特許第6583690号(P6583690)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6583690
(24)【登録日】2019年9月13日
(45)【発行日】2019年10月2日
(54)【発明の名称】整畦機
(51)【国際特許分類】
   A01B 35/00 20060101AFI20190919BHJP
【FI】
   A01B35/00 C
【請求項の数】5
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-157210(P2016-157210)
(22)【出願日】2016年8月10日
(65)【公開番号】特開2018-23315(P2018-23315A)
(43)【公開日】2018年2月15日
【審査請求日】2018年4月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】395008849
【氏名又は名称】株式会社富士トレーラー製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100092691
【弁理士】
【氏名又は名称】黒田 勇治
(74)【代理人】
【識別番号】100199543
【弁理士】
【氏名又は名称】黒田 隆史
(72)【発明者】
【氏名】皆川 功
(72)【発明者】
【氏名】皆川 俊男
(72)【発明者】
【氏名】飯岡 貴行
(72)【発明者】
【氏名】田中 雅文
【審査官】 中村 圭伸
(56)【参考文献】
【文献】 特開平09−205807(JP,A)
【文献】 特開平11−018503(JP,A)
【文献】 特開平09−140208(JP,A)
【文献】 特開2003−304706(JP,A)
【文献】 特開2004−229625(JP,A)
【文献】 特開平09−205808(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01B 35/00 − 35/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行機体に連結機構により機枠を連結し、該機枠に旧畦上に土を盛り上げる盛土機構を設け、該盛土機構の上方にカバー部材を設け、該盛土機構の進行方向後方位置に盛土を締圧整畦可能な整畦機構を設け、該整畦機構は畦の一方側面を整畦可能な下部回転整畦体及び畦の上面を整畦可能な上部回転整畦体からなり、上記下部回転整畦体の回転軸線は上記畦の一方側面の側方から畦側へ斜め上方に向かう所定角度の上向き方向に配置され、上記上部回転整畦体の回転軸線は上記下部回転整畦体の上方から畦の上面に向かう所定角度の下向き方向に配置され、該回転軸線が上記下部回転整畦体の上方から畦の上面に向かう所定角度の下向き方向に配置された上部回転整畦体に、該回転軸線が畦の一方側面の側方から畦側へ斜め上方に向かう所定角度の上向き方向に配置された下部回転整畦体の外周部に沿う形状であって畦の一方側面を整畦可能な回転盤部材を取替交換自在に設け、該上部回転整畦体を上記下部回転整畦体の外周部に沿う方向に上下動作させる高低調節機構を設けてなることを特徴とする整畦機。
【請求項2】
上記下部回転整畦体の外周部は円錐面に形成されていることを特徴とする請求項1記載の整畦機。
【請求項3】
上記上部回転整畦体の外周部は円錐面に形成されていることを特徴とする請求項1又は2記載の整畦機。
【請求項4】
上記下部回転整畦体は外周部に可撓弾性板材からなる圧締板体を間隔を置いて複数個配設してなることを特徴とする請求項1記載の整畦機。
【請求項5】
上記上部回転整畦体は外周部に可撓弾性板材からなる圧締板体を間隔を置いて複数個配設してなることを特徴とする請求項1又は2記載の整畦機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば圃場の畦の造成作業や修復作業等に用いられる整畦機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の整畦機としては、走行機体に連結機構により機枠を連結し、機枠に旧畦上に土を盛り上げる盛土機構を設け、盛土機構の上方にカバー部材を設け、盛土機構の進行方向後方位置に盛土を締圧整畦可能な整畦機構を設け、整畦機構