特許第6583180号(P6583180)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6583180
(24)【登録日】2019年9月13日
(45)【発行日】2019年10月2日
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 21/00 20060101AFI20190919BHJP
   G03G 21/20 20060101ALI20190919BHJP
【FI】
   G03G21/00 530
   G03G21/20
【請求項の数】6
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-149129(P2016-149129)
(22)【出願日】2016年7月29日
(65)【公開番号】特開2018-17950(P2018-17950A)
(43)【公開日】2018年2月1日
【審査請求日】2018年5月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100097113
【弁理士】
【氏名又は名称】堀 城之
(74)【代理人】
【識別番号】100162363
【弁理士】
【氏名又は名称】前島 幸彦
(74)【代理人】
【識別番号】100194146
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 明
(74)【代理人】
【識別番号】100194283
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 大勇
(74)【代理人】
【識別番号】100141324
【弁理士】
【氏名又は名称】小河 卓
(72)【発明者】
【氏名】中地 一博
【審査官】 松本 泰典
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−059414(JP,A)
【文献】 特開2014−186150(JP,A)
【文献】 特開2015−135478(JP,A)
【文献】 特開2013−142749(JP,A)
【文献】 特開2004−109164(JP,A)
【文献】 特開2015−099382(JP,A)
【文献】 特開2005−070086(JP,A)
【文献】 特開2011−180309(JP,A)
【文献】 特開2004−013015(JP,A)
【文献】 特開2003−295738(JP,A)
【文献】 特開2006−267941(JP,A)
【文献】 特開2009−223025(JP,A)
【文献】 特開2012−093489(JP,A)
【文献】 特開2006−072290(JP,A)
【文献】 特開2014−238516(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0363180(US,A1)
【文献】 米国特許第06219497(US,B1)
【文献】 特開2008−058938(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 21/00
G03G 21/20
G03G 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成動作を実行するための構成要素がユニットとして交換されると、交換により装着された前記ユニットを稼働させる動作確認を実行する画像形成装置であって、
外気の温湿度を検出する温湿度センサーと、
機内に配置された発熱源と、
前記ユニットの交換を検出すると、前記動作確認の実行前に、前記発熱源を発熱させ、前記温湿度センサーによって検出される温湿度に基づく発熱量を前記発熱源から機内に放射さるユニット交換制御部とを具備し
前記ユニット交換制御部は、前記温湿度センサーによって検出される温湿度に基づいて、結露が発生する危険度が異なる複数の処理モードのいずれかを特定し、前記危険度が高い処理モードにおいて、前記発熱源から機内に放射させる前記発熱量が大きくなるように設定されていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
画像形成動作を実行するための構成要素がユニットとして交換されると、交換により装着された前記ユニットを稼働させる動作確認を実行する画像形成装置であって、
外気の温湿度を検出する温湿度センサーと、
機内に配置された発熱源と、
前記ユニットの交換を検出すると、前記動作確認の実行前に、前記発熱源を発熱させ、前記温湿度センサーによって検出される温湿度に基づく発熱量を前記発熱源から機内に放射さるユニット交換制御部とを具備し
