(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記保持部材は、前記レンズ群を遮光するバレル部と、当該カメラ装置を他の装置へ取付けるブラケット部とを含み、前記バレル部と前記ブラケット部とが一体となった構造をしており、
前記撮像素子を搭載したセンサ基板アセンブリを含むセンサ基板ユニットを準備するセンサ基板ユニット準備工程と、
電源基板アセンブリにハーネスアセンブリを取付けて、電源基板ユニットを組み立てる電源基板ユニット組立て工程と、
前記電源基板ユニットと前記センサ基板ユニットとを接合して、基板ユニットを組み立てる基板ユニット組立て工程と、
前記基板ユニットを前記保持部材中に下方から挿入して、前記レンズ群の光軸中心および合焦点位置に前記撮像素子の中心を合わせるように調整しながら、前記レンズ収容内壁面に連通して前記保持部材の下方に設けられた前記保持部材の基板収容内壁面に、前記基板ユニットの前記センサ基板ユニットを固定する基板ユニット固定工程と、
前記保持部材の下部を封止部材で封止する封止工程と、
を更に含む請求項1乃至6のいずれか1項に記載のカメラ装置の組立て方法。
前記保持部材は、前記レンズ群を遮光するバレル部と、当該カメラ装置を他の装置へ取付けるブラケット部とを含み、前記バレル部と前記ブラケット部とが一体となった構造をしている、請求項14乃至19のいずれか1項に記載のレンズユニットの組立て方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述した特許文献1〜4には、それぞれ、次に述べるような問題がある。
【0010】
特許文献1に開示された車載カメラでは、カメラモジュールを、ネジによって螺合されたフロントカバーとリアカバーとで覆っている。また、フロントカバーとリアカバーの接合部分がパッキンで覆われている。そのため、特許文献1の車載カメラは、部品点数が多くなるという問題がある。また、特許文献1では、カメラモジュールの前端にレンズ部が取付けられている。特許文献1では、レンズ部およびカメラモジュールの構成については詳細に説明していない。一般に、レンズ部は、レンズ(レンズ群)と、そのレンズ(レンズ群)を遮光する部品であるバレルとから成る。したがって、カメラモジュールは、バレルを保持することになる。そのため、特許文献1の車載カメラでは、レンズ(レンズ群)は、バレル、カメラモジュール、およびフロントカバーによって三重に覆わることになる。その結果、特許文献1の車載カメラは、部品点数が多くなり、且つ、その外形寸法も大きくなるという問題がある。
【0011】
このように、特許文献1に開示された車載カメラは、部品点数が多いので、それを組み立てるのに手間がかかる。
【0012】
特許文献2に開示された車載カメラでも、対向するリアケースとフロントケースとはネジ止めなどでしっかりと締め付けられている。また、特許文献2の車載カメラでは、2枚目の基板にハーネスコネクタが搭載されている。そのため、特許文献2の車載カメラも、部品点数が多くなるという問題がある。
【0013】
したがって、特許文献2に開示された車載カメラも、部品点数が多いので、それを組み立てるのに手間がかかる。
【0014】
特許文献3に開示されたモジュール機器において、カメラレンズは基板上に実装されている。特許文献3では、カメラレンズの詳細な構成について何ら説明していない。しかしながら、カメラレンズを基板上に実装するために、カメラレンズは、レンズ(レンズ群)と、そのレンズ(レンズ群)を遮光する部品(バレル)と、そのバレルを保持する部品(保持部品)とから成ると考えられる。換言すれば、特許文献3のモジュール機器は、上記特許文献1のカメラモジュールに相当(対応)するものと考えられる。したがって、特許文献1と同様に、特許文献3のモジュール機器用電気機器では、レンズ(レンズ群)は、バレル、保持部品、およびケース本体によって三重に覆われることになる。その結果、特許文献3のモジュール機器用電気機器は、部品点数が多くなり、且つ、その外形寸法も大きくなるという問題がある。
【0015】
したがって、特許文献3に開示されたモジュール機器用電気機器でも、部品点数が多いので、それを組み立てるのに手間がかかる。
【0016】
一方、特許文献4は、CCDの画面フォーマットに合うように外周部分が4平面で切断された矩形レンズを記載している。しかしながら、特許文献4では、単に、「レンズ素子はその外周部が保持筒内に嵌合固定されることにより保持される」と記載しているだけである。したがって、特許文献4は、どのようにしてレンズ素子を保持筒内に保持するのかについて、具体的に記載していない。換言すれば、特許文献4は、ズームレンズ装置を具体的にどのように組み立てるのかについて何ら開示していない。
【0017】
したがって、本発明の目的は、カメラ装置を少ない部品点数で容易に組み立てることが可能な、カメラ装置の組立て方法およびカメラ装置に使用されるレンズユニットの組立て方法を提供することにある。
【0018】
本発明の他の目的は、説明が進むにつれて明らかになるだろう。
【0019】
尚、本発明の説明で示される上方、上端、上部、上面の文言は、本発明のカメラ装置における光軸O方向の被写体側を示し、下方、下端、下部、下面の文言は、本発明のカメラ装置における光軸O方向の撮像素子側を示すものである。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明の第1の例示的な態様によれば、カメラ装置(10;10A)の組立て方法であって、撮像素子(3224)の使用していない領域を持たない外形形状を各々持つ複数のレンズ(221〜225)から成るレンズ群(22)を準備するレンズ群準備工程と、複数のレンズ(221〜225)を順番に、レンズ群(22)の外形形状に合致したレンズ収容内壁面(2422a)を持つ筒状の保持部材(24;24A)に
保持部材(24;24A)の上端から挿入して、レンズ群(22)を保持部材(24;24A)内に保持するレンズ群保持工程と、保持部材(24;24A)の上端に設けられたレンズ群(22)の上部レンズ(225)の上面(225a)を露出させた状態で、上部レンズ(225)の外周縁を囲むように、開口(264a)を持つリテーナ(26)を保持部材(24;24A)の上端に取り付けるリテーナ取付け工程と、を含むカメラ装置の組立て方法が得られる。
【0021】
上記カメラ装置(10;10A)の組立て方法において、
上記リテーナ(26)の開口(264a)に上部レンズ(225)が挿入されてよい。上記上部レンズ(225)の上面(225a)がリテーナ(26)の上端部(264)よりも外側に突出していることが望ましい。上記レンズ収容内壁面(2422a)の下部は、レンズ群(22)の下部レンズ(224)と係止するようにレンズ収容内壁面(2422a)から内側に突出している係止部(2424)を含んでよい。上記レンズ群(22)の外形形状は矩形であることが好ましい。上記リテーナ取付け工程は、リテーナ(26)を保持部材(24;24A)の上端に接着剤(52)で固定して取り付ける工程であってよい。
【0022】
また、上記カメラ装置(10)の組立て方法において、保持部材(24)は、レンズ群(22)を遮光するバレル部(242)と、当該カメラ装置(10)を他の装置へ取付けるブラケット部(244)とを含み、バレル部(242)とブラケット部(244)とが一体となった構造をしていてよい。
