(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記副ロック解除手段(61)は、前記第1の副ロック解除操作が行われた後、所定時間内に前記第2の副ロック解除操作が行われることによってロックを解除する、請求項1〜3のいずれか1項に記載のヒートポンプユニットの操作装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載された技術では、特定ユーザがパスワードを忘れてしまうと、リモートコントローラによって所定の操作を行うことができなくなってしまう。そのため、メーカーやメンテナンス業者等の外部の者により特殊な操作でロックを解除してもらう必要があり、ロック解除のために多くの時間と手間を要することになる。
【0006】
本発明は、特定ユーザがパスワード等のロック解除方法を忘れてしまった場合等であっても、他の方法によりロックを解除することができるヒートポンプユニットの操作装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本発明は、ヒートポンプユニットの動作設定についての所定の操作を行うためのリモートコントローラを備えたヒートポンプユニットの操作装置であって、
前記リモートコントローラに対する前記操作をロックするロック手段と、
所定の主ロック解除操作によって前記ロックを解除する主ロック解除手段と、
前記主ロック解除操作とは異なる所定の副ロック解除操作によって前記ロックを解除する副ロック解除手段と、を備え
、
前記リモートコントローラは、前記ヒートポンプユニットから電力が供給され、
前記副ロック解除手段は、互いに異なる複数の副ロック解除操作によって前記ロックを解除するものであり、
前記複数の副ロック解除操作は、前記リモートコントローラに対する第1の副ロック解除操作と、前記リモートコントローラに接続された前記ヒートポンプユニットの電源操作である第2の副ロック解除操作とを含む。
【0008】
この構成によれば、特定ユーザ等が主ロック解除手段による主ロック解除操作を忘れてしまった場合に、副ロック解除手段における副ロック解除操作を行うことによってロックを解除することができる。
【0009】
(2)前記主ロック解除手段は、前記ロックを一時的に無効にすることによってロックを解除し、
前記副ロック解除手段は、前記ロックを無効又はクリアすることによってロックを解除することが好ましい。
【0010】
なお、「ロックを一時的に無効」とは、ロックを解除し、リモートコントローラで所定の操作を行った後又は所定時間経過した後に、再びロックが有効になることをいう。「ロックを無効」とは、ロックを解除し、リモートコントローラで所定の操作を行った後又は所定時間経過した後であっても、ロックが有効にならず無効のまま維持されることをいう。「ロックをクリア」とは、ロックの設定(例えば、パスワード設定等)そのものが消去又は初期化されることによってロックが解除されることをいう。
【0011】
上記構成によれば、主ロック解除手段は、ロックを一時的に無効にするものであるため、ロックを解除した後に、リモートコントローラで所定の操作をした後等に再びロックが有効となるが、副ロック解除手段は、ロックを無効又はクリアするものであるため、リモートコントローラで所定の操作した後等もロックが有効とならない。そのため、主ロック解除手段による解除方法を忘れたとしても、再びロックの設定(パスワード設定等)をやり直すこと等が可能となる。
【0012】
(3)前記主ロック解除手段は、前記ロックを無効又はクリアすることによってロックを解除し、
前記副ロック解除手段は、前記ロックを一時的に無効にすることによってロックを解除するものであってもよい。
このような構成によって、主ロック手段による主ロック解除操作が一時的に分からなくなった場合(例えば、主パスワードを記録したメモを忘れた場合)等に、副ロック解除手段によって一時的にロックを無効にしてリモートコントローラに対して所定の操作を行い、その後、再びロックを有効にすることができる。
【0013】
(4)前記副ロック解除手段は、互いに異なる複数の副ロック解除操作によって前記ロックを解除する
ものであるので、ロック解除の困難性が高くなり、特定ユーザ以外の者によるロック解除を困難にすることができる。
【0014】
(5)前記複数の副ロック解除操作は、前記リモートコントローラに対する第1の副ロック解除操作と、前記リモートコントローラ以外のものに対する第2の副ロック解除操作とを含む
。リモートコントローラに対する第1の副ロック解除操作だけでなく、リモートコントローラ以外のものに対する第2の副ロック解除操作を必要とすることによって、特定ユーザ以外の者によるロックの解除をより困難にすることができる。
【0015】
(6)前記副ロック解除手段は、前記第1の副ロック解除操作が行われた後、所定時間内に前記第2の副ロック解除操作が行われることによってロックを解除することが好ましい。
