(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御基板および前記保持部材の間と前記アンテナ基板および前記保持部材の間との少なくとも一方には、磁性部材が配置されることを特徴とする請求項2または3に記載の情報読取装置。
前記読取面には、当該読取面を平面視したときに前記ループアンテナの内側となる位置に、前記非接触通信媒体をかざす位置を示す表示が設けられることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の情報読取装置。
前記発光部を複数備え、前記複数の発光部のうちの少なくとも一部が前記読取面の隅部のうち対角となる位置にそれぞれ配置されることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の情報読取装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、様々な種別の情報コードやICカード等を利用する場合には、その読取結果に応じた様々な情報を報知するための液晶表示器等の表示手段を設ける必要がある。しかしながら、上述のような表示手段を光学的情報読取手段および非接触通信手段に加えて1つの端末に単に集約しただけでは、表示手段自体が非接触通信手段による非接触通信に影響を及ぼす可能性があり、通信状況等によっては非接触通信媒体と安定して非接触通信できない虞がある。
【0007】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、光学的情報読取手段および非接触通信手段に加えて読取結果に関する情報を表示可能な表示手段を兼備する構成であっても、非接触通信媒体と安定して非接触通信可能な情報読取装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、特許請求の範囲の請求項1に記載の発明は、読取口(13)を介して撮像された光学的情報(C)を光学的に読み取る光学的情報読取手段(40)と、読取面(12)にかざされる非接触通信媒体(100)に記憶される情報を、ループアンテナ(34)を介した電磁波の送受信に応じて非接触通信にて読み取る非接触通信手段(30)と、前記光学的情報読取手段による読取結果および前記非接触通信手段による読取結果に関する情報を表示可能な表示手段(24)と、を備える情報読取装置(10)であって、前記読取口は、前記読取面を平面視したときに、前記ループアンテナの内側に位置するように配置され、前記表示手段は、前記読取面を平面視したときに、前記ループアンテナと重な
ることなく当該ループアンテナの内側に位置するように配置され
、前記読取面には、前記光学的情報読取手段による読取結果および前記非接触通信手段による読取結果に応じて発光状態が変化する発光部が前記ループアンテナの内側に位置するように設けられることを特徴とする。
なお、上記各括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【発明の効果】
【0009】
請求項1の発明では、読取面にかざされる非接触通信媒体に記憶される情報が、ループアンテナを介した電磁波の送受信に応じて非接触通信手段により読み取られる。そして、上記読取面を平面視したときに、読取口は、ループアンテナの内側に位置するように配置され、読取結果に関する情報を表示可能な表示手段は、ループアンテナと重ならないように配置される。
【0010】
これにより、ループアンテナのアンテナサイズを大きくできるだけでなく、表示手段が非接触通信手段による非接触通信に影響を及ぼしにくくなる。したがって、光学的情報読取手段および非接触通信手段に加えて読取結果に関する情報を表示可能な表示手段を兼備する構成であっても、非接触通信媒体と安定して非接触通信することができる。なお、ループアンテナは、環状に1または2以上巻回されて形成されるアンテナだけでなく、例えば、U字状やC字状、Ω字状等に形成されるアンテナも含むものとする。
【0011】
特に、表示手段は、読取面を平面視したときに、ループアンテナの内側に位置するように配置されるため、表示手段による非接触通信への影響を抑制しつつ、ループアンテナのアンテナサイズをさらに大きくでき、非接触通信に関する通信性能を向上させることができる。
さらに、読取面には、光学的情報読取手段による読取結果および非接触通信手段による読取結果に応じて発光状態が変化する発光部がループアンテナの内側に位置するように設けられるため、それぞれの読取結果を容易に視認することができる。
