55541(P2016-55541)
(22)【出願日】2016年3月18日
(65)【公開番号】特開2017-175180(P2017-175180A)
(43)【公開日】2017年9月28日
【審査請求日】2018年11月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006655
【氏名又は名称】日本製鉄株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100175802
【弁理士】
【氏名又は名称】寺本 光生
(74)【代理人】
【識別番号】100134359
【弁理士】
【氏名又は名称】勝俣 智夫
(74)【代理人】
【識別番号】100188592
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(72)【発明者】
【氏名】北澤 貴幸
(72)【発明者】
【氏名】揚場 健司
(72)【発明者】
【氏名】竹内 裕紀
【審査官】
▲徳▼田 賢二
(56)【参考文献】
【文献】
特開2001−108880(JP,A)
【文献】
特開平8−234134(JP,A)
【文献】
特開2014−39179(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 5/225
G03B 11/04
G03B 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像カメラのレンズに対向配置される透明板と、この透明板の前記撮像カメラとは反対側に延在するフード本体と、を備え、
前記フード本体の一端に前記透明板が配置され、前記フード本体の他端に開口窓部が形成されており、
前記フード本体の内部には、パージガスを噴出するガス噴出口を備えたパージガスヘッダが2本以上配設されており、
前記フード本体には、前記パージガスヘッダの側面に対向して開口する接続口を備えたガス導入ヘッダが配置され、このガス導入ヘッダに導入配管が接続されていることを特徴とするカメラフード。
【請求項2】
前記ガス噴出口から延在する垂線がそれぞれ前記開口窓部の開口範囲を通過するように、前記パージガスヘッダが配設されていることを特徴とする請求項1に記載のカメラフード。
【請求項3】
前記ガス導入ヘッダの前記接続口のうち前記フード本体の一端側端部が、前記パージガスヘッダの前記ガス噴出口よりも前記フード本体の一端側に位置していることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のカメラフード。
【請求項4】
前記フード本体、前記パージガスヘッダ、前記ガス導入ヘッダ及び前記導入配管が、ステンレス鋼で構成されていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のカメラフード。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば熱間圧延工程等の水飛沫、粉塵、グリース等が飛散する環境下においてカメラ観察を行う際に使用されるカメラフードに関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、カメラレンズやカメラレンズの前に配置された透明板に、付着物が発生するような環境下においてカメラ観察を行う場合、カメラレンズや透明板が汚れてしまい、長時間安定してカメラ観察を行うことができなった。
ここで、カメラレンズや透明板の付着物を除去・防止する手段として、例えば特許文献1−5に示すような各種技術が提案されている。
【0003】
特許文献1には、監視カメラを収納するカメラケースの周囲に、風圧を受けると変形して振動するシート部材を配置し、前面パネルやワイパにおける雪氷の付着を軽減する技術が提案されている。
【0004】
特許文献2には、柱状の第1空間とこの第1空間の外側周囲に配置された第2空間とを有し、第2空間に気体を供給し、第1空間と第2空間と間を仕切る隔壁に設けられた浸透部を介して、第1空間内に気体を均一に流通されることにより、第1空間内を清浄に保つ技術が提案されている。
【0005】
