特許第6583329号(P6583329)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6583329
(24)【登録日】2019年9月13日
(45)【発行日】2019年10月2日
(54)【発明の名称】ヒートポンプユニットの操作装置
(51)【国際特許分類】
   F24F 11/56 20180101AFI20190919BHJP
   F24F 11/52 20180101ALI20190919BHJP
【FI】
   F24F11/56
   F24F11/52
【請求項の数】7
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2017-60731(P2017-60731)
(22)【出願日】2017年3月27日
(65)【公開番号】特開2018-162926(P2018-162926A)
(43)【公開日】2018年10月18日
【審査請求日】2018年1月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000280
【氏名又は名称】特許業務法人サンクレスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】井上 良二
(72)【発明者】
【氏名】小林 彌主明
(72)【発明者】
【氏名】樋口 達也
(72)【発明者】
【氏名】山本 亮介
(72)【発明者】
【氏名】金子 雅裕
(72)【発明者】
【氏名】越智 雅俊
(72)【発明者】
【氏名】大月 真也
【審査官】 ▲高▼藤 啓
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−264656(JP,A)
【文献】 特開2009−089255(JP,A)
【文献】 国際公開第02/033328(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 11/56
F24F 11/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒートポンプユニット(1)の動作設定についての所定の操作を行うためのリモートコントローラ(10)を備えたヒートポンプユニットの操作装置であって、
リモートコントローラ(10)に対する前記操作をロックするロック手段(41)と、
複数のロック解除操作によって前記ロックを解除するロック解除手段(51)とを備え、
前記複数のロック解除操作は、第1のロック解除操作と、当該第1のロック解除操作の後に行われる第2のロック解除操作とを含み、
前記ロック解除手段(51)は、前記第1のロック解除操作が正しく行われた後、当該第1のロック解除操作が誤っている旨の報知を行う、ヒートポンプユニットの操作装置。
【請求項2】
ヒートポンプユニット(1)の動作設定についての所定の操作を行うためのリモートコントローラ(10)を備えたヒートポンプユニットの操作装置であって、
リモートコントローラ(10)に対する前記操作をロックするロック手段(41)と、
複数のロック解除操作によって前記ロックを解除するロック解除手段(51)とを備え、
前記複数のロック解除操作は、第1のロック解除操作と、当該第1のロック解除操作の後に行われる第2のロック解除操作とを含み、
前記ロック解除手段(51)は、前記第1のロック解除操作が行われた後、当該第1のロック解除操作の正誤に関わらず当該第1のロック解除操作が誤っている旨の報知を行う、ヒートポンプユニットの操作装置。
【請求項3】
前記ロック解除手段(51)は、前記第1のロック解除操作が行われた後、前記第2のロック解除操作を促すことなく当該第2のロック解除操作を受け付ける、請求項1又は2に記載のヒートポンプユニットの操作装置。
【請求項4】
前記ロック解除手段(51)は、前記第1のロック解除操作が行われた後、所定時間内に前記第2のロック解除操作が行われることによってロックを解除する、請求項1〜のいずれか1項に記載のヒートポンプユニットの操作装置。
【請求項5】
前記第1のロック解除操作は、前記リモートコントローラ(10)に対するパスワードの入力であり、
前記第2のロック解除操作は、前記リモートコントローラ(10)に対するパスワードの入力以外の入力操作である、請求項1〜のいずれか1項に記載のヒートポンプユニットの操作装置。
