特許第6583615号(P6583615)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6583615
(24)【登録日】2019年9月13日
(45)【発行日】2019年10月2日
(54)【発明の名称】テープディスペンサ
(51)【国際特許分類】
   B65H 35/07 20060101AFI20190919BHJP
【FI】
   B65H35/07 R
   B65H35/07 E
【請求項の数】7
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-109526(P2015-109526)
(22)【出願日】2015年5月29日
(65)【公開番号】特開2016-222393(P2016-222393A)
(43)【公開日】2016年12月28日
【審査請求日】2018年4月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001351
【氏名又は名称】コクヨ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085338
【弁理士】
【氏名又は名称】赤澤 一博
(72)【発明者】
【氏名】山本 尚
(72)【発明者】
【氏名】甲斐 啓二
【審査官】 松林 芳輝
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第03861985(US,A)
【文献】 実開平04−053753(JP,U)
【文献】 実公昭30−010984(JP,Y1)
【文献】 実公昭47−001439(JP,Y1)
【文献】 特開平08−175739(JP,A)
【文献】 特開平07−252010(JP,A)
【文献】 特開平10−120282(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H35/00−35/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
テープを巻回したリールを支持する第一部材と、
前記第一部材及び前記リールに対して相対的に回動可能な第二部材と、
前記リールにおける最上層のテープと接触し、前記第一部材と前記第二部材との相対回動に伴って最上層のテープを第二部材に対して相対的に変位させる送出動作を行うテープ誘導部と
を具備し、使用者が前記第一部材を把持して前記第二部材に対し相対的に正方向に回動操作することで、前記リールが当該第一部材とともに回動し前記送出動作を介して最上層のテープの先端部が飛び出すテープディスペンサ。
【請求項2】
前記テープ誘導部が、前記第二部材に回転可能に支持されている回転体を含み、
前記回転体が前記第一部材と前記第二部材との相対回動に伴い第二部材に対して相対的に前記正方向に回転することで前記送出動作を惹起する請求項1記載のテープディスペンサ。
【請求項3】
前記第一部材が前記第二部材に対して相対的に正方向に回動することを許容し逆方向に回動することを禁止する逆転防止機構を具備する請求項記載のテープディスペンサ。
【請求項4】
前記テープ誘導部と対向する箇所に設けられたテープ切断用の刃を具備する請求項1、2または3記載のテープディスペンサ。
【請求項5】
前記第一部材及び前記第二部材により前記リールを略覆う請求項1、2、3または4記載のテープディスペンサ。
【請求項6】
前記テープ誘導部における最上層のテープに接触する領域の幅が当該テープの幅寸法に略等しい請求項1、2、3、4または5記載のテープディスペンサ。
【請求項7】
前記テープ誘導部における最上層のテープに接触する領域の表面に凹凸を形成している請求項1、2、3、4、5または6記載のテープディスペンサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、必要時に必要量のテープをリールから引き出して切り取ることが可能なテープディスペンサに関する。
【背景技術】
【0002】
粘着テープ等のテープを収容して保持し、必要なときにそのテープを引き出して切断刃により切断することのできるテープディスペンサが既知である(例えば、下記特許文献を参照)。この種のテープディスペンサには、テープを巻回したリールを被覆して非使用時の汚損を防止できる利点がある。
【0003】