特許文献3には、カメラのレンズの前方に開口部を有し、開口部以外はカメラを覆うように構成したカメラケースの内部に、カメラの後方から前方に向けてエアーを供給し、前記開口部の周りの開口部側方より、開口部からカメラケースの外にでるエアーを吸引することにより、カメラケース内に圧延油ヒューム等が巻き込まれることを抑制する技術が提案されている。
【0006】
特許文献4には、透明板を備えたカメラケースに固着されるエアーパージフードにおいて、透明板の外面に沿ってエアーを吐き出す第1のエアー吐出口と、前記第1のエアー吐出口の外側に設けられ、エアーを前記透明板の外面から離れる方向に吐き出す第2のエアー吐出口とを設けることにより、粉塵が透明板に付着することを防止する技術が提案されている。
【0007】
特許文献5には、観察窓を有した第1ケースと、この第1ケースを被包する第2ケースと、を備え、この第1ケースと第2ケースとの間からパージを行うことで、第1ケースの観察窓の汚れを抑制する技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2008−113363号公報
【特許文献2】特開2003−248158号公報
【特許文献3】特開2013−105169号公報
【特許文献4】特開2001−108880号公報
【特許文献5】特開2015−139094号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、例えば熱間圧延工程等においては、水飛沫、粉塵、グリース等が飛散しており、カメラレンズや透明板への汚れの付着が顕著であった。このため、特許文献1に記載されたように、振動するシート部材を配置したのみでは、カメラレンズや透明板への汚れの付着を十分に抑制することができず、カメラ観察を長時間安定して行うことができなかった。
【0010】
また、特許文献2−5においては、エアー等のガスパージによってカメラレンズや透明板への汚れの付着を抑制しているが、ガス流量やガス流速が不十分であって、例えば熱間圧延工程等の水飛沫、粉塵、グリース等が多く飛散する環境下では、カメラレンズや透明板への汚れの付着を十分に抑制することができないおそれがあった。また、ガス流量やガス流速を確保するために、パージガスの流量を増加させたとしても、ガスの流れが不均一となって、これら水飛沫、粉塵、グリース等を巻き込んでしまうおそれがあった。
【0011】
本発明は、前述した状況に鑑みてなされたものであって、カメラレンズに対向配置された透明板への汚れの付着を十分に抑制することができ、長時間安定してカメラ観察を行うことができるカメラフードを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために、本発明に係るカメラフードは、撮像カメラのレンズに対向配置される透明板と、この透明板の前記撮像カメラとは反対側に延在するフード本体と、を備え、前記フード本体の一端に前記透明板が配置され、前記フード本体の他端に開口窓部が形成されており、前記フード本体の内部には、パージガスを噴出するガス噴出口を備えたパージガスヘッダが2本以上配設されており、前記フード本体には、前記パージガスヘッダの側面に対向して開口する接続口を備えたガス導入ヘッダが配置され、このガス導入ヘッダに導入配管が接続されていることを特徴としている。
【0013】
この構成のカメラフードによれば、パージガスヘッダからガスを噴出した際に、フード本体内が負圧となり、導入配管及びガス導入ヘッダを介してフード本体内に外部ガスが吸引される。この外部ガスが、パージガスとともにフード本体の開口窓部から外部へ向けて吹き出されることにより、フード本体の開口窓部におけるガスの流れが比較的均一となるとともにガス流量及び流速が確保される。これにより、フード本体内に水飛沫、粉塵、グリース等が巻き込まれることが抑制され、透明板に汚れが付着することを抑制することが可能となる。よって、例えば熱間圧延工程等の水飛沫、粉塵、グリース等が飛散している環境下においても、カメラ観察を長時間安定して行うことが可能となる。
【0014】
ここで、本発明のカメラフードにおいては、前記ガス噴出口から延在する垂線がそれぞれ前記開口窓部の開口範囲を通過するように、前記パージガスヘッダが配設されていることが好ましい。
この場合、前記パージガスヘッダのガス噴出口から噴出されたパージガスがフード本体の側壁等に衝突することを抑制でき、ガスの流れが安定し、水飛沫、粉塵、グリース等がフード本体内部に入り込むことを抑制できる。
