特許第6583710号(P6583710)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6583710
(24)【登録日】2019年9月13日
(45)【発行日】2019年10月2日
(54)【発明の名称】電気ヒータ
(51)【国際特許分類】
   H05B 3/44 20060101AFI20190919BHJP
【FI】
   H05B3/44
【請求項の数】12
【外国語出願】
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-46341(P2015-46341)
(22)【出願日】2015年3月9日
(65)【公開番号】特開2015-204289(P2015-204289A)
(43)【公開日】2015年11月16日
【審査請求日】2017年12月21日
(31)【優先権主張番号】14290109.9
(32)【優先日】2014年4月14日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】513116966
【氏名又は名称】マーレ インターナツィオナール ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100098914
【弁理士】
【氏名又は名称】岡島 伸行
(72)【発明者】
【氏名】トーマス ツィルゲル
【審査官】 黒田 正法
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−209592(JP,A)
【文献】 実開昭54−126147(JP,U)
【文献】 実開昭57−203498(JP,U)
【文献】 特開2001−097029(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0061366(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0161308(US,A1)
【文献】 特開2005−276835(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 3/02− 3/18
H05B 3/40− 3/82
B60H 1/03
B60H 1/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源に接続可能である発熱体(4)を有し、絶縁素子(5)を有しおよび管(1)を有する自動車用の電気ヒータであって、前記発熱体(4)が前記管(1)の内部に配置され、前記管(1)から電気的に絶縁され、前記管(1)が少なくとも1つの開口部を有し、前記少なくとも1つの開口部を通して、前記絶縁素子(5)および前記発熱体(4)を前記管(1)に挿入することができる電気ヒータにおいて、前記電気ヒータが、前記管(1)の前記少なくとも1つの開口部に差し込まれる安全素子(2)を有し、前記安全素子(2)が、前記管(1)に対する前記発熱体(4)および/または前記絶縁素子(5)の配向を規定する少なくとも1つの距離素子(8)を有し、
前記管(1)は、互いに平行な2つの幅広側と互いに平行な2つの幅狭側とを有する扁平管であり、前記距離素子(8)は、前記幅広側の方向にて前記発熱体(4)を覆わないことを特徴とする電気ヒータ。
【請求項2】
前記距離素子(8)が前記管(1)の内壁と前記絶縁素子(5)および/または前記発熱体(4)との間の規定距離を形成することを特徴とする請求項1に記載の電気ヒータ。
【請求項3】
前記距離素子(8)が前記絶縁素子および/または前記発熱体と前記管の前記内壁との間の空隙を形成することを特徴とする請求項2に記載の電気ヒータ。
【請求項4】
前記安全素子(2)が、前記管(1)の前記内壁を収容することができる少なくとも部分的に周辺の溝(14)を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の電気ヒータ。
【請求項5】
前記距離素子(8)が前記安全素子(2)のベース(13)から長方形方向に突出することを特徴とする請求項4に記載の電気ヒータ。
【請求項6】
前記安全素子(2)が、前記ベース(13)から長方形方向に突出する境界領域(6)を有することを特徴とする請求項5に記載の電気ヒータ。
【請求項7】
