(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ここで、車両の側方の視界に関しては、車両の側方の履帯の端部や、履帯の最後部など車両に近い位置が死角となり易く、これら車両に近い位置を監視カメラ装置に撮像させるためには、カメラ本体を車両の右側端部(サイドカバー)よりも外側に突出させて配置する必要がある。しかしながら、このように車両の外側にカメラ本体を突出させて配置する場合、作業機械の輸送時にカメラ本体が周囲の障害物などと衝突してカメラ本体が損傷しないようにする必要がある。この点、特許文献1および3の構成では、車両の側端部に対するカメラ本体の側方への突出量を可変できない。
【0008】
また、既設の作業機械に対して監視カメラ装置を新たに取付ける場合、構成部品の交換や追加を最小限に抑制できることが望ましい。この点、特許文献2の構成では、既設のカウンタウエイトなどの車両後方の構成部品の交換が必要となる。
【0009】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、機体に対して部品の交換や追加を抑制してカメラ装置を容易に取付けできるとともに、必要に応じて視界の確保とカメラ本体の保護とを切替えできる作業機械を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1記載の発明は、下部走行体、幅方向一側に運転席を備えるとともにこの運転席と反対側である幅方向他側に取付部材により取付けられた構造体を備え、
前記下部走行体の上部に旋回可能に設けられた上部旋回体、および、この上部旋回体に設けられた作業装置を有する機体と、この機体に取付けられるカメラ装置とを具備し、
前記カメラ装置が、
前記構造体の
下端部
の位置にて前記上部旋回体の幅方向他側に
前記構造体の下端部とともに前記取付部材により取付けられる支持体と、この支持体に支持されて
前記上部旋回体の幅方向他側を監視するカメラ本体とを備え、
前記カメラ本体が、少なくとも一部が
前記上部旋回体の幅方向他側に対して側方に突出する第1の位置と、この第1の位置よりも
前記上部旋回体の幅方向一側寄りとなる第2の位置との間で移動可能に設けられている作業機械である。
【0011】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の作業機械におけるカメラ本体が、支持体に対して上部旋回体の幅方向に回動可能に軸支されているものである。
【0012】
請求項3記載の発明は、請求項1または2記載の作業機械における支持体が、構造体に対して上部旋回体の幅方向にカメラ本体とともに移動可能に取付けられているものである。
【0013】
請求項4記載の発明は、請求項3記載の作業機械における支持体が、構造体の端部と上部旋回体との間に挟み込まれているものである。
【0014】
請求項5記載の発明は、請求項1乃至4いずれか一記載の作業機械におけるカメラ本体が、支持体に対して上部旋回体の幅方向に移動可能に取付けられているものである。
【発明の効果】
【0015】
請求項1記載の発明によれば、カメラ本体を支持する支持体を、構造体の端部を上部旋回体の運転席が位置する幅方向一側に対して反対側の幅方向他側に取付ける取付部材を用いて、この構造体の端部とともに上部旋回体の幅方向他側に取付けることで、機体に対して部品の交換や追加を抑制してカメラ装置を容易に取付けできる。また、カメラ本体を、少なくとも一部が上部旋回体の幅方向他側に対して側方に突出する第1の位置とした場合には、上部旋回体の幅方向他側をカメラ本体によって効果的に撮像して視界を確保でき、カメラ本体を使用せずに作業機械を輸送するときなどには、カメラ本体を、第1の位置よりも上部旋回体の幅方向一側寄りとなる第2の位置とすることで、カメラ本体を保護できる。したがって、必要に応じて視界の確保とカメラ本体の保護とを切替えできる。
【0016】
請求項2記載の発明によれば、カメラ本体を支持体に対して上部旋回体の幅方向に回動可能に軸支することで、カメラ本体を支持体に対して回動させることにより第1の位置と第2の位置とに容易に移動させることができる。
【0017】
請求項3記載の発明によれば、支持体を、構造体に対して上部旋回体の幅方向にカメラ本体とともに移動可能に取付けることで、支持体とともにカメラ本体を上部旋回体の幅方向に移動させることにより、カメラ本体を第1の位置と第2の位置とに容易に移動させることができる。
【0018】
請求項4記載の発明によれば、支持体を、構造体の端部と上部旋回体との間に挟み込むことで、構造体の端部と上部旋回体との間のスペースを有効に利用して、支持体とともにカメラ本体を上部旋回体の幅方向に容易に移動させることができる。
【0019】