【0015】
また、本発明のカメラフードにおいては、前記ガス導入ヘッダの前記接続口のうち前記フード本体の一端側端部が、前記パージガスヘッダの前記ガス噴出口よりも前記フード本体の一端側に位置していることが好ましい。
この場合、前記パージガスヘッダからパージガスを吹き出すことで負圧となりやすい領域に前記ガス導入ヘッダの接続口が位置しているので、導入配管及びガス導入ヘッダを介してフード本体内に外部ガスを十分に吸引することができる。
【0016】
さらに、本発明のカメラフードにおいては、前記フード本体、前記パージガスヘッダ、前記ガス導入ヘッダ及び前記導入配管が、ステンレス鋼で構成されていることが好ましい。
この場合、前記フード本体、前記パージガスヘッダ、前記ガス導入ヘッダ及び前記導入配管における錆の発生を抑制でき、この錆による透明板の汚れを抑制することができる。また、前記フード本体、前記パージガスヘッダ、前記ガス導入ヘッダ及び前記導入配管の耐久性が向上し、これらの寿命延長を図ることができる。
【発明の効果】
【0017】
上述のように、本発明によれば、カメラレンズに対向配置された透明板への汚れの付着を十分に抑制することができ、長時間安定してカメラ観察を行うことができるカメラフードを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の一実施形態であるカメラフードの断面説明図である。
【
図2】
図1に示すカメラフードの側面説明図である。
【
図3】本実施形態であるカメラフードに備えられたパージガスヘッダの説明図である。
【
図4】実施例において、開口窓部における風速(ガス流速)の測定位置を示す図である。
【
図5】実施例において、開口窓部における風速(ガス流速)の分布状態を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、本発明の一実施形態であるカメラフードについて、添付した図面を参照して説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではない。
本実施形態であるカメラフード1は、例えば熱間圧延工程等の水飛沫、粉塵及びグリースが飛散した環境下において、撮像カメラ50によって観察を行う際に用いられるものである。
【0020】
このカメラフード1は、フード本体10と、このフード本体10の一端側(
図1及び
図2において下側)に配置された透明板20と、フード本体10の内部に配置されたパージガスヘッダ30と、フード本体10の側壁11に接続されたガス導入ヘッダ40と、このガス導入ヘッダ40に接続された導入配管45と、を備えている。本実施形態では、フード本体10、パージガスヘッダ30、ガス導入ヘッダ40、導入配管45が、ステンレス鋼で構成されている。また、透明板20として、ガラス板を用いている。
【0021】
フード本体10は、概略筒状をなし、その一端側(
図1及び
図2において下側)に透明板20が配置され、他端側(
図1及び
図2において上側)が開口窓部15とされている。
本実施形態では、
図1及び
図2に示すように、開口窓部15の面積が透明板20の面積よりも小さくされており、フード本体10の側壁11は、
図1に示すように、フード本体10の一端側から他端側に向けて(下方から上方に向けて)漸次内側に向かうように傾斜している。
【0022】
パージガスヘッダ30は、
図1から
図3に示すように、概略円管状をなしており、フード本体10内部の一端側において、透明板20の長辺方向及び開口窓部15の長辺方向に沿って延在するように配置されている。本実施形態では、
図1に示すように、2本のパージガスヘッダ30が互いに平行に配設されている。
このパージガスヘッダ30には、
図3に示すように、複数のガス噴出口31が設けられている。このガス噴出口31は、同一径で均等間隔に配置されている。このガス噴出口31は、例えば、孔径が1mm以上4mm以下の範囲内とされ、その個数が一つのパージガスヘッダ30において6個以上96個以下とされることが好ましい。
また、このパージガスヘッダ30には、パージガスの静圧値を19kPa以上とするパージガス圧力調整手段(図なし)が配設されている。
【0023】
