【実施例】
【0021】
以下、図面を用いて実施例及び変形例により本発明を具体的に説明する。
【0022】
<実施例1>
(1)ダブルナットの構成
本実施例に係るダブルナット1は、
図1〜
図3に示すように、ネジ軸S(
図10参照)に螺合可能である第1ナット2及び第2ナット3を備えている。これら第1及び第2ナット2、3は、互いに軸回りに回転可能に軸方向に沿って連結されている。
【0023】
上記第1ナット2には、ネジ軸Sに螺合可能な第1ネジ穴5が軸方向に貫通形成されている。この第1ナット2には、軸方向に延びる軸部2aが設けられている。また、第1ナット2は、軸部2a以外の部分の外形が六角形状に形成されている。また、第2ナット3には、ネジ軸Sに螺合可能な第2ネジ穴6が軸方向に貫通形成されている。また、第2ナット3には、軸方向に延びて軸部2aが嵌合可能な筒部3aが設けられている。さらに、第2ナット3は、筒部3aを含む全体の外形が六角形状に形成されている。
【0024】
上記軸部2aは、
図3に示すように、先端に向かって縮径するテーパ部11と、テーパ部11の先端側から軸方向に延びる円柱状部12と、を備えている。また、筒部3aは、円柱状部12が嵌合可能な円筒状部13と、円筒状部13の先端側から軸方向に延びて先端に向かって拡径するテーパ部14と、を備えている。
【0025】
上記軸部2aの外周面には、
図4及び
図5に示すように、筒部3a内に軸部2aが嵌合されたときに筒部3aの内周面に係止する複数(
図5中で12個)の連結用突起7が円周方向に所定間隔(具体的に、等ピッチ間隔)で設けられている(
図3参照)。これら各連結用突起7は、軸部2aの先端縁側に配置されている。また、各連結用突起7は、軸部2aの外周面に形成された凹部8の周囲側に隆起しており、軸部2aの外周面から遠心方向に突出している。そして、連結用突起7が筒部3aの内周面に係止することで、第1及び第2ナット2、3が互いに軸回りに回転可能に連結される。
【0026】
なお、上記第1及び第2ナット2、3の連結状態では、第1及び第2ナット2、3の間に隙間s1、s2が設定されている(
図10(a)参照)。これら各隙間s1、s2により、ネジ軸Sに螺合された第1及び第2ナット2、3を互いに締め付けて近接させることができる(
図10(b)参照)。
【0027】
上記軸部2aの根本側(即ち、テーパ部11)の外周面には、
図3に示すように、軸方向に対して傾斜する第1テーパ面11aが形成されている。また、筒部3aの先端側(即ち、テーパ部14)の内周面には、軸方向に対して傾斜する第2テーパ面14aが形成されている。これら第1及び第2テーパ面11a、14aは、ネジ軸Sに螺合された第1及び第2ナット2、3を互いに締め付けたときに係合(具体的に、乗り上げ係合)される(
図10(b)参照)。
【0028】
上記第1テーパ面11aには、
図4及び
図5に示すように、第1及び第2テーパ面11a、14aが係合されたときに第2テーパ面14aに係止する複数(
図5中に36個)の回り止め用突起15が円周方向に所定間隔(具体的に、等ピッチ間隔)で設けられている。これら各回り止め用突起15は、第1テーパ面11aの傾斜方向に沿って延びる線状に形成されている。そして、回り止め用突起15が第2テーパ面14aに係止(具体的に、食い込み係止)することで、第1及び第2ナット2、3の相対的な軸回りの回転が規制される(
図6(b)参照)。
【0029】
(2)ダブルナットの製造方法
次に、上記構成のダブルナット1の製造方法について説明する。本実施例に係るダブルナット1の製造方法は、以下に述べる第1ナット中間体形成工程、第2ナット中間体形成工程及びネジ形成工程を備えている。
【0030】
上記第1ナット中間体形成工程では、六角状の線材を切断して得られる六角柱状の第1素材17が用意される(