【0012】
請求項
2の発明では、光学的情報読取手段および非接触通信手段に関する制御の少なくとも一部を行う制御回路が実装される制御基板と、ループアンテナを構成するアンテナパターンが形成されるアンテナ基板とが、同じ保持部材により保持される。これにより、ループアンテナに対する制御基板の相対位置をずれにくくすることができる。
【0013】
請求項
3の発明では、保持部材は、磁性材料を含有して構成されるため、保持部材の透磁率が高まることから、非接触通信時に発生した磁束を保持部材に集中させやすくなるので放射効率が向上し、非接触通信に関する通信性能を向上させることができる。
【0014】
請求項
4の発明では、制御基板および保持部材の間とアンテナ基板および保持部材の間との少なくとも一方には、磁性部材が配置される。これにより、この磁性部材に非接触通信時に発生した磁束を集中させやすくなるので放射効率が向上し、非接触通信に関する通信性能を向上させることができる。
【0015】
請求項
5の発明では、磁性部材は、シート状に形成されるため、シート状の磁性部材を保持部材等に組み付けやすくなり、磁性部材の組み付けに関する作業性を向上させることができる。
【0016】
請求項
6の発明では、制御基板は、アンテナ基板に対して傾斜するように保持部材により保持される。これにより、制御基板がアンテナ基板に対して平行となるように保持される場合と比較して、アンテナ基板に対して制御基板を投影した領域が小さくなることから、ループアンテナにて発生した磁束が制御基板を通る面積が小さくなる。このため、非接触通信時にループアンテナにて発生した磁束が制御基板に対して影響を及ぼす場合でも、その影響を抑制することができる。
【0017】
請求項
7の発明では、読取面には、当該読取面を平面視したときにループアンテナの内側となる位置に、非接触通信媒体をかざす位置を示す表示が設けられるため、ループアンテナに対して適切な位置に非接触通信媒体がかざされやすくなるので、非接触通信媒体と確実に非接触通信することができる。
【0019】
請求項
8の発明では、複数の発光部のうちの少なくとも一部が読取面の隅部のうち対角となる位置にそれぞれ配置される。これにより、対角に位置する発光部により非接触通信媒体をかざすべき読取面の位置が明確になるため、ループアンテナに対して適切な位置に非接触通信媒体がかざされやすくなるので、非接触通信媒体と確実に非接触通信することができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
[第1実施形態]
以下、本発明の情報読取装置を具現化した第1実施形態について、図面を参照して説明する。
図1〜
図4に示す情報読取装置10は、バーコードおよびQRコード(登録商標)等の情報コードや文字情報等の光学的情報の読取結果、ICカード等の非接触通信媒体100の読取結果などを利用した決済処理を行う据置型の決済端末として構成されている。
【0022】
情報読取装置10は、例えばABS樹脂等の樹脂材料によって箱状に構成される下ケース11aとこの下ケース11aの上面部を閉塞する上ケース11bとを組み付けることで構成される筐体11を備えている。この筐体11の内部には、後述する制御基板50やアンテナ基板60、保持部材70などの各部品が収容されている。また、
図1および
図2に示すように、筐体11の上面部の前側(正面側ともいう:
図2の下側に相当)となる位置には、光の出入口となる読取口13が設けられており、この読取口13を介して筐体11外からの光が筐体11内に入り込み、筐体11内からの光が筐体11外に放出されるようになっている。また、読取口13を囲う方形状領域の四隅には、それぞれLED23が配置されている。
【0023】
また、筐体11の上面部の後側(背面側ともいう:
図2の上側に相当)となる位置には、表示部24が配置されており、表示部24や読取口13、LED23を覆うように上ケース11bが下ケース11aに組み付けられている。このため、上ケース11bは、表示部24や読取口13、LED23を覆う部分等が、外部からの光を透過する光透過性の部材(例えば、透明なアクリル樹脂や透明ガラス等)によって構成されている。
【0024】
図4に示すように、筐体11は、前側(正面側)に位置する利用者が表示部24や読取口13等を見やすくするため、前側ほど低くなるように載置面に対して上面部が傾斜して形成されている。この傾斜している上ケース11bの上面部は、非接触通信媒体100がかざされる読取面12として構成されており、