第1の副ロック解除操作が行われた後、無制限に第2の副ロック解除操作を受け付けたとすると、不慮に第2の副ロック解除操作がなされてロックが解除されてしまう可能性が高まるが、第2の副ロック解除操作に時間制限を設けることでこのような不都合を解消することができる。
【0016】
(7)前記第1の副ロック解除操作は、規則性を有するパスワードの入力操作であることが好ましい。
このように規則性のあるパスワードを用いることで、第1の副ロック解除操作を忘れにくくすることができる。
【0017】
(8)前記第1の副ロック解除操作は、変更不能な操作であることが好ましい。
このような構成によって、第1の副ロック解除操作が特定ユーザ以外の者によって不慮に変更され、特定ユーザによるロック解除が完全に行えなくなってしまうことを防止することができる。
【0018】
(9)前記第2の副ロック解除操作は、所定の管理者権限を有する者のみが行いうる操作であることが好ましい。
このような構成によって、所定の管理者権限を持たない者が第2の副ロック解除操作を行えないようにすることができる。
【0019】
(10)前記リモートコントローラは、前記ヒートポンプユニットから電力が供給され、前記第2の副ロック解除操作は、前記リモートコントローラに接続された前記ヒートポンプユニットの電源操作である
ので、ヒートポンプユニットの電源操作が可能な者のみが第2の副ロック解除操作を行うことができ、ヒートポンプユニットの電源が操作されたことをリモートコントローラ側で容易に把握することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、特定ユーザがパスワード等のロック解除方法を忘れてしまった場合等であっても、他の方法によりロックを解除することができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るヒートポンプユニットとしての空気調和機の概略構成図である。
空気調和機1は、室外機2と、室内機3とを備え、蒸気圧縮式の冷凍サイクル運転を行うことで室内の温度や湿度等を調整する。
【0023】
室外機2は、屋外に設置され、冷媒を圧縮する圧縮機、外気と冷媒との間で熱交換させる熱交換器、冷媒の流れを制御するバルブ、室外機内に外気を取り入れるファン、及び圧縮機やファンやバルブ等の動作を制御する制御部等を備えている。
【0024】
室内機3は、例えば室内の天井に設置され、冷媒配管と電気配線とによって室外機2に接続されている。室内機3は、室内空気と冷媒との間で熱交換させる熱交換器、冷媒の流れを制御するバルブ、室内空気を取り入れるファン、及びファンやバルブ等の動作を制御する制御部等を備えている。
【0025】
室内機3は、ファンの作動によって室内空気の取入口3aから空気を取り入れ、熱交換後の空気を吹出口3bから吹き出すように構成されている。室内機3と室外機2とを接続する電気配線は、両者の間で信号の送受信を行うための通信線を含む。なお、室内機3は、天井に設置されるものに限らず、壁面に取り付けられるもの、床に載置されるもの等であってもよい。
【0026】
空気調和機1は、リモートコントローラ10を有する操作装置によって運転開始又は運転停止の操作や動作設定のための操作が行われる。
リモートコントローラ10は、室内機3に電気配線6を介して接続され、室内機3から電力が供給されるとともに、室内機3と通信を行うことができる。リモートコントローラ10は、例えば室内の壁面5に取り付けられる。リモートコントローラ10は、前面に、液晶パネル11と、電源ボタン12aと、複数の操作ボタン12b、12cとを備えている。
【0027】
図2は、リモートコントローラの正面図である。
液晶パネル11は、リモートコントローラ10の前面の略中央に配置され、その上側に電源ボタン12aが配置され、下側と右側とにそれぞれ操作ボタン12b,12cが配置されている。液晶パネル11には、冷房、暖房等の運転モードや、設定温度等が表示される。
【0028】
電源ボタン12aは、空気調和機1の運転開始と運転停止とを切り替えるためのボタンである。操作ボタン12b、12cは、主に、運転モード、設定温度、風量、風向等のような空気調和機1の動作設定を変更するために用いられるボタンである。本実施形態では、例えば、設定温度を変更するために上下方向の矢印が記された操作ボタン12cが用いられる。空気調和機1の室内機3及び室外機2は、リモートコントローラ10から送信された動作設定に基づいて運転される。
【0029】
図3は、室内機3とリモートコントローラ10とを示すブロック図である。
