特許第6583341号(P6583341)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6583341包装機、包装機のための制御装置、制御方法、およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6583341
(24)【登録日】2019年9月13日
(45)【発行日】2019年10月2日
(54)【発明の名称】包装機、包装機のための制御装置、制御方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   B65B 57/00 20060101AFI20190919BHJP
   B65B 57/10 20060101ALI20190919BHJP
   B65B 9/067 20120101ALI20190919BHJP
【FI】
   B65B57/00 H
   B65B57/10 Z
   B65B9/067
【請求項の数】8
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2017-80954(P2017-80954)
(22)【出願日】2017年4月14日
(65)【公開番号】特開2018-177318(P2018-177318A)
(43)【公開日】2018年11月15日
【審査請求日】2018年2月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100189913
【弁理士】
【氏名又は名称】鵜飼 健
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(72)【発明者】
【氏名】服部 玲子
(72)【発明者】
【氏名】広橋 佑紀
【審査官】 米村 耕一
(56)【参考文献】
【文献】 特開平07−205937(JP,A)
【文献】 実開平01−158412(JP,U)
【文献】 特開2016−210501(JP,A)
【文献】 特開2014−237476(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 9/00−9/24
B65B 51/10
B65B 57/00−5/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被包装物を搬送するための搬送機構を含む包装機を制御するための制御装置であって、
前記被包装物の位置を検出するセンサから、前記搬送機構における被包装物の搬送位置を表す位置検出情報を取得する取得部と、
前記取得部によって取得された位置検出情報に基づいて、前記被包装物の所定位置からの搬送方向に対するずれ方向を判定し、前記包装機において実施される複数の工程の各々によって実施される処理の単位処理時間をタクトと定義した場合、前記位置検出情報、前記判定されたずれ方向、および前記被包装物の属するタクトを含む判定結果を出力する判定部と、
前記判定結果に基づいて、前記センサによる位置検出がなされた前記被包装物に対して、前記センサによる位置検出がなされた工程よりも後工程のうちの特定の工程の、特定のタクト数後のタクトにおける動作を制御する制御部と、
を備えた制御装置。
【請求項2】
被包装物を搬送するための搬送機構を含む包装機を制御するための制御装置であって、
前記被包装物を検出するセンサから、前記搬送機構における被包装物の搬送タイミングを表す搬送タイミング検出情報を取得する取得部と、
前記取得部によって取得された搬送タイミング検出情報に基づいて、予め設定された基準時点から、前記センサによって前記被包装物が検出されるまでの経過時間を求め、前記経過時間に基づいて、前記被包装物の所定位置からのずれ方向を判定し、前記包装機において実施される複数の工程の各々によって実施される処理の単位処理時間をタクトと定義した場合、前記判定されたずれ方向、および前記被包装物の属するタクトを含む判定結果を出力する判定部と、
前記判定結果に基づいて、前記センサによる検出がなされた前記被包装物に対して、前記センサによる検出がなされた工程よりも後工程のうちの特定の工程の、特定のタクト数後のタクトにおける実施を制御する制御部と、
を備えた制御装置。
【請求項3】
前記判定部は、前記経過時間が、予め定められた第1のしきい値よりも短い場合に、前記ずれ方向は前記後工程側であると判定し、予め定められた第2のしきい値よりも長い場合に、前記ずれ方向は前工程側であると判定し、
前記制御部は、
前記判定部によってずれ方向が前記後工程側であると判定された場合に、前記特定の工程が、第1のタクト数後のタクトにおいて実施されないように前記包装機を制御し、
前記判定部によってずれ方向が前記前工程側であると判定された場合に、前記特定の工程が、前記第1のタクト数後のタクトの次のタクトにおいて実施されないように前記包装機を制御する、請求項2に記載の制御装置。
【請求項4】
前記包装機が、少なくとも複数の前記被包装物を包装材により覆う工程と、前記覆われた複数の被包装物を予め設定された単位数で分離する工程とを備えるピロー包装機である場合に、
前記制御部は、前記センサによる検出がなされた工程の実施から、前記分離するための工程の実施までに要する所要時間を考慮して、前記ずれ方向が判定された被包装物に対し、前記分離するための工程が実施されないように前記ピロー包装機を制御する、請求項3に記載の制御装置。
【請求項5】
請求項1乃至のうち何れか1項に記載の制御装置を備えた包装機。
【請求項6】
被包装物を搬送するための搬送機構を含む包装機を制御するための制御方法であって、
前記被包装物の位置を検出するセンサから、前記搬送機構における被包装物の搬送位置を表す位置検出情報を取得し、
前記取得された位置検出情報に基づいて、前記被包装物の所定位置からの搬送方向に対するずれ方向を判定し、前記包装機において実施される複数の工程の各々によって実施される処理の単位処理時間をタクトと定義した場合、前記判定されたずれ方向、および前記被包装物の属するタクトを含む判定結果を出力し、
前記判定結果に基づいて、前記センサによる位置検出がなされた前記被包装物に対して、前記センサによる位置検出がなされた工程よりも後工程のうちの特定の工程の、特定のタクト数後のタクトにおける実施を制御する、制御方法。
【請求項7】
被包装物を搬送するための搬送機構を含む包装機を制御するための制御方法であって、
