特許第6583353号(P6583353)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6583353電子時計、日時取得制御方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6583353
(24)【登録日】2019年9月13日
(45)【発行日】2019年10月2日
(54)【発明の名称】電子時計、日時取得制御方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G04R 20/02 20130101AFI20190919BHJP
   G04G 5/00 20130101ALI20190919BHJP
   G04G 3/04 20060101ALI20190919BHJP
【FI】
   G04R20/02
   G04G5/00 J
   G04G3/04
【請求項の数】11
【全頁数】29
(21)【出願番号】特願2017-121094(P2017-121094)
(22)【出願日】2017年6月21日
(65)【公開番号】特開2019-7752(P2019-7752A)
(43)【公開日】2019年1月17日
【審査請求日】2018年5月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001443
【氏名又は名称】カシオ計算機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】特許業務法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松江 剛志
(72)【発明者】
【氏名】関塚 達也
【審査官】 榮永 雅夫
(56)【参考文献】
【文献】 特開2016−121983(JP,A)
【文献】 特開2016−176702(JP,A)
【文献】 特開昭61−771(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G04G 3/02 − 04
G04G 5/00
G04R 20/02 − 06
G04R 40/00 − 06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定周波数のクロック信号を出力する発振部と、
前記クロック信号の入力に応じて日時を計数する計時部と、
前記所定周波数の変化に係る温度を計測する温度計測部と、
測位衛星からの電波を受信する電波受信部と、
制御部と、
を備え、
前記制御部は、
前記温度計測部が計測する温度の履歴に基づいて前記計時部が計数する日時のずれ量を見積もり、
見積もられた前記ずれ量に基づいて前記計時部が計数する日時を修正し、
前記修正された日時に応じて想定符号列を生成して、当該想定符号列と前記電波受信部により受信された受信符号列との一致検出タイミングに基づいて現在日時を同定する予測受信取得を行う
ことを特徴とする電子時計。
【請求項2】
所定周波数のクロック信号を出力する発振部と、
前記クロック信号の入力に応じて日時を計数する計時部と、
前記所定周波数の変化に係る温度を計測する温度計測部と、
測位衛星からの電波を受信する電波受信部と、
制御部と、
を備え、
前記制御部は、
前記温度計測部が計測する温度の履歴に基づいて前記計時部が計数する日時のずれ量を見積もり、
前記計時部が計数する日時、見積もられた前記ずれ量及び前記電波受信部が受信した電波から得られる日時情報の一部分を組み合わせて現在日時を同定し、
前記ずれ量が所定の基準幅内にない場合には、受信符号列を解読して現在日時を取得する
ことを特徴とする電子時計。
【請求項3】
前記制御部は、前記ずれ量の見積もりに係る見積もり誤差の範囲内で前記現在日時の同定を行うことを特徴とする請求項1又は2記載の電子時計。
【請求項4】
前記制御部は、前記ずれ量に基づいて前記計時部が計数する日時を修正した場合には、前記電波受信部による電波受信頻度を所定の第1頻度以下とすることを特徴とする請求項記載の電子時計。
【請求項5】
前記制御部は、前記電波受信部による電波受信頻度を所定の第2頻度以下とし、
前記第1頻度は、前記第2頻度より低い
ことを特徴とする請求項記載の電子時計。
【請求項6】
外部から現在日時情報を取得する日時情報取得部を備え、
前記制御部は、前記日時情報取得部により現在日時情報を取得してから次に前記電波受信部により電波受信を行わせるまでの間隔を前記第1頻度に応じた第1間隔以上とすることを特徴とする請求項又は記載の電子時計。
【請求項7】
前記制御部は、前記発振部が出力するクロック信号と、前記電波受信部の動作に係る受信動作発振部のクロック信号とを比較して、前記発振部が出力するクロック信号の周波数ずれの大きさを検出し、当該周波数ずれを調整することを特徴とする請求項1〜のいずれか一項に記載の電子時計。
【請求項8】
所定周波数のクロック信号を出力する発振部と、前記クロック信号の入力に応じて日時を計数する計時部と、前記所定周波数の変化に係る温度を計測する温度計測部と、測位衛星からの電波を受信する電波受信部と、を備える電子時計の日時取得制御方法であって、
前記温度計測部が計測する温度の履歴に基づいて前記計時部が計数する日時のずれ量を見積もるずれ算出ステップ、
見積もられた前記ずれ量に基づいて前記計時部が計数する日時を修正する日時修正ステップ、
前記修正された日時に応じて想定符号列を生成して、当該想定符号列と前記電波受信部により受信された受信符号列との一致検出タイミングに基づいて現在日時を同定する日時同定ステップ、
を含むことを特徴とする日時取得制御方法。
【請求項9】
所定周波数のクロック信号を出力する発振部と、前記クロック信号の入力に応じて日時を計数する計時部と、前記所定周波数の変化に係る温度を計測する温度計測部と、測位衛星からの電波を受信する電波受信部と、を備える電子時計のコンピュータを、
前記温度計測部が計測する温度の履歴に基づいて前記計時部が計数する日時のずれ量を見積もるずれ算出手段、
見積もられた前記ずれ量に基づいて前記計時部が計数する日時を修正する日時修正ステップ、
前記修正された日時に応じて想定符号列を生成して、当該想定符号列と前記電波受信部により受信された受信符号列との一致検出タイミングに基づいて現在日時を同定する日時同定手段、
として機能させることを特徴とするプログラム。
【請求項10】
所定周波数のクロック信号を出力する発振部と、前記クロック信号の入力に応じて日時を計数する計時部と、前記所定周波数の変化に係る温度を計測する温度計測部と、測位衛星からの電波を受信する電波受信部と、を備える電子時計の日時取得制御方法であって、
前記温度計測部が計測する温度の履歴に基づいて前記計時部が計数する日時のずれ量を見積もるずれ算出ステップ、
前記計時部が計数する日時、見積もられた前記ずれ量及び前記電波受信部が受信した電波から得られる日時情報の一部分を組み合わせて現在日時を同定し、前記ずれ量が所定の基準幅内にない場合には、受信符号列を解読して現在日時を取得する日時取得ステップ、
を含むことを特徴とする日時取得制御方法。
【請求項11】
所定周波数のクロック信号を出力する発振部と、前記クロック信号の入力に応じて日時を計数する計時部と、前記所定周波数の変化に係る温度を計測する温度計測部と、測位衛星からの電波を受信する電波受信部と、を備える電子時計のコンピュータを、
前記温度計測部が計測する温度の履歴に基づいて前記計時部が計数する日時のずれ量を見積もるずれ算出手段、
前記計時部が計数する日時、見積もられた前記ずれ量及び前記電波受信部が受信した電波から得られる日時情報の一部分を組み合わせて現在日時を同定し、前記ずれ量が所定の基準幅内にない場合には、受信符号列を解読して現在日時を取得する日時取得手段、
として機能させることを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電子時計、日時取得制御方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子時計において、外部から日時情報を取得して現在日時を修正し、正確に維持する技術がある。日時の取得先としては、長波長帯の標準電波(タイムコード)や測位衛星からの航法メッセージなどが主に用いられている。また、近距離無線通信を用いてスマートフォンなどの携帯型端末から当該携帯型端末における測位や携帯電話の基地局との同期などにより取得された日時を取得する技術も用いられている。
【0003】
これらの各取得先からの日時取得動作には、それぞれ長所と短所がある。測位衛星からの日時情報の取得は、他の機器の有無によらず世界の各地で可能であるという長所に対し、測位衛星からの電波受信に要する消費電力が通常の日時の計数や表示に要する消費電力と比較して著しく大きいという短所がある。
【0004】
これに対し、測位衛星からの電波受信時間を短縮して効率的に日時情報を取得する種々の技術が考案されている。特許文献1には、電子時計で計数されている日時のずれが小さいと想定される場合に、予め受信されると想定される符号列(想定符号列)を誤同定の確率が十分に低い長さ(符号数)で生成し、想定符号列が受信されたタイミングに応じて正確な日時を取得することで、受信及び日時の取得に要する時間を短縮する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2017−009333号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、電子時計により計数されている日時を用いて日時の修正を行う場合には、確実に計数日時のずれが想定の範囲内に収まっていないと、かえって日時の取得に時間や手間を要したり、取得が困難になったりするという課題がある。
【0007】
この発明の目的は、より確実に効率的な日時取得を行うことのできる電子時計、日時取得制御方法及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明は、
所定周波数のクロック信号を出力する発振部と、
前記クロック信号の入力に応じて日時を計数する計時部と、
前記所定周波数の変化に係る温度を計測する温度計測部と、
測位衛星からの電波を受信する電波受信部と、
制御部と、
