(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1の勾配p1の絶対値と前記第2の勾配p2の絶対値のうち最小の絶対値が3.8に等しい値以下であり、好ましくは3以下である、請求項1に記載のイオン流を非対称に生成するための方法。
標準化後の前記近似電圧波形f(u)が、時間反転によって不変ではない波形、すなわちf(u)=f(τ−u)を満たす実定数τが存在しない波形であり、ここでuは前記標準化された近似電圧波形の標準時間推移変数である、
請求項1から6までのいずれか一項に記載のイオン流を非対称に生成するための方法。
前記標準化された近似電圧波形の、進行指数jによって識別される各最大電流について、前記最大電流の発生時刻t(max(j))を前記最大電流max(j)に続く最初の最小電流min(j)の発生時刻t(min(j))と隔てる期間が、前記最初の最小電流min(j)の直後の最初の最大電流max(j+1)の発生時刻t(max(j+1))を前記最初の最小電流min(j)の前記発生時刻t(min(j))と隔てる期間と異なる、
請求項1から7までのいずれかに記載のイオン流を非対称に生成するための方法。
容量結合プラズマリアクタ内の基板のためのプラズマ処理方法であって、前記プラズマリアクタが圧力P下でガスを収容しており、また高周波エネルギーを供給される第1の電極(24)、及び第2の電極(26)を含む、プラズマ処理方法において、
前記第1の電極と前記第2の電極のうち1つの電極の近傍で処理されるように基板を適位置にセットするステップと、
請求項1から13までのいずれか一項により定義されるとおりにイオン流を非対称に生成するステップと
を含むプラズマ処理方法。
前記ガス又は前記混合ガスの前記全圧P及び前記電圧波形ジェネレータ(32)を調節するための手段(16)が、請求項2から13までのいずれか一項によって定義されるステップの1つを適用するために構成される、
請求項17に記載のイオン流を非対称に生成するためのプラズマ処理システム。
【背景技術】
【0004】
現在、プラズマは産業、特にマイクロエレクトロニクス及び光起電力デバイスの分野で顕著であるが、テキスタイル産業及びプラスチック産業でも盛んに使用されている。
【0005】
プラズマ処理の方法は概して、蒸着の方法、エッチングの方法、及び基板表面改変の方法に分けることもできる。
【0006】
本発明はこれらのすべてのタイプのプラズマ蒸着及び、すべての産業に適用され得る。
【0007】
容量結合高周波プラズマは、半導体の製造又はソーラーパネルの大きな表面の生産などの広範な産業手法に使用される。2つの電極の間で放電が起こされ、第1の電極に高周波電圧が印加され、第2の電極が、リアクタのチャンバ壁と同じ電位の、すなわち接地されたカウンター電極を形成する。
【0008】
幾何学的に非対称、すなわち表面の異なる2つの電極を有するプラズマリアクタ・チャンバを使用すると、電極上のイオン流を変化させることができるが、イオンのエネルギーの変化が伴う。さらに、この性質は産業用リアクタへ向けた移行の過程で失われることが多く、その理由は、リアクタが大型化することにより構成が幾何学的に対称になるからである。
【0009】
この問題に対処するために、プラズマの通電源として複数の高周波高調波のコヒーレント加算を使用する。
【0010】
よって、2008年8月、Journal of Physics D:Applied Physics、Vol.41、no.16、165202頁に発表されたB.G.Heil、U.Czanetzki、R.P.Brinkmann及びT.Mussenbrockの「On the possibility of making a geometrically symmetric RF−CCP discharge electrically asymmetric」と題する論文に、2つの高周波高調波のコヒーレント加算として非正弦波を使用した結果の電気的非対称効果(EAE:electrical asymmetry effect)について記載されている。
【0011】
発明者が上記の著者である欧州特許出願第2249372A1号に、プラズマに暴露された電極シートの電界間に非対称に振幅を電気誘導するための方法が記載されている。イオンのエネルギーは、少なくとも2つの高調波周波数成分を有する高周波電圧を、両方の周波数成分間の位相を制御しながら印加することにより、片方の電極に対して自己バイアス電圧を発生させることによって調節される。周波数の高い方の成分のうち少なくとも1つは、最も周波数の低い成分の偶数倍である。よって、この方法により、両方の周波数成分間の位相の調節を通してイオンのエネルギーを調節することによって、サイズの大きい基板のプラズマ面を処理することができる。
【0012】
上記のどちらの文献でも、位相の調節を通して波形が選択されるが、これは電極に到着するイオンのエネルギーを変調するためであり、ある電極上の流れを他の電極との関係においてに変調するために選択されるのではない。
【0013】