図2に示すように、読取面12の中央近傍には、非接触通信媒体100をかざす位置を示す表示Tが設けられている。なお、
図2では、便宜上、表示Tを二点鎖線で囲まれた領域にて図示している。
【0025】
次に、情報読取装置10の電気的構成について説明する。
図5(A)に示すように、情報読取装置10は、全体的制御を司る制御部21を備えており、この制御部21は、マイコンを主体として構成され、CPU、システムバス、入出力インタフェース等を有し、メモリ22とともに情報処理装置を構成している。この制御部21を構成する制御回路の少なくとも一部や他の電子部品等は制御基板50に実装されている。メモリ22には、情報コードや文字情報等の光学的情報を読み取る読取処理を実行するための所定のプログラムやICカード等の非接触通信媒体と通信する読取処理を実行するための所定のプログラム等が制御部21により実行可能に予め格納されている。
【0026】
また、制御部21には、上述した4つのLED23や表示部24、操作部25、スピーカ26、外部インタフェース27などが接続されている。各LED23は、制御部21により制御されて、光学的情報の読取結果や非接触通信媒体100の読取結果に応じて発光状態が変化する発光部として機能するようになっている。例えば、各LED23の発光状態に関して、光学的情報の読み取りが成功したときの発光状態、光学的情報の読み取りが失敗したときの発光状態、非接触通信媒体100の読み取りが成功したときの発光状態、非接触通信媒体100の読み取りが失敗したときの発光状態等が予め用意されており、各LED23は、制御部21により制御されて、発光色や発光間隔等を変化させてそれぞれの発光状態となるように駆動される。なお、LED23は、全て同じように発光するように制御されることに限らず、読取結果等に応じて一部の発光状態が他の発光状態と異なるように制御部21により制御されてもよい。
【0027】
表示部24は、液晶表示器等によって構成され、制御部21により制御されて、光学的情報の読取結果や非接触通信媒体100の読取結果に関する情報等を表示する表示手段として機能するようになっている。操作部25は、その操作に応じた操作信号を制御部21に対して与える構成をなしており、制御部21は、この操作信号を受けて操作信号の内容に応じた動作を行う。スピーカ26は、制御部21によって制御される構成をなしており、下ケース11aの前側の側面に形成されるスピーカ口14から外部に向けて発音するように配置されている。
【0028】
外部インタフェース27は、ホストコンピュータ等の外部機器との間でネットワーク等を介してデータ通信を行うためのインタフェースとして構成されており、制御部21と協働して通信処理を行う構成をなしている。また、情報読取装置10には、電源部28が設けられており、この電源部28によって制御部21や各種電気部品に電力が供給されるようになっている。
【0029】
また、制御部21には、非接触通信部30および光学的情報読取部40が接続されている。
非接触通信部30は、アンテナ34および制御部21と協働して非接触通信媒体100との間で電磁波による通信を行ない、非接触通信媒体100に記憶されるデータの読み取り、或いは非接触通信媒体100に対するデータの書込みを行なう非接触通信手段として機能するものである。この非接触通信部30は、公知の電波方式で伝送を行う回路として構成されており、
図5(B)にて概略的に示すように、送信回路31、受信回路32、整合回路33などを有している。
【0030】
送信回路31は、キャリア発振器、符号化部、増幅器、送信部フィルタ、変調部などによって構成されており、キャリア発振器から所定の周波数のキャリア(搬送波)が出力される構成をなしている。また、符号化部は、制御部21に接続されており、当該制御部21より出力される送信データを符号化して変調部に出力している。変調部は、キャリア発振器からのキャリア(搬送波)、及び符号化部からの送信データが入力される部分であり、キャリア発振器より出力されるキャリア(搬送波)に対し、通信対象へのコマンド送信時に符号化部より出力される符号化された送信符号(変調信号)によってASK(Amplitude Shift Keying)変調された被変調信号を生成し、増幅器に出力している。増幅器は、入力信号(変調部によって変調された被変調信号)を所定のゲインで増幅し、その増幅信号を送信部フィルタに出力しており、送信部フィルタは、増幅器からの増幅信号をフィルタリングした送信信号を、整合回路33を介してアンテナ34に出力している。このようにしてアンテナ34に送信信号が出力されると、その送信信号が送信電波として当該アンテナ34より外部に放射される。
