(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記録画時間判定部により異常と判定された映像データを示す情報が前記ログ記憶部に記憶されている場合に、前記かご内に設けられた表示灯を点滅させる表示灯制御部と、
を備えた請求項2に記載の録画装置。
前記録画時間判定部は、前記動体検知部により映像の変化が検知されている間は動作せず、前記動体検知部により映像の変化が検知されなくなってから動作する請求項1から3のいずれか1項に記載の録画装置。
【発明を実施するための形態】
【0009】
添付の図面を参照して、本発明を詳細に説明する。各図では、同一又は相当する部分に同一の符号を付している。重複する説明は、適宜簡略化あるいは省略する。
【0010】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1における監視カメラシステムが適用されたエレベーターのかごの一例を示す模式図である。
【0011】
図1に示すように、かご1は、扉2及び操作盤3を備えている。扉2は、図示しない戸開閉装置によって開閉される。操作盤3には、例えば、図示しない戸開ボタン、戸閉ボタン及び行先階ボタン等が設けられている。
【0012】
図1に示すように、監視カメラシステムは、カメラ4、録画装置5及びリモコン受光部6を備えている。カメラ4は、例えば、光が透過可能なカバーで覆われている。カメラ4及びリモコン受光部6は、例えば、かご1内の壁面のうち天井付近に取り付けられている。録画装置5は、例えば、かご1の上面に取り付けられている。リモコン受光部6には、表示灯7が設けられている。表示灯7の光源は、例えば、LED等である。
【0013】
操作盤3の図示しない常時は施錠されるスイッチボックス内には、録画装置5と電気的に接続された図示しない保守用のケーブルが引き込まれている。このケーブルには、保守作業者が用いる保守用端末を接続可能である。また、ケーブル接続ではなく、録画装置5と保守用端末とを無線通信にて接続するようにしてもよい。カメラ4は、録画装置5と電気的に接続されている。リモコン受光部6は、録画装置5と電気的に接続されている。録画装置5は、例えば、操作盤3及び図示しないエレベーター制御盤等とは接続されていない。
【0014】
カメラ4は、かご1内の映像を常時撮影する。カメラ4は、撮影範囲に扉2が含まれるように、位置及び向きが設定されている。録画装置5は、カメラ4で撮影された映像を録画する機能を有する。リモコン受光部6は、保守作業者等が用いるリモコンからの信号を受信する。録画装置5は、リモコン受光部6が受信した信号に基づいて、例えば、録画の開始及び停止等を行う。録画装置5は、保守用端末に対する操作に基づいて、例えば、設定の変更及び録画された映像の再生等を行う。
【0015】
図2は、実施の形態1における監視カメラシステムの構成図である。
【0016】
図2に示すように、録画装置5は、動体検知部8、閾値記憶部9、録画制御部10、映像記憶部11及びログ記憶部12を有している。閾値記憶部9、映像記憶部11及びログ記憶部12は、一体であってもよい。
【0017】
動体検知部8は、カメラ4で撮影された映像の変化を検知することで、映像に映っている動体を検知する。動体検知部8は、例えば、輝度、明度、色又は濃淡等に基づいて、映像の変化を検知する。動体検知部8は、例えば、撮影範囲を複数の領域に分割して認識する。動体検知部8は、例えば、撮影された映像における各領域の経時変化に基づいて、映像の変化を検知する。
【0018】
動体検知部8は、映像が鮮明であれば、例えば、扉2が開く動き、扉2が閉まる動き、乗客が乗り込む動き及び乗客が降りる動き等を映像の変化として検知する。動体検知部8は、映像が鮮明であれば、かご1に乗車中の乗客の動きを映像の変化として検知する。動体検知部8は、映像が鮮明であっても、乗客がかご1内で静止している場合及びカメラ4の死角に居る場合は映像の変化を検知しない。
【0019】
動体検知部8は、映像が鮮明でない場合は、扉2及び乗客等の動きを検知できないことがある。映像が鮮明でない場合とは、例えば、カメラ4のカバーの内側に塵埃が堆積している場合である。このような場合には、保守作業者がカバーの内側を清掃する必要がある。
【0020】
