(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
レンズバレルを取り付けることが可能なレンズホルダと、該レンズホルダの外周囲に配置された固定部と、前記レンズホルダをレンズの光軸方向へ駆動するための駆動機構と、前記レンズホルダの前記光軸方向の位置を検出する位置検出部と、を備えたレンズホルダ駆動装置であって、
前記固定部は、前記レンズホルダの下側に配置されたベース部材を含み、
前記駆動機構は、前記ベース部材上に立設して設けられたヨークと、前記レンズホルダの周囲に固定される駆動コイルと、前記光軸方向と直交する第1の方向で、前記ヨークの対向する一対の内壁面に、前記駆動コイルと対向するようにそれぞれ配置された一対の平板状駆動用マグネット片を含む駆動用マグネットと、を備え、
前記位置検出部は、前記光軸方向および前記第1の方向と直交する第2の方向で、前記レンズホルダの対応する外周面に取り付けられた、一対のセンサ用マグネットの一方と、該一方のセンサ用マグネットに対向して前記固定部に設けられた磁気検知素子と、を含み、
前記ヨークは、筒形状の外筒部を備え、
前記外筒部は、前記光軸と直交する方向で互いに対向する複数の板部を含み、複数の前記板部は、前記一方のセンサ用マグネットと対向する箇所に、切り欠き部を持ち、
前記板部の切り欠き部から異物が内部へ侵入するのを防止する異物侵入防止部材を設け、
前記一対の平板状駆動用マグネット片と前記一対のセンサ用マグネットとは、前記光軸に関して点対称の位置に配置されており、
前記レンズホルダ駆動装置は、前記レンズホルダと前記固定部とをその上部側で連結する上側板バネと、前記レンズホルダと前記固定部とをその下部側で連結する下側板バネと、を更に含み、
前記位置検出部は、前記下側板バネの近傍に設けられており、
前記ヨークは略四角筒状をしており、
前記駆動コイルは、前記上側板バネの近傍側で、前記レンズホルダの周囲に固定されており、
前記ベース部材は、リング状のベース部と、前記第2の方向で互いに対向して、前記ベース部から上方へ突出する第1および第2の突出部と、を備え、前記第1の突出部は、矩形孔を持ち、
前記磁気検知素子は、前記ベース部材の前記第1の突出部の前記矩形孔に挿入されて樹脂で固着されており、
前記ヨークの前記外筒部は、略四角筒形状をしており、
前記ヨークは、前記外筒部の上端で内側へ突出する略四角形のリング状上端部と、該リング状上端部の内側の四隅で前記光軸と平行に垂直下方へ延在する内側垂直延在部と、を更に備え、
前記外筒部は、前記複数の板部として、前記第2の方向で互いに対向する第1および第2の板部を含み、前記第1および第2の板部は、前記切り欠き部として、前記一対のセンサ用マグネットと対向する箇所で、それぞれ、下方へ開放した第1および第2の切り欠き部を持ち、
前記固定部は、前記ヨークの内壁面に収容されるように、前記ベース部材と前記ヨークとの間に挟まれるように設けられた内部筐体を更に含み、
前記第1の突出部と、前記第2の突出部と、前記内部筐体との組み合わせが、前記異物侵入防止部材として働き、
前記内部筐体は、前記ヨークの前記外筒部の内壁面の上方に設けられるリング状部と、該リング状部の四隅から前記光軸と平行に下方へ垂直に延在する垂直延在部と、前記リング状部の前記第2の方向で互いに対向する一対の辺から前記光軸と平行に下方へ延在する第1および第2のU字状板部と、を備え、
前記第1の板部の前記第1の切り欠き部の近傍において、前記ベース部材の前記第1の突出部と前記内部筐体の前記第1のU字状板部とが嵌合し、
前記第2の板部の前記第2の切り欠き部の近傍において、前記ベース部材の前記第2の突出部と前記内部筐体の前記第2のU字状板部とが嵌合している、
ことを特徴とするレンズホルダ駆動装置。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
【0031】
[第1の実施の形態]
図1乃至
図4を参照して、本発明の第1の実施の形態に係るレンズホルダ駆動装置10について説明する。
【0032】
図1はレンズホルダ駆動装置10の外観斜視図である。
図2はレンズホルダ駆動装置10の分解斜視図である。
図3は
図1の線III−IIIについての縦断面図である。
図4は
図1の線IV−IVについての縦断面図である。
【0033】
ここでは、
図1乃至
図4に示されるように、直交座標系(X,Y,Z)を使用している。
図1乃至
図4に図示した状態では、直交座標系(X,Y,Z)において、X軸方向は前後方向(奥行方向)であり、Y軸方向は左右方向(幅方向)であり、Z軸方向は上下方向(高さ方向)である。そして、
図1乃至
図4に示す例においては、上下方向Zがレンズの光軸O方向である。尚、本実施の形態において、Y軸方向(左右方向)は第1の方向とも呼ばれ、X軸方向(前後方向)は第2の方向とも呼ばれる。
【0034】
但し、実際の使用状況においては、光軸O方向、すなわち、Z軸方向が前後方向となる。換言すれば、Z軸の上方向が前方向となり、Z軸の下方向が後方向となる。
【0035】
図示のレンズホルダ駆動装置10は、駆動機構(アクチュエータ)として、ボイス・コイル・モータ(VCM)を使用したVCM方式を採用した、レンズホルダ駆動装置である。VCM方式のレンズホルダ駆動装置は、後述するように、駆動機構(アクチュエータ)として、駆動コイルと、ヨークおよび永久磁石から構成される磁気回路とを備えている。図示のレンズホルダ駆動装置10は、VCM方式の駆動機構として、「ムービングコイル方式」の駆動機構を採用している。
【0036】
図示のレンズホルダ駆動装置10は、オートフォーカス(AF)可能なカメラ付きの携帯電話機、スマートフォン、ノート型パソコン、タブレット型パソコン、携帯型ゲーム機、Webカメラ、車載用カメラなどの携帯端末に備えられる。
【0037】
図示のレンズホルダ駆動装置10は、レンズバレル11を保持するレンズホルダ14(後述する)を光軸O方向に移動させるためのものである。従って、光軸Oは駆動軸(中心軸)である。レンズホルダ駆動装置10は、Z軸方向(光軸O方向)の下側(後側)に配置されたベース部材(アクチュエータ・ベース)12を有する。
【0038】
このベース部材(アクチュエータ・ベース)12の下部(後部)に、センサ基板(図示せず)が配置される。センサ基板は、撮像素子やクロック発生源などの電子部品を搭載する。レンズホルダ駆動装置10およびセンサ基板は、シールドケース(図示せず)で覆われる。シールドケースは、センサ基板から発生する電磁ノイズを遮蔽するためのものである。
