(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6583910
(24)【登録日】2019年9月13日
(45)【発行日】2019年10月2日
(54)【発明の名称】上衣
(51)【国際特許分類】
A41F 5/00 20060101AFI20190919BHJP
A41F 17/00 20060101ALI20190919BHJP
A41D 10/00 20060101ALI20190919BHJP
A41D 27/00 20060101ALI20190919BHJP
【FI】
A41F5/00
A41F17/00
A41D10/00 C
A41D27/00 Z
【請求項の数】8
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-121151(P2015-121151)
(22)【出願日】2015年6月16日
(65)【公開番号】特開2017-2450(P2017-2450A)
(43)【公開日】2017年1月5日
【審査請求日】2018年5月21日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 株式会社アルペン(愛知県名古屋市中区丸の内二丁目9番40号)に販売した「水着の上衣及び下衣」を、平成27年2月14日に株式会社スポーツロジスティックスの一宮トランスファーセンター(愛知県一宮市千秋町穂積塚本字塚本郷西12番地)に納品することで、発明の新規性を喪失した。
(73)【特許権者】
【識別番号】303011275
【氏名又は名称】株式会社ジャパーナ
(74)【代理人】
【識別番号】100129698
【弁理士】
【氏名又は名称】武川 隆宣
(72)【発明者】
【氏名】坂倉 吉豊
(72)【発明者】
【氏名】澤井 孝浩
(72)【発明者】
【氏名】伊吹 陽子
【審査官】
長尾 裕貴
(56)【参考文献】
【文献】
登録実用新案第3111300(JP,U)
【文献】
特開2000−192305(JP,A)
【文献】
特開2010−047847(JP,A)
【文献】
特開2007−016369(JP,A)
【文献】
登録実用新案第3159369(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41D 13/00 − 13/12
27/00
A41F 5/00
17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下衣に対する連結具を有するテープ状基材を裏側に固定した上衣であって、
上衣を構成する布同士が当該上衣の裏側にて上下方向に縫い合わされた縫い代部分に、前記テープ状基材の長辺の一方のみを直接縫い付け固定することで、上衣の外側から縫い目が見えてしまうことなく、当該テープ状基材を上衣に固定したことを特徴とする上衣。
【請求項2】
前記テープ状基材の短辺側の少なくとも一方が、前記連結具と干渉しない裏側へ折り曲げられ、前記縫い代部分に縫い付けられていることを特徴とする請求項1に記載の上衣。
【請求項3】
前記縫い代部分の縫い合わせは、上下方向に伸縮できる縫い方によるものであり、その後に前記テープ状基材を当該縫い代部分に縫い付けていることを特徴とする請求項1又は2に記載の上衣。
【請求項4】
前記テープ状基材の下端部は、上衣の裾を折り返した部分の内側に配置された後に水平方向に縫い付けられていることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の上衣。
【請求項5】
前記上衣を構成する布は、少なくとも上下方向に伸縮可能なストレッチ素材から構成されているものであることを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の上衣。
【請求項6】
前記連結具は、前記テープ状基材の長辺方向に並んで固定された2以上のスナップボタンからなるものであることを特徴とする請求項1〜5の何れか一項に記載の上衣。
【請求項7】
前記上衣は、裏地を有していないものであることを特徴とする請求項1〜6の何れか一項に記載の上衣。
【請求項8】
下衣に対する連結具を有するテープ状基材を裏側に固定した上衣であって、
上衣を構成する布同士が当該上衣の裏側にて左右方向に縫い合わされた縫い代部分に、前記テープ状基材の長辺の一方のみを直接縫い付け固定することで、上衣の外側から縫い目が見えてしまうことなく、当該テープ状基材を上衣に固定したことを特徴とする上衣。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、下衣と連結することができる上衣に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、上衣と下衣の位置がずれないようにしたり、上衣の裾が捲れ上がることを防ぐために、下衣と連結するための連結具を備えた上衣が提案されている(特許文献1〜3)。