閾値記憶部9は、閾値を記憶している。当該閾値は、動体検知部8により検知された映像の変化量の閾値として予め設定されたものである。
【0021】
録画制御部10は、動体検知部8による検知結果に基づいて、カメラ4で撮影された映像のうち保存する範囲を決定する。映像を保存する範囲は、例えば、時間的な始点及び終点によって表される。
【0022】
録画制御部10は、映像を保存する範囲の始点として、映像の変化量が閾値以上になった時点から一定時間遡った時点を指定する。以下、当該一定時間を「プリイベント録画時間」と呼ぶ。プリイベント録画時間は、予め設定される。プリイベント録画時間は、0秒に設定されてもよい。
【0023】
録画制御部10は、映像を保存する範囲の終点として、映像の変化量が閾値未満になった時点から映像の変化量が閾値未満の状態のまま一定時間経過した時点を指定する。以下、当該一定時間を「ポストイベント録画時間」と呼ぶ。ポストイベント録画時間は、予め設定される。ポストイベント録画時間は、0秒に設定されてもよい。なお、ある時点で映像の変化量が一時的に閾値未満になったとしても、当該時点からポストイベント録画時間が経過する前に変化量が再び閾値以上になった場合、当該時点からポストイベント録画時間が経過した時点は、映像を保存する範囲の終点にならない。
【0024】
このように、録画制御部10は、映像の変化量が閾値以上である期間の前後にプリイベント録画時間及びポストイベント録画時間を加えたものを、映像を保存する範囲として決定する。つまり、録画制御部10は、少なくとも映像の変化量が閾値記憶部9に記憶されている閾値以上である期間を含むように、映像を保存する時間的な範囲を決定する。
【0025】
映像記憶部11は、録画制御部10により決定された範囲の映像を映像データとして記憶する。映像記憶部11は、カメラ4で撮影された映像のうち、録画制御部10により決定された範囲に該当しない部分を記憶しない。映像記憶部11には、録画制御部10により決定された範囲ごとに1つの映像データが記憶される。
【0026】
ログ記憶部12は、例えば、映像記憶部11に記憶された映像データごとに録画ログを記憶する。録画ログは、例えば、対応する映像データの始点を示す時刻、終点を示す時刻及び録画時間等を含む情報である。
【0027】
図3は、実施の形態1における映像を保存する範囲の一例を示す第1の図である。
図4は、実施の形態1における映像を保存する範囲の一例を示す第2の図である。
図3及び
図4には、映像の変化量の経時変化を表すグラフが示されている。
図3及び
図4は、一例として、プリイベント録画時間が0秒に設定され、ポストイベント録画時間が5秒に設定された場合について示している。
【0028】
図3に示す変化量は、t1までの期間において閾値以上の状態である。当該変化量は、t1の時点で閾値未満になり、その後は上昇しない。このため、
図3の場合、t1の時点からポストイベント録画時間である5秒を経過した時点が、映像を保存する範囲の終点となる。
【0029】
図4に示す変化量は、t2までの期間において、一時的に閾値未満の状態になっている。ただし、当該変化量が閾値未満となった期間は、ポストイベント録画時間である5秒よりも短い。このため、
図4の場合、t2の時点からポストイベント録画時間である5秒を経過した時点が、映像を保存する範囲の終点となる。
【0030】
図2に示すように、録画装置5は、さらに録画時間判定部13及び表示灯制御部14を有している。
【0031】
録画時間判定部13は、映像記憶部11に記憶されている映像データの録画時間が予め設定された基準時間以下であるか否かを判定する。録画時間判定部13は、映像データのうち録画時間が基準時間以下であるものを異常と判定する。録画時間判定部13は、例えば、映像データのそれぞれに対応する録画ログに含まれる録画時間に基づいて判定を行う。録画時間判定部13は、例えば、映像記憶部11に記憶されている映像データそのものから取得された録画時間に基づいて判定を行ってもよい。
【0032】
基準時間は、カメラ4で撮影された映像が鮮明である場合の映像データの録画時間としてあり得る最短の時間よりも短い時間に設定される。以下、当該最短の時間を「正常最短録画時間」と呼ぶ。正常最短録画時間は、例えば、かご1の扉2が開き始めてから扉2が閉まるまでに最低限必要な時間にプリイベント録画時間とポストイベント録画時間の合計を加えたものである。
