(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、
図1〜
図7を参照して、この発明を携帯端末機に適用した一実施形態について説明する。
この携帯端末機は、
図1および
図2に示すように、前後方向(
図1では上下方向)に長い長方形状の機器ケース1を備えている。この機器ケース1は、上部ケース2と下部ケース3とを有し、これらの内部にモジュール(図示せず)が組み込まれるように構成されている。
【0012】
上部ケース2は、
図1に示すように、上面が長方形のほぼ平板状に形成され、その外周の側面部が下部ケース3に取り付けられるように構成されている。この場合、上部ケース2の上面におけるほぼ上辺側半分には、表示窓部4が設けられており、そのほぼ下辺側半分には、キー入力部5が設けられている。
【0013】
表示窓部4は、
図1に示すように、上部ケース2の上面にほぼ長方形状に形成され、上部ケース2内に設けられた表示パネル4aが対応して配置され、この表示パネルに4aに表示された情報が上部ケース2の上方から見えるように構成されている。キー入力部5は、テンキー、カーソルキー、ファンクションキーなどの携帯端末機に必要な各種のキーを備えている。
【0014】
下部ケース3は、
図2に示すように、その裏面(
図2では紙面の表面)における長手方向に沿う中央部がほぼ平坦状に形成されていると共に、長手方向に沿う両側面部が裏面に向けて円弧状に湾曲して形成され、この側面部の上部(
図2では紙面の裏面側に位置する下部)に上部ケース2の側面部の下部が取り付けられるように構成されている。
【0015】
この下部ケース3の上辺部側に位置する裏面(
図2では紙面の表面)には、
図2に示すように、光学読取部(図示せず)の読取窓部6が設けられている。この光学読取部は、レーザ光線を下部ケース3の読取窓部6から機器ケース1の外部に出射させ、そのレーザ光線の反射光を受光することにより、物品のバーコードなどを読み取るように構成されている。
【0016】
また、この下部ケース3の下辺部側には、
図2に示すように、電池蓋7が電池収納部(図示せず)を覆って取り付けられている。さらに、この下部ケース3の前後方向(
図2では上下方)におけるほぼ中間部に位置する両側部には、スイッチ部8がそれぞれ設けられている。
【0017】
ところで、これらスイッチ部8の各上辺側に位置する下部ケース3の両側部には、
図2および
図3に示すように、後述する開口部15を開閉可能に塞ぐキャップ部材10が、ねじ部材11によってそれぞれ取り付けられている。これらキャップ部材10それぞれは、左右方向の形状が異なる以外は同じ構成になっている。このため、以下の説明では、下部ケース3の一方の側部(
図2では右側の側部)に位置するキャップ部材10について説明する。
【0018】
このキャップ部材10は、シリコーン樹脂、ウレタン樹脂、エラストマなどの弾力性を有する合成樹脂で形成されている。このキャップ部材10は、
図2および
図5に示すように、キャップ本体部12と取付片部13とを有し、これらが一体に形成されている。キャップ本体部12は、ほぼ四角形状をなし、下部ケース3の側部と同じ形状で湾曲した形状に形成されている。取付片部13は、キャップ本体部12の端部に設けられ、下部ケース3の裏面に取り付けられるように構成されている。
【0019】
この場合、キャップ部材10は、
図2および
図3に示すように、下部ケース3の側部から裏面に亘る外周面に設けられたキャップ装着部14内に配置されるように構成されている。このキャップ装着部14は、
図3に示すように、キャップ本体部12が装着する本体装着凹部14aと、取付片部13が装着する取付装着凹部14bと、を有し、これらが下部ケース3の側部から裏面に亘る外面に連続して設けられている。
【0020】
この場合、本体装着凹部14aは、
図3に示すように、下部ケース3の側部に沿って湾曲して形成されている。この本体装着凹部14aには、開口部15が設けられている。この開口部15は、下部ケース3の長手方向に沿って長い長方形状に形成されている。この開口部15は、下部ケース3内に設けられたコネクタ(図示せず)が対応し、このコネクタを外部に露呈させるように構成されている。