前記被包装物を検出するセンサから、前記搬送機構における被包装物の搬送タイミングを表す搬送タイミング検出情報を取得し、
前記取得された搬送タイミング検出情報に基づいて、予め設定された基準時点から、前記センサによって前記被包装物が検出されるまでの経過時間を求め、前記経過時間に基づいて、前記被包装物の所定位置からのずれ方向を判定し、前記包装機において実施される複数の工程の各々によって実施される処理の単位処理時間をタクトと定義した場合、前記判定されたずれ方向、および前記被包装物の属するタクトを含む判定結果を出力し、
前記判定結果に基づいて、前記センサによる検出がなされた前記被包装物に対して、前記センサによる検出がなされた工程よりも後工程のうちの特定の工程の、特定のタクト数後のタクトにおける実施を制御する、制御方法。
【請求項8】
請求項1乃至のいずれかに記載の制御装置が備える前記各部としてコンピュータを機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばピロー包装機のような包装機、該包装機を制御するための制御装置、制御方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、生産ラインによって大量生産される製品を個別にかつ高速に包装するために、ピロー包装機のような包装機が広く使用されている。ピロー包装機の一例として横ピロー包装機がある。
【0003】
図8は、一般的な横ピロー包装機の構成例を示す概要図である。
【0004】
図8に例示する横ピロー包装機40は、ワーク搬送機構60、フィルム搬送機構(メイン)70、フィルム搬送機構(サブ)80、およびトップシール機構90から構成される。
【0005】
ワーク搬送機構60には、前後に配置されたスプロケット66、67と、スプロケット66、67に掛け渡されたエンドレスエンドレスチェーン61と、前方のスプロケット66を回転させるための駆動力を提供するサーボモータ62とが設けられている。
【0006】
さらにエンドレスチェーン61の表面には、エンドレスチェーン61上においてワーク50を等間隔で載置するための位置決め用突起である押送フィンガ63が複数、エンドレスチェーン61の長手方向に等間隔で設けられている。
【0007】
サーボモータ62が駆動することにより、前方のスプロケット66が回転し、エンドレスエンドレスチェーン61が回転することによって、押送フィンガ63が上流側(図中左側)から下流側(図中右側)へと移動する。
【0008】
これによって、上流側の装置(図示せず)からワーク搬送機構60に搬送されたワーク50の後面に押送フィンガ63が突き当たると、押送フィンガ63の移動に伴い、ワーク50も前進移動する。
【0009】
なお、本明細書では、横ピロー包装機40で包装される被包装物をワーク50と称する。
【0010】
ワーク搬送機構60にはまた、エンドレスチェーン61によって搬送されるワーク50を検出するための光学センサ64が設けられている。
【0011】
ワーク搬送機構60にはさらに、ワーク乗り上げセンサ65も設けられている。これによって、異物(図示せず)の上に乗り上げられたワーク50が検出される。
【0012】
フィルム搬送機構(メイン)70では、フィルム71が巻かれているロール72が、サーボモータ75によって回転されることによって、フィルム71が、フィルム搬送機構(サブ)80側へ供給される。
【0013】
フィルム71の表面には、トップシール機構90でなされる、フィルム71の進行方向に対して垂直方向になされるシール(以降、単に「トップシール」と称する)および切断のための目印として使用されるレジマークが等間隔で付されており、このレジマークが、レジマークを検出するための光学センサ74によって所定周期で検出されることによって、フィルム搬送機構(サブ)80へフィルム71が所定速度で供給されることが確認される。
【0014】
フィルム搬送機構(サブ)80では、フィルム搬送機構(メイン)70から供給されたフィルム71が、フィルム搬送機構(サブ)80における上流側(図中左側)において筒状とされる。次に、ワーク搬送機構60によって、このフィルム71の筒の中にワーク50が送り込まれ、レジマークで区切られた領域内に配置される。
【0015】
フィルム搬送機構(サブ)80へ搬送されたワーク50は、フィルム71の筒の中に配置された状態で、フィルム71と共に、トップシール機構90側へ搬送される。このフィルム71およびワーク50の搬送は、サーボモータ83により行われる。ワーク50は、ワークずれを検出するためのセンサである光学センサ82によって、フィルム71の筒中のレジマークで区切られた領域内における配置状態が検出される。
【0016】
筒の中にワーク50が配置されたフィルム71は、サーボモータ92によって駆動されるトップシール機構90において、トップシールと切断とが同時に行われる。これによって、フィルム71によってワーク50が個別に包装された状態で横ピロー包装機40から排出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】特開2005−104512号公報
【特許文献2】特開2010−006474号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
しかしながら、このような横ピロー包装機40には、以下のような課題がある。
【0019】
図9は、光学センサ82による検出時におけるワーク50とフィルム71との位置関係の代表的なパターンの例を説明するための上面図である。図9におけるx軸は、ワーク50の搬送方向およびフィルム71の長手方向に対応し、y軸は、フィルム71の幅方向に対応する。
【0020】
図10は、光学センサ82による検出時におけるワーク50とフィルム71との位置関係の代表的なパターンの例を説明するための側面図である。図10におけるx軸は、ワーク50の搬送方向およびフィルム71の長手方向に対応し、z軸は、ワーク50の高さ方向に対応する。
【0021】
図9図10の何れにおいても、図中右方向がトップシール機構90側(すなわち、後工程側)に対応する。
【0022】
横ピロー包装機40が正常に連続的に動作していれば、光学センサ82による検出時におけるワーク50とフィルム71との位置関係は、図9(a)および図10に示す通り、フィルム71のレジマークで区切られた領域内のほぼ中央に配置された状態となる。
【0023】