請求項5記載の発明によれば、カメラ本体を、支持体に対して上部旋回体の幅方向に移動可能に取付けることで、カメラ本体を、支持体に対して上部旋回体の幅方向に移動させることにより、カメラ本体を第1の位置と第2の位置とに容易に移動させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明を、
図1乃至
図6に示された一実施の形態、
図7乃至
図9に示された他の実施の形態、および、
図10に示されたさらに他の実施の形態に基いて詳細に説明する。
【0022】
先ず、
図1乃至
図6に示された実施の形態を説明する。
【0023】
図5は、油圧ショベル型の作業機械10を示し、下部走行体11の上部に上部旋回体12が旋回可能に設けられた機体13に対して上下動される作業装置14が搭載されている。このまた、作業装置14は、上部旋回体12にブーム14bmの基端が上下方向回動自在に軸支され、このブーム14bmの先端にスティック14stが回動自在に軸支され、このスティック14stの先端にバケット14bkが回動可能に軸支され、ブーム14bmはブームシリンダ15bmによって回動され、スティック14stはスティックシリンダ15stにより回動され、バケット14bkはバケットシリンダ15bkにより回動される。なお、以下、前後方向および左右方向(幅方向)については、作業機械10を操作するオペレータから見た方向を基準とする。
【0024】
下部走行体11は、車両中央に位置するセンタフレームの両側に、履帯装着用の長尺状の走行フレーム21が一体的に設けられている。また、走行フレーム21の一端側には、油圧走行モータ、減速機およびスプロケットからなる履帯駆動部23が装着されている。また、走行フレーム21の他端側には、従動輪24が回動自在に軸支され、これら履帯駆動部23と従動輪24とに亘って、無端状の履帯25が走行フレーム21に沿って回行移動自在に掛け回して装着されている。そして、この下部走行体11は、履帯駆動部23の駆動により、履帯25を回行駆動するように構成されている。
【0025】
上部旋回体12は、センタフレームに設けられた旋回軸受部26を介して下部走行体11の上部に旋回可能に軸支されている。この上部旋回体12は、旋回軸受部26に軸支される旋回フレーム27を下部に備え、幅方向一側部例えば左側部にオペレータの作業空間を保護するキャブ28が搭載され、幅方向他側部例えば右側部から後部に亘って収容部29が設けられているとともに、前側の左右の中央部に作業装置14が配置されている。さらに、この上部旋回体12の後部には、カウンタウエイト30が配置されている。言い換えると、作業装置14に対して左側にキャブ28が位置し、その反対側である右側から後側に亘って収容部29が位置し、この収容部29の後部にカウンタウエイト30が配置されている。また、この上部旋回体12には、キャブ28(作業装置14)の右側方にて収容部29の上部に、構造体(柱状構造体)であるハンドレール31が取付けられているとともに、このハンドレール31と一体的にカメラ装置32が取付けられている。さらに、この上部旋回体12は、下部走行体11以下の幅寸法に形成されており、両側部が下部走行体11の両側部から外方に突出しない位置となっている(
図6(b))。
【0026】
キャブ28は、旋回フレーム27上に搭載され、上部旋回体12の左側部の前端に位置しており、右側部が作業装置14の左側部に対向している。すなわち、このキャブ28と作業装置14とは、互いに左右に隣接して配置されている。このキャブ28内には、
図4に示されるように、運転席35の左右部に設けられたコンソール36,36の上部に、作業装置14を操作する操作レバー37,37がそれぞれ設けられている。また、このキャブ28内には、入力手段および表示手段の機能を有するモニタ38が運転席35の前方に設置されている。
【0027】
図5に戻って、収容部29は、旋回フレーム27上に設けられ、表面がカバー41により覆われている。この収容部29内には、図示されない被収容物が収容されており、カバー41の一部を開閉したり、カバー41の上部に設けられた給油口43(
図1)などを用いたりすることで、内部の被収容物に対して外部からアクセス可能となっている。この被収容物としては、例えば作動油タンクや燃料タンクなどのタンク類、油圧ポンプなどのポンプ類、コントロールバルブなどのバルブ類、油圧配管や燃料配管などの配管類、および、ポンプ駆動用のエンジンなどが含まれる。また、この収容部29は、キャブ28(運転席35)および作業装置14の右側方、すなわち上部旋回体12の右側部の前端に位置する前部収容部44と、キャブ28および前部収容部44の後部に亘って上部旋回体12の後部に位置する後部収容部45とを備えている。
【0028】
前部収容部44は、例えば前側から後側へと徐々に高さが増加する階段状に設けられている。この前部収容部44は、作業装置14を介してキャブ28(運転席35(
図4))と反対側に位置している。また、この前部収容部44には、給油口43(