を備え、
前記制御部は、
前記温度計測部が計測する温度の履歴に基づいて前記計時部が計数する日時のずれ量を見積もり、
前記計時部が計数する日時、見積もられた前記ずれ量及び前記電波受信部が受信した電波から得られる日時情報の一部分を組み合わせて現在日時を同定する
ことを特徴とする電子時計である。
【発明の効果】
【0009】
本発明に従うと、電子時計において、より確実に効率的な日時取得を行うことができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第1実施形態の電子時計の機能構成を示すブロック図である。
図2】計数日時のずれ量と計測温度との対応関係の例を示す図である。
図3】GPS衛星から電波送信されている信号のフォーマットについて説明する図である。
図4】第1実施形態の電子時計で実行される衛星電波受信制御処理の制御手順を示すフローチャートである。
図5】第2実施形態の電子時計の機能構成を示すブロック図である。
図6】第2実施形態の電子時計で実行される衛星電波受信制御処理の制御手順を示すフローチャートである。
図7】第3実施形態の電子時計で実行される衛星電波受信制御処理の制御手順を示すフローチャートである。
図8】第4実施形態の電子時計で実行される衛星電波受信制御処理の制御手順を示すフローチャートである。
図9】第5実施形態の電子時計の機能構成を示すブロック図である。
図10】第5実施形態の電子時計で実行される衛星電波受信制御処理の制御手順を示すフローチャートである。
図11】第6実施形態の電子時計の機能構成を示すブロック図である。
図12】発振回路からのクロック信号の出力に係る構成を示す図である。
図13】第6実施形態の電子時計で実行される衛星電波受信制御処理の制御手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態の電子時計1の機能構成を示すブロック図である。
【0012】
電子時計1は、マイコン40と、衛星電波受信処理部50及びアンテナA1と、操作受付部61と、表示部62と、長波受信部63及びアンテナA2と、通信部64及びアンテナA3と、計測部65と、ROM66(Read Only Memory)と、電力供給部70などを備える。
【0013】
マイコン40は、電子時計1の全体動作を統括制御する。マイコン40は、CPU41(Central Processing Unit)と、RAM43(Random Access Memory)と、発振回路46(発振部)と、分周回路471と、計時回路472などを備える。
【0014】
CPU41は、各種演算処理を行って制御動作を行う。制御動作としては、通常の日時表示動作、現在日時情報の取得及び計時回路472が計数する日時の修正に係る各種制御動作に加え、電子時計1が有する各種機能に応じた動作、例えば、アラーム報知機能、タイマ機能、あるいはストップウォッチ機能などが含まれ得る。
【0015】
RAM43は、CPU41に作業用のメモリ空間を提供し、一時データを記憶する。RAM43には、現在位置などの設定された世界の地域における現在日時(地方時)を表示、利用する際のタイムゾーン設定や夏時間設定を含む地方時設定433、すなわち、UTC日時からの時差情報やその位置(都市)に係る情報が記憶されている。地方時設定433には、当該位置(都市)において受信可能な標準電波の有無や種別に係る情報が含まれる。
CPU41及びRAM43によりホスト制御部401が構成される。
【0016】
また、RAM43には、日時情報取得履歴情報431、温度計測履歴432及びペアリング設定434が記憶、保持される。日時情報取得履歴情報431は、過去に外部から取得された現在日時情報の取得先及びその取得日時の情報を含む。日時情報取得履歴情報431に記憶される取得先及び取得日時の情報は、少なくとも直近の一回記憶されるが、複数回記憶されても良い。また、日時情報取得履歴情報431には、取得を試みて失敗した場合の情報が含まれても良い。
【0017】
温度計測履歴432は、温度センサ652により計測された温度の過去所定時間分又は所定回数分の履歴データである。あるいは、温度計測履歴432として、後述の温度計時ずれ対応情報662に基づいて温度から換算された計時回路472の時間当たりのずれ量(単位ずれ量)の履歴が記憶されてもよい。ここでは、温度は10分に一回定期的に計測されて、当該温度又は換算された10分間あたりの単位ずれ量が記憶され、後述の衛星電波受信制御処理において積算ずれ量を算出する際に読み出されるまでの間保持される。
【0018】
ペアリング設定434は、通信部64を介して近距離無線通信により通信可能な外部機器の識別情報を保持する。近距離無線通信を行う場合には、このペアリング設定434の識別情報に基づいて当該識別情報で示される外部機器に対して通信接続の要求を送信する。
【0019】
発振回路46は、所定周波数、ここでは、例えば、32.768kHzの信号(クロック信号)を生成して出力する。クロック信号の生成には、例えば、水晶発振子などが用いられる。この水晶発振子は、マイコン40に対して外付けされてよい。この発振回路46から出力されるクロック信号の周波数は、外部環境、主に温度によって変化する。
【0020】
分周回路471は、発振回路46から入力されたクロック信号を設定された分周比で分周した分周信号を出力する。分周比の設定は、CPU41により変更されてよい。
計時回路472は、分周回路471から入力された所定の周波数の信号(クロック信号と同一周波数であってもよい)を計数することで現在の日時(時刻及び日付)を計数、保持する。計時回路472による日時の計数精度は、上述の発振回路46からのクロック信号の精度に依存し、すなわち、計時回路472が計数する日時は、計時時間(すなわち、入力された信号の計数回数)と周辺温度とに応じて正確な日時からのずれが変化し得る。CPU41は、衛星電波受信処理部50や通信部64が取得し、又は長波受信部63が受信した標準電波に応じて求められた現在日時に基づいて、計数されている日時を修正することが可能である。
分周回路471及び計時回路472により本実施形態の電子時計1における計時部47が構成される。
【0021】
衛星電波受信処理部50は、米国のGPS(Global Positioning System)といった衛星測位システム(GNSS;Global Navigation Satellite System)に係る測位衛星からの送信電波を受信、処理する受信動作を行って、現在日時や現在位置の情報を取得し、CPU41から要求された情報を所定のフォーマットでCPU41に出力する。衛星電波受信処理部50は、受信部51(電波受信部)と、モジュール制御部52と、記憶部53と、TCXO54(温度補償付水晶発振器;受信動作発振部)などを備える。
【0022】
受信部51は、受信対象の測位衛星からの送信電波を受信、検出してその測位衛星の識別及び送信信号の位相を同定する捕捉処理を行い、捕捉された測位衛星の識別情報及び位相に基づいて当該測位衛星からの送信電波を追尾して継続的に送信信号(航法メッセージ)を復調、取得する。
【0023】
モジュール制御部52は、CPUなどを備え、衛星電波受信処理部50の動作に係る各種制御を行う。モジュール制御部52は、マイコン40からの指示に従って適切なタイミングで測位衛星からの電波受信を受信部51により行わせ、後述の複数種類の現在日時の取得方法に応じた処理を行って必要な情報を取得し、現在日時の同定や現在位置の算出(すなわち、測位)を行う。
【0024】
記憶部53には、各種設定データや受信情報などの受信制御情報531と、衛星電波受信処理部50においてモジュール制御部52が実行する制御に係るプログラムなどが記憶される。設定データとしては、例えば、各測位衛星の航法メッセージのフォーマットデータや受信レベルを判別するための基準データ、後述のWNの周期設定データなどが含まれる。また、受信情報としては、例えば、取得されている各測位衛星の予測軌道情報(アルマナック)などが含まれる。また、設定データには、GPSに係る測位衛星(以降、GPS衛星と記す)から送信される日時とUTC日時(協定世界時)との間でうるう秒に係るずれを補正するための値(うるう秒補正値)が含まれる。ここでいうGPS衛星とは、GPS及びこれと同一の送信周波数で略同一のフォーマットにより航法メッセージを送信しているみちびきなどの補完衛星を含む。
【0025】
TCXO54は、衛星電波受信処理部50の各部の動作に係る所定の周波数のクロック信号を出力する。この周波数は、例えば、測位衛星からの電波の復調に係るC/Aコードの周波数(1.023MHz)などに応じて定められ(16MHz〜32MHzなど)、また、周辺温度などの影響を受けずに高精度かつ安定した周波数でクロック信号を出力する。
【0026】
操作受付部61は、ユーザ操作などの外部からの入力操作を受け付ける。操作受付部61は、押しボタンスイッチやりゅうずなどを備え、押しボタンスイッチの押下動作や、りゅうずの引き出し、回転及び押し戻しの各動作に応じた操作信号をCPU41に出力する。あるいは、操作受付部61は、タッチセンサなどを有していても良い。
【0027】
表示部62は、CPU41(マイコン40)の制御に基づいて各種情報の表示を行う。表示部62は、表示ドライバ622と、表示画面621などを備える。表示画面621は、例えば、セグメント方式若しくはドットマトリクス方式又はこれらの組み合わせによる液晶表示画面(LCD)などによりデジタル表示を行う。あるいは、表示部62として、表示画面621によるデジタル表示に代えて、指針及びこれを回転動作させるステッピングモータなどによる表示が可能な構成を有していても良い。表示ドライバ622は、CPU41からの制御信号に基づいて、表示画面621に表示を行わせるための駆動信号を表示画面621に出力する。
【0028】
長波受信部63は、アンテナA2を介して長波長帯(Low Frequency Band)で現在日時情報(時刻情報及び日付情報を含む)を含む信号(タイムコード)を送信している標準電波を受信、復調する。タイムコードは、1分周期で当該分の日時データが符号化されて送信されており、電子時計1では、複数回、例えば3回の受信結果(受信された符号列から取得された日時)の整合を確認することで正確な現在日時を取得する。したがって、受信状況が良好な場合には、一回当たりの受信動作時間は3分〜4分程度となる。