だが、一方で、テープの先端部がテープディスペンサから十分に飛び出していないと、テープの先端部を摘まんでテープを引き出す操作を行いにくいという難点もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−120282号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、必要時にテープを簡便に引き出すことができるテープディスペンサを提供することを所期の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明では、テープを巻回したリールを支持する第一部材と、前記第一部材及び前記リールに対して相対的に回動可能な第二部材と、前記リールにおける最上層のテープと接触し、前記第一部材と前記第二部材との相対回動に伴って最上層のテープを第二部材に対して相対的に変位させる送出動作を行うテープ誘導部とを具備し、使用者が前記第一部材を把持して前記第二部材に対し相対的に正方向に回動操作することで、前記リールが当該第一部材とともに回動し前記送出動作を介して最上層のテープの先端部が飛び出すテープディスペンサを構成した。
【0007】
さらに、前記テープ誘導部と対向する箇所に設けられたテープ切断用の刃を具備するテープディスペンサであれば、テープを引き出した後即時にこれを切断する操作が可能となり、使用者が必要とする量のテープを速やかに切り出すことができる。
【0008】
前記第一部材及び前記第二部材により前記リールを略覆ってあれば、非使用時にテープの側縁等に塵が付着する汚損を効果的に抑止できる。
【0009】
前記テープ誘導部における最上層のテープに接触する領域の幅が当該テープの幅寸法に略等しいならば、より確実にテープの送出動作を実行することができる。
【0010】
前記テープ誘導部における最上層のテープに接触する領域の表面に凹凸を形成してあれば、テープ誘導部と接触するテープの面に粘着剤(または、接着剤)が塗布されている場合にテープが不当にテープ誘導部にこびり付くことを抑制できる。換言すれば、テープとテープ誘導部との粘着の度合いを必要十分な大きさに制御できる。
【0011】
前記テープ誘導部は、例えば、前記第二部材に回転可能に支持されている回転体を含み、前記回転体が前記第一部材と前記第二部材との相対回動に伴い第二部材に対して相対的に前記正方向に回転することで前記送出動作を惹起するものとする
【0012】
その上で、前記第一部材が前記第二部材に対して相対的に正方向に回動することを許容し逆方向に回動することを禁止する逆転防止機構を具備していれば、テープ誘導部の要素である回転体がテープをテープディスペンサ外に向けて送り出す方向とは逆の方向、即ちテープをテープディスペンサ内に引き込む方向に回転することを抑止できる。結果、テープの先端部がテープディスペンサの中に入り込んでしまいこれを摘まんで引き出すことが困難となる不具合を回避することが可能となる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、必要時にテープを簡便に引き出すことができるテープディスペンサを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施形態のテープディスペンサを示す斜視図。
図2】同実施形態のテープディスペンサの分解斜視図。
図3】同実施形態のテープディスペンサの正面図。
図4】同実施形態のテープディスペンサの側面図。
図5】同実施形態のテープディスペンサの横断面図。
図6】同実施形態のテープディスペンサの縦断面図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。図1ないし図6に示すように、本実施形態のテープディスペンサは、テープ41を巻回したリール4を収容して保持する第一部材1及び第二部材2と、リール4における最上層のテープ41と接触してこのテープをテープディスペンサ外に向けて送り出す送出動作を行うテープ誘導部3と、テープ誘導部3の動作により送り出されたテープ41を切断するための切断刃20とを具備する。なお、図5及び図6の断面図においては、テープ41及びリール4を鎖線で描画している。
【0016】
図2図5及び図6に示すように、第一部材たるカバー1は、概ね円板状をなす側板11の内側面における中心部から内側方に向けて支軸12が突出した概形を有する、例えば硬質樹脂製の一体成形品である。側板11の外径は、テープ41を巻回したリール4の外径よりも大きい。カバー1は、その支軸12をリール4の軸孔42に挿入した状態で当該リール4を支持する。略円筒状をなす支軸12の外周面には、径方向に沿った外方に向けて若干突き出し軸方向に沿って伸長した複数本の線条13を形成しており、この線条13がリール4の軸孔42の内周面に密接する。また、支軸12の内周面には、径方向に沿った内方に向けて突き出し周方向に沿って一周連続したリブ14を形成してある。
【0017】
カバー1の側板11の外周には、使用者がこれを把持して回動操作する際の滑り止めとなるような凹凸形状であるローレット15を形成してある。側板11の内側面における、ローレット15のすぐ内側には、内歯車16を設けている。さらに、側板11の内側面における、内歯車16と支軸12との中間の部位に、逆転防止機構であるラチェットを構成する歯車17を設けている。加えて、歯車17と支軸12との間の領域からは、内側方に向けて複数の突片18が突き出している。突片18は、支軸12に支持させたリール4及び/またはテープ41の一方の側端面に当接または近接する。