【0039】
レンズホルダ駆動装置10と、センサ基板と、撮像素子と、シールドケースとの組み合わせによって、カメラモジュールが構成される。
【0040】
撮像素子は、レンズバレル11により結像された被写体像を撮像して電気信号に変換する。撮像素子は、例えば、CCD(charge coupled device)型イメージセンサ、CMOS(complementary metal oxide semiconductor)型イメージセンサ等により構成される。
【0041】
レンズホルダ駆動装置10は、レンズアバレル11を保持するための筒状部140を有するレンズホルダ14と、このレンズホルダ14に筒状部140の外周囲に位置するように固定されたリング状の駆動コイル16と、この駆動コイル16と対向する駆動用マグネット18を備えた略四角筒状のヨーク20と、レンズホルダ14の筒状部140の光軸O方向両側に設けられた一対の板バネ22、24とを備える。
【0042】
レンズバレル11をレンズホルダ14に装着するには、レンズバレル11をレンズホルダ14内に収容し、接着剤などによって互いに接合する。
【0043】
また、駆動用マグネット18とヨーク20との組み合わせによって、磁気回路が構成される。
【0044】
一対の板バネ22、24は、レンズホルダ14を径方向に位置決めした状態で光軸O方向に変位可能に支持する。一対の板バネ22、24のうち、一方の板バネ22は上側板バネと呼ばれ、他方の板バネ24は下側板バネと呼ばれる。
【0045】
また、前述したように、実際の使用状況においては、Z軸方向(光軸O方向)の上方向が前方向、Z軸方向(光軸O方向)の下方向が後方向となる。したがって、上側板バネ22は前側スプリングとも呼ばれ、下側板バネ24は後側スプリングとも呼ばれる。
【0046】
上側板バネ(前側スプリング)22および下側板バネ(後側スプリング)24は、例えば、ステンレス鋼やベリリウム銅やニッケル銅などの金属製からなる。そして、上側板バネ(前側スプリング)22および下側板バネ(後側スプリング)24は、所定の薄板に対するプレス加工、あるいはフォトリソグラフィ技術を用いたエッチング加工により製造される。尚、プレス加工よりもエッチング加工の方が好ましい。その理由は、エッチング加工では、板バネに残留応力が残らないからである。
【0047】
また、板バネの材料としては、ベリリウム銅よりもステンレス鋼、特に、高硬度ステンレス鋼を用いることが好ましい。その理由は、ベリリウムの化合物は毒性が強いことが知られており、環境上の観点から、板バネの材料としてベリリウム銅以外の材料を使用すること(ベリリウムフリー)が望まれているからである。尚、高硬度ステンレス鋼としては、例えば、日本金属工業株式会社製のNTK S−4や、NTK 301(SUS301)を使用することができる。
【0048】
図1に示されるように、ヨーク20は略四角筒状をしている。すなわち、ヨーク20は、実質的に四角筒形状の外筒部202と、この外筒部202の上端(前端)で外筒部202の内側へ突出する略四角形のリング状上端部204とを有する。また、ヨーク20は、リング上端部204の内側の四隅で光軸Oと平行に垂直下方へ延在する4本の内側垂直延在部206をも有する。
【0049】
従って、駆動コイル16も、略四角筒状のヨーク20の形状に合わせた、略四角筒状をしている。より詳細には、駆動コイル16は、ヨーク20の4辺と平行に対向して配置された4つの長辺部162と、ヨーク40の四隅に対向する4つの短辺部164とから成る、八角筒状をしている。駆動コイル16は、ヨーク20の外筒部202と4本の内側垂直延在部206との間のスペースに収容されるように、上側板バネ22の近傍側で、レンズホルダ14の筒状部140の外壁に取り付けられている。
【0050】
図3に示されるように、図示の駆動用マグネット18は、ヨーク20の外筒部202の左右方向Yで対向する2つの内壁面に、駆動コイル16と間隔を置いて対向するように配置された、2個の平板状駆動用マグネット片182から成る。換言すれば、各平板状駆動用マグネット片182は、その水平方向の両端がヨーク20の前後方向Xで対向する2辺の近くまで延在している。そして、駆動コイル16は、各平板状駆動用マグネット片182の水平方向の両端近傍付近まで近接して配置されている。
【0051】
このような構造により、磁気回路の磁気効率の低下を抑えることができる。
【0052】
各平板状駆動用マグネット片182は、径方向に着磁されており、内周側と外周側とが異なる極に着磁されている。図示の例においては、
図3に示されるように、各平板状駆動用マグネット片182は、内周側がN極に着磁され、外周側がS極に着磁されている。
【0053】
駆動コイル16と2個の平板状駆動用マグネット片182とヨーク20との組み合わせによって、「ムービングコイル方式」の駆動機構が構成される。
【0054】
ヨーク20の
外筒部202は、前後方向Xで互いに対向する前側板部202Fおよび後側板部202Bと、左右方向Yで互いに対向する左側板部202Lおよび右側板部202Rとから構成される。前側板部202Fは、下方で開放した前側切り欠き部202aを持ち、後側板部202Bも、下方で開放した後側切り欠き部202bを持つ。前側板部202Fは、前側切り欠き部202aで下方へ突出した突起部207を持つ。前側板部202Fは第1の板部とも呼ばれ、後側板部202Bは第2の板部とも呼ばれる。また、前側切り欠き部202aは第1の切り欠き部とも呼ばれ、後側切り欠き部202bは第2の切り欠き部とも呼ばれる。
【0055】
一方、ベース部材(アクチュエータ・ベース)12は、リング状のベース部120と、前後方向Xで対向してベース部120から上下方向Zの上方へ突出する一対の突出部122、123とを有する。ここでは、前側に設けられた突出部122は前側突出部と呼び、後側に設けられた突出部123を後側突出部と呼ぶことする。また、前側突出部122は第1の突出部とも呼ばれ、後側突出部123は第2の突出部とも呼ばれる。
【0056】
