(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記補強部材は、前記芯部材に対する巻き始め端部から巻き終わり端部に亘って、前記強化繊維に対する前記プラズマの照射量が連続的に漸減してなる請求項2または3に記載の構造体。
前記補強部材は、前記芯部材に対する巻き始め端部から巻き終わり端部に亘って、前記強化繊維に対する前記プラズマの照射量が段階的に漸減してなる請求項2または3に記載の構造体。
前記芯部材に対する巻き始め端部から、当該巻き始め端部と巻き終わり端部との間に位置する途中部位までにおける前記補強部材は、前記強化繊維に対して、前記プラズマが一定量照射されてなり、
前記途中部位から前記巻き終わり端部までにおける前記補強部材は、前記強化繊維に対して、前記プラズマが照射されていない請求項2または3に記載の構造体。
前記補強部材の前記芯部材に対する巻き始め端部から巻き終わり端部に亘って、前記強化繊維に対して、前記プラズマを連続的に漸減しながら照射する請求項10または11に記載の構造体の製造方法。
前記補強部材の前記芯部材に対する巻き始め端部から巻き終わり端部に亘って、前記強化繊維に対して、前記プラズマを段階的に漸減しながら照射する請求項10または11に記載の構造体の製造方法。
前記補強部材の前記芯部材に対する巻き始め端部から、当該巻き始め端部と巻き終わり端部との間に位置する途中部位に亘って、前記補強部材を構成する前記強化繊維に対して、前記プラズマを一定量照射し、前記補強部材の前記途中部位から前記巻き終わり端部に亘って、前記補強部材を構成する前記強化繊維に対して、前記プラズマを照射しない請求項10または11に記載の構造体の製造方法。
プラズマ電圧、電流、周波数、電極、ガス条件の少なくとも一つを調整して前記プラズマの照射強度を調整することによって、前記プラズマの照射量を調整する請求項9〜16のいずれか1項に記載の構造体の製造方法。
前記プラズマの照射部と前記強化繊維との間にフィルターを設けて、前記プラズマの照射強度を調整することによって、前記プラズマの照射量を調整する請求項9〜17のいずれか1項に記載の構造体の製造方法。
前記プラズマを前記強化繊維に対して照射する際における前記強化繊維の搬送速度を変えることによって、前記プラズマの照射量を調整する請求項9〜18のいずれか1項に記載の構造体の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付した図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。本実施形態では構造体の一例として、補強部材20がライナー10(芯部材に相当)の外周面10Aに巻き付けてなる高圧ガス貯蔵容器1を挙げて説明する。
【0012】
図1は、本実施形態に係る高圧ガス貯蔵容器1を示す図である。
図2は、ライナー10の外周面10Aに補強部材20が巻き付けられる前の様子を示す図である。
図3は、ライナー10の外周面10Aに補強部材20が巻き付けられた後の様子を示す図である。
図4は、樹脂22が含浸された強化繊維21からなる補強部材20の一部を示す断面図である。
図5は、プラズマPの照射量分布を示すグラフである。
図6は、補強層30に発生する応力と補強層30の材料強度との関係を示すグラフである。なお、理解の容易のため、
図1では、補強部材20をライナー10の外周面10Aに巻き付けている過程を示している。また、
図2では、プラズマPの照射および樹脂22を含浸する様子は省略する。
【0013】
<高圧ガス貯蔵容器>
本実施形態に係る高圧ガス貯蔵容器1は、概説すると、
図1〜
図3に示すように、水素ガス等の高圧ガスを収容するライナー10と、ライナー10の外周面10Aに帯状の補強部材20を巻き付けて形成した補強層30と、を有する。
【0014】
また、高圧ガス貯蔵容器1は、
図4に示すように、樹脂22が含浸された強化繊維21からなる補強部材20を備える。補強部材20は、
図2、5に示すように、強化繊維21に対してプラズマPが照射されてなる第1領域A1と、強化繊維21に対して第1領域A1よりも少ない量のプラズマPが照射されてなる第2領域A2と、を有する。第1領域A1は、第2領域A2よりも強度が求められる、補強層30の内周側に位置する。以下、本実施形態に係る高圧ガス貯蔵容器1の構成を詳述する。
【0015】
ライナー10は、円筒形状からなるタンクとして形成されている。ライナー10は、ガスバリア性を有し、高圧ガスの外部への透過を抑制する。ライナー10は、
図1に示すように、軸方向Xの中央に設けられる胴部11と、胴部11の軸方向Xの両側に設けられる鏡部12と、鏡部12の一方に設けられる口金13と、を有する。
【0016】
胴部11は、軸方向Xに延在するように、筒状に構成される。
【0017】
鏡部12は、軸方向Xの外方に向けて漸減するように湾曲する。
【0018】
口金13は、鏡部12から軸方向Xの外方に向けて突出して構成される。口金13には、配管を接続するか、あるいは開閉バルブや減圧バルブを備えたバルブ機構を接続し、高圧ガス貯蔵容器1に対して、高圧ガスの充填および放出を行う。なお、口金13は、両側の鏡部12に設けられていてもよい。