【0031】
一方、アンテナ34によって受信された応答信号は、整合回路33を介して受信回路32に入力される。この受信回路32は、受信部フィルタ、増幅器、復調部、二値化処理部、複号化部などによって構成されており、アンテナ34を介して受信された応答信号を受信部フィルタによってフィルタリングした後、増幅器によって増幅し、その増幅信号を復調部によって復調する。そして、その復調された信号波形を二値化処理部によって二値化し、復号化部にて復号化した後、その復号化された信号を受信データとして制御部21に出力している。
【0032】
アンテナ34は、ループ状のアンテナパターンが基板面上に設けられるアンテナ基板60によりループアンテナとして形成されている。このアンテナ34は、アンテナ基板60が後述する保持部材70により保持された状態で筐体11内に収容されることで、
図2に示すように、読取面12の外縁に沿うように配置される。このため、読取面12を平面視したときに、読取口13および表示部24は、アンテナ34の内側に位置するように配置され、非接触通信媒体100をかざす位置を示す表示Tは、アンテナ34の中央近傍に配置される(
図2参照)。
【0033】
アンテナ基板60は、
図7に示すように、読取口13を囲うように略矩形状に開口する第1開口部61や表示部24の表示画面を囲うように略矩形状に開口する第2開口部62が形成され、アンテナ34を構成するためのループ状のアンテナパターンがアンテナ基板60の外縁に沿うように配置されている。また、アンテナ基板60には、第1開口部61の四隅に相当する位置に、LED23がそれぞれ実装されている。なお、
図7では、便宜上、アンテナ34を破線にて図示する。
【0034】
ここで、非接触通信媒体100の電気的構成について、
図6を参照して説明する。
図6に示すように、非接触通信媒体100は、アンテナ101,電源回路102,復調回路103,制御部104,メモリ105,変調回路106などによって構成されている。電源回路102は、アンテナ101を介して受信した情報読取装置10からの送信信号(キャリア信号)を整流、平滑して動作用電源を生成するものであり、その動作用電源を、制御部104をはじめとする各構成要素に供給している。
【0035】
また、復調回路103は、送信信号(キャリア信号)に重畳されているデータを復調して制御部104に出力している。メモリ105は、ROM,EEPROM等の各種半導体メモリによって構成されており、所定の制御プログラムや非接触通信媒体100の用途に応じたデータなどが記憶されている。例えば、メモリ105には、電子マネーのID(識別情報)や残高情報などの決済に関する決済関連情報(電子マネー情報)等が記憶されている。制御部104は、メモリ105から上記情報やデータを読み出し、それを送信データとして変調回路106に出力する構成をなしており、変調回路106は、応答信号(キャリア信号)を当該送信データで負荷変調してアンテナ101から反射波として送信するように構成されている。
【0036】
次に、光学的情報読取部40について、
図2および
図5(C)を参照して説明する。
光学的情報読取部40は、制御部21と協働して情報コードや文字情報等を撮像して公知のデコード方法や記号認識処理機能(OCR)を利用することで、その光学的情報を光学的に読み取る光学系として機能するもので、投光光学系および受光光学系を備えている。投光光学系を構成する照明光源41は、照明光を照射可能な光源として機能するものであり、例えば、LEDなどの投光素子として構成されている。この照明光源41は、
図2に示すように、4つの投光素子として、読取口13に対して後側に配置される第1光源41a,41bと、読取口13に対して前側に配置される第2光源41c,41dと、を有している。
【0037】
また、
図2に示すように、投光光学系は、照明光源41からの光を導く導光部材42を備えている。この導光部材42は、筐体11の内部において照明光源41からの照明光が照射される位置に配置され、照明光源41からの照明光が読取口13の開口領域を通って筐体11の外部に照射されるように導く構成となっている。
【0038】
導光部材42は、