前記ユニット交換制御部は、交換により装着された前記ユニットの熱容量に応じた前記発熱量を前記発熱源から放射させることを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
前記ユニット交換制御部は、複数の前記ユニットの交換を検出すると、交換により装着された複数の前記ユニットの熱容量を合算し、合算した熱容量に応じた前記発熱量を前記発熱源から放射させることを特徴とする請求項記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記ユニット交換制御部は、交換により装着された前記ユニットの熱容量が同じであっても、交換により装着された前記ユニットと前記発熱源との距離に応じて、距離が長いほど大きい前記発熱量を放射させることを特徴とする請求項記載の画像形成装置。
【請求項5】
画像形成動作を実行するための構成要素がユニットとして交換されると、交換により装着された前記ユニットを稼働させる動作確認を実行する画像形成装置であって、
外気の温湿度を検出する温湿度センサーと、
機内に配置された発熱源と、
前記ユニットの交換を検出すると、前記動作確認の実行前に、前記発熱源を発熱させ、前記温湿度センサーによって検出される温湿度に基づく発熱量を前記発熱源から機内に放射さるユニット交換制御部とを具備し
前記ユニット交換制御部は、温度センサーを搭載した前記ユニットの交換を検出すると、前記動作確認の実行前に、交換により装着された前記ユニットの前記温度センサーによって検出されるユニット温度が予め設定された閾温度に到達するまで前記発熱源を発熱させることを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
前記ユニット交換制御部は、前記温度センサーを搭載した前記ユニットの交換と共に、前記温度センサーを搭載していない前記ユニットの交換を検出すると、前記ユニット温度に拘わらず、交換により装着された複数の前記ユニットの熱容量を合算し、合算した熱容量に応じた前記発熱量を前記発熱源から放射させることを特徴とする請求項記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感光体ドラム、現像装置、中間転写ベルト等の画像形成動作を実行するための構成要素をユニットとして交換可能な画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機、プリンタ、ファックス、スキャナ、MFP等の画像形成装置では、感光体ドラム、現像装置、中間転写ベルト等の構成要素がユニットとして交換可能に構成されている。画像形成装置の使用中にユニット交換が行われると、往々にして装着されたユニットの温度と機内温度とに差が生じることがある。例えば、冬場においてユニットと機内との温度差は大きくなり、ユニット上に結露を起こす場合がある。この結露は、感光体ドラム上に付着してしまった場合には、不良画像を出力してしまい、また、基板上に付着してしまった場合には、内部でショートを起こしてしまう虞がある。
【0003】
そこで、ユニットの持つサーミスタと湿度センサの値から温度差を検知し、機内温度とユニット温度の差をなくす制御を行う技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−70086号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来技術は、ユニットに温湿度センサーが搭載されていることが条件であり、温湿度センサーが搭載されていないユニットに適用することができないという問題点があった。例えば、感光体ドラムや中間転写ベルトといった温湿度センサーは必ずしも必要としないユニットに温湿度センサーを搭載することはコスト高になってしまう。また、全てのユニットに温湿度センサーを搭載した場合、各温湿度センサーで検出した信号を通信するハーネスの本数は増え、その信号を受けるCPUのポートも増えることになり安易に増やすことはできない。
【0006】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、温湿度センサーが搭載されていないユニットの交換時に発生する結露を効果的に防止することができる画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の画像形成装置は、画像形成動作を実行するための構成要素がユニットとして交換されると、交換により装着された前記ユニットを稼働させる動作確認を実行する画像形成装置であって、外気の温湿度を検出する温湿度センサーと、機内に配置された発熱源と、前記ユニットの交換を検出すると、前記動作確認の実行前に、前記発熱源を発熱させ、前記温湿度センサーによって検出される温湿度に基づく発熱量を前記発熱源から機内に放射さるユニット交換制御部とを具備し、前記ユニット交換制御部は、前記温湿度センサーによって検出される温湿度に基づいて、結露が発生する危険度が異なる複数の処理モードのいずれかを特定し、前記危険度が高い処理モードにおいて、前記発熱源から機内に放射させる前記発熱量が大きくなるように設定されていることを特微とする。