【0019】
ライナー10を構成する材料は、金属製または合成樹脂製を用いることができる。金属製としては、例えば、鉄、アルミニウム、ステンレスなどを用いることができる。合成樹脂製としては、例えば、ポリエチレン、ポリアミド、ポリプロピレンなどを用いることができる。
【0020】
補強層30は、
図2、3に示すように、補強部材20の巻き始め端部20aから巻き終わり端部20bまでを、ライナー10の外周面10Aに、所定数巻き付けることによって形成する。本明細書において、巻き始め端部20aとは、補強部材20がライナー10の外周面10Aに巻き始められる際の端部を意味し、巻き終わり端部20bとは、補強部材20がライナー10の外周面10Aに巻き終わる際の端部を意味する。
【0021】
補強部材20を巻き付ける回数、すなわち、補強層30の層数は、特に限定されないが、例えば20〜30である。このように、補強部材20をライナー10の外周面10Aに巻き付けることによって、補強層30は、ライナー10の耐圧強度を向上させる。
【0022】
補強層30は、
図1に示すように、補強部材20を胴部11に対して円周方向に沿って巻き付けてなるフープ層31と、補強部材20を胴部11および鏡部12に対して螺旋状に巻き付けてなるヘリカル層32と、を有する。フープ層31およびヘリカル層32は、交互に積層されている。なお、フープ層31およびヘリカル層32は、交互に積層されていなくてもよい。すなわち、例えば、補強部材20をフープ層31が2層形成するように巻き付けた後に、ヘリカル層32が2層形成するように巻き付けてもよい。
【0023】
フープ層31は、補強部材20が胴部11に巻かれてなるため、胴部11の径方向の引張強度に寄与する。ヘリカル層32は、補強部材20が胴部11および鏡部12に巻かれてなるため、高圧ガス貯蔵容器1の軸方向Xの強度を確保する。
【0024】
補強層30を構成する補強部材20は、
図4に示すように、樹脂22が含浸された強化繊維21からなる。
【0025】
本実施形態に係る強化繊維21は、プラズマPが照射されてなる。このように、強化繊維21にプラズマPを照射することによって、強化繊維21に酸性官能基を付加させることができる。したがって、強化繊維21に対する樹脂22の密着性が向上し、補強部材20としての強度が向上する。
【0026】
強化繊維21は、
図2、5に示すように、補強層30を構成する補強部材20の内周側の第1領域A1において、プラズマPが比較的多く照射され、補強層30を構成する補強部材20の外周側の第2領域A2において、プラズマPが比較的少なく照射される。より具体的には、強化繊維21は、
図5に示すように、補強部材20の巻き始め端部20aから巻き終わり端部20bに亘って、プラズマPの照射量が連続的に漸減してなる。
【0027】
このようにプラズマPが照射された強化繊維21からなる補強部材20は、プラズマPの照射量分布と同様に、巻き始め端部20aから巻き終わり端部20bに亘って、強度が連続的に漸減する。
【0028】
そして、このような補強部材20をライナー10の外周面10Aに巻き付けて補強層30を形成する。このとき、補強層30の径方向r(
図3参照)に沿う強度分布は、
図6の実線に示すように、径方向rの内周側から外周側に向かって強度が低下した分布となる(
図6矢印参照)。
【0029】
一方、高圧ガス貯蔵容器1には、ライナー10の内部に貯蔵された高圧ガスから内圧が作用して、これに起因して、補強層30には、応力σが発生する。
【0030】
補強層30に発生する応力σは、
図3に示すように、高圧ガスの内圧をP、補強層30の最外周における径をr2、補強層30の最内周における径をr1とすると、径方向rの位置Rにおいて、下記式(1)によって示される。
【0032】
このように、補強層30に発生する応力σは、
図6の点線に示すように、内周側から外周側にかけて連続的に漸減する。
【0033】
本実施形態において、補強部材20は、
図6に示すように、補強層30に発生する応力σに対して耐えうる強度を有している。
【0034】
補強部材20を構成する強化繊維21としては、例えば、炭素繊維、ガラス繊維、ポリアミド繊維などを用いることができる。本実施形態では、一例として、熱膨張係数が小さく寸法安定性に優れ、高温下においても機械的特性の低下が少ない炭素繊維を挙げて説明する。強化繊維21は、炭素繊維が1000本から50000本程度の束の状態で構成される。
【0035】
補強部材20を構成する樹脂22としては、例えば、熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂を用いることができる。熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂を用いることができる。熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリアミド樹脂、ポリプロピレン樹脂を用いることができる。