図7(a)参照)。次に、ナットフォーマ(図示省略)により、第1素材17が多段で冷間圧造(本発明に係る「鍛造」として例示する。)されて、軸方向に中心穴が貫通形成され且つ軸部2aを備える第1ナット中間体2’が得られる(
図7(b)(c)参照)。
【0031】
上記第1ナット中間体2’の冷間圧造時には、
図4及び
図5に示すように、圧造型19に設けられた複数の突起部19aが軸部2aを軸方向から押圧することで、軸部2aの外周面に凹部8が形成される。そして、凹部8の形成により軸部2aの外周面の凹部8の周囲側に連結用突起7が隆起される。さらに、第1ナット中間体2’の冷間圧造時には、圧造型により軸部2aの第1テーパ面11a上に複数の回り止め用突起15が形成される。
【0032】
上記第2ナット中間体形成工程では、六角状の線材を切断して得られる六角柱状の第2素材18が用意される(
図8(a)参照)。次に、ナットフォーマ(図示省略)により、第2素材18が多段で冷間圧造(本発明に係る「鍛造」として例示する。)されて、軸方向に中心穴が貫通形成され且つ筒部3aを備える第2ナット中間体3’が得られる(
図8(b)(c)参照)。
【0033】
上記ネジ形成工程では、圧入機(図示省略)により、第2ナット中間体3’の筒部3a内に第1ナット中間体2’の軸部2aが嵌合されて、複数の連結用突起7が筒部3aの内周面に係止することで、第1及び第2ナット中間体2’、3’が連結される(
図9(a)参照)。このとき、第1及び第2ナット中間体2’、3’の各六角形状が軸方向から見て一致されている(
図1及び
図2参照)。そして、第1及び第2ナット中間体2’、3’の連結状態において、タッピング機(図示省略)により、各中心穴にネジが形成される(
図9(b)参照)。これにより、第1及び第2ナット2、3が互いに軸回りに回転可能に連結されたダブルナット1が得られる。
【0034】
(3)ダブルナットの作用
次に、上記構成のダブルナット1の作用について説明する。本ダブルナット1は、第1及び第2ナット2、3が連結された状態でネジ軸Sに螺合される(
図10(a)参照)。この連結状態では、筒部3a内に軸部2aが嵌合するとともに、連結用突起7が筒部3aの内周面に係止しているので、第1及び第2ナット2、3が容易に分離されない(
図3参照)。その後、ネジ軸Sに螺合された第1及び第2ナット2、3を互いに締め付ける(
図10(b)参照)。すると、第1及び第2テーパ面11a、14a同士が係合するとともに、回り止め用突起15が第2テーパ面14aに係止することで、第1及び第2ナット2、3の相対的な回転が規制される(
図6(b)参照)。なお、互いに締め付けられた第1及び第2ナット2、3を緩めることで、第1及び第2ナット2、3が連結されたダブルナット1として再使用できる。
【0035】
(4)実施例の効果
本実施例のダブルナット1によると、第1ナット2には、軸方向にネジ穴5が貫通形成されるとともに、軸方向に延びる軸部2aが設けられ、第2ナット3には、軸方向にネジ穴6が貫通形成されるとともに、軸方向に延びて軸部2aが嵌合可能な筒部3aが設けられている。そして、軸部2aの外周面には、筒部3a内に軸部2aが嵌合されたときに筒部3aの内周面に係止する連結用突起7が円周方向に所定間隔で複数設けられており、連結用突起7が筒部3aの内周面に係止することで、第1ナット2及び第2ナット3が互いに軸回りに回転可能に連結される。これにより、複数の連結用突起7により第1及び第2ナット2、3が円周方向で所定間隔毎に部分的に強く連結される。そのため、第1及び第2ナット2、3を強固に一体的に連結できるとともに、ネジ軸Sに螺合された第1及び第2ナット2、3を互いに締め付ける際にナット2、3を容易に回すことができる。さらに、第1及び第2ナット2、3を連結状態で取り扱うことで、ダブルナット1のネジ軸Sに対する取付性や保管性等が高められる。
【0036】