前記距離素子(8)が、長手方向へのおよび/または回転方向への前記管(1)に対する前記発熱体(4)および/または前記絶縁素子(5)の運動を制限することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の電気ヒータ。
【請求項8】
前記境界領域(6)および/または前記距離素子(8)が、前記溝(14)内に面する少なくとも1つのリブ素子(7)を有することを特徴とする請求項6に記載の電気ヒータ。
【請求項9】
前記安全素子(2)が、前記ベース(13)から長方形方向に突出する2つの距離素子(8)を有し、前記距離素子(8)の各々が、前記発熱体(4)および/または前記絶縁素子(5)を収容するための凹部を有することを特徴とする請求項5に記載の電気ヒータ。
【請求項10】
前記距離素子(8a)および/または前記ベース(13)が、前記管(1)と前記絶縁素子(5a)および/または前記発熱体(4)との間の相対運動を回避する程度に十分に硬い材料から製造されることを特徴とする請求項5に記載の電気ヒータ。
【請求項11】
空隙(11)が前記距離素子(8a)と前記管(1)との間に形成されるように、前記距離素子(8a)が前記管(1)の前記内壁から離間していることを特徴とする請求項2に記載の電気ヒータ。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか1項に記載の電気ヒータを少なくとも1つ有する熱交換器において、前記熱交換器が、互いに離間している多数の流体管を有し、前記流体管および前記電気ヒータが交互の順序で配置され、多数の熱伝達フィンが前記流体管と前記電気ヒータとの間に配置され、前記多数の熱伝達フィンにおいて、第1の流体が前記流体管を通して流れることができ、第2の流体が前記流体管および前記電気ヒータの周囲を流れることができることを特徴とする熱交換器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源に接続可能である発熱体を有し、絶縁素子を有しおよび管を有する特に自動車用の電気ヒータであって、発熱体が管の内部に配置され、管から電気的に絶縁され、管が少なくとも1つの開口部を有し、この少なくとも1つの開口部を通して、絶縁素子および発熱体を管に挿入することができる電気ヒータに関する。
【背景技術】
【0002】
電気ヒータは、通常、電流を素子に印加することによって加熱することができる少なくとも1つの発熱体からなる。そこで、熱はフィンまたは他の熱伝導部分を介してヒートシンクに輸送される。したがって、発熱体によりヒートシンクを加熱することができる。ヒートシンクは、熱交換器を通してまたは熱交換器の表面を介して流れる流体を意味することができる。
【0003】
最新技術において知られている実施形態では、電源の正極および負極に有利に接続される発熱体は、管内に配置されるかまたは管の外面に取り付けられる前に絶縁素子の間に位置決めされる。絶縁素子は発熱体と他の構造との間の短絡を回避するために使用され、前記絶縁素子によって、発熱体、例えば管または熱伝達フィンが囲まれる。素子は、通常、素子の間の相対運動を回避するために互いに圧入される。素子を互いに圧入するかまたは互いに接着して、素子の間の相対運動を回避することができる。
【0004】
特に、自動車内の電気ヒータは自動車の運転により機械的応力にさらされることがある。機械的応力は絶縁素子と発熱体と周辺管との間の相対運動をもたらすことがある。これによって、相対運動は、絶縁素子の損傷、または発熱体と、発熱体の電流に対して通常絶縁される構造との直接接触をもたらすことがある。
【0005】
このことは、絶縁素子の相対運動または損傷によって生じる直接接触が、人間に対する潜在的な危険性を引き起こす短絡をもたらすことがあるので不利である。短絡は、特に、人間を不意に感電させることがあり、これにより負傷させ、場合によっては死亡させることがあるので危険である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、本発明の目的は、電気ヒータの素子の間の相対運動を低減することができる追加の安全素子を有する電気ヒータを提供することである。さらに、電気ヒータは容易に製造可能であるべきである。