標準電波としては、日本国のJJY(登録商標)、米国のWWVB、英国のMSF及びドイツのDCF77などが広く用いられている。上述の地方時設定433に従って受信対象とする標準電波が決定され、又はいずれの標準電波の受信エリア内でもない場合には、これら標準電波を受信対象とされない。
【0029】
通信部64は、CPU41の制御に基づいて、アンテナA3を用いて外部の電子機器(外部機器)と近距離無線通信、ここでは、ブルートゥース(Bluetooth;登録商標)による通信(主にバージョン4.0などの低消費電力のものだがこれに限られない)を行うための各種動作を行う。通信部64は、定められた通信規格に基づく制御動作を行い、電子時計1に宛てた通信データを復調、取得してCPU41に出力し、通信相手の外部機器に宛てた通信データを変調して通信電波として出力させる。通信相手となる外部機器の識別情報は、上述のペアリング設定434に記憶保持され、通常では、通信部64が当該識別情報で示される外部機器に通信接続の要求を送信する。外部機器からは、現在日時情報を取得することができる。現在日時情報の取得を目的として通信を行う場合、外部機器と電子時計1との間では、通信接続の確立及び切断に係る制御信号の他では、現在日時情報の要求とその応答に係る信号程度のやりとりとなる。したがって、この場合の通信時間は1秒以下程度となり、通信量も非常に小さくなる。
【0030】
近距離無線通信による通信接続対象となる外部機器としては、特には限られないが、スマートフォンや携帯電話などの携帯型端末が主に用いられる。これらの外部機器の識別情報(ペアリング設定434)を予め保持しておくことで、電子時計1から通信接続の要求を行った場合に当該外部機器が通信可能な範囲で稼動していると、通信接続がなされる。
【0031】
計測部65は、物理量を計測するセンサを有し、当該センサによる計測値に応じた検出信号をCPU41に出力する。計測部65は、ここでは、光量センサ651と、温度センサ652(温度計測部)などを有する。
【0032】
光量センサ651は、例えば、表示部62の表示画面に並列配置されて設けられ、外部から照射される光量を計測する。この光量センサ651としては、例えば、フォトダイオードが用いられる。光量センサ651は、入射光量に応じた電気信号(電圧信号や電流信号)を出力し、この電気信号は、図示略のADC(アナログ/デジタル変換器)でデジタルサンプリングされてCPU41に入力される。
【0033】
温度センサ652は、ここでは、発振回路46の近傍の温度、すなわち、発振回路46が出力するクロック信号の周波数の変化に係る温度を計測するように配置される。温度センサ652としては、小型軽量の半導体センサが好ましく用いられる。温度センサ652は、計測温度に応じた電気信号を出力し、当該電気信号は、図示略のADCでデジタルサンプリングされてCPU41に出力される。なお、発振回路46の温度に換算可能であれば、温度センサ652は、CPU41などマイコン40の他の構成の影響が大きい位置の温度を計測したり、あるいは、外気に近い温度を計測したりしてもよい。
【0034】
ROM66は、CPU41が制御動作を実行するためのプログラム661や初期設定データなどを格納する。ROM66としては、マスクROMに加えて又は代えてデータの書き換え更新が可能なフラッシュメモリなどの不揮発性メモリを有していてもよい。プログラム661には、現在日時の取得に係る制御プログラムが含まれる。初期設定データには、温度計時ずれ対応情報662が含まれる。温度計時ずれ対応情報662は、温度センサ652の計測温度T[℃]と、計時回路472が計数する時間の単位ずれ量D[ppm]との対応関係を示す情報である。
【0035】
上記のうち、ホスト制御部401(CPU41、RAM43)及びモジュール制御部52により本実施形態の電子時計1における制御部(コンピュータ)が構成される。また、長波受信部63及びホスト制御部401により本実施形態の電子時計1における日時取得部が構成される。また、通信部64が日時取得部に含まれていてもよい。
【0036】
図2は、本実施形態の電子時計1で計時回路472が計数する日時のずれ量と温度センサ652が計測する温度Tとの対応関係の例を示す図である。ずれ量としては、ここでは、単位ずれ量Dを一日当たりのずれ時間の値[秒/日]に換算して示されている。
【0037】
日時の単位ずれ量Dは、基準温度T0(ここでは、20℃)で基準単位ずれ量D0(図2では、「0」として表示)となり、温度Tが基準温度T0から低下しても上昇しても、単位ずれ量Dが基準単位ずれ量D0からずれていく。電子時計に広く用いられる水晶発振子を用いて日時を計数する場合、単位ずれ量Dは、基準温度T0からのずれ量の二乗に依存して、所定の係数C(例えば、−0.035[ppm・℃−2])により、D=D0+C×(T−T0)として表される。通常の使用環境(+7〜+33℃)であれば、一日当たりのずれ量は基準単位ずれ量D0に対して0.5秒程度の範囲内であるが、極端な環境(−10℃以下や+50℃以上など)では、一日で3秒近くのずれが生じ得る。
【0038】
ここでは、温度計時ずれ対応情報662には、温度Tに応じた単位ずれ量Dの算出に係る上述のパラメータである基準単位ずれ量D0、基準温度T0、及び係数Cが記憶される。通常の使用条件を考慮すると、基準温度T0は+20〜+25℃とされるのが好ましい。また、電子時計は、実用上進むより遅れる方が好ましくないことが多い。したがって、通常の使用温度範囲内では、単位ずれ量Dが「0」又は小さな正の値となるのが好ましい。電子時計1では、製品間での発振回路46のばらつきを考慮して、例えば、基準温度T0が25±5℃程度、基準単位ずれ量D0に対応する一日当たりのずれ量が0.15±0.15sec程度とされる。すなわち、単位ずれ量Dは、基準温度T0近傍では正の値となり、基準温度T0から大きく外れると負の値となる。
【0039】
基準温度T0及び基準単位ずれ量D0は、出荷前に検査されて書き込まれても良い。あるいは、基準温度T0や基準単位ずれ量D0の固定された初期値(例えば、25℃、0.30msec)やその誤差範囲が記憶されるのみであったり、検査時やその他の機会に計測されたこの初期値に対するオフセット値が書き込まれたりしても良い。
【0040】
また、ROM66が記憶する初期設定データには、世界の各地域におけるタイムゾーン設定や夏時間設定といったUTC日時からの時差情報やその位置(都市)に係る情報、及び当該位置(都市)において受信可能な標準電波の有無や種別に係る情報が含まれ、現在位置に該当する位置(都市)の設定データがRAM43に記憶されて利用される。ROM66は、マイコン40に対して外付けされているが、マイコン40と一体的に形成されていても良い。
【0041】
電力供給部70は、電子時計1の各部が動作に要する電力を当該各部へ供給する。電力供給部70は、バッテリ71から出力される電力を各部の動作電圧で供給する。動作電圧が動作部位によって異なる場合には、電力供給部70は、レギュレータを用いて電圧変換を行って出力する。電力供給部70は、入射光に応じた発電を行うソーラパネルや発電された電力を蓄電する二次電池などをバッテリ71として備えていてもよいし、乾電池や充電池などが着脱可能に設けられてバッテリ71として動作してもよい。
【0042】
次に、本実施形態の電子時計1における現在日時情報の取得動作について説明する。
上述のように、電子時計1の計時回路472(計時部47)が計数する日時には、ずれが生じ得る。これに対し、電子時計1では、外部から定期的に及びユーザによる修正命令の入力操作などに応じたタイミングで正確な現在日時を同定、取得して、計時回路472が計数、保持する日時を修正する。これにより、計時回路472が計数、保持する日時のずれを小さい状態に留めている。
【0043】
電子時計1では、衛星電波受信処理部50により得られる現在日時、長波受信部63により受信された標準電波から得られる現在日時情報、及び通信部64を介してブルートゥース通信により外部機器から得られる現在日時情報の3種類が現在日時情報の取得先とされる。
【0044】
長波受信部63により受信された標準電波に基づく日時は、通常、十分な精度(10msec程度)で得られる。
【0045】
通信部64を介して外部機器から現在日時情報を取得する場合には、当該外部機器が計数している日時が得られる場合と、外部機器が備える衛星電波受信処理部による日時取得の結果に基づく日時が得られる場合とがある。また、外部機器が携帯電話機能を有する場合には、携帯電話通信の基地局から現在日時情報が取得され、外部機器がインターネット接続機能を有する場合には、ネット上のタイムサーバなどから取得される現在日時情報が外部機器を介して間接的に取得され得る。これらのうち、外部機器自身が計数している日時が得られる場合には、計時回路472が計数する日時同様にずれが生じ得る。以下では、この外部機器から得られた日時の精度についての情報が得られないものとするが、外部機器から送信日時の精度に係る情報が得られる場合には、これを用いても良い。
【0046】
衛星電波受信処理部50から得られる日時は、通常、十分な精度(10〜100msec以下のずれ)である。ただし、GPS衛星からの電波に基づいて日時を取得する場合には、別途うるう秒補正値が必要である。GPS衛星では、うるう秒が考慮されていない日時が送信されている。したがって、衛星電波受信処理部50では、うるう秒を考慮したUTC日時とのずれ時間を示すうるう秒補正値に基づいてUTC日時に変換して出力する。このうるう秒補正値は、GPS衛星から取得されても良いが、頻度が低い(12.5分に一回)なので、GPS衛星からの送信タイミングに合わせて受信するか、又は通信部64を介して外部から取得するのが好ましい。
【0047】
うるう秒は、現在、半年に一回実施され得る。うるう秒の実施があった場合には、当該タイミングで所定秒(現在は1秒のみ)が挿入又は削除される。したがって、うるう秒の実施可能タイミングまでに実施の有無に係る情報や実施後のずれ時間の情報が取得されない場合、当該ずれ時間の情報が取得されるまでの間、衛星電波受信処理部50から得られる日時には、1秒単位のずれが生じる可能性がある。