【0018】
第二部材たるケース2は、概ね円板状をなす側板21の内側面における外周縁部から内側方に向けて周壁22が起立し、かつその中心部から内側方に向けてボス23が突出した概形を有する、例えば硬質樹脂製の一体成形品である。側板21の外径及び周壁22の内径はテープ41を巻回したリール4の外径よりも大きく、リール4は側板21及び周壁22が取り囲む空間の内に収まる。カバー1は、このケース2の内部空間を遮蔽する蓋の役割を担う。
【0019】
リール4を支持させたカバー1をケース2に組み付ける際には、カバー1側の支軸12内にケース2側のボス23を挿入する。ボス23の外周面からは、径方向に沿った外方に向けて複数の係合体24が突き出している。図4及び図5に示しているように、係合体24は、支軸12内にボス23を挿入する過程で支軸12の内周面に設けられたリブ14を乗り越え、リブ14よりも奥方に位置づけられる。これら係合体24とリブ14との係合を通じて、カバー1及びリール4をケース2に対し相対的に回動可能としながら、カバー1のケース2からの離脱を抑制する。リブ14の内周面はボス23の外周面に当接または近接し、係合体24の外周面は支軸12の内周面に当接または近接する。カバー1をケース2に組み付けた状態で、カバー1の外周のローレット15はケース2の周壁22の外周面よりも外方にはみ出す。
【0020】
図2図3及び図6に示すように、ケース2の周壁22は一部を切り欠いてあり、この切り欠いた部分がテープ41を引き出すための引出口221となる。そして、ケース2の側板21の内側面における、引出口221の近傍の部位から、内側方に向けてピン27を突出させている。ピン27は、テープ誘導部の要素となる回転体3を回転可能に支持する軸となる。また、周壁22に開設した引出口221の、ピン27と略平行となる開口縁に、テープ41切断用の刃20を形成している。切断刃20の刃先は、ピン27及びピン27に支持させた回転体3と対向する。換言すれば、切断刃20の刃線の拡張する方向と、ピン27及び回転体3の軸心の伸びる方向とが略平行となっている。リール4から引き出されるテープ41は、切断刃20と回転体3との間を通過してテープディスペンサの外部へと導かれる。周壁22の内周面における、切断刃20の近傍の部位には、径方向に沿った内方に向かって膨出する押さえ部28を設けている。押さえ部28は、リール4から引き出されるテープ41を切断刃20から遠ざけかつ回転体3に近づける方向に押さえる働きをする。
【0021】
ケース2の周壁22の、ボス23を中心として引出口221と略対称となる箇所には、径方向に沿った内方に凹む凹部222を形成している。
【0022】
さらに、ケース2の側板21の内側面の所定部位に、内側方に向けて突出する足場25を設け、その足場25の先端部に、径方向に沿った内方に突き出す爪26を形成している。この爪26は、カバー1に設けたラチェット歯車17とともに、逆転防止機構であるラチェットを構成する。加えて、足場25とボス23との間の領域からは、内側方に向けて凸条29が突き出している。凸条29は、カバー1側の支軸12に支持させたリール4及び/またはテープ41の他方の側端面に当接または近接する。
【0023】
回転体3は、カバー1及びケース2の軸方向、換言すればリール4に巻回されたテープ41の幅方向に沿って拡張した平歯車状をなす部材である。回転体3の幅寸法は、テープ41の幅寸法よりも大きい。回転体3の内部には、軸方向に延伸する中空の軸孔32を形成してある。ケース2は、ピン27を回転体3の軸孔32に挿入することで当該回転体3を支持する。回転体3の軸孔32の内周面には、内方に向けて突き出し一周連続した抜止片33を形成してある。他方、ケース2の側板21に設けているピン27の外周面には、回転体3の抜け止め用の突起271を形成してある。図5に示しているように、この突起271は、回転体3の軸孔32内にピン27を挿入する過程で抜止片33を乗り越え、抜止片33よりも奥方に位置づけられる。これら突起271と抜止片33との係合を通じて、ピン27を中心として回転体3を回転可能としながら、回転体3のケース2からの離脱を抑制する。
【0024】
カバー1をケース2に組み付けると、ケース2のピン27に支持させた回転体3の側端部の外歯車が、カバー1の側板11の外周部位に設けている内歯車16に噛合する。同時に、ケース2の足場25に突設した爪26が、カバー1の側板11の中間部位に設けているラチェット歯車17の歯に係合する。
【0025】