図1)などにアクセスする際の足場となるステップ47がカバー41や旋回フレーム27に溶接などされて前方に向けて突出されていてもよい。
【0029】
後部収容部45は、例えば前部収容部44よりも高さが高く設定されている。この後部収容部45は、キャブ28、作業装置14および前部収容部44の後部にて上部旋回体12の左右両側部間に亘って設けられている。
【0030】
カバー41は、上部旋回体12(機体13)の上部を構成する略平面状の上面部51と、上部旋回体12(機体13)の右側部を構成する側面部52とを少なくとも備えている。これら上面部51や側面部52には、図示しないが、収容部29(前部収容部44、あるいは後部収容部45)を開閉するための開閉カバーが設けられていてもよい。
【0031】
図1に示される給油口43は、収容部29の上部に位置し、カバー41の上面部51から上方に向けて突出されている。本実施の形態では、この給油口43は、前部収容部44の後部寄りに配置されている。この給油口43の上端部には、この給油口43を開閉する給油キャップ43aが取付けられている。
【0032】
また、
図5に戻って、カウンタウエイト30は、作業装置14との重量バランスを取るもので、収容部29(後部収容部45)の後部に位置し、上部旋回体12に対して着脱可能となっている。
【0033】
そして、ハンドレール31は、収容部29内の被収容物の点検やメンテナンスなどを行うために収容部29(前部収容部44)上にオペレータなどが登ったり、給油口43(
図1)にアクセスしたりする際の手摺り、および、登ったオペレータなどの落下を防止するための安全柵の機能を有するものである。このハンドレール31は、上部旋回体12の右側部(収容部29の前部収容部44)の縁部に沿って前後方向に配置され、この上部旋回体12の右側部に対して右側方に突出していない。また、このハンドレール31は、上部旋回体12に対して取付けられる端部(下端部)である(一方および他方の)被取付部としてのマウント部54,54と、これらマウント部54,54間に亘って連続する構造物本体(柱状構造物本体)としてのレール本体55とを備えている。さらに、このハンドレール31には、上部旋回体12に対する高さ(上方への突出量)を可変設定する高さ調節機構56が設けられていてもよい。なお、ハンドレール31は、機体13のサイズに応じて単数、または複数設定することができるが、本実施の形態では複数、例えば前後に3つ設定されている。すなわち、本実施の形態において、このハンドレール31は、前側から後側へと、(第1乃至第3の)ハンドレール31a〜31cが設定されている。
【0034】
マウント部54,54は、前後に互いに離間されて配置されている。各マウント部54は、
図1(a)に示されるように、例えば上部旋回体12(収容部29)に対して固定される板状のベース部61と、このベース部61に突出されレール本体55を受ける筒状(円筒状)の受け部62とを一体に備えている。これらマウント部54は、さらに、ベース部61と受け部62とを連結して補強するリブ状の補強部63を一体に備えていてもよい。そして、これらマウント部54は、それぞれ取付部材であるボルト65を介して上部旋回体12に対して固定されている。すなわち、このマウント部54には、上部旋回体12に設けられた図示されないねじ穴に螺入されるボルト65が挿通される取付部材挿通穴である丸穴状の図示されないボルト挿通穴が上下方向(厚み方向)に貫通して設けられている。例えば、最前部に位置するハンドレール31aでは、前側のマウント部54が上部旋回体12(旋回フレーム27(
図5))の右側部の前端に前方から取付けられ、後側のマウント部54が上部旋回体12の右側部の上部(カバー41の上面部51)に上方から取付けられている。また、ハンドレール31aの後方に隣接するハンドレール31b、および、このハンドレール31bの後方に隣接するハンドレール31cでは、前後のマウント部54,54がそれぞれ上部旋回体12の右側部の上部(カバー41の上面部51)に上方から取付けられている。なお、マウント部54を取付ける上部旋回体12の前部および上部には、ベース部61が直接取付けられる例えば板状の支持部67を一体的に設けてもよい。
【0035】
より詳細に、ハンドレール31aは、前側のマウント部54(ベース部61)が、上部旋回体12の旋回フレーム27(
図5)の前部に前方からボルト65を締付けることで上部旋回体12に対して取付けられており、後側のマウント部54(ベース部61)が、上部旋回体12の収容部29(前部収容部44)の上部、すなわちカバー41の上面部51に設けられた支持部67a上の前側に重ねられ、上方から(カメラ装置32とともに)ボルト65を締付けることで上部旋回体12に対して取付けられている。
【0036】
