(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6583351
(24)【登録日】2019年9月13日
(45)【発行日】2019年10月2日
(54)【発明の名称】キャビンヒーター用排気装置
(51)【国際特許分類】
B60H 1/22 20060101AFI20190919BHJP
B60K 13/04 20060101ALI20190919BHJP
B66C 13/52 20060101ALI20190919BHJP
【FI】
B60H1/22 631Z
B60K13/04 B
B66C13/52 A
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2017-113587(P2017-113587)
(22)【出願日】2017年6月8日
(65)【公開番号】特開2018-203171(P2018-203171A)
(43)【公開日】2018年12月27日
【審査請求日】2018年5月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】000246273
【氏名又は名称】コベルコ建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120329
【弁理士】
【氏名又は名称】天野 一規
(74)【代理人】
【識別番号】100159581
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 勝誠
(74)【代理人】
【識別番号】100159499
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 義典
(74)【代理人】
【識別番号】100158540
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 博生
(74)【代理人】
【識別番号】100106264
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 耕治
(74)【代理人】
【識別番号】100187768
【弁理士】
【氏名又は名称】藤中 賢一
(74)【代理人】
【識別番号】100139354
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 昌子
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 恵理
(72)【発明者】
【氏名】木村 康正
(72)【発明者】
【氏名】西嶋 浩司
【審査官】
安島 智也
(56)【参考文献】
【文献】
特開2009−196477(JP,A)
【文献】
特開2016−125432(JP,A)
【文献】
国際公開第2013/011665(WO,A1)
【文献】
米国特許第4192457(US,A)
【文献】
米国特許第4976463(US,A)
【文献】
米国特許出願公開第2007/0245725(US,A1)
【文献】
仏国特許発明第1193308(FR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60H 1/22
B60K 13/04
B66C 13/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料の燃焼熱によって建設機械のキャビン内の空気を暖めるキャビンヒーター用の排気装置であって、
上記キャビンヒーターの燃焼排ガスを案内する排気管が接続されるチャンバーを備え、
上記排気管が上記チャンバーの内部に突出し、
上記チャンバーが、外気を取り入れる吸気口と、上記排気管における燃焼排ガスの流れ方向下流側に形成され、上記排気管から導入される燃焼排ガス及び上記吸気口から取り入れる外気を外部に排出する排気口とを有し、
上記チャンバーが、上記排気管が接続される導入壁と、上記吸気口と上記排気口との間に配設される隔壁とを有し、
上記隔壁の上記排気管側の端部が上記導入壁に向かって屈曲していることを特徴とするキャビンヒーター用排気装置。
【請求項2】
上記吸気口及び上記排気口が上記導入壁と略垂直な面内に開口する請求項1に記載のキャビンヒーター用排気装置。
【請求項3】
