特許第6583868号(P6583868)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6583868汚水の脱塩回収に適用する複合膜分離方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6583868
(24)【登録日】2019年9月13日
(45)【発行日】2019年10月2日
(54)【発明の名称】汚水の脱塩回収に適用する複合膜分離方法
(51)【国際特許分類】
   C02F 1/48 20060101AFI20190919BHJP
   C02F 1/469 20060101ALI20190919BHJP
【FI】
   C02F1/48 B
   C02F1/469
【請求項の数】7
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2018-537775(P2018-537775)
(86)(22)【出願日】2016年10月27日
(65)【公表番号】特表2019-506292(P2019-506292A)
(43)【公表日】2019年3月7日
(86)【国際出願番号】CN2016103464
(87)【国際公開番号】WO2017124798
(87)【国際公開日】20170727
【審査請求日】2018年7月18日
(31)【優先権主張番号】201610041958.4
(32)【優先日】2016年1月22日
(33)【優先権主張国】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】513059401
【氏名又は名称】同▲済▼大学
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】特許業務法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】王 志▲偉▼
(72)【発明者】
【氏名】李 子梦
(72)【発明者】
【氏名】于 ▲鴻▼光
(72)【発明者】
【氏名】▲馬▼ 金星
(72)【発明者】
【氏名】▲呉▼ 志超
(72)【発明者】
【氏名】▲鄭▼ 君健
(72)【発明者】
【氏名】王 雪野
(72)【発明者】
【氏名】潘 辰
(72)【発明者】
【氏名】王 巧英
【審査官】 岡田 三恵
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−097915(JP,A)
【文献】 特開平06−088271(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/150534(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F 1/48
C02F 1/44
C02F 1/469
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電複合膜リアクターで汚水の脱塩を実現し、前記導電複合膜リアクターが給水システム(1)、電源システム(2)、膜リアクター(3)、排水制御システム(4)及び清浄水タンク(5)からなり、
前記給水システム(1)は、給水タンクと給水流量調整装置とからなり、プロセス要求に応じて給水流量を調整し、前記給水流量調整装置が前記給水タンクの給水ポートに設置され、前記給水タンクの排水ポートがパイプを介して前記膜リアクターと接続され、前記膜リアクターがリアクタータンク、複合膜アセンブリー(6)及び攪拌システムからなり、前記リアクタータンク中に位置する複数の前記複合膜アセンブリー(6)がそれぞれ導電性の良い導線(7)を介して前記電源システム(2)の正極と負極に接続され、前記膜リアクターは、浸水式の配置方式を採用するように構成され、攪拌器が前記リアクタータンクに設置され、前記リアクタータンク内のリアクター液体を均一に混合させ、前記膜リアクターの前記リアクタータンクの前記排水ポートがパイプを介して排水システムと接続され、
各々の前記複合膜アセンブリーは、フラットフィルムになるよう構成され、前記カソード複合膜(8)、アノード複合膜(9)及び分離層(10)からなり、このうち、前記カソード複合膜は、カソード電極(12)とカソード電流コレクタ(11)をポリマー材料で張り付けることで形成されるものであり、前記アノード複合膜は、アノード電極(13)とアノード電流コレクタ(14)を前記ポリマー材料で張り付けることで形成されるものであり、