また、ハンドレール31bは、前側のマウント部54(ベース部61)が、上部旋回体12の収容部29(前部収容部44)の上部、すなわちカバー41の上面部51に設けられた支持部67、本実施の形態ではハンドレール31aの後側のマウント部54が取付けられた支持部67a上の後側に重ねられ、上方からボルト65を締付けることで上部旋回体12に対して取付けられ、後側のマウント部54(ベース部61)が、上部旋回体12の収容部29(前部収容部44)の上部、すなわちカバー41の上面部51に設けられた支持部67、本実施の形態では支持部67aに対して後方に離間された位置に配置された支持部67上の前側に重ねられ、上方からボルト65を締付けることで上部旋回体12に対して取付けられている。
【0037】
図5に示されるハンドレール31cは、前側のマウント部54(ベース部61)が、上部旋回体12の収容部29(前部収容部44)の上部、すなわちカバー41の上面部51に設けられた支持部67(
図3)、本実施の形態ではハンドレール31bの後側のマウント部54が取付けられた支持部67(
図3)上の後側に重ねられ、上方からボルト65を締付けることで上部旋回体12に対して取付けられ、後側のマウント部54(ベース部61)が、上部旋回体12の収容部29(後部収容部45)の上部、すなわちカバー41の上面部51に設けられた支持部67(
図3)に上方から重ねられ、上方からボルト65を締付けることで上部旋回体12に対して取付けられている。
【0038】
レール本体55は、細長いパイプ(円筒)状に形成され、マウント部54,54の上部間に連続するように上側に凸状に湾曲されている。このレール本体55は、上部旋回体12に対して離間されている。なお、このレール本体55には、補強用の補強体である補強レール69が前後に橋架されて一体的に設けられていてもよい。この補強レール69は、本実施の形態では、例えばハンドレール31b,31cに設けられている。
【0039】
図1(a)および
図1(b)に示される高さ調節機構56は、マウント部54,54に対するレール本体55の上下方向の位置を可変設定するものであり、基本的にカメラ装置32とともに上部旋回体12の上部に取付けられるハンドレール31、本実施の形態では最前部に位置するハンドレール31aに設けられている。この高さ調節機構56は、例えば各マウント部54の受け部62とレール本体55の両下端部との間に設けられている。
【0040】
そして、カメラ装置32は、キャブ28内の運転席35(
図4)についたオペレータの死角となる、作業機械10(機体13)のキャブ28(運転席35)と反対側の側部、すなわち右側部を監視し、視界を確保するためのものである。このカメラ装置32は、カメラ本体71と、このカメラ本体71を支持する支持体(サポート)であるブラケット72とを備えている。そして、このカメラ装置32は、ブラケット72がハンドレール31のいずれか、本実施の形態では、最前部のハンドレール31aとともに上部旋回体12の上部(カバー41の上面部51(支持部67))にボルト65によって上方から共締めされて取付け固定される。
【0041】
カメラ本体71は、
図2(a)および
図2(b)に示されるように、上部旋回体12の右側部の画像(映像)を撮像して監視するレンズ部であるカメラ部75と、このカメラ本体71をブラケット72に対して取付ける取付部76とを一体的に備えている。本実施の形態では、取付部76は、カメラ本体71の両側に一体的に設けられた側板部である。そして、これら取付部76,76を介して、カメラ本体71がブラケット72に対して回動可能に軸支されている。また、このカメラ本体71により撮像した画像(映像)は、モニタ38(
図4)に表示され、このモニタ38(
図4)を介して運転席35についたオペレータにより目視可能となっている。
【0042】
ブラケット72は、
図1(a)に示されるように、ハンドレール31(ハンドレール31a)の下端部、すなわちマウント部54(ベース部61)とともに上部旋回体12の右側部の上部にボルト65によって取付けられるものである。このブラケット72は、例えば金属板をプレス成形などして一体的に設けられている。このブラケット72は、カメラ本体71を支持する支持本体部78と、ボルト65によって上部旋回体12の上部に固定される固定部79とを備えている。支持本体部78は、カメラ本体71を支持できればよく、固定部79は、カメラ本体71を上部旋回体12に対して取付けできればよいため、それらの個数や形状は任意に設定できるが、例えば本実施の形態では、
図2(a)および
図2(b)に示されるように、支持本体部78がカメラ本体71の両側に位置し、これら支持本体部78,78間が一方の固定部79により連結されているとともに、一方の支持本体部78から延出する延出部80の先端部に他方の固定部79が連結されている。したがって、支持本体部78,78が互いに離間されてカメラ本体71の両側に位置し、固定部79,79が、支持本体部78,78が離間されている方向と交差(直交)する方向に互いに離間されている。これら固定部79,79間は、