【0021】
ところで、キャップ部材10のキャップ本体部12の内面(
図5では上面)には、
図5に示すように、本体装着凹部14aの開口部15に嵌合する嵌合部12aが設けられている。この嵌合部12aは、キャップ本体部12を本体装着凹部14aに弾力的に装着させた際に、本体装着凹部14aの開口部15に弾力的に嵌め込まれることにより、開口部15を密閉するように構成されている。
【0022】
一方、取付装着凹部14bは、
図3に示すように、下部ケース3の側部と裏面との間に位置する外面に設けられている。この取付装置凹部14b内には、ねじ部材11が螺着するねじ取付部16が設けられている。このねじ取付部16は、
図4および
図6に示すように、下部ケース3内に向けて円柱状に突出して形成されている。
【0023】
このねじ取付部16の中心部には、
図3、
図4および
図6に示すように、ねじ部材11が挿入するねじ挿入穴16aが下部ケース3内に貫通することなく設けられている。このねじ挿入穴16a内の底部には、ねじ部材11が螺着する金属製のナット17がインサート成型によって埋め込まれている。このナット17には、ねじ部材11が螺合する雌ねじ17aが貫通して設けられている、
【0024】
また、キャップ部材10の取付片部13の中心部には、
図5および
図6に示すように、ねじ取付部16のねじ挿入穴16aと同一軸上に対応するねじ挿入孔18が貫通して設けられている。このねじ挿入孔18には、金属製のワッシャ19がインサート成型によって埋め込まれている。このねじ挿入孔18は、ねじ部材11が差し込まれる上部側(
図5では下部側)が大径孔部18aに形成され、下部ケース3側に位置する下部側が小径孔部18bに形成されている。
【0025】
この場合、ねじ挿入孔18の大径孔部18aは、
図6に示すように、その内径がねじ部材11の頭部11aの外径よりも少し大きく形成され、かつ深さが頭部11aの軸方向の長さとほぼ同じ長さで形成されている。また、ねじ挿入孔18の小径孔部18bは、その内径がねじ部材11のねじ部11bの外径よりも少し大きく形成されている。
【0026】
これにより、このねじ挿入孔18の小径孔部18bは、
図6に示すように、その内径がねじ挿入穴16aおよびワッシャ19の孔19aとほぼ同じ大きさに形成されている。この場合、ナット17は、その雌ねじ17aがねじ取付部16のねじ挿入穴16a内に突出した状態で、雌ねじ17aの中心軸と、ねじ挿入穴16aの中心軸と、小径孔部18bの中心軸とが、すべて一致するように構成されている。
【0027】
ところで、キャップ部材10の取付片部13と、キャップ装着部14の取付装着凹部14bとには、
図6に示すように、ねじ部材11のねじ止めに伴うキャップ部材10の回転変位を規制する回転止め部20が設けられている。この回転止め部20は、ねじ部材11の周囲に位置するキャップ部材10の取付片部13に設けられた複数の傾斜係合部21と、下部ケース3の取付装着凹部14b内に設けられて取付片部13の複数の傾斜係合部21を係止する複数の傾斜係止部22と、を有している。
【0028】
複数の傾斜係合部21は、
図5〜
図7に示すように、キャップ部材10の取付片部13の下面(
図5では上面)にねじ挿入孔18の周囲に沿って放射状に設けられている。これら複数の傾斜係合部21それぞれは、ねじ部材11のねじ止めに伴うキャップ部材10の取付片部13の回転方向に沿って次第に突出する傾斜凸部に形成されている。
【0029】
また、複数の傾斜係止部22は、
図3、
図6、
図7に示すように、キャップ装着部14の取付装着凹部14b内の底部にねじ挿入穴16aの周囲に沿って放射状に設けられている。これら複数の傾斜係止部22それぞれは、ねじ部材11のねじ止めに伴うキャップ部材10の取付片部13の回転方向に沿って次第に深くなる傾斜凹部に形成されている。
【0030】
これにより、回転止め部20は、