また、本実施例では、軸部2aの根本側の外周面には、第1テーパ面11aが形成され、筒部3aの先端側の内周面には、第2テーパ面14aが形成され、第1テーパ面11aには、第1及び第2テーパ面11a、14aが係合されたときに第2テーパ面14aに係止する回り止め用突起15が円周方向に所定間隔で複数設けられており、回り止め用突起15が第2テーパ面14aに係止することで、第1ナット2及び第2ナット3の相対的な軸回りの回転が規制される。これにより、複数の回り止め用突起15により第1及び第2テーパ面11a、14a同士の係合による楔作用が高められる。よって、振動数や振幅が大きな振動が長期間かかる場合であっても、第1及び第2ナット2、3の締め付け時のナットの緩み回りを防止できる。
【0037】
また、本実施例のダブルナットの製造方法によると、軸方向に中心穴が貫通形成されるとともに、軸方向に延びる軸部2aが設けられた第1ナット中間体2’を圧造により形成する第1ナット中間体形成工程と、軸方向に中心穴が貫通形成されるとともに、軸方向に延びて軸部2aが嵌合可能な筒部3aが設けられた第2ナット中間体3’を圧造により形成する第2ナット中間体形成工程と、筒部3a内に軸部2aが嵌合された状態で、第1ナット中間体2’及び第2ナット中間体3’の各中心穴にネジを形成して第1ナット2及び第2ナット3をなすネジ形成工程と、を備える。そして、第1ナット中間体形成工程では、ナット中間体2’の圧造時に、軸部2aの外周面に、筒部3a内に軸部2aが嵌合されたときに筒部3aの内周面に係止する連結用突起7が円周方向に所定間隔で複数形成される。これにより、第1及び第2ナット2、3が互いに軸回りに回転可能に連結されたダブルナット1を容易に得ることができる。
【0038】
また、本実施例では、第1ナット中間体形成工程では、軸部2aの根本側の外周面に、第1テーパ面11aが形成され、第2ナット中間体形成工程では、筒部3aの先端側の内周面に、第2テーパ面14aが形成され、第1ナット中間体形成工程では、ナット中間体2’の圧造時に、第1テーパ面11aに、第1及び第2テーパ面11a、14aが係合されたときに第2テーパ面14aに係止する回り止め用突起15が円周方向に所定間隔で複数形成される。これにより、回り止め機能を備えたダブルナット1を容易に得ることができる。
【0039】
さらに、本実施例では、第1ナット中間体形成工程では、軸部2aの外周面に凹部8を円周方向に所定間隔で複数形成することで、軸部2aの外周面の凹部8の周囲側に連結用突起7が隆起される。これにより、第1及び第2ナット2、3の連結性及び回転性をバランス良く高め得る微小で複数の連結用突起7を容易に形成できる。
【0040】
<実施例2>
次に、本実施例2に係るダブルナットについて説明する。なお、本実施例2に係るダブルナットにおいて、上記実施例1に係るダブルナット1と略同じ構成部位には同じ符号を付けて詳説を省略する。
【0041】
(1)ダブルナットの構成
本実施例に係るダブルナット21は、
図11〜
図13に示すように、ネジ軸S(
図10参照)に螺合可能である第1ナット22及び第2ナット23を備えている。これら第1及び第2ナット22、23は、互いに軸回りに回転可能に軸方向に沿って連結されている。
【0042】
上記第1ナット22には、ネジ軸Sに螺合可能な第1ネジ穴25が軸方向に貫通形成されている。この第1ナット22には、軸方向に延びる軸部22aが設けられている。また、第1ナット22は、軸部22a以外の部分の外形が六角形状に形成されている。また、第2ナット23には、ネジ軸Sに螺合可能な第2ネジ穴26が軸方向に貫通形成されている。また、第2ナット23には、軸方向に延びて軸部22aが嵌合可能な筒部23aが設けられている。さらに、第2ナット23は、筒部23aを含む全体の外形が六角形状に形成されている。
【0043】
上記軸部22aは、
図13に示すように、先端に向かって縮径するテーパ部31と、テーパ部31の先端側から軸方向に延びる円柱状部32と、を備えている。また、筒部23aは、円柱状部32が嵌合可能な円筒状部33と、円筒状部33の先端側から軸方向に延びて先端に向かって拡径するテーパ部34と、を備えている。