図1(a)に示されるように、マウント部54の一部(受け部62および補強部63など)との干渉を避ける空間部である干渉回避部としての切欠部81となっている。そして、このブラケット72には、カメラ本体71から導出された配線83を挿通する挿通部84が設けられている。この挿通部84は、任意の箇所に任意の個数設けることができるが、
図2(a)および
図2(b)に示されるように、例えば一方の支持本体部78および一方の固定部79をそれぞれ貫通して設けられている。
【0043】
各支持本体部78には、カメラ本体71をブラケット72に回動可能に軸支する軸支体である軸支ピン85がそれぞれ挿通されている。これら軸支ピン85は、カメラ本体71の各取付部76に固定されている。また、一方の支持本体部78には、カメラ本体71を回動させた位置で固定するための固定穴86が開口されている。この固定穴86は、本実施の形態では軸支ピン85を中心とする円弧上の複数、例えば2箇所に設けられているが、軸支ピン85を中心とする円弧に沿って形成された長穴でもよい。そして、この固定穴86には、固定体である固定ボルト87が挿入されて固定されることで、カメラ本体71がブラケット72に対して所定の回動角度で固定されるようになっている。
【0044】
固定部79は、支持本体部78間を連結する一方の固定部79がカメラ本体71の下方に位置し、他方の固定部79がカメラ本体71に対して、このカメラ本体71のカメラ部75による撮像方向と反対側に離間されている。また、各固定部79には、ボルト65(
図1(a))が挿通される丸穴状の挿通穴79aが開口されている。
【0045】
次に、この
図1乃至
図6に示された実施の形態の作用効果を説明する。
【0046】
カメラ装置32の取付け時は、先ず、カメラ本体71をブラケット72に軸支ピン86により回動可能に軸支して取付け、このカメラ本体71を取付けたブラケット72を、ハンドレール31とともに上部旋回体12に対してボルト65により固定する。本実施の形態では、支持部67a上に配置したハンドレール31aの後側のマウント部54(ベース部61)上にカメラ装置32のブラケット72を重ね、支持部67aに設けられたねじ穴に位置合わせしたマウント部54のボルト挿通穴とブラケット72の挿通穴79aとを位置合わせしてボルト65を上方から挿入し、このボルト65を締付けてねじ穴に螺入することで、マウント部54(ベース部61)とブラケット72とを共締め固定する。なお、配線83については、カメラ装置32の取付位置とこの配線83を電気的に接続する接続部との位置関係から最も適したいずれかの挿通部84に挿通して接続部と電気的に接続する。
【0047】
また、カメラ装置32の上下方向の高さ位置の調整は、例えば
図3(a)および
図3(b)に示されるように、ブラケット72(固定部79(挿通穴79a))とハンドレール31のマウント部54(ベース部61(ボルト挿通穴))との間に、ボス状のスペーサ88を介在させて取付けることで調整できる。
【0048】
この結果、カメラ装置32は、上部旋回体12に対してブラケット72が左右方向(両側方向)に沿って長手方向を有し、カメラ本体71のカメラ部75が上部旋回体12に対して右側を向いた状態で、上部旋回体12の前後方向の略中央部にて給油口43の近傍に取付けられる。すなわち、カメラ本体71がブラケット72に対して軸支ピン86を中心として上部旋回体12の幅方向である左右方向に回動するようにカメラ装置32が上部旋回体12に対して固定される。
【0049】
そして、作業装置14を用いた掘削などの各種作業を行うように作業機械10を使用する際には、カメラ本体71をブラケット72に対して右側(上部旋回体12の外側方向)に回動させることで、カメラ本体71を上部旋回体12の右側部から突出させた第1の位置(使用位置)とし、この第1の位置で一方の固定穴86に対して固定ボルト87を挿入して締め付けることでカメラ本体71をブラケット72に対して固定する。この状態で、カメラ本体71のカメラ部75が上部旋回体12の右側部から外方に突出して右側下方に向かって傾斜し、下部走行体11の長手方向に前後方向が略一致するように上部旋回体12を旋回させた位置(前進位置または後進位置)で、カメラ本体71のカメラ部75から徐々に拡大する截頭角錐状の視野(撮像範囲)Vが、下部走行体11(履帯25)の前後両端(
図6(a))、および、下部走行体11の右側端部(
図6(b))までカバーする位置となる。このため、カメラ本体71により撮像した画像(映像)をモニタ38に表示することで、運転席35についたオペレータが直接目視できない作業機械10の右側部に対しても、死角を生じさせることなく監視できる。なお、
図6(b)においては、説明をより明確にするためにハンドレール31の図示を省略している。
【0050】