図3、
図5〜
図7に示すように、キャップ部材10がキャップ装着部14に装着されて、キャップ部材10の嵌合部12aが本体装着凹部14aの開口部15に弾力的に嵌め込まれた際に、取付片部13のねじ挿入孔18が取付装着凹部14bのねじ挿入穴16aに対応した状態で、複数の傾斜係合部21が複数の傾斜係止部22にそれぞれ係合するように構成されている。
【0031】
また、この回転止め部20は、
図3、
図5〜
図7に示すように、複数の傾斜係合部21が複数の傾斜係止部22にそれぞれ係合した状態で、ねじ部材11を取付片部13のねじ挿入孔18から取付装着凹部14bのねじ挿入穴16aに挿入させて、ナット17の雌ねじ17aに螺合させて締め付けた際に、ねじ部材11のねじ止めに伴って取付片部13が回転変位すると、複数の傾斜係合部21が複数の傾斜係止部22に徐々に食い込んで、取付片部13の回転変位を規制するように構成されている。
【0032】
次に、このような携帯端末機の作用について説明する。
まず、機器ケース1の下部ケース3に設けられたキャップ装着部14にキャップ部材10を取り付ける場合について説明する。このときには、キャップ装着部14の本体装着凹部14aにキャップ部材10のキャップ本体部12を装着して、このキャップ本体部12の嵌合部12aを本体装着凹部14aの開口部15に嵌め込む。
【0033】
これと同時に、キャップ装着部14の取付装着凹部14bにキャップ部材10の取付片部13を装着する。すると、取付片部13のねじ挿入孔18が取付装着凹部14bのねじ挿入穴16aに同一軸上で対応すると共に、取付片部13の内面に設けられた複数の傾斜係合部21が取付装着凹部14b内の底部に設けられた複数の傾斜係止部22にそれぞれ係合する。
【0034】
この状態で、ねじ部材11のねじ部11bを取付片部13のねじ挿入孔18からワッシャ19の孔19aを経て取付装着凹部14bのねじ挿入穴16aに挿入させ、この挿入したねじ部材11のねじ部11bをねじ挿入穴16a内に埋め込まれたナット17の雌ねじ17aに螺入させる。このときには、ねじ部材11の頭部11aが取付片部13のねじ挿入孔18の大径孔部18aに挿入された状態で、頭部11aがねじ挿入孔18に埋め込まれたワッシャ19に当接する。
【0035】
この状態で、ねじ部材11の頭部11aを締め込むと、頭部11aがねじ挿入孔18内のワッシャ19に圧接することにより、ねじ部材11の締め付けに伴って取付片部13がねじ部材11の回転方向に変位する。このときには、取付片部13に設けられた複数の傾斜係合部21が、取付装着凹部14b内に設けられた複数の傾斜係止部22に相互に係合して徐々に食い込み、ねじ部材11の締め付けに伴う取付片部13の回転変位が規制される。
【0036】
すなわち、複数の傾斜係合部21は、ねじ部材11のねじ止めに伴うキャップ部材10の取付片部13の回転方向に沿って次第に突出する傾斜凸部に形成されており、複数の傾斜係止部22は、ねじ部材11のねじ止めに伴うキャップ部材10の取付片部13の回転方向に沿って次第に深くなる傾斜凹部に形成されている。
【0037】
これにより、ねじ部材11の締め付けに伴って取付片部13がねじ部材11の回転方向に変位すると、複数の傾斜係合部21が複数の傾斜係止部22に沿って徐々に食い込む。このため、ねじ部材11の締め付けに伴う取付片部13の回転変位が規制されるこれにより、ねじ部材11が締め付けられた際には、キャップ部材10の取付片部13が弾力性を有する材料で形成されていても、取付片部13がねじ部材11の締め付けに伴う回転方向への変位が抑制される。
【0038】
この場合、ねじ部材11を締め付けた際に、ワッシャ19によってねじ部材11の頭部11aが取付片部13に必要以上に食い込むことがないので、ねじ部材11の頭部によってワッシャ19をキャップ部材10の取付片部13に確実に押し付けることができる。これにより、ねじ部材11によってキャップ部材10の取付片部13をキャップ装着部14内に確実にかつ良好に押し付けて取り付けることができる。
【0039】