【0033】
基準時間は、カメラ4で撮影された映像が鮮明でない場合の映像データの録画時間としてあり得る最短の時間よりも長い時間に設定される。以下、当該最短の時間を「異常最短録画時間」と呼ぶ。異常最短録画時間は、例えば、動体検知部8により検知された映像の変化量が一瞬しか閾値以上にならなかった場合の映像データの録画時間である。異常最短録画時間は、プリイベント録画時間とポストイベント録画時間の合計よりもわずかに長いだけのものとなる。
【0034】
基準時間の設定について、プリイベント録画時間が0秒であり且つポストイベント録画時間が5秒である場合を例として説明する。例えば、かご1の扉2が開き始めてから扉2が閉まるまでに最短でも5秒間を要するとすれば、正常最短録画時間は10秒となる。例えば、映像が鮮明でないことに起因して、動体検知部8により検知された映像の変化量が0.2秒間しか閾値以上にならないとすれば、異常最短録画時間は、5.2秒となる。この場合、5.2秒よりも長く10秒よりも短い時間が、基準時間として設定される。
【0035】
録画時間判定部13は、動体検知部8により映像の変化が検知されている間は動作しない。録画時間判定部13は、例えば、動体検知部8により映像の変化が検知されない状態が一定時間継続した後に動作する。録画時間判定部13は、例えば、カメラ4で撮影された映像の明度が一定値を下回った場合に動作してもよい。つまり、録画時間判定部13は、例えば、待機状態となったエレベーターのかご1の照明が消灯することを条件として動作してもよい。
【0036】
ログ記憶部12は、例えば、録画時間判定部13により異常と判定された映像データを示す異常ログを記憶する。異常ログは、例えば、異常と判定された映像データの始点を示す時刻、終点を示す時刻及び録画時間等を含む情報である。
【0037】
表示灯制御部14は、表示灯7の動作を制御する。表示灯制御部14は、例えば、録画時間判定部13により異常と判定された映像データを示す情報がログ記憶部12に記憶されている場合に、表示灯7を点滅させる。表示灯7の点滅は、例えば、リモコン又は保守用端末を用いた特定の操作が行われると停止する。
【0038】
図5は、実施の形態1における録画装置の動作例を示すフローチャートである。
【0039】
録画時間判定部13は、映像データの録画時間を取得する(ステップS101)。録画時間判定部13は、当該映像データの録画時間が基準時間以下であるか否かを判定する(ステップS102)。ステップS102で録画時間が基準時間以下であると判定された場合、当該映像データを示す異常ログが記憶される(ステップS103)。ステップS102で録画時間が基準時間以下でないと判定された場合、ステップS103の処理は行われない。ステップS102又はステップS103に続いて、録画時間判定部13は、他に未判定の映像データがあるか否かを判定する(ステップS104)。ステップS104で未判定の映像データがあると判定された場合、録画時間判定部13は、ステップS101の処理を行う。ステップS104で未判定の映像データがないと判定された場合、録画時間判定部13は、動作を終了する。
【0040】
実施の形態1において、録画時間判定部13は、映像記憶部11に記憶されている映像データのうち録画時間が予め設定された基準時間以下であるものを異常と判定する。ログ記憶部12と、録画時間判定部13により異常と判定された映像データを示す情報を記憶する。このため、実施の形態1によれば、保守作業者は、録画装置に記憶されたログを確認することで、映像が鮮明でないため正常に録画が行われないという状況を認識できる。その結果、録画装置がエレベーターとの連携及びネットワークへの接続をしていない場合であっても、カメラで撮影された映像が正常に録画されていないことを早期に認識させることができる。
【0041】
実施の形態1において、カメラ4は、エレベーターのかご1内において、撮影範囲にかご1の扉2が含まれるように設けられている。基準時間は、かご1の扉2が開くために要する時間及びかご1の扉2が閉じるために要する時間に基づいて設定されている。つまり、基準時間は、正常最短録画時間よりも短い時間として設定されている。このため、実施の形態1によれば、正常な映像データを異常であると誤判定することを防止できる。