一方、作業機械10を輸送する際など、カメラ装置32を使用しないときには、このカメラ装置32のカメラ本体71をブラケット72に対して左側(上部旋回体12の内側方向)に回動させることで、カメラ本体71を上部旋回体12の右側部(カバー41の側面部52)に対する右側方への突出量が第1の位置よりも少なく、カメラ本体71を上部旋回体12の右側部(カバー41の側面部52)から右側に殆ど突出しない第2の位置(格納位置)とし、この第2の位置で他方の固定穴86に対して固定ボルト87を挿入して締め付けることでカメラ本体71をブラケット72に対して固定する。この結果、カメラ本体71が外部の部材や構造物などと干渉することを防止する。
【0051】
このように、カメラ本体71を支持するブラケット72を、ハンドレール31(ハンドレール31a)の下端部であるマウント部54(ベース部61)を上部旋回体12の運転席35(キャブ28)が位置する一側である左側に対して反対側である右側に取付けるボルト65を用いて、このハンドレール31(ハンドレール31a)の下端部とともに上部旋回体12の右側の上部に取付けることで、機体13に対して部品の交換や追加を抑制して、すなわち最小限の部品追加でカメラ装置32を容易に取付けできる。したがって、既存の作業機械10に対して、最小限の設計変更でレトロフィットが可能となる。
【0052】
また、カメラ本体71を、少なくとも一部が上部旋回体12の右側に対して側方に突出する第1の位置とした場合には、上部旋回体12の他側をカメラ本体71によって効果的に撮像して視界を確保でき、カメラ本体71を使用せずに作業機械10を輸送するときなどには、カメラ本体71を、第1の位置よりも上部旋回体12の左側寄りとなる第2の位置とすることで、カメラ本体71を外部の部材や構造物などに対する干渉などから保護できる。
【0053】
したがって、必要に応じて視界の確保とカメラ本体71の保護とを容易に切替えできる。
【0054】
さらに、カメラ本体71をブラケット72に対して上部旋回体12の左右方向に回動可能に軸支することで、カメラ本体71をブラケット72に対して回動させることにより第1の位置と第2の位置とに容易に移動させることができる。
【0055】
また、カメラ装置32のブラケット72を、ハンドレール31(ハンドレール31a)の下端部のマウント部54(ベース部61)の上部に取付けることで、カメラ装置32の取付け高さを、スペーサ88を用いて容易に調整できる。例えば機種によっては、
図3(a)および
図3(b)に示されるように、カバー41の側面部52など、カメラ装置32の下部に位置する部分に、可動的、例えば開閉可能な組付構造体である開閉カバー89を備える場合があるが、スペーサ88によってカメラ装置32の取付け高さを上昇させて開閉カバー89から上方に離間させることができ、開閉カバー89の組付け時などにカメラ装置32が邪魔になりにくい。
【0056】
しかも、ブラケット72は、固定部79,79間に干渉防止用の切欠部81を設けているので、ハンドレール31のマウント部54(受け部62)と干渉することなく、マウント部54とともに複数箇所で上部旋回体12に対してボルト65により固定でき、安定感を向上できる。
【0057】
次に、
図7乃至
図9に示された他の実施の形態を説明する。なお、
図1乃至
図6に示された実施の形態と同様の部分については、同一符号を付して、説明を簡略化する。
【0058】
この実施の形態は、
図1乃至
図6に示された実施の形態のカメラ装置32において、カメラ本体71とブラケット72とが互いに一体的に固定され、これらカメラ本体71とブラケット72とが、ハンドレール31(ハンドレール31a)に対して上部旋回体12の幅方向である左右方向に移動(スライド)可能に取付けられているものである。
【0059】
ブラケット72は、例えば板状の支持本体部78と板状の固定部79とがL字状に連続して設けられている。例えば、このブラケット72は、長手状に形成された固定部79の長手方向の一端部に支持本体部78が上方に屈曲するように突出されている。また、このブラケット72の支持本体部78は、カメラ本体71のカメラ部75と反対側である背面側にボルト90により固定されている。さらに、このブラケット72の固定部79に設けられた挿通穴79aは、左右方向に長い長穴状となっている。そして、このブラケット72は、
図8(a)および
図8(b)に示されるように、ハンドレール31(ハンドレール31a)の下端部のマウント部54(ベース部61)の下部と上部旋回体12の右側の上部、すなわちカバー41の上面部51、本実施の形態では支持部67(支持部67a)の上部との間に固定部79が挟み込まれ、ハンドレール31(ハンドレール31a)の下端部のマウント部54(ベース部61)とともにボルト65により上部旋回体12に対して共締めされている。
【0060】
また、