【請求項6】
前記第1のロック解除操作は、前記リモートコントローラ(10)に対する操作であり、
前記第2のロック解除操作は、前記リモートコントローラ(10)以外のものに対する操作である、請求項1〜のいずれか1項に記載のヒートポンプユニットの操作装置。
【請求項7】
ヒートポンプユニット(1)から電力が供給されかつヒートポンプユニット(1)の動作設定についての所定の操作を行うためのリモートコントローラ(10)を備えたヒートポンプユニットの操作装置であって、
リモートコントローラ(10)に対する前記操作をロックするロック手段(41)と、
複数のロック解除操作によって前記ロックを解除するロック解除手段(51)とを備え、
前記複数のロック解除操作は、第1のロック解除操作と、当該第1のロック解除操作の後に行われる第2のロック解除操作とを含み、
前記第1のロック解除操作は、前記リモートコントローラ(10)に対する操作であり、
前記第2のロック解除操作は、前記リモートコントローラ(10)に接続された前記ヒートポンプユニットの電源操作である、ヒートポンプユニットの操作装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒートポンプユニットの操作装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、ヒートポンプユニットとしての空気調和機は、室内機とリモートコントローラとが通信可能な状態で接続され、室内機や室外機の動作設定についての操作をリモートコントローラから遠隔で行うことが可能である。
【0003】
ところが、リモートコントローラを誰もが操作可能な状態であると、適切な空調管理が困難になる場合がある。例えば、学校で教室毎にリモートコントローラが設置される場合、教室毎に異なる設定が自由になされてしまうと、学校全体で統制された空調管理が困難となる。
【0004】
かかる問題を解消するため、下記特許文献1には、特定ユーザ以外の者によるリモートコントローラの操作を禁止する技術が提案されている。この技術は、リモートコントローラをロック状態にし、特定ユーザのみが知るパスワード(識別情報)が入力された場合に限ってロックを解除し、リモートコントローラによる所定の操作を有効にするものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第2002/33328号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載された技術では、特定ユーザのみが知るパスワードが他のユーザ等に漏れてしまうと、当該他のユーザ等によって勝手に設定が変更されてしまう可能性がある。
【0007】
本発明は、特定ユーザ以外の者にパスワード等のロック解除方法が漏れてしまった場合であっても、ロックの解除を困難にすることができるヒートポンプユニットの操作装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)本発明は、ヒートポンプユニットの動作設定についての所定の操作を行うためのリモートコントローラを備えたヒートポンプユニットの操作装置であって、
リモートコントローラに対する前記操作をロックするロック手段と、
複数のロック解除操作によって前記ロックを解除するロック解除手段とを備え、
前記複数のロック解除操作は、第1のロック解除操作と、当該第1のロック解除操作の後に行われる第2のロック解除操作とを含み、
前記ロック解除手段(51)は、前記第1のロック解除操作が正しく行われた後、当該第1のロック解除操作が誤っている旨の報知を行う
また、本発明は、ヒートポンプユニット(1)の動作設定についての所定の操作を行うためのリモートコントローラ(10)を備えたヒートポンプユニットの操作装置であって、
リモートコントローラ(10)に対する前記操作をロックするロック手段(41)と、
複数のロック解除操作によって前記ロックを解除するロック解除手段(51)とを備え、
前記複数のロック解除操作は、第1のロック解除操作と、当該第1のロック解除操作の後に行われる第2のロック解除操作とを含み、
前記ロック解除手段(51)は、前記第1のロック解除操作が行われた後、当該第1のロック解除操作の正誤に関わらず当該第1のロック解除操作が誤っている旨の報知を行う
【0009】