なお、標準電波のうち、JJYやWWVBでは、うるう秒の実施可能タイミング前の所定期間にうるう秒の実施予定有無に係る情報が送信されるので、当該情報に基づいて、実施可能タイミングでずれ時間を修正することもできる。
【0048】
本実施形態の電子時計1では、これらの中から現在日時情報の取得方法が選択される。ここでは、例えば、通信部64を介した現在日時情報の取得は、ペアリング設定がなされている場合に、一日に所定回数(2〜4回など)定期的に及び日時以外の情報送受信を目的として通信接続がなされる場合に行われる。また、これとは別に、標準電波の受信エリア内では、一日に一回所定のタイミングで長波受信部63による標準電波の受信が行われる。標準電波の受信エリア外又は受信エリア内でも標準電波の受信に失敗した場合などには、一日一回所定の条件を満たすタイミングで、及びユーザによる所定の入力操作などに基づいて衛星電波受信処理部50による測位衛星(GPS衛星)からの電波受信による日時の取得を行う。
【0049】
次に、衛星電波受信処理部50の動作により現在日時を取得する場合について、より詳しく説明する。
【0050】
図3は、GPS衛星から電波送信されている信号(航法メッセージ)のフォーマットについて説明する図である。
GPSでは、各GPS衛星からそれぞれ30秒単位のフレームデータが合計25ページ送信されることで、12.5分周期で全てのデータ(一連のデータ)が出力されている。GPSでは、GPS衛星ごとに固有のC/Aコードが用いられており、このC/Aコードは、1.023MHzで1023個の符号(チップ)が配列されて1msec周期で繰り返されている。このチップの先頭は、GPS衛星の内部時計と同期しているので、GPS衛星ごとにこの位相のずれを検出することで、伝搬時間、すなわち、GPS衛星から現在位置までの距離に応じた位相ずれ(疑似距離)が検出される。
【0051】
各フレームデータは、5つのサブフレーム(各6秒)で構成されている。更に、各サブフレームは10個のワード(符号ブロック、各0.6秒、順番にWORD1〜WORD10)によって構成されている。各ワードは、それぞれ30ビット長(すなわち、30個の二値符号からなる)である。
WORD1とWORD2のデータフォーマットは、全てのサブフレームで同一である。すなわち、WORD1、WORD2の内容は、全てのサブフレームで6秒ごとに取得され得る。WORD1では、テレメトリワード(TLM Word)が送信されている。テレメトリワードでは、8ビットの固定符号列であるプリアンブル(Preamble)に続き、14ビットのテレメトリメッセージ(TLM Message)が含まれ、その後ろに1ビットのIntegrity Status Flagと1ビットの予備ビットを挟んで、6ビットのパリティ符号列(パリティチェック符号)が配される。WORD2では、ハンドオーバワード(Handover Word;HOW)が送信されている。HOWでは、週内経過時間を示す17ビットのTOW−Count(Zカウントともいう)に続き、Alert FlagとAnti-Spoof Flagがそれぞれ1ビットずつで示されている。それから、サブフレームの番号(周期番号)を示すサブフレームID(Subframe-ID)が3ビットで示され、パリティ符号列の整合用2ビットを挟んで6ビットのパリティ符号列が配列される。
【0052】
WORD3以降のデータは、サブフレームによって異なる。サブフレーム1のWORD3には、先頭に10ビットのWN(週番号)が含まれる。サブフレーム2、3には、主に、エフェメリス(精密軌道情報)が含まれ、サブフレーム4の一部及びサブフレーム5では、アルマナック(予測軌道情報)が送信されている。すなわち、これらの情報は、フレーム内で1回30秒ごとに取得され得る。上述のうるう秒補正値は、18ページ目のサブフレーム4でのみ12.5分に一回送信されている。
【0053】
通常、航法メッセージを解読するには、各サブフレームの先頭に含まれる固定符号列(プリアンブル)を同定する必要がある。また、これらのうち、各サブフレームにおいてTOW−Countにより示される日時は、次のサブフレームの先頭のタイミングにおける日時である。
【0054】
衛星電波受信処理部50が現在日時を得るのに必要な情報は、計時回路472が計数する日時に含まれ得るずれの大きさによって異なる。計時回路472が計数する日時に日付や週が異なるほどの大きなずれがなければ、いずれかのサブフレームからTOW−Countのみを取得して(所要時間は2〜6秒程度)計時回路472が計数している日時と組み合わせることで、正確な日時が得られる(部分受信取得)。なお、部分受信取得の場合でも、ここでは、一つのサブフレームのWORD3まで受信することで、受信タイミングによっては、サブフレーム1のWORD3に含まれるWNも併せて受信される場合がある。計時回路472が計数する日時に大きなずれがあり得る場合には、サブフレーム1のWNを併せて受信する、すなわち、航法メッセージから日時に係るデータを全て取得することで(3〜30秒程度)、計時回路472の計数日時を考慮せずにGPS衛星から取得された情報により日時を取得する(フル受信取得)。なお、ここでいう「日時に係るデータ全て」には、うるう秒の補正値に係る補正情報を含まない。
【0055】
また、計時回路472が計数する日時のずれが十分小さければ(±3秒以下)、受信される航法メッセージの内容、すなわち、各サブフレームの先頭における8ビット固定符号列(プリアンブル)や、HOWのうち17ビットのTOW−Countや3ビットのサブフレームID)を予め想定できる。また、テレメトリワードやHOWに含まれる予備ビット、Integrity Status Flag、Alert FlagやAnti-Spoof Flagなど、通常の送信状態ではセット状態にならない各1ビットの符号については、リセット状態であると想定しても良い。したがって、計数日時及び後述の見積もりずれ量に基づいて予め想定された符号により生成される想定符号列が示す日時と、当該想定符号列と一致する符号列(受信符号列)が受信されたタイミング(日時情報の一部分;一致検出タイミング)とを組み合わせて現在日時を同定、取得する予測受信取得を行うことができる。この予測受信では、受信時には改めて符号列を解読(復号)する必要がなく、想定符号列との一致不一致のみを判定してゆけば良い。なお、測位衛星から送信される航法メッセージは、ワード(30ビット)ごとに符号反転される場合があるので、反転された符号列を合わせて生成して一致不一致を判断しても良いし、想定符号列と一致する符号列と、想定符号列と不一致となる符号列とを同等に扱って想定符号列の検出を行っても良い。
【0056】
本実施形態の電子時計1では、衛星電波受信処理部50に現在日時の取得動作を行わせる場合、直近の現在日時情報の取得タイミング、すなわち、日時が修正されたタイミング以降の温度状態(温度計測履歴432)に基づいて、計時回路472が計数している日時に含まれ得るずれの大きさ(積算ずれ量τ;日時のずれ量)を推定する(見積もる)。そして、当該ずれの大きさが基準幅内(上述の±3秒以下など)にあるか否かに応じて、上述のフル受信取得、部分受信取得(これら2つをまとめて通常受信取得と記す)及び予測受信取得のうちいずれにより日時を取得するかを選択する。
【0057】
この選択動作は、CPU41(マイコン40)により行われ、日時取得命令とともに選択情報及び計時回路472が計数する日時などの必要な情報を衛星電波受信処理部50に送信出力することで、衛星電波受信処理部50に現在日時の取得動作を行わせる。
【0058】
ずれの大きさの算出は、例えば、所定の計測間隔Δt(隣り合う計測日時t1、t2の間)での2回の計測温度T1、T2により、当該計測間隔Δtの間の温度変化を一次線形(直線変化)であると近似して、計測間隔Δtの間の単位ずれ量Dを積分することでなされ得る。すなわち、ここでは、Δτ=∫Ddt(t=t1〜t2)として、係数C、定数である基準単位ずれ量D0及び基準温度T0、並びに2回の計測温度T1、T2及び計測間隔Δtにより、当該計測間隔Δtの間におけるずれ量Δτが求められる。そして、前回の日時修正タイミング以降の各計測間隔におけるずれ量Δτを積算することで、積算ずれ量τ(=ΣΔτ)が得られる。この積算ずれ量τは、基準単位ずれ量D0と前回の日時修正からの合計経過時間ΣΔtの積で求められる一定増加部分と、基準温度T0からの温度差の絶対値|T−T0|に応じて変化する変動部分との和となる。
【0059】
図4は、第1実施形態の電子時計1で実行される衛星電波受信制御処理のCPU41による制御手順を示すフローチャートである。
この衛星電波受信制御処理は、衛星電波受信による日時情報の取得条件が満たされた場合や、命令がユーザから取得された場合に起動される。
【0060】
衛星電波受信制御処理が開始されると、CPU41は、前回の日時修正タイミングからの積算ずれ量τを算出する(ステップS101;ずれ算出ステップ、ずれ算出手段)。CPU41は、前回の衛星電波受信から1日以上経過しているか否かを判別する(ステップS102)。電波受信頻度は、電力供給部70の供給能力などの制限から、ここでは、一日に一回以下(第2頻度)とされる。1日以上経過していないと判別された場合には(ステップS102で“NO”)、CPU41は、衛星電波受信制御処理を終了する。
【0061】
1日以上経過していると判別された場合には(ステップS102で“YES”)、CPU41は、算出された積算ずれ量τが基準範囲内(ここでは、±3.0秒未満;基準幅内)であるか否かを判別する(ステップS103)。基準値範囲内であると判別された場合には(ステップS103で“YES”)、CPU41は、予測受信取得を選択し、計時回路472が計数する日時情報とともに衛星電波受信処理部50に日時情報の取得動作を行わせる命令を出力する(ステップS104)。想定符号列をCPU41が生成する場合には、CPU41がこのときに想定符号列を生成して併せて衛星電波受信処理部50に出力する。それから、CPU41の処理は、ステップS106に移行する。
【0062】
算出された積算ずれ量τが基準範囲内ではないと判別された場合には(ステップS103で“NO”)、CPU41は、通常受信取得を選択し、衛星電波受信処理部50に日時情報の取得動作を行わせる命令を出力する(ステップS105)。それから、CPU41の処理は、ステップS106に移行する。