【0023】
この場合、上記カメラ装置(10)の組立て方法は、撮像素子(3224)を搭載したセンサ基板アセンブリ(322)を含むセンサ基板ユニット(32)を準備するセンサ基板ユニット準備工程と、電源基板アセンブリ(342)にハーネスアセンブリ(344)を取付けて、電源基板ユニット(34)を組み立てる電源基板ユニット組立て工程と、電源基板ユニット(34)とセンサ基板ユニット(32)と接合して、基板ユニット(30)を組み立てる基板ユニット組立て工程と、基板ユニット(30)を保持部材(24)中に下方から挿入して、レンズ群(22)の光軸(O)中心および合焦点位置に撮像素子(3224)の中心を合わせるように調整しながら、レンズ収容内壁面(2422a)に連通して保持部材(24)の下方に設けられた保持部材(24)の基板収容内壁面(2442a)に、基板ユニット(30)のセンサ基板ユニット(32)を固定する基板ユニット固定工程と、保持部材(24)の下部を封止部材(40)で封止する封止工程と、を更に含んでよい。上記基板ユニット固定工程は、センサ基板ユニット(32)を接着剤(52)で保持部材(24)の基板収容内壁面(2442a9に固定する工程であってよい。上記封止工程は、保持部材(24)の下部に接着剤(42)を充填して、保持部材(24)と基板ユニット(30)との間の隙間(SS)を封止部材(40)で封止する工程であってよい。
【0024】
その代わりに、上記カメラ装置(10A)の組立て方法において、保持部材(24A)は、レンズ群(22)を遮光するバレル(242A)から構成されてよい。
【0025】
この場合、上記カメラ装置(10A)の組立て方法は、撮像素子(3224)を搭載したセンサ基板アセンブリ(322)を含むセンサ基板ユニット(32)をバレル(242A)の下端へ突合せて、レンズ群(22)の光軸(O)中心および合焦点位置に撮像素子(3224)の中心を合わせるように調整しながら、バレル(242A)の下端にセンサ基板ユニット(32)を固定して、カメラモジュール(20A;32)を組み立てるモジュール組立て工程と、当該カメラ装置(10)を他の装置へ取り付けるブラケット(70)に、カメラモジュール(20A;32)を差し込んで取り付けるモジュール取付け工程と、電源基板アセンブリ(342)にハーネスアセンブリ(344)を取付けて、電源基板ユニット(34)を組み立てる電源基板ユニット組立て工程と、電源基板ユニット(34)とセンサ基板ユニット(32)とを接合して、基板ユニット(30)を組み立てるユニット組立て工程と、ブラケット(70)の下部を封止部材(40)で封止する封止工程と、を更に含んでよい。上記モジュール組立て工程は、センサ基板ユニット(32)を接着剤(52)でバレル(242A)の下端に固定する工程であってよい。上記封止工程は、ブラケット(242A)の下部に接着剤(42)を充填して、ブラケット(242A)と基板ユニット(30)との間の隙間(SS)を封止部材(40)で封止する工程であってよい。
【0026】
上記カメラ装置(10;10A)の組立て方法において、カメラ装置(10;10A)が車体に搭載される車載カメラから構成されてよい。
【0027】
本発明の第2の例示的な態様によれば、カメラ装置(10;10A)に使用されるレンズユニット(20;20A)の組立て方法であって、撮像素子(3224)の使用していない領域を持たない外形形状を各々持つ複数のレンズ(221〜225)から成るレンズ群(22)を準備するレンズ群準備工程と、複数のレンズ(221〜225)を順番に、レンズ群(22)の外形形状に合致したレンズ収容内壁面(2422a)を持つ筒状の保持部材(24;24A)に
保持部材(24;24A)の上端から挿入して、レンズ群(22)を保持部材(24;24A)内に保持するレンズ群保持工程と、保持部材(24;24A)の上端に設けられたレンズ群(22)の上部レンズ(225)の上面(225a)を露出させた状態で、上部レンズ(225)の外周縁を囲むように、開口(264a)を持つリテーナ(26)を保持部材(24;24A)の上端に取り付けるリテーナ取付け工程と、を含むレンズユニットの組立て方法が得られる。
【0028】
上記レンズユニット(20;20A)の組立て方法において、
上記リテーナ(26)の開口(264a)に上部レンズ(225)が挿入されてよい。上記上部レンズ(225)の上面(225a)がリテーナ(26)の上端部(264)よりも外側に突出していることが望ましい。上記レンズ収容内壁面(2422a)の下部は、レンズ群(22)の下部レンズ(224)と係止するようにレンズ収容内壁面(2422a)から内側に突出している係止部(2424)を含んでよい。レンズ群(22)の外形形状は矩形であることが好ましい。上記リテーナ取付け工程は、リテーナ(26)を保持部材(24;24A)の上端に接着剤で固定して取り付ける工程であってよい。
【0029】
なお、上記保持部材(24)は、レンズ群(22)を遮光するバレル部(242)と、当該カメラ装置(10)を他の装置へ取付けるブラケット部(244)とを含み、バレル部(242)とブラケット部(244)とが一体となった構造をしていてよい。
【0030】
その代わりに、上記保持部材(24A)は、レンズ群(22)を遮光するバレル(242A)から構成されてよい。
【0031】
尚、上記括弧内の参照符号は、本発明の理解を容易にするために付したものであり、一例に過ぎず、本発明は、これらに限定されないのは勿論である。
【発明の効果】
【0032】
本発明では、カメラ装置を少ない部品点数で容易に組み立てることができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係るカメラ装置の外観斜視図である。
【
図2】
図1に図示したカメラ装置の分解斜視図である。
【
図3】
図1の線III−IIIについての縦断面図である。
【
図4】
図1の線IV−IVについての縦断面図である。
【
図5】
図1のカメラ装置に使用される、レンズユニットの組立て途中の縦断面斜視図である。
【
図6】第4のプラスチックレンズ(下部レンズ)を上方からバレル部内に圧入した状態を示す縦断面図である。
【
図7】第3のプラスチックレンズを上方からバレル部内に圧入した状態を示す縦断面図である。
【
図8】第2のプラスチックレンズを上方からバレル部内に圧入した状態を示す縦断面図である。
【
図9】第1のプラスチックレンズを上方からバレル部内に圧入した状態を示す縦断面図である。
【
図10】保持部材のバレル部内にプラスチックレンズ群を圧入した、
図5の状態の斜視図である。
【
図11】第5のレンズ(上部レンズ)であるガラスレンズを第1のプラスチックレンズの上に載せようとする状態を示す分解斜視図である。
【
図12】第5のレンズ(上部レンズ)であるガラスレンズを第1のプラスチックレンズの上に載せた状態を示す斜視図である。
【
図13】リテーナを上方から保持部材の上面に被せて、接着剤で接着しようとする状態を示す分解斜視図である。
【
図14】オーブンにて熱硬化することにより、保持部材にリテーナを固定して状態を示す斜視図である。
【
図15】