そして、パージガスヘッダ30は、上述のガス噴出口31から延在する垂線V(すなわち、ガス噴出口31からのガス噴出方向)がそれぞれ開口窓部15の開口範囲を通過するように配設されている。
本実施形態では、2つのパージガスヘッダ30のガス噴出口31から延在する垂線Vがフード本体10内で衝突しないように構成されている。さらには、
図1に示すように、フード本体10の開口端から開口幅の1/4幅までの領域に、パージガスヘッダ30のガス噴出口31から延在する垂線Vが位置するように配設されている。
【0024】
ガス導入ヘッダ40は、
図1に示すように、2本のパージガスヘッダ30の側面にそれぞれ対向して開口するように配置されている。
本実施形態では、
図1に示すように、ガス導入ヘッダ40の接続口41のフード本体10の一端側端部が、パージガスヘッダ30よりもフード本体10の一端側(
図1おいて下側)に位置している。
そして、このガス導入ヘッダ40に接続された導入配管45は、ガス導入ヘッダ40とは反対側の端部が清浄空気雰囲気に開口されている。
【0025】
このような構成とされたカメラフード1は、
図1に示すように、その透明板20が撮像カメラ50のレンズに対向配置され、この透明板20の撮像カメラ50とは反対側にフード本体10が位置するように、撮像カメラ50に対して配置される。
ここで、フード本体10の内部に配設されたパージガスヘッダ30等は、撮像カメラ50の視野に干渉しないように配置される。
また、フード本体10の開口窓部15の短辺側における撮像カメラ50の視野角が20°以内、かつ、開口窓部15の短辺側における撮像カメラ50の視野角が80°以内となるように、フード本体10の高さ、開口窓部15の長辺長さ及び短辺長さ等が設計されている。
【0026】
上述のカメラフード1を用いて、撮像カメラ50による観察を行う場合には、パージガスヘッダ30からパージガスを開口窓部15に向けて噴出する。このとき、パージガスの静圧値を19kPa以上とすることが好ましい。これは、19kPa未満の静圧値だと、パージガス量が少なく、フード本体10の内部の負圧を高めることができず、またパージガス風速の長辺方向の均一性が損なわれるためである。19kPa以上の静圧値とすることで、導入配管45及びガス導入ヘッダ40を介して、フード本体10内部に清浄空気が吸引され、この清浄空気がパージガスとともに開口窓部15へ向けて高風速かつ風速均一性が向上して吹き出される。
【0027】
以上のような構成とされた本実施形態であるカメラフード1によれば、パージガスヘッダ30からのパージガスとともに導入配管45及びガス導入ヘッダ40を介してフード本体10内に吸引された清浄空気が、フード本体10の開口窓部15から吹き出されるので、フード本体10の開口窓部15におけるガスの流れが比較的均一となるとともにガス流量及び流速が確保される。これにより、フード本体10内部への水飛沫、粉塵、グリース等の飛散物の混入が抑制され、透明板20への汚れの付着を防止することが可能となる。よって、例えば熱間圧延工程等の水飛沫、粉塵、グリース等が飛散している環境下においても、撮像カメラ50による観察を長時間安定して行うことが可能となる。
【0028】
また、本実施形態では、パージガスの静圧値を19kPa以上とするパージガス圧力調整手段を備えているので、パージガスヘッダ30におけるパージガスの静圧値を19kPa以上とすることにより、導入配管45及びガス導入ヘッダ40を介してフード本体10内に清浄空気を十分に吸引することができ、フード本体10の開口窓部15から吹き出されるガス流量を十分に確保することができる。
【0029】
また、本実施形態では、ガス噴出口31から延在する垂線Vがそれぞれ開口窓部15の開口範囲を通過するように、パージガスヘッダ30が配設されているので、パージガスヘッダ30のガス噴出口31から噴出されたパージガスがフード本体10の側壁11等に衝突することを抑制でき、パージガスを安定して開口窓部15から外部へと吹き出すことができる。
さらに、本実施形態では、2つのパージガスヘッダ30のガス噴出口31から延在する垂線Vがフード本体10内で衝突しないように構成されているので、2つのパージガスヘッダ30から噴出されたパージガス同士がフード本体10の内部で衝突することを抑制でき、パージガスの流れを安定させることができる。