上記チャンバーが、上記排気管の前方に配置され、法線方向が上記排気管と上記排気口との間に向かう方向である平板状の衝突壁をさらに有する請求項1又は請求項2に記載のキャビンヒーター用排気装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キャビンヒーター用排気装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば自動車の車室、船舶の船室等のキャビンの暖房は、動力源であるエンジンの熱を利用して行われることが多い。しかしながら、エンジン停止時やエンジン始動直後には、キャビンの暖房にエンジンの熱を利用することができない。このため、エンジンとは別に、燃料の燃焼熱によってキャビン内の空気を暖めるキャビンヒーターを別途設ける場合がある。
【0003】
燃焼排ガスを直接キャビン内に放出すると酸欠を引き起こすため、キャビンヒーターは、例えば特開2003−127649号公報に記載されるように、燃焼排ガスとキャビン内の空気との間で熱交換を行って、燃焼排ガスをキャビンの外部に排気するよう構成される。
【0004】
キャビンヒーターの燃焼排ガスは、キャビン内の空気と熱交換を行った後も例えば200℃程度の高い温度を有する。このため、キャビンヒーターの燃焼排ガス又は燃焼排ガスを案内する排気管に人が触れると火傷を負うおそれがある。そこで、キャビンヒーターの燃焼排ガスの排気管の先端には、人が触れることができないよう排気カバーが設けられる。しかしながら、そのような排気カバーも、それ自体が高温となり、触れた人に火傷を負わせたり、輻射熱によって周囲の電子機器等に悪影響を与えたりするおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−127649号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記実情に鑑みて、本発明は、キャビンヒーターの燃焼排ガスの温度を低下させられるキャビンヒーター用排気装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するためになされた本発明に係るキャビンヒーター用排気装置は、燃料の燃焼熱によって建設機械のキャビン内の空気を暖めるキャビンヒーター用の排気装置であって、上記キャビンヒーターの燃焼排ガスを案内する排気管が接続されるチャンバーを備え、上記排気管が上記チャンバーの内部に突出し、上記チャンバーが、外気を取り入れる吸気口と、上記排気管における燃焼排ガスの流れ方向下流側に形成され、上記排気管から導入される燃焼排ガス及び上記吸気口から取り入れる外気を外部に排出する排気口とを有することを特徴とする。
【0008】
当該キャビンヒーター用排気装置は、上記排気管から上記チャンバー内に導入される燃焼排ガスの流れによって上記吸気口から上記チャンバー内に外気を吸い込んで、燃焼排ガスに外気を混合することにより温度を低下させたガスを上記排気口から外部に放出する。このように、当該キャビンヒーター用排気装置は、外気で希釈してキャビンヒーターの燃焼排ガスの温度を低下させるので、上記チャンバーから外部に放出する排ガスに人が触れても火傷しない。
【0009】
当該キャビンヒーター用排気装置において、上記チャンバーが上記排気管が接続される導入壁を有し、上記吸気口及び上記排気口が上記導入壁と略垂直な面内に開口してもよい。この構成によれば、当該キャビンヒーター用排気装置は、上記チャンバー内で燃焼排ガスを屈曲させて外部に放出するので、ベンチュリー効果を促進して吸気口から外気を効率よく吸い込むことができ、且つ吸い込んだ外気と燃焼排ガスとを効率よく混合することができる。
【0010】
当該キャビンヒーター用排気装置において、上記チャンバーが、上記排気管の前方に配置され、法線方向が上記排気管と上記排気口との間に向かう方向である平板状の衝突壁をさらに有してもよい。この構成によれば、外気を随伴する燃焼排ガスが上記衝突壁に衝突することで、より確実に外気と燃焼排ガスとを混合することができる。
【0011】
当該キャビンヒーター用排気装置において、上記吸気口と上記排気口との間に配設される隔壁を有してもよい。この構成によれば、排気口から排気される燃焼排ガスと外気との混合ガスが吸気口から吸い込まれる外気と干渉することを防止して、十分な外気を吸引することができるので、効率よく燃焼排ガスの温度を低下させられる。
【0012】
当該キャビンヒーター用排気装置において、上記隔壁の先端が上記導入壁に向かって屈曲していてもよい。この構成によれば、ベンチュリー効果を促進することができるので、吸引する外気の量を増大して燃焼排ガスの温度をより低下させることができる。
【発明の効果】
【0013】
以上のように、本発明に係るキャビンヒーター用排気装置は、キャビンヒーターの燃焼排ガスの温度を低下させられる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の一実施形態のキャビンヒーター用排気装置を有する暖房システムを備える建設機械を示す模式的側面図である。