【0036】
<高圧ガス貯蔵容器の製造装置>
次に、
図7を参照して、本実施形態に係る高圧ガス貯蔵容器1の製造装置100を説明する。
図7は、高圧ガス貯蔵容器1の製造装置100を示す図である。
【0037】
高圧ガス貯蔵容器1の製造装置100は、
図7に示すように、収納部110と、照射部120と、含浸部130と、搬送部140と、検知部150と、制御部160と、を有する。
【0038】
収納部110は、ボビン状の強化繊維21を収納する。収納部110は、ボビン状の強化繊維21がセットされるセット部111と、強化繊維21の張力を維持する4つのローラ112〜115と、を有する。
【0039】
照射部120は、強化繊維21に対してプラズマPを照射する。照射部120は、本出願人が特願2014−181512に開示するように、強化繊維21の表面21AにY方向(表面21Aに直交する直交方向)に対して傾斜した方向からプラズマPを照射することが好ましい。なお、照射部120は、Y方向に対して30°以上傾斜した方向から強化繊維21の表面21AにプラズマPを照射することが好ましい。このように、Y方向に対して傾斜した方向からプラズマPを照射することによって、プラズマガスは、強化繊維21の表面21Aに傾斜して照射されるため、プラズマガスの圧縮が抑制され、かつ中心の高温部分を逃して照射することができる。したがって、強化繊維21の損傷を低減しつつ、効率よくプラズマPを強化繊維21に照射して強化繊維21に酸性官能基を付加することができる。
【0040】
照射部120の電源としては、交流電源121を用いることが好ましい。交流電源121は、アース(接地)される。
【0041】
照射部120から照射されるプラズマPの照射強度は、プラズマ電圧、電流、周波数、電極、およびガス条件(ガスの組成)を調整することによって、調整することができる。以下、本実施形態において、「プラズマPの照射強度を調整する」とは、上述のプラズマ電圧、電流、周波数、電極、およびガス条件の少なくとも一つを調整することによって、プラズマPの照射強度を調整することを意味するものとする。
【0042】
以下、プラズマPの照射条件の一例について説明する。
【0043】
プラズマ電圧は、プラズマPの発生し易さの観点から、例えば200〜400Vであって、260〜280Vであることが好ましい。
【0044】
パルス放電周波数は、プラズマPの発生し易さの観点から、例えば10〜30kHzであって、16〜20kHzであることが好ましい。
【0045】
プラズマ照射距離は、例えば2〜30mmであって、10〜15mmであることが好ましい。プラズマ照射距離が短いと強化繊維21が損傷する可能性があり、長いと表面改質効果が小さくなる。
【0046】
プラズマ照射時間は、例えば0.1〜5.0秒であって、0.5〜1.0秒であることが好ましい。プラズマ照射時間が短いと表面改質効果が小さくなり、長いと強化繊維21が損傷する可能性がある。
【0047】
プラズマガスとしては、例えば酸素、窒素、またはヘリウムを0.5%以上含む混合ガスを用いることができる。
【0048】
含浸部130は、プラズマPが照射された強化繊維21に樹脂22を含浸させる。含浸部130は、
図7に示すように、樹脂22が貯蔵された貯蔵部131と、強化繊維21に接しつつ強化繊維21の搬送と同期して回転する回転部132と、を有する。含浸部130は、さらに、回転部132に付着する樹脂22の量を調整する調整部133と、搬送方向における回転部132の上流側および下流側に設けられ張力を維持する一対のローラ134、135と、を有する。また、含浸部130は、さらに、下流側のローラ135の下流側に設けられ強化繊維21をライナー10に向けてガイドするガイド部136を有する。
【0049】
貯蔵部131は、
図7に示すように、上方に凹部131Aを備えており、凹部131Aに、樹脂22が貯蔵される。
【0050】
回転部132は、下方において、凹部131Aに貯蔵される樹脂22に接するとともに、上方において、搬送される強化繊維21に接しながら回転する。回転部132は、強化繊維21の搬送と同期して、時計回りに回転する。このように回転部132が時計回りに回転することによって、回転部132の外周に付着された樹脂22が、上方に持ち上げられ、プラズマPが照射された強化繊維21に対して付着する。これによって、強化繊維21に樹脂22を含浸させることができ、補強部材20が形成する。なお、回転部132は、ローラ134、135とともに、プラズマPが照射された強化繊維21の張力を維持する。
【0051】
調整部133は、回転部132の外周に付着した樹脂22の量を調整する。調整部133は、回転部132の外周に付着した樹脂22に接触することによって、樹脂22を所定の量だけ除去する除去部133Aと、除去部133Aを回転部132に対して接近離間可能に移動させる移動部133Bと、を有する。
【0052】
移動部133Bによって、除去部133Aを、