また、本発明の画像形成装置は、画像形成動作を実行するための構成要素がユニットとして交換されると、交換により装着された前記ユニットを稼働させる動作確認を実行する画像形成装置であって、外気の温湿度を検出する温湿度センサーと、機内に配置された発熱源と、前記ユニットの交換を検出すると、前記動作確認の実行前に、前記発熱源を発熱させ、前記温湿度センサーによって検出される温湿度に基づく発熱量を前記発熱源から機内に放射させるユニット交換制御部とを具備し、前記ユニット交換制御部は、交換により装着された前記ユニットの熱容量に応じた前記発熱量を前記発熱源から放射させることを特徴とする。
さらに、本発明の画像形成装置は、前記ユニット交換制御部は、複数の前記ユニットの交換を検出すると、交換により装着された複数の前記ユニットの熱容量を合算し、合算した熱容量に応じた前記発熱量を前記発熱源から放射させても良い。
さらに、本発明の画像形成装置は、前記ユニット交換制御部は、交換により装着された前記ユニットの熱容量が同じであっても、交換により装着された前記ユニットと前記発熱源との距離に応じて、距離が長いほど大きい前記発熱量を放射させても良い。
また、本発明の画像形成装置は、画像形成動作を実行するための構成要素がユニットとして交換されると、交換により装着された前記ユニットを稼働させる動作確認を実行する画像形成装置であって、外気の温湿度を検出する温湿度センサーと、機内に配置された発熱源と、前記ユニットの交換を検出すると、前記動作確認の実行前に、前記発熱源を発熱させ、前記温湿度センサーによって検出される温湿度に基づく発熱量を前記発熱源から機内に放射させるユニット交換制御部とを具備し、前記ユニット交換制御部は、温度センサーを搭載した前記ユニットの交換を検出すると、前記動作確認の実行前に、交換により装着された前記ユニットの前記温度センサーによって検出されるユニット温度が予め設定された閾温度に到達するまで前記発熱源を発熱させることを特徴とする。
さらに、本発明の画像形成装置は、前記ユニット交換制御部は、前記温度センサーを搭載した前記ユニットの交換と共に、前記温度センサーを搭載していない前記ユニットの交換を検出すると、前記ユニット温度に拘わらず、交換により装着された複数の前記ユニットの熱容量を合算し、合算した熱容量に応じた前記発熱量を前記発熱源から放射させても良い。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、温度センサーが搭載されていないユニットであっても、温湿度センサーによって検出される外気の温湿度に基づく発熱量を機内に放射させることができ、外気に晒されていたユニットの温度を所定の温度に近づけることができるため、交換時に発生する結露を効果的に防止することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明に係る画像形成装置の実施の形態の内部構成を示す概略模式断面図である。
図2図1に示す画像形成装置の概略構成を示すブロック図である。
図3図2に示す処理モードテーブル例を示す図である。
図4図2に示すユニット交換制御部による温度調整動作を説明するフローチャートである。
図5図4に示す温度調整処理例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に、本発明の実施の形態を、図面を参照して具体的に説明する。
本実施の形態の画像形成装置1は、図1を参照すると、本体部2に4つの画像形成部10a、10b、10c及び10dが配設されたカラー複写機であり、原稿読取部5と、原稿給送部6と、操作部7とを備えている。原稿読取部5は、本体部2の上部に配設され、原稿給送部6は、原稿読取部5の上部に配設されている。また、操作部7は、画像形成装置の手前側に配設されている。
【0011】