【0003】
特許文献1に記載の上衣は、下衣と連結するための連結具を備えたテープ状基材を、補助布帛を介して上衣の内側に取り付けている。
これは、連結具を備えたテープ状基材を取り付けるための縫い目が、上衣の外側から見えてしまうことを防ぐための構成である。
【0004】
特許文献2に記載されている上衣は、その左右身頃の内側下部に対し、スナップ釦を備えたテープ状の基材を直接縫い付けているものと考えられる。
特許文献3に記載の上衣は、表地の内側において、着用者の腰部周辺に配置され上縁部のみが上衣と固定された帯状のインナー部を開示している。
【0005】
特許文献4は、ズボン裾の略下端の縫い代部分に固定された面ファスナー、ボタン等の係合具を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2014−40695号公報
【特許文献2】特開2006−89901号公報
【特許文献3】特許第3803703号公報
【特許文献4】特許第3474471号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記特許文献1に記載されている上衣においては、連結具を備えたテープ状基材を取り付けるための縫い目が上衣の外側から見えてしまうということを解消できるが、補助布帛を用いるため、補助布帛にテープ状基材を縫い付ける手間がかかるという課題や、製造コストが増えるという課題がある。
【0008】
上記特許文献2に記載されている上衣においても、スナップ釦を備えたテープ状の基材を縫い付けるための縫い目が上衣の外側から見えてしまうという課題がある。
上記特許文献3に記載の上衣においては、上衣の形態に対する変更が著しいものとなるというデザイン上及び機能上の課題や、衣服が重くなってしまったり、衣服としての使い勝手が悪くなってしまうという課題がある。
【0009】
上記特許文献4に記載の発明は、上衣と下衣とを連結するための発明ではなく、本願発明とはその構成、作用、効果の点で全く異なるものであり、かつ、上衣と下衣とを連結するための構成に適用できるものではない。
【0010】
そこで、本発明の目的は、上記従来の課題を解決し、補助布帛を用いることなく、しかも、縫い目が上衣の外側から見えてしまうことなく、連結具を備えたテープ状基材を簡単に、しかも迅速かつ確実に取り付けることができる上衣を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、連結具を備えたテープ状基材の上衣に縫い付けられていない端部が、上衣を着ている人の肌に直接触れることで、違和感を生じてしまうことがあるという課題を解決できる上衣を提供することにある。
【0011】
本発明の他の目的は、上下方向に伸縮できる上衣の特性を害することないように、上衣を構成する布同士を縫い合わせ、かつ前記テープ状基材を当該縫い代部分に固定することができる上衣を提供することにある。
本発明の他の目的は、前記テープ状基材の下端部を収まり良く処理し、かつ、上衣にテープ状基材を強固に固定できる上衣を提供することにある。
【0012】
また、本発明の他の目的は、少なくとも上下方向に伸縮可能な上衣を提供することにある。
本発明の他の目的は、下衣との連結が容易であり、また、着る人の丈に応じて下衣との連結位置を調節できる上衣を提供することにある。
本発明の他の目的は、裏地を有していない上衣において、上記の目的を達成することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、「下衣に対する連結具を有するテープ状基材を裏側に固定した上衣であって、上衣を構成する布同士
が当該上衣の裏側にて上下方向に縫い合
わされた縫い代部分に、前記テープ状基材の長辺の一方のみを直接
縫い付け固定することで、
上衣の外側から縫い目が見えてしまうことなく、当該テープ状基材を上衣に固定した上衣。」を最も主要な特徴とするものである。
本発明の上衣において、前記テープ状基材の短辺側の少なくとも一方は、前記連結具と干渉しない裏側へ折り曲げられ、前記縫い代部分に縫い付けられているものであってもよい。
【0014】
本発明の上衣において、前記縫い代部分の縫い合わせは、上下方向に伸縮できる縫い方によるものであり、その後に前記テープ状基材を当該縫い代部分に縫い付けているものであってもよい。