図7の右側に移動すると、回転部132の外周に付着した樹脂22はより多くの量が除去される。一方、移動部133Bによって、除去部133Aを、
図7の左側に移動すると、回転部132の外周に付着した樹脂22はより少ない量が除去される。
【0053】
ガイド部136は、樹脂22が含浸された強化繊維21を、ライナー10に向けてガイドする。ガイド部136は、L字形状を有する。
【0054】
なお、含浸部130の構成は、プラズマPが照射された強化繊維21に樹脂22を含浸することのできる構成であれば、特に限定されない。
【0055】
搬送部140は、強化繊維21を、
図7の左側から右側に向けて搬送しつつ、表面21AにプラズマPが照射された強化繊維21に樹脂22を含浸してなる補強部材20を、ライナー10の外周面10Aに巻き付ける。搬送部140は、モーターである。
【0056】
検知部150は、強化繊維21の搬送速度を検知する。検知部150としては、公知の速度センサを用いることができる。検知部150が配置される箇所は、強化繊維21が搬送される範囲であれば、特に限定されない。
【0057】
制御部160は、照射部120、搬送部140などの動作制御を行う。制御部160としては、CPU、RAM、ROM等を備える公知のマイクロコンピュータにより構成されたものを用いることができる。
【0058】
<高圧ガス貯蔵容器の製造方法>
次に、
図8のフローチャートを参照して、本実施形態に係る高圧ガス貯蔵容器1の製造方法について説明する。なお、本実施形態に係る高圧ガス貯蔵容器1の製造方法は、フィラメントワインディング法によって行われる。
【0059】
まず、ボビン状の強化繊維21をセット部111にセットするとともに、ライナー10を
図7に示す位置にセットした状態で、搬送部140を動作させる。これによって、ライナー10が回転し、強化繊維21が搬送される(S01)。このとき、検知部150は、強化繊維21の搬送速度を検知する。
【0060】
次に、照射部120は、搬送される強化繊維21に対して、プラズマPを照射する(S02)。
【0061】
プラズマPを照射する工程では、補強部材20の巻き始め端部20aから巻き終わり端部20bに亘って、補強部材20を構成する強化繊維21に対して、プラズマPを連続的に漸減しながら照射する(
図5参照)。
【0062】
プラズマPの照射量は、照射部120の照射強度および強化繊維21の搬送速度を調整することによって、調整する。
【0063】
すなわち、搬送方向の前方側から後方側に向けて、照射部120の照射強度が弱くなるように調整する操作、および、強化繊維21の搬送速度を早くする操作の少なくとも一方の操作を行って、強化繊維21に対するプラズマPの照射量を連続的に漸減させる。
【0064】
次に、プラズマPが照射された強化繊維21に樹脂22を含浸させて補強部材20を形成する(S03)。
【0065】
補強部材20の強度は、プラズマPの照射量分布と同様に、巻き始め端部20aから巻き終わり端部20bに亘って連続的に漸減する。
【0066】
次に、補強部材20をライナー10の外周面10Aに巻き付けて補強層30を形成する(S04)。
【0067】
補強部材20の強度は、巻き始め端部20aから巻き終わり端部20bに亘って連続的に漸減するために、補強部材20を巻き付けて形成する補強層30は、径方向rに沿って、
図6の実線に示す強度分布を備える。
【0068】
また、
図9に示すように、一定の角速度ωでライナー10を回転させて、補強部材20をライナー10の外周面10Aに巻き付ける場合、巻き付ける際の径に応じて、強化繊維21の搬送速度が変化する。具体的には、より外周側において補強部材20が巻き付けられる場合、強化繊維21の搬送速度は速くなる。したがって、搬送方向の前方側から後方側に向けて、強化繊維21の搬送速度は速くなる。したがって、補強部材20の巻き始め端部20aから巻き終わり端部20bに亘って、強化繊維21に対するプラズマPの照射量は漸減する。本実施形態では、これに加えて、角速度ωを早くしたり、照射部120の照射強度を弱くしたりして、巻き始め端部20aから巻き終わり端部20bに亘って、補強部材20を構成する強化繊維21に対するプラズマPの照射量を漸減させることが好ましい。
【0069】
次に、
図10A〜
図12を参照して、本実施形態に係る高圧ガス貯蔵容器1の効果を説明する。
【0070】
図10Aは、プラズマPを照射しない場合における、補強層に発生する応力と補強層の材料強度との関係を示すグラフである。
【0071】
このとき、高い応力が発生する補強層の内周側において強度設計を行っている。このため、
図10Aにおいて符号S1で示される面積に相当する過剰な強度設計が行われており、高圧ガス貯蔵容器の重さが増大している。
【0072】
これに比して、ライナー10の外周面10Aに対して上述の補強部材20を巻き付けてなる補強層30の場合、
図10Bに示すように、補強層30の強度は外周側から内周側に向けて増大するように向上する(
図10B矢印参照)。そして、補強層30の強度が向上した分、外周側に加えて内周側にも強度の余裕代が発生する。
【0073】