操作部7には、表示部71、テンキー72が設けられている。ユーザーは操作部7を操作して指示を入力することで、画像形成装置1の各種の設定をし、画像形成等の各種機能を実行させる。表示部71は、画像形成装置1の状態、画像形成状況や印刷部数を表示する液晶表示パネル等の表示手段であり、液晶表示パネルの表面に透明の感圧センサーが設けられたタッチパネルとして、モノクロ印刷、両面印刷等の各種指示や、倍率設定、濃度設定等の各種設定を行えるようになっている。また、表示部71は、カラー表示に対応しており、カラー画像データがサムネイルとしてカラー表示される。その他、操作部7には、画像形成を開始するようにユーザーが指示するスタートボタン、画像形成を中止する際等に使用するストップ/クリアボタン、画像形成装置1の各種設定をデフォルト状態にする際に使用するリセットボタン等が設けられている。
【0012】
原稿読取部5は、スキャナー51と、プラテンガラス52と、原稿読取スリット53とを備える。スキャナー51は、LED等の光源及びCCD(Charge Coupled Device)センサー等から構成され、原稿給送部6による原稿の搬送方向に移動可能に構成されている。スキャナー51は、各画素がR(赤)、G(緑)、B(青)の色成分からなるカラー画像データとして原稿を読み取る。プラテンガラス52は、ガラス等の透明部材により構成された原稿台である。原稿読取スリット53は、原稿給送部6による原稿の搬送方向と直交する方向に形成されたスリットを有する。
【0013】
プラテンガラス52に載置された原稿を読み取る場合には、スキャナー51は、プラテンガラス52に対向する位置に移動され、プラテンガラス52に載置された原稿を走査しながら原稿を読み取ってカラー画像データを取得し、取得したカラー画像データを本体部2に出力する。また、原稿給送部6により搬送された原稿を読み取る場合には、スキャナー51は、原稿読取スリット53と対向する位置に移動され、原稿読取スリット53を介し、原稿給送部6による原稿の搬送動作と同期して原稿を読み取ってカラー画像データを取得し、取得したカラー画像データを本体部2に出力する。
【0014】
原稿給送部6は、原稿載置部61と、原稿排出部62と、原稿搬送機構63とを備えている。原稿載置部61に載置された原稿は、原稿搬送機構63によって、1枚ずつ順に繰り出されて原稿読取スリット53に対向する位置へ搬送され、その後、原稿排出部62に排出される。なお、原稿給送部6は、可倒式に構成され、原稿給送部6を上方に持ち上げることで、プラテンガラス52の上面を開放させることができる。
【0015】
本体部2には、異なる4色C(シアン)、M(マゼンダ)、Y(イエロー)、K(ブラック)のカラー画像データにそれぞれ対応する4つの画像形成部10a、10b、10c及び10dが配設されている。また、中間転写ベルト30が4つの画像形成部10a、10b、10c及び10dに隣接して設けられている。4つの画像形成部10a、10b、10c及び10dには、各色の可視像(トナー像)を担持する感光体ドラム11がそれぞれ配設されている。画像形成部10a、10b、10c及び10dの感光体ドラム11上に形成されたそれぞれのトナー像は、中間転写ベルト30上に順次転写される。中間転写ベルト30上に順次転写されたトナー像は、二次転写ローラー17において記録紙P上に一度に転写される。記録紙Pは、本体部2の下部に配置された用紙カセット40内に収容されており、給紙ローラー41及びレジストローラー42を介して二次転写ローラー17へと搬送される。記録紙P上に転写されたトナー像は、定着装置20によって記録紙Pに定着され、印刷が施された記録紙Pが排出ローラー43によって装置本体から排出トレイ44に排出される。
【0016】
定着装置20は、記録紙P上に形成されたトナー像を溶融するための熱ローラー21と、熱ローラー21との間を通過する記録紙Pを熱ローラー21に圧接する圧ローラー22とを備えている。また、熱ローラー21の内部には、熱ローラー21を加熱するヒーター23が発熱源として設けられている。
【0017】
4つの画像形成部10a、10b、10c及び10dには、それぞれ回転自在に配設された感光体ドラム11が設けられ、感光体ドラム11の周囲には、感光体ドラム11を帯電させる帯電装置12と、感光体ドラム11に画像情報を露光する露光ユニット13と、感光体ドラム11上にそれぞれトナー像を形成する現像装置14と、感光体ドラム11上のトナー像をそれぞれ中間転写ベルト30に転写させる一次転写ローラー15と、感光体ドラム11上に残留した現像剤(トナー)を除去するクリーニング装置16とが設けられている。
【0018】
画像形成部10a、10b、10c及び10dの各構成要素(感光体ドラム11、現像装置14等)や中間転写ベルト30は、ユニットとして交換可能に構成されている。交換可能なユニットは、温度センサーが搭載の搭載の有無と、熱容量とに応じて複数のユニット群に分けて管理されている。本実施の形態において、交換可能なユニットは、温度センサーが搭載されている第1ユニット群と、温度センサーが搭載されていない、熱容量が予め設定された閾容量値以上の第2ユニット群と、温度センサーが搭載されていない、熱容量が閾容量値未満の第3ユニット群とに分けて管理され、現像装置14は第1ユニット群に、中間転写ベルト30は第2ユニット群に、感光体ドラム11は第3ユニット群にそれぞれ該当する。