図1に示したカメラ装置に使用される、センサ基板アセンブリを表面側からみた斜視図である。
【
図16】
図1に示したカメラ装置に使用される、センサ基板アセンブリを裏面側からみた斜視図である。
【
図17】
図15に示したセンサ基板アセンブリの撮像素子の上面に、粘着テープを貼った状態を示す斜視図である。
【
図18】赤外線カットフィルタ(IRCF)を粘着テープに貼って、撮像素子上に実装しようとする状態を示す分解斜視図である。
【
図19】
図1に示したカメラ装置に使用される、センサ基板ユニットを示す斜視図である。
【
図20】
図15に示したセンサ基板アセンブリの構成を詳細に示した斜視図である。
【
図21】
図16に示したセンサ基板アセンブリの構成を詳細に示した斜視図である。
【
図22】
図1に示したカメラ装置に使用される、電源基板アセンブリを表面側からみた斜視図である。
【
図23】
図1に示したカメラ装置に使用される、電源基板アセンブリを裏面側からみた斜視図である。
【
図24】
図23に示した電源基板アセンブリにハーネスアセンブリのケーブル(電線)をはんだ付けしようとする状態を示す分解斜視図である。
【
図25】
図1に示したカメラ装置に使用される、電源基板ユニットを裏面側からみた斜視図である。
【
図26】
図22に示した電源基板アセンブリの構成を詳細に示した斜視図である。
【
図27】
図23に示した電源基板アセンブリの構成を詳細に示した斜視図である。
【
図28】
図19に示したセンサ基板ユニットの第1のコネクタと、
図25に示した電源基板ユニットの第2のコネクタとを嵌合しようとする状態を示す分解斜視図である。
【
図29】
図1に示したカメラ装置に使用される、基板ユニットを示す斜視図である。
【
図30】基板ユニットのセンサ基板上に、接着剤を塗布した状態を示す分解斜視図である。
【
図31】
図29に示した基板ユニットを、
図14に示したレンズユニットの保持部材に挿入しようとする状態を示す分解断面斜視図である。
【
図32】レンズユニットと基板ユニットとの光軸のズレを無くすように、焦点距離、回転傾きを最適な位置に調整する状態を示す分解断面斜視図である。
【
図33】基板ユニットのセンサ基板の接着箇所を拡大して示す部分断面斜視図である。
【
図34】
図32に示すカメラモジュールを逆さまにした状態で、専用の金型にセットした後、金型内にホットメルト接着剤を射出して、ホットメルト接着剤をカメラモジュールの内部に充填する状態を示す縦断面図である。
【
図35】ホットメルト接着剤が充填されたカメラモジュールから金型を取り外して、樹脂だまりをカットした状態を示す縦断面図である。
【
図36】
図1に示したカメラ装置に使用される、レンズユニットの底面図である。
【
図37】
図1に示したカメラ装置に使用される、基板ユニットのセンサ基板ユニットの底面図である。
【
図38】
図36に示すレンズユニットの保持部材の第1乃至第3の突起に、それぞれ、
図37に示す基板ユニットのセンサ基板ユニットの第1乃至第3のスリットを通過させた後、レンズユニットに対して基板ユニットを移動させようとする状態を示す底面図である。
【
図39】
図36に示したレンズユニットの保持部材の突き当て部に、
図37に示したセンサ基板の角部を突き当てた状態を示す底面図である。
【
図40】
図1に示したカメラ装置を車載カメラVCとして自動車AMに取り付けた状態を示す図であって、(A)は自動車AMを後面側から見た斜視図であり、(B)は自動車AMを前面側から見た正面図である。
【
図41】本発明の第2の実施形態に係るカメラ装置の外観斜視図である。
【
図42】
図41の線XLII−XLIIについての縦断面図である。
【
図43】
図41の線XLIII−XLIIIについての縦断面図である。
【
図44】
図41に示したカメラ装置に使用される、センサ基板ユニットのセンサ基板の表面上に接着剤を塗布した後、センサ基板ユニットをレンズユニットのバレルの下端へ突き合わせようとする状態を示す分解斜視図である。
【
図45】センサ基板ユニットをレンズユニットに接着して第1のカメラモジュールを組み立てた状態を示す斜視図である。
【
図46】レンズユニットとセンサ基板ユニットとの光軸のズレを無くすように、焦点距離、回転傾きを最適な位置に調整する状態を示す断面斜視図である。
【
図47】
図41のカメラ装置に使用される、ブラケットの平面図である。
【
図48】
図45に示した第1のカメラモジュールを上方から、
図47のブラケットに挿入しようとする状態を示す斜視図である。
【
図49】
図47に示したブラケットの第1乃至第3の基板受けまで、
図45に示したカメラモジュールを差し込んだ状態を示す縦断面図である。
【
図50】ブラケットの上部開口部周辺に接着剤を塗布した状態を示す斜視図である。
【
図51】
図25に示した電源基板ユニットを下方から、
図50に示したブラケットを取り付けた第1のカメラモジュールの基板収容空間へ向けて挿入しようとする状態を示す分解斜視図である。
【
図52】
図25に示した電源基板ユニットを下方から、
図50に示したブラケットを取り付けた第1のカメラモジュールの基板収容空間へ向けて挿入しようとする状態を示す分解断面斜視図である。
【
図53】センサ基板ユニットの第1のコネクタと電源基板ユニットの第2のコネクタとを嵌合して、第2のカメラモジュールを組み立てた状態を示す斜視図である。
【
図54】センサ基板ユニットの第1のコネクタと電源基板ユニットの第2のコネクタとを嵌合して、第2のカメラモジュールを組み立てた状態を示す断面斜視図である。
【
図55】
図53に示した第2のカメラモジュールを逆さました状態を示す斜視図である。
【
図56】
図56に示した第2のカメラモジュールにおけるブラケットの下部に封止部材を封止して、
図41に示すカメラ装置を組み立てた状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
[第1の実施形態]
図1乃至
図4を参照して、本発明の第1の実施形態に係るカメラ装置10の構造について説明する。図示のカメラ装置10は、後述するように、車体後部にバックモニタ用カメラとして使用される車載カメラから成る。なお、カメラ装置10は、車体前部にフロントモニタ用カメラ等のカメラとして使用される車載カメラであってもよい。
【0035】
図1はカメラ装置10の外観斜視図である。
図2はカメラ装置10の分解斜視図である。
図3は
図1の線III−IIIについての縦断面図である。
図4は
図1の線IV−IVについての縦断面図である。
【0036】
ここでは、
図1乃至
図4に示されるように、直交座標系(X,Y,Z)を使用している。
図1乃至
図4に図示した状態では、直交座標系(X,Y,Z)において、X軸方向は前後方向(奥行方向)であり、Y軸方向は左右方向(幅方向)であり、Z軸方向は上下方向(高さ方向)である。そして、
図1乃至
図4に示す例においては、上下方向Zがレンズの光軸O方向である。図示の例では、上下方向Zの上方向は被写体(図示せず)が存在する方向である。尚、本第1の実施形態において、Y軸方向(左右方向)は第1の方向とも呼ばれ、X軸方向(前後方向)は第2の方向とも呼ばれる。
【0037】
図示のカメラ装置10は、