本実施形態では、テープ41として、片面に粘着剤(または、接着剤)が塗布された片面粘着テープ、または両面に粘着剤が塗布された両面粘着テープを想定している。片面テープ、両面テープ何れの場合にも、リール4に巻回したテープ41の径方向に沿った内方を向く面に粘着剤が塗布されている。そして、リール4から引き出される最上層のテープ41のこの面が、回転体3の側端部以外の領域の外周、より具体的には歯車31の歯先面に接触して粘着する。回転体3の外周に形成されている歯溝、即ち歯と歯との間の部分は、テープ41には接触しない。回転体3における最上層のテープ41に接触する領域の幅は、テープ41の幅寸法に略等しい。
【0026】
因みに、テープ41が両面テープである場合には、リール4に巻回したテープ41の径方向に沿った外方を向く面にも粘着剤が塗布されるが、この面の粘着剤の上には予め剥離紙が貼付され、当該剥離紙をテープ41から剥離しない限り粘着剤が露出しないようになっていることが多い。
【0027】
リール4を支持するカバー1をケース2に組み付けたとき、リール4はその略全体がカバー1及びケース2により被覆された状態となる。これにより、リール4に巻回したテープ41の側端面に塵が付着するといった汚損が阻止される。
【0028】
リール4から繰り出される最上層のテープ41は、未だリール4に巻回されている下層のテープ41から剥離した後、ケース2における押さえ部28の近傍を経由し、回転体3の表面にある歯先面に接触しながら回転体3と切断刃20との間を通過して、引出口221よりテープディスペンサの外部へと進出する。
【0029】
必要量のテープ41を切り取って使用することを望む使用者は、テープディスペンサのカバー1及びケース2を把持し、カバー1をケース2に対して相対的に正方向、即ち図6中時計回りの方向に回動させる。すると、カバー1の支軸12に支持させているリール4がケース2に対して図6中時計回りの方向に回動するとともに、内歯車16と噛合している回転体3が最上層のテープ41に接触した状態で図6中時計回りの方向に回転し、最上層のテープ41をケース2に対してリール4から離反する方向に相対変位させる送出動作が営まれて、テープ41の先端部が引出口221から飛び出す。しかる後、使用者は、このテープ41の先端部を摘まんで所望の量のテープ41を引き出し、切断刃20により切断することができる。
【0030】
ケース2に対するカバー1の相対回転速度が一定である限り、ピン27を中心として回転する回転体3の回転速度もまた一定である。一方で、ケース2に対するリール4の相対回転速度が一定であったとしても、リール4から一定時間あたり繰り出されるテープ41の量は、リール4に巻回されている最上層のテープ41の外径に応じて変化する。つまり、テープ41が消費されて外径が縮小するほど、リール4の一回転あたり繰り出されるテープ41の量が減少する。従って、カバー1のケース2に対する回転速度とリール4のケース2に対する回転速度とは常に一致してはおらず、テープ誘導部3によるテープ41の送出動作の最中にリール4がカバー1の支軸12に対して相対的に回動する。具体的には、テープ41が消費されるにつれ、リール4の回転速度がカバー1の回転速度に比して少しずつ速くなってゆく。
【0031】
仮に、使用者が、カバー1をケース2に対して相対的に逆方向、即ち図6中反時計回りの方向に回動させたとすると、リール4がケース2に対して図6中反時計回りの方向に回動するとともに、最上層のテープ41に接触している回転体3が図6中反時計回りの方向に回転して、最上層のテープ41をリール4に巻き取るように作用する。さすれば、テープ41の先端部が引出口221からケース2内に引き込まれてしまい、使用者がテープ41を摘まんで引き出すことが困難となる。
【0032】
本実施形態のテープディスペンサにあっては、カバー1とケース2との間に逆転防止機構を介在させており、カバー1をケース2に対して図6中反時計回りに回動させることを禁止している。既に述べている通り、本実施形態では、カバー1に設けた歯車17とケース2に設けた爪26とによってラチェット機構を構成しており、このラチェット機構がカバー1のケース2に対する正方向への回転を許容しながら逆方向への回転を抑止する働きをする。また、本実施形態では、使用者にカバー1の正しい回動方向を認識させるための表示として、矢印111を、カバー1の側板11に設けている。この矢印111は、カバー1の側板11を貫通している孔である。無論、使用者にカバー1及びケース2の正しい回動方向を認識させるための表示を、ケース2の側に付しても構わない。
【0033】
本実施形態では、テープ41を巻回したリール4を支持する第一部材1と、前記第一部材1及び前記リール4に対して相対的に回動可能な第二部材2と、前記リール4における最上層のテープ41と下層のテープ41との間に差し入って最上層のテープ41と接触し、前記第一部材1と前記第二部材2との相対回動に伴い最上層のテープ41を第二部材2に対して相対的に変位させる送出動作を行うテープ誘導部3とを具備するテープディスペンサを構成した。本実施形態によれば、必要時にテープ41を簡便に引き出すことが可能となる。