図9に示されるハンドレール31(ハンドレール31a)に設けられた高さ調節機構56は、一対の締付部材である高さ調節ボルト91,91を備えており、これら高さ調節ボルト91,91を緩めた状態でマウント部54の受け部62に対してレール本体55を上下方向にスライドさせた位置で一対の高さ調節ボルト91,91を締付けることで高さ位置を固定するようになっている。
【0061】
そして、カメラ装置32の取付け時は、先ず、カメラ本体71をブラケット72にボルト90,90を用いて固定し、このカメラ本体71を取付けたブラケット72を、ハンドレール31とともに上部旋回体12に対してボルト65により固定する。本実施の形態では、支持部67a上にブラケット72の固定部79を重ね、この固定部79上に、ハンドレール31aの後側のマウント部54(ベース部61)にブラケット72を重ねて、ブラケット72(固定部79)の長穴状の挿通穴79aを、支持部67aに設けられたねじ穴に位置合わせするとともに、ブラケット72の挿通穴79aとマウント部54に設けられた丸穴状の取付部材挿通穴であるボルト挿通穴54aとを位置合わせしてボルト65を上方から挿入し、このボルト65を締付けて支持部67aのねじ穴に螺入することで、マウント部54とブラケット72とを共締め固定する。この結果、カメラ装置32は、上部旋回体12に対してブラケット72が左右方向に沿って長手方向を有し、カメラ本体71のカメラ部75が上部旋回体12に対して右側を向いた状態で取付けられる。
【0062】
そして、作業装置14を用いた掘削などの各種作業を行うように作業機械10を使用する際には、ボルト65を緩め、カメラ本体71をブラケット72とともに左側にスライドさせ、例えば挿通穴79aの一端部である右端部の位置をマウント部54(ベース部61)のボルト挿通穴54aと略同軸となった位置でボルト65(
図8(a))を締付ける(
図7(a))ことで、カメラ本体71を上部旋回体12の右側部から突出させた第1の位置(使用位置)とする。
【0063】
一方、作業機械10を輸送する際など、カメラ装置32を使用しないときには、ボルト65を緩め、カメラ本体71をブラケット72とともに右側にスライドさせ、例えば挿通穴79aの他端部である左端部の位置をマウント部54(ベース部61)のボルト挿通穴54aと略同軸となった位置でボルト65(
図8(b))を締付ける(
図7(b))ことで、上部旋回体12の右側部(カバー41の側面部52)に対する右側方への突出量が第1の位置よりも少なく、カメラ本体71を上部旋回体12の右側部(カバー41の側面部52)から右側に殆ど突出しない第2の位置(格納位置)とする。
【0064】
このように、カメラ本体71の少なくとも一部が上部旋回体12の右側に対して側方に突出する第1の位置と、この第1の位置よりも上部旋回体12の右側寄りとなる第2の位置との間で移動可能に構成するなど、上記一実施の形態と同様の構成を有することで、上記一実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0065】
また、カメラ装置32のブラケット72を、ハンドレール31(ハンドレール31a)に対して上部旋回体12の左右方向にカメラ本体71とともに移動可能に取付けることで、ブラケット72とともにカメラ本体71を上部旋回体12の左右方向に移動させることにより、カメラ本体71を第1の位置と第2の位置とに容易に移動させることができる。
【0066】
さらに、ブラケット72を、ハンドレール31(ハンドレール31a)の下端部であるマウント部54(ベース部61)と上部旋回体12(支持部67)との間に挟み込むことで、ハンドレール31(ハンドレール31a)の下端部のマウント部54(ベース部61)と上部旋回体12(支持部67)との間のスペースを有効に利用して、ブラケット72とともにカメラ本体71を上部旋回体12の左右方向に容易に移動させることができる。
【0067】
また、ブラケット72を上部旋回体12(支持部67a)の上部(カバー41の上面部51である支持部67(支持部67a)の上部)との間で挟み込むことで、ブラケット72の厚み分、ハンドレール31(ハンドレール31a)のレール本体55の高さが相対的に高くなるものの、
図9に示す高さ調節機構56を用いることで、レール本体55の高さ位置を容易に調整できる。具体的に、高さ調節ボルト91,91を緩め、レール本体55をマウント部54(受け部62)に対して上下方向にスライドさせ、適宜の位置で高さ調節ボルト91,91を締付けることにより、レール本体55を所望の高さ位置に設定できる。
【0068】
なお、
図7乃至
図9に示された実施の形態において、高さ調節機構56に代えて、例えばカメラ本体71とブラケット72とを固定するボルト90,90を挿通する支持本体部78の穴部を上下方向に沿って長穴状に形成することで、ボルト90,90を緩めてカメラ本体71のブラケット72に対する固定位置を上下に調節した位置でボルト90,90を締付けることにより高さを調節するように構成することもできる。