さらに、本発明の別の目的は、少なくとも1つの電気ヒータを有する熱交換器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的は請求項1の特徴によって達成される。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明によれば、電源に接続可能である発熱体を有し、絶縁素子を有しおよび管を有する自動車用の電気ヒータであって、発熱体が管の内部に配置され、管から電気的に絶縁され、管が少なくとも1つの開口部を有し、この少なくとも1つの開口部を通して、絶縁素子および発熱体を管に挿入することができ、ここで、電気ヒータが、管の少なくとも1つの開口部に差し込まれる安全素子を有し、安全素子が、管に対する発熱体および/または絶縁素子の配向を規定する少なくとも1つの距離素子を有する電気ヒータが提供される。
【0009】
発熱体は、通常、1つ以上の熱電素子、例えば、正の温度係数(PTC)素子用の凹部を有するフレームからなる。さらに、発熱体は、熱電素子が電源に接続される電極を有する。最新技術において知られている実施形態では、電極は、フレームの凹部で熱電素子を覆う薄板状の素子であることができる。短絡を防止するために、電極は絶縁素子、例えばセラミック素子によって覆われる。これらのセラミック素子を圧入方法によって発熱体に接続することができる。電気ヒータに加えられることがある機械的応力により、発熱体と絶縁素子との間の相対運動が発生することがあり、これにより短絡が生じることがある。短絡はシステムまたはシステム自体の機能を損傷することがあり、さらに、人間への脅威を引き起こすことがある。
【0010】
管の内壁と発熱体および/または絶縁素子との間の距離を規定する距離素子によって、安全素子を管の開口部の一方に差し込むことにより、発熱体および/または絶縁素子の間の相対運動を制限することができるので、短絡の発生を回避することができる。
【0011】
本発明の有利な一改良形態によれば、安全素子は、管の壁を収容することができる少なくとも部分的に周辺の溝を有する。
【0012】
溝は、管の壁を溝に挿入し、したがって安全素子に固定することができるので有益である。このことは、管に対して安全素子を位置決めするのに役立ち、したがって安全素子の設置をより容易にする。
【0013】
別の有利な改良形態では、距離素子は安全素子のベースから長方形方向に突出する。ベースは管の開口部に対して平行であるので、距離素子は管の中心軸線に対して平行方向に管内に達する。これによって、中心軸線は、安全素子を管に挿入することができる方向に延びる軸線である。
【0014】
ベースによって、管の開口部を少なくとも部分的に覆うことができると非常に有利である。管の開口部を覆う程度の十分な大きさに寸法決めされるベースにより、安全素子を管に差し込むことで管をシールすることができる。このことは、汚れおよび他の望ましくない粒子、例えば流体が管に導入されることを防止するのに役立つ。このことは、汚染物質による故障率を低減するのに役立つ。
【0015】
安全素子が、ベースから長方形方向に突出する境界領域を有するとさらに好ましい。ベースから長方形方向に突出する境界領域によって、管を容易に挿入することができる凹部を形成することができる。境界領域は、さらに、凹部に挿入される管の端部を囲み、したがって、安全素子と管との間の接続を改善することができる。
【0016】
さらに、管の壁を収容することができる溝が距離素子と安全素子の境界領域との間に形成されると機能的である。この設計は、安全素子の設置をより容易にするので有益である。
【0017】
さらに、距離素子が、管の内壁と絶縁素子および/または発熱体との間の規定距離を形成すると有益である。管の内壁と管内に配置される素子との間の規定距離は、素子の間の直接接触による短絡を回避することができるので有益である。
【0018】
これに加えて、距離素子が、長手方向へのおよび/または回転方向への管に対する発熱体および/または絶縁素子の運動を制限すると好ましい。
【0019】
回転方向の相対運動が制限されると、結果としてねじり張力をもたらす相対回転運動を低減するかまたは完全に回避することができるので特に有益である。このことは、ねじり張力による損傷を低減または回避することができるので、電気ヒータの寿命全体に関する機能を向上させるのに役立つ。特に、発熱体および絶縁素子はねじり張力によって大きく損傷する可能性があり、したがって、ねじり張力を回避すべきである。