図2に示されるように、おおきく3つの構成要素から成る。すなわち、カメラ装置10は、レンズユニット20と、基板ユニット30と、封止部材40とから成る。ここで、「封止」とは、開口を閉鎖することをいう。また、図示の例では、基板ユニット30を構成する基板は、プリント配線基板(PWB:printed wiring board)から成る。したがって、基板ユニット30は、PWBユニットとも呼ばれる。
【0038】
レンズユニット20は、レンズ群22と、このレンズ群22を保持するための保持部材24と、この保持部材24の内部に水が浸入するのを防止するためのリテーナ26とから成る。
【0039】
レンズ群22は、複数個のレンズ(後述する)から成る。図示の例では、レンズ群22は、5個のレンズから成る。5個のレンズの各々は、後述する撮像素子3224の使用していない領域を持たない外形形状を持つ。図示の例では、5個のレンズの外形形状は、撮像素子3224の外形に対応した矩形から成る。
【0040】
図示の保持部材24は、レンズ群22を遮光するためのバレル部242と、当該レンズ装置10を車体等の他の装置へ取り付けるためのブラケット部244とを含み、バレル部242とブラケット部244とが一体となった構造をしている。保持部材24は樹脂製である。
【0041】
保持部材24のバレル部242は、上下方向Zに延在する実質的に四角筒形状をした筒状部2422を有する。筒状部2422は、レンズ群22の外形形状に合致したレンズ収容内壁面2422aを持つ。また、バレル部242は、その下端部に、レンズ群22の一番下側の下部レンズ(後述する)を係止するために、筒状部2422のレンズ収容内壁面242aから半径方向内側へ突出した矩形リング状の係止部2424を有する。係止部2424は、その上面に係止面2424aを持つ。ここで、「係止」とは、係わり合って止まることを意味する。筒状部2422のレンズ収容内壁面2422aと係止部2424の係止面2424aとの組み合わせによって、レンズ群22を収容するレンズ収容空間LSが規定される。
【0042】
さらに、バレル部242の筒状部2422は、その上端部に、リテーナ26を受けるために、バレル部242の筒状部2422の外壁から半径方向内側へ凹んで形成されたリテーナ受け面2422bを持つ。
【0043】
後述するように、レンズ群22を構成する複数のレンズは、順番に、保持部材24のバレル部242に上方から挿入され、バレル部242のレンズ収容空間LSに収容されて保持される。
【0044】
保持部材24のブラケット部244は、バレル部242の筒状部2422から連続して下方に延在して設けられた四角筒形状の筒状部2442と、この筒状部2442から左右方向Yの外側へ突出して設けられた一対のネジ保持部2444とを有する。各ネジ保持部2444は、半円柱の外形をしており、上下方向Zに穿設されたネジ挿入穴2444aを持つ。ここで、「穿設」とは、穴を設けることを意味する。
【0045】
リテーナ26は、後述のように、保持部材24のバレル部242の筒状部2422の上端に取り付けられる。リテーナ26は、上下方向Zに延在する実質的に四角筒状の外筒部262と、この外筒部262の上端で外筒部262から斜め上方にかつ内側へ突出するように設けられた、曲面リング形状の上端部264と、から成る。上端部264は、上記レンズ群22の外形形状に合致した、実質的に矩形の開口264aを持つ。
【0046】
リテーナ26の外筒部262は、バレル部242の筒状部2422のリテーナ受け面2422bで受け止められる。また、レンズ群22の一番上側の上部レンズ(後述する)の上面225aは、後述するように、リテーナ26の上端部264の開口264aから露出する。すなわち、リテーナ26は、上部レンズの上面225aを露出させた状態で、上部レンズの外周縁を囲むように、保持部材24のバレル部242に取り付けられる。
【0047】
保持部材24のブラケット部244において、筒状部2442の内壁面は、 上記レンズ収容内壁面2422aに係止部2424を介して連通して、後述する基板ユニット30の基板モジュールを収容する基板収容内壁面2442aとして働く。筒状部2442は、収容空間の幅(径)が大きい下部筒状部2442−1と、その下部筒状部2442−1に続く収容空間の幅(径)が小さい上部筒状部2442−2とから成る。下部筒状部2442−1と上部筒状部2442−2との間の段差は、後述する基板ユニット30のセンサ基板ユニット32のセンサ基板3222を取り付けるための基板取付け面2442bとして使用される。基板収容内壁面2442aと基板取付け面2442bとの組み合わせによって、基板ユニット30の基板モジュールを収容する基板収容空間SSが規定される。
【0048】
また、保持部材24のブラケット部244において、筒状部2442は、後述するように、ブラケット部244の基板収容空間SS内にホットメルト接着剤を充填する際に、その基板収容空間SS内の空気を外部へ抜くための一対の空気抜き孔2442cを持つ。図示の例では、一対の空気抜き孔2442cは、筒状部2442の前後方向Xに対向する一対の側面の中央部に穿設されている。
【0049】
基板ユニット30は、センサ基板ユニット32と、電源基板ユニット34とから成る。センサ基板ユニット32はセンサPWBユニットとも呼ばれ、電源基板ユニット34は電源PWBユニットとも呼ばれる。
【0050】
センサ基板ユニット32は、撮像素子(後述する)を含むが、その詳細な構成については後で説明する。
【0051】
電源基板ユニット34は、電源基板アセンブリ342と、ハーネスアセンブリ344とを含むが、その詳細な構成については後で説明する。電源基板アセンブリ342は、電源PWBアセンブリとも呼ばれる。
【0052】
封止部材40は、後述するように、保持部材24の下部を封止する。
【0053】
次に、
図5乃至
図14を参照して、レンズユニット20を組み立てる方法について説明する。
【0054】
図5は、レンズユニット20の組立て途中を示す縦断面斜視図である。レンズ群22は、
図5に示された第1乃至第4のレンズ221、222、223、および224から成るプラスチックレンズ群と、第5のレンズ225(
図11参照)から成るガラスレンズと、から構成されている。第1乃至第4のレンズ221〜224は、それぞれ、第1乃至第4のプラスチックレンズとも呼ばれる。
【0055】
第4のプラスチックレンズ224は、レンズ群22の最下部に設けられるので、下部レンズと呼ばれる。一方、第5のレンズ225は、レンズ群22の最上部に設けられるので、上部レンズと呼ばれる。
【0056】
先ず、
図5に示されるように、保持部材24のバレル部242の内部にレンズ群22のプラスチックレンズ群(221〜224)を軽圧入する。
【0057】
詳述すると、
図6に示されるように、第4のプラスチックレンズ(下部レンズ)224を上方からバレル部242内に圧入する。このとき、第4のプラスチックレンズ224の下面は、バレル部242の係止部2424の係止面2424aで係止される。これにより、第4のプラスチックレンズ224は、バレル部242のレンズ収容空間LS内の正規な位置に位置決めされる。
【0058】
次に、