【0063】
ステップS106の処理に移行すると、CPU41は、衛星電波受信処理部50から日時情報の取得結果を取得し(日時同定ステップ、日時同定手段)、日時情報の取得に成功したか否かを判別する(ステップS106)。成功したと判別された場合には(ステップS106で“YES”)、CPU41は、計時回路472の日時を修正する(ステップS107;修正ステップ、修正手段)。それから、CPU41の処理は、ステップS108に移行する。成功していない(失敗した)と判別された場合には(ステップS106で“NO”)、CPU41の処理は、ステップS108に移行する。
【0064】
ステップS108の処理に移行すると、CPU41は、日時情報取得履歴情報431を更新する(ステップS108)。そして、CPU41は、衛星電波受信制御処理を終了する。
【0065】
以上のように、第1実施形態の電子時計1は、所定周波数のクロック信号を出力する発振回路46と、クロック信号の入力に応じて日時を計数する計時部47と、所定周波数の変化に係る温度を計測する温度センサ652と、測位衛星からの電波を受信する受信部51と、ホスト制御部401及びモジュール制御部52を含む制御部と、を備える。制御部は、温度センサ652が計測する温度の履歴(温度計測履歴432)に基づいて分周回路471、計時回路472が計数する日時の積算ずれ量τを見積もり、計時部47が計数する日時、見積もられた積算ずれ量τ及び受信部51が受信した電波から得られる日時情報の一部分を組み合わせて現在日時を同定する。
このように、適切に温度計測を行って、当該温度の履歴に基づいて積算ずれ量τを見積もるので、従来よりも計数日時のずれを正確に見積もることができる。これにより、衛星電波受信による日時取得の際に、必要な日時情報の量や想定符号列の生成可否などが適切に判断可能になる。その結果、必要な受信時間や受信内容を適切に定めて、無駄な受信時間を削減することができる。したがって、この電子時計1では、より確実に効率的な日時取得を行うことができる。このようにして取得された日時により計時部47(計時回路472)が計数する日時を修正することで、電子時計1では、効率良く適切にずれの少ない精度の高い日時の計数、表示を維持することができる。
【0066】
また、制御部は、分周回路471及び計時部47が計数する日時及び見積もられた積算ずれ量τに基づいて受信部51による受信が想定される想定符号列を生成して、当該想定符号列と受信部51により受信された受信符号列との一致検出タイミングと基づいて現在日時を同定する予測受信取得を行う。
予測受信取得では、想定符号列との一致を検出するだけで、改めて符号列を復号する手間を要さずに日時を同定することが可能になる。この想定符号列を生成するには、当該想定符号列に含まれる日時情報の範囲内であることが必須である。電子時計1では、積算ずれ量τをより正確に見積もることで、計数日時の想定外のずれにより、想定符号列の日時が受信されずに日時の同定が困難になったり、想定符号列を生成しなおす手間や時間を要したりという状況の発生を防ぐことができる。これにより、電子時計1では、より確実に効率的な日時取得が可能になる。なお、ここで、一致検出タイミングとは、想定符号列と完全に一致する符号列が検出される場合に限られず、確率的に十分な精度で想定符号列と一致すると判断し得る受信符号列が受信されたタイミングを含み得る。
【0067】
また、制御部は、積算ずれ量τが所定の基準幅(±3秒)内にない場合には、受信符号列を解読して現在日時を取得する。すなわち、想定符号列の日時が受信されない可能性がある場合には、初めから予測受信取得を行わずに、TOW−Countなどの解読を行う。これにより、想定符号列が受信されない事態を初めから回避し、確実に効率良く日時情報を取得することができる。
【0068】
また、本実施形態の日時取得制御方法では、温度センサ652が計測する温度の履歴(温度計測履歴432)に基づいて分周回路471及び計時部47が計数する日時の積算ずれ量τを見積もるずれ算出ステップ、計時部47が計数する日時、見積もられた積算ずれ量τ及び受信部51が受信した電波から得られる日時情報の一部分を組み合わせて現在日時を同定する日時同定ステップ、を含む。
このような日時取得制御方法を用いることで、測位衛星からの送信電波を受信して日時を取得する場合に、必要以上の手間や受信時間を要さずに適切な受信量及び時間でより確実に効率的な日時情報の取得が可能となる。
【0069】
また、上述の処理を行う受信制御に係るプログラム661をインストールして、積算ずれ量τに基づいてソフトウェア的に適切な日時取得方法を選択することで、容易により確実かつ効率的な日時情報の取得を行うことができる。
【0070】
[第2実施形態]
次に、第2実施形態の電子時計について説明する。
図5は、本実施形態の電子時計1aの機能構成を示すブロック図である。
【0071】
第2実施形態の電子時計1aは、第1実施形態の電子時計1と比較して、ROM66に温度計時ずれ対応情報662の代わりに温度計時ずれ対応テーブル662aが記憶されている点を除き同一であり、同一の構成には同一の符号を付して詳しい説明を省略する。
【0072】
温度計時ずれ対応テーブル662aには、所定の温度間隔で温度Tと単位ずれ量Dとが対応付けられて配列記憶されている。この場合の温度間隔は適宜定められるが、上述の基準温度T0に対して両側(高温側及び低温側)に各々所定の温度間隔ごとに単位ずれ量Dが記憶配列されていることが望ましい。
【0073】
次に、本実施形態の電子時計1aにおける衛星電波受信による日時修正動作について説明する。本実施形態の電子時計1aでは、計時部47(計時回路472)による計数日時に対して求められた積算ずれ量τにより当該計数日時を補正(修正)し、衛星電波受信による日時情報の取得を行う場合には、当該補正された日時に基づいて想定符号列を生成して予測受信取得を行う。
【0074】
また、上記実施形態では、温度の計測間隔Δtの間、温度Tが直線変化する(すなわち、単位ずれ量Dが二次の変化)ものとして説明したが、ここでは、計測間隔Δtの間温度Tが一定である(単位ずれ量Dも一定である)ものとしてずれ量Δτ及び積算ずれ量τを算出する。すなわち、ずれ量Δτは、Δτ=D(T)×Δtとして求められる。
【0075】
温度に依存する単位ずれ量D(T)は、温度計時ずれ対応テーブル662aが参照されて温度Tに応じて取得される。温度Tに対応する単位ずれ量D(T)が記憶されていない場合には、温度Tの上下で単位ずれ量Dが記憶されている温度TU、TLに応じた単位ずれ量D(TU)、D(TL)に対して線形補間を行うことで単位ずれ量D(T)が求められる。なお、上述のように単位ずれ量D(T)を求めるためのパラメータ(係数C、基準温度T0及び基準単位ずれ量D0)が記憶されて、これらにより温度Tにおける単位ずれ量D(T)を算出してもよい。そして、これらの積算することで、前回の日時修正からの積算ずれ量τが求められる。
【0076】
この場合、単位ずれ量D(T)と計測間隔Δtの積を各々算出してから積算してもよいし、単位ずれ量D(T)を積算してその合計値に計測間隔Δtを乗じてもよい。
【0077】
図6は、第2実施形態の電子時計1aで実行される衛星電波受信制御処理のCPU41による制御手順を示すフローチャートである。この衛星電波受信制御処理は、第1実施形態の電子時計1における衛星電波受信制御処理におけるステップS101〜S103の処理がそれぞれステップS101a〜S103aに置き換えられ、また、ステップS105の処理が省略されている。その他の処理は第1実施形態の電子時計1で実行される衛星電波受信制御処理と同一であり、同一の処理内容には同一の符号を付して説明を省略する。
【0078】
この衛星電波受信制御処理は、衛星電波受信による日時の取得命令が取得された場合に加えて、所定の頻度、例えば、一日に1〜数回起動されてもよい。
【0079】
衛星電波受信制御処理が開始されると、CPU41は、上述のように積算ずれ量τを算出する(ステップS101a)。CPU41は、計時回路472が計数保持する日時を積算ずれ量τで補正する(ステップS102a)。CPU41は、積算ずれ量τの算出に用いられた温度計測履歴432のデータを消去又は区別可能に分類する。
【0080】
CPU41は、前回の衛星電波受信から2日以上経過したか否かを判別する(ステップS103a)。2日以上経過していないと判別された場合には(ステップS103aで“NO”)、CPU41は、衛星電波受信制御処理を終了する。
【0081】
2日以上経過していると判別された場合には(ステップS103aで“YES”)、CPU41は、当該補正されている日時の情報とともに、衛星電波受信処理部50に対して予測受信による日時取得命令を出力する(ステップS104)。それから、CPU41の処理は、ステップS106に移行する。
【0082】
なお、ステップS102aの処理は、衛星電波受信を行う前にだけ行われてもよい。この場合、CPU41は、計時回路472の計数する日時自体を修正してもよいし、衛星電波受信処理部50に対して出力する日時として別途一時的に保持するものであってもよい。また、計時回路472が計数保持する日時を積算ずれ量τにより修正しない場合、予測受信による日時取得の間隔を2日以上に広げず(電波受信頻度を第2頻度より低い2日に一回以下(第1頻度)とせず)に、第1実施形態と同様に1日以上としてもよい。
【0083】
以上のように、第2実施形態の電子時計1aでは、制御部(ホスト制御部401及びモジュール制御部52)は、見積もられた積算ずれ量τに基づいて計時部47(計時回路472)が計数する日時を修正し、修正された日時に応じて想定符号列を生成する。このように、計数日時を予め積算ずれ量τに基づいて修正することで、衛星電波受信による日時修正がなされずとも計数日時のずれを全体として低減させることができる。また、この修正された日時に基づいて想定符号列を生成することで、電波の受信期間の制御などを複雑化せず従来どおりの受信設定で測位衛星からの電波受信を行い、想定符号列と同一の受信符号列を検出することができる。これにより、電子時計1aでは、より確実に効率的な日時取得が可能となる。
【0084】