図示のレンズホルダ駆動装置10は、ベース部材(アクチュエータ・ベース)12とヨーク20との間に挟まれるように設けられたスペーサ30を更に備える。スペーサ30は、内部筐体とも呼ばれる。スペーサ〈内部筐体〉30は、実質的にヨーク20の内壁面に収容されるような形状をしている。詳述すると、スペーサ(内部筐体)30は、ヨーク20の外筒部202の内壁面の上方に設けられるリング状部302と、リング状部302の四隅から光軸Oと平行に下方へ垂直に延在する4個の垂直延在部304と、リング状部302の前後方向Xで対向する一対の辺から光軸Oと平行に下方へ延在する一対のU字状板部305、306とを有する。ここでは、前側に設けられたU字状板部305を前側U字状板部と呼び、後側に設けられたU字状板部306を後側U字状板部と呼ぶことにする。また、前側U字状板部305は第1のU字状板部とも呼ばれ、後側U字状板部306は第2のU字状板部とも呼ばれる。
【0057】
ベース部材(アクチュエータ・ベース)12とスペーサ(内部筐体)30との組み合わせによって、固定部(12,30)が構成される。
【0058】
図4に示されるように、ヨーク20の前側切り欠き部(第1の切り欠き部)202a近傍において、ベース部材12の前側突出部(第1の突出部)122とスペーサ(内部筐体)30の前側U字状板部(第1のU字状板部)305とが噛み合っている(係合している)。そして、ヨーク20の後側切り欠き部(第2の切り欠き部)202b近傍において、ベース部材12の後側突出部(第2の突出部)123とスペーサ(内部筐体)30の後側U字状板部(第2の切り欠き部)306とが噛み合っている(係合している)。
【0059】
尚、ベース部材12の前側突出部(第1の突出部)122は、後述する磁気検知素子であるホールセンサ344が挿入される矩形孔122aを持つ。また、レンズホルダ14の筒状部140は、Z軸(光軸O)を中心に前後方向Xで対向する外壁部の下方に、後述する一対のセンサ用マグネット342a、342bを収容する一対の収容部140aを有する。
【0060】
図示のレンズホルダ駆動装置10は、レンズホルダ14の光軸O方向の位置を検出する位置検出部34を更に備える。
【0061】
図4に示されるように、位置検出部34は、下側板バネ24の近傍側に設けられている。詳述すると、位置検出部34は、レンズホルダ14の筒状部140の上記一対の収容部140aに収容された、一対のセンサ用マグネット342a、342bの内の一方(図示の例では、前側のセンサ用マグネット342a)と、一方のセンサ用マグネット342aと対向して、上記ベース部材12の矩形孔122aに挿入して設けられたホールセンサ344と、から成る。
【0062】
各センサ用マグネット342a、342bは、光軸O方向に着磁されており、上面側と下面側とが異なる極に着磁されている。図示の例においては、
図4に示されるように、各センサ用マグネット342a、342bは、上面側がS極に着磁され、下面側がN極に着磁されている。
【0063】
本第1の実施の形態では、センサ用マグネット342a、342bとして、キュリー点が400℃以上の永久磁石を使用している。そのような永久磁石としては、例えば、サマリウムコバルト磁石や、フェライト磁石、アルニコ磁石を使用することができる。これにより、センサ用マグネット342a、342bの使用環境での熱減磁を抑えることができる。
【0064】
このように、本第1の実施の形態では、駆動用マグネット18と位置検出部30の一対のセンサ用マグネット342a、342bとが互いに離間して配置されている。そのため、駆動用マグネット18で発生した磁束が位置検出部34に対して悪影響を及ぼすのを防止することできる。その結果、位置検出部34は、レンズホルダ14の光軸O方向の位置を正確に検出することができる。
【0065】
また、本第1の実施の形態では、
図3及び
図4に示されるように、2個の平板状駆動用マグネット片182の極性と一対のセンサ用マグネット342a、342bの極性とを最適化することにより、相互間の干渉を有効に使用することが可能となる。詳述すると、駆動用マグネット18がヨーク20の内壁面に配置されることでヨーク20自体がS極となる。センサ用マグネット342a、342bはヨーク20に近い方(上側)をS極にすると、若干の磁気干渉(反発方向)はあるが、初期位置は板バネ22、24のばね力とのつり合いで決定される。仮にセンサ用マグネット342a、342bの上側をN極とした場合はヨーク20と引き合う力が大きくなり、初期位置が安定しない状態となる。
【0066】
尚、センサ用マグネット342a、342bの磁力を小さくすれば、この磁気干渉も小さくなる。しかしながら、その場合、ホールセンサ344の出力も同時に小さくなってしまい、ホールセンサ344の出力のS/N比が悪化してしまう。したがって、センサ用マグネット342a、342bはヨーク20から遠ざける位置に配置するのが望ましく、磁気干渉の影響も含めた状態で、ホールセンサ344の位置が最適に決められることになる。つまり、センサ用マグネット342a、342bは、可能なだけヨーク20と離れる位置であって、かつ、駆動用マグネット18から一番離れている位置に配置することが望ましい。
【0067】
さらに、一対のセンサ用マグネット342a、342bを、光軸Oに関して点対称な位置に配置しているので、レンズホルダ駆動装置10の動的なバランスをとることができる。その結果、可動部を安定して光軸O方向に上下動させることができる。
【0068】
さらにまた、一対のセンサ用マグネット342a、342bを、光軸Oに関して点対称な位置に配置することにより、一対のセンサ用マグネット342a、342bから磁気回路(駆動用マグネット18、ヨーク20)に対する磁気干渉効果を有効にすることができる。その結果、可動部を光軸O方向に上下動させたときの過渡応答の時間を短縮することができるという効果も奏する。
【0069】
尚、2個の平板状駆動用マグネット片182の極性と一対のセンサ用マグネット342a、342bの極性とは、
図3及び
図4に図示したものに限定されず、互いに反対の極性であってもよい。すなわち、各平板状駆動用マグネット片182は、内周側がS極に着磁され、外周側がN極に着磁されてよく、各センサ用マグネット342a、342bは、上面側がN極に着磁され、下面側がS極に着磁されてよい。
【0070】
尚、
図2および
図4に示されるように、ホールセンサ344は、フレキシブルプリント基板(FPC)40上に搭載されている。
図1および