【
図2】
図1の建設機械の暖房システムを示す模式的側面図である。
【
図3】
図2のキャビンヒーター用排気装置の模式的断面図である。
【
図4】本発明に係る排気装置の表面温度のシミュレーション結果を示す図である。
【
図5】本発明に係る排気装置の内部のガス温度のシミュレーション結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、適宜図面を参照しつつ、本発明の実施の形態を詳説する。
【0016】
[建設機械]
図1に、本発明の一実施形態に係るキャビンヒーター用排気装置を備える建設機械を示す。より詳しくは、
図1の建設機械は、クローラークレーンである。
【0017】
図1のクローラークレーンは、自走可能な下部走行体1と、この下部走行体1の上に水平方向に旋回可能に設けられる上部旋回体2とを備える。下部走行体1は、走行装置として一対のクローラー3を有する。上部旋回体2は、運転手が搭乗するキャビン(操縦室)4を有し、前部にクレーンアタッチメント(作業具)5が傾動可能に設けられる。このクローラークレーンは、キャビン4内の空気を暖める暖房システム6を備える。
【0018】
<暖房システム>
暖房システム6は、
図2に示すように、キャビン4内に配設され、燃料の燃焼熱によってキャビン4内の空気を暖めるキャビンヒーター7と、キャビンヒーター7の燃焼排ガスを冷却しつつ排気するためにキャビン4の外側(床下)に配設される本発明の一実施形態に係る排気装置8とを備える。
【0019】
より詳しくは、暖房システム6は、キャビンヒーター7が燃焼用空気を吸入するための吸気管9、キャビンヒーター7から燃焼排ガスを案内してキャビン4の外に排気するための排気管10、キャビンヒーター7がキャビン4内の空気を取り入れるための吸気フィルター11、及びキャビンヒーター7が暖めた空気をキャビン4内に放出するための温風ダクト12と、キャビンヒーター7に不図示の燃料ポンプから燃料を供給するための燃料配管13と、キャビンヒーター7に電源を供給すると共に制御信号を入出力するための電装ケーブル14とを有する。
【0020】
(キャビンヒーター)
キャビンヒーター7は、吸気フィルター11から取り入れて温風ダクト12から放出するキャビン4内の空気の流路と、吸気管9から吸入した燃焼用空気と燃料配管13から供給される燃料とを混合して燃焼させることにより生じる燃焼排ガスの流路とが分離されており、キャビン4内の空気と燃焼排ガスとの間で熱交換を行うよう構成される。
【0021】
このようなキャビンヒーター7としては、例えばベバスト社の燃焼式ヒーター等を用いることができる。
【0022】
キャビンヒーター7は、キャビン4内の座席の下側や座席の背後のデッドスペースに配設することが好ましい。
【0023】
(排気装置)
排気装置8は、
図3に示すように、排気管10が接続されるチャンバー15を備える。排気管10は、チャンバー15の内部に突出するよう接続される。
【0024】
チャンバー15は、外気を取り入れる吸気口16と、排気管10から導入される燃焼排ガス及び吸気口16から取り入れる外気を外部に排出する排気口17とを有する。本実施形態におけるチャンバー15は、底部が開放されたフード状に形成され、底部の開口を2つに区分することによって吸気口16と排気口17とが形成されている。このチャンバー15において、吸気口16は、排気口17よりも排気管10における燃焼排ガスの流れ方向上流側に配置される。
【0025】
より詳しく説明すると、チャンバー15は、鉛直に配置され、排気管10が接続される方形状の導入壁18と、この導入壁18の上縁から略垂直に延出する方形状の天壁19と、この天壁19の先端縁から下方且つ導入壁18と反対側に傾斜して延出する方形平板状の衝突壁20と、衝突壁20の先端縁から下方に、導入壁の下縁と略等しい高さまで延出する端壁21と、導入壁18の両側縁からそれぞれ延出し、天壁19、衝突壁20及び端壁21の側縁に接続される五角形状の一対の側壁22とを有する。また、チャンバー15は、一対の側壁22間に配設され、吸気口16と排気口17と区分する隔壁23をさらに有する。また、チャンバー15の天壁19の上面には、排気管10を保持するブラケット24が設けられている。
【0026】
チャンバー15の材質としては、例えばメッキ鋼板、ステンレス鋼板等を用いることができる。また、チャンバー15を構成する材料の板厚としては、例えば1.2mm以上2.0mm以下とすることができる。また、チャンバー15は、直接人が触れることができないよう、外側を保温材で覆ってもよい。
【0027】