前記カソード複合膜(8)と前記アノード複合膜(9)とは、短絡を防止するように前記分離層(10)で仕切られ、前記カソード電流コレクタが前記給水ポート側に位置し、前記アノード電流コレクタが前記排水ポート側に位置し、即ち、給水が先に前記カソード電流コレクタと前記カソード電極順に流れて前記分離層を流れてから、前記アノード電極と前記アノード電流コレクタ順に流れて、膜から排出するように前記導電複合膜リアクターに排出され、
具体的には、前記プロセス要求に合致した給水を前記給水タンクに入れ、前記給水流量調整装置で前記給水流量を調整し、前記給水タンクの排水が前記膜リアクターに入り、一定流量又は一定圧力の方式を採用するように運行し、給水が先に前記カソード電流コレクタと前記カソード電極順に流れて前記分離層を流れてから、前記アノード電極と前記アノード電流コレクタ順に流れて、膜から排出するように前記導電複合膜リアクターに排出され、膜フラックスが8〜50L/(m2h)になるように制御し、膜間差圧が0.4〜20kPaになり、電源をオンにし、前記膜リアクターを起動させ、塩を含んだ廃水中のイオン型汚染物を吸着するステップを備える、
ことを特徴とする汚水の脱塩回収に適用する複合膜分離方法。
【請求項2】
前記給水タンクの給水を制御するTDS濃度が5000mg/Lを下回る、ことを特徴とする請求項1に記載の汚水の脱塩回収に適用する複合膜分離方法。
【請求項3】
外から与えられた直流電圧範囲が0.4〜2.0Vになる、
ことを特徴とする請求項1に記載の汚水の脱塩回収に適用する複合膜分離方法。
【請求項4】
前記電源システムは、一定電圧の直流電源から電気吸着過程に給電し、前記カソード複合膜が前記直流電源の負極に接続され、前記アノード複合膜が前記直流電源の正極に接続され、前記電源システムとカソード又はアノードとが接続される電気回路中に電流検出装置を設けて電流の状況をリアルタイムに検出する、
ことを特徴とする請求項1に記載の汚水の脱塩回収に適用する複合膜分離方法。
【請求項5】
前記カソード電流コレクタ又は前記アノード電流コレクタは、導電性の良いネット形状材料を採用し、
前記材料は、チタン、チタン合金材料又はステンレス鋼材料のうち何れか一つであり、
前記カソード電極又は前記アノード電極が、カーボンクロス、カーボンナノチューブ、活性炭粉末または繊維、カーボンエアロゲル、グラフェン、カーボンブラックのうち何れか一つである炭素系材料を採用し、
前記ポリマー材料が、高分子ポリマーを採用し、具体的にはポリビニリデンフルオライド、ポリエーテルスルホン、ポリテトラフルオルエチレン、或いはポリアクリロニトリルのうち何れか一つである、
ことを特徴とする請求項1に記載の汚水の脱塩回収に適用する複合膜分離方法。
【請求項6】
前記カソード複合膜と前記アノード複合膜とは、異なる電極材料と電流コレクタ材料を採用する、
ことを特徴とする請求項5に記載の汚水の脱塩回収に適用する複合膜分離方法。
【請求項7】
前記分離層は、ナイロンネット、不織布、及びポリプロピレン材料のうち何れか一つである、水透過性の良い材料を採用する、
ことを特徴とする請求項1に記載の汚水の脱塩回収に適用する複合膜分離方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、膜による濾過と電気吸着のカップリング原理で汚水中のイオンを除去して排水の水質を向上させる、汚水(廃水)の処理分野に属す、汚水の脱塩回収に適用する複合膜分離方法に関する。
【背景技術】
【0002】