本発明の上衣において、前記テープ状基材の下端部は、上衣の裾を折り返した部分の内側に配置された後に水平方向に縫い付けられているものであってもよい。
本発明の上衣において、前記上衣を構成する布は、少なくとも上下方向に伸縮可能なストレッチ素材から構成されているものであってもよい。
【0015】
本発明の上衣において、前記連結具は、前記テープ状基材の長辺方向に並んで固定された2以上のスナップボタンからなるものであるとよい。
本発明の上衣は、裏地を有していないものであってもよい。
また、本発明の上衣は、下衣に対する連結具を有するテープ状基材を裏側に固定した上衣であって、上衣を構成する布同士が当該上衣の裏側にて左右方向に縫い合わされた縫い代部分に、前記テープ状基材の長辺の一方のみを直接縫い付け固定することで、上衣の外側から縫い目が見えてしまうことなく、当該テープ状基材を上衣に固定したものであってもよい。
【発明の効果】
【0016】
上記のように構成した本発明の上衣においては、補助布帛を用いることなく、しかも、縫い目が上衣の外側から見えてしまうことなく、
上衣の裏側にて上下方向又は左右方向に縫い合わされ形態安定性及び強度に優れた縫い代部分において、連結具を備えたテープ状基材を迅速に、しかも簡単かつ確実に取り付けることができ、下衣との連結状態における一体性及び安定性に優れるとともに、製造工程の簡略化、デザイン性、製造コストなどの点で優れたものとすることができる。
【0017】
本発明の上衣において、前記連結具を備えたテープ状基材の短辺側を折り曲げて縫い代部分に縫い付けるようにした場合には、テープ状基材の端部が上衣を着ている人の肌に直接触れることで違和感を生じてしまうことを抑制することができる。
【0018】
本発明の上衣において、縫い代部分の縫い合わせを上下方向に伸縮できる縫い方によって行い、その後に前記テープ状基材を当該縫い代部分に縫い付けるようにすることで、上下方向に伸縮できる上衣の特性を害することなく、上衣を構成する布同士を縫い合わせ、かつ前記テープ状基材を当該縫い代部分に強固に固定することができる。
【0019】
本発明の上衣において、前記テープ状基材の下端部を、上衣の裾を折り返した部分の内側に配置した後に、水平方向に縫い付けるようにすることで、前記テープ状基材の下端部を収まり良く処理し、かつ、上衣に強固に固定することができる。
本発明の上衣において、前記上衣を構成する布が、少なくとも上下方向に伸縮可能なストレッチ素材から構成されているものとすることで、少なくとも上下方向に伸縮可能な上衣においても、前記連結具を備えたテープ状基材を、上衣の縫い代部分において、しっかりと安定させて固定することができる。
【0020】
本発明の上衣において、前記連結具が、前記テープ状基材の長辺方向に並んで固定された2以上のスナップボタンからなるものとすることで、下衣との連結が容易かつ確実であり、また、着る人の丈に応じて下衣との連結位置を簡単に調節できる上衣を提供することができる。
さらに、本発明の上衣においては、裏地を有していないものであっても、補助布帛を用いることなく、しかも、縫い目が上衣の外側から見えてしまうことなく、連結具を備えたテープ状基材を簡単かつ確実に取り付けることができ、上記のような効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】
図1は本発明を具体化した一実施形態の上衣と下衣を示す正面図及び上衣の内側に固定されたテープ状基材の正面図である。
【
図2】
図2は本発明の上衣と下衣を示す側面図である。
【
図3】
図3は本発明の上衣の内側に固定したテープ状基材を示す拡大正面図である。
【
図4】
図4は本発明の上衣を構成する布同士を縫製し、テープ状基材を固定する手順を説明するための正面図であって、上衣の内側を示す図である。
【
図5】
図5は本発明を具体化した他の実施形態の上衣の内側に固定したテープ状基材を示す拡大正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の上衣は、「下衣に対する連結具を有するテープ状基材を裏側(内側)に固定した上衣であって、
上衣の裏側にて上衣を構成する布同士を縫い合わせる縫い代部分に、前記テープ状基材の長辺の一方のみを直接
縫い付け固定することで、
上衣の外側から縫い目が見えてしまうことなく、当該テープ状基材を上衣に固定したもの」であって、以下において説明する実施形態などにより好適に具体化することができる。
【0023】
以下、本発明を水着において具体化した上衣の一実施形態について説明する。
図1〜
図3に示すように、本発明の一実施形態の上衣10は、後身頃を構成する布11の左右両側に、それぞれ前身頃を構成する布12,13が、上衣10の裏側にて縫い合わされている。