図4に示されるように、フレキシブルプリント基板(FPC)40は、ヨーク20の前側切り欠き部202aで、ヨーク20の突起部207に差し込まれた状態で、ベース部材12の前側突出部122の外壁に取り付けられている。
図1に示されるように、フレキシブルプリント基板(FPC)40には、左右方向Yの両端側に内側へ凹むように形成された一対のすり鉢状のくぼみ401が施されている。
【0071】
尚、一対のセンサ用マグネット342a、342bが、レンズホルダ14の筒状部140のZ軸(光軸O)を中心に前後方向Xで対向する外壁部の下方に構成された一対の収容部140aへそれぞれ収容されるのは、レンズホルダ14の移動時又は静止時のバランスを保つため、Z軸(光軸O)を中心に均等重量配置するため、かつ平板状駆動用マグネット片182との磁気的な干渉力(反発力)を均等にするためであ
る。
【0072】
上側板バネ(前側スプリング)22はレンズホルダ14における光軸O方向上側(前側)に配置され、下側板バネ(後側スプリング)24はレンズホルダ14における光軸O方向下側(後側)に配置される。
【0073】
図5乃至
図7を参照して、上側板バネ22と下側板バネ24の形状およびそれらの関係について説明する。
【0074】
図5は、上側板バネ22をベース部材12から見上げた状態の形状を示す平面図である。
図6は、下側板バネ24をベース部材12から見上げた状態の形状を示す平面図である。
図7は、上側板バネ22と下側板バネ24との間の関係を示す平面図である。
【0075】
最初に、
図5を参照して、上側板バネ22の形状について説明する。
【0076】
上側板バネ22は、レンズホルダ14の上端部に取り付けられる上側内周側端部222と、スペーサ30のリング状部302に取り付けられる上側外周側端部224とを有する。上側内周側端部222と上側外周側端部224との間には、周方向に沿って4本の上側アーム部226が設けられている。各上側アーム部226は、上側内周側端部222と上側外周側端部224とを繋いでいる。各上側アーム部226は、180度折り返したUターン形状部分226aを含む。
【0077】
次に、
図6を参照して、下側板バネ24の形状について説明する。
【0078】
下側板バネ24は、レンズホルダ14の下端部に取り付けられる下側内周側端部242と、アクチュエータ・ベース(ベース部材)12に取り付けられる下側外周側端部244とを有する。下側内周側端部242と下側外周側端部244との間には、周方向に沿って4本の下側アーム部246が設けられている。各下側アーム部246は、下側内周側端部242と下側外周側端部244とを繋いでいる。各下側アーム部246は、180度折り返したUターン形状部分246aを含む。
【0079】
次に、
図7を参照して、上側板バネ22と下側板バネ24との間の関係について説明する。
【0080】
図7から明らかなように、上側板バネ22の4本の上側アーム部226と下側板バネ24の4本の下側アーム部246とは、平面視、実質的に同一の形状をしている。
【0081】
次に、駆動コイル16への給電方法について説明する。
【0082】
図6に示されるように、下側板バネ24は、当該下側板バネ24を介して駆動コイル18への給電を可能とするために、互いに電気的に絶縁された第1及び第2のバネ片24−1及び24−2から構成されている。第1の板バネ片24−1と第2の板バネ片24−2とは、レンズの光軸Oを中心にして実質的に回転対称の形状をしている。
【0083】
第1の板バネ片24−1は、下側外周側端部244から前方へ突出する第1の外部接続端子244−1を持つ。第2の板バネ片24−2も、下側外周側端部244から前方へ突出する第2の外部接続端子244−2を持つ。
【0084】
一方、第1の板バネ片24−1は、下側内周側端部242から後方へ突出する第1の端子部242−1を持つ。第2の板バネ片24−2は、下側内周側端部242から前方へ突出する第2の端子部242−2を持つ。第1の端子部242−1は、駆動コイル18の第1の末端部(図示せず)とはんだで電気的に接続される。第2の端子部242−2は、駆動コイル16の第2の末端部(図示せず)とはんだで電気的に接続される。
【0085】
図1に示されるように、下側板バネ24の第1および第2の外部接続端子244−1および244−2は、フレキシブルプリント基板(FPC)40の一対のすり鉢状のくぼみ401から外部へ突出して設けられる。
【0086】
したがって、フレキシブルプリント基板(FPC)40は、下側板バネ24の第1の外部接続端子244−1、下側板バネ24の第1の板バネ片24−1および第1の端子部242−1を介して、駆動コイル16の第1の末端部に電気的に接続される。同様に、フレキシブルプリント基板(FPC)40は、下側板バネ24の第2の外部接続端子244−2、下側板バネ24の第2の板バネ片24−2および第2の端子部242−2を介して、駆動コイル16の第2の末端部に電気的に接続される。
【0087】
このようにして、フレキシブルプリント基板(FPC)40から下側板バネ24を介して駆動コイル16への給電が行われる。
【0088】
駆動コイル16に通電することで、駆動用マグネット18の磁界と駆動コイル16に流れる電流による磁界との相互作用によって、レンズホルダ14(レンズバレル11)に光軸O方向の駆動力を発生させ、この駆動力と一対の板バネ22、24の復元力(付勢力)とをバランスさせることによって、レンズホルダ14(レンズバレル11)の光軸O方向の位置を調整することが可能である。
【0089】
図8を参照して、フレキシブルプリント基板(FPC)40に形成された端子部の導体パターンについて説明する。
図8(A)はレンズホルダ駆動装置10の正面図であり、
図8(B)はフレキシブルプリント基板(FPC)40の導体パターンの7つの端子とそれらに接続される端子との間の関係を示す表である。
【0090】
図8(A)に示されるように、フレキシブルプリント基板(FPC)40は、導体パターンとして、右側から左側へ第1乃至第7の端子Pin1〜Pin7を持つ。
【0091】