また、本実施形態では、フード本体10の開口端から開口幅の1/4幅までの領域に、パージガスヘッダ30のガス噴出口31から延在する垂線Vが位置するように配設されているので、ガスが滞留しやすい開口窓部15の縁部においても、パージガスの流速、流量が確保されることになる。
【0030】
さらに、本実施形態では、ガス導入ヘッダ40の接続口41のフード本体10の一端側端部が、パージガスヘッダ30よりもフード本体10の一端側(
図1おいて下側)に位置しているので、パージガスヘッダ30からパージガスを吹き出すことで負圧となりやすい領域にガス導入ヘッダ40の接続部が位置することになり、導入配管45及びガス導入ヘッダ40を介してフード本体10内に清浄空気を十分に吸引することができる。
【0031】
また、本実施形態では、フード本体10、パージガスヘッダ30、ガス導入ヘッダ40及び導入配管45が、ステンレス鋼で構成されているので、錆の発生を抑制でき、この錆に起因する透明板20の汚れを抑制することができる。また、フード本体10、パージガスヘッダ30、ガス導入ヘッダ40及び導入配管45の耐久性が向上し、これらの寿命延長を図ることができる。
【0032】
さらに、本実施形態では、カメラフード1内部に配設されたパージガスヘッダ30等は、撮像カメラ50の視野に干渉しないように配置されているので、このカメラフード1を介して撮像カメラ50によって良好に観察を行うことができる。
また、本実施形態では、フード本体10の開口窓部15の短辺側における撮像カメラ50の視野角が20°以内、かつ、開口窓部15の短辺側における撮像カメラ50の視野角が90°以内となるように、フード本体10が構成されているので、撮像カメラ50の視野を十分に確保することができる。
【0033】
以上、本発明の実施形態であるカメラフードについて説明したが、本発明はこれに限定されることはなく、その発明の技術的思想を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、フード本体の形状や透明板及び開口窓部の大きさ等については、本実施形態に例示されたものに限定されることはない。
【実施例】
【0034】
以下に、本発明の効果を確認すべく実施した確認実験の結果について説明する。
【0035】
本発明例として、本実施形態で説明したカメラフードを用いて、パージガスヘッダからパージエアを噴出するとともに導入配管及びガス導入ヘッダを介してフード本体内に清浄空気を吸引し、パージエア及び清浄空気をフード本体の開口窓部から吹き出した。このとき、パージガスの静圧値を19kPa以上とした。
【0036】
比較例として、本実施形態で説明したカメラフードにおいて導入配管及びガス導入ヘッダを接続しないものを用いて、パージガスヘッダからパージエアを噴出し、パージエア及をフード本体の開口窓部から吹き出した。このとき、パージガスの静圧値を19kPa以上とした。
【0037】
なお、本実施例では、フード本体内に2本のパージガスヘッダを設け、このパージガスヘッダにはそれぞれ直径2mmのガス噴出口を24個設け、これらのガス噴出口が一列に並ぶように配列した。
【0038】
そして、本発明例及び比較例において、開口窓部におけるガスの流速(風速)分布を評価した。
図4に示すように、開口窓部の縁部から5mm内側の位置を測定領域とし、開口窓部の長辺方向で均等に7位置、短辺方向で均等3位置の合計21個の測定点で風速を測定し、その風速の分布を評価した。評価結果を
図5に示す。
【0039】
図5に示すように、本発明例においては、比較例に比べて平均風速が約2倍となっており、開口窓部における風速(ガス流速)が上昇していることが確認される。また、本発明例においては、比較例に比べて風速のばらつきが30%程度小さくなっており、開口窓部における風速(ガス流速)が均一化されていることが確認される。
【0040】
以上のことから、本発明例によれば、開口窓部から吹き出されるガスの流速が上昇し、かつ、流速分布が均一化することができ、フード本体内部に水飛沫、粉塵、グリース等が巻き込まれることを抑制できる。よって、水飛沫、粉塵、グリース等が飛散する環境下においても、撮像カメラでの観察を長時間安定して行うことが可能となる。
【符号の説明】
【0041】
1 カメラフード
10 フード本体
11 側壁
15 開口窓部
20 透明板
30 パージガスヘッダ
40 ガス導入ヘッダ
41 接続口
45 導入配管
50 撮像カメラ