図9において、破線Bは、フィルム71の幅方向の中心を通過する線である。したがって、破線Bは、フィルム71の長手方向と平行である。破線Aは、フィルム71の長手方向における光学センサ82の配置位置に相当する。破線Aと破線Bとの交点は、光学センサ82が照射する光の目標位置に相当する。
【0024】
図10において、破線Cは、光学センサ82の配置位置からの直下方向に相当し、破線Dは、ワーク50の1/2の高さを通過する水平線である。
【0025】
図9(a)および図10に示すように、ワーク50の搬送方向とフィルム71の長手方向とが一致し、かつ、破線Aと破線Bとの交点が、上から見た場合におけるワーク50の平面中心点と一致する状態を、以降、「正常状態」と称する。
【0026】
一方、図9(b)は、ワーク50の搬送方向と、フィルム71の長手方向とが一致しているが、ワーク50が後工程側にずれている状態を示している。このような状態を、以降、「前方ずれ」と称する。
【0027】
図9(c)は、ワーク50の搬送方向と、フィルム71の長手方向とが一致しているが、図9(b)とは逆に、ワーク50が前工程側にずれている状態を示している。このような状態を、以降、「後方ずれ」と称する。
【0028】
その他にも、図9(d)に示すように、ワーク50は前方ずれも後方ずれも起こしていないものの、ワーク50の幅方向の中心を通過する線が、破線Bよりも図中上側である奥側へずれた状態である「奥ずれ」や、図9(e)に示すように、ワーク50は前方ずれも後方ずれも起こしていないものの、図9(d)とは逆に、ワーク50の幅方向の中心を通過する線が、破線Bよりも図中下側である手前側へずれた状態である「手前ずれ」といった状態もある。さらには、図9(b)〜(e)のようなずれが、任意に組み合わされてなる数多くのずれパターンがある。
【0029】
これら多くのずれパターンのうち、図9(b)に示す前方ずれ、および、図9(c)に示す後方ずれは、トップシール機構90におけるワーク50の噛み込みの要因となり得る深刻な位置ずれである。その理由を以下に説明する。
【0030】
図9(a)に示すような正常状態であれば、トップシール機構90は、ワーク50と、後続するワーク50との間のフィルム71に対して、トップシールや切断といった処理を実施する。これによって、フィルム71のトップシールおよび切断がなされ、その結果、個別に包装されたワーク50がトップシール機構90から排出される。
【0031】
また、図9(d)に示すような奥ずれと、図9(e)に示すような手前ずれは、搬送中常時フィルム71によってワーク50がフィルム71の幅方向の中心側へ引っ張られることにより、図9(a)のような正常状態に自然に矯正されるので、トップシール機構90におけるワーク50の噛み込みの要因とはならない。
【0032】
しかしながら、図9(b)のような前方ずれ、および、図9(c)のような後方ずれを起こしたワーク50に対してトップシール機構90が動作すると、ワーク50を噛み込んでしまい、ワーク50を破損させてしまう恐れがある。また、これによって、トップシール機構90のカッターの摩耗や劣化を引き起こす恐れがある。
【0033】
従来技術では、このような噛み込みを、実際の噛み込みの発生を検知することによって認識している。そして、噛み込みの発生を認識すると、横ピロー包装機40を停止させ、噛み込まれたワークを取り除くことによって対処している。しかしながら、このような対処法は、横ピロー包装機40の停止を伴うために、稼働率の低下をもたらしてしまうので、好ましいものではない。
【0034】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、噛み込みの要因となるワークの搬送方向の位置ずれが発生した場合でも、包装機の運転を停止させることなく噛み込みの発生を回避できるようにし、これにより生産効率を高く維持するようにした包装機の制御装置、制御方法、プログラム、および該制御装置によって制御される包装機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0035】
上記の目的を達成するために、本発明では、以下のような手段を講じる。
【0036】
すなわち、この発明の第1の態様は、被包装物を搬送するための搬送機構を含む包装機を制御するための制御装置であって、前記被包装物の位置を検出するセンサから、前記搬送機構における被包装物の搬送位置を表す位置検出情報を取得する取得部と、前記取得部によって取得された位置検出情報に基づいて、前記被包装物の所定位置からの搬送方向に対するずれ方向を判定する判定部と、前記センサによる位置検出がなされた前記被包装物に対して、前記センサによる位置検出がなされた工程よりも後工程の実施を、前記判定部によって判定されたずれ方向に基づいて制御する制御部とを備える。
【0037】
また、この発明の第2の態様は、被包装物を搬送するための搬送機構を含む包装機を制御するための制御装置であって、前記被包装物を検出するセンサから、前記搬送機構における被包装物の搬送タイミングを表す搬送タイミング検出情報を取得する取得部と、前記取得部によって取得された搬送タイミング検出情報に基づいて、予め設定された基準時点から、前記センサによって前記被包装物が検出されるまでの経過時間を求め、前記経過時間に基づいて、前記被包装物の所定位置からのずれ方向を判定する判定部と、前記センサによる検出がなされた前記被包装物に対して、前記センサによる検出がなされた工程よりも後工程の実施を、前記判定部によって判定されたずれ方向に基づいて制御する制御部とを備える。
【0038】
さらに、この発明の第3の態様は、第2の態様の制御装置において、前記判定部は、前記経過時間が、予め定められた第1のしきい値よりも短い場合に、前記ずれ方向は前記後工程側であると判定し、予め定められた第2のしきい値よりも長い場合に、前記ずれ方向は前工程側であると判定し、前記制御部は、前記判定部によってずれ方向が前記後工程側であると判定された場合に、前記センサにより検出がなされた前記被包装物に対する前記後工程が、前記ずれが発生していない場合において処理期間において実施されないように前記包装機を制御し、前記判定部によってずれ方向が前記前工程側であると判定された場合には、前記センサにより検出がなされた前記被包装物に対する前記後工程が、前記ずれが発生していない場合より遅い処理期間において実施されないように前記包装機を制御する。
【0039】