【0044】
上記筒部23aの内周面には、
図14及び
図15に示すように、筒部23a内に軸部22aが嵌合されたときに軸部22aの外周面に係止する複数(
図15中で12個)の連結用突起27が円周方向に所定間隔(具体的に、等ピッチ間隔)で設けられている(
図13参照)。これら各連結用突起27は、筒部23aの先端側に配置されている。また、各連結用突起27は、筒部23aの内周面に形成された凹部28の周囲側に隆起しており、筒部23aの内周面から求心方向に突出している。そして、複数の連結用突起27が軸部22aの外周面に係止することで、第1及び第2ナット22、23が互いに軸回りに回転可能に連結される。
【0045】
なお、上記第1及び第2ナット22、23の連結状態では、第1及び第2ナット22、23の間には隙間s1、s2が設定されている(
図10(a)参照)。これら各隙間s1、s2により、ネジ軸Sに螺合された第1及び第2ナット22、23を互いに締め付けて近接させることができる(
図10(b)参照)。
【0046】
上記軸部22aの根本側(即ち、テーパ部31)の外周面には、
図13に示すように、軸方向に対して傾斜する第1テーパ面31aが形成されている。また、筒部23aの先端側(即ち、テーパ部34)の内周面には、軸方向に対して傾斜する第2テーパ面34aが形成されている。これら第1及び第2テーパ面31a、34aは、ネジ軸Sに螺合された第1及び第2ナット22、23を互いに締め付けたときに係合(具体的に、乗り上げ係合)される(
図10(b)参照)。
【0047】
上記第2テーパ面34aには、
図14及び
図15に示すように、第1及び第2テーパ面31a、34aが係合されたときに第1テーパ面31aに係止する複数(
図5中に36個)の回り止め用突起35が円周方向に所定間隔(具体的に、等ピッチ間隔)で設けられている。これら各回り止め用突起35は、第2テーパ面34aの傾斜方向に沿って延びる線状に形成されている。そして、回り止め用突起35が第1テーパ面31aに係止(具体的に、食い込み係止)することで、第1及び第2ナット22、23の相対的な軸回りの回転が規制される(
図16(b)参照)。
【0048】
(2)ダブルナットの製造方法
次に、上記構成のダブルナット21の製造方法について説明する。本実施例に係るダブルナット21の製造方法は、以下に述べる第1ナット中間体形成工程、第2ナット中間体形成工程及びネジ形成工程を備えている。
【0049】
上記第1ナット中間体形成工程では、六角状の線材を切断して得られる六角柱状の第1素材37が用意される(
図7(a)参照)。次に、ナットフォーマ(図示省略)により、第1素材37が多段で冷間圧造(本発明に係る「鍛造」として例示する。)されて、軸方向に中心穴が貫通形成され且つ軸部22aを備える第1ナット中間体22’が得られる(
図7(b)(c)参照)。
【0050】
上記第2ナット中間体形成工程では、六角状の線材を切断して得られる六角柱状の第2素材38が用意される(
図8(a)参照)。次に、ナットフォーマ(図示省略)により、第2素材38が多段で冷間圧造(本発明に係る「鍛造」として例示する。)されて、軸方向に中心穴が貫通形成され且つ筒部23aを備える第2ナット中間体23’が得られる(
図8(b)(c)参照)。
【0051】
上記第2ナット中間体23’の冷間圧造時には、
図14及び
図15に示すように、圧造型39に設けられた複数の突起部39aが筒部23aを軸方向から押圧することで、筒部23aの内周面に凹部28が形成される。そして、凹部28の形成により筒部23aの内周面の凹部28の周囲側に連結用突起27が隆起される。さらに、第2ナット中間体23’の冷間圧造時には、圧造型により筒部23aの第2テーパ面34a上に複数の回り止め用突起35が形成される。
【0052】