このため、キャップ部材10の取付片部13をキャップ装着部14の取付装着凹部14b内に弾力的に良好に装着させることができると共に、キャップ本体部12を装着本体凹部14a内に弾力的に良好に装着させて、キャップ本体部12の嵌合部12aを装着本体凹部14aの開口部15に確実にかつ良好に嵌着させることができ、これにより開口部15を確実に密閉することができる。
【0040】
また、このように、キャップ部材10がキャップ装着部14に装着された状態では、キャップ部材10がシリコーン樹脂、ウレタン樹脂、エラストマなどの弾性材料で形成されていることにより、キャップ部材10のキャップ本体部12をキャップ装着部14の装着本体凹部14a内から引き出す際に、キャップ部材10の取付片部13を弾力的に折り曲げることができるので、キャップ部材10を下部ケース3から取り外すことなく、装着本体凹部14aの開口部15を簡単にかつ容易に開放させることができる。
【0041】
これにより、開放された開口部15を通して機器ケース1の下部ケース3内に設けられたコネクタ(図示せず)を露出させることができるので、キャップ部材10をキャップ装着部14から取り外さなくても、露出したコネクタに接続部材(図示せず)を接続することにより、機器ケース1と外部機器(図示せず)とを電気的に接続することができる。
【0042】
また、キャップ部材10をキャップ装着部14から取り外す場合には、ねじ部材11を、取付装着凹部14bのねじ挿入穴16a内に埋め込まれたナット17から取り外して、取付片部13のねじ挿入孔18から抜き出す。この状態で、キャップ部材10をキャップ装着部14から取り出すことにより、簡単にキャップ部材10をキャップ装着部14から取り外すことができる。
【0043】
このように、この携帯端末機によれば、下部ケース3の開口部15を開閉可能に塞ぐキャップ部材10と、このキャップ部材10を下部ケース3に取り付けるねじ部材11と、このねじ部材11のねじ止めに伴うキャップ部材10の回転変位を規制する回転止め部20と、を備え、この回転止め部20が、ねじ部材11の周囲に位置するキャップ部材10に設けられた傾斜係合部21と、下部ケース3に設けられてキャップ部材10の傾斜係合部21を係止する傾斜係止部22とを有していることにより、ねじ止めによるキャップ部材10の回転変位を抑制し、防水性を確保することができる。
【0044】
すなわち、この携帯端末機では、下部ケース3の開口部15を塞ぐキャップ部材10を下部ケース3にねじ部材11によって取り付ける際に、ねじ部材11のねじ止めに伴ってキャップ部材10が回転変位しても、回転止め部20の傾斜係合部21と傾斜係止部22とを相互に係合させることができるので、ねじ部材11のねじ止めに伴うキャップ部材10の回転変位を確実に規制することができる。
【0045】
これにより、この携帯端末機では、ねじ部材11のねじ止めによるキャップ部材10の回転変位を抑制することができ、開口部15を確実に密閉して防水性を確保することができる。このため、製品としての携帯端末機の防水性に対する品質を安定化することできると共に、歩留まりの向上を図ることができ、製品としての携帯端末機の品質を向上させることができる。
【0046】
この場合、キャップ部材10は、キャップ本体部12と取付片部13とを有し、下部ケース3の外周面には、キャップ部材10が装着するキャップ装着部14が設けられ、このキャップ装着部14は、本体装着部凹部14aと取付装着凹部14bとを有し、本体装着部凹部14aに開口部15が設けられていることにより、キャップ部材10を下部ケース3のキャップ装着部14に外部から装着するだけで、簡単にキャップ装着部14の開口部15を塞ぐことができ、これにより機器全体の防水を図ることができる。
【0047】
すなわち、キャップ部材10をキャップ装着部14に装着した際には、キャップ本体部12が本体装着部凹部14aに装着し、取付片部13が取付装着凹部14bに装着し、この状態でキャップ本体部12に設けられた嵌合部12aがキャップ装着部14の開口部15に嵌着するので、キャップ部材10を下部ケース3に確実かつ良好に取り付けることができると共に、キャップ部材10によってキャップ装着部14の開口部15を確実にかつ良好に塞ぐことができ、これにより機器全体の防水を図ることができる。