また、制御部は、積算ずれ量τに基づいて計時部47(計時回路472)が計数する日時を修正した場合には、受信部51による電波受信頻度を2日に一回以下とする。すなわち、積算ずれ量τによる補正で計時回路472の計数日時をより正確に保てるのであれば、衛星電波受信による日時取得を頻繁に行わなくても日時の計数、表示精度が大きく低下しない。よって、衛星電波による日時取得の頻度に上限を設けることで、電子時計1aの精度を低下させずに衛星電波受信に係る電力消費を抑制することができる。
【0085】
また、制御部は、受信部51による電波受信頻度を所定の1日に一回以下とし、上述の積算ずれ量τに基づく計数日時の修正を行った場合には、電波受信頻度をさらにこれより低くする。
すなわち、電子時計1aによる日時の計数精度を低下させずに電波受信回数を減少させた分の電力消費を低減させることができる。
【0086】
[第3実施形態]
次に、第3実施形態の電子時計について説明する。
本実施形態の電子時計1は、第1実施形態の電子時計1と同一の構成であり、同一の符号を用いることとして説明を省略する。
【0087】
本実施形態の電子時計1では、温度計時ずれ対応情報662には、初期値としての基準単位ずれ量D0と基準温度T0がそれぞれ誤差範囲情報とともに保持されており、正確な値は当該誤差範囲情報で示された誤差範囲(基準単位ずれ量について±ΔD、基準温度について±ΔT)内で未知数である。これらの誤差は、上述のように、主に製品間での製造時のばらつきなどによって生じるものである。
【0088】
電子時計1では、ずれ量Δτ又は積算ずれ量τの算出時に、上述の初期値の誤差範囲(±ΔD、±ΔT)に応じた見積もり誤差を求める。ずれ量Δτ(積算ずれ量τ)の最大値(進む側)としては、単純に、基準単位ずれ量D0の誤差内最大値(D0+ΔD)に計測間隔Δtを乗じた値とすることができる。あるいは、より細かく、計測された温度Tが基準温度T0の誤差範囲内(T0±ΔT)の場合には、誤差内最大値(D0+ΔD)、T>T0+ΔTの場合には、基準温度T0に対して温度T−ΔTの場合の単位ずれ量Dと誤差最大値ΔDの和(又は、基準温度T0+ΔTに対して温度Tの場合の単位ずれ量Dと誤差最大値ΔDの和)、T<T0−ΔTの場合には、基準温度T0に対して温度T+ΔTの場合の単位ずれ量Dと誤差最大値ΔDの和(又は、基準温度T0−ΔTに対して温度Tの場合の単位ずれ量Dと誤差最大値ΔDの和)として、積算してもよい。
【0089】
ずれ量Δτ(積算ずれ量τ)の最小値(遅れる側)としては、温度Tが基準温度T0より高い場合には、基準温度T0に対して温度T+ΔTの場合の単位ずれ量Dと誤差最小値(−ΔD)の和(又は、基準温度T0−ΔTに対しての温度Tの場合の単位ずれ量Dと誤差最小値(−ΔD)の和)を算出し、温度Tが基準温度T0より低い場合には、基準温度T0に対して温度T−ΔTの場合の単位ずれ量Dと誤差最小値(−ΔD)の和(又は、基準温度T0+ΔTに対しての温度Tの場合の単位ずれ量Dと誤差最小値(−ΔD)の和)を算出して、積算していくことができる。
【0090】
これらにより積算ずれ量τの最大値と最小値を算出することで、衛星電波受信処理部50により予測受信取得を行わせる場合に、当該最大値から最小値までの見積もり誤差の範囲でのみ想定符号列を生成させて一致検出を行えば良くなる。これにより、処理量を低減してもよいし、低減させた分を他の処理、例えば、追尾する測位衛星の数を増やして並行受信する処理に用いても良い。
【0091】
図7は、第3実施形態の電子時計1で実行される衛星電波受信制御処理のCPU41による制御手順を示すフローチャートである。
この衛星電波受信制御処理は、第2実施形態の電子時計1aで実行される衛星電波受信制御処理のステップS101a、S102aの処理の代わりにステップS101b〜S103bの処理が行われ、ステップS104の処理がステップS104bに置き換えられる点を除いて同一であり、同一の処理内容には同一の符号を付して説明を省略する。
【0092】
この衛星電波受信制御処理は、第2実施形態の電子時計1で実行される衛星電波受信制御処理と同様に、衛星電波受信による日時の取得命令が取得された場合に加えて、所定の頻度、例えば、一日に1回〜数回起動されてもよい。
【0093】
衛星電波受信制御処理が開始されると、CPU41は、上述した積算ずれ量τの最大値と最小値を算出する(ステップS101b)。CPU41は、計時回路472が計数する日時をこの最大値と最小値の平均値(すなわち中間値)により補正する(ステップS102b)。CPU41は、算出されている積算ずれ量τの最大値と最小値を補正した値の分だけシフトさせる(ステップS103b)。それから、CPU41の処理は、ステップS103aに移行する。
【0094】
ステップS103aの処理で“YES”に分岐すると、CPU41は、衛星電波受信処理部50に対し、予測受信により日時の取得動作を行わせる命令を出力する(ステップS104b)。このとき、CPU41は、積算ずれ量τの最大値及び最小値の値を出力し、当該最大値及び最小値の範囲内で想定符号列を生成するように指定する。また、CPU41は、当該最大値と最小値の幅に応じて、最大の追尾測位衛星数の数を設定してもよい。
【0095】
なお、最大値と最小値の幅は、温度の誤差範囲(±ΔT)の大きさ及び基準温度T0に対する温度Tのずれ量に応じて変化し得る。基準温度T0に対する温度Tのずれ量が大きい期間が非常に長時間続かない限り、第1実施形態の電子時計1で実行される衛星電波受信制御処理における基準範囲内となるが、基準範囲内に入らない場合には、第1実施形態の電子時計1における衛星電波受信制御処理と同様に、通常受信による日時取得命令に移行させることとして良い。
【0096】
なお、上述のように、電子時計1の計数する日時は、進むよりも遅れる方が好ましくない。したがって、ステップS102bで補正する値は、積算ずれ量の最大値と最小値の平均値ではなく、積算ずれ量の最大値であってもよい。あるいは、ステップS102b、S103bの処理を省略して途中での補正を行わず、ステップS103aの判別処理で2日のところを第1実施形態と同様に1日としてもよい。
【0097】
以上のように、第3実施形態の電子時計1では、制御部(ホスト制御部401及びモジュール制御部52)は、積算ずれ量τの見積もりに係る見積もり誤差の範囲内で現在日時の同定を行う。電子時計1で広く用いられる水晶発振子では、製造時に発振周波数やその温度依存性に多少のばらつきが生じ得る。したがって、製造工程におけるばらつきを考慮して当該ばらつきの範囲内で現在日時の積算ずれ量τを想定し、当該積算ずれ量τに応じた想定符号列の生成や、予測受信取得の実施可否の判断などを行うので、より確実に効率的な日時の取得を行うことが可能になる。また、この場合、出荷前に水晶発振子のばらつきに応じた細かい検査や微調整、設定が不要となるので、出荷時の手間を低減させることができる。
【0098】
[第4実施形態]
次に、第4実施形態の電子時計について説明する。
本実施形態の電子時計の構成は、第2実施形態の電子時計1aの構成と同一であり、同一の符号を用いることとして説明を省略する。
【0099】
次に、本実施形態の電子時計1aにおける日時修正動作について説明する。
本実施形態の電子時計1aでは、衛星電波受信を単純に2日以上の間隔とするだけでなく、標準電波などを用いた日時修正から少なくとも2日間(第1間隔以上)行わない。標準電波の受信エリア内では、標準電波の受信及び日時の修正が一日に一回所定のタイミングで行われ、この修正が成功した場合には、温度計測履歴432に記憶されている温度計測結果(又は単位ずれ量D)が消去されて、修正時点での積算ずれ量τを「0」とする。
【0100】
図8は、本実施形態の電子時計1aで実行される衛星電波受信制御処理のCPU41による制御手順を示すフローチャートである。
この衛星電波受信制御処理は、第3実施形態の電子時計1aにおける衛星電波受信制御処理(図7)のステップS103aの処理がステップS103cに置き換えられた点を除いて同一であり、同一の処理内容には同一の符号を付して詳しい説明を省略する。
【0101】
ステップS103bの処理ののち、CPU41は、前回の日時修正に係る電波受信、すなわち、衛星電波受信又は標準電波の受信から2日が経過したか否かを判別する(ステップS103c)。経過していないと判別された場合には(ステップS103cで“NO”)、CPU41は、衛星電波受信制御処理を終了する。経過したと判別された場合には、CPU41の処理はステップS104bに移行する。
【0102】
このように第4実施形態の電子時計1aは、外部から現在日時情報を取得する長波受信部63を備え、制御部(ホスト制御部401及びモジュール制御部52)は、長波受信部63により現在日時情報を取得してから次に受信部51により電波受信を行わせるまでの間隔を、計時回路472が計数保持する日時を積算ずれ量τにより修正する場合に、広げた予測受信による日時取得の間隔(2日)に対応する2日以上とする。
すなわち、長波受信部63により2日以内の間隔で日時の取得がなされている場合には、測位衛星からの電波受信を行って日時の修正を行わないこととすることができる。このように衛星電波受信を必要以上に行わせなくても、十分な精度で日時の維持が可能であり、電力消費を低減させることができる。また、前回の衛星電波受信からの受信間隔が開いたとしても、適切に基準とする日時が維持されている範囲内で予測受信取得を行うので、予測受信取得を失敗する可能性を十分に低減させることができ、したがって、効率良く確実に現在日時を取得することができる。
【0103】
[第5実施形態]
次に、第5実施形態の電子時計について説明する。
図9は、本実施形態の電子時計1dの機能構成を示すブロック図である。
この電子時計1dでは、RAM43に計時カウント設定435が記憶されている点を除き第1実施形態の電子時計1と同一であり、同一の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
【0104】
計時カウント設定435は、分周回路471から入力される信号の1秒当たりの計数カウント数の設定値を示す情報であり、書き換え更新が可能となっている。
【0105】
次に、本実施形態の電子時計1dにおける日時修正動作について説明する。