は畦の一方側面を整畦可能な下部回転整畦体及び畦の上面を整畦可能な上部回転整畦体からなり、上記下部回転整畦体の回転軸線は上記畦の一方側面の側方から畦側へ斜め上方に向かう所定角度の上向き方向に配置され、上記上部回転整畦体の回転軸線は畦の上面に平行な水平方向に配置されている構造のものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3750086号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら上記従来構造の場合、地域や天候、土壌の性質等の作業条件に応じた高さの畦の整畦作業が要求され、更に又、近年の圃場規模拡大に応じ、高い畦の整畦作業が要求されているが、必ずしも、満足した高さの畦の整畦作業を行い得ないことがあるという不都合を有している。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明はこのような不都合を解決することを目的とするもので、本発明のうち、請求項1記載の発明は、走行機体に連結機構により機枠を連結し、該機枠に旧畦上に土を盛り上げる盛土機構を設け、該盛土機構の上方にカバー部材を設け、該盛土機構の進行方向後方位置に盛土を締圧整畦可能な整畦機構を設け、該整畦機構は畦の一方側面を整畦可能な下部回転整畦体及び畦の上面を整畦可能な上部回転整畦体からなり、上記下部回転整畦体の回転軸線は上記畦の一方側面の側方から畦側へ斜め上方に向かう所定角度の上向き方向に配置され、上記上部回転整畦体の回転軸線は上記下部回転整畦体の上方から畦の上面に向かう所定角度の下向き方向に配置され、該回転軸線が上記下部回転整畦体の上方から畦の上面に向かう所定角度の下向き方向に配置された上部回転整畦体に、該回転軸線が畦の一方側面の側方から畦側へ斜め上方に向かう所定角度の上向き方向に配置された下部回転整畦体の外周部に沿う形状であって畦の一方側面を整畦可能な回転盤部材を取替交換自在に設け、該上部回転整畦体を上記下部回転整畦体の外周部に沿う方向に上下動作させる高低調節機構を設けてなることを特徴とする整畦機にある。
【0006】
又、請求項2記載の発明は、上記下部回転整畦体の外周部は円錐面に形成されていることを特徴とするものであり、又、請求項3記載の発明は、上記上部回転整畦体の外周部は円錐面に形成されていることを特徴とするものである。
【0007】
又、請求項4記載の発明は、上記下部回転整畦体は外周部に可撓弾性板材からなる圧締板体を間隔を置いて複数個配設してなることを特徴とするものであり、又、請求項5記載の発明は、上記上部回転整畦体は外周部に可撓弾性板材からなる圧締板体を間隔を置いて複数個配設してなることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明は上述の如く、請求項1記載の発明にあっては、上記下部回転整畦体の回転軸線は上記畦の一方側面の側方から畦側へ斜め上方に向かう所定角度の上向き方向に配置され、上記上部回転整畦体の回転軸線は上記下部回転整畦体の上方から畦の上面に向かう所定角度の下向き方向に配置され、回転軸線が上記下部回転整畦体の上方から畦の上面に向かう所定角度の下向き方向に配置された上部回転整畦体に、回転軸線が畦の一方側面の側方から畦側へ斜め上方に向かう所定角度の上向き方向に配置された下部回転整畦体の外周部に沿う形状であって畦の一方側面を整畦可能な回転盤部材を取替交換自在に設け、上部回転整畦体を上記下部回転整畦体の外周部に沿う方向に上下動作させる高低調節機構を設けて構成しているから、上部回転整畦体に回転盤部材を設けない構造に比べ、整畦高さを高くすることができると共に整畦高さの調節幅を拡大することができ、かつ、上記回転盤部材は取替交換自在に設けられているから、外径サイズの異なる回転盤部材に取替交換することにより、整畦高さの調節幅を拡大することができ、地域、天候、土壌の性質等の作業条件や近年の高畦作業に対応することができ、整畦作業の融通性を高めることができる。
【0009】
又、請求項2記載の発明にあっては、上記下部回転整畦体の外周部は円錐面に形成されているから、畦の一方側面を円滑面に整畦することができ、又、請求項3記載の発明にあっては、上記上部回転整畦体の外周部は円錐面に形成されているから、畦の上面を円滑面に整畦することができる。
【0010】