社会経済の高速発展に従って、環境の状況が益々厳しくなり、多くの環境問題には、水資源の不足が益々深刻になり、社会経済の継続的な発展に制限がある問題が存在する。この状況で、僅か用水の節約のみを呼びかけるのは、現在の用水要求を満たせず、苦い塩水の淡水化、工業廃水のリサイクル利用及び市政廃水の再利用等、非常用の水源を開発することが求められているが、ある農村地域の地下水、沿岸都市での海水を混合した生活汚水、及び化工、印刷、食品加工等の産業の工業廃水には、例えばCl-、NO3-、SO42-及び各種類の金属イオン等の、濃度が高いイオンが含まれており、それらの処理の不当によって深刻な水汚染問題が発生する恐れがある。また、重金属イオンが水に入ると、居住者の生活飲用水の安全に影響があり、人体の健康に損害を与え、例えば、鉛は貧血を誘発することができ、水銀の濃縮は水俣病を引き起こすことができ、カドミウムは骨の痛みを引く起こすことができ、過度の銅摂取は肝臓を損傷することができ、ヒ素の化合物は非常に毒性が高くて発癌性がある。このため、このような非常用の水源への利用を実現するために、それらを脱塩処理して高標準の排水又は有効的な回収再利用の目的を達成する必要があり、これは、現在の研究課題の一つになる。
【0003】
近年、電気吸着技術は、除去効率および省エネルギー等の点で独特の利点があるため、広く注目されている。外部から低電圧の直流電源を供給することにより、電気吸着技術は汚染イオンを除去し、廃水の浄化を達成することができる。他の水処理技術と比較して、電気吸着技術は、簡単な操作とメンテナンス、長い装置寿命、低いエネルギー消費、二次汚染無しなどの特徴があり、溶解性汚染物質に対する良好な除去効果を有する。しかしながら、伝統的な電気吸着プロセスは、パーティクル状の汚染物質に対してより敏感である。パーティクルの導入は、脱塩効果を減少させるだけでなく、電極を詰め、装置のメンテナンスコストを増加させる。従って、パーティクル汚染物質を含んだ、塩を含有する廃水の処理においては、通常、パーティクルを捕捉するために、電気吸着プロセスの先端にプリ処理工程を設ける必要があり、それによって、電気吸着プロセスの設置面積、設備コストおよび操作工程が増加してしまうことになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】中国公開公報CN103052437A
【特許文献2】中国公開公報CN104609518A
【特許文献3】中国公開公報CN103693718A
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一方、膜分離方法は、固液分離の効果に優れているため、汚水処理分野で広く用いられている。膜分離技術は、電気吸着プロセスにおけるパーティクル汚染の問題を効果的に解決する有効な手段である。膜分離プロセスの発展を制限する最も主な問題は、膜の汚染であり、外部から直流電界を与えることにより、膜の表面を負の電荷に帯電させ、汚水中の負の電荷にも帯電したパーティクル汚染を排斥し、膜の汚染の作用を制御できるようになる。電気吸着と膜分離プロセスをカップリングすることにより、新しいタイプの導電性複合膜電気吸着脱塩プロセスを形成し、パーティクルの阻みとイオン除去を同時に実現でき、塩を有する廃水の処理のための新しいアイデアを形成することができる。しかし、既存の研究成果や文献報告は主に電気吸着プロセスの最適化に集中するものであり、且つ、国内特許での脱塩に関する成果は、例えば木内崇文(膜分離装置、膜分離方法、特許文献CN103052437A)、常▲ツェン▼(電気吸着技術で工業廃水から選択的にFe2+及び/又はFe3+を除去する方法、特許文献CN104609518A)のように、膜分離と電気吸着の単独に運行する動作条件に集中するものであり、膜分離および電気吸着カップリングのプロセスは滅多に報告されません。両方を組み合わせたいくつかのプロセスに関しては、張▲鴻▼涛(脱塩システムに用いられる膜-電気吸着装置、特許文献CN103693718A)が電解吸着プロセスと組み合わせてイオン交換膜で廃水を脱塩しており、アノードイオン交換膜とカソードイオン交換膜を増加する目的は、アノードイオンとカソードイオンの透過性を選択的に高めることであり、イオン交換膜は汚水フィルタとして機能することができず、次に、該システムが依然として装置自身に対するパーティクル汚染物質の損傷を解決することができず、且つイオン交換膜のコストが高く、運行やメンテナンスが面倒である。
【0006】
本発明は、膜分離と電気吸着を組合せしながら、汚水の濾過分離と電気吸着によるイオン脱離の機能を同時に実現し、汚水中におけるパーティクルを阻み、それによる吸着材料への損害を避け、同時に汚水中の汚染イオンを除去し、二次汚染を避け、エネルギーを節約し、コストを削減するものである。
【0007】