さらにまた、この発明の第4の態様では、前記処理期間は、複数の工程の各々が実施する処理の単位処理時間を表すタクトで定義され、前記ずれが発生していない場合より遅い処理期間は、前記ずれが発生していない場合における処理期間の1タクト後である。
【0040】
この発明の第5の態様は、第3の態様の制御装置において、前記包装機が、少なくとも複数の前記被包装物を包装材により覆う工程と、前記覆われた複数の被包装物を予め設定された単位数で分離する工程とを備えるピロー包装機である場合に、前記センサによる検出がなされた工程の実施から、前記分離するための工程の実施までに要する所要時間を考慮して、前記ずれ方向が判定された被包装物について、前記分離するための工程が実施されないように前記ピロー包装機を制御する。
【0041】
この発明の第6の態様は、第1乃至第5の態様のうちの何れかの制御装置を備えた包装機である。
【0042】
この発明の第7の態様は、被包装物を搬送するための搬送機構を含む包装機を制御するための制御方法であって、前記被包装物の位置を検出するセンサから、前記搬送機構における被包装物の搬送位置を表す位置検出情報を取得し、前記取得された位置検出情報に基づいて、前記被包装物の所定位置からの搬送方向に対するずれ方向を判定し、前記センサによる位置検出がなされた前記被包装物に対して、前記センサによる位置検出がなされた工程よりも後工程の実施を、前記判定部によって判定されたずれ方向に基づいて制御する。
【0043】
この発明の第8の態様は、被包装物を搬送するための搬送機構を含む包装機を制御するための制御方法であって、前記被包装物を検出するセンサから、前記搬送機構における被包装物の搬送タイミングを表す搬送タイミング検出情報を取得し、前記取得された搬送タイミング検出情報に基づいて、予め設定された基準時点から、前記センサによって前記被包装物が検出されるまでの経過時間を求め、前記経過時間に基づいて、前記被包装物の所定位置からのずれ方向を判定し、前記センサによる検出がなされた前記被包装物に対して、前記センサによる検出がなされた工程よりも後工程の実施を、前記判定部によって判定されたずれ方向に基づいて制御する。
【0044】
この発明の第9の態様は、請求項1乃至5のいずれかに記載の制御装置が備える前記各部としてコンピュータを機能させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0045】
この発明の第1、6、7、9の態様によれば、噛み込みの要因となる被包装物のずれ方向を、被包装物の位置の検出結果に基づいて判定し、ずれ方向に応じて後工程の何れかの工程に対して、被包装物の噛み込みを回避するための予防的な制御を実施することによって、包装機の運転を継続させながら、噛み込みを回避することが可能となる。
【0046】
また、第2、6、8、9の態様によれば、噛み込みの要因となる被包装物のずれ方向を、所定の時点から、センサによって被包装物が検出されるまでの経過時間に基づいて判定し、ずれ方向に応じて後工程の何れかの工程に対して予防的な制御を実施することによって、包装機の運転を継続させながら、被包装物の噛み込みを回避することが可能となる。
【0047】
この発明の第3の態様によれば、経過時間を、2つの異なるしきい値それぞれと比較することによって、ずれ方向を判定することが可能となる。さらに、包装機において包装物によって覆われた複数の被包装物から、単位数の被包装物を分離するための工程を実施する際に、噛み込みを回避するための予防的な制御を、包装物のずれ方向に応じて実施することが可能となる。
【0048】
この発明の第4の態様によれば、噛み込みを回避するための予防的な制御を、タクト単位で実施することが可能となる。
【0049】
この発明の第5の態様によれば、センサによる検出がなされた工程の実施から、分離するための工程の実施までに要する所要時間を考慮して、ずれ方向が判定された被包装物について、分離するための工程が実施されないように制御することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
図1】第1の実施形態に係る制御方法が適用された制御装置の構成例を示す機能ブロック図である。
図2】横ピロー包装機の起動後に取得された検出信号の時間関係の一例を示す図である。
図3】ワークが正常状態の場合に検出されるサーボラッチ信号と、ワークずれセンサによる検出信号との時間関係を示す模式図である。
図4】ワークが前方ずれの場合に検出されるサーボラッチ信号と、ワークずれセンサによる検出信号との時間関係を示す模式図である。
図5】ワークが後方ずれの場合に検出されるサーボラッチ信号と、ワークずれセンサによる検出信号との時間関係を示す模式図である。
図6】第1の実施形態に係る制御方法が適用された制御装置のデータ取得時の動作例を示すフローチャートである。
図7】第1の実施形態に係る制御方法が適用された制御装置のワークずれ判定時の動作例を示すフローチャートである。
図8】一般的な横ピロー包装機の構成例を示す概要図である。
図9】ワークとフィルムとの位置関係の代表的なパターンの例を説明するための上面図である。
図10】ワークとフィルムとの位置関係の代表的なパターンの例を説明するための側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0051】
以下に、本発明を実施するための最良の形態について図面を参照しながら説明する。
【0052】
なお、以下の各実施形態の説明に用いる図中の符号は、図8乃至図10と同一部分については同一符号を付して示し、重複説明を避ける。
【0053】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る制御方法が適用された制御装置10の構成例を示す機能ブロック図である。
【0054】
本実施形態に係る制御装置10は、包装機を制御するための装置であって、コンピュータを構成するCPU(Central Processing Unit)およびプログラムメモリを有し、本実施形態を実施するために必要な制御を行う部位として、制御部12、データ取得部14、特徴量導出部20、異常判定部22、および制御指示部24を備える。これらの部位はいずれも上記プログラムメモリに格納されたプログラムを上記CPUに実行させることにより実現される。
【0055】