この構成によれば、第1のロック解除操作が特定ユーザ以外の他のユーザ等に漏れ、当該他のユーザが第1のロック解除操作を行ったとしても、第2のロック解除操作を知らなければロックを解除することができない。したがって、当該他のユーザ等によるロック解除を困難にすることができる。
【0010】
(2)前記ロック解除手段は、前記第1のロック解除操作が行われた後、前記第2のロック解除操作を促すことなく当該第2のロック解除操作を受け付けることが好ましい。
この構成によれば、第1のロック解除操作が行われたとしても第2のロック解除操作が促されることがないので、当該他のユーザ等は第2のロック解除操作を行わなければならないことに気づき難くなる。その結果、当該他のユーザ等によるロック解除を困難にすることができる。
【0011】
(3)前記ロック解除手段、前記第1のロック解除操作が正しく行われた後、当該第1のロック解除操作が誤っている旨の報知を行う場合、当該他のユーザ等が正しい第1のロック解除操作を行ったとしても、その操作が誤っている旨の報知が行われるため、次の第2のロック解除操作を知っているか否かに関わらず、第2のロック解除操作を行おうとする意志が働き難くなる。したがって、当該他のユーザ等によってロックが解除される可能性を低くすることができる。
【0012】
(4)前記ロック解除手段、前記第1のロック解除操作が行われた後、当該第1のロック解除操作の正誤に関わらず当該第1のロック解除操作が誤っている旨の報知を行う場合、当該他のユーザ等が正しい又は誤った第1のロック解除操作を行ったとしても、その操作が誤っている旨の報知が行われるため、次の第2のロック解除操作を知っているか否かに関わらず、第2のロック解除操作を行おうとする意志が働き難くなる。したがって、当該他のユーザ等によってロックが解除される可能性を低くすることができる。
【0013】
(5)ロック解除手段は、前記第1のロック解除操作が正しく行われた後、当該第1のロック解除操作とは異なる操作を要求する報知を行うようにしてもよい。
このような構成によって、当該他のユーザ等は正しい第1のロック解除操作を行ったとしても、更なる操作を要求されるので、第2のロック解除操作を知らなければロックを解除することができない。
【0014】
(6)前記ロック解除手段は、前記第1のロック解除操作が行われた後、所定時間内に前記第2のロック解除操作が行われることによってロックを解除することが好ましい。
第1のロック解除操作の後、無制限に第2のロック解除操作を受け付けたとすると、不慮に第2のロック解除操作がなされてロックが解除されてしまう可能性が高まるが、第2のロック解除操作に時間制限を設けることでこのような不都合を解消することができる。
【0015】
(7)前記第1のロック解除操作は、前記リモートコントローラに対するパスワードの入力であり、
前記第2のロック解除操作は、前記リモートコントローラに対するパスワードの入力以外の入力操作であることが好ましい。
このようにリモートコントローラに対するパスワードの入力だけでなく、パスワード入力以外の入力操作を必要とすることによって、特定ユーザ以外の者によるロック解除をより困難とすることができる。
【0016】
(8)前記第1のロック解除操作は、前記リモートコントローラに対する操作であり、
前記第2のロック解除操作は、前記リモートコントローラ以外のものに対する操作であってもよい。
このようにリモートコントローラに対する第1のロック解除操作だけでなく、リモートコントローラ以外のものに対する第2のロック解除操作を必要とすることによって、特定ユーザ以外の者によるロックの解除をより困難にすることができる。
【0017】
(9)本発明は、ヒートポンプユニットから電力が供給されかつヒートポンプユニットの動作設定についての所定の操作を行うためのリモートコントローラを備えたヒートポンプユニットの操作装置であって、
リモートコントローラに対する前記操作をロックするロック手段と、
複数のロック解除操作によって前記ロックを解除するロック解除手段とを備え、
前記複数のロック解除操作は、第1のロック解除操作と、当該第1のロック解除操作の後に行われる第2のロック解除操作とを含み、
前記第1のロック解除操作は、前記リモートコントローラに対する操作であり、
前記第2のロック解除操作は、前記リモートコントローラに接続された前記ヒートポンプユニットの電源操作であってもよい。