又、請求項4記載の発明にあっては、上記下部回転整畦体は外周部に可撓弾性板材からなる圧締板体を間隔を置いて複数個配設しているから、圧締板体の畦に対する回転接触により畦の一方側面を強固に締圧することができ、又、請求項5記載の発明にあっては、上記上部回転整畦体は外周部に可撓弾性板材からなる圧締板体を間隔を置いて複数個配設しているから、圧締板体の畦に対する回転接触により畦の上面を強固に締圧することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施の第一形態例の全体側面図である。
図2】本発明の実施の第一形態例の部分側面図である。
図3】本発明の実施の第一形態例の部分平面図である。
図4】本発明の実施の第一形態例の部分前面図である。
図5】本発明の実施の第一形態例の部分後面図である。
図6】本発明の実施の第一形態例の部分後断面図である。
図7】本発明の実施の第一形態例の部分拡大平断面図である。
図8】本発明の実施の第一形態例の部分拡大側面図である。
図9】本発明の実施の第一形態例の説明後面図である。
図10】本発明の実施の第一形態例の説明後面図である。
図11】本発明の実施の第二形態例の部分後面図である。
図12】本発明の実施の第二形態例の部分後断面図である。
図13】本発明の実施の第二形態例の部分説明断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1乃至図13は本発明の実施の形態例を示し、図1乃至図10は第一形態例、図11乃至図13は第二形態例である。
【0013】
図1乃至図10の本発明の実施の第一形態例において、図1図2の如く、1は走行機体であって、この場合、トラクタが用いられ、走行機体1の後部に左右一対の油圧リンク2a・2a、下部リンク2b・2b及び引上リンク2c・2c並びに中央部の上部リンク2dからなる三点リンク式の連結機構2により機枠3を上下動可能に連結している。
【0014】
4は盛土機構であって、この場合、図2図3図4図5図6の如く、回転ロータからなる盛土体5から構成され、この盛土体5はロータ胴5aの外周に複数個の掻上刃5b・・を突設すると共にロータ胴5aに取付軸5cを突設してなり、上記機枠3に前部カバー部材6を取付け、前部カバー部材6に伝達軸7を軸架し、盛土体5をその回転軸線を畦W造成方向と平行にして回転自在に取付け、伝達軸7と盛土体5のロータ胴5aを連結し、機枠3に走行機体1に設けられた動力取出軸8により回転する主軸9を軸受し、盛土体5を主軸9によりチェーン機構10及び歯車機構10aを介して回転させ、盛土体5により畦W際の圃場Mの土を削出軌跡Nをもって削出して旧畦Wに向けて跳ね上げて盛り上げるように構成している。
【0015】
11はカバー部材であって、この場合、図2図3の如く、上記機枠3に取り付けられ、上記盛土体5の上方及び畦Wの上方を覆う形状に形成され、カバー部材11の畦W側にゴム製の側部カバー部材11aをU字形状に取り付けている。
【0016】
12は整畦機構であって、この場合、図5の如く、畦Wの一方側面Wを整畦可能な下部回転整畦体13及び畦Wの上面Wを整畦可能な上部回転整畦体14を備えてなり、上記盛土機構4の進行方向後方位置に配置され、上記下部回転整畦体13を回転させる下部回転機構15及び上部回転整畦体14を回転させる上部回転機構16を設けて構成している。
【0017】
この場合、図6の如く、上記下部回転整畦体13の回転軸線Pは上記畦Wの一方側面Wの側方から畦W側へ斜め上方に向かう所定角度θの上向き方向に配置され、上記上部回転整畦体14の回転軸線Pは上記下部回転整畦体13の上方から畦Wの上面Wに向かう所定角度αの下向き方向に配置され、下部回転整畦体13及び上部回転整畦体14はそれぞれ下部回転機構15及び上部回転機構16により強制回転される。
【0018】
この場合、具体的には、下部回転整畦体13の所定の上向角度θ=20°、円錐角θ=90°、上部回転整畦体14の所定の下向角度α=25°、円錐角α=50°、畦Wの側面角度Q=65°としている。
【0019】