そして、補強層30の強度分布を超えない程度に、ライナー10の外周面10Aに巻き付ける補強部材20の量を低減することができる。この結果、
図10Cに示すように、補強層30に発生する応力は増大するが、
図10Cにおいて符号S2で示される面積は、
図10Aにおいて符号S1で示される面積よりも小さくなる。このため、過剰な強度設計は緩和されることになる。よって、適切な強度を保ちつつ、補強部材20のライナー10に対して巻き付ける量を低減して補強層30の肉厚を低減することで、高圧ガス貯蔵容器1を軽量化することができる。
【0074】
また、
図11は、高圧ガス貯蔵容器に作用する圧力とひずみとの関係を示すグラフである。
図11において、横軸は圧力を示し、縦軸はひずみを示している。また、
図11においてひし形のプロットを含む直線は、プラズマが照射されていない強化繊維を含む高圧ガス貯蔵容器の圧力とひずみとの関係を示す。また、矩形状のプロットを含む直線は、本実施形態に係る高圧ガス貯蔵容器1の圧力とひずみとの関係を示す。また、
図11において、ひずみは実験値を示しており、補強層の外周側に貼り付けられたひずみゲージによって測定される。
【0075】
図11に示すように、強化繊維21に対してプラズマPを照射することによって、ひずみの数値が低下することが分かる。すなわち、プラズマPを照射することによって、補強部材20の強度が向上することが分かる。
【0076】
また、本実施形態に係る高圧ガス貯蔵容器1によれば、補強部材20を構成する強化繊維21は、補強部材20のライナー10に対する巻き始め端部20aから巻き終わり端部20bに亘って、プラズマPの照射量が連続的に漸減してなる。よって、補強層30の外周側よりも内周側の強度を高めることができる。したがって、外周側において意図しない外力F1が、高圧ガス貯蔵容器1に作用した場合、
図12に示すように、外周側に優先的にクラックCを発生させることができる。よって、外観によってクラック発生部位を検知することができ、検知性を向上することができる。
【0077】
また、本実施形態に係る高圧ガス貯蔵容器1によれば、補強部材20を構成する強化繊維21は、補強部材20のライナー10に対する巻き始め端部20aから巻き終わり端部20bに亘って、プラズマPの照射量が連続的に漸減してなる。よって、補強部材20の強度分布は、巻き始め端部20aから巻き終わり端部20bに向かって、連続的に漸減するため、層31、32間のせん断破壊の発生を好適に抑制することができる。
【0078】
以上説明したように、本実施形態に係る高圧ガス貯蔵容器1は、樹脂22が含浸された強化繊維21からなる補強部材20を備える構造体である。補強部材20は、強化繊維21に対してプラズマPが照射されてなる第1領域A1と、強化繊維21に対して第1領域A1よりも少ない量のプラズマPが照射されてなる第2領域A2と、を有する。また高圧ガス貯蔵容器1は、第1領域A1を第2領域A2よりも強度が求められる箇所に位置させて、補強部材20を設けてなる。このように構成した高圧ガス貯蔵容器1によれば、強化繊維21にプラズマPを照射することによって、強化繊維21に酸性官能基を付加させることができる。このため、強化繊維21に対する樹脂22の密着性が向上し、補強部材20の強度を向上させることができる。そして、相対的に多くのプラズマPを照射することによって相対的に強度が向上した第1領域A1を、強度が求められる補強層30の内周側に位置させる。したがって、肉厚を低減したとしても、プラズマPが照射されることによって強度が向上しているため、適切な強度を保つことができる。以上から、適切な強度を保ちつつ、肉厚を低減することによって、全体として軽量化することができる。
【0079】
また、高圧ガス貯蔵容器1は、ライナー10である芯部材をさらに有し、補強部材20は帯状を有する。帯状の補強部材20は、ライナー10の外周面10Aに巻き付けられて複数の層からなる補強層30を構成する。補強層30は、当該補強層30の内周側が第1領域A1によって構成され、当該補強層30の外周側が第2領域A2によって構成される。このように構成した構造体によれば、補強層30の内周側の強度を高くすることができる。したがって、補強層30の内周側に高い圧力が作用するような構造体に対しても、適切な強度を保ちつつ、補強部材20を巻き付ける量を低減することができる。したがって、補強層30の肉厚を低減して、製品全体として軽量化することができる。
【0080】
また、芯部材は、高圧ガスを収容するライナー10である。このため、高圧ガス貯蔵容器1に対して、適切な強度を保ちつつ、補強部材20を巻き付ける量を低減することができる。したがって、補強層30の肉厚を低減して、製品全体として軽量化することができる。
【0081】
また、補強部材20は、ライナー10に対する巻き始め端部20aから巻き終わり端部20bに亘って、強化繊維21に対するプラズマPの照射量が連続的に漸減してなる。この構成によれば、補強部材20の強度は、巻き始め端部20aから巻き終わり端部20bに向かって連続的に漸減するため、層31、32間のせん断破壊の発生を好適に抑制することができる。