導入壁18の高さとしては、例えば15cm以上30cm以下とすることができる。導入壁18の幅としては、例えば5cm以上20cm以下とすることができる。天壁19の延出長さとしては、例えば3cm以上10cm以下とすることができる。導入壁18と端壁21との間隔としては、例えば15cm以上30cm以下とすることができる。
【0028】
当該排気装置8では、排気管10から吹き込まれる燃焼排ガスが、ベンチュリー効果により上流側の空気を吸い寄せることで、吸気口16からチャンバー15内に外気を吸い込み、この外気と燃焼排ガスとを混合することで排気温度を低下させる。
【0029】
排気管10の平均口径としては、例えば15mm以上30mm以下とすることができる。導入壁18から排気管10の先端までの距離は、排気管10から導入した燃焼排ガスが吸気口16側に流れることを防止して、吸気口16から確実に外気を吸引するために、導入壁18から隔壁23の上端までの距離と同程度以上とすることが好ましい。具体的には、排気管10のチャンバー15内への突出量としては、例えば導入壁18と端壁21との間隔の0.2倍以上0.5倍以下とすることができる。排気管10のチャンバー15内への突出量が上記下限に満たない場合、吸気口16を負圧にして外気を吸い込むことができないおそれがある。逆に、排気管10のチャンバー15内への突出量が上記上限を超える場合、チャンバー15内での燃焼排ガスの流れが乱れて吸気口16からの外気の吸い込みが不十分となるおそれがある。
【0030】
排気管10は、導入壁18の上部を貫通し、水平(導入壁18に対して垂直)又はやや下方(排気口17側)に傾斜して配設される。なお、排気管10は、暖房システム6を空間効率よく配設するために、導入壁18の水平方向中心からオフセットされていてもよい。具体的には、排気管10の導入壁18を貫通する部分における中心高さとしては、例えば導入壁18の高さの75%以上90%以下とすることができる。また、排気管10の水平方向に対する傾斜角度としては、例えば0°以上15°以下とすることができる。
【0031】
また、排気管10は、その前方(燃焼排ガスの流れ方向下流側の軸上)に衝突壁20が位置するよう配設されることが好ましい。これにより、排気管10からチャンバー15内に吹き出された燃焼排ガスが衝突壁20に衝突し、燃焼排ガスが撹拌されることにより、燃焼排ガスを吸気口16から吸い込んだ外気と効率よく混合することができる。
【0032】
衝突壁20の傾斜は、その法線方向が排気管10と排気口17との間に向かう方向とされる。これにより、排気管10から排気口17までの燃焼排ガスの流路抵抗が大きくなり過ぎず、燃焼排ガスの流速を保持してベンチュリー効果による外気の吸引効率を大きくすることができる。具体的な衝突壁の天壁19に対する傾斜角度としては、例えば30°以上60°以下、典型的には45°とすることができる。
【0033】
隔壁23は、チャンバー15の下部開口を2つに分割して吸気口16と排気口17とを画定すると共に、チャンバー15内の下部空間を2つに分割して、下端に吸気口16を有し、排気管10に向かって延びる吸気流路と、下端に排気口17を有し、上端に衝突壁20を有する排気流路とを画定する。排気口17は、排気管10から導入される燃焼排ガスと吸気口16から吸入される外気とが通過するため、吸気口16の開口面積よりも排気口17の開口面積を大きくすることが望ましい。吸気口16の開口面積に対する排気口17の開口面積の比としては、例えば1.2以上2.0以下とすることができる。
【0034】
隔壁23は、チャンバー15の下端から鉛直に立ち上がるとよく、排気管10側の端部(上端部)が導入壁18に向かって屈曲していることが好ましい。隔壁の上端部を導入壁側に屈曲させることによって、排気管10から導入された直後の燃焼排ガスの下側への拡がりを抑制し、燃焼排ガスを排気口17に向かってスムーズに流すことで、ベンチュリー効果による外気の吸引を促進することができる。
【0035】
隔壁23の鉛直部の高さとしては、吸気口16から吸入した外気の流れ及び排気口17から排出する燃焼排ガスと外気との混合ガスの流れをスムーズにするために、例えばチャンバー15の高さ(導入壁18の高さ)の0.3倍以上0.6倍以下とすることができる。隔壁23の鉛直部の高さが上記下限に満たない場合、燃焼排ガスと外気との混合ガスの流れが乱れて排気流路から吸気流路に流れ込むおそれがある。逆に、隔壁23の鉛直部の高さが上記上限を超える場合、吸気口16の負圧が小さくなるおそれがある。
【0036】
隔壁23の上端と排気管10との鉛直方向の間隔としては、例えば0.5cm以上3cm以下とすることができる。また、隔壁23の傾斜した上端部の長さとしては、例えばチャンバー15の高さの0.1倍以上0.3倍以下とすることができる。また、隔壁23の上端部の傾斜角度としては、例えば30°以上60°以下とすることができ、衝突壁20と略平行となることが好ましい。