図8(B)に示されるように、第1の端子Pin1には、下側板バネ24の第1の外部接続端子244−1であるACT Terminal(+)が接続され、第2の端子Pin2には、ホールセンサ344の第1の出力端子Hall output(-)が接続され、第3の端子Pin3には、ホールセンサ344の第1の入力端子Hall input(+)が接続される。第4の端子Pin4には、接地端子GNDが接続される。第5の端子Pin5には、ホールセンサ344の第2の出力端子Hall output(+)が接続され、第6の端子Pin6には、ホール素子344の第1の入力端子Hall input(-)が接続され、第7の端子Pin7には、下側板バネ24の第2の外部接続端子244−2であるACT Terminal(-)が接続される。
【0092】
次に、
図9乃至
図12を参照して、下側板バネ24の構成について更に詳細に説明する。
【0093】
図9および
図10は、ベース部材12からレンズホルダ駆動装置10の組立て体を見上げた状態を示す平面図であって、
図9は下側板バネ24に後述する弾性接着剤45を設ける(塗布する)前の状態を示す図であり、
図10は下側板バネ24に弾性接着剤45を設けた(塗布した)後の状態を示す図である。
図11は、
図9の一部を拡大して示す部分拡大図であり、
図12は、
図10の一部を拡大して示す部分拡大図である。
【0094】
図10および
図12から明らかなように、下側板バネ24は、4本の下側アーム部246のUターン形状部分246aに、弾性接着剤45を有する。各弾性接着剤45は、Uターン形状部分246aの互いに対向する箇所でまたがるように設けられている。4つの弾性接着剤45は、光軸Oを中心とする周方向において等角度間隔に設けられている。
【0095】
尚、弾性接着剤45は、伸縮性かつ可撓性のある樹脂から成る。本例では、弾性接着剤45として、シリコーン系接着剤やキシル基末端ポリマー系接着剤から選択された湿気硬化型接着剤を使用している。
【0096】
図9および
図11から明らかなように、4本の下側アーム部246のUターン形状部分246aは、上記対向する箇所(すなわち、弾性接着剤45が塗布される箇所)に、弾性接着剤45がその表面張力によりまたがるのを容易にする、位置決め突起247を持つ。
【0097】
このように、4本の下側アーム部246のUターン形状部分246aに弾性接着剤45を塗布することにより、本実施形態に係るレンズホルダ駆動装置10は、
図12の矢印で示される方向の揺動である、二次共振(副共振)を抑えることが可能となる。また、弾性接着剤45は、4本の下側アーム部246のUターン形状部分246aに設けられているので、レンズホルダ14の本来のストロークを制限することはない。
【0098】
尚、弾性接着剤45は、洗浄液を介しても問題なくその機能を発揮することができる。したがって、従来通り、レンズホルダ駆動装置10を組み立て後に、レンズホルダ駆動装置10を洗浄することが可能となり、品質を維持することができる。
【0099】
また、本例では、弾性接着剤45を塗布することにより、下側板バネ24に伸縮性かつ可撓性のある樹脂を設けているが、それに限定されないのは勿論である。例えば、そのような伸縮性かつ可撓性のある樹脂である弾性シートを両面テープで下側板バネ24に貼ることにより、下側板バネ24に伸縮性かつ可撓性のある樹脂を設けてもよい。或いは、下側板バネ24と伸縮性かつ可撓性のある樹脂とをアウトサート成形法により2色成形して、下側板バネ24に伸縮性かつ可撓性のある樹脂を設けてもよい。その代わりに、フォトレジストをUV硬化して、下側板バネ24に伸縮性かつ可撓性のある樹脂を設けてもよい。また、この伸縮性かつ可撓性のある樹脂を設ける箇所は、下側板バネ24にのみ限定されるわけでなく、上側板バネ22若しくは両方の板バネ22、24においても有効である。
【0100】
次に、
図13乃至
図14を参照して、ヨーク20に形成された前側切り欠き部(第1の切り欠き部)202aおよび後側切り欠き部(第2の切り欠き部)202bについて説明する。
【0101】
図13はレンズホルダ駆動装置10の正面図であり、
図14はレンズホルダ駆動装置10の背面図である。
図15はヨーク20の斜視図であり、
図16はヨーク20の正面図である。
【0102】
ヨーク20の前側板部(第1の板部)202Fは、台形状の前側切り欠き部(第1の切り欠き部)202aを持ち、後側板部(第2の板部)202Bも、台形状の後側切り欠き部(第2の切り欠き部)202bを持つ。
【0103】
このようなヨーク20の構造を採用することにより、ヨーク20と駆動用マグネット18とから成る磁気回路で発生した磁界が、一対のセンサ用マグネット342(
図2参照)に悪影響を与えないようにしている。換言すれば、上記磁気回路の一対のセンサ用マグネット342に対する磁界の影響を均等に、かつ、極力なくすことができる。その結果、可動部(レンズバレル11+レンズホルダ14)のストローク量による推力のばらつきを抑えることが可能となる。
【0104】
次に、
図17乃至
図21を参照して、ベース部材12とヨーク20とをスペーサ(内部筐体)30を介して嵌合する構造について説明する。
【0105】
図17はヨーク20にスペーサ(内部筐体)30と駆動用マグネット18と上側板バネ22とを組み付けた、組み立て体を示す斜視図である。
図18は、スペーサ(内部筐体)30に上側板バネ22を組み付けた、組み立て体を示す斜視図である。
図19は
図1の線IV-IVについての縦断面図である。
図20は
図19の断面の一部(前側)を詳細に示す部分断面斜視図であり、
図21は
図19の断面の一部(後側)を詳細に示す部分断面斜視図である。
【0106】
図18に示されるように、スペーサ(内部筐体)30上に上側板バネ22が組み付けられた後、
図17に示されるように、スペーサ(内部筐体)30はヨーク20の内壁に沿って組み付けられる。
【0107】
そして、
図19に示されるように、スペーサ(内部筐体)30はベース部材12と嵌合される。このとき、
図20に示されるように、ヨーク20の前側切り欠き部(第1の切り欠き部)202aの近傍において、ベース部材12の前側突出部(第1の突出部)122とスペーサ(内部筐体)30の前側U字状板部(第1のU字状板部)305とが噛み合う(嵌合する)。そして、
図21に示されるように、ヨーク20の後側切り欠き部(第1の切り欠き部)202bの近傍において、ベース部材12の後側突出部(第2の突出部)123とスペーサ(内部筐体)30の後側U字状板部(第2のU字状板部)206とが噛み合う(嵌合する)。
【0108】