制御装置10はまた、データ蓄積部16を備える。データ蓄積部16は、例えばSSD(Solid State Drive)やHDD(Hard Disk Drive)等の随時書き込みおよび読み出しが可能な不揮発性メモリや記憶媒体である。
【0056】
以下では、このような制御装置10が、図8に示すような横ピロー包装機40に適用された場合を例に説明するが、制御装置10は、横ピロー包装機40への適用に限定されるものではなく、例えば縦ピロー包装機のように、他のタイプの包装機にも適用することも可能である。
【0057】
制御部12は、サーボモータ62、75、83、92およびデータ蓄積部16に対して周期Tで規則的にサーボラッチ信号を出力する。サーボモータ62、75、83、92は、サーボラッチ信号の間隔に応じて駆動する。データ蓄積部16は、サーボラッチ信号が出力された時間情報を記憶する。
【0058】
このようにサーボモータ62、75、83、92が、サーボラッチ信号に従って駆動されることによって、横ピロー包装機40が駆動され、ワーク50およびフィルム71が、後工程へ搬送される。
【0059】
これに応じて、フィルム搬送機構(メイン)70では、光学センサ74が、フィルム71の表面に等間隔で付されているレジマークを検出し、検出結果のデータをデータ取得部14へ出力する。また、ワーク搬送機構60では、光学センサ64が、搬送されて来るワーク50を検出し、検出結果のデータをデータ取得部14へ出力する。フィルム搬送機構(サブ)80では、光学センサ82が、連続的に搬送されて来るワーク50を検出し、検出結果のデータをデータ取得部14へ出力する。さらに、トップシール機構90におけるサーボモータ92のトルクも、データ取得部14へ出力される。
【0060】
データ取得部14は、このようにして、光学センサ64、74、82、およびサーボモータ75、92から、状態を表す物理量である検出結果のデータを、タクト毎に取得する。タクトとは、複数の工程の各々が実施する処理の単位処理時間のことである。データ取得部14は、これら検出結果のデータを、データ蓄積部16へ出力し、記憶させる。
【0061】
データ蓄積部16は、データ取得部14から出力された検出結果のデータを記憶する。
【0062】
図2は、横ピロー包装機40の起動後に取得された検出結果の時間関係の一例を示す図である。図2は、データ蓄積部16に記憶された検出結果のデータのうちのいくつかを、例えば周期Tのタクト単位に時間軸を揃えて表示した図であり、横軸の単位はms(ミリ秒)である。
【0063】
すなわち、タクト#1において、横ピロー包装機40の制御が開始されると、制御部12から、サーボモータ75へとサーボラッチ信号が出力される。これに応じてサーボモータ75が駆動し、フィルム搬送機構(メイン)70からフィルム搬送機構(サブ)80へとフィルム71が送られることによって、光学センサ74によってレジマークが検出される。
【0064】
図2(a)に示すパルスは、光学センサ74から出力された検出信号に対応する。
【0065】
制御部12からは、その後、後工程のために、周期Tで規則的にサーボラッチ信号が出力されるので、光学センサ74からも周期Tで規則的に検出信号が出力される。
【0066】
ワーク搬送機構60では、フィルム搬送機構(メイン)70のタクト#1において光学センサ74によって検出されたレジマークと、フィルム搬送機構(メイン)70のタクト21において光学センサ74によって検出されたレジマークとの間に配置されるためのワーク50が、タクト#2において、光学センサ64によって検出される。
【0067】
図2(b)に示すパルスは、光学センサ64から出力された検出信号に対応する。この検出信号もまた、横ピロー包装機40が正常に連続動作していれば、その後、周期Tで、規則的に出力される。
【0068】
ワーク搬送機構60のタクト#2において検出されたワーク50は、フィルム搬送機構(サブ)80のタクト#6において、フィルム71の筒の中に、フィルム搬送機構(メイン)70のタクト#1において検出されたレジマークと、フィルム搬送機構(メイン)70のタクト#2において検出されたレジマークとの間に配置された状態で、光学センサ82によって検出される。
【0069】
(c)に示すパルスは、光学センサ82から出力された検出信号に対応する。この検出信号もまた、横ピロー包装機40が正常に連続動作していれば、その後、周期Tで、規則的に出力される。
【0070】
フィルム搬送機構(サブ)80においてタクト#6において検出されたワーク50は、トップシール機構90へ搬送され、タクト#9において、トップシールおよび切断がなされる。
【0071】
(d)に示す波形は、トップシール機構90のサーボモータ92のトルクの波形信号に対応する。波形の鋭いピークは、サーボモータ92にトルクがかけられている状態を示す。この鋭いピークもまた、横ピロー包装機40が正常に連続動作していれば、その後、周期Tで、規則的に発生する。
【0072】
前述したように、これら検出信号は、横ピロー包装機40が正常に連続動作していれば、何れもその後、周期Tで、規則的に発生するが、後工程側の機構ほど、同一のワーク50に対する検出信号の発生タイミングが遅くなる。
【0073】
特徴量導出部20は、データ蓄積部16に記憶されたこれら検出結果のデータに基づく分析を行い、予め定められた特徴の値である特徴量を導出し、導出した特徴量を異常判定部22へ出力する。限定される訳ではないが、特徴量としては例えば、サーボラッチ信号の立ち上がりから、光学センサ82の検出信号の立ち上がりまでの経過時間がある。
【0074】
図3は、図9(a)および図10のように、正常状態のワーク50について検出されたサーボラッチ信号Sと、光学センサ82による検出信号Wとの時間関係を示す模式図である。図3は、図2(a)と図2(c)との時間関係を示す模式図とも理解される。
【0075】
ワーク50が正常状態であれば、サーボラッチ信号Sの立ち上がりから、光学センサ82による検出信号Wの立ち上がりまでの時間である経過時間Tdは、何れのタクトでも一定である。
【0076】
図4に示す最初のタクトは、図9(b)に示すように、前方ずれのワーク50について検出されたサーボラッチ信号Sと、光学センサ82による検出信号Wとの時間関係を示している。前方ずれのワーク50は、正常状態におけるワーク50よりも早く検出されるので、正常状態において検出される経過時間Tdよりも短い経過時間Tdとなる。なお、2番目以降のタクトは、ワーク50が正常状態であり、経過時間がTdになっていることを示している。
【0077】