この場合、図5図6の如く、上記下部回転整畦体13の外周部は畦Wの一方側面Wを整畦可能な円錐面13aを有して回転軸線Pを中心とする回転ロール状に形成され、この場合、下部回転整畦体13は軸筒部13bに複数個の桟材13c・・を放射状に形成し、複数個の桟材13c・・の外方端部に円錐筒13dを嵌着し、円錐筒13dの外周面を上記円錐面13aに形成してなり、又、上部回転整畦体14の外周部は畦Wの上面Wを整畦可能な円錐面14aを有して回転軸線Pを中心とする回転ロール状に形成され、この場合、上部回転整畦体14は軸筒部14bに複数個の桟材14c・・を放射状に形成し、複数個の桟材14c・・の外方端部に円錐筒14dを嵌着し、円錐筒14dの外周面を上記円錐面14aに形成してなり、回転軸線Pが上記下部回転整畦体13の上方から畦Wの上面Wに向かう所定角度αの下向き方向に配置された上部回転整畦体14に、回転軸線Pが畦Wの一方側面Wの側方から畦W側へ斜め上方に向かう所定角度θの上向き方向に配置された下部回転整畦体13の外周部に沿う形状であって畦Wの一方側面Wを整畦可能な回転盤部材14eを設け、この場合、回転盤部材14eは上部回転整畦体14の円錐筒14dに複数個の片材14f・・を取付け、片材14fにボルト14gにより着脱自在に固定され、外径サイズの異なる回転盤部材14eに取替交換自在に設けられている。尚、この回転盤部材14eは上部回転整畦体14の大径縁部に一体に形成されることもある。
【0020】
17は高低調節機構であって、図2図3図5の如く、上記カバー部材11の後面にブラケット18を取付け、ブラケット18に上部軸受筒19の摺動部19aをガイド軸20・20により上記下部回転整畦体13の外周部に沿う方向に上下移動自在に設けると共にブラケット18にネジ軸21を回転自在に配設し、上部軸受筒19のナット部19bにネジ軸21を螺着し、ネジ軸21にハンドル21aを取付け、ハンドル21aの正逆回動により上部軸受筒19を上下動自在に設けて構成している。
【0021】
この場合、上記下部回転機構15にあっては、図2図3図5の如く、上記機枠3に上部中間軸22を架設し、上部中間軸22と主軸9との間に変向歯車機構23を介装し、機枠3に下部中間軸24を架設し、上記カバー部材11に下部軸受筒25を取付け、下部軸受筒25に下部駆動軸26を軸受し、下部中間軸24と下部駆動軸26とを下部自在継手27により連結し、下部駆動軸26に下部回転整畦体13の軸筒部13bを連結ピン13gにより連結し、下部回転整畦体13を主軸9により強制回転Rさせるように構成している。
【0022】
又、この場合、上記上部回転機構16にあっては、図2図3図5の如く、上記上部軸受筒19に上部駆動軸28を軸受し、上部中間軸22と上部駆動軸28とを上部自在継手29により連結し、上部駆動軸28に上部回転整畦体14の軸筒部14bを連結ピン14jにより連結し、上部回転整畦体14を主軸9により強制回転Bさせるように構成している。
【0023】
しかして、図2の如く、主軸9の回転により下部回転整畦体13及び上部回転整畦体14を図中矢印方向に回転させ、下部回転整畦体13の回転接触により畦Wの一方側面Wを締圧整畦すると共に上部回転整畦体14により畦Wの上面Wを締圧整畦するように構成している。
【0024】
30は削土機構であって、この場合、図2図3図4の如く、上記カバー部材11の進行方向前面位置に伝達軸7と同芯上に保持アーム31を上下揺動自在に枢着し、保持アーム31の先端部にロータ軸32を回転自在に取付け、ロータ軸32に複数個のナギナタ状の刃体をもつ削土ロータ33を取付け、保持アーム31に削土ロータ33の上方を覆うカバー34を取付け、伝達軸7と削土ロータ33との間にチェーン機構35を架設し、カバー部材11の前面に取付片36を取付け、取付片36にナット筒37をピン38により枢着し、ナット筒37に調節ボルト39を螺着し、調節ボルト39の下端部を保持アーム31に連結し、調節ボルト39に調節ハンドル40を螺着し、調節ハンドル40の正逆回動により削土ロータ33を伝達軸7の軸線を中心として上下動自在に設け、上記盛土機構4の盛土体5の進行方向前方位置の旧畦Wの上面W部分を主軸9により回転する削土ロータ33によって削出軌跡Sをもって回転削土するように構成している。
【0025】
41は反力受部材であって、下部は圃場面Mに穿入配置され、この場合、図2図3図5図7図8の如く、上記カバー部材11の後面に取付板41aを取付け、取付板41aに圃場面Mに穿入可能な反力受部材41をボルト41bにより上下位置調節自在に設け、反力受部材41の下部を圃場面Mに穿入配置し、上記整畦機構12による回転整畦反力を受けるように構成している。