【0082】
また、以上説明したように、本実施形態に係る高圧ガス貯蔵容器1の製造方法は、樹脂22が含浸された強化繊維21からなる補強部材20を備える高圧ガス貯蔵容器1の製造方法である。高圧ガス貯蔵容器1の製造方法は、強化繊維21に対してプラズマPを照射して、樹脂22を含浸させて、補強部材20に第1領域A1を形成する。そして、強化繊維21に対して第1領域A1よりも少ない量のプラズマPを照射して、樹脂22を含浸させて、補強部材20に第2領域A2を形成する。そして、第1領域A1を第2領域A2よりも強度が求められる箇所に位置させる。この製造方法によれば、強化繊維21にプラズマPを照射することによって、強化繊維21に酸性官能基を付加させることができる。このため、強化繊維21に対する樹脂22の密着性が向上し、補強部材20の強度を向上させることができる。そして、相対的に多くのプラズマPを照射することによって相対的に強度が向上した第1領域A1を、強度が求められる補強層30の内周側に位置させる。したがって、肉厚を低減したとしても、プラズマPが照射されることによって強度が向上しているため、適切な強度を保つことができる。以上から、適切な強度を保ちつつ、肉厚を低減することによって、全体として軽量化することのできる高圧ガス貯蔵容器1を提供することができる。
【0083】
また、帯状に構成される強化繊維21を搬送し、搬送方向の前方側において、強化繊維21に対してプラズマPを照射して、樹脂22を含浸させて、補強部材20に第1領域A1を形成する。また、搬送方向の後方側において、強化繊維21に対して第1領域A1よりも少ない量のプラズマPを照射して、樹脂22を含浸させて、補強部材20に第2領域A2を形成する。そして、第1領域A1および第2領域A2が形成された補強部材20をライナー10である芯部材に巻き付ける。この製造方法によれば、補強層30の内周側の強度を高くすることができる。したがって、補強層30の内周側に高い圧力が作用するような構造体に対しても、適切な強度を保ちつつ、補強部材20を巻き付ける量を低減することができる。したがって、補強層30の肉厚を低減して、製品全体として軽量化することができる。
【0084】
また、芯部材は、高圧ガスを収容するライナー10である。このため、高圧ガス貯蔵容器1に対して、適切な強度を保ちつつ、補強部材20を巻き付ける量を低減することができる。したがって、補強層30の肉厚を低減して、製品全体として軽量化することができる。
【0085】
また、補強部材20のライナー10に対する巻き始め端部20aから巻き終わり端部20bに亘って、強化繊維21に対して、プラズマPを連続的に漸減しながら照射する。この製造方法によれば、補強部材20の強度が、巻き始め端部20aから巻き終わり端部20bに向かって連続的に漸減する、高圧ガス貯蔵容器を製造することができる。このため、層31、32間のせん断破壊の発生を好適に抑制することができる。
【0086】
また、プラズマ電圧、電流、周波数、電極、ガス条件の少なくとも一つを調整してプラズマPの照射強度を調整することによって、プラズマPの照射量を調整する。この製造方法によれば、強化繊維21に対するプラズマPの照射量を容易に調整することができる。したがって、
図10Cにおいて符号S2で示される面積が小さくなるように、補強部材20の強度を調整することができる。このように、符号S2で示される面積がより小さくなることによって、過剰な強度設計がより緩和される。
【0087】
また、プラズマPを強化繊維21に対して照射する際における強化繊維21の搬送速度を変えることによって、プラズマPの照射量を調整する。この製造方法によれば、強化繊維21に対するプラズマPの照射量が少ない補強層30の外周側における強化繊維21に対してプラズマPを照射する際に、強化繊維21の搬送速度を早くすることができる。したがって、製造時間を短縮することができ、生産性が向上する。
【0088】
また、強化繊維21の表面21Aに、表面21Aに直交するY方向に対して傾斜した方向からプラズマPを照射する。この製造方法によれば、プラズマガスは、強化繊維21の表面21Aに傾斜して照射されるため、プラズマガスの圧縮が抑制され、かつ中心の高温部分を逃して照射することができる。したがって、強化繊維21の損傷を低減しつつ、効率よくプラズマPを強化繊維21に照射して強化繊維21に酸性官能基を付加することができる。
【0089】
<改変例1>
以下、上述した実施形態の改変例1について説明する。
【0090】
改変例1に係る高圧ガス貯蔵容器は、強化繊維21に対するプラズマPの照射量分布が、上述した実施形態に係る高圧ガス貯蔵容器1と相違する。
【0091】
図13は、改変例1に係るプラズマPの照射量分布を示すグラフである。
【0092】
改変例1に係る高圧ガス貯蔵容器の強化繊維21は、
図13に示すように、補強部材20のライナー10に対する巻き始め端部20aから巻き終わり端部20bに亘って、プラズマPの照射量が段階的に漸減してなる。
【0093】
より具体的には、