【0019】
図2には、本実施の形態の画像形成装置1の概略構成を示すブロック図が示されている。画像形成装置1は、記憶部91と、画像処理部92と、温湿度センサー93とに接続された制御部8が備えている。制御部8は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等を備えたマイクロコンピューター等の情報処理部である。ROMには画像形成装置1の動作制御を行うための制御プログラムが記憶されている。制御部8は、ROMに記憶されている制御プログラムを読み出し、制御プログラムをRAMに展開させることで、操作部7から入力された所定の指示情報に応じて各構成要素(原稿読取部5、原稿給送部6、本体部2の画像形成部10a、10b、10c及び10d、中間転写ベルト30、定着装置20等)を制御して一連の画像形成動作を実現する。なお、図2には、温度センサー18が搭載された現像装置14が装着された状態が示されている。
【0020】
記憶部91は、半導体メモリやHDD(Hard Disk Drive)等の記憶手段であり、原稿読取部5によって読み取られたカラー画像データが蓄積される記憶手段である。
【0021】
画像処理部92は、カラー画像データに対して所定の画像処理を行う手段であり、拡大縮小処理や、濃度調整、階調調整等の画像改善処理が行われると共に、フルカラー印刷を行う場合には、R(赤)、G(緑)、B(青)の色成分からなるカラー画像データを、C(シアン)、M(マゼンダ)、Y(イエロー)、K(ブラック)の色成分からなるCMY表色系に色空間変換する。このCMY表色系に変換したカラー画像データは、それぞれ対応する4つの画像形成部10a、10b、10c及び10dにより画像形成される。
【0022】
温湿度センサー93は、外気の温湿度を検出する温湿度検出部である。温湿度センサー93は、白金測温抵抗体、熱電対、サーミスタ等の温度センサーを用いて温度を検出し、抵抗変化型、静電容量変化型等の湿度センサーを用いて湿度を検出する。
【0023】
また、制御部8は、図3に示すような処理モードテーブル81を備えていると共に、ユニット交換制御部82として機能する。処理モードテーブル81は、温湿度センサー93によって検出された外気の温湿度に応じて、処理モードを特定するための換算表である。処理モードは、ユニットに結露が発生する危険度に応じて複数のモードに区分けされている。図3に示す処理モードテーブル81では、ユニットに結露が発生する危険度が高い順番に、処理モードが「モード1」〜「モード4」の4つのモードに区分けされている。なお、外気の温度が低いほど、外気に晒されていたユニットの温度と機内温度との差が大きくなるため、交換したユニットに結露が発生する危険度が高くなる。また、外気の湿度が高いほど、温度差による結露が生じやすくなるため、交換したユニットに結露が発生する危険度が高くなる。
【0024】
ユニット交換制御部82は、ユニット交換時の動作確認前に、装着されたユニットの温度と、機内温度との差を軽減させる温度調整動作を実行する。ユニット交換制御部82による温度調整動作について図4及び図5を参照して詳細に説明する。
【0025】
一般的な画像形成装置では、ユニットの交換を検出すると、交換により装着されたユニットを稼働させる動作確認が実行される。これに対し、本実施の形態では、制御部8は、ユニットの交換を検出すると、動作確認の実行前に、ユニット交換制御部82として機能して温度調整動作を実行する。
【0026】
ユニット交換制御部82は、まず、交換されたユニットが、温度センサーが搭載されている第1ユニット群であるか否かを判断する(ステップA1)。ステップA1で交換されたユニット(例えば、現像装置14)が第1ユニット群である場合、ユニット交換制御部82は、ユニットに搭載されている温度センサーによって検出されるユニット温度を取得し、ユニット温度が予め設定された閾温度Tth(例えば、30℃)未満か否かを判断する(ステップA2)。例えば、交換されたユニットが温度センサー18が搭載された現像装置14である場合、温度センサー18によって検出される現像装置14のユニット温度が閾温度Tth未満か否かが判断される。そして、ステップA2でユニット温度が閾温度Tth以上である場合、ユニット交換制御部82は、温度調整動作を実行することなく終了させる。
【0027】