図7に示されるように、第3のプラスチックレンズ223を上方からバレル部242内に圧入する。これにより、第3のプラスチックレンズ223の下面と第4のレンズプラスチック224の上面とが互いに当接する。ここで、「当接」とは、突き当てた状態に接することを意味する。これにより、第3のプラスチックレンズ223も、バレル部242のレンズ収容空間LS内の正規な位置に位置決めされる。
【0059】
引き続いて、
図8に示されるように、第2のプラスチックレンズ222を上方からバレル部242内に圧入する。これにより、第2のプラスチックレンズ222の下面と第3のプラスチックレンズ223の上面とが互いに当接する。これにより、第2のプラスチックレンズ222も、バレル部242のレンズ収容空間LS内の正規な位置に位置決めされる。
【0060】
そして、
図9に示されるように、第1のプラスチックレンズ221を上方からバレル部242内に圧入する。これにより、第1のプラスチックレンズ221の下面と第2のプラスチックレンズ222の上面とが互いに当接する。これにより、第1のプラスチックレンズ221も、バレル部242のレンズ収容空間LS内の正規な位置に位置決めされる。
【0061】
図10は、このようにして第1乃至第4のプラスチックレンズ221〜224から成るプラスチックレンズ群をバレル部242に軽圧入した状態を示す斜視図である。
【0062】
引き続いて、
図11に示すように、第5のレンズ(上部レンズ)225であるガラスレンズを第1のプラスチックレンズ221の上に載せる。
【0063】
これにより、
図12に示されるように、第5のレンズ225の下面と第1のプラスチックレンズ221の上面とが互いに当接する。これにより、第5のレンズ225も、バレル部242のレンズ収容空間LS内の正規な位置に位置決めされる。
【0064】
引き続いて、
図12において、第5のレンズ(上部レンズ)225の外周に接着剤(図示せず)を塗布する。
【0065】
その後、
図13に示すように、リテーナ26を上方から白抜き矢印Aで示すように保持部材24の上端に被せて、接着剤で接着する。
【0066】
最後に、
図14に示すように、オーブンにて熱硬化することにより、保持部材24にリテーナ26を固定する。このとき、第5のレンズ(上部レンズ)225の上面225aは、リテーナ26の開口264aから露出する。このようにして、レンズユニット20が組み立てられる。
【0067】
以上をまとめると、レンズユニット20の組立て方法は、撮像素子(3224)の使用していない領域を持たない外形形状を各々持つ複数のレンズ(221〜225)から成るレンズ群(22)を準備するレンズ群準備工程と、複数のレンズ(221〜225)を順番に、レンズ群(22)の外形形状に合致したレンズ収容内壁面(2422a)を持つ筒状の保持部材(24)に上方から挿入して、レンズ群(22)を保持部材(24)内に保持するレンズ群保持工程と、保持部材(24)の内部に水が浸入するのを防止するために、保持部材(24)の上端に設けられたレンズ群(22)の上部レンズ(225)の上面(225a)を露出させた状態で、上部レンズ(225)の外周縁を囲むように、開口(264a)を持つリテーナ(26)を保持部材(24)の上端に取り付けるリテーナ取付け工程と、を含む。
【0068】
次に、
図15乃至
図19を参照して、センサ基板ユニット32の構成およびその組立て方法について説明する。
【0069】
図19に示されるように、センサ基板ユニット32は、センサ基板アセンブリ322と、粘着テープ324と、赤外線カットフィルタ(IRCF)326とから成る。センサ基板アセンブリ322は、センサPWBアセンブリとも呼ばれる。粘着テープ324は、両面テープ(粘着材)から成る。
【0070】
図15は、センサ基板アセンブリ322を表面側からみた斜視図であり、
図16は、センサ基板アセンブリ322を裏面側からみた斜視図である。
【0071】
センサ基板アセンブリ322は、センサ基板3222と、撮像素子3224と、第1のコネクタ3226とを有する。センサ基板3222は、センサPWBとも呼ばれる。また、第1のコネクタ3226は、センサ側コネクタとも呼ばれる。図示の例では、第1のコネクタ3226は、プラグコネクタ(雄型コネクタ)から成る。
【0072】
図15に示されるように、センサ基板3222の表面上に撮像素子3224が搭載されている。
【0073】
図16に示されるように、センサ基板3222の裏面上に第1のコネクタ3226が搭載されている。
【0074】
撮像素子3224は、上記レンズ群22により結像された被写体像を撮像して電気信号に変換する。撮像素子3224は、例えば、CCD(charge coupled device)型イメージセンサ、CMOS(complementary metal oxide semiconductor)型イメージセンサ等により構成される。
【0075】
次に、
図15乃至
図19を参照して、センサ基板ユニット32の組立て方法について説明する。
【0076】
まず、
図17に示されるように、センサ基板アセンブリ322の撮像素子3224の上面に、粘着テープ324を貼る。
【0077】
次に、
図18の白抜き矢印Bで示すように、赤外線カットフィルタ(IRCF)326を粘着テープ324に貼って、撮像素子3224上に実装する。
【0078】
これにより、
図19に示されるような、センサ基板ユニット32が組み立てられる。
【0079】
図20および
図21は、センサ基板アセンブリ322の構成をより詳細に示す図である。
図20は、センサ基板アセンブリ322を表面側からみた斜視図であり、
図21は、センサ基板アセンブリ322を裏面側からみた斜視図である。
【0080】
図20および
図21から明らかなように、センサ基板アセンブリ322は、センサ基板3222上に、その実装部品として、撮像素子3224およびセンサ側コネクタ(プラグコネクタ)3226ばかりでなく、チップコンデンサ、チップ抵抗器、フラッシュROM(read only memory)、水晶発振子などを実装している。
【0081】
次に、
図22乃至
図25を参照して、電源基板ユニット34の構成およびその組立て方法について説明する。
【0082】
図25に示されるように、電源基板ユニット34は、電源基板アセンブリ342と、ハーネスアセンブリ344とから成る。電源基板アセンブリ342は、電源PWBアセンブリとも呼ばれる。
【0083】
図22は、電源基板アセンブリ342を表面側からみた斜視図であり、
図23は、電源基板アセンブリ342を裏面側からみた斜視図である。
【0084】
電源基板アセンブリ342は、電源基板3422と、第2のコネクタ3424とを有する。電源基板3422は、電源PWBとも呼ばれる。また、第2のコネクタ3424は、電源側コネクタとも呼ばれる。図示の例では、第2のコネクタ3424は、レセプタクルコネクタ(雌型コネクタ)から成る。
【0085】
図22に示されるように、電源基板3422の表面上に第2のコネクタ3424が搭載されている。
【0086】
次に、
図22乃至
図25を参照して、電源基板ユニット34の組立て方法について説明する。
【0087】
図24に示すように、電源基板アセンブリ342の裏面にハーネスアセンブリ344のケーブル(電線)3442を手ではんだ付けする。
【0088】
これにより、
図25に示されるような、電源基板ユニット34が組み立てられる。
【0089】
図26および