室内機3は、制御部21と、通信部(通信ポート)22と、記憶部23とを有している。制御部21は、マイクロコンピュータ等により構成され、CPU等の演算部を備えている。制御部21は、通信部22を介してリモートコントローラ10とデータ通信し、リモートコントローラ10から設定温度等の動作設定を受信して記憶部23に記憶する。また、制御部21は、リモートコントローラ10からの動作設定に基づいて室内機3を制御する。
【0030】
リモートコントローラ10は、制御部31と、通信部(通信ポート)32と、記憶部33と、入力部34と、表示部35と、電源回路36とを備えている。
通信部32は、室内機3の通信部22と電気配線6を介してデータ通信可能に接続されている。また、通信部32は、電気配線6を介して室内機3の通信部22から直流電圧の電力供給を受ける。具体的には、室内機3の通信部22から図示しないフィルタを介して直流電圧が電源回路36に入力され、電源回路36において所定値に変換された直流電圧が制御部31等に供給される。
【0031】
制御部31は、マイクロコンピュータ等により構成され、CPU等の演算部を備えている。制御部31は、記憶部33、入力部34、表示部35等の制御を行う。また、制御部31は、タイマの機能をも有している。
記憶部33は、入力部34から入力された情報や、室内機3から送信された情報等を記憶する。また、本実施形態においては、後述するように、ロック手段における設定内容等を記憶する。
【0032】
入力部34は、上述した電源ボタン12a、操作ボタン12b、12cにより構成され、ユーザからの操作入力を受け付けるものである。
表示部35は、上述した液晶パネル11により構成され、空気調和機1の運転モードや設定温度等の表示を行う。
なお、入力部34は、表示部35を構成するタッチパネルによって構成されていてもよく、この場合、入力部34と表示部35とが少なくとも一部において兼用されることになる。
【0033】
図4は、リモートコントローラ10の制御部31を機能的に示すブロック図である。
制御部31は、機能的に、入力部34に対する空気調和機1の動作設定についての操作入力をロックするためのロック手段41を有している。また、制御部31は、機能的に、ロック手段41によるロックを解除するための、主ロック解除手段51と、副ロック解除手段61とを有している。
【0034】
ロック手段41は、特定ユーザ以外の者による所定の操作をロックするものである。言い換えると、ロック手段41は、特定ユーザによってロックの解除がなされない限り、所定の操作を受け付けなくするものである。特定ユーザとしては、例えば空調設備が設置された施設の管理者や空調設備の管理者等が挙げられる。所定の操作には、例えば、
図2に示すように設定温度を調整するための操作ボタン12cの操作を含むことができる。
【0035】
ロック手段41は、特定ユーザ自身によってパスワードを設定するためのパスワード設定部42と、パスワードによるロックの有効と無効とを切り替えるロック切替部43と、パスワードを記憶するパスワード記憶部44とを有している。パスワード記憶部44には、特定ユーザ自身が設定した主パスワードに加えて、予め設定されかつ変更不能な副パスワードが記憶されている。主パスワードは、主ロック解除手段51によってロックを解除するために用いられ、副パスワードは、副ロック解除手段61によってロックを解除するために用いられる。
【0036】
以下、具体的なロックの設定画面を参照しながらロック手段41の機能について説明する。
図5は、リモートコントローラ10の表示部35(液晶パネル11)に表示されるメニュー画面71を示す。
このメニュー画面71は、例えば、特定ユーザのみが知る所定の操作、例えば、複数のボタン12a〜12cの同時押しや、所定のボタン12a〜12cの長押し等によって表示部35に表示される画面である。このメニュー画面71では、パスワード設定のほか、室内機3や室外機2の運転状態についての表示設定や、ファンの動作設定、メンテナンスに関する設定等を行うことができる。主パスワードを設定するには、上下方向の操作ボタン12cを操作することによってメニュー画面71における「パスワード設定」の項目にカーソルCを合わせ、右向きの操作ボタン12cを押すことによって項目を決定する。
【0037】
図6(a)及び
図7(a)は、パスワード設定の画面を示す図である。この画面72では、「有効/無効設定」と「パスワード詳細設定」とを選択することが可能となっている。「有効/無効設定」は、前述したようにロック手段41におけるロック切替部43の機能によりロックの有効又は無効を設定する項目である。「パスワード詳細設定」は、前述したパスワード設定部42の機能により具体的な主パスワードを設定する項目である。上下方向の操作ボタン12cを操作することによって「有効/無効設定」と「パスワード詳細設定」とのいずれかにカーソルCを合わせ、右向きの操作ボタン12bを操作することによって項目を決定することができる。
【0038】
図6(a)に示すように、「有効/無効設定」を選択すると、