【0020】
さらに、境界領域および/または距離素子が、溝内に面する少なくとも1つのリブ素子を有すると有益である。リブ素子は、管の外壁に摩擦を発生することができるので有益である。このことは、フォースクロージャが形成されたときに安全素子と管との間の接続を改善するので好ましい。他の好ましい実施形態では、外壁が、リブ素子を挿入することができる折り目を有すると有益である。これによって、リブ素子は、管と安全素子との間のフォームクロージャを形成することができる。
【0021】
追加の実施形態では、安全素子が、境界領域から長方形方向に突出する少なくとも部分的に周辺のフランジを有し、そのフランジが外側に面すると好ましい。
【0022】
外側に面するフランジは、多数の管が電気ヒータを形成するように互いに隣接して整列されると特に有益である。これにより、フランジを使用して、隣接する管の間の距離を形成することができ、このことは電気ヒータの組み立てをより容易にする。特に、通常、熱伝達フィンは管の間に配置されるので、管の間の一定の規定距離が必要となる。
【0023】
これに加えて、安全素子が、ベースから長方形方向に突出する2つの距離素子を有し、距離素子の各々が、発熱体および/または絶縁素子を収容するための凹部を有すると好ましい。好ましくは指状の2つの距離素子は、反対側端部の絶縁素子を囲むことができるので有益である。このことは、安定性を向上させ、絶縁素子の両端で相対運動を制限するのに役立つ。距離素子は管の2つの幅狭側で絶縁素子を囲むことが好ましい。
【0024】
距離素子は絶縁素子および/または発熱体と管の内壁との間の空隙を形成することが好ましい。好ましい実施形態では、距離素子は、相対運動を回避するために管の内壁と直接接触し、絶縁素子および/または発熱体と直接接触する。
【0025】
他の実施形態では、管が反対側端部に2つの開口部を有し、1つの安全素子が各開口部にそれぞれ差し込まれると有利である。反対側端部に2つの開口部を有する管は、2つの安全素子を使用して絶縁素子を管内に固定することができるので有益である。このことは電気ヒータの安定性を向上させ、さらに、管の両端部の短絡を回避するのに役立つ。
【0026】
さらに他の好ましい実施形態では、安全素子は非導電性材料から製造される。非導電性材料は、短絡を防止するのに役立ち、したがって絶縁能力を向上させるので有益である。
【0027】
さらに、距離素子および/またはベースが、管と絶縁素子および/または発熱体との間の相対運動を回避する程度に十分に硬い材料から製造されると好ましい。硬い材料によって、絶縁素子と管の内壁との間の相対運動を回避することが可能であり、したがって電気短絡を回避することが可能である。
【0028】
これに加えて、空隙が距離素子と管の内壁との間に形成されるように、距離素子が管の内壁から離間していると好ましい。空隙は、発熱体と管との間の電気絶縁を保証するので有益である。距離素子は管の内壁と直接接触するようにまたは管から離間するように形成することができる。距離素子が管から離間している場合、距離素子は、絶縁素子および/または発熱体と管との間の相対運動を回避して、短絡を回避する程度に十分に硬い必要がある。
【0029】
少なくとも1つの電気ヒータを有する熱交換器の目的は特許請求項11の特徴によって達成される。
【0030】
さらに、少なくとも1つの電気ヒータを有する熱交換器であって、熱交換器が、互いに離間している多数の流体管を有し、流体管および電気ヒータが交互の順序で配置され、多数の熱伝達フィンが流体管と電気ヒータとの間に配置され、前記多数の熱伝達フィンにおいて、第1の流体が流体管を通して流れることができ、第2の流体が流体管および電気ヒータの周囲を流れることができる熱交換器が有益である。
【0031】
電気ヒータを有する熱交換器では、電流を発熱体に印加することによって、追加の熱を発生することが可能である。したがって、熱交換器の性能全体を向上させることができる。このような熱交換器は、熱交換器の従来の部品を通して発生する熱が十分でない状況で非常に有益である。
【0032】
本発明のさらに好ましい実施形態は特許請求の範囲および図面の以下の説明に記載される。
【0033】