そして、上記噛み合う箇所(嵌合箇所)に、接着樹脂(接着剤)を、毛細管現象を利用して流すことにより、上記噛み合う箇所(嵌合箇所)の隙間を塞ぐ。これにより、外部から隙間を介してレンズホルダ駆動装置10の内部へゴミや異物が侵入するのを防ぐことができる。
【0109】
したがって、第1の突出部122と、第2の突出部123と、内部筐体30との組み合わせは、第1および第2の板部202F、202Bの第1および第2の切り欠き部202a、202bから異物が内部へ侵入するのを防止する異物侵入防止部材として働く。
【0110】
次に、
図22を参照して、ベース部材12にホールセンサ(磁気検知素子)344を取り付けた状態について説明する。
【0111】
図22は、
図1に図示したレンズホルダ駆動装置10を、フレキシブルプリント基板(FPC)40を省いた状態で示す、斜視図である。
【0112】
図22に示されるように、ホールセンサ344は、ベース部材12の前側突出部(第1の突出部)122に形成された矩形孔122aに挿入して設けられる。これにより、ホールセンサ344が位置決めされる。また、ベース部材12の前側突出部122には、その矩形孔122aの周囲にC面122bが施されている。ホールセンサ344と矩形孔122aとの間の隙間を塞ぐために、このC面122bにエポキシ樹脂等の樹脂(接着剤)を塗布することにより、レンズホルダ駆動装置10は密閉構造となる。
【0113】
このような構造により、ホールセンサ344の位置が一定となり、ホールセンサ344の出力のばらつきを抑えることができる。また、ホールセンサ344とベース部材12との間の隙間に樹脂(接着剤)を流し込んでいるので、矩形孔122aが塞がる。その結果、この矩形孔122aを介して異物などが侵入するのを防止することができる。
【0114】
図23および
図24を参照して、フレキシブルプリント基板(FPC)40の構成について説明する。
【0115】
図23はフレキシブルプリント基板(FPC)40を示す図であって、(A)は正面図、(B)は背面図、(C)は平面図(上面図)である。
図24は、フレキシブルプリント基板(FPC)40の基材402を示す図であって、(A)は正面図、(B)は背面図である。
【0116】
フレキシブルプリント基板(FPC)40は、基材402と、第1のカバーフィルム404と、第2のカバーフィルム406と、から構成される。
【0117】
図24(A)に示されるように、基材402の主面上には第1の導体パターン402aが形成されている。第1の導体パターン402aは、その中央部に、接地パターン402agを有する。
図24(B)に示されるように、基材402の裏面上には第2の導体パターン402bが形成されている。第2の導体パターン402aは、ホールセンサ344の4つの端子を接続するためのものである。図示の例では、第1および第2の導体パターン402aおよび402bは、Cuパターンから成る。
【0118】
図23(A)に示されるように、第1のカバーフィルム404は、基材402の主面で、第1の導体パターン402aの一部を覆うように、貼り付けられている。第1のカバーフィルム404は、光を遮蔽する黒カバーフィルム(遮光フィルム)から成る。
【0119】
図23(B)に示されるように、第2のカバーフィルム406は、基材402の裏面で、第2の導体パターン402の一部を覆うように、貼り付けられている。
【0120】
図25を参照して、フレキシブルプリント基板(FPC)40にホールセンサ344を搭載した状態について説明する。
図25において、(A)は正面図、(B)は背面図、(C)は平面図(上面図)、(D)は正面側から見た斜視図、(E)は背面側から見た斜視図である。
【0121】
図25(B)に示されるように、ホールセンサ344は、フレキシブルプリント基板(FPC)40の裏面(背面)側で、第2の導体パターン402aに、はんだにて接合される。
【0122】
したがって、黒カバーフィルム(遮光フィルム)404は、ホールセンサ344が取り付けられた裏面とは反対側のフレキシブルプリント基板(FPC)40の主面に、貼り付けられることになる。これにより、ホールセンサ344とベース部材12の矩形孔122aとの間の隙間を介して、光(迷光)がレンズホルダ駆動装置10の内部に侵入するのを防止することができる。
【0123】
次に、
図26乃至
図28を参照して、フレキシブルプリント基板(FPC)40とヨーク20と下側板バネ24の第1および第2の外部接続端子244−1および244−2との電気的接続について説明する。
【0124】
図26はフレキシブルプリント基板(FPC)40の接続状態を示す、レンズホルダ駆動装置10の平面図である。
図27は、
図26のフレキシブルプリント基板(FPC)40のすり鉢状のくぼみ401の近傍部分を拡大して示す、部分拡大断面斜視図である。
図28は、
図26のヨーク20の突起部207の近傍部分を拡大して示す、部分拡大斜視図である。
【0125】
前述したように、フレキシブルプリント基板(FPC)40には、左右方向(第1の方向)Yの両端側に一対のすり鉢状のくぼみ401が施されている。そして、下側板バネ24の第1および第2の外部接続端子244−1および244−2は、フレキシブルプリント基板(FPC)40の一対のすり鉢状のくぼみ401から外部へ突出して設けられる。ここで、下側板バネ24の第1および第2の外部接続端子244−1および244−2は、フレキシブルプリント基板(FPC)40の主面よりも外側へはみ出すことなく、一対のすり鉢状のくぼみ401内に収容されるように、突出している。
【0126】
図26および
図27に示されるように、下側板バネ24の第1および第2の外部接続端子244−1および244−2は、フレキシブルプリント基板(FPC)40の一対のすり鉢状のくぼみ401に、はんだ52で接合される。したがって、接合面積を大きくすることができる。
【0127】
また、前述したように、フレキシブルプリント基板(FPC)40は、ヨーク20の前側切り欠き部(第1の切り欠き部)202aで、ヨーク20の突起部207に差し込まれた状態で、ベース部材12の前側突出部(第1の突出部)122の外壁に取り付けられる。この突起部207は、Snメッキされている。
【0128】
図28に示されるように、この突起部207で、ヨーク20とフレキシブルプリント基板(FPC)40の接地パターン402agとは、はんだ54で接合されて導通される。
【0129】