【0048】
また、回転止め部20の傾斜係合部21は、ねじ部材11のねじ止めに伴うキャップ部材10の回転方向に沿って次第に突出する傾斜凸部に形成されていることにより、ねじ部材11を締め付けてキャップ部材10の取付片部13をキャップ装着部14の取付装着凹部14bに取り付ける際に、ねじ部材11の締め付けに伴って取付片部13がねじ部材11の回転方向に変位すると、傾斜係合部21が傾斜係止部22に圧接する圧接力を徐々に高めることができ、これによりねじ部材11の締め付けに伴う取付片部13の回転を確実に規制して抑制することができる。
【0049】
また、回転止め部20の傾斜係止部22は、ねじ部材11のねじ止めに伴うキャップ部材10の回転方向に沿って次第に深くなる傾斜凹部に形成されていることにより、ねじ部材11を締め付けてキャップ部材10の取付片部13をキャップ装着部14の取付装着凹部14bに取り付ける際に、ねじ部材11の締め付けに伴って取付片部13がねじ部材11の回転方向に変位すると、傾斜係合部21を傾斜係止部22に圧接させながら徐々に食い込ませることができ、これによってもねじ部材11の締め付けに伴う取付片部13の回転を確実に規制して抑制することができる。
【0050】
この場合、傾斜係合部21は、キャップ部材10の取付片部13の下面にねじ挿入孔18の周囲に沿って放射状に設けられており、傾斜係止部22は、キャップ装着部14の取付装着凹部14b内の底部にねじ挿入穴16aの周囲に沿って放射状に設けられていることにより、ねじ部材11の締め付けに伴って取付片部13がねじ部材11の回転方向に変位する際に、複数の傾斜係合部21を複数の傾斜係止部22にそれぞれ係合させることができるので、ねじ部材11の締め付けに伴う取付片部13の回転を、より一層、確実に規制して抑制することができる。
【0051】
また、キャップ部材10は、シリコーン樹脂、ウレタン樹脂、エラストマなどの弾性材料で形成されていることにより、下部ケース3の開口部15を弾力的に確実に塞ぐことができる。すなわち、キャップ部材10を下部ケース3のキャップ装着部14に弾力的に装着することができるので、簡単にかつ確実にキャップ装着部14の開口部15を塞いで密閉することができ、これにより機器の防水性を確保することができる。
【0052】
この場合、キャップ部材10をキャップ装着部14に装着する際には、キャップ本体部12を本体装着部凹部14aに弾力的に装着させることができ、取付片部13を取付装着凹部14bに弾力的に装着させることができ、この状態でキャップ本体部12に設けられた嵌合部12aをキャップ装着部14の開口部15に弾力的に嵌着させることができる。このため、キャップ部材10を下部ケース3のキャップ装着部14に確実かつ良好に装着することができる。
【0053】
また、キャップ部材10は、ねじ部材11が挿入する金属製のワッシャ19がインサート成型によって埋め込まれた構成であるから、ねじ部材11によってキャップ部材10を下部ケース3に取り付ける際に、ねじ部材11の頭部11aをワッシャ19に押し当てることができる。このため、キャップ部材10がシリコーン樹脂、ウレタン樹脂、エラストマなどの弾性材料で形成されていても、ねじ部材11によってキャップ部材10を下部ケース3に確実にかつ良好に取り付けることができる。
【0054】
すなわち、ワッシャ19は、キャップ部材10の取付片部13に設けられたねじ挿入孔18内における大径孔部18aと小径孔部18bとの境界部に埋め込まれ、ねじ挿入孔18の大径孔部18aにねじ部材11の頭部11aが挿入する構成であるから、ねじ部材11の頭部11aをねじ挿入孔18の大径孔部18aに挿入させて、ねじ部材11を締め付けた際に、ねじ部材11の頭部11aによってワッシャ19を押し付けることができ、このワッシャ19によってキャップ部材10を下部ケース3に確実にかつ良好に取り付けることができる。