【0026】
42は円盤部材であって、図2図3図5図7図8の如く、上記反力受部材41に回転自在に設けられ、下部は圃場面Mに穿入配置され、この場合、回転円盤状に形成され、外周部に複数個の刃部42a・・が形成され、上記反力受部材41に車軸42bを軸受42cにより回転自在に横設し、車軸42bに円盤部材42を取付け、円盤部材42の下部を圃場面Mに穿入配置し、反力受部材41及び円盤部材42の進行方向前方位置に散在する圃場面M上の藁や草等の圃場散在物Lを圃場M内に埋め込みあるいは複数個の刃部42a・・により分断し、反力受部材41及び円盤部材42への圃場散在物Lの絡まりを防いで反力受部材41及び円盤部材42の圃場M穿入によって機枠3の直進走行性を向上することになる。
【0027】
この実施の第一形態例は上記構成であるから、図1図2図3図4図5の如く、走行機体1を畦Wに沿って走行し、動力取出軸8を回転させると、一方では盛土機構4の盛土体5としての回転ロータが畦W際の圃場M泥土を旧畦W上に連続的に跳ね上げて盛り上げ、カバー部材11及び側部カバー部材11aは盛土体5の上方及び畦W側方への泥土飛散を防止し、跳ね上げられた泥土は外方飛散を防がれて自重落下し、他方では整畦機構12が駆動され、下部回転整畦体13及び上部回転整畦体14は下部回転機構15及び上部回転機構16により回転し、畦Wの一方側面W及び畦Wの上面Wを締圧整畦することができ、下部回転整畦体13及び上部回転整畦体14の回転接触により畦Wの一方側面W及び畦Wの上面Wを円滑に締圧整畦することができ、削土機構30により旧畦W面を予め削土でき、この削土された畦面上に盛土機構4により盛土することになるから、旧畦W土と盛土との結着性を高めることができ、それだけ強固な畦Wを得ることができる。
【0028】
この際、図6の如く、上記下部回転整畦体13の回転軸線Pは上記畦Wの一方側面Wの側方から畦W側へ斜め上方に向かう所定角度θの上向き方向に配置され、上記上部回転整畦体14の回転軸線Pは上記下部回転整畦体13の上方から畦Wの上面Wに向かう所定角度αの下向き方向に配置され、回転軸線Pが上記下部回転整畦体13の上方から畦Wの上面Wに向かう所定角度αの下向き方向に配置された上部回転整畦体14に、回転軸線Pが畦Wの一方側面Wの側方から畦W側へ斜め上方に向かう所定角度θの上向き方向に配置された下部回転整畦体13の外周部に沿う形状であって畦Wの一方側面Wを整畦可能な回転盤部材14eを設け、上部回転整畦体14を上記下部回転整畦体13の外周部に沿う方向に上下動作させる高低調節機構17を設けて構成しているから、上部回転整畦体14に回転盤部材14eを設けない構造に比べ、図9から図10の如く、整畦高さHを高くすることができると共に整畦高さHの調節幅を拡大することができ、地域、天候、土壌の性質等の作業条件や近年の高畦作業に対応することができ、整畦作業の融通性を高めることができる。
【0029】
この場合、図4図5図8の如く、上記整畦機構12による回転整畦反力を受ける反力受部材41を設け、反力受部材41に圃場面上の藁や草等の圃場散在物Lを圃場M内に埋め込み可能な円盤部材42を設けてなるから、反力受部材41は上記整畦機構12による回転整畦反力を受けると共に円盤部材42は回転円盤状に形成され、反力受部材41及び円盤部材42の進行方向前方位置に散在する圃場面M上の藁や草等の圃場散在物Lを圃場M内に埋め込みあるいは複数個の刃部42a・・により分断することができ、反力受部材41及び円盤部材42への圃場散在物Lの絡まりを防ぐことができ、反力受部材41及び円盤部材42の圃場M穿入によって機枠3の直進走行性を向上することができ、それだけ良好な整畦作業を行うことができる。
【0030】
又、この場合、図3図5図6の如く、上記下部回転整畦体13の外周部は円錐面13aに形成されているから、畦Wの一方側面Wを円滑面に整畦することができ、又、この場合、上記上部回転整畦体14の外周部は円錐面14aに形成されているから、畦Wの上面Wを円滑面に整畦することができる。
【0031】
又、この場合、図6の如く、上記回転盤部材14eはボルト14gにより取替交換自在に設けられているから、外径サイズの異なる回転盤部材14eに取替交換することにより、整畦高さHの調節幅を拡大することができ、地域、天候、土壌の性質等の作業条件や近年の高畦作業に対応することができ、整畦作業の融通性を高めることができる。