本発明は、その目的が、汚水処理中に固液分離及び脱塩の機能を同時に実現できる膜分離技術を提供することにあり、該技術方法は、膜分離と電気吸着プロセスをカップリングし、同時に汚水の濾過分離と電気吸着によるイオン脱離の機能を同時に実現し、パーティクルを阻み、廃水におけるイオン型汚染物質を吸着し、脱塩の効果を向上させ、二次汚染がなく、且つ操作が簡単で、エネルギー消耗が低く、低濃度の塩を含んだ廃水の処理に適用されるものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に提出される汚水の脱塩回収に適用する複合膜分離方法は、導電複合膜リアクターで汚水の脱塩を実現し、前記導電複合膜リアクターが給水システム1、電源システム2、膜リアクター3、排水制御システム4及び清浄水タンク5からなり、給水システム1は、給水タンクと給水流量調整装置とからなり、プロセス要求に応じて給水流量を調整し、給水流量調整装置が給水タンクの給水ポートに設置され、給水タンクの排水ポートがパイプを介して膜リアクターと接続され、膜リアクターがリアクタータンク、複合膜アセンブリー6及び攪拌システムからなり、リアクタータンク中に位置する複数の複合膜アセンブリー6がそれぞれ導電性の良い導線7を介して電源システム2の正極と負極に接続される。膜リアクターは、浸水式の配置方式を採用するように構成され、攪拌器がリアクタータンクに設置され、リアクタータンク内のリアクター液体を均一に混合させ、膜リアクターのリアクタータンクの排水ポートがパイプを介して排水システムと接続される。
【0009】
各々の複合膜アセンブリーは、フラットフィルムになるよう構成され、カソード複合膜8、アノード複合膜9及び分離層10からなり、このうち、カソード複合膜は、カソード電極12とカソード電流コレクタ11をポリマー材料で張り付けることで形成されるものであり、アノード複合膜は、アノード電極13とアノード電流コレクタ14をポリマー材料で張り付けることで形成されるものであり、前記カソード複合膜8とアノード複合膜9とは、短絡を防止するように分離層10で仕切られ、前記カソード電流コレクタが給水ポート側に位置し、アノード電流コレクタが排水ポート側に位置し、即ち、給水が先にカソード電流コレクタとカソード電極を流れて分離層を流れてから、アノード電流コレクタとアノード電極を流れて、膜から排出するように導電複合膜リアクターに排出される。
具体的には、プロセス要求に合致した給水を給水タンクに入れ、給水流量調整装置で給水流量を調整し、給水タンクの排水が膜リアクターに入り、一定流量又は一定圧力の方式を採用するように運行し、給水が先にカソード電流コレクタとカソード電極を流れて分離層を流れてから、アノード電流コレクタとアノード電極を流れて、膜から排出するように導電複合膜リアクターに排出され、膜フラックスが8〜50L/(m2h)になるように制御し、膜間差圧が0.4〜20kPaになり、電源をオンにし、膜リアクターを起動させ、塩を含んだ廃水中のイオン型汚染物を吸着するステップを備える。
【0010】
本発明において、給水タンクの給水を制御するTDS濃度が5000mg/Lを下回る
【0011】
本発明において、外から与えられた直流電圧範囲が0.4〜2.0Vになる。
【0012】
本発明において、電源システムは、一定電圧の直流電源から電気吸着過程に給電し、カソード複合膜が電源の負極に接続され、アノード複合膜が電源の正極に接続され、電源システムとカソード又はアノードとが接続される電気回路中に電流検出装置を設けて電流の状況をリアルタイムに検出する。
【0013】
本発明において、カソード電流コレクタ又はアノード電流コレクタは、導電性の良いネット形状材料を採用し、前記材料は、チタン、チタン合金材料又はステンレス鋼材料のうち何れか一つであり、カソード電極又はアノード電極が、カーボンクロス、カーボンナノチューブ、活性炭粉末または繊維、カーボンエアロゲル、グラフェン、カーボンブラックのうち何れか一つである炭素系材料を採用し、ポリマー材料が、高分子ポリマーを採用し、具体的にはポリビニリデンフルオライド、ポリエーテルスルホン、ポリテトラフルオルエチレン、或いはポリアクリロニトリルのうち何れか一つである。
【0014】
本発明において、前記分離層は、ナイロンネット、不織布、及びポリプロピレン材料のうち何れか一つである、水透過性の良い材料を採用する。