図27は、電源基板アセンブリ342の構成をより詳細に示す図である。
図26は、電源基板アセンブリ342を表面側からみた斜視図であり、
図27は、電源基板アセンブリ342を裏面側からみた斜視図である。
【0090】
図26および
図27から明らかなように、電源基板アセンブリ342は、電源基板3422上に、その実装部品として、電源側コネクタ(レセプタクルコネクタ)3424ばかりでなく、チップコンデンサ、チップ抵抗器、フラッシュROM(read only memory)、水晶発振子などを実装している。
【0091】
次に、
図28および
図29を参照して、基板ユニット30の組立て方法について説明する。
【0092】
図28に示されるように、センサ基板ユニット32の第1のコネクタ(プラグコネクタ)3226と、電源基板ユニット34の第2のコネクタ(レセプタクルコネクタ)3424とを嵌合する。第1のコネクタ3226と第2のコネクタ3424との組み合わせは、基板間コネクタ(3226,3424)と呼ばれる。したがって、センサ基板ユニット32と電源基板ユニット34とは、基板間コネクタ(3226,3424)を介して嵌合される。
【0093】
これにより、
図29に示されるような、基板ユニット30が組み立てられる。
【0094】
尚、センサ基板ユニット32のセンサ基板アセンブリ322と、電源基板ユニット34の電源基板アセンブリ342との組み合わせは、上述した基板モジュール(322,342)と呼ばれる。基板モジュール(322,342)は、後述するように、保持部材24の上記基板収容空間SS内に収容される。
【0095】
次に、
図30乃至
図35を参照して、カメラ装置10の組立て方法について説明する。
【0096】
先ず、
図30に示されるように、基板ユニット30のセンサ基板3222上に、接着剤52を塗布する。図示の例では、接着剤52として、アクリル−エポキシ樹脂を使用しているが、それに限定されない。
【0097】
次に、
図31に示されるように、基板ユニット30をレンズユニット20の保持部材24に白抜き矢印Cで示すように挿入して、基板ユニット30をレンズユニット20に接着剤52を介して接着する。
【0098】
この接着の際、
図32に示されるように、レンズユニット20と基板ユニット30との光軸Oのズレを無くすように、焦点距離、回転傾きを最適な位置に調整する。換言すれば、レンズ群22の光軸O中心および合焦位置に撮像素子3224の中心を合わせるように調整する。
【0099】
図33は、基板ユニット30のセンサ基板3222の接着箇所を拡大して示す部分断面斜視図である。
図33のDの○印で示す接着箇所において、基板ユニット30のセンサ基板3222は、保持部材24の基板取付け面2442bに接着剤52を介して接着される。
【0100】
引き続いて、上記接着箇所にUV照射して仮固定した後、オーブンにて熱硬化して、本固定を行う。
【0101】
これにより、レンズユニット20に基板ユニット30を固定した、カメラモジュール(20,30)が組み立てられる。
【0102】
次に、
図34に示されるように、このカメラモジュール(20,30)を逆さまにした状態で、専用の金型60にセットする。その後、
図34の矢印Eで示すように、金型60内にホットメルト接着剤42を射出して、ホットメルト接着剤42をカメラモジュール(20,30)の内部に充填する。これにより、保持部材24と基板ユニット30との間の隙間(基板収容空間SS)がホットメルト接着剤42によって封止される。その後、常温にてホットメルト接着剤42を自然硬化する。
【0103】
ホットメルト接着剤42としては、たとえば、エチレン酢酸ビニル(EVA)のような熱可塑性プラスチックを使用できるが、それには限定されない。このとき、
図34に示されるように、金型60内に樹脂だまり44が形成される。
【0104】
その後、
図35に示されるように、ホットメルト接着剤42が充填されたカメラモジュール(20,30)から金型60を取り外して、樹脂だまり44をカットする。これにより、保持部材24の下部が封止部材40で封止される。
【0105】
このようにして、
図1乃至
図4に示されるような、カメラ装置10が組み立てられる。
【0106】
以上をまとめると、カメラ装置10の組立て方法は、上述したレンズユニット20の組立て方法に加えて更に、撮像素子(3224)を搭載したセンサ基板アセンブリ(322)を含むセンサ基板ユニット(32)を準備するセンサ基板ユニット準備工程と、電源基板アセンブリ(342)にハーネスアセンブリ(344)のケーブル(3442)をはんだ付けして、電源基板ユニット(34)を組み立てる電源基板ユニット組立て工程と、電源基板ユニット(34)とセンサ基板ユニット(32)とを基板間コネタク(3226,3424)を介して嵌合して、基板ユニット(30)を組み立てる基板ユニット組立て工程と、基板ユニット(30)を保持部材(24)中に下方から挿入して、レンズ群(22)の光軸(O)中心および合焦点位置に撮像素子(3224)の中心を合わせるように調整しながら、レンズ収容内壁面(2422a)に連通して保持部材(24)の下方に設けられた保持部材(24)の基板収容内壁面(2442a)に、基板ユニット(30)のセンサ基板ユニット(32)を固定する基板ユニット固定工程と、保持部材(24)の下部を封止部材(40)で封止する封止工程と、を更に含む。
【0107】
次に、
図36乃至
図39を参照して、
図31に示すように、基板ユニット30をレンズユニット20の保持部材24に挿入する方法について説明する。
【0108】
図36はレンズユニット20の底面図であり、
図37は基板ユニット30のセンサ基板ユニット32の底面図である。
【0109】
図36に示されるように、レンズユニット20の保持部材24のブラケット部244は、その下部筒状部2442−1の1つの角部で、かつ基板取付け面2442bの近傍において、基板収容内壁面2442aから内側へ突出するように形成されたL字状の突き当て部2446を有する。また、ブラケット部244は、その下部筒状部2442−1の基板収容内壁面2442aから内側へ突出する第1乃至第3の突起2448−1、2448−2、および2448−3を有する。第1の突起2448−1は、基板収容内壁面2442aの左右方向Yの左側の壁面の中央部に形成されている。第2および第3の突起2448−2および2448−3は、基板収容内壁面2442aの左右方向Yの右側の壁面の両端部側に、光軸Oを通る左右方向Yの直線に関して対称に形成されている。
【0110】
図37に示されるように、基板ユニット30のセンサ基板ユニット32のセンサ基板アセンブリ322におけるセンサ基板3222は、その側面に形成された第1乃至第3のスリット3222−1、3222−2、および3222−3を持つ。第1のスリット3222−1は、センサ基板3222の左右方向Yの左側の側面の中央部に形成されている。第2および第3のスリット3222−2および3222−3は、センサ基板3222の左右方向Yの右側の側面の両端部側に、光軸Oを通る左右方向Yの直線に関して対称に形成されている。すなわち、第1乃至第3のスリット3222−1〜3222−3は、それぞれ、上記第1乃至第3の突起2448−1〜2448−3と対応する位置に設けられている。
【0111】