【0032】
図11乃至図13の第二形態例は下部回転整畦体13及び上部回転整畦体14の別例構造を示し、この場合、図11図12図13の如く、下部回転整畦体13にあっては、軸筒部13bに鼓形状の回転枠体13eを放射部材13fにより取付け、回転枠体13eの外周に複数個、この場合、八個の圧締部G・・を形成すると共に隣り合う圧締部G・Gの間を通穴Fとして形成し、各圧締部Gに回転方向後方位置の圧締部Gに至る長さの複数個、この場合、八個の圧締板体E・・の基部辺縁部を固着し、圧締板体Eは可撓性を有するナイロン樹脂や塩化ビニール樹脂、板バネに用いられるバネ鋼製等の金属板材等により製作され、無負荷時には板状に略平らとなり、外的負荷により弧状に撓み得ると共に負荷解除により自己弾性で略平らに復元変形する材質が用いられている。
【0033】
又、上部回転整畦体14にあっては、図11図12図13の如く、軸筒部14bに鼓形状の回転枠体14hを放射部材14iにより取付け、回転枠体14hの外周に複数個、この場合、八個の圧締部G・・を形成すると共に隣り合う圧締部G・Gの間を通穴Fとして形成し、各圧締部Gに回転方向後方位置の圧締部Gに至る長さの複数個、この場合、八個の圧締板体E・・の基部辺縁部を固着し、圧締板体Eは可撓性を有するナイロン樹脂や塩化ビニール樹脂、板バネに用いられるバネ鋼製等の金属板材等により製作され、無負荷時には板状に略平らとなり、外的負荷により弧状に撓み得ると共に負荷解除により自己弾性で略平らに復元変形する材質が用いられ、しかして、図13の如く、下部回転整畦体13及び上部回転整畦体14を回転軸線P・Pを中心として図中矢印方向R・Bに強制回転させ、下部回転整畦体13及び上部回転整畦体14の畦Wに対する滑り回転接触により畦Wの一方側面W及び畦Wの上面Wを締圧整畦するように構成している。
【0034】
この実施の第二形態例は上記構成であるから、図11図12図13の如く、上記第一形態例と同様、上記下部回転整畦体13の回転軸線Pは上記畦Wの一方側面Wの側方から畦W側へ斜め上方に向かう所定角度θの上向き方向に配置され、上記上部回転整畦体14の回転軸線Pは上記下部回転整畦体13の上方から畦Wの上面Wに向かう所定角度αの下向き方向に配置され、回転軸線Pが上記下部回転整畦体13の上方から畦Wの上面Wに向かう所定角度αの下向き方向に配置された上部回転整畦体14に、回転軸線Pが畦Wの一方側面Wの側方から畦W側へ斜め上方に向かう所定角度θの上向き方向に配置された下部回転整畦体13の外周部に沿う形状であって畦Wの一方側面Wを整畦可能な回転盤部材14eを設け、上部回転整畦体14を上記下部回転整畦体13の外周部に沿う方向に上下動作させる高低調節機構17を設けて構成しているから、上部回転整畦体14に回転盤部材14eを設けない構造に比べ、図12の如く、整畦高さHを高くすることができると共に整畦高さHの調節幅を拡大することができ、地域、天候、土壌の性質等の作業条件や近年の高畦作業に対応することができ、整畦作業の融通性を高めることができる。
【0035】
又、この場合、上記下部回転整畦体13は外周部に可撓弾性板材からなる圧締板体Eを間隔を置いて複数個配設しているから、圧締板体Eの畦Wに対する滑り回転接触により畦Wの一方側面Wを強固に締圧することができ、又、この場合、上記上部回転整畦体14は外周部に可撓弾性板材からなる圧締板体Eを間隔を置いて複数個配設しているから、圧締板体Eの畦Wに対する滑り回転接触により畦Wの上面Wを強固に締圧することができる。
【0036】
尚、本発明は上記実施の形態例に限られるものではなく、整畦機構12、下部回転整畦体13、上部回転整畦体14、高低調節機構17の構造等は適宜変更して設計されるものである。
【0037】
以上の如く、所期の目的を充分達成することができる。
【符号の説明】
【0038】
W 畦
上面
一方側面
θ 所定角度
α 所定角度
回転軸線
回転軸線
E 圧締板体
1 走行機体
2 連結機構
3 機枠
4 盛土機構
11 カバー部材
12 整畦機構
13 下部回転整畦体
13a 円錐面
14 上部回転整畦体
14a 円錐面
14e 回転盤部材
17 高低調節機構
図1
図2
図3
図4
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