【0015】
本発明において、前記カソード複合膜とアノード複合膜とは、異なる電極材料と電流コレクタ材料を採用する。
【0016】
本発明の原理は、フラットフィルムの電極の形式を採用し、膜分離と電気吸着過程をカップリングし、適切な膜フラックスで、分離層がパーティクル汚染物質を阻み、汚水の固液分離を実現し、アノード電極とカソード電極に対して適切な電圧を与え、汚水中におけるイオン型汚染物質を吸着し、汚水の脱塩の目的を実現することである。電極吸着の完了後、脱着は外部からの電源との短絡で始まり、電極を再生する。吸着-脱着の循環で膜アセンブリーのリサイクル利用を実現でき、運行コストを低減できるようになる。
【0017】
本発明は、従来技術と比較して以下のメリットを備える。
(1)本発明は、フラットフィルムの膜アセンブリ形式を採用し、膜分離と電気吸着をカップリングする技術方法は、固液分離と同時にイオン型汚染物質を吸着し、既存の膜分離と電気吸着プロセスの限界を破り、脱塩効果を向上させることができ、該技術は、運行エネルギー消耗が低く、運行管理が便利になるようになる。
(2)本発明の導電複合膜は、その外側がパーティクルを阻む機能を有し、無効な吸着を減少する同時に内側の吸着材料への摩耗を減少することができ、電極材料の使用効率を向上させ、装置のメンテナンス費用を低減することできるようになる。
(3)外から与えられた直流電場は、膜の表面を負の電荷に帯電させており、汚水中に負の電荷にも帯電したパーティクル、コロイドなどの汚染物質を排斥し、膜汚染を制御し、膜の洗浄周期および膜の使用寿命を延ばし、膜洗浄によるエネルギー消費を低減し、運行コストを低減することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、膜分離及び電気吸着技術の脱塩プロセスをカップリングする概略図である。
図2図2は、モノリシックフィルムの複合膜アセンブリの詳細構成の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0020】
[実施例1]
図1に示すプロセス装置を採用することにより、給水システム1は、給水タンクと給水流量調整装置とからなり、プリ処理を介してプロセス要求に合致した、NaClを主にする苦い塩水が給水タンクに入り、給水の塩量が1200mg/L(TDSで計測)になり、給水流量を調整して膜フラックスが10L/m2hになるように制御する。給水タンクは、その排水ポートが膜リアクターとパイプを介して接続され、その排水が膜リアクターに入り、膜リアクターがリアクタータンク、複合膜アセンブリー6及び攪拌システムからなり、図2に示す複合膜アセンブリーが採用され、このうち、アノード複合膜は、チタンネットとカーボンクロスとがPVDFで張り付けられることで形成され、カソード複合膜は、ステンレスのシルクネットとカーボンクロスとがPVDFで張り付けられることで形成され、分離層は、不織布である。カソード複合膜アセンブリーは、導電性が良い導線7を介して電源システム2の負極と接続され、アノード複合膜は、導線を介して電源の正極と接続され、膜リアクターは、浸水式の配置方式を採用するように構成され、攪拌器がリアクタータンク内に設置され、リアクタータンク内のリアクター液体を均一に混合させ、一定流量の方式で運行する。電源がオンになり、運行電圧が2.0Vになり、膜リアクターを起動させ、油圧保持時間が1hで、6hだけ運行し、運行の最中に膜間差圧が0.7kPaになるように安定し、排水制御システム4で排水流量を調整し、システムの脱塩率が65〜72%になる。
【0021】
[実施例2]
図1に示すプロセス装置を採用することにより、給水システム1は、給水タンクと給水流量調整装置とからなり、プリ処理を介してプロセス要求に合致した、冷間圧延廃水の生物処理排水をタンクに流し、給水の塩量が1000mg/L(TDSで計測)になり、浮遊固形物の濃度が50mg/Lになり、給水流量を調整して膜フラックスが40L/m2hになるように制御する。給水タンクは、その排水ポートが膜リアクターとパイプを介して接続され、その排水が膜リアクターに入り、膜リアクターがリアクタータンク、複合膜アセンブリー6及び攪拌システムからなり、図2に示す複合膜アセンブリーが採用され、このうち、アノード複合膜とカソード複合膜とは、何れもチタンネットとカーボンクロスとがPANで張り付けられることで形成され、分離層がナイロンネットである。