【0034】
本実施形態のテープディスペンサは、前記テープ誘導部3と対向する箇所に設けられたテープ41切断用の刃20を具備しており、テープ41誘導体による送出動作により導かれたテープ41を切断刃20により速やかに切断することができ、利便性が高い。
【0035】
前記第一部材1及び前記第二部材2が前記リール4を略覆うことから、非使用時または保管中にテープ41に汚れが付着し難く、長期間に亘りテープ41の品質、性能を維持することが可能である。
【0036】
前記テープ誘導部3における最上層のテープ41に接触する領域の幅が当該テープ41の幅寸法に略等しいため、テープ誘導部3によるテープ41の送出動作を確実なものにできる。
【0037】
また、前記テープ誘導部3における最上層のテープ41に接触する領域の表面に凹凸(歯車31の歯先及び歯溝)を形成しているため、テープ41とテープ誘導部3との摩擦または粘着の強度を適当な大きさに調整でき、テープ41がテープ誘導部3に不当にこびり付くなることを回避できる。
【0038】
前記テープ誘導部3が、前記第二部材2に回転可能に支持されておりなおかつ前記第一部材1に係合(噛合)する回転体を含み、前記回転体3が前記第一部材1と前記第二部材2との相対回動に伴い回転することで前記送出動作を惹起するものであるため、テープ誘導部3を駆動するための機構、ひいてはテープディスペンサ全体の構造が簡素化する。
【0039】
本実施形態のテープディスペンサは、前記第一部材1が前記第二部材2に対して相対的に正方向に回動することを許容し逆方向に回動することを禁止する逆転防止機構(歯車17及び爪26の組であるラチェット)を具備しているため、テープ41の先端部がテープディスペンサ内に引き込まれてこれを引き出すことが困難となる不具合を防止できる。
【0040】
なお、本発明は以上に詳述した実施形態に限られるものではない。例えば、上記実施形態では、テープ誘導部(の回転体)3における最上層のテープ41に接触する領域の表面に、凹凸として平歯車31の歯を形成していた。だが、テープ誘導部3における第一部材(カバー)1側の内歯車16に係合する側端部以外の領域が外歯車31となっている必要はなく、当該領域に歯車31とは異なる凹凸形状を形成することも当然に考えられる。また、テープ誘導部3におけるテープ41に接触する領域の表面に凹凸を設けることは必須ではなく、当該領域を例えば円筒面としても構わない。
【0041】
上記実施形態では、第二部材(ケース)2に回転可能に支持されかつ第一部材1に係合する回転体3それ自体が最上層のテープ41に直接接触していたが、この回転体3にベルト(履板)を巻き掛けて無限軌道を構成し、そのベルトをテープ41に接触させるようなテープ誘導部3を設けることもできる。この場合、無限軌道のベルトが、最上層のテープ41を第二部材2に対して相対的に変位させる送出動作の直接の主体となる。
【0042】
リール4から繰り出される最上層のテープ41と接触して送出動作を行うテープ誘導部3は、第一部材1と第二部材2との相対回動に連動して回転駆動されるものであるとは限られない。例えば、第一部材1に回転体3と噛合する内歯車16を設けていないとすると、回転体3は、第一部材1と第二部材2との相対回転とは無関係に、単にピン27を中心として自由に回転するローラ(または、コロ)となる。だが、そのようなものであっても、最上層のテープ41を第二部材2に対して相対的に変位させる送出動作を好適に行い得る。特に、テープ41の腰が強い、つまりテープ41が比較的高い保形性を有している(テープ41が弛みにくい)場合には、リール4に巻回されている下層のテープ41から剥離された最上層のテープ41が、リール4の外周に対する接線方向に直進して回転体3に突き当たる。そして、このテープ41と接触する回転体3が回転して、当該テープ41をテープディスペンサ外に案内する送出動作を営むこととなる。
【0043】
テープ41は、粘着剤が塗布された粘着テープには限定されない。テープ41が金属テープである場合、テープ誘導部3またはその要素となる回転体が磁石を含んでいることがある。
【0044】
その他各部の具体的構成は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明は、必要時に必要量のテープをリールから繰り出すテープディスペンサに適用することができる。
【符号の説明】
【0046】
1…第一部材(カバー)
17…ラチェット歯車
2…第二部材(ケース)
20…切断刃
26…ラチェット爪
3…テープ誘導部(回転体)
31…歯車(凹凸形状)
4…リール
41…テープ
図1
図2
図3
図4
図5
図6