【0069】
次に、
図10に示されたさらに他の実施の形態を説明する。なお、上記各実施の形態と同様の部分については、同一符号を付して、説明を簡略化する。
【0070】
この実施の形態は、
図7乃至
図9に示されたカメラ装置32において、カメラ本体71がブラケット72に対して上部旋回体12の左右方向に移動(スライド)可能に取付けられているものである。
【0071】
ブラケット72は、例えば板状の支持本体部78と板状の固定部79とがL字状に連続して設けられている。例えば、このブラケット72は、長手状に形成された固定部79の幅方向の一端部に長手状に形成された支持本体部78が上方に屈曲するように突出されている。また、このブラケット72の支持本体部78は、左右方向に沿って長手状に形成されている。この支持本体部78には、左右方向に長い長穴状のガイド部であるガイド穴93が設けられている。本実施の形態では、ガイド穴93は、上下に一対設定されている。これらガイド穴93には、ボルト94を介して、カメラ本体71の一側である一方の取付部76が固定されている。したがって、ボルト94を緩めることで、カメラ本体71がブラケット72に対して上部旋回体12の左右方向に移動(スライド)可能となっている。また、このブラケット72は、ハンドレール31(ハンドレール31a)の下端部のマウント部54(ベース部61)の下部と上部旋回体12の上部、すなわちカバー41の上面部51、本実施の形態では支持部67(支持部67a)の上部との間に固定部79が挟み込まれ、ハンドレール31(ハンドレール31a)の下端部のマウント部54(ベース部61)とともにボルト65により上部旋回体12に対して共締めされている。
【0072】
そして、カメラ装置32の取付け時は、先ず、カメラ本体71をブラケット72の支持本体部78のガイド穴93,93に対してボルト94,94を用いて固定し、このカメラ本体71を取付けたブラケット72を、ハンドレール31とともに上部旋回体12に対してボルト65により固定する。本実施の形態では、支持部67a上にブラケット72の固定部79を重ね、この固定部79上に、ハンドレール31aの後側のマウント部54(ベース部61)にブラケット72を重ねて、ブラケット72(固定部79)の長穴状の挿通穴79aを、支持部67aに設けられたねじ穴に位置合わせするとともに、ブラケット72の挿通穴79aとマウント部54のボルト挿通穴54aとを位置合わせしてボルト65を上方から挿入し、このボルト65を締付けてねじ穴に螺入することで、マウント部54とブラケット72とを共締め固定する。この結果、カメラ装置32は、上部旋回体12に対してブラケット72が左右方向に沿って長手方向を有し、カメラ本体71のカメラ部75が上部旋回体12に対して右側を向いた状態で取付けられる。
【0073】
そして、作業装置14を用いた掘削などの各種作業を行うように作業機械10を使用する際には、ボルト94,94を緩め、カメラ本体71をブラケット72に対して左側にスライドさせ、例えばガイド穴93,93の一端部である右端部の位置でボルト94,94を締付けることで、カメラ本体71を上部旋回体12の右側部から突出させた第1の位置(使用位置)とする(
図10(a))。
【0074】
一方、作業機械10を輸送する際など、カメラ装置32を使用しないときには、ボルト94,94を緩め、カメラ本体71をブラケット72に対して右側にスライドさせ、例えばガイド93,93の他端部である左端部の位置をマウント部54(ベース部61)のボルト挿通穴54aと略同軸となった位置でボルト65を締付ける(
図10(b))ことで、上部旋回体12の右側部(カバー41の側面部52)に対する右側方への突出量が第1の位置よりも少なく、カメラ本体71を上部旋回体12の右側部(カバー41の側面部52)から右側に殆ど突出しない第2の位置(格納位置)とする。
【0075】
このように、カメラ本体71の少なくとも一部が上部旋回体12の右側に対して側方に突出する第1の位置と、この第1の位置よりも上部旋回体12の右側寄りとなる第2の位置との間で移動可能に構成するなど、上記各実施の形態と同様の構成を有することで、上記各実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0076】
また、カメラ本体71を、ブラケット72に対して上部旋回体12の左右方向に移動可能に取付けることで、カメラ本体71を、ブラケット72に対して上部旋回体12の左右方向に移動させることにより、カメラ本体71を第1の位置と第2の位置とに容易に移動させることができる。
【0077】
なお、上記各実施の形態において、カメラ装置32をボルト65によって共締めする構造体として、ハンドレール31を用いたが、他の任意の構造体を用いることができる。
【0078】
また、上記各実施の形態の少なくともいずれか2つを任意に組み合わせて構成することもできる。