図5に示す最初のタクトは、図9(c)に示すように、後方ずれのワーク50について検出されたサーボラッチ信号Sと、光学センサ82による検出信号Wとの時間関係を示している。後方ずれのワーク50は、正常状態におけるワーク50よりも遅れて検出されるので、正常状態において検出される経過時間Tdよりも長い経過時間Tdとなる。なお、2番目以降のタクトは、ワーク50が正常状態であり、経過時間がTdになっていることを示している。
【0078】
特徴量導出部20は、このような経過時間を、特徴量として異常判定部22へ出力する。
【0079】
異常判定部22は、特徴量導出部20から出力された経過時間に対して、先ず、前方ずれであるか否かを判定し、次に、後方ずれであるか否かを判定する。
【0080】
このため、異常判定部22は、特徴量導出部20から出力された経過時間を、前方ずれ用に予め定められ、異常判定部22に記憶されているしきい値th1_forwardと比較する。そして、経過時間が、しきい値th1_forwardよりも短い場合、前方ずれであると判定する。
【0081】
また、前方ずれと判定されなかった場合、異常判定部22は、この経過時間を、後方ずれ用に予め定められ、異常判定部22に記憶されているしきい値th1_backと比較する。そして、経過時間が、しきい値th1_backよりも長い場合、後方ずれであると判定する。
【0082】
異常判定部22は、前方ずれまたは後方ずれを判定すると、フィルム搬送機構(サブ)80において「製品位置ずれ」が発生していると判定し、検知場所(フィルム搬送機構(サブ)80)、異常内容(製品位置ずれ)、および発生タクト(例えば、タクト#6)を含む判定結果を、制御指示部24へ出力する。
【0083】
なお、上記では、特徴量導出部20が、データ蓄積部16に記憶されたデータの物理量に基づく分析を行い、特徴量を導出し、異常判定部22が、特徴量に基づいて異常の発生の有無を判定する例について説明した。しかしながら、異常判定部22は、特徴量に基づくことなく、データ蓄積部16に記憶されたデータの物理量を直接使用して異常の発生の有無を判定するようにしても良い。
【0084】
制御指示部24は、異常判定部22から、前方ずれとの判定結果が出力されると、このワーク50に対してトップシール機構90が、トップシールや切断といった処理を実施しないように、3タクト後におけるトップシール機構90の動作を停止させる予防的な制御を実施するための制御情報を生成し、制御部12へ出力する。なぜなら、図2(c)および図2(d)に示すように、光学センサ82において検出されたワーク50は、3タクト後にトップシール機構90へ搬送されるからである。
【0085】
一方、制御指示部24は、異常判定部22から、後方ずれとの判定結果が出力されると、このワーク50に対してトップシール機構90がトップシールや切断といった処理を実施しないように、4タクト後におけるトップシール機構90の動作を停止させる予防的な制御を実施するための制御情報を生成し、制御部12へ出力する。なぜなら、前述したように、光学センサ82において検出されたワーク50は、3タクト後にトップシール機構90へ搬送されるが、後方ずれの場合、その次のタクトである4タクト後にトップシール機構90においてトップシールや切断といった処理がなされるからである。
【0086】
制御部12は、制御指示部24から出力された制御情報を、トップシール機構90へ出力する。これによって、前方ずれまたは後方ずれをしているワーク50は、トップシール機構90へ搬送されても、トップシールや切断といった処理がなされず、横ピロー包装機40から排出される。トップシール機構90は、次のタクトからはまた通常通り動作する。
【0087】
前方ずれも後方ずれもしていると判定されなかった場合、異常判定部22は、制御指示部24へ、何ら判定結果を出力しない。この場合、トップシール機構90は、通常通り動作する。
【0088】
次に、以上のように構成した本実施形態に係る制御装置10によって横ピロー包装機40を制御する際の動作について説明する。
【0089】
先ず、データ取得時の動作例を、図6に示すフローチャートを用いて説明する。
【0090】
横ピロー包装機40を起動させるために、制御部12から、各サーボモータ62、75、83、92およびデータ蓄積部16に対して、一定の周期Tでサーボラッチ信号が出力される(S1)。サーボモータ62、75、83、92は、サーボラッチ信号の間隔に応じて駆動する。また、データ蓄積部16には、サーボラッチ信号が出力された時間情報が記憶される。
【0091】
このようにサーボモータ62、75、83、92が、サーボラッチ信号に従って駆動されることによって、横ピロー包装機40が起動され、ワーク50およびフィルム71が、後工程へ搬送される(S2)。
【0092】
これに応じて、フィルム搬送機構(メイン)70では、光学センサ74によってフィルム71のレジマークが検出される。また、サーボモータ75のトルクが検出される。ワーク搬送機構60では、光学センサ64によってワーク50が検出される。さらに、フィルム搬送機構(サブ)80では、光学センサ82によってワーク50が検出される。これら検出結果のデータは常時、データ取得部14へ出力される(S3)。
【0093】
これら検出結果のデータはさらに、データ取得部14によってデータ蓄積部16へ出力され、データ蓄積部16に記憶される(S4)。
【0094】
次に、ワークずれ判定時の動作例を、図7に示すフローチャートを用いて説明する。
【0095】
特徴量導出部20では、データ蓄積部16に記憶されたこれら検出結果のデータに基づく分析が行われ、特徴量が導出される。以下では、特徴量導出部20が、特徴量として、制御部12からのサーボラッチ信号の立ち上がりから、光学センサ82による検出信号の立ち上がりまでの経過時間を算出した場合を例に説明する。
【0096】
特徴量導出部20では、データ蓄積部16に記憶されている検出結果のデータに基づいて、サーボラッチ信号Sの立ち上がりから、光学センサ82による検出信号Wが検出されるまでの経過時間が算出される(S10)。算出された経過時間は、特徴量として、異常判定部22へ出力される。
【0097】
異常判定部22では、特徴量導出部20から出力された経過時間が、前方ずれ用に予め定められたしきい値th1_forwardと比較される(S11)。そして、経過時間が、しきい値th1_forwardよりも短い場合(S11:Yes)、ワーク50が、図9(b)のように前方ずれをしていると判定される。そして、この判定結果が、異常判定部22から、制御指示部24へと出力される。