図6(b)に示す画面73が現れる。この画面73において、上下方向の操作ボタン12cを操作することによって「有効」又は「無効」にカーソルCを合わせ、右向きの操作ボタン12bを操作することによって項目を決定(選択)することができる。
【0039】
図7(a)に示すように、「パスワード詳細設定」を選択すると、
図7(b)に示す画面74が現れる。この画面74においては、4桁の数字からなる主パスワードを設定することができる。具体的に、左右方向の操作ボタン12bを操作することによっていずれかの桁にカーソルCを合わせ、上下方向の操作ボタン12cを操作することによって0〜9の数字を設定する。全ての桁の数字を設定し、最後の桁にカーソルCを合わせた状態で右方向の操作ボタン12bを押すと主パスワードが決定される。
【0040】
以上のように主パスワードを設定し、パスワードによるロックを有効にすると、リモートコントローラ10の所定の操作がロックされる。ここで、設定される主パスワードは、主ロック解除手段51によって用いられるパスワードである。
【0041】
図4における主ロック解除手段51は、パスワード判別部52、タイマカウント部53、ロック解除部54、ロック再セット部55の機能を有する。以下、主ロック解除手段51の各機能を、
図10に示すフローチャートとともに説明する。なお、
図10は、主ロック解除手段51による処理手順の一例を示すものであり、本発明は、当該手順に限定されるものではない。
【0042】
前述したようにロック手段41を機能させた状態で、例えば設定温度を調整するための上下方向の操作ボタン12cを操作すると、
図8(a)に示すようにパスワードの入力を要求する画面75が現れる。この画面75において、操作ボタン12b、12cにより前述のパスワード設定と同様の操作を行うことでパスワードを入力することができる。このパスワードの入力操作が、主ロック解除操作となる。
【0043】
図10のステップS1において、パスワードの入力が受け付けられると、ステップS2において、パスワード判別部52により入力されたパスワードの正誤、ここでは、主パスワードの正誤が判別される。パスワード判別部52によって正しい主パスワードが入力されたことが判別されると、ステップS3において、ロック解除部54によりロック手段41によるロックが一時的に無効とされることによってロックが解除される。これによって設定温度等の空気調和機1の動作設定の変更が可能となる。同時に、タイマカウント部53によってタイマのカウントが開始され、経過時間が計測される。
【0044】
ステップS2において、パスワード判別部52によって誤った主パスワードが入力されたことが判別されると、ステップS7において、
図8(b)に示すような画面76が表示されることで、パスワードが誤っていることが報知される。その後、ステップS8においてロック解除の処理が終了する。
【0045】
ステップS4において、所定時間が経過したか否かが判別され、ステップS5において、リモートコントローラ10に対する動作設定の操作がなされたか否かが判別される。そして、所定時間が経過するまでにリモートコントローラ10に対する動作設定の操作がなされなかった場合には、ステップS6において、ロック再セット部55によって、一時的に無効になっていたロックが再び有効とされる(再ロックされる)。また、ロック再セット部55は、リモートコントローラ10に対する動作設定の操作が完了した後も、ロック再セット部55によってロックが再び有効とされる。
【0046】
以上、説明したように、ロック手段41は、リモートコントローラ10による所定の操作をロックするための機能であり、主ロック解除手段51は、主パスワードの入力を受け付けてロック手段41によるロックを一時的に無効するための機能である。そして、主パスワードの設定は、管理者権限を有している特定ユーザのみが行うことができる。したがって、特定ユーザ以外の一般ユーザ、例えば、学校における生徒等は主パスワードを知ることができない。そのため、学校の教室毎に生徒が勝手に空気調和機1の設定を変更することができなくなり、学校全体で統制された空気調和を行うことができる。
【0047】
特定ユーザが設定する主パスワードは、他のユーザによって簡単に解読できないもの、すなわち解読の難易度が高いものを設定することが推奨される。しかしながら、解読の難易度が高い主パスワードは、安全性が高い反面、覚えにくいという欠点もあり、設定した主パスワードを特定ユーザが忘れてしまう場合もあり得る。特定ユーザが主パスワードを忘れると、空気調和機1の動作設定を変更することができなくなり、空気調和機1のメーカーやメンテナンス業者に依頼して特殊な操作(室内機3や室外機2の制御基板の操作等)によりロックを解除してもらう必要が生じる。
【0048】