これらの布11,12,13は、ポリエステル繊維を85%程度、ポリウレタン繊維を15%程度含み、上下方向及び左右方向に伸縮するストレッチ素材から構成されており、これらの布11,12,13同士の縫い代における上下方向の縫い合わせは、上下方向に伸縮できる縫い方である2本針オーバーロック縫いS1によって行われている。
上記のとおり構成されたこの実施形態の上衣10は、前記布11,12,13同士の上下方向の縫い代部分において、裏地を有していない。
【0024】
また、前記上衣10において、前記布11,12,13同士を縫い合わせている上下方向に延びる左右2ヶ所の縫い代、即ち、2本針オーバーロック縫いS1が施された部分には、2個の雄型の連結具1a,1bを有するテープ状基材1の長辺の一方が本縫いS3にて縫い付け固定されており、当該連結具1a,1bにて、下衣20の表側(外側)に2ヶ所縫い付け固定したテープ状基材2の2個の雌型の連結具2a,2bと着脱可能に連結できるようになっている。
即ち、上記実施形態の上衣10及び下衣20において、前記連結具1a,1b,2a,2bは、前記テープ状基材1,2の長辺方向に並んで固定された2個のスナップボタンからなるものであり、上衣10及び下衣20を連結する高さを変更可能となっている。
【0025】
なお、前記上衣10に固定された前記テープ状基材1の上側の短辺は、前記連結具1aと干渉しない裏側へ折り曲げられ、テープ状基材1の長辺の一方とともに前記縫い代部分に縫い付けられている。
従って、テープ状基材1の上端部が上衣を着ている人の肌に直接触れることで違和感を生じることを抑制することができる。
【0026】
さらに、前記上衣10において、前記テープ状基材1の下端部は、前記上衣10の裾を折り返した部分の内側に配置された後に左右方向(水平方向)に平2本針縫いS4にて縫い付けられている。
従って、前記テープ状基材1の下端部を収まり良く処理し、かつ、テープ状基材1を上衣10に対して強固に固定することができる。
なお、前記テープ状基材1,2は、ポリエステル製の細長い布片からなり、伸縮性をほとんど有していないものなどを適宜選択して使用できる。
【0027】
上記のように構成した本発明の上衣10においては、補助布帛を用いることなく、しかも、縫い目が上衣10の外側から見えてしまうことなく、形態安定性及び強度に優れた縫い代部分において、連結具1a,1bを備えたテープ状基材1を迅速に、しかも簡単かつ確実に取り付けることができ、下衣20との連結状態における一体性及び安定性に優れるとともに、製造工程の簡略化、デザイン性、製造コストなどの点で優れたものとすることができる。
【0028】
次に、上記にて説明した上衣10を縫製にて製造する方法について説明する。
まず、
図4に示すように、上衣10の後身頃を構成する布11の両側に、それぞれ前身頃を構成する布12,13を、上下方向(縫う方向)に伸縮できる縫い方である2本針オーバーロック縫いS1にて縫い合わせる。
従って、この実施形態の上衣10においては、上衣10の丈方向の伸縮性を害することがない。
【0029】
次いで、前記上衣10の裾の部分を左右方向(縫う方向)に伸縮できる縫い方である2本針オーバーロック縫いS2にて縫い付け、裾のほつれ止めを施す。
一方、前記上衣10の2本針オーバーロック縫いS1にて縫い合わせた上下方向の縫い代部分に、テープ状基材1の長辺部分(辺縁部)を本縫いS3にて縫い付け、上衣10の裾付近にてテープ状基材1を強固に固定する。
この際に、前記テープ状基材1の上側の短辺を、前記連結具1aと干渉しない裏側へ斜めに折り曲げ、テープ状基材1の長辺の一方とともに前記縫い代部分に縫い付ける。
【0030】
なお、上記裾のほつれ止めのための2本針オーバーロック縫いS2を行う作業と、テープ状基材1を固定する本縫いS3を行う作業は、どちらを先に行うことも可能である。
次に、前記上衣10の裾を裏側へ折り返した部分の内側に、前記テープ状基材1の下端部が配置された状態で、裾の下端部を縫う方向に伸縮できる縫い方である平2本針縫いS4にて水平方向に縫い付ける。
【0031】
上記のように、テープ状基材1を備えていない通常の上衣を縫製する作業を大きく変更することなく、簡単な縫製作業を加えるだけで、連結具1a,1bを有するテープ状基材1を上衣10の裏側に迅速かつ確実に固定することが可能となる。
【0032】
なお、
図2に示すように、下衣20の上部において、左右の腰と対応する部分には、前記上衣10に固定したテープ状基材1の連結具1a,1bと対応する連結具2a,2bを備えたテープ状基材2を上下方向に向けて縫い付け固定する。
【0033】