カソード複合膜アセンブリーは、導電性が良い導線7を介して電源システム2の負極と接続され、アノード複合膜アセンブリーは、導線を介して電源の正極と接続され、膜リアクターは、浸水式の配置方式を採用するように構成され、攪拌器がリアクタータンク内に設置され、リアクタータンク内のリアクター液体を均一に混合させ、一定流量の方式で運行する。電源がオンになり、運行電圧が1.6Vになり、膜リアクターを起動させ、油圧保持時間が15minで、4hだけ運行し、運行の最中に膜間差圧が2.3kPaになるように安定し、膜リアクターのリアクタータンクの排水ポートがパイプを介して排水システムと接続され、排水制御システム4で排水流量を調整し、システムの脱塩率が60〜70%になり、排水の浮遊固形物の濃度が検出の閾値を下回るようになっている。
【0022】
[実施例3]
図1に示すプロセス装置を採用することにより、給水システム1は、給水タンクと給水流量調整装置とからなり、プリ処理を介してプロセス要求に合致した、硝酸塩を主にするある肥料生産工業廃水が給水タンクに入り、給水の塩量が900mg/L(TDSで計測)になり、給水流量を調整して膜フラックスが10L/m2hになるように制御する。給水タンクは、その排水ポートがパイプを介して膜リアクターと接続され、その排水が膜リアクターに入り、膜リアクターがリアクタータンク、複合膜アセンブリー6及び攪拌システムからなり、図2に示す複合膜アセンブリーが採用され、このうち、アノード複合膜とカソード複合膜が何れもチタンネットとカーボンナノチューブとからなり、分離層がナイロンネットであり、カソード複合膜アセンブリーは、導電性が良い導線7を介して電源システム2の負極と接続され、アノード複合膜は、導線を介して電源の正極と接続され、膜リアクターは、浸水式の配置方式を採用するように構成され、攪拌器がリアクタータンクに設置され、リアクタータンク内のリアクター液体を均一に混合させ、一定流量の方式で運行する。電源がオンになり、運行電圧が2.0Vになり、膜リアクターを起動させ、油圧保持時間が1hで、4hだけ運行し、運行の最中に膜間差圧が2.4kPaになるように安定し、膜リアクターのリアクタータンクの排水ポートがパイプを介して排水システムと接続され、排水制御システム4で排水流量を調整し、システムの脱塩率が57〜68%になる。
【0023】
[実施例4]
図1に示すプロセス装置を採用することにより、給水システム1は、給水タンクと給水流量調整装置とからなり、プリ処理を介してプロセス要求に合致した、ある銅を含んだ廃水が給水タンクに入り、給水の塩量が500mg/L(TDSで計測)になり、給水流量を調整して膜フラックスが25L/m2hになるように制御する。給水タンクは、その排水ポートがパイプを介して膜リアクターと接続され、その排水が膜リアクターに入り、膜リアクターがリアクタータンク、複合膜アセンブリー6及び攪拌システムからなり、図2に示す複合膜アセンブリーが採用され、このうち、アノード複合膜とカソード複合膜が何れもチタンネットとカーボンナノチューブとからなり、分離層がナイロンネットであり、カソード複合膜アセンブリーは、導電性が良い導線7を介して電源システム2の負極と接続され、アノード複合膜は、導線を介して電源の正極と接続され、膜リアクターは、浸水式の配置方式を採用するように構成され、攪拌器がリアクタータンク内に設置され、リアクタータンク内のリアクター液体を均一に混合させ、一定流量の方式で運行する。電源がオンになり、運行電圧が1.6Vになり、膜リアクターを起動させ、油圧保持時間が24minで、3hだけ運行し、運行の最中に膜間差圧が1.5kPaになるように安定し、膜リアクターのリアクタータンクの排水ポートがパイプを介して排水システムと接続され、排水制御システム4で排水流量を調整し、システムの脱塩率が45〜58%になる。
【符号の説明】
【0024】
1…給水システム、2…電源システム、3…膜リアクター、4…排水制御システム、5…清浄水タンク、6…複合膜アセンブリー、7…導線、8…カソード複合膜、9…アノード複合膜、10…分離層、11…カソード電流コレクタ、12…カソード電極、13…アノード電極、14…アノード電流コレクタ
図1
図2