上記ネジ形成工程では、圧入機(図示省略)により、第2ナット中間体23’の筒部23a内に第1ナット中間体22’の軸部22aが嵌合されて、複数の連結用突起27が軸部22aの外周面に係止することで、第1及び第2ナット中間体22’、23’が連結される(
図9(a)参照)。このとき、第1及び第2ナット中間体22’、23’の各六角形状が軸方向から見て一致されている(
図11及び
図12参照)。そして、第1及び第2ナット中間体22’、23’の連結状態において、タッピング機(図示省略)により、各中心穴にネジが形成される(
図9(b)参照)。これにより、第1及び第2ナット22、23が互いに軸回りに回転可能に連結されたダブルナット21が得られる。
【0053】
(3)ダブルナットの作用
次に、上記構成のダブルナット21の作用について説明する。本ダブルナット21は、第1及び第2ナット22、23が連結された状態でネジ軸Sに螺合される(
図10(a)参照)。この連結状態では、筒部23a内に軸部22aが嵌合するとともに、連結用突起27が軸部22aの外周面に係止しているので、第1及び第2ナット22、23が容易に分離されない(
図13参照)。その後、ネジ軸Sに螺合された第1及び第2ナット22、23を互いに締め付ける(
図10(b)参照)。すると、第1及び第2テーパ面31a、34a同士が係合するとともに、複数の回り止め用突起35が第1テーパ面31aに係止することで、第1及び第2ナット22、23の相対的な回転が規制される(
図16(b)参照)。なお、互いに締め付けられた第1及び第2ナット22、23を緩めることで、第1及び第2ナット22、23が連結されたダブルナット21として再使用できる。
【0054】
(4)実施例の効果
本実施例のダブルナット21によると、第1ナット22には、軸方向にネジ穴25が貫通形成されるとともに、軸方向に延びる軸部22aが設けられ、第2ナット23には、軸方向にネジ穴26が貫通形成されるとともに、軸方向に延びて軸部22aが嵌合可能な筒部23aが設けられている。そして、筒部23aの内周面には、筒部23a内に軸部22aが嵌合されたときに軸部22aの外周面に係止する連結用突起27が円周方向に所定間隔で複数設けられており、連結用突起27が軸部22aの外周面に係止することで、第1ナット22及び第2ナット23が互いに軸回りに回転可能に連結される。これにより、複数の連結用突起27により第1及び第2ナット22、27が円周方向で所定間隔毎に部分的に強く連結される。そのため、第1及び第2ナット22、23を強固に一体的に連結できるとともに、ネジ軸Sに螺合された第1及び第2ナット22、23を互いに締め付ける際にナット22、23を容易に回すことができる。さらに、第1及び第2ナット22、23を連結状態で取り扱うことで、ダブルナット21のネジ軸Sに対する取付性や保管性等が高められる。
【0055】
また、本実施例では、軸部22aの根本側の外周面には、第1テーパ面31aが形成され、筒部23aの先端側の内周面には、第2テーパ面34aが形成され、第2テーパ面34aには、第1及び第2テーパ面31a、34aが係合されたときに第1テーパ面31aに係止する回り止め用突起35が円周方向に所定間隔で複数設けられており、回り止め用突起35が第1テーパ面31aに係止することで、第1ナット22及び第2ナット23の相対的な軸回りの回転が規制される。これにより、複数の回り止め用突起35により第1及び第2テーパ面31a、34a同士の係合による楔作用が高められる。よって、振動数や振幅が大きな振動が長期間かかる場合であっても、第1及び第2ナット22、23の締め付け時のナットの緩み回りを防止できる。
【0056】