ステップA2でユニット温度が閾温度Tth未満である場合、ユニット交換制御部82は、装置内の発熱源である定着装置20のヒーター23をオンして発熱させ(ステップA3)、ユニット温度の閾温度Tthへの到達を監視する(ステップA4)。定着装置20のヒーター23以外の発熱源が装置内にある場合には、その発熱源を発熱させるようにしても良い。そして、ステップA2でユニット温度が閾温度Tthに到達すると、ヒーター23をオフさせ(ステップA5)、温度調整動作を終了させる。
【0028】
ステップA1で、交換されたユニットが第1ユニット群でない場合、ユニット交換制御部82は、温湿度センサー93によって検出される外気の温湿度と、処理モードテーブル81とを用いて処理モードを特定する(ステップA6)。
【0029】
次に、ユニット交換制御部82は、交換されたユニットが、温度センサーが搭載されていない熱容量の大きい第2ユニット群であるか否かを判断する(ステップA7)。ステップA7で交換されたユニット(例えば、中間転写ベルト30)が第2ユニット群である場合、ユニット交換制御部82は、ステップA6で特定した処理モードで、図5(a)に示す大熱容量用の温度調整処理を実行し(ステップA8)、温度調整動作を終了させる。ステップA8の大熱容量用の温度調整処理において、ユニット交換制御部82は、ステップA6で特定した処理モードが「モード1」の場合、ヒーター23を温度100℃で30秒間オンして発熱させ、ステップA6で特定した処理モードが「モード2」の場合、ヒーター23を温度80℃で20秒間オンして発熱させ、ステップA6で特定した処理モードが「モード3」の場合、ヒーター23を温度60℃で10秒間オンして発熱させ、ステップA6で特定した処理モードが「モード4」の場合、ヒーター23をオンさせない。このように、ステップA8の大熱容量用の温度調整処理では、ユニットに結露が発生する危険度が高い処理モードにおいて、ヒーター23から機内に放射される発熱量が大きくなるように設定されている。
【0030】
ステップA7で交換されたユニット(例えば、感光体ドラム11)が第2ユニット群でない場合、すなわちステップA7で交換されたユニット(例えば、感光体ドラム11)が第3ユニット群である場合、ユニット交換制御部82は、ステップA6で特定した処理モードで、図5(b)に示す小熱容量用の温度調整処理を実行し(ステップA9)、温度調整動作を終了させる。ステップA9の小熱容量用の温度調整処理において、ユニット交換制御部82は、ステップA6で特定した処理モードが「モード1」の場合、ヒーター23を温度80℃で20秒間オンして発熱させ、ステップA6で特定した処理モードが「モード2」の場合、ヒーター23を温度60℃で15秒間オンして発熱させ、ステップA6で特定した処理モードが「モード3」の場合、ヒーター23を温度60℃で5秒間オンして発熱させ、ステップA6で特定した処理モードが「モード4」の場合、ヒーター23をオンさせない。このように、ステップA9の小熱容量用の温度調整処理では、ユニットに結露が発生する危険度が高い処理モードにおいて、ヒーター23から機内に放射される発熱量が大きくなるように設定されている。また、同じ処理モードでは、ユニットの熱容量に応じて、大熱容量用の温度調整処理の方が小熱容量用の温度調整処理よりも、ヒーター23から機内に放射される発熱量が大きくなるように設定されている。
【0031】
なお、本実施の形態では、ユニットに結露が発生する危険度に応じて4つのモードに区分けし、ユニットの熱容量に応じて、小熱容量用の温度調整処理と大熱容量用の温度調整処理とを行うように構成したが、区分けするモードの数は任意であり、また、温度調整処理もユニットの熱容量に応じて3以上に細分化しても良い。
【0032】
また、第2ユニット群及び第3ユニット群の複数のユニットが交換された場合には、交換された複数のユニットの熱容量を合算し、合算した熱容量に応じた温度調整処理を行うと良い。例えば、第3ユニット群である感光体ドラム11を複数個交換し、交換した複数の感光体ドラム11の熱容量の合算が閾容量値以上である場合には、大熱容量用の温度調整処理を実行するように構成する。
【0033】
さらに、第1ユニット群と、第2ユニット群もしくは第3ユニット群とを含む複数のユニットが交換された場合にも、第1ユニット群に対する温度調整動作を行うことなく、交換された複数のユニットの熱容量を合算し、合算した熱容量に応じた温度調整処理を行うと良い。
【0034】
さらに、第2ユニット群や第3ユニット群のユニットが交換された場合は、同じ熱容量のユニットであっても、交換により装着されたユニットと発熱源であるヒーター23との距離に応じて、距離が長いほどヒーター23から機内に放射される発熱量が大きくなるように設定すると好適である。
【0035】