例示的な実施例によっておよび図面に関連して、本発明について以下に詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】2つのセラミック絶縁素子によって囲まれる発熱体が管に一体化され、管が、管の内壁に対して発熱体および絶縁素子を位置決めするために、管の開口部に差し込まれた安全素子を有する熱交換器の管の一方の端部の斜視図である。
図2】絶縁素子が安全素子の距離素子に凹設され、安全素子が、管の端部の外壁を囲む周辺境界領域を有する図1による管の断面図である。
図3図2に既に示した管の開口部に差し込まれる安全素子の代替実施形態の図である。
【実施例】
【0035】
図1は、管1が、互いに平行に配置される2つの幅広側と、同様に互いに平行に配置される2つの幅狭側とを有する扁平管1である管1の端部を示している。これによって、幅狭側が幅広側に接続して管1を形成する。管1は、1つのみの素子から構成することができるか、または互いに接続して管を形成することができる複数の素子からなることができる。有利な実施例では、管は、優れた熱伝導性を有する材料から製造される。
【0036】
管の内部には、2つの絶縁素子5の間に配置される発熱体4がある。発熱体4は電源の正極および負極に接続される。電源は図1には示していない。
【0037】
発熱体4および絶縁素子5を共に圧入することができる。他の好ましい実施例では、接着剤等の別の固定手段を使用して、発熱体4を絶縁素子5に接続することができる。空隙が絶縁素子5と管1の内壁との間に形成されるように、絶縁素子5を管1内に配置することができる。好ましい実施形態では、空隙は管1の幅狭側と絶縁素子5との間に形成され、これに対して、管1の幅広側は絶縁素子5に圧入される。
【0038】
図1は、さらに、管1の下方に面する開口部に差し込まれる安全素子2を示している。これによって、安全素子2は境界領域6によって少なくとも部分的に管1を囲む。安全素子2は、さらに、境界領域6に対して長方形方向に突出しかつ外側に面する周辺フランジ3を有する。フランジ3を使用して、互いに隣接して配置される管1の間の規定距離を形成することができる。
【0039】
好ましい実施例では、安全素子2は非導電性および/または弾性の材料から製造される。非導電性材料は絶縁を形成するのに役立つ。さらに、材料の弾性特性は管1における安全素子2の組み立てをより容易にする。
【0040】
安全素子2は、管1を挿入することができる凹部を有する。凹部は、安全素子2の平坦なベースから長方形方向に突出する境界領域6と、安全素子2のベースから境界領域6に対して平行方向に突出する距離素子8との間に形成される。
【0041】
図2は、図1に既に示した管1の断面図を示している。断面部は管1の幅広側に対して平行に延び、管1の中心軸線を通して切断される。
【0042】
図2では、発熱体4がフレーム内に配置され、次に、絶縁素子5によって覆われることが理解できる。発熱体4をバックラッシュなしに凹部に嵌入することができるので、相対運動が不可能である。代わりに、空隙12を発熱体4と周辺フレームとの間に形成することができる。
【0043】
図2から理解できるように、空隙11が内壁と絶縁素子5との間に形成されるべく、絶縁素子5が管1の幅狭側の内壁から離間している。
【0044】
図2に示した実施例では、発熱体4は、管1の幅広側の方向においてのみ絶縁素子5によって囲まれ、管の幅狭側の方向においては絶縁素子5によって囲まれない。幅狭側の方向に沿って、発熱体4を絶縁素子5によって少なくとも部分的に囲んでもよい。したがって、発熱体4と絶縁素子5との間の相対運動は発熱体4と管1の内壁との直接接触をもたらすことがあり、このことは電気短絡を生じる可能性があり、したがって管1を帯電させる場合がある。
【0045】
安全素子2は、境界領域6が長方形方向に突出するベース13を有する。さらに、2つの距離素子8はベース13から境界領域6に対して平行に同じ方向に突出する。距離素子8と境界領域6との間には溝14が形成され、この溝には管1またはより具体的には管1の壁を挿入することができる。管1を溝14に挿入する間に、距離素子8が管1に挿入され、一方、境界領域6が管1の外壁を囲む。
【0046】
境界領域6は、境界領域6から溝14内に突出する少なくとも部分的に周辺のリブ素子7を有する。これらのリブ素子7は管1の外壁と直接接触する。これによって、リブ素子7は管1を挿入する間に圧縮されるように弾性であることができ、その結果、管1の外壁に対する圧力が生成され、これにより、安全素子2への管1のより優れた固定がもたらされる。