【0042】
実施の形態1において、表示灯制御部14は、録画時間判定部13により異常と判定された映像データを示す情報がログ記憶部12に記憶されている場合に、かご1内に設けられた表示灯7を点滅させる。このため、実施の形態1によれば、異常と判定された映像データが存在することを保守作業者等に報知することができる。
【0043】
実施の形態1において、録画時間判定部13は、動体検知部8により映像の変化が検知されている間は動作せず、動体検知部8により映像の変化が検知されなくなってから動作する。このため、実施の形態1によれば、録画装置5の負荷が過度に高まることを防止できる。
【0044】
実施の形態1において、録画制御部10は、録画時間判定部13により異常と判定された映像データを示す情報がログ記憶部12に記憶されている場合には、映像の変化量が閾値記憶部9に記憶されている閾値よりも小さい値以上である期間を含むように映像を保存する範囲を決定してもよい。つまり、録画制御部10は、カメラ4で撮影される映像が鮮明でない場合に、閾値を低下させることと同等の動作を行ってもよい。閾値よりも小さい当該値は、例えば、予め設定されてもよい。閾値よりも小さい当該値は、例えば、予め設定された0より大きく1より小さい数を閾値に乗じて算出されてもよい。ただし、閾値よりも小さい当該値は、カメラ4で撮影された映像の全てが保存対象となることがない大きさに設定又は算出される。この場合、保守作業者によりカメラの清掃が行われるまでの期間であっても、正常な映像データを記憶し得る。
【0045】
実施の形態1における録画装置5を備えた監視カメラシステムは、エレベーターのかご以外の場所及び設備等に適用することも可能である。
【0046】
図6は、録画装置のハードウェア構成図である。
【0047】
録画装置5における動体検知部8、閾値記憶部9、録画制御部10、映像記憶部11、ログ記憶部12、録画時間判定部13及び表示灯制御部14の各機能は、処理回路により実現される。処理回路は、専用ハードウェア50であってもよい。処理回路は、プロセッサ51及びメモリ52を備えていてもよい。処理回路は、一部が専用ハードウェア50として形成され、更にプロセッサ51及びメモリ52を備えていてもよい。
図6は、処理回路が、その一部が専用ハードウェア50として形成され、プロセッサ51及びメモリ52を備えている場合の例を示している。
【0048】
処理回路の少なくとも一部が、少なくとも1つの専用ハードウェア50である場合、処理回路は、例えば、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASIC、FPGA、又はこれらを組み合わせたものが該当する。
【0049】
処理回路が少なくとも1つのプロセッサ51及び少なくとも1つのメモリ52を備える場合、動体検知部8、閾値記憶部9、録画制御部10、映像記憶部11、ログ記憶部12、録画時間判定部13及び表示灯制御部14の各機能は、ソフトウェア、ファームウェア、又はソフトウェアとファームウェアとの組み合わせにより実現される。ソフトウェア及びファームウェアはプログラムとして記述され、メモリ52に格納される。プロセッサ51は、メモリ52に記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、各部の機能を実現する。プロセッサ51は、CPU(Central Processing Unit)、中央処理装置、処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、DSPともいう。メモリ52は、例えば、RAM、ROM、フラッシュメモリー、EPROM、EEPROM等の、不揮発性又は揮発性の半導体メモリ、磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ミニディスク、DVD等が該当する。
【0050】
このように、処理回路は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、又はこれらの組み合わせによって、録画装置5の各機能を実現することができる。