図2に示すように、照明光源41からの照明光を反射する複数の反射部42a,42b,42c,42dを備えている。これら反射部42a,42b,42c,42dはいずれも、照明光源41からの照明光を反射する反射面として構成されている。そして、各反射部42a,42b,42c,42dの各反射面はいずれも、読取口13の開口領域の中心に近づくにつれて下位置となる傾斜面として構成されている。なお、反射部42a,42b,42c,42dは、例えば、遮光性の部材によって構成されており、反射部42a,42b,42c,42dのいずれも、照明光を反射する反射面が所定色(例えば、白色等の明色)であり、いずれも外面に入射する光を拡散反射させる構成となっている。
【0039】
図2に示すように、反射部42a,42bは、前後方向において互いに対向するように設けられている。また、反射部42c,42dは、前後方向と直交する方向(幅方向)において互いに対向し、それぞれ他方の反射部に近づくにつれて下位置となる傾斜面として構成されている。そして、導光部材42全体が、撮像部43の視野範囲の外側において、下方位置となるにつれて孔の大きさ(開口領域)が狭くなるすり鉢状の構造となっている。
【0040】
そして、第1光源41a,41bは、導光部材42の反射部42aの上端位置付近から反射部42bや反射部42c,42dに向けて照明光が照射されるように配置される。また、第2光源41c,41dは、導光部材42の反射部42bの上端位置付近から反射部42aや反射部42c,42dに向けて照明光が照射されるように配置される。このような構成によって、照明光源41(41a〜41d)から照射された照明光がすり鉢状に構成された導光部材42の壁面に照射されるため、反射部42a,42b,42c,42dが全体的に明るく光ることになる。なお、
図5(C)では、便宜上、導光部材42の図示を省略し、読取対象物Rに表示された情報コードCに向けて、照明光源41からの照明光Lfが照射される状態を例示している。
【0041】
受光光学系を構成する撮像部43は、情報コードや文字情報等の光学的情報を撮像する撮像手段として機能するものであり、例えばCCD素子やCMOS素子等の固体撮像素子(受光素子)が二次元的に配列された受光センサ(エリアセンサ)などによって構成されている。この撮像部43は、
図5(C)に示すように、結像部44に面する側に筐体11外からの光を受光し得る受光面43aが配置されており、結像部44を通過して受光面43aに入り込もうとする入射光を受光し得るように基板に実装されている。
【0042】
結像部44は、公知の結像レンズによって構成され、結像光学系として機能している。この結像部44は、撮像部43で撮像可能となる視野範囲を定めると共に、筐体11の外部から読取口13を通過して入り込んだ光(具体的には、当該入射光が反射部材45で反射した光)を撮像部43の受光領域に導く構成となっている。そして、結像部44は、筐体11の外部において視野範囲内に光学的情報が配置されたときに当該光学的情報の像を撮像部43の受光領域に結像させるように機能する。本構成では、照明光源41から照射され、導光部材42によって筐体11外に導かれた照明光を光学的情報に当てながら当該光学的情報を撮像し得るようになっており、結像部44は、光学的情報が視野範囲内(撮像エリア内)に配置されたときに、この光学的情報からの反射光Lrを集光し、撮像部43の受光面43aに光学的情報の像を結像させるように構成されている。なお、結像部44としては、例えば、焦点距離が短く画角の広い広角レンズを好適に用いることができる。
【0043】
また、受光光学系は、反射部材45を備えている。反射部材45は、筐体11の外部から読取口13を通過して入り込んだ光を結像部44に向けて反射させるミラーとして構成されている。この反射部材45は、導光部材42により構成されるすり鉢構造の一部に相当するように、その反射面が傾斜した状態で結像部44に対向するようにして配置されている。
【0044】
次に、制御基板50やアンテナ基板60が筐体11内にて保持される保持部材70の構成について、
図7〜
図9を参照して説明する。なお、
図7〜
図9では、制御基板50やアンテナ基板60等を概略的に図示しており、各基板に実装される電子部品等の一部の図示を省略している。
【0045】
保持部材70は、制御基板50やアンテナ基板60に加えて表示部24等の他の部品を筐体11内にて保持する部材であって、ABS樹脂等の合成樹脂に対してフェライト等の磁性材料を含有するようにして形成されている。保持部材70の上側には、アンテナ基板60を保持するための第1保持部71が設けられ、保持部材70の下側には、制御基板50を保持するための第2保持部72が設けられている。また、保持部材70には、筐体11の前側に相当する位置に上述した導光部材42や反射部材45が形成され、筐体11の後側に相当する位置に表示部24の表示画面を保持する画面保持部73が設けられている。