【0055】
また、下部ケース3のねじ取付部16に設けられたねじ挿入穴16a内の底部には、ねじ部材11が螺合する金属製のナット17がインサート成型によって埋め込まれているので、下部ケース3が合成樹脂で形成されていても、ねじ部材11をナット17の雌ねじ17aに強く締め付けることができるので、キャップ部材10を下部ケース3に強固に取り付けることができる。
【0056】
なお、上述した実施形態では、傾斜係合部21をねじ部材11のねじ止めに伴うキャップ部材10の取付片部13の回転方向に沿って次第に突出する傾斜凸部に形成し、傾斜係止部22をねじ部材11のねじ止めに伴うキャップ部材10の取付片部13の回転方向に沿って次第に深くなる傾斜凹部に形成した場合について述べたが、これに限らず、傾斜係合部21をねじ部材11のねじ止めに伴うキャップ部材10の取付片部13の回転方向に沿って次第に深くなる傾斜凹部に形成し、傾斜係止部22をねじ部材11のねじ止めに伴うキャップ部材10の取付片部13の回転方向に沿って次第に突出する傾斜凸部に形成した構成であっても良い。
【0057】
また、上述した実施形態では、携帯端末機に適用した場合について述べたが、必ずしも携帯端末機である必要はなく、例えば携帯電話機や携帯型の情報処理装置などの各種の電子機器に広く適用することができる。
【0058】
以上、この発明の一実施形態について説明したが、この発明は、これに限られるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲を含むものである。
以下に、本願の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
【0059】
(付記)
請求項1に記載の発明は、開口部が設けられたケースと、前記ケースの前記開口部を開閉可能に塞ぐキャップ部材と、前記キャップ部材を前記ケースに取り付けるねじ部材と、前記ねじ部材のねじ止めに伴う前記キャップ部材の回転変位を規制する回転止め部と、を備え、前記回転止め部は、前記キャップ部材に設けられた傾斜係合部と、前記ケースに設けられて前記キャップ部材の前記傾斜係合部を係止する傾斜係止部と、を有していることを特徴とするキャップ取付構造である。
【0060】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のキャップ取付構造において、前記傾斜係合部は、前記ねじ部材のねじ止めに伴う前記キャップ部材の回転方向に沿って次第に突出する傾斜凸部に形成されていることを特徴とするキャップ取付構造である。
【0061】
請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載のキャップ取付構造において、前記傾斜係止部は、前記ねじ部材のねじ止めに伴う前記キャップ部材の回転方向に沿って次第に深くなる傾斜凹部に形成されていることを特徴とするキャップ取付構造である。
【0062】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜請求項3のいずれかに記載のキャップ取付構造において、前記キャップ部材は、弾性材料で形成されていることを特徴とするキャップ取付構造である。
【0063】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載のキャップ取付構造において、前記キャップ部材は、前記ねじ部材が挿入する金属製のワッシャがインサート成型によって埋め込まれていることを特徴とするキャップ取付構造である。
【0064】
請求項6に記載の発明は、請求項1〜請求項5のいずれかに記載のキャップ取付構造において、前記回転止め部は、前記ねじ部材の取り付け位置を取り巻くように前記ねじ部材の取り付け位置の周囲に複数設けられていることを特徴とするキャップ取付構造である。
【0065】
請求項7に記載の発明は、請求項1〜請求項6のいずれかに記載されたキャップ取付構造を備えていることを特徴とする電子機器である。