以上説明したように、本実施の形態によれば、画像形成動作を実行するための構成要素がユニットとして交換されると、交換により装着されたユニットを稼働させる動作確認を実行する画像形成装置1であって、外気の温湿度を検出する温湿度センサー93と、機内に配置された発熱源である定着装置20のヒーター23と、ユニットの交換を検出すると、動作確認の実行前に、ヒーター23を発熱させ、温湿度センサー93によって検出される温湿度に基づく発熱量をヒーター23から機内に放射されるユニット交換制御部82とを具備することを特微とする。
この構成により、温度センサー18が搭載されていないユニット(中間転写ベルト30、感光体ドラム11)であっても、温湿度センサー93によって検出される外気の温湿度に基づく発熱量を機内に放射させることができ、外気に晒されていたユニットの温度を所定の温度に近づけることができるため、交換時に発生する結露を効果的に防止することができる。また、画像形成装置1が一般的に持っている外気用の温湿度センサー93を元に制御を行うことで、余計な部品を追加することなくユニット交換時の結露を防止し、不良画像出力を防ぐことができる。
【0036】
さらに、本実施の形態によれば、ユニット交換制御部82は、温湿度センサー93によって検出される温湿度に基づいて、結露が発生する危険度が異なる複数の処理モード(「モード1」〜「モード4」)のいずれかを特定し、危険度が高い処理モードにおいて、ヒーター23から機内に放射される発熱量が大きくなるように設定されている。
この構成により、結露が発生する危険度に応じた対応をとることができる。
【0037】
さらに、本実施の形態によれば、ユニット交換制御部82は、交換により装着されたユニットの熱容量に応じた発熱量をヒーター23から放射させる。
この構成により、交換により装着されたユニットの熱容量に見合った発熱量を機内に放射させることができる。
【0038】
さらに、本実施の形態によれば、ユニット交換制御部82は、複数のユニットの交換を検出すると、交換により装着された複数のユニットの熱容量を合算し、合算した熱容量に応じた発熱量をヒーター23から放射させる。
この構成により、複数のユニットが交換されても、交換により装着された複数のユニットの熱容量に見合った発熱量を機内に放射させることができる。
【0039】
さらに、本実施の形態によれば、ユニット交換制御部82は、交換により装着されたユニットの熱容量が同じであっても、交換により装着されたユニットとヒーター23との距離に応じて、距離が長いほど大きい発熱量を放射させる。
この構成により、交換により装着されたユニットへの熱の伝播を考慮した発熱量を機内に放射させることができる。
【0040】
さらに、本実施の形態によれば、ユニット交換制御部82は、温度センサー18を搭載したユニット(現像装置14)の交換を検出すると、動作確認の実行前に、交換により装着されたユニットの温度センサー18によって検出されるユニット温度が予め設定された閾温度Tthに到達するまでヒーター23を発熱させる。
この構成により、温度センサー18を搭載したユニットを所定の温度にすることができ、づけることができ、交換時に発生する結露を効果的に防止することができる。
【0041】
さらに、本実施の形態によれば、ユニット交換制御部82は、温度センサー18を搭載したユニット(現像装置14)の交換と共に、温度センサー18を搭載していないユニット(中間転写ベルト30、感光体ドラム11)の交換を検出すると、ユニット温度に拘わらず、交換により装着された複数のユニットの熱容量を合算し、合算した熱容量に応じた発熱量をヒーター23から放射させる。
この構成により、交換により装着された複数のユニットの熱容量に見合った発熱量を機内に放射させることができる。
【0042】
なお、本発明が上記各実施の形態に限定されず、本発明の技術思想の範囲内において、各実施の形態は適宜変更され得ることは明らかである。
【符号の説明】
【0043】
1 画像形成装置
2 本体部
5 原稿読取部
6 原稿給送部
7 操作部
8 制御部
10a、10b、10c、10d 画像形成部
11 感光体ドラム
12 帯電装置
13 露光ユニット
14 現像装置
15 一次転写ローラー
16 クリーニング装置
17 二次転写ローラー
18 温度センサー
20 定着装置
21 熱ローラー
22 圧ローラー
23 ヒーター
30 中間転写ベルト
40 用紙カセット
41 給紙ローラー
42 レジストローラー
44 排出トレイ
51 スキャナー
52 プラテンガラス
53 原稿読取スリット
61 原稿載置部
62 原稿排出部
63 原稿搬送機構
71 表示部
72 テンキー
81 処理モードテーブル
82 ユニット交換制御部
91 記憶部
92 画像処理部
93 温湿度センサー
図1
図2
図3
図4
図5