このような構成を有するレンズユニット20および基板ユニット30において、基板ユニット30をレンズユニット20の保持部材24に挿入する場合、まず、
図38に示されるように、レンズユニット20の保持部材24の第1乃至第3の2448−1〜2448−3に、それぞれ、基板ユニット30のセンサ基板ユニット32の第1乃至第3のスリット3222−1〜3222−3を通過させる。
【0112】
引き続いて、
図38の矢印Fで示すように、レンズユニット20に対して基板ユニット30を移動させることにより、
図39に示すように、レンズユニット20の保持部材24の突き当て部2446に、センサ基板3222の角部を突き当てる。
【0113】
このようにして、基板ユニット30をレンズユニット20の保持部材24に挿入する。
【0114】
以上の説明から明らかなように、本発明の第1の実施形態によれば、カメラ装置10を少ない部品点数で容易に組み立てることができる。
【0115】
図40は、カメラ装置10を車載カメラVCとして自動車AMに取り付けた状態を示す図である。
図40において、(A)は自動車AMを後面側から見た斜視図であり、(B)は自動車AMを前面側から見た正面図である。
【0116】
図40(A)に示されるように、カメラ装置10は、自動車AMの車体後部にバックモニタ用カメラVCとして取り付けられる。
【0117】
また、
図40(B)に示されるように、カメラ装置10は、自動車AMの車体前部にフロントモニタ用カメラVCとして取り付けられる。
【0118】
[第2の実施形態]
図41乃至
図43を参照して、本発明の第2の実施形態に係るカメラ装置10Aの構造について説明する。図示のカメラ装置10Aも、上記第1の実施形態に係るカメラ装置10と同様に、車体後部にバックモニタ用カメラVCとして使用される車載カメラから成る。なお、カメラ装置10Aも、車体前部にフロントモニタ用カメラ等のカメラVCとして使用される車載カメラであってもよい。
【0119】
図41はカメラ装置10Aの外観斜視図である。
図42は
図41の線XLII−XLIIについての縦断面図である。
図43は
図41の線XLIII−XLIIIについての縦断面図である。
【0120】
ここでは、
図41乃至
図43に示されるように、直交座標系(X,Y,Z)を使用している。
図41乃至
図43に図示した状態では、直交座標系(X,Y,Z)において、X軸方向は前後方向(奥行方向)であり、Y軸方向は左右方向(幅方向)であり、Z軸方向は上下方向(高さ方向)である。そして、
図41乃至
図43に示す例においては、上下方向Zがレンズの光軸O方向である。図示の例では、上下方向Zの上方向は被写体(図示せず)が存在する方向である。尚、本第2の実施形態において、Y軸方向(左右方向)は第1の方向とも呼ばれ、X軸方向(前後方向)は第2の方向とも呼ばれる。
【0121】
図示のカメラ装置10Aは、レンズユニットの構成が相違するともとに、更に、別体としてブラケット70を備えている点を除いて、第1の実施形態に係るカメラ装置10と同様の構成を有する。従って、レンズユニットに20Aの参照符号を付してある。以下では、第1の実施形態に係るカメラ装置10と同様の構成要素には同一の参照符号を付して、説明の簡略化のために、それらの説明については省略する。以下では、第1の実施形態に係るカメラ装置10と相違する点についてのみ詳細に説明する。
【0122】
したがって、カメラ装置10Aは、おおきく4つの構成要素から成る。すなわち、カメラ装置10Aは、レンズユニット20Aと、ブラケット70と、基板ユニット30と、封止部材40とから成る。
【0123】
レンズユニット20Aは、保持部材の構成が相違する点を除いて、第1の実施形態のレンズユニット20と同様の構成を有する。したがって、保持部材に24Aの参照符号を付してある。
【0124】
第1の実施形態のレンズユニット20では、保持部材24がバレル部242とブラケット部244とを一体化した構造をしている。
【0125】
これに対して、本第2の実施形態のレンズユニット20Aでは、保持部材24Aがバレル242Aのみから構成されている。
【0126】
第1の実施形態の保持部材24のバレル部242は、筒状部2422と、係止部2424とのみから構成されている。
【0127】
これに対して、本第2の実施形態の保持部材24Aのバレル242Aは、筒状部2422および係止部2424に加えて、係止部2424から下方へ延在する四角筒形状の下部延在部2426をも更に有する。下部延在部2426の下面2426aは、基板ユニット30のセンサ基板ユニット32のセンサ基板3222を取り付けるための基板取付け面として働く。
【0128】
ブラケット70は、後述するように変更されている点を除いて、第1の実施形態の保持部材24のブラケット部244と実質的に同様の構成を有する。
【0129】
すなわち、第1の実施形態のブラケット部244は、筒状部2442と一対のネジ保持部2444とのみから構成されている。
【0130】
これに対して、本第2の実施形態のブラケット70は、筒状部72および一対のネジ保持部74のみばかりでなく、筒状部72から上方へ延在して、保持部材24A(バレル242A)の外側壁面を覆う上部延在部76をも更に有する。各ネジ保持部74は、半円柱の外形をしており、上下方向Zに穿設されたネジ挿入穴74aを持つ。ブラケット70の筒状部72の内壁面は、基板ユニット30を収容する基板収容内壁面72aとして働く。また、ブラケット70の筒状部72は、一対の空気抜き孔72bを持つ。
【0131】
レンズユニット20Aの組立て方法は、保持部材24が保持部材24Aに変更された点を除いて、前述した第1の実施形態に係るレンズユニット20の組立て方法と実質的に同じなので、詳細な説明を省略する。
【0132】
したがって、レンズユニット20Aの組立て方法は、撮像素子(3224)の使用していない領域を持たない外形形状を各々持つ複数のレンズ(221〜225)から成るレンズ群(22)を準備するレンズ群準備工程と、複数のレンズ(221〜225)を順番に、レンズ群(22)の外形形状に合致したレンズ収容内壁面(2422a)を持つ筒状の保持部材(24A)に上方から挿入して、レンズ群(22)を保持部材(24A)内に保持するレンズ群保持工程と、保持部材(24A)の内部に水が浸入するのを防止するために、保持部材(24A)の上端に設けられたレンズ群(22)の上部レンズ(225)の上面(225a)を露出させた状態で、上部レンズ(225)の外周縁を囲むように、開口(264a)を持つリテーナ(26)を保持部材(24A)の上端に取り付けるリテーナ取付け工程と、を含む。
【0133】
センサ基板ユニット32および電源基板ユニット34の組立て方法も、前述した第1の実施形態のセンサ基板ユニット32および電源基板ユニット34の組立て方法と同一であるので、それらの説明も省略する。
【0134】
次に、
図44乃至
図46を参照して、第1のカメラモジュールの組立て方法について説明する。
【0135】
先ず、
図44に示されるように、センサ基板ユニット32のセンサ基板3222の表面上に、アクリル−エポキシ樹脂からなる接着剤52を塗布する。引き続いて、
図44の白抜き矢印Gのように、センサ基板ユニット32を、レンズユニット20Aのバレル242Aの下端(基板取付け面)2426aへ突き合わせる。