本実施形態の電子時計1dでは、計時回路472において、分周回路471から入力される信号の1秒当たりの計数カウント数を変更することができる。上述のように、発振回路46から出力される32.768kHzのクロック信号が正確であれば、32768回計数すると1秒となる。ここでは、所定周期ごとにこの回数を1回増減させることで、発振回路46のクロック信号の周波数ずれを補正(調整)し、計時部47(計時回路472)が計数する日時自体を調整する。例えば、毎周期計数カウント数を1回増減させると30.5176ppmの変更調整となり、16周期に一回増減させると、1.9074ppmの変更調整となる。この調整は、図2において、基準単位ずれ量D0の値を変更調整させることに相当する。
【0106】
電子時計1dでは、計時回路472で計数される所定時間の間に衛星電波受信処理部50のTCXO54からクロック信号を入力させてその入力数を計数する。TCXO54のクロック信号は温度に依存して変化しないのに対し、計時回路472で計数するクロック信号(計数日時の進みの速さ)は発振回路46の温度に応じて変化するので、TCXO54からの入力数の変化により、計時部47で計数に用いられているクロック信号が正確なクロック信号に対してどの程度ずれているかが示されることになる。
【0107】
このように、特に、基準温度T0からの温度Tのずれが大きく、これに伴って単位ずれ量Dが大きくなる場合に、計時回路472による計数カウント数自体を増減させることで、単位ずれ量Dを低減させることで積算ずれ量τの増大を抑える。
【0108】
図10は、本実施形態の電子時計1dで実行される衛星電波受信制御処理のCPU41による制御手順を示すフローチャートである。
この衛星電波受信制御処理は、第1実施形態の電子時計1で実行される衛星電波受信制御処理に対してステップS101の処理がステップS101dに置き換えられ、ステップS111〜S115の処理が追加され、また、ステップS103、S105の処理が削除されている。その他の処理は同一であり、同一の処理内容には同一の符号を付して説明を省略する。
【0109】
この衛星電波受信制御処理は、上述のように測位衛星からの電波受信による日時取得命令が取得された場合に加えて、温度計測値が取得された場合、ここでは、10分に一回定期的に起動される。
衛星電波受信制御処理が開始されると、CPU41は、計数日時のずれ量Δτを算出し、また、積算ずれ量τを算出する(ステップS101d)。CPU41は、計測されている温度と、現在の計時カウント設定435の基準となる設定温度との差が所定の条件を満たしているか否かを判別する(ステップS111)。所定の条件としては、例えば、単純に基準値以上の差が生じている場合や、このような差のある状態が所定時間以上継続している場合などが挙げられる。また、基準温度T0から温度Tが大きく外れる場合と、基準温度T0から外れた設定状態から基準温度T0付近の温度に戻る場合とで、条件を異ならせてもよい。
【0110】
所定の条件を満たしていないと判別された場合には(ステップS111で“NO”)、CPU41の処理は、ステップS102に移行する。所定の条件を満たしていると判別された場合には(ステップS111で“YES”)、CPU41は、衛星電波受信処理部50を起動させ、受信部51を動作させずに、モジュール制御部52に対して開始信号と終了信号とを出力して当該期間内のTCXO54のクロック信号を計数させる(ステップS112)。
【0111】
CPU41は、計数回数をモジュール制御部52から取得し、当該計数回数に従って計時カウント設定を更新する(ステップS113)。このとき、CPU41は、現在の計測温度の情報などを併せて計時カウント設定に記憶させる。CPU41は、基準単位ずれ量D0のオフセット値を設定する(ステップS114)。それから、CPU41の処理は、ステップS102に移行する。
【0112】
ステップS102の処理で“NO”に分岐すると、CPU41は、衛星電波受信処理部50の動作を停止させる(ステップS115)。そして、CPU41は、衛星電波受信制御処理を終了する。“YES”に分岐した場合には、CPU41の処理は、ステップS104に移行する。
【0113】
なお、衛星電波受信処理部50の計数時間に基づいて、CPU41が発振回路46の発振信号を計数してもよい。この場合、CPU41は、衛星電波受信処理部50に16秒間の計数を行わせる命令を出力し、その開始時と終了時に衛星電波受信処理部50からCPU41にそれぞれ開始信号と終了信号を出力させる。CPU41は、開始信号が取得されてから終了信号が取得されるまでの間、発振回路46からの発振信号の入力回数を計数する。
【0114】
以上のように、第5実施形態の電子時計1dでは、制御部(ホスト制御部401及びモジュール制御部52)は、発振回路46が出力するクロック信号と、受信部51の動作に係るTCXO54のクロック信号とを比較して、発振回路46が出力するクロック信号の周波数ずれの大きさを検出し、当該周波数ずれを調整する。
このように、精度のよいTCXO54のクロック信号と発振回路46のクロック信号を必要に応じて比較して発振回路46のクロック信号の計数回数を調整することで、計時部47により計数される日時の計数精度を向上させることができるので、衛星電波受信による日時取得時における想定符号列の生成範囲や予測受信取得の可否などをより適切に判断し、より確実かつ効率的に日時の取得を行うことが可能になる。また、このような調整を適宜行うことで、計数日時のずれ自体を低減させることができるので、衛星電波受信の頻度を低減させることができる。これにより、電力消費を低減させることができる。
【0115】
[第6実施形態]
次に、第6実施形態の電子時計について説明する。
【0116】
本実施形態の電子時計1eでは、分周回路471において、発振回路46の発振信号を必要に応じて分周して計時回路472へ計時信号として出力する際に、CPU41からの制御信号に従って論理緩急に係る信号の間引き動作を行う間引き数を変更することができる。
【0117】
図11は、本実施形態の電子時計1の機能構成を示すブロック図である。
この電子時計1eでは、第5実施形態の電子時計1dの機能構成における計時カウント設定435の代わりに、RAM43に設定更新可能な論理緩急設定435eが記憶されている。その他の構成は第5実施形態の電子時計1dと同一であり、同一の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
【0118】
図12は、発振回路46からのクロック信号の出力に係る構成を示す図である。
発振回路46から出力された発振周波数(32.768kHz)のクロック信号は、クロック周期ごとにハイレベル信号とローレベル信号とからなる矩形波が出力されるものである。分周回路471に入力されたクロック信号は、2系統に分割される。一方の信号は、分周部4711に入力され、設定された周波数の信号に分周されてCPU41に出力され、通常の用途に用いられる。他方の信号は、論理緩急部4712に入力され、インバータ4712aを介して入力された制御信号とともに、論理積回路4712bに入力される。
【0119】
この制御信号は、通常では、ローレベル信号であり、インバータ4712aでハイレベル信号に変換されて論理積回路4712bに入力される。したがって、この場合に論理積回路4712bに入力されたクロック信号は、そのまま出力される。CPU41は、所定ステップごとに制御信号をハイレベルに切り替えることで、インバータ4712aを介してローレベル信号を論理積回路4712bに入力させる。このように、発振回路46から入力されたクロック信号のハイレベル部分が論理緩急部4712で適宜ローレベルに変換されることで、ハイレベル信号の出力が間引かれる。CPU41からハイレベルの制御信号を出力する頻度は、所定の時間ごと(例えば、16秒間や64秒間)に計時回路472で計数されるハイレベル信号の回数(ハイレベルへの立ち上がりの回数)が最も正確になるように定められる。ハイレベルの制御信号の出力タイミングは、当該所定の時間内では、均等である必要はなく、適宜設定される。これら出力頻度及びタイミングに係る情報が論理緩急設定435eとしてRAM43に記憶されている。
【0120】
この設定回数は、上述の基準単位ずれ量D0が適切な値になるように定められている。本実施形態の電子時計1eでは、設定回数を変更することができる。すなわち、第5実施形態の電子時計1dでは、各秒におけるクロック信号の計数回数を変化させたのに対し、本実施形態の電子時計1eでは、固定された計数回数のクロック信号の出力時間(計数時間)を、通常の周波数を変えずに間引く数を変えることで変化させる。なお、間引き数を調整する場合の間引きタイミングの決め方は、予め順番にリストされていてもよい。
【0121】
図13は、本実施形態の電子時計1eで実行される衛星電波受信制御処理のCPU41による制御手順を示すフローチャートである。この衛星電波受信制御処理は、第5実施形態の電子時計1dで実行される衛星電波受信制御処理におけるステップS113の処理がステップS113eの処理に変更された点を除き同一であり、同一の処理内容には同一の符号を付して説明を省略する。
【0122】
ステップS112の処理で、所定時間内のTCXOによるクロック信号の計数回数を取得すると、CPU41は、当該計数回数に応じて論理緩急設定435eを変更設定し、間引き回数やタイミングを変更する(ステップS113e)。そして、CPU41の処理は、ステップS114に移行する。
【0123】
このように、第6実施形態の電子時計1eでは、論理緩急設定435eを変更することで、第5実施形態の電子時計1dと同様に日時の計数精度を向上させ、また、衛星電波受信時における想定符号の生成範囲や予測受信取得の可否などを適切に判断することが可能になる。これにより、衛星電波受信による日時取得をより確実かつ効率的におこなうことができる。
【0124】
なお、本発明は、上記実施の形態に限られるものではなく、様々な変更が可能である。
例えば、上記実施の形態では、発振回路46が有する発振子として基準温度T0からの二乗に依存して周波数が低下するタイプの水晶発振子を用いた例を挙げたが、これに限るものではない。発振周波数に温度依存性を有する発振子全般に対して本発明を適用することができる。
【0125】
また、上記実施の形態では、温度計測を10分に1回定期的に行うこととしたが、温度変化などに応じて計測間隔を変化させてもよい。
【0126】