このような構成によって、ヒートポンプユニットの電源操作が可能な者のみが、第2のロック解除操作を行うことができ、ヒートポンプユニットの電源が操作されたことをリモートコントローラ側で容易に把握することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、特定ユーザ以外の者にパスワード等のロック解除方法が漏れてしまった場合であっても、ロックの解除を困難にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の一実施形態に係るヒートポンプユニットとしての空気調和機の概略構成図である。
図2】リモートコントローラの正面図である。
図3】室内機とリモートコントローラとを示すブロック図である。
図4】リモートコントローラの制御部を機能的に示すブロック図である。
図5】リモートコントローラのメニュー画面を示す図である。
図6】リモートコントローラのパスワード設定画面及びパスワード有効/無効切替画面を示す図である。
図7】リモートコントローラのパスワード設定画面及びパスワード設定入力画面を示す図である。
図8】リモートコントローラのパスワード入力画面及びパスワード誤り表示画面を示す図である。
図9】ロック解除処理の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るヒートポンプユニットとしての空気調和機の概略構成図である。
空気調和機1は、室外機2と、室内機3とを備え、蒸気圧縮式の冷凍サイクル運転を行うことで室内の温度や湿度等を調整する。
【0021】
室外機2は、屋外に設置され、冷媒を圧縮する圧縮機、外気と冷媒との間で熱交換させる熱交換器、冷媒の流れを制御するバルブ、室外機内に外気を取り入れるファン、及び圧縮機やファンやバルブ等の動作を制御する制御部等を備えている。
【0022】
室内機3は、例えば室内の天井に設置され、冷媒配管と電気配線とによって室外機2に接続されている。室内機3は、室内空気と冷媒との間で熱交換させる熱交換器、冷媒の流れを制御するバルブ、室内空気を取り入れるファン、及びファンやバルブ等の動作を制御する制御部等を備えている。
【0023】
室内機3は、ファンの作動によって室内空気の取入口3aから空気を取り入れ、熱交換後の空気を吹出口3bから吹き出すように構成されている。室内機3と室外機2とを接続する電気配線は、両者の間で信号の送受信を行うための通信線を含む。なお、室内機3は、天井に設置されるものに限らず、壁面に取り付けられるもの、床に載置されるもの等であってもよい。
【0024】
空気調和機1は、リモートコントローラ10を有する操作装置によって運転開始又は運転停止の操作や動作設定のための操作が行われる。
リモートコントローラ10は、室内機3に電気配線6を介して接続され、室内機3から電力が供給されるとともに、室内機3と通信を行うことができる。リモートコントローラ10は、例えば室内の壁面5に取り付けられる。リモートコントローラ10は、前面に、液晶パネル11と、電源ボタン12aと、複数の操作ボタン12b、12cとを備えている。
【0025】
図2は、リモートコントローラの正面図である。
液晶パネル11は、リモートコントローラ10の前面の略中央に配置され、その上側に電源ボタン12aが配置され、下側と右側とにそれぞれ操作ボタン12b,12cが配置されている。液晶パネル11には、冷房、暖房等の運転モードや、設定温度等が表示される。
【0026】
電源ボタン12aは、空気調和機1の運転開始と運転停止とを切り替えるためのボタンである。操作ボタン12b、12cは、主に、運転モード、設定温度、風量、風向等のような空気調和機1の動作設定を変更するために用いられるボタンである。本実施形態では、例えば、設定温度を変更するために上下方向の矢印が記された操作ボタン12cが用いられる。空気調和機1の室内機3及び室外機2は、リモートコントローラ10から送信された動作設定に基づいて運転される。
【0027】
図3は、室内機3とリモートコントローラ10とを示すブロック図である。
室内機3は、制御部21と、通信部(通信ポート)22と、記憶部23とを有している。制御部21は、マイクロコンピュータ等により構成され、CPU等の演算部を備えている。制御部21は、通信部22を介してリモートコントローラ10とデータ通信し、リモートコントローラ10から設定温度等の動作設定を受信して記憶部23に記憶する。また、制御部21は、リモートコントローラ10からの動作設定に基づいて室内機3を制御する。