また、本実施例のダブルナット21の製造方法によると、軸方向に中心穴が貫通形成されるとともに、軸方向に延びる軸部22aが設けられた第1ナット中間体22’を圧造により形成する第1ナット中間体形成工程と、軸方向に中心穴が貫通形成されるとともに、軸方向に延びて軸部22aが嵌合可能な筒部23aが設けられた第2ナット中間体23’を圧造により形成する第2ナット中間体形成工程と、筒部23a内に軸部22aが嵌合された状態で、第1ナット中間体22’及び第2ナット中間体23’の各中心穴にネジを形成して第1ナット22及び第2ナット23をなすネジ形成工程と、を備える。そして、第2ナット中間体形成工程では、ナット中間体23’の圧造時に、筒部23aの内周面に、筒部23a内に軸部22aが嵌合されたときに軸部22aの外周面に係止する連結用突起27が円周方向に所定間隔で複数形成される。これにより、第1及び第2ナット22、23が互いに軸回りに回転可能に連結されたダブルナット21を容易に得ることができる。
【0057】
また、本実施例では、第1ナット中間体形成工程では、軸部22aの根本側の外周面に、第1テーパ面31aが形成され、第2ナット中間体形成工程では、筒部23aの先端側の内周面に、第2テーパ面34aが形成され、第2ナット中間体形成工程では、ナット中間体23’の圧造時に、第2テーパ面31aに、第1及び第2テーパ面31a、34aが係合されたときに第1テーパ面31aに係止する回り止め用突起35が円周方向に所定間隔で複数形成される。これにより、回り止め機能を備えたダブルナット21を容易に得ることができる。
【0058】
さらに、本実施例では、第2ナット中間体形成工程では、筒部23aの内周面に凹部28を円周方向に所定間隔で複数形成することで、筒部23aの内周面の凹部28の周囲側に連結用突起27が隆起される。これにより、第1及び第2ナット22、23の連結性及び回転性をバランス良く高め得る微小で複数の連結用突起27を容易に形成できる。
【0059】
<変形例1>
次に、本変形例1に係る第1ナットについて説明する。なお、本変形例1に係る第1ナットにおいて、上記実施例1に係る第1ナット2と略同じ構成部位には同じ符号を付けて詳説を省略する。
【0060】
(1)第1ナットの構成
本変形例に係る第1ナット2Aには、
図17及び
図18に示すように、ネジ軸Sに螺合可能な第1ネジ穴5が軸方向に貫通形成されている。この第1ナット2Aには、軸方向に延びる軸部2aが設けられている。この軸部2aの外周面には、第2ナット3の筒部3a内に軸部2aが嵌合されたときに筒部3aの内周面に係止する複数(
図18中で12個)の連結用突起42が円周方向に所定間隔(具体的に、等ピッチ間隔)で設けられている。これら各連結用突起42は、軸部2aの先端側から根本側に向かって軸方向に沿って線状に延びるとともに、軸部2aの外周面から遠心方向に突出している。そして、複数の連結用突起42が筒部3aの内周面に係止することで、第1及び第2ナット2A、3が互いに軸回りに回転可能に連結される。
【0061】
なお、上記第1ナット2Aとなる第1ナット中間体2’の冷間圧造時には、圧造型44に設けられた複数の突起部44aで軸部2aを軸方向から押圧して軸部2aの外周面に凹部43を形成することで、軸部2aの外周面の凹部43の周囲側に連結用突起42が隆起される。
【0062】
<変形例2>
次に、本変形例2に係る第1ナットについて説明する。なお、本変形例2に係る第1ナットにおいて、上記実施例1に係る第1ナット2と略同じ構成部位には同じ符号を付けて詳説を省略する。
【0063】
(1)第1ナットの構成
本変形例に係る第1ナット2Bには、
図19及び
図20に示すように、ネジ軸Sに螺合可能な第1ネジ穴5が軸方向に貫通形成されている。この第1ナット2Bには、軸方向に延びる軸部2aが設けられている。この軸部2aの外周面には、第2ナット3の筒部3a内に軸部2aが嵌合されたときに筒部3aの内周面に係止する複数(
図20中で12個)の連結用突起47が円周方向に所定間隔(具体的に、等ピッチ間隔)で設けられている。これら各連結用突起47は、軸部2aの軸方向の中間位置に配置されるとともに、軸部2aの外周面から遠心方向に突出している。そして、複数の連結用突起47が筒部3aの内周面に係止することで、第1及び第2ナット2B、3が互いに軸回りに回転可能に連結される。