【0098】
異常判定部22から制御指示部24へと前方ずれとの判定結果が出力されると、制御指示部24によって、3タクト後のトップシール機構90の動作を停止させる予防的な制御を実施するための制御情報が生成され、制御部12へ出力される。さらにこの制御情報が、制御部12からトップシール機構90へ出力される(S12)。これによって、前方ずれをしているワーク50は、トップシール機構90へ搬送されても、トップシールや切断といった処理がなされず、横ピロー包装機40から排出される。このようにして、ワーク50の前方ずれに起因するトップシール機構90における噛み込みが阻止される。その後、トップシール機構90では、次のタクトからまた通常の動作が行われる。
【0099】
一方、異常判定部22では、ステップS11において、経過時間が、しきい値th1_forwardよりも短くない場合(S11:No)、経過時間が、後方ずれ用に予め定められたしきい値th1_backと比較される(S13)。そして、経過時間が、しきい値th1_backよりも長い場合(S13:Yes)、ワーク50が、図9(c)のように後方ずれをしていると判定される。そして、この判定結果が、異常判定部22から、制御指示部24へと出力される。
【0100】
異常判定部22から制御指示部24へと後方ずれとの判定結果が出力されると、制御指示部24によって、4タクト後のトップシール機構90の動作を停止させる予防的な制御を実施するための制御情報が生成され、制御部12へ出力される(S14)。これによって、後方ずれをしているワーク50は、トップシール機構90へ搬送されても、トップシールや切断といった処理がなされず、横ピロー包装機40から排出される。このようにして、ワーク50の後方ずれに起因するトップシール機構90における噛み込みが阻止される。その後、トップシール機構90では、次のタクトからまた通常の動作が行われる。
【0101】
さらに、異常判定部22では、ステップS13において、経過時間が、しきい値th1_backよりも長くない場合(S13:No)、すなわち、前方ずれも後方ずれもしていると判定されなかった場合、異常判定部22から制御指示部24へは判定結果は何ら出力されない。これによって、トップシール機構90は、通常通りの動作を継続する(S15)。
【0102】
上述したように、本実施形態によれば、噛み込みの要因となるワーク50の前方ずれまたは後方ずれを検出した場合には、噛み込みを回避するための予防的な制御を行うことによって、横ピロー包装機40の運転を継続させながら、噛み込みを回避することができる。
【0103】
これによって、横ピロー包装機40の稼働率を高く維持することが可能となる。
【0104】
(第2の実施形態)
第2の実施形態は、第1の実施形態を一部変形したものであるので、以下では、第1の実施形態と異なる点について説明し、重複説明を避ける。
【0105】
すなわち、第1の実施形態では、ワーク50のずれ判定のために光学センサ82による検出結果のデータを利用する例について説明したが、本実施形態では、光学センサ82に代えて、カメラ(図示せず)による撮像結果を利用する。
【0106】
再び図3を用いて説明するように、ワーク50のずれがない正常状態である場合、光学センサ82は、サーボラッチ信号Sの立ち上がりから時間Td後に、ワーク50の検出を開始する。このように、正常状態である場合、サーボラッチ信号Sの立ち上がりから、前述したワーク50の平面中心点が到着するまでの時間(Td+Tw/2)は知られている。ここで、時間Twは、検出信号Wのパルス幅に相当する。
【0107】
したがって、正常状態である場合、サーボラッチ信号Sの立ち上がり時間から、時間(Td+Tw/2)後に、光学センサ82の代わりに設置されたカメラによってワーク50を撮像すると、図9(a)のような画像が得られる。
【0108】
一方、前方ずれをしているワーク50を撮像すると、図9(b)のような画像が得られ、後方ずれをしているワーク50を撮像すると、図9(c)のような画像が得られる。
【0109】
これら画像データは、データ取得部14が取得し、さらにデータ蓄積部16に蓄積させる。
【0110】
特徴量導出部20は、これら画像データから、ワーク50の平面中心点の、所定位置からの変位量((ワーク50の平面中心点の座標)−(所定位置の座標))を算出する。
【0111】
たとえば、図9(a)のように正常状態であれば、ワーク50の平面中心点と、所定位置(破線Aと破線Bとの交点)とは一致しているので変位量はゼロである。
【0112】
一方、図9(b)のような前方ずれの状態であれば、ワーク50の平面中心点は、所定位置よりも、X軸における正方向側(後工程側)にあるので、変位量は正の値となる。逆に、図9(c)のような後方ずれの状態であれば、ワーク50の中心位置は、所定位置よりも、X軸における逆方向側(前工程側)にあるので、変位量は負の値となる。
【0113】
特徴量導出部20は、このような変位量を、特徴量として異常判定部22へ出力する。
【0114】
異常判定部22は、変位量が正の値であれば、変位量を、前方ずれ用に予め定められたしきい値th2_forward(正の値)と比較する。そして、変位量が、しきい値th2_forwardよりも大きい場合、ワーク50が、図9(b)のように前方ずれをしていると判定する。そして、判定結果を、制御指示部24へ出力する。
【0115】
一方、異常判定部22は、変位量が負の値であれば、変位量の絶対値を、後方ずれ用に予め定められたしきい値th2_back(正の値)と比較する。そして、変位量の絶対値が、しきい値th2_backよりも大きい場合、ワーク50が、図9(c)のように後方ずれをしていると判定する。そして、判定結果を、制御指示部24へ出力する。なお、しきい値th2_forward(正の値)と、しきい値th2_back(正の値)とは、同じ値であっても、異なる値であっても良い。
【0116】
制御指示部24は、異常判定部22から出力された判定結果に応じて、第1の実施形態で説明したように制御情報を生成し、制御部12へ出力する。制御部12は、この制御情報を、トップシール機構90へ出力する。
【0117】
このような構成によっても、制御装置10は、第1の実施の形態と同様に、噛み込みの要因となるワーク50の前方ずれまたは後方ずれを検出した場合には、噛み込みを回避するための予防的な制御を行うことによって、横ピロー包装機40の運転を継続させながら、噛み込みを回避することができる。