また、上記実施の形態では、積算ずれ量τとして単純にずれ量Δτを加算したものとしたが、直近の日時修正の精度が低く、初期ずれ量τ0がある場合には、この初期ずれ量τ0に対してずれ量Δτを加算していくことで積算ずれ量τを求めることができる。また、この初期ずれ量τ0に幅がある場合には、上記第3実施形態の誤差範囲と同様にこの幅を考慮することができる。
【0127】
また、上記実施の形態では、温度計測履歴432として計測された個別の温度値や換算されたずれ量Δτを記憶させることとしたが、随時積算ずれ量τを求めてこの積算ずれ量τのみを記憶させることとしてもよい。
【0128】
また、上記実施の形態では、温度計測間隔で温度が線形変化するとした場合と、温度が変化しないとした場合についてずれ量Δτの算出方法を説明したが、温度計測間隔で単位ずれ量Dが線形変化するとしてずれ量Δτ=(D(T(t1))+D(T(t2)))/2×Δtのように算出してもよい。
【0129】
また、上記実施の形態では、GPS衛星からの電波受信を行う場合を例に挙げて説明したが、その他の測位システム、例えば、GLONASSからの電波を受信して日時を取得する場合であっても同様に想定符号列を生成したり、一部の日時情報と計時部47が計数する日時とを組み合わせて日時を取得したりする場合には、本発明を適用することができる。
【0130】
また、上記実施の形態では、積算ずれ量τの大きさに応じて予測受信取得と通常受信取得とを区別することとしたが、通常受信取得のうち、部分受信取得の効率的な実行には、やはり積算ずれ量τが関係するので、同様に温度計測履歴432に基づいて得られる積算ずれ量τにより部分受信取得の可否を判別し、また、当該積算ずれ量τを考慮して、日時を取得することもできる。
【0131】
また、上記第3実施形態では、発振回路46の基準温度T0及び基準単位ずれ量D0の誤差範囲の値を温度計時ずれ対応情報662に保持することとしたが、プログラム661内に予め組み込まれていてもよい。
【0132】
また、上記第2、第3実施形態では、積算ずれ量τに基づいて計時部47(計時回路472)が計数する日時を補正することで、衛星電波受信による日時取得動作の間隔を2日に一回以上に広げることとしたが、必ずしも広げる必要はない。また、最小間隔を1日や2日に固定せず、積算ずれ量τや第3実施形態の誤差範囲の大きさなどに応じて衛星電波受信による日時取得動作の実施時期を定めることとしてもよい。また、電源の電力容量などに応じて、ユーザの入力操作による受信要求については、衛星電波受信による日時取得動作の最低間隔を異ならせたり規定しないこととしたりしてもよい。
【0133】
また、上記第4実施形態では、長波受信部63を正確な現在日時情報の取得が可能な日時情報取得部として示したが、その他の取得方法、例えば、ブルートゥースなどを用いて通信部64を介して現在日時を取得する場合についても、上述のように現在日時の精度情報が得られるなどにより、取得された現在日時情報に十分な精度があることを確認可能な場合などには、同様に日時情報取得部に含め、受信部51による受信間隔を2日間隔などに低下させることができる。
【0134】
また、上記第5、第6実施形態では、毎回TCXO54と発振回路46の比較を行うこととしたが、計測温度と対応付けて比較結果を保持し、同一温度時には改めて比較を行わずに比較結果を用いて調整を行うこともできる。
【0135】
また、以上の説明では、現在日時情報の取得時における本発明の衛星電波受信制御に係るプログラム661を記憶するコンピュータ読み取り可能な媒体としてフラッシュメモリなどの不揮発性メモリやマスクROMなどからなるROM66を例に挙げて説明したが、これらに限定されない。その他のコンピュータ読み取り可能な媒体として、HDD(Hard Disk Drive)、CD−ROMやDVDディスクなどの可搬型記録媒体を適用することが可能である。また、本発明に係るプログラムのデータを通信回線を介して提供する媒体として、キャリアウェーブ(搬送波)も本発明に適用される。
また、上記各実施の形態で示した各構成や制御内容、手順は、互いに矛盾したり効果を相殺したりしない限りにおいて、適宜組み合わせて用いることができる。
その他、上記実施の形態で示した構成、制御手順や表示例などの具体的な細部は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
【0136】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、本発明の範囲は、上述の実施の形態に限定するものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲とその均等の範囲を含む。
以下に、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲に記載した発明を付記する。付記に記載した請求項の項番は、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲の通りである。
【0137】
[付記]
<請求項1>
所定周波数のクロック信号を出力する発振部と、
前記クロック信号の入力に応じて日時を計数する計時部と、
前記所定周波数の変化に係る温度を計測する温度計測部と、
測位衛星からの電波を受信する電波受信部と、
制御部と、
を備え、
前記制御部は、
前記温度計測部が計測する温度の履歴に基づいて前記計時部が計数する日時のずれ量を見積もり、
前記計時部が計数する日時、見積もられた前記ずれ量及び前記電波受信部が受信した電波から得られる日時情報の一部分を組み合わせて現在日時を同定する
ことを特徴とする電子時計。
<請求項2>
前記制御部は、前記計時部が計数する日時及び見積もられた前記ずれ量に基づいて前記電波受信部による受信が想定される想定符号列を生成して、当該想定符号列と前記電波受信部により受信された受信符号列との一致検出タイミングに基づいて現在日時を同定する予測受信取得を行うことを特徴とする請求項1記載の電子時計。
<請求項3>
前記制御部は、見積もられた前記ずれ量に基づいて前記計時部が計数する日時を修正し、前記修正された日時に応じて前記想定符号列を生成することを特徴とする請求項2記載の電子時計。
<請求項4>
前記制御部は、前記ずれ量の見積もりに係る見積もり誤差の範囲内で前記現在日時の同定を行うことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の電子時計。
<請求項5>
前記制御部は、前記ずれ量が所定の基準幅内にない場合には、受信符号列を解読して現在日時を取得することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の電子時計。
<請求項6>
前記制御部は、前記ずれ量に基づいて前記計時部が計数する日時を修正した場合には、前記電波受信部による電波受信頻度を所定の第1頻度以下とすることを特徴とする請求項3記載の電子時計。
<請求項7>
前記制御部は、前記電波受信部による電波受信頻度を所定の第2頻度以下とし、
前記第1頻度は、前記第2頻度より低い
ことを特徴とする請求項6記載の電子時計。
<請求項8>
外部から現在日時情報を取得する日時情報取得部を備え、
前記制御部は、前記日時情報取得部により現在日時情報を取得してから次に前記電波受信部により電波受信を行わせるまでの間隔を前記第1頻度に応じた第1間隔以上とすることを特徴とする請求項6又は7記載の電子時計。
<請求項9>
前記制御部は、前記発振部が出力するクロック信号と、前記電波受信部の動作に係る受信動作発振部のクロック信号とを比較して、前記発振部が出力するクロック信号の周波数ずれの大きさを検出し、当該周波数ずれを調整することを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の電子時計。
<請求項10>
所定周波数のクロック信号を出力する発振部と、前記クロック信号の入力に応じて日時を計数する計時部と、前記所定周波数の変化に係る温度を計測する温度計測部と、測位衛星からの電波を受信する電波受信部と、を備える電子時計の日時取得制御方法であって、
前記温度計測部が計測する温度の履歴に基づいて前記計時部が計数する日時のずれ量を見積もるずれ算出ステップ、
前記計時部が計数する日時、見積もられた前記ずれ量及び前記電波受信部が受信した電波から得られる日時情報の一部分を組み合わせて現在日時を同定する日時同定ステップ、
を含むことを特徴とする日時取得制御方法。
<請求項11>
所定周波数のクロック信号を出力する発振部と、前記クロック信号の入力に応じて日時を計数する計時部と、前記所定周波数の変化に係る温度を計測する温度計測部と、測位衛星からの電波を受信する電波受信部と、を備える電子時計のコンピュータを、
前記温度計測部が計測する温度の履歴に基づいて前記計時部が計数する日時のずれ量を見積もるずれ算出手段、
前記計時部が計数する日時、見積もられた前記ずれ量及び前記電波受信部が受信した電波から得られる日時情報の一部分を組み合わせて現在日時を同定する日時同定手段、
として機能させることを特徴とするプログラム。
【符号の説明】
【0138】
1、1a、1d、1e 電子時計
40 マイコン
401 ホスト制御部
41 CPU
43 RAM
431 日時情報取得履歴情報
432 温度計測履歴
433 地方時設定
434 ペアリング設定
435 計時カウント設定
435e 論理緩急設定
46 発振回路
47 計時部
471 分周回路
4711 分周部
4712 論理緩急部
4712a インバータ
4712b 論理積回路
472 計時回路
50 衛星電波受信処理部
51 受信部
52 モジュール制御部
53 記憶部
531 受信制御情報
54 TCXO
61 操作受付部
62 表示部
621 表示画面
622 表示ドライバ
63 長波受信部
64 通信部
65 計測部
651 光量センサ
652 温度センサ
66 ROM
661 プログラム
662 温度計時ずれ対応情報
662a 温度計時ずれ対応テーブル
70 電力供給部
71 バッテリ
A1〜A3 アンテナ
T0 基準温度
Δt 計測間隔
Δτ ずれ量
τ 積算ずれ量
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13