このような実情に鑑み、本実施形態のリモートコントローラ10は、特定ユーザ自身が設定した主パスワードによるロック解除だけでなく、特定ユーザが主パスワードを忘れた場合等に備えて、主ロック解除手段51とは異なるロック解除方法によってロック手段41によるロックを解除する副ロック解除手段61を備えている。この副ロック解除手段61は、2つのロック解除操作(第1及び第2の副ロック解除操作)によってロックを解除するものとされている。本実施形態では、第1の副ロック解除操作がパスワードの入力操作とされ、第2の副ロック解除操作が室内機3の電源操作とされている。
【0049】
図4に示すように、副ロック解除手段61は、パスワード判別部62、タイマカウント部63、電源確認部64、ロッククリア部65の機能を有する。以下、副ロック解除手段61の各機能を、
図11に示すフローチャートとともに説明する。なお、
図11は、副ロック解除手段61による処理手順の一例を示すものであり、本発明は、当該手順に限定されるものではない。
【0050】
前述したように、ロック手段41を機能させた状態で、例えば設定温度を調整するための上下方向の操作ボタン12cを操作すると、
図8(a)に示すようにパスワードの入力を要求する画面75が現れる。この画面75において、操作ボタン12b、12cにより前述のパスワード設定と同様の操作を行うことでパスワードを入力することができる。副ロック解除手段61によってロックを解除する場合、特定ユーザは、第1の副ロック解除操作として、主パスワードとは異なる副パスワードを入力する。
【0051】
副ロック解除手段61は、主パスワードを忘れてしまった場合に用いられる非常手段である。そのため、副ロック解除手段61で用いる副パスワードは、主ロック解除手段51のように特定ユーザ自身が設定したパスワードではなく、予め設定された不変のパスワードとなっている。
【0052】
副パスワードは、解読の難易度が主パスワードよりも低く、簡単に忘れることができないものが用いられる。解読の難易度の低いパスワードとしては、例えば、複数桁の数値からなるパスワードの場合には、1種類の数字の羅列(「1111」,「2222」等)や一つずつ増減する数字の羅列(「1234」、「9876」等)のように規則性を有する複数の数字からなるもの、空気調和機1を設置した施設や特定ユーザの情報に関わる数値のように推測が容易な複数の数字からなるものが考えられる。解読の難易度の高いパスワードとしては、例えば、施設や特定ユーザ等には全く関連がなく、ランダムに選択された複数の数字からなるものが考えられる。
【0053】
本実施形態では、副パスワードとして、1種類の数字の羅列、例えば、
図9に示すように「9999」を採用している。
図11のステップS11において、副パスワードの入力が受け付けられると、ステップS12において、パスワード判別部62によって入力されたパスワードの正誤が判別される。パスワード判別部62によって正しいパスワードが入力されたことが判別されると、ステップS13に処理が移行し、誤ったパスワードが入力されたことが判別されると、ステップS18に処理が移行する。ステップS18では、
図8(b)に示す画面76が表示され、パスワードが誤っていることがユーザに報知され、ステップS19においてロック解除の処理を終了する。
【0054】
ステップS13では、ロック手段41によるロックを解除にするための「実行フラグ」がオンされる。同時に、タイマカウント部63によってタイマのカウントが開始され、経過時間が計測される。
【0055】
次いで、ステップS14において、所定時間が経過したか否かが判別され、ステップS15において、電源確認部64によって、第2の副ロック解除操作として室内機3の電源がオフされた後にオンされたか否かが判別される。リモートコントローラ10は、室内機3から電力が供給されるので、電源確認部64は、室内機3からの電力供給が停止したあとに再び電力が供給されたことを検知することによって、室内機3の電源オフ〜オンの操作を判別することができる。
【0056】
ステップS15において、室内機3の電源がオフ〜オンされたことが判別されると、ステップS16において、実行フラグがオンされているか否かが判別される。実行フラグがオンされていない場合には、ステップS19へ処理が移行し、ロック解除処理が終了する。実行フラグがオンされている場合には、ステップS17へ処理が移行する。このように実行フラグがオンされているか否かを判別することによって、停電後の復電等のようにロック解除以外の要因で電源がオフ〜オンされたことを除外することができる。
【0057】
なお、リモートコントローラ10の電源確認部64は、例えば電気配線6が断線した状態から回復された場合にも、室内機3からの電力供給が停止したあとに再び電力が供給されたことを検知する。しかし、このような断線等はロック解除のために行われる電源操作とは異なるため、これらを適切に区別する必要がある。本実施形態の室内機3は、電源がオフの状態からオンされたときに所定時間(例えば数秒間)だけ通信部22を介して所定周波数の交流信号を識別信号として送信する。そして、電源確認部64は、室内機3から送信された識別信号を受信したときに、電源がオフの状態からオンされたことを認識する。これにより、ロック解除のための電源操作と、電気配線6の断線等とを好適に識別することができる。