【0028】
リモートコントローラ10は、制御部31と、通信部(通信ポート)32と、記憶部33と、入力部34と、表示部35と、電源回路36とを備えている。
通信部32は、室内機3の通信部22と電気配線6を介してデータ通信可能に接続されている。また、通信部32は、電気配線6を介して室内機3の通信部22から直流電圧の電力供給を受ける。具体的には、室内機3の通信部22から図示しないフィルタを介して直流電圧が電源回路36に入力され、電源回路36において所定値に変換された直流電圧が制御部31等に供給される。
【0029】
制御部31は、マイクロコンピュータ等により構成され、CPU等の演算部を備えている。制御部31は、記憶部33、入力部34、表示部35等の制御を行う。また、制御部31は、タイマの機能をも有している。
記憶部33は、入力部34から入力された情報や、室内機3から送信された情報等を記憶する。また、本実施形態においては、後述するように、ロック手段における設定内容等を記憶する。
【0030】
入力部34は、上述した電源ボタン12a、操作ボタン12b、12cにより構成され、ユーザからの操作入力を受け付けるものである。
表示部35は、上述した液晶パネル11により構成され、空気調和機1の運転モードや設定温度等の表示を行う。
なお、入力部34は、表示部35を構成するタッチパネルによって構成されていてもよく、この場合、入力部34と表示部35とが少なくとも一部において兼用されることになる。
【0031】
図4は、リモートコントローラ10の制御部31を機能的に示すブロック図である。
制御部31は、機能的に、入力部34に対する空気調和機1の動作設定についての操作入力をロックするためのロック手段41を有している。また、制御部31は、機能的に、ロック手段41によるロックを解除するためのロック解除手段51を有している。
【0032】
ロック手段41は、特定ユーザ以外の者による所定の操作をロックするための機能である。言い換えると、ロック手段41は、特定ユーザによってロックの解除がなされない限り、所定の操作を受け付けなくするものである。特定ユーザとしては、例えば空調設備が設置された施設の管理者や空調設備の管理者等が挙げられる。所定の操作には、例えば、図2に示すように設定温度を調整するための操作ボタン12cの操作を含むことができる。
【0033】
ロック手段41は、特定ユーザ自身によってパスワードを設定するためのパスワード設定部42と、パスワードによるロックの有効と無効とを切り替えるロック切替部43と、パスワードを記憶するパスワード記憶部44とを有している。パスワード記憶部44には、特定ユーザ自身が設定したパスワードが記憶される。
【0034】
以下、具体的なロックの設定画面を参照しながらロック手段41の機能について説明する。図5は、リモートコントローラ10の表示部35(液晶パネル11)に表示されるメニュー画面71を示す。
このメニュー画面71は、例えば、特定ユーザのみが知る所定の操作、例えば、複数のボタン12a〜12cの同時押しや、所定のボタン12a〜12cの長押し等によって表示部35に表示される画面である。このメニュー画面71では、パスワード設定のほか、室内機3や室外機2の運転状態についての表示設定や、ファンの動作設定、メンテナンスに関する設定等を行うことができる。パスワードを設定するには、上下方向の操作ボタン12cを操作することによってメニュー画面71における「パスワード設定」の項目にカーソルCを合わせ、右向きの操作ボタン12cを押すことによって項目を決定する。
【0035】
図6(a)及び図7(a)は、パスワード設定の画面を示す図である。この画面72では、「有効/無効設定」と「パスワード詳細設定」とを選択することが可能となっている。「有効/無効設定」は、前述したようにロック手段41におけるロック切替部43の機能によりロックの有効又は無効を設定する項目である。「パスワード詳細設定」は、前述したパスワード設定部42の機能により具体的なパスワードを設定する項目である。上下方向の操作ボタン12cを操作することによって「有効/無効設定」と「パスワード詳細設定」とのいずれかにカーソルCを合わせ、右向きの操作ボタン12bを操作することによって項目を決定することができる。
【0036】