【0136】
これにより、
図45に示されるように、センサ基板ユニット32を接着剤52を介してレンズユニット20Aに接着する。
【0137】
この接着の際、
図46に示されるように、レンズユニット20Aとセンサ基板ユニット32との光軸Oのズレを無くすように、焦点距離、回転傾きを最適な位置に調整する。換言すれば、レンズ群22の光軸O中心および合焦位置に撮像素子3224の中心を合わせるように調整する。
【0138】
このように、センサ基板ユニット32のセンサ基板3222は、保持部材24Aの基板取付け面2426aに接着される。
【0139】
引き続いて、上記接着箇所にUV照射して仮固定した後、オーブンにて熱硬化して、本固定を行う。
【0140】
このようにして、レンズユニット20Aにセンサ基板ユニット32を固定した、第1のカメラモジュール(20A,32)が組み立てられる。
【0141】
次に、
図47乃至
図50を参照して、ブラケット70を第1のカメラモジュール(20A,32)に取り付ける方法について説明する。
【0142】
図47は、ブラケット70の平面図である。
【0143】
図47に示されるように、ブラケット70は、その筒状部72の基板収容内壁面72aから内側へ突出する第1乃至第3の基板受け78−1、78−2、および78−3を有する。第1の基板受け78−1は、基板収容内壁面72aの左右方向Yの左側の壁面の中央部に形成されている。第2および第3の基板受け78−2および78−3は、基板収容内壁面72aの左右方向Yの右側の壁面の両端部側に、光軸Oを通る左右方向Yの直線に関して対称に形成されている。
【0144】
図48の白抜き矢印Hで示されるように、第1のカメラモジュール(20A,32)を、ブラケット70の上方からブラケット70に挿入する。
【0145】
このとき、
図49に示されるように、ブラケット70の第1乃至第3の基板受け78−1〜78−3まで、カメラモジュール(20A,32)を差し込む。
【0146】
引き続いて、
図50に示されるように、ブラケット70の上部開口部周辺に、たとえば、エポキシ樹脂から成る接着剤54を塗布する。その後、オーブンにて接着剤54を硬化させる。
【0147】
このようにして、ブラケット70を第1のカメラモジュール(20A,32)に取り付ける。
【0148】
次に、
図51乃至
図54を参照して、ブラケット70を取り付けた第1のカメラモジュール(20A,32)に、電源基板ユニット34を取り付ける方法について説明する。
【0149】
図51及び
図52の白抜き矢印Iで示すように、電源基板ユニット34を下方から第1のカメラモジュール(20A,32)の基板収容空間SSへ向けて挿入する。
【0150】
そして、
図53及び
図54に示すように、センサ基板ユニット32の第1のコネクタ(プラグコネクタ)3226と電源基板ユニット34の第2のコネクタ(レセプタクルコネクタ)3424とを嵌合する。これにより、基板ユニット32と電源基板ユニット34とが基板間コネクタ(3226,3424)を介して嵌合された基板ユニット30が組み立てられる。レンズユニット20Aとブラケット70と基板ユニット30との組み合わせは、第2のカメラモジュール(20A,70,30)と呼ばれる。
【0151】
最後に、
図55および
図56に加えて
図34および
図35をも参照して、第2のカメラモジュール(20A,70,30)のブラケット70の下部を封止部材40で封止する方法について説明する。
【0152】
図55に示されるように、まず、第2のカメラモジュール(20A,70,30)を逆さまにする。
【0153】
次に、
図34に示したのと同様に、この逆さまにした第2のカメラモジュール(20A,70,30)を専用の金型60にセットする。その後、
図34の矢印Eで示すように、金型60内にホットメルト接着剤42を射出して、ホットメルト接着剤42を第2のカメラモジュール(20A,70,30)の内部に充填する。これにより、ブラケット70と基板ユニット30との間の隙間(基板収容空間SS)がホットメルト接着剤42によって封止される。その後、常温にてホットメルト接着剤42を自然硬化する。このとき、
図34に示されるように、金型60内に樹脂だまり44が形成される。
【0154】
その後、
図35に示したのと同様に、ホットメルト接着剤42が充填された第2のカメラモジュール(20A,70,30)から金型60を取り外して、樹脂だまり44をカットする。
【0155】
これにより、
図56に示すように、ブラケット70の下部が封止部材40で封止される。
【0156】
このようにして、
図41乃至
図43に示されるような、カメラ装置10Aが組み立てられる。
【0157】
以上をまとめると、カメラ装置10Aの組立て方法は、上述したレンズユニット20Aの組立て方法に加えて更に、撮像素子(3224)を搭載したセンサ基板アセンブリ(322)を含むセンサ基板ユニット(32)をバレル(242A)の下端へ突合せて、レンズ群(22)の光軸(O)中心および合焦点位置に撮像素子(3224)の中心を合わせるように調整しながら、バレル(242A)の下端にセンサ基板ユニット(32)を固定して、カメラモジュール(20A,32)を組み立てるモジュール組立て工程と、当該カメラ装置を他の装置へ取り付けるためのブラケット(70)に、カメラモジュール(20A,32)を差し込んで取り付けるモジュール取付け工程と、電源基板アセンブリ(342)にハーネスアセンブリ(344)のケーブル(3442)をはんだ付けして、電源基板ユニット(34)を組み立てる電源基板ユニット組立て工程と、電源基板ユニット(34)とセンサ基板ユニット(32)とを基板間コネタク(3226,3424)を介して嵌合して、基板ユニット(30)を組み立てるユニット組立て工程と、ブラケット(70)の下部を封止部材(40)で封止する封止工程と、を含む。
【0158】
以上の説明から明らかなように、本発明の第2の実施形態によれば、上述した第1の実施形態に係るカメラ装置10と比較して、カメラ装置10Aをより容易に組み立てることが可能となる。
【0159】
その理由は、次の通りである。本発明の第2の実施形態に係るカメラ装置10Aでは、バレル242Aとブラケット70とを分離したので、第1の実施形態のカメラ装置10よりも部品点数が増えてしまう。しかしながら、第1の実施形態のカメラ装置10では、保持部材24をバレル部242とブラケット部244とを一体化して構成したことにより、保持部材24に機能を盛り込み過ぎることになる。これに対して、本発明の第2の実施形態では、バレル242Aとブラケット70とを分離したので、第1の実施形態における保持部材24の機能も分離することが可能となり、より組み立て易くなるからである。
【0160】
以上、実施の形態を参照して本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではない。本発明の構成や詳細には、本発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
【0161】
例えば、上述した実施形態では、保持部材(ブラケット)の下部に対する封止部材による封止を、ホットメルト接着剤を充填することによって行っているが、これに限定されず、他の封止方法を採用してもよい。