【0046】
第1保持部71は、導光部材42の上端から環状に延出するリブ71aがアンテナ基板60の第1開口部61に挿通または係合し、画面保持部73を構成するリブ73aが第2開口部62に挿通または係合した状態で、アンテナ基板60を保持するように形成されている。このため、読取面12を平面視したときに、読取口13および表示部24は、アンテナ34の内側に位置するように配置される(
図2参照)。なお、第1保持部71によるアンテナ基板60を保持は、係合片等の係合を用いてなされてもよいし、接着部材や締結部材等を用いてなされてもよい。
【0047】
特に、本実施形態では、リブ73aの周りにU字状に形成されたシート状の磁性部材81が貼り付け等により配置され、リブ71aの幅方向両外側にシート状の磁性部材82がそれぞれ貼り付け等により配置されている。このため、アンテナ基板60が磁性部材81および磁性部材82を介して保持部材70に保持され、アンテナ34と保持部材70との間に磁性部材81,82が介在することとなる。なお、
図8では、磁性部材82の図示を省略している。
【0048】
第2保持部72は、画面保持部73近傍の下面から下方に延出する複数の係合片72aや台座(図示略)等を備えており、各係合片72aや各台座等により制御基板50の外縁等を利用して位置ずれしないように保持可能に形成されている。特に、第2保持部72は、
図9に示すように、制御基板50がアンテナ基板60に対して角度θにて傾斜した状態で保持されるように形成されている。
【0049】
このように構成される情報読取装置10では、表示部24がアンテナ34と重なることなくそのアンテナ34の内側に配置されるため、表示部24がアンテナ34と重なるように配置される場合と比較して、非接触通信時にアンテナ34にて発生した磁束が表示部24に誘導されにくくなる。このため、表示部24がアンテナ34を利用した非接触通信に影響を及ぼしにくくなる。
【0050】
特に、制御基板50がアンテナ基板60に対して傾斜しているため、制御基板50がアンテナ基板60に対して平行となるように保持される場合と比較して、アンテナ基板60に対して制御基板50を投影した領域が小さくなる。このため、アンテナ基板60のアンテナ34にて発生した磁束(
図9の矢印M参照)が制御基板50を通る面積(
図9の符号S参照)が小さくなることから、非接触通信時にアンテナ34にて発生した磁束による制御基板50への影響が抑制される。
【0051】
以上説明したように、本実施形態に係る情報読取装置10では、読取面12にかざされる非接触通信媒体100に記憶される情報が、アンテナ34を介した電磁波の送受信に応じて非接触通信部30により読み取られる。そして、読取面12を平面視したときに、読取口13は、アンテナ34の内側に位置するように配置され、表示部24は、アンテナ34と重ならないように配置される。
【0052】
これにより、アンテナ34のアンテナサイズを大きくできるだけでなく、表示部24が非接触通信部30による非接触通信に影響を及ぼしにくくなる。したがって、光学的情報読取部40および非接触通信部30に加えて読取結果に関する情報を表示可能な表示部24を兼備する構成であっても、非接触通信媒体100と安定して非接触通信することができる。
【0053】
特に、表示部24は、読取面12を平面視したときに、アンテナ34の内側に位置するように配置されるため、表示部24による非接触通信への影響を抑制しつつ、アンテナ34のアンテナサイズをさらに大きくでき、非接触通信に関する通信性能を向上させることができる。
【0054】
なお、要求される通信性能等に応じて、
図10に例示する本実施形態の第1変形例のように、表示部24は、読取面12を平面視したときに、アンテナ34と重なることなくそのアンテナ34の外側に位置するように配置されてもよい。
【0055】
また、本実施形態では、光学的情報読取部40および非接触通信部30に関する制御の少なくとも一部を行う制御回路が実装される制御基板50と、アンテナ34を構成するアンテナパターンが形成されるアンテナ基板60とが、同じ保持部材70により保持される。これにより、アンテナ34に対する制御基板50の相対位置をずれにくくすることができる。
【0056】