【0047】
代替実施例では、管は外壁に複数の折り目を有することができ、これらの折り目は、管を挿入する間にリブ素子が折り目に挿入されるようにリブ素子と対応する。このことは安全素子と管との間のフォームクロージャを形成し、したがって接続を改善する。
【0048】
距離素子8の各々はc字状の凹部を有し、この凹部に絶縁素子5が挿入され、したがって固定される。これにより、c字状の凹部の各々は、特に、そのベース部によって絶縁素子5の幅狭側を囲み、c字状の凹部の自由側面によって幅広側の各々を少なくとも部分的に囲む。凹部内にはベッドストッパが位置決めされ、これらのベッドストッパが凹部内への絶縁素子5の進路を制限する。絶縁素子5は主に管1の幅狭側の距離素子8によって囲まれる。代替実施例では、2つの距離素子は、絶縁素子5の全端部を囲む1つの単一の距離素子として形成することができる。これによって、距離素子の外側に面する側と境界領域6の内側に面する側とが溝を形成し、この溝に管の壁を挿入することができる。
【0049】
距離素子8は、さらに、距離素子8と管1の内壁との間の規定距離を形成する1つのレッジ9を有する。これによって、レッジ9は、絶縁素子5および/または発熱体4と管1の内壁との直接接触を回避するのに役立つ。
【0050】
代替実施例では、距離素子は幅広側の方向においておよび/または幅狭側の方向において発熱体を覆わない。このことは、特に、これらの方向の熱伝達が安全素子の材料によって悪影響を受けないので有益である。通常、熱の主要部は管の幅広側を介して伝達される。
【0051】
図2では、絶縁素子5は、ベース13と絶縁素子5との間のキャビティ10を有する。代替実施例では、ベースは別のレッジを有することができ、この別のレッジをキャビティに挿入して、安全素子に対して絶縁素子をさらに固定することができる。
【0052】
図3は、図2に既に示した安全素子2の代替実施例を示している。図3の安全素子2aは、安全素子2aのベース13から突出する2つの距離素子8aを有する。図2の距離素子8からの変形例として、距離素子8aはレッジ9を有しない。したがって、距離素子8aは管1の内壁と直接接触しない。これらのレッジ9なしでも、距離素子8aは絶縁素子5aと管1との間の空隙11を形成し、この空隙は、管1と、絶縁素子5a、および/または絶縁素子5a内に配置される発熱体4との間の電気短絡を回避するのに必要である。
【0053】
好ましい実施例では、安全素子2aの距離素子8aおよび/またはベース13は、管1に対する絶縁素子5aおよび距離素子8aの相対運動を回避するために、絶縁素子5aに対して十分な安定性を与える程度に十分に硬い材料から製造される。しかし、距離素子8aが絶縁素子5aの十分な運動を可能にするとしても、絶縁素子5aを囲む距離素子8aの材料は絶縁素子5aと管1の内壁との間の絶縁体として作用するであろう。
【0054】
図2で既述したように、絶縁素子5aは管1の幅狭側の距離素子8aによって囲まれるので、相対運動の場合に、距離素子8aは、絶縁素子5aまたは発熱体4の代わりに管1の内壁と直接接触するであろう。
【0055】
図3に示した別の変形例は、境界領域6が、境界領域6から管1の中心方向に突出するリブ素子を有しないというものである。管1の外面と境界領域6の内面との間の固定は、図2に示したようなフォームクロージャによってではなく、摩擦結合によって形成される。
【0056】
さらに、絶縁素子5aは、図2に示したキャビティ10と同様のキャビティを有しない。絶縁素子5aの下方に面する部分は安全素子2aのベース13の内面に当接する。絶縁素子5aと安全素子2aとの間の増大された接触領域は、安全素子2aと絶縁素子5aとの間の接続のより高い安定性をもたらす。
【0057】
好ましい一実施例の図1図2および図3で本発明について説明してきたが、本発明の範囲から逸脱することなく、種々の修正および変更を本発明に対して行うことができることが当業者には明らかであろう。
【符号の説明】
【0058】
1・・・管
2、2a・・・安全素子
3・・・フランジ
4・・・発熱体
5、5a・・・絶縁素子
6・・・境界領域
7・・・リブ素子
8、8a・・・距離素子
9・・・レッジ
10・・・キャビティ
11・・・空隙
12・・・空隙
13・・・ベース
14・・・溝
図1
図2
図3