【0037】
<利点>
当該排気装置8は、排気管10からチャンバー15内に導入される燃焼排ガスの流れにより生じるベンチュリー効果によって吸気口16からチャンバー15内に外気を吸い込み、チャンバー15内で燃焼排ガスに外気を混合することで温度を低下させてから排気口17から外部に放出する。このように、当該排気装置8は、外気で希釈してキャビンヒーターの燃焼排ガスの温度を低下させるので、チャンバー15から外部に放出する排ガスに人が触れても火傷しない。
【0038】
[その他の実施形態]
上記実施形態は、本発明の構成を限定するものではない。従って、上記実施形態は、本明細書の記載及び技術常識に基づいて上記実施形態各部の構成要素の省略、置換又は追加が可能であり、それらは全て本発明の範囲に属するものと解釈されるべきである。
【0039】
当該キャビンヒーター用排気装置において、排気管はチャンバーの内部に突出している必要があるが、排気管の本体がチャンバーの内部にまで延びている必要はなく、チャンバーの内部に突出する管体をチャンバーと一体化し、この管体の外側端部に排気管の本体を接続した構成としてもよい。また、隔壁は端部が傾斜していないものであってもよい。
【0040】
当該キャビンヒーター用排気装置において、吸気口と排気口とが異なる壁に配設されてもよい。例えば吸気口を導入壁に形成してもよく、排気口を端壁に形成してもよい。この場合、チャンバーは、底面を封止する底壁を有するものすることができる。
【0041】
当該キャビンヒーター用排気装置において、チャンバーは、衝突壁を有しないものであってもよい。また、衝突壁に替えて天壁と端壁とを接続するよう湾曲した壁を有してもよい。
【0042】
当該キャビンヒーター用排気装置において、吸気口及び排気口の配置によっては、隔壁を省略してもよい。また、当該キャビンヒーター用排気装置における隔壁は、一対の側壁間を横断するものに限られず、例えば吸気口の内周からチャンバー内に延びる筒体等であってもよい。また、当該キャビンヒーター用排気装置における隔壁は、チャンバー内の空間の少なくとも一部分を区分できるものであればよく、例えば筒状体の集合体等、板状でないものであってもよい。
【0043】
上記実施形態の説明では、その実施形態における上下関係を用いて説明したが、当該キャビンヒーター用排気装置におけるチャンバーの向きは任意であり、その向きに合わせて上記実施形態における方向を読み替えて理解しなければならない。
【実施例】
【0044】
以下、実施例に基づき本発明を詳述するが、この実施例の記載に基づいて本発明が限定的に解釈されるものではない。
【0045】
本発明の効果を確認するために、コンピューター上で本発明に係るキャビンヒーター用排気装置をモデリングし、排気管から燃焼排ガスを導入するシミュレーションを行って、キャビンヒーター用排気装置及びキャビンヒーター用排気装置内におけるガスの温度を確認した。
【0046】
キャビンヒーター用排気装置のモデルは、チャンバーの導入壁の幅が110mm、導入壁の高さが180mm、天壁の延出長さが60mm、衝突壁の傾斜角度が45°、導入壁と端壁との間隔が180mm、吸気口における導入壁と隔壁との間隔が65mm、隔壁の鉛直部の高さが100mm、上端部の長さが30mm、上端部の傾斜角度が45°、排気管の直径が28mm、排気管の突出量が55mmである。
【0047】
このモデルを用い、排気管から温度200℃の燃焼排ガスを2.56m/sの流速で導入するシミュレーションを行った。
図4に、チャンバー表面の温度分布を示し、
図5に、チャンバー内のガスの温度分布を示す。
【0048】
図示するように、本発明に係るキャビンヒーター用排気装置を用いることで、排ガス温度を約50℃以上100℃以下に低下させられることが確認できた。この温度であれば、排ガスによって火傷を生じさせる危険性は十分に小さいものと考えられる。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明に係るキャビンヒーター用排気装置は、建設機械等の車両用のキャビンヒーターの排気温度を低減するために特に好適に利用することができる。
【符号の説明】
【0050】
1 下部走行体
2 上部旋回体
3 クローラー
4 キャビン
5 クレーンアタッチメント
6 暖房システム
7 キャビンヒーター
8 排気装置
9 吸気管
10 排気管
11 吸気フィルター
12 温風ダクト
13 燃料配管
14 電装ケーブル
15 チャンバー
16 吸気口
17 排気口
18 導入壁
19 天壁
20 衝突壁
21 端壁
22 側壁
23 隔壁
24 ブラケット