【0118】
これによって、横ピロー包装機40の稼働率を高く維持することが可能となる。
【0119】
(変形例)
上記各実施形態では、トップシール機構90においてなされる予防的な制御を実施するためのタイミングを、タクトをカウントすることによって決定しているが、本変形例では、それに代えて、時間をカウントすることによって決定する。
【0120】
そのために、制御指示部24は、光学センサ82によって検出されたワーク50が、トップシール機構90まで搬送されるために要する時間(搬送時間t)を予め把握しておく。次に、異常判定部22によって、前方ずれまたは後方ずれがあると判定された場合、制御指示部24は、時間(t−α)後から、時間(t+α)を経過するまで、トップシール機構90の動作を停止させるための制御情報を生成する。なお、αは、期間を表す定数であり、0<α<tの関係を有する。
【0121】
定数αは、ワーク50の搬送方向に沿った長さ、搬送速度、前方ずれおよび後方ずれの量に応じて、適切に決定される。
【0122】
定数αの値が大きすぎると、前方ずれまたは後方ずれをしているワーク50のみならず、その前後の正常状態のワーク50も、トップシール機構90において処理がなされないまま、トップシール機構90を通過させてしまう恐れがある。これは歩留まりの低下をもたらす。
【0123】
逆に、定数αの値が小さすぎると、前方ずれまたは後方ずれをしているワーク50を回避することなく、トップシール機構90においてトップシールおよび切断がなされてしまい、噛み込みが生じる恐れもある。
【0124】
定数αを適切な値に設定することによって、横ピロー包装機40の運転を継続させながら、前方ずれまたは後方ずれをしているワーク50に対するトップシール機構90の動作を選択的に停止させ、トップシール機構90における噛み込みを回避することができる。その結果、横ピロー包装機40の稼働率を高く維持することが可能となる。
【0125】
以上のように、予防的な制御を実施するためのタイミングの決定方式として、タクトをカウントする方式ではなく、時間をカウントする方式によって代替することも可能である。
【0126】
以上、本発明を実施するための最良の形態について、添付図面を参照しながら説明したが、本発明はかかる構成に限定されない。特許請求の範囲の発明された技術的思想の範疇において、当業者であれば、各種の変更例及び修正例に想到し得るものであり、それら変更例及び修正例についても本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0127】
(付記1)
被包装物を搬送するための搬送機構を含む包装機を制御するための制御装置であって、ハードウェアプロセッサを備え、
前記ハードウェアプロセッサは、
前記被包装物の位置を検出するセンサから、前記搬送機構における被包装物の搬送位置を表す位置検出情報を取得し、
前記取得された位置検出情報に基づいて、前記被包装物の所定位置からの搬送方向に対するずれ方向を判定し、
前記センサによる位置検出がなされた前記被包装物に対して、前記センサによる位置検出がなされた工程よりも後工程の実施を、前記判定部によって判定されたずれ方向に基づいて制御するように構成された、制御装置。
【0128】
(付記2)
被包装物を搬送するための搬送機構を含む包装機を制御するための制御装置であって、ハードウェアプロセッサを備え、
前記ハードウェアプロセッサは、
前記被包装物を検出するセンサから、前記搬送機構における被包装物の搬送タイミングを表す搬送タイミング検出情報を取得し、
前記取得部によって取得された搬送タイミング検出情報に基づいて、予め設定された基準時点から、前記センサによって前記被包装物が検出されるまでの経過時間を求め、前記経過時間に基づいて、前記被包装物の所定位置からのずれ方向を判定し、
前記センサによる検出がなされた前記被包装物に対して、前記センサによる検出がなされた工程よりも後工程の実施を、前記判定部によって判定されたずれ方向に基づいて制御するように構成された、制御装置。
【0129】
(付記3)
被包装物を搬送するための搬送機構を含む包装機を制御するための制御方法であって、
ハードウェアプロセッサを用いて、前記被包装物の位置を検出するセンサから、前記搬送機構における被包装物の搬送位置を表す位置検出情報を取得し、
前記取得された位置検出情報に基づいて、前記ハードウェアプロセッサを用いて前記被包装物の所定位置からの搬送方向に対するずれ方向を判定し、
前記センサによる位置検出がなされた前記被包装物に対して、前記センサによる位置検出がなされた工程よりも後工程の実施を、前記判定部によって判定されたずれ方向に基づいて、前記ハードウェアプロセッサを用いて制御する、制御方法。
【0130】
(付記4)
被包装物を搬送するための搬送機構を含む包装機を制御するための制御方法であって、
前記被包装物を検出するセンサから、ハードウェアプロセッサを用いて前記搬送機構における被包装物の搬送タイミングを表す搬送タイミング検出情報を取得し、
前記取得された搬送タイミング検出情報に基づいて、前記ハードウェアプロセッサを用いて、予め設定された基準時点から、前記センサによって前記被包装物が検出されるまでの経過時間を求め、前記経過時間に基づいて、前記被包装物の所定位置からのずれ方向を判定し、
前記ハードウェアプロセッサを用いて、前記センサによる検出がなされた前記被包装物に対して、前記センサによる検出がなされた工程よりも後工程の実施を、前記判定部によって判定されたずれ方向に基づいて制御する、制御方法。
【符号の説明】
【0131】
10 制御装置、12 制御部、14 データ取得部、16 データ蓄積部、20 特徴量導出部、22 異常判定部、24 制御指示部、40 横ピロー包装機、50 ワーク、60 ワーク搬送機構、61 エンドレスチェーン、62 サーボモータ、63 押送フィンガ、64 光学センサ、65 ワーク乗り上げセンサ、66、67 スプロケット、70 フィルム搬送機構(メイン)、71 フィルム、72 ロール、74 光学センサ、75 サーボモータ、80 フィルム搬送機構(サブ)、82 光学センサ、83 サーボモータ、90 トップシール機構、92 サーボモータ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10