図13に示すように、フープ層31aにおいて、プラズマPが一定量照射されている。また、フープ層31aの外周側に隣り合うヘリカル層32において、フープ層31aよりも少ない量のプラズマPが照射されている。さらに、ヘリカル層32の外周側に隣り合うフープ層31bにおいて、ヘリカル層32よりも少ない量のプラズマPが照射されている。以下、ヘリカル層32、フープ層31の順で、外周側に向けて、段階的にプラズマPの照射量が漸減する。
【0094】
このようにプラズマPが照射された強化繊維21からなる補強部材20は、プラズマPの照射量分布と同様に、巻き始め端部20aから巻き終わり端部20bに亘って、強度が段階的に漸減する。
【0095】
そして、このような補強部材20をライナー10の外周面10Aに巻き付けて補強層30を形成した場合、補強層30の径方向rに沿う強度分布は、上述した実施形態に係る補強層30の強度分布と同様に、径方向rの内周側から外周側に向かって強度が低下する。
【0096】
次に、改変例1に係る高圧ガス貯蔵容器の製造方法を説明する。
【0097】
ここでは、プラズマPを照射する工程についてのみ説明する。
【0098】
プラズマPを照射する工程では、補強部材20のライナー10に対する巻き始め端部20aから巻き終わり端部20bに亘って、補強部材20を構成する強化繊維21に対して、プラズマPを段階的に漸減しながら照射する。以下、プラズマPを照射する工程について詳述する。
【0099】
プラズマPを照射する工程は、フープ層31において巻き付けられる補強部材20を構成する強化繊維21にプラズマPを一定量照射する第1照射工程を有する。また、プラズマPを照射する工程は、ヘリカル層32において巻き付けられる補強部材20を構成する強化繊維21にプラズマPを一定量照射する第2照射工程を有する。
【0100】
第1照射工程および第2照射工程は交互に行われ、第1照射工程から第2照射工程に切り替わる際、および第2照射工程から第1照射工程に切り替わる際に、プラズマPの照射量を減らす。
【0101】
以上説明したように、改変例1に係る高圧ガス貯蔵容器において、補強部材20は、ライナー10に対する巻き始め端部20aから巻き終わり端部20bに亘って、強化繊維21に対するプラズマPの照射量が段階的に漸減してなる。このように構成した高圧ガス貯蔵容器によれば、補強層30の内周側の強度を高くすることができる。したがって、補強層30の内周側に高い圧力が作用するような高圧ガス貯蔵容器に対しても、適切な強度を保ちつつ、補強部材20を巻き付ける量を低減することができる。したがって、補強層30の肉厚を低減して、製品全体として軽量化することができる。
【0102】
また、補強層30は、層31、32ごとに、強化繊維21に対するプラズマPの照射量が段階的に漸減してなる。このため、一つの層31、32におけるプラズマPの照射量は一定となる。よって、一つの層31、32における補強層30の強度を一定にすることができるため、好適な強度分布を備える高圧ガス貯蔵容器を提供することができる。
【0103】
また、改変例1に係る高圧ガス貯蔵容器の製造方法は、補強部材20のライナー10に対する巻き始め端部20aから巻き終わり端部20bに亘って、強化繊維21に対して、プラズマPを段階的に漸減しながら照射する。この製造方法によれば、補強層30の内周側の強度を高い高圧ガス貯蔵容器を製造することができる。したがって、内周側に高い圧力が作用するような高圧ガス貯蔵容器に対しても、適切な強度を保ちつつ、補強部材20を巻き付ける量を低減することができる。したがって、補強層30の肉厚を低減して、製品全体として軽量化することができる。
【0104】
また、プラズマPを強化繊維21に対して照射する際に、プラズマPを照射する対象が、一の層における強化繊維21から、一の層の外周側において隣り合う他の層における強化繊維21に切り替わる際に、プラズマPの照射量を減らす。この製造方法によれば、一つの層31、32におけるプラズマPの照射量は一定となる。よって、一つの層31、32における補強層30の強度を一定にすることができるため、好適な強度分布を備える高圧ガス貯蔵容器を提供することができる。
【0105】
<改変例2>
以下、上述した実施形態の改変例2について説明する。
【0106】
改変例2に係る高圧ガス貯蔵容器は、強化繊維21に対するプラズマPの照射量分布が、上述した実施形態に係る高圧ガス貯蔵容器1と相違する。
【0107】
図14は、改変例2に係るプラズマPの照射量分布を示すグラフである。
【0108】
改変例2において、
図14に示すように、巻き始め端部20aから、巻き始め端部20aと巻き終わり端部20bとの間に位置する途中部位20c(
図2参照)までにおける補強部材20を構成する強化繊維21には、プラズマPが一定量照射されてなる。また、途中部位20cから巻き終わり端部20bまでにおける補強部材20を構成する強化繊維21には、プラズマPは照射されない。
【0109】
このようにプラズマPが照射された強化繊維21からなる補強部材は、プラズマPの照射量分布と同様に、巻き始め端部20aから途中部位20cまでのみにおいて、強度が向上した強度分布を備える。