このような構造を採用することにより、接地パターン402agの抵抗値を極力小さく抑えることができると共に、フレキシブルプリント基板(FPC)40が剥がれるのを防止することができる。
【0130】
また、
図28に示されるように、ヨーク20の突起部207の一部には、ハーフパンチが施されている。
【0131】
したがって、フレキシブルプリント基板(FPC)40は、三か所で、はんだ52、54により、ベース部材12とスペーサ(内部筐体)30に結合されることになる。その結果、フレキシブルプリント基板(FPC)40の強度を補強することが可能となる。これにより、フレキシブルプリント基板(FPC)40が剥がれるのを防止することが可能となる。また、ヨーク20の突起部207にハーフパンチを施したので、はんだ54の盛り上がりを抑えることができる。
【0132】
次に、
図29および
図30を参照して、ヨーク20のリング状上端部204と上側板バネ22との間の当接構造について説明する。
【0133】
図29はレンズホルダ駆動装置10の斜視図である。
図30は、
図29のヨーク20のリング状上端部204と上側板バネ22との当接部分を拡大して示す部分拡大図である。
【0134】
図29に示されるように、
図29のヨーク20のリング状上端部204は、その内周側の8か所で、半抜きが施された半抜き部分204aを有する。
【0135】
レンズホルダ14が上方へ移動(駆動)されたとき、上側板バネ22は、これら8個の半抜き部分204aで係止される(半抜き部分204aに当接する)。すなわち、ヨーク20の8個の半抜き部分204aは、レンズホルダ14の上方向の移動を規制する上側ストッパ(係止部材)として働く。
【0136】
このように、ヨーク20のリング状上端部204に複数の半抜き部分204aを形成したので、ヨーク20の強度を高めることができる。その結果、当該レンズホルダ駆動装置10を搭載したカメラ付き携帯端末を誤って落下させることにより、可動部(レンズバレル11+レンズホルダ14)がヨーク20と衝突したとしても、ヨーク20が変形するのを抑えることができる。この衝突の際、上側板バネ22がヨーク20の半抜き部分204aの下面に当たることになる。したがって、金属同士の衝突となるので、成形品であるレンズホルダ14が変形するのを抑制することができる。
【0137】
図31および
図32を参照して、スペーサ(内部筐体)30の構成について更に詳細に説明する。
【0138】
図31はスペーサ(内部筐体)30の斜視図である。
図32は、
図31の一部分を拡大して示す部分拡大図である。
【0139】
図31に示されるように、スペーサ(内部筐体)30の四隅に設けられた4個の垂直延在部304の各々は、半径方向外側へ突出する2つの突起3042を持つ(
図31では、4つの突起3042のみを図示している)。したがって、スペーサ(内部筐体)30は、合計、8つの突起3042を持つ。
【0140】
図32に示されるように、各突起3042は、上下方向Zに延在する(光軸O方向と平行に延在する)略半円柱状をしている。各突起3042は、その上部に略半円錐状の先端部3042aを持つ。
【0141】
このように、スペーサ(内部筐体)30の四隅に8つの突起3042を設けたので、ヨーク20を精度良く位置決めすることができる。詳述すると、ヨーク20をスペーサ(内部筐体)30に被せると、ヨーク20の外筒部202の内壁が、略半円錐状の先端部3042aに誘われつつ、スペーサ(内部筐体)30の8つの突起3042を押し潰すので、ヨーク20とスペーサ(内部筐体)30とは軽圧入状態で嵌合される。その結果、ヨーク20がガタつくのを防止できる。
【0142】
このような構成を採用することにより、レンズの光軸Oに対するヨーク20の中心軸線のずれを調整することが可能となる。その結果、駆動用マグネット18とヨーク20から成る磁気回路から発生する磁気の、一対のセンサ用マグネット342に対する干渉の影響を均等にすることができる。また、それにより、レンズホルダ駆動装置10の副共振のレベルを小さく抑えることが可能となる。
【0143】
本第1の実施の形態に係るレンズホルダ駆動装置10では、次に述べるように、フィードバック制御によりレンズホルダ14の光軸O方向の位置を制御している。
【0144】
まず、駆動コイル16に駆動電流を流してレンズホルダ14を光軸O方向に移動させて、レンズホルダ14の光軸O方向の位置(検出位置)と、位置検出部34のホールセンサ344で検出された検出値とを計測する。これにより、駆動電流と、検出位置と、検出値との間の関係が分かる。駆動電流と検出位置とは、一対一に対応している。したがって、レンズホルダ14を所望の目標位置(光軸O方向の位置)へ移動させるために、その目標位置に対応する駆動電流を駆動コイル16へ供給すればよい。
【0145】
検出値を検出位置に変換するのを可能にするために、検出値と検出位置との間の関係(一対一対応)をROM(read-only memory)に記憶する。したがって、ROMは、検出値を検出位置へ変換する変換部として働く。
【0146】
フィードバック制御を実現する制御部(図示せず)は、撮像素子の画像信号と、ホールセンサ344で検出された検出値とに基づいて、レンズホルダ14を目標位置へ移動させるために必要な駆動電流を求めて、求めた駆動電流を駆動コイル16へ供給する。
【0147】
制御部は、上記変換部(ROM)と、目標位置算出部と、比較部と、操作部とを含む。目標位置算出部は、撮像素子の画像信号から、レンズホルダ14の目標位置(合焦位置)を算出する。ここで、合焦位置とは、画像信号を処理して得られる撮像画像のコントラスト値が最良となるレンズホルダ14の位置である。比較部は、目標位置と検出位置とを比較して、制御偏差を出力する。操作部は、制御偏差がゼロとなるような操作量を、駆動電流として駆動コイル16へ供給する。
【0148】
このようにフィードバック制御を行うことによって、レンズホルダ14を光軸O方向の目標位置(合焦位置)に、例えば、10ミリ秒から20ミリ秒の間の、短時間で停止させることが可能となる。
【0149】
図33は、レンズホルダ駆動装置10を搭載したカメラ付き携帯端末80を示す斜視図である。図示のカメラ付き携帯端末80は、スマートフォンから成る。カメラ付き携帯端末80の所定の位置にレンズホルダ駆動装置10が取り付けられている。このような構造により、使用者は、カメラ付き携帯端末80を用いて撮影することができる。