上記構成により、上衣10の連結具1a,1bと、下衣20の連結具2a,2bとを連結することで、上衣10と下衣20の位置がずれないようにしたり、上衣10の裾が捲れ上がることを防ぐことができる。
また、テープ状基材1の下側の連結具1bと、テープ状基材2の上側の連結具2aとを連結すれば、上衣10と下衣20を連結する位置を高くすることができる。
【0034】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、前記上衣10の裾を裏側へ折り返した部分の内側に、前記テープ状基材1の下端部を配置しないで、裾の下端部を水平方向に縫い付けて実施してもよい。
その場合、
図5に示すように、前記テープ状基材1の下側の短辺についても、前記連結具1bと干渉しない裏側へ折り曲げ、テープ状基材1の長辺の一方とともに布11と布12又は布13との縫い代部分に縫い付けるとよい。
【0035】
上記実施形態の上衣10においては、前記テープ状基材1の上側の短辺を前記連結具1aと干渉しない裏側へ折り曲げて、テープ状基材1の長辺の一方と同時に布11と布12又は布13との縫い代部分に縫い付けたが、テープ状基材1の長辺の一方を布11と布12又は布13との縫い代部分に縫い付けた後に、前記テープ状基材1の上側の短辺を前記連結具1aと干渉しない裏側へ折り曲げ、布11と布12又は布13との縫い代部分に縫い付けて実施してもよい。
或いは、予めテープ状基材1の短辺を前記連結具1aと干渉しない裏側へ斜めに折り曲げた状態で縫い付けたり接着したものを、布11,12,13同士の縫い代部分に縫い付けてもよい。
【0036】
なお、上記実施形態の上衣10においては、前記テープ状基材1の上側の短辺を前記連結具1aと干渉しない裏側へ折り曲げて、テープ状基材1の長辺の一方とともに布11と布12又は布13との縫い代部分に縫い付けたが、前記テープ状基材1の上側の短辺を前記連結具1aと干渉しない裏側へ折り曲げないで実施してもよい。
【0037】
なお、本発明の上衣において、上記実施形態におけるスナップボタンからなる連結具に代えて、テープ状基材の片面に面ファスナーからなる連結具を有するもの、又は、ボタンとボタン穴からなる連結具を有するものなどを用いて実施してもよい。
【0038】
本発明の上衣において、布11,12,13同士を縫い合わせている、上下方向に伸縮できる縫い方としては、上記実施形態における2本針オーバーロック縫いに代えて、他のオーバーロック縫い又は環縫いを用いてもよい。
また、本発明の上衣において、連結具を有するテープ状基材を縫い付けて固定する縫い代としては、上記実施形態における上下方向に代えて、上衣の左右方向の縫い代を縫い合わせている部分に、連結具を有するテープ状基材を縫い付けて実施してもよい。
さらに、上衣10及び下衣20の右側又は左側にのみテープ状基材1,2を固定して実施してもよく、テープ状基材1を上衣10に固定する手段としては、接着剤、金具又は樹脂製の固定具を用いるなど、縫い付け以外の手段を用いてもよい。
【0039】
また、本発明の上衣は、上記実施形態の上衣に限定されるものではなく、裏地を有する前身頃又は後身頃同士を縫い合わせる縫い代部分にテープ状基材を縫い付けて固定するようにした上衣において具体化して実施したり、上下方向又は左右方向にのみストレッチ性(伸縮性)を有する素材からなる上衣において具体化して実施したり、ストレッチ性を有さない素材からなる上衣において具体化して実施してもよい。
【0040】
さらに、本発明は、水着以外の、フィットネス用ウエア、ダンス用ウエア、ランニング用ウエア、ゴルフウエアなどにおいて具体化して実施してもよい。
【0041】
その他、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で、各部の構造、材質、形状、寸法、角度、設置位置、大きさ、数などが異なる上衣において具体化して実施してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明は、上衣と下衣の位置がずれないようにしたり、上衣の裾が捲れ上がることを防ぐために、下衣と連結するための連結具を備えた水着、フィットネス用ウエア、ダンス用ウエアなどの上衣として、産業上好適に利用可能である。
【符号の説明】
【0043】
1 テープ状基材
1a 連結具
1b 連結具
2 テープ状基材
2a 連結具
2b 連結具
10 上衣
11 後身頃を構成する布
12 前見頃を構成する布
13 前見頃を構成する布
20 下衣
S1 2本針オーバーロック縫い(上下方向に伸縮できる縫い方)
S2 2本針オーバーロック縫い(左右方向に伸縮できる縫い方)
S3 本縫い
S4 平2本針縫い(左右方向に伸縮できる縫い方)