特に、保持部材70は、合成樹脂に対して磁性材料を含有して構成されるため、保持部材70の透磁率が高まることから、非接触通信時に発生した磁束を保持部材70に集中させやすくなるので放射効率が向上し、非接触通信に関する通信性能を向上させることができる。
【0057】
なお、保持部材70は、合成樹脂等に対してフェライトを含有するようにして形成されることに限らず、例えば、合成樹脂等に対して他の磁性材料を含有するようにして形成されてもよい。また、保持部材70は、要求される通信性能等に応じて、金属材料で形成されてもよいし、磁性材料が含有されない樹脂材料で形成されてもよい。
【0058】
また、本実施形態では、アンテナ基板60および保持部材70の間に、シート状の磁性部材81,82が配置されている。これにより、この磁性部材81,82に非接触通信時に発生した磁束を集中させやすくなるので放射効率が向上し、非接触通信に関する通信性能を向上させることができる。
【0059】
なお、磁性部材81,82等の磁性部材は、制御基板50および保持部材70の間に配置されてもよいし、アンテナ基板60および保持部材70の間と制御基板50および保持部材70の間との双方に配置されてもよい。また、磁性部材は、アンテナ34に沿うように環状に形成されて保持部材70に対して配置されてもよいし、アンテナ34の一部に沿うように形成されて保持部材70に対して配置されてもよい。
【0060】
特に、磁性部材81,82は、シート状に形成されるため、シート状の磁性部材81,82を保持部材70等に組み付けやすくなり、磁性部材81,82の組み付けに関する作業性を向上させることができる。
【0061】
なお、磁性部材81,82等の磁性部材は、シート状に形成されることに限らず、例えば、所定の厚さを有する板状に形成されてもよい。
【0062】
また、本実施形態では、制御基板50は、アンテナ基板60に対して傾斜するように保持部材70により保持される。これにより、制御基板50がアンテナ基板60に対して平行となるように保持される場合と比較して、アンテナ34にて発生した磁束が制御基板50を通る面積が小さくなる。このため、非接触通信時にアンテナ34にて発生した磁束が制御基板50に対して影響を及ぼす場合でも、その影響を抑制することができる。
【0063】
なお、制御基板50は、要求される通信性能等に応じて、アンテナ基板60に対して平行となるように保持部材70により保持されてもよい。
【0064】
また、本実施形態では、読取面12には、当該読取面12を平面視したときにアンテナ34の内側となる位置に、非接触通信媒体100をかざす位置を示す表示Tが設けられるため、アンテナ34に対して適切な位置に非接触通信媒体100がかざされやすくなるので、非接触通信媒体100と確実に非接触通信することができる。
【0065】
また、読取面12には、光学的情報読取部40による読取結果および非接触通信部30による読取結果に応じて発光状態が変化する発光部としてLED23が設けられるため、それぞれの読取結果を容易に視認することができる。
【0066】
なお、各LED23は、読取口13を囲う方形状領域の四隅に配置されることに限らず、
図11に例示するように、読取面12の四隅に配置されてもよい。これにより、各LED23により非接触通信媒体100をかざすべき読取面12の位置が明確になるため、アンテナ34に対して適切な位置に非接触通信媒体100がかざされやすくなるので、非接触通信媒体100と確実に非接触通信することができる。
【0067】
なお、各LED23のうちの少なくとも一部が読取面12の隅部のうち対角となる位置にそれぞれ配置されることでも、上記効果を奏する。
【0068】
なお、本発明は上記各実施形態に限定されるものではなく、例えば、以下のように具体化してもよい。
(1)本発明は、読取面12が載置面に対して傾斜するように筐体11が形成される情報読取装置10に適用されることに限らず、読取面12が載置面に対して平行となるように筐体が形成される情報読取装置に適用されてもよい。
【0069】
(2)本発明は、据置型の決済端末として構成される情報読取装置10に適用されることに限らず、例えば、読み取った情報に応じた処理を行いその処理結果を表示する情報処理端末など、光学的情報読取手段、非接触通信手段および表示手段を備える情報読取装置に適用されてもよい。
【0070】
(3)本発明において、ループアンテナは、環状に1または2以上巻回されて形成されるアンテナだけでなく、例えば、U字状やC字状、Ω字状等に形成されるアンテナも含むものとする。