図6(a)に示すように、「有効/無効設定」を選択すると、図6(b)に示す画面73が現れる。この画面73において、上下方向の操作ボタン12cを操作することによって「有効」又は「無効」にカーソルCを合わせ、右向きの操作ボタン12bを操作することによって項目を決定(選択)することができる。
【0037】
図7(a)に示すように、「パスワード詳細設定」を選択すると、図7(b)に示す画面74が現れる。この画面74においては、4桁の数字からなるパスワードを設定することができる。具体的に、左右方向の操作ボタン12bを操作することによっていずれかの桁にカーソルCを合わせ、上下方向の操作ボタン12cを操作することによって0〜9の数字を設定する。全ての桁の数字を設定し、最後の桁にカーソルCを合わせた状態で右方向の操作ボタン12bを押すとパスワードが決定される。
【0038】
以上のようにパスワードを設定し、パスワードによるロックを有効にすると、リモートコントローラ10の所定の操作がロックされる。
【0039】
図4に示すように、ロック解除手段51は、リモートコントローラ10に対して所定の操作を行うことによってロック手段41によるロックを解除するものである。本実施形態のロック解除手段51は、2つのロック解除操作(第1及び第2のロック解除操作)を行うことによってロックを解除するものとされている。ロック解除手段51は、パスワード判別部52、タイマカウント部53、ロック解除部54、報知部55、ロック再セット部56の機能を有する。以下、ロック解除手段51の各機能を、図9に示すフローチャートとともに説明する。なお、図9は、ロック解除手段51による処理手順の一例を示すものであり、本発明は、当該手順に限定されるものではない。
【0040】
前述したようにロック手段41を機能させた状態で、例えば設定温度を調整するための上下方向の操作ボタン12cを操作すると、図8(a)に示すようにパスワードの入力を要求する画面75が現れる。この画面75において、操作ボタン12b、12cにより前述のパスワード設定と同様の操作を行うことでパスワードを入力することができる。
【0041】
図9のステップS1において、パスワードの入力(第1のロック解除操作)が受け付けられると、ステップS2において、パスワード判別部52により入力されたパスワードの正誤が判別される。パスワード判別部52によって正しいパスワードが入力されたことが判別されると、ステップS3において、タイマカウント部63によってタイマのカウントが開始され、経過時間が計測される。同時に、報知部55によって、図8(b)に示すような画面76が表示されることで、パスワードが誤っている旨の報知が行われる。
【0042】
この報知部55による報知は、正しいパスワードが入力されているにも関わらず行われるため、漏洩したパスワードを特定ユーザ以外の他のユーザ等が入力した場合、当該他のユーザ等は自身が入力したパスワードが誤っていると認識する可能性が高く、それ以上の操作を行おうとする意志が働き難くなる。したがって、特定ユーザ以外の者によるロック解除を困難にすることができる。
【0043】
ステップS2において、パスワード判別部52によって誤ったパスワードが入力されたことが判別されると、ステップS10において、図8(b)に示すような画面76が表示されることで、パスワードが誤っていることが報知される。つまり、入力されたパスワードの正誤に関わらず、同じ画面76が表示される。その後、ステップS11においてロック解除の処理が終了する。
【0044】
ステップS4において、所定時間が経過したか否かが判別され、ステップS5において、リモートコントローラ10に対する所定のロック解除操作(第2のロック解除操作)が受け付けられたか否かが判別される。第2のロック解除操作としては、リモートコントローラ10における複数のボタン12a〜12cの同時押し、いずれかのボタン12a〜12cの長押し等の操作とすることができる。そして、所定時間が経過するまでにリモートコントローラ10に対する所定のロック解除操作がなされなかった場合には、ステップS11においてロック解除処理を終了する。
【0045】
ステップS5において、リモートコントローラ10に対する所定のロック解除操作がなされたことが判別されると、ステップS6において、ロック解除部54により、ロックが一時的に無効にされることによって解除される。これによって温度設定等の空気調和機1の動作設定の変更が可能となる。同時に、タイマカウント部53により、再びタイマのカウントが開始され、経過時間が計測される。