【0058】
ステップS17において、ロッククリア部65によって、ロック手段41によるロックの設定が「クリア」されることによってロックが解除される。より具体的には、
図4に示すロック切替部43におけるロックの有効/無効の設定が「有効」から「無効」に切り替えられると共に、パスワード設定部42において設定されていた主パスワードが消去(初期化)される。したがって、特定ユーザは、設定温度の変更等の空気調和機1の動作設定についての操作を行うことが可能となる。
【0059】
以上のように、副ロック解除手段61によるロック解除は、副パスワードの入力というリモートコントローラ10の操作(第1の副ロック解除操作)と、リモートコントローラ10以外のものに対する操作(第2の副ロック解除操作)との2つの操作によってロックを解除するものである。このように2つの操作を必要とすることによって、特定ユーザ以外の者によるロック解除を困難にすることができ、セキュリティを高めることができる。
【0060】
また、第1の副ロック解除操作は特定ユーザ以外の者によっても操作可能であるが、第2のロック解除操作は、室内機3の電源をオフ〜オンするものであって、電気室等におけるブレーカ(配線遮断機)等の操作が必要となり、特定ユーザ以外の者は行うことができない。したがって、特定ユーザ以外の者によるロック解除をより困難にすることができる。
【0061】
また、第1の副ロック解除操作は、簡単なパスワードの入力であるため、特定ユーザが忘れてしまうことはほとんど無く、忘れてしまったとしても容易に推測することができる。副パスワードは、どのようなユーザであっても変更することができない不変のパスワードとなっている。そのため、副パスワードが特定ユーザ以外の者によって不慮に変更され、特定ユーザによるロック解除が完全に行えなくなってしまうことを防止することができる。
【0062】
副ロック解除手段61は、ロック手段41によるロックをクリアするものであるので、特定ユーザは、
図6及び
図7を参照して説明したように、忘れてしまった主パスワードに代えて新たな主パスワードを設定し直し、再びロックを有効とすることができる。
また、副パスワードの入力(第1の副ロック解除操作)を行った後、無制限に第2の副ロック解除操作を受け付けたとすると、不慮に第2の副ロック解除操作がなされてロックが解除されてしまう可能性が高まるが、副パスワードを入力してから所定時間内だけ第2の副ロック解除操作を受け付けることで、このような不都合を解消することができる。
【0063】
本発明は、上記実施形態及び変形例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された範囲内において種々変更することが可能である。
例えば、主ロック解除手段51及び副ロック解除手段61において、ロック解除のために用いられるパスワードは、複数の数字からなるものに限らず、アルファベット等の複数の文字からなるものや、数字と文字との組み合わせからなるものであってもよい。
【0064】
副ロック解除手段における第2の副ロック解除操作は、リモートコントローラ10において認識可能な操作であれば、室内機3の電源オフ〜オンの操作に限定されるものではない。例えば、室外機2の電源オフ〜オンの操作や、室外機2からの特定の信号の送信等であってもよい。
【0065】
上記実施形態では、副ロック解除操作が行われた後、ロックをクリア、すなわちロック切替部43におけるロックの有効/無効の設定が「有効」から「無効」に切り替えられると共に、パスワード設定部42において設定されていた主パスワードが消去(初期化)されていたが、主パスワードを消去することなくロック切替部43におけるロックの設定を「無効」とするだけであってもよい。この場合であってもロックが解除された状態になるので、特定ユーザは、新たに主パスワードを設定し直してから、ロックを「有効」に切り替えることができる。
【0066】
また、上記実施形態とは逆に、主ロック解除手段51は、ロックを無効又はクリアすることによってロックを解除するものであってもよく、副ロック解除手段61は、ロックを一時的に無効にするものであってもよい。この場合、例えば、主ロック手段による主ロック解除操作が一時的に分からなくなった場合(例えば、主パスワードを記録したメモを忘れた場合)等に、副ロック解除手段によって一時的にロックを無効にしてリモートコントローラに対して所定の操作を行い、その後、再びロックを有効にすることができる。
【0067】
本発明の操作装置は、空気調和機以外のヒートポンプユニット、例えば給湯装置にも適用することができる。