【0110】
次に、改変例2に係る高圧ガス貯蔵容器の製造方法を説明する。
【0111】
ここでは、プラズマPを照射する工程についてのみ説明する。
【0112】
プラズマPを照射する工程では、巻き始め端部20aから途中部位20cに亘って、補強部材20を構成する強化繊維21に対して、プラズマPを一定量照射する。そして、その後、プラズマPの照射をやめる。すなわち、途中部位20cから巻き終わり端部20bに亘って、補強部材20を構成する強化繊維21に対してはプラズマPを照射しない。
【0113】
次に、
図15A〜
図15Cを参照して、改変例2に係る高圧ガス貯蔵容器の効果を説明する。
【0114】
図15Aは、プラズマPを照射しない場合における、補強層に発生する応力と補強層の材料強度との関係を示すグラフである。
【0115】
このとき、上述したように、高い応力が発生する補強層の内周側において強度設計を行っている。このため、
図15Aにおいて符号S1で示される面積に相当する過剰な強度設計が行われており、高圧ガス貯蔵容器の重さが増大している。
【0116】
これに比して、ライナー10の外周面10Aに対して改変例2に係る補強部材20を巻き付けてなる補強層30の場合、
図15Bに示すように、補強層30の内周側における強度は向上する(
図15B矢印参照)。そして、補強層30の内周側における強度が向上した分、外周側に加えて内周側にも強度の余裕代が発生する。
【0117】
そして、補強層30の強度分布を超えない程度に、ライナー10の外周面10Aに巻き付ける補強部材20の量を低減することができる。この結果、
図15Cに示すように、補強層30に発生する応力は増大するが、
図15Cにおいて符号S3で示される面積は、
図15Aにおいて符号S1で示される面積よりも小さくなる。このため、過剰な強度設計は緩和されることになる。よって、適切な強度を保ちつつ、補強部材20のライナー10に対して巻き付ける量を低減して補強層30の肉厚を低減することで、高圧ガス貯蔵容器を軽量化することができる。
【0118】
以上説明したように、改変例2に係る高圧ガス貯蔵容器において、巻き始め端部20aから途中部位20cまでにおける補強部材20は、強化繊維21に対して、プラズマPが一定量照射されてなる。また、途中部位20cから巻き終わり端部20bまでにおける補強部材20は、強化繊維21に対して、プラズマPが照射されない。このような補強部材20を製造する際、プラズマPの照射を途中部位20cにおいて止めればよい。したがって、高圧ガス貯蔵容器を容易に製造することができる。
【0119】
また、以上説明したように、改変例2に係る高圧ガス貯蔵容器の製造方法では、巻き始め端部20aから途中部位20cに亘って、補強部材20を構成する強化繊維21に対して、プラズマPを一定量照射する。また、途中部位20cから巻き終わり端部20bに亘って、補強部材20を構成する強化繊維21に対して、プラズマPを照射しない。この製造方法によれば、プラズマPの照射を途中部位20cにおいて止めればよいので、高圧ガス貯蔵容器を容易に製造することができる。
【0120】
本発明は、上述した実施形態および改変例に限定されるものではなく、特許請求の範囲内で種々改変できる。
【0121】
上述した実施形態、改変例1、および改変例2では、構造体としてライナー10の外周面10Aに補強部材20が巻き付けられてなる高圧ガス貯蔵容器を例に挙げて説明した。しかしながら、構造体として、
図16に示すような、自動車のパネル5に適用されてもよい。自動車のパネル5は、補強部材20を芯部材としてパネル形状に形成されてなる。パネル5は、RTM(Resin Transfer Molding)成形法によって形成される。例えば、パネル5に対して、
図16に示す外力F2が作用する場合、相対的に多くのプラズマPが照射されることによって相対的に強度が向上した第1領域A1を、外力F2が作用する部位周辺に位置させる。これによって、肉厚を低減したとしても、プラズマPが照射されることによって強度が向上しているため、適切な強度を保つことができる。以上から、適切な強度を保ちつつ、肉厚を低減することによって、全体として軽量化することのできるパネル5を提供することができる。
【0122】
また、上述した実施形態では、プラズマ電圧、電流、周波数、電極、およびガス条件を調整することによって、プラズマPの照射強度を調整した。しかしながら、照射部120および強化繊維21との間にフィルターを設けることによって、プラズマPの照射強度を調整してもよい。この構成によれば、プラズマ電圧、電流、周波数、電極、ガス条件を操作することなく、容易に強化繊維21に対するプラズマPの照射量を調整することができる。
【0123】
また、上述した実施形態では、ライナー10は円筒状を有したが、四角柱形状等であってもよい。
【0124】
さらに、本出願は、2016年3月4日に出願された日本特許出願番号2016−042733号に基づいており、それらの開示内容は、参照され、全体として、組み入れられている。