【0046】
ステップS7において、ロック再セット部56によって所定時間が経過したか否かが判別され、ステップS8において、リモートコントローラ10に対する動作設定の操作がなされたか否かが判別される。そして、所定時間が経過するまでにリモートコントローラ10に対する動作設定の操作がなされなかった場合には、ステップS9において、ロック再セット部56により、一時的に無効になっていたロックが再び有効とされる(再ロックされる)。また、リモートコントローラ10に対する動作設定の操作が完了した後も、ロック再セット部56によってロックが再び有効とされる。
【0047】
以上、説明したように、ロック手段41は、リモートコントローラ10による所定の操作をロックするための機能であり、ロック解除手段51は、パスワードの入力(第1のロック解除操作)と、所定のボタン操作(第2のロック解除操作)とによってロック手段41によるロックを解除するための機能である。そして、パスワードの設定は、管理者権限を有している特定ユーザのみが行うことができる。したがって、特定ユーザ以外の他のユーザ、例えば、学校における生徒等はパスワードを知ることができない。そのため、学校の教室毎に生徒が勝手に空気調和機1の設定を変更することができなくなり、学校全体で統制された空気調和を行うことができる。
【0048】
また、仮に特定ユーザ以外の他のユーザ等にパスワードが漏れたとしても、当該他のユーザ等が第2のロック解除操作を知らなければロックを解除することができない。また、当該他のユーザ等は、第2のロック解除操作を知っているか否かに関わらず、パスワードを入力した後にパスワードが誤っている旨の報知がなされるため、続けて第2のロック解除操作を行おうと考え難くなる。その結果、当該他のユーザによってロックが解除される可能性は極めて低くなり、セキュリティを高めることが可能となる。
【0049】
また、パスワードの入力(第1のロック解除操作)が行われた後、無制限に第2のロック解除操作を受け付けたとすると、不慮に第2のロック解除操作がなされてロックが解除されてしまう可能性が高まるが、パスワードを入力してから所定時間内だけ第2のロック解除操作を受け付けることで、このような不都合を解消することができる。
【0050】
本発明は、上記実施形態及び変形例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された範囲内において種々変更することが可能である。
例えば、上記実施形態では、第1のロック解除操作によって正しいパスワードが入力された後、パスワードが誤っている旨の報知が行われていたが、第2のロック解除操作を促さなければどのような形態を採用してもよく、例えば、第1のロック解除操作の後、何の報知も行わない形態を採用してもよい。また、第1のロック解除操作の後、積極的に第2のロック解除操作を促す報知を行ってもよい。
【0051】
報知部55による報知は、表示部35への画面表示に限らず、音や光等を利用した報知であってもよい。
上記実施形態では、第2のロック解除操作(図9のステップS5における操作)は、複数のボタンの同時押しやいずれかのボタンの長押し等が採用されていたが、それ以外の他の操作であってもよい。
【0052】
また、第2のロック解除操作は、リモートコントローラ10に対する所定のボタン操作とするに限らず、リモートコントローラ10以外のものに対する操作であってもよい。例えば、第2のロック解除操作は、室内機3の電源操作、例えば、電源をオフした後にオンする操作等であってもよい。この電源操作は、電気室等においてブレーカ(配線遮断機)等の操作が必要となり、特定ユーザ以外の者は行うことができないので、特定ユーザ以外の者によるロック解除をより困難にすることができる。また、第2のロック解除操作は、室外機2の電源オフ〜オンの操作等や、室外機2からの特定の信号の送信等であってもよい。
【0053】
本発明の操作装置は、空気調和機以外のヒートポンプユニット、例えば給湯装置にも適用することができる。
【符号の説明】
【0054】
1 :空気調和機(ヒートポンプユニット)
10 :リモートコントローラ
21 :制御部
41 :ロック手段
51 :ロック解除手段
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9