【0150】
尚、本例では、カメラ付き携帯端末80としてスマートフォンの場合を例に挙げて示しているが、カメラ付き携帯端末は、カメラ付き携帯電話機、ノート型パソコン、タブレット型パソコン、携帯型ゲーム機、Webカメラ、車載用カメラであってもよい。
【0151】
[第2の実施の形態]
図34及び
図35を参照して、本発明の第2の実施の形態に係るレンズホルダ駆動装置10Aについて説明する。
【0152】
図34は、レンズホルダ駆動装置10Aを、ヨーク20、上側板バネ22、スペーサ(内部筐体)30を省いた状態で示す、斜視図である。
図35は、
図34に示したレンズホルダ駆動装置10Aの平面図である。
【0153】
ここでは、
図34及び
図35に示されるように、直交座標系(X,Y,Z)を使用している。
図34及び
図35に図示した状態では、直交座標系(X,Y,Z)において、X軸方向は前後方向(奥行方向)であり、Y軸方向は左右方向(幅方向)であり、Z軸方向は上下方向(高さ方向)である。そして、
図34乃至
図35に示す例においては、上下方向Zがレンズの光軸O方向である。尚、本実施の形態において、Y軸方向(左右方向)は第1の方向とも呼ばれ、X軸方向(前後方向)は第2の方向とも呼ばれる。
【0154】
但し、実際の使用状況においては、光軸O方向、すなわち、Z軸方向が前後方向となる。換言すれば、Z軸の上方向が前方向となり、Z軸の下方向が後方向となる。
【0155】
図示のレンズホルダ駆動装置10Aは、オートフォーカス(AF)可能なカメラ付きの携帯電話機、スマートフォン、ノート型パソコン、タブレット型パソコン、携帯型ゲーム機、Webカメラ、車載用カメラなどの携帯端末に備えられる。
【0156】
図示のレンズホルダ駆動装置10Aは、駆動用マグネットが後述のように相違している点を除いて、
図1乃至
図4に示したレンズホルダ駆動装置10と同様の構成を有し、動作をする。したがって、駆動用マグネットに18Aの参照符号を付してある。
図1乃至
図4に示したレンズ駆動装置10の構成要素と同様の機能を有するものには同一の参照符号を付し、説明の簡略化のためにそれらの説明については割愛する。
【0157】
駆動用マグネット18Aは、第1の実施の形態に係る駆動用マグネット18と同様に、2個の平板状駆動用マグネット片182Aから成るが、その形状が駆動用マグネット18の平板状駆動用マグネット片182と相違している。
【0158】
すなわち、2個の平板状駆動用マグネット片182Aは、その両端部に、ヨーク20(
図2参照)の四隅で駆動コイル16の4つの短辺部164と対向する略三角柱形状の突起部182Aaを持つ。各突起部182Aaの内周側は、平面状をしている。したがって、平板状駆動用マグネット片182Aを容易に製造することが可能となる。
【0159】
本第2の実施の形態に係るレンズホルダ駆動装置10Aは、上述した第1の実施の形態に係るレンズホルダ駆動装置10と同様の効果を奏するだけでなく、次に述べる効果をも奏する。
【0160】
すなわち、2個の平板状駆動用マグネット片182Aがその両端部に略三角柱形状の突起部182Aaを持つので、第1の実施の形態に係る駆動機構と比較して、本第2の実施の形態に係る駆動機構の推力を増強できるという利点がある。
【0161】
[第3の実施の形態]
図36および
図37を参照して、本発明の第3の実施の形態に係るレンズホルダ駆動装置10Bについて説明する。
【0162】
図36は、レンズホルダ駆動装置10Bを、ヨーク20、上側板バネ22、スペーサ(内部筐体)30を省いた状態で示す、斜視図である。
図37は、
図36に示したレンズホルダ駆動装置10Bの平面図である。
【0163】
ここでは、
図36及び
図37に示されるように、直交座標系(X,Y,Z)を使用している。
図36及び
図37に図示した状態では、直交座標系(X,Y,Z)において、X軸方向は前後方向(奥行方向)であり、Y軸方向は左右方向(幅方向)であり、Z軸方向は上下方向(高さ方向)である。そして、
図36乃至
図37に示す例においては、上下方向Zがレンズの光軸O方向である。尚、本実施の形態において、Y軸方向(左右方向)は第1の方向とも呼ばれ、X軸方向(前後方向)は第2の方向とも呼ばれる。
【0164】
但し、実際の使用状況においては、光軸O方向、すなわち、Z軸方向が前後方向となる。換言すれば、Z軸の上方向が前方向となり、Z軸の下方向が後方向となる。
【0165】
図示のレンズホルダ駆動装置10Bは、オートフォーカス(AF)可能なカメラ付きの携帯電話機、スマートフォン、ノート型パソコン、タブレット型パソコン、携帯型ゲーム機、Webカメラ、車載用カメラなどの携帯端末に備えられる。
【0166】
図示のレンズホルダ駆動装置10Bは、駆動用マグネットが後述のように相違している点を除いて、
図1乃至
図4に示したレンズホルダ駆動装置10と同様の構成を有し、動作をする。したがって、駆動用マグネットに18Bの参照符号を付してある。
図1乃至
図4に示したレンズ駆動装置10の構成要素と同様の機能を有するものには同一の参照符号を付し、説明の簡略化のためにそれらの説明については割愛する。
【0167】
駆動用マグネット18Bは、2個の平板状駆動用マグネット片182に加えて、ヨークの四隅で、駆動コイル16の4つの短辺部164とそれぞれ対向する4個の略三角柱形状の駆動用マグネット片184を更に含む。各駆動用マグネット片184の内周側は、平面状をしている。したがって、駆動用マグネット片184を容易に製造することが可能となる。
【0168】
本第3の実施の形態に係るレンズホルダ駆動装置10Bは、上述した第1の実施の形態に係るレンズホルダ駆動装置10と同様の効果を奏するだけでなく、次に述べる効果をも奏する。
【0169】
すなわち、駆動用マグネット18が、2個の平板状駆動用マグネット片182だけでなく、4個の略三角柱形状の駆動用マグネット片184をも備えているので、第1の実施の形態に係る駆動機構と比較して、本第2の実施の形態に係る駆動機構の推力を増強できるという利点がある。
【0170】
以上、実施の形態を参照して本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではない。本発明の構成や詳細には、本発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。