【0064】
なお、上記第1ナット2Bとなる第1ナット中間体2’の冷間圧造後には、専用機49に設けられた複数の突起部49aで軸部2aを外周面側から押圧して軸部2aの外周面に凹部48を形成することで、軸部2aの外周面の凹部48の周囲側に連結用突起47が隆起される。
【0065】
尚、本発明においては、上記実施例等に限られず、目的、用途に応じて本発明の範囲内で種々変更した実施例とすることができる。すなわち、上記実施例では、テーパ面11a、34a上に回り止め用突起15、35を備える形態を例示した
。参考形態として、例えば、テーパ面11a、14a、31a、34a上に回り止め用突起15、35を備えない
ものが挙げられる。
【0066】
また、上記実施例2では、第2ナット23の筒部23aに連結用突起27及び回り止め用突起35を備える形態を例示したが、これに限定されず、例えば、第2ナット23の筒部23aに連結用突起27を備えるとともに、第1ナット22の軸部22aに回り止め用突起35を備えるようにしてもよい。
【0067】
また、上記実施例における連結用突起7、27、42、47や回り止め用突起15、35の形状、配置場所、個数等は適宜選択される。また、上記実施例では、円周方向に等ピッチ間隔(所定間隔)で配置される連結用突起7、27、42、47や回り止め用突起15、35を例示したが、これに限定されず、例えば、円周方向に不等ピッチ間隔(所定間隔)で配置される連結用突起や回り止め用突起としてもよい。
【0068】
また、上記実施例では、テーパ面11a、34aの傾斜方向に沿って線状に延びる回り止め用突起15、35を例示したが、これに限定されず、例えば、粒状の回り止め用突起としてもよい。
【0069】
また、上記実施例では、冷間圧造によりナットを形成する形態を例示したが、これに限定されず、例えば、熱間鍛造や温間鍛造によりナットを形成したり、切削加工によりナットを形成したりしてもよい。なお、圧造や鍛造の回数は、特に問わない。
【0070】
また、上記実施例では、ナット中間体2’、3’、22’、23’の連結状態で各中心穴に略同時にネジ穴5、6、25、26を形成するようにしたが、これに限定されず、例えば、非連結状態の各ナット中間体毎にネジ穴を形成するようにしてもよい。なお、上記第1及び第2ナット中間体形成工程は、所定の順序で行われてもよいし、略同時に行われてもよい。
【0071】
また、上記実施例2では、第2ナット中間体23’の圧造時に圧造型により連結用突起27を形成する形態を例示したが、これに限定されず、例えば、第2ナット中間体23’の圧造後に専用機により連結用突起27を形成するようにしてもよい。
【0072】
さらに、上記実施例では、ナット中間体2’、23’の圧造時に圧造型により回り止め用突起15、35を形成する形態を例示したが、これに限定されず、例えば、ナット中間体2’、23’の圧造後に専用機により回り止め用突起15、35を形成するようにしてもよい。
【0073】
前述の例は単に説明を目的とするものでしかなく、本発明を限定するものと解釈されるものではない。本発明を典型的な実施形態の例を挙げて説明したが、本発明の記述および図示において使用された文言は、限定的な文言ではなく説明的および例示的なものであると理解される。ここで詳述したように、その形態において本発明の範囲または精神から逸脱することなく、添付の特許請求の範囲内で変更が可能である。ここでは、本発明の詳述に特定の構造、材料および実施例を参照したが、本発明をここにおける開示事項に限定することを意図するものではなく、むしろ、本発明は添付の特許請求の範囲内における、機能的に同等の構造、方法、使用の全てに及ぶものとする。
【0074】
本発明は上記で詳述した実施形態に限定されず、本発明の請求項に示した範囲で様々な変形または変更が可能である。