プラズマの高周波通電のためには、台形の電圧波形の使用もまた知られている。
【0014】
欧州特許出願第2407998A1号に、基板を収容する容量結合プラズマリアクタの少なくとも1つの電極を通電(energize)するための方法が記載されている。電極は、台形波形を有する高周波電圧を印加することによって通電される。プラズマの密度、並びに基板との関係におけるイオン及び中性化学種の流量は、台形波形の立ち上がりエッジの期間及び/又は立ち下がりエッジの期間を調節することにより制御される。基板付近のイオン・エネルギーの分布関数は、台形波形の振幅及び上側平坦部と下側平坦部の間の相対期間を調節することにより制御されてもよい。
【0015】
欧州特許出願第2407998A1号には、各電極上のイオン流を制御することの可能性については記載されていない。この文献の中には、上側平坦部及び下側平坦部が抑制され、立ち上がりエッジと立ち下がりエッジの期間が異なる、制限された台形波の波形を使用することの利益について記載又は示唆された部分はない。
【0016】
最終的に、上側平坦部及び下側平坦部が抑制され、立ち上がりエッジと立ち下がりエッジの期間が異なる、制限された台形波の波形の使用が既に提案されていることに留意すべきである。
【0017】
例えば、米国特許第6162709号で、この提案がなされている。
【0018】
しかし、この文献では、この方法は電極のイオン照射を操作するために行われるものであり、電極上にイオン流を非対称に生成するために行われるのではない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
技術的な課題は、所与の幾何学形状を有する容量結合高周波プラズマリアクタ内のイオン流を、対称性及び非対称性に関して恣意的に制御するための方法を提案することであり、この方法はプラズマに注入される電力に無関係に、ある電極上のイオン流を他方の電極との関係において、又はある化学種グループのイオン流を他との関係において相対的に変調できるようにする。
【課題を解決するための手段】
【0022】
この目標のために、本発明の目的は、容量結合高周波プラズマリアクタ内でイオン流を非対称に生成する方法であり、このプラズマリアクタは1のガス又は混合ガスを全圧P下で収容し、第1の電極及び第2の電極(26)を含み、第1の電極は高周波エネルギーを供給される。
【0023】
この方法は、波形の基本周期Tの基本波に相当する下側周波数を有する周期高周波電圧波形V(t)で第1の電極に通電するステップを有し、この方法は、
uを基本周期Tに対する時間tの比率として定義された標準時間として、時間と振幅で区間[−1;1]に標準化された電圧波形f(u)が、標準化された鋸歯状高周波関数f
SAW(u)の一定の近似度の近似波形であることと、
標準化された鋸歯状高周波関数が、第1の勾配p1を有する標準化された電圧の時間推移の第1の線形部分、及びその直後に続く第2の勾配p2を有する標準化された電圧の時間推移の第2の線形部分からなる基本周期Tの周期パターンを有し、第1及び第2の勾配の振幅が異なっていて符号が逆であり、パターンの極小点と極大点が同じ単位振幅を有することと、
近似波形の近似度及びガス又は混合ガスの全圧Pが、第1の電極におけるイオン流と第2の電極におけるイオン流の間にイオン流の非対称な外観を生じさせるために十分な高さであることと
を特徴とする。
【0024】
特定の実施例によれば、イオン流を非対称に生成するための方法は、下記の特質のうち1つ又は複数を、単独又は組み合わせとして含む。
1)第1の勾配p1の絶対値と第2の勾配p2の絶対値のうち最小の絶対値が3.8に等しい値以下であり、好ましくは3以下である。
2)周期高周波電圧波形V(t)が微分可能であり、1以上の整数pをパラメータとして下記の式により定義される勾配非対称性係数Fによって測られる勾配非対称性を有し、
【数1】
ここで、V’(t)はその波形の時刻tにおける微分係数を示し、
F(p)は、ある閾値以上であり、閾値が整数pに依存し、pが2に等しいときは0.1に等しい。
3)ガス又は混合ガスの全圧Pは閾値圧力値P
s(gas)以上であり、この閾値圧力値P
s(gas)は、ガスの性質によって異なるものであり、標準化された波形が、最も緩い勾配の絶対値が2.5に等しいか波形V(t)の勾配非対称性係数F(2)が0.1以上である標準化された鋸歯状関数であるときに、それより上の圧力では前記第1の電極でのイオン流と前記第2の電極でのイオン流の間にイオン流の非対称性が明確に出現する圧力として定義されるものである。
4)ガスが、基板上に材料を蒸着させるため、基板をエッチングするため、及び基板を改変するために適した、アルゴン、二水素、O
2、Cl
2、HBr、CF
4、C
4F
8、CHF
3、CO、SiH
4、SiCl
4、SiF
4、CH
4、C
2H
6及び同一構造の炭素鎖、SF
6、Si
2H
6、SiH
xF
4−x、GeH
4、GeF
4、GeH
xF
4−x、CCl
4、CCl
3F、CCl
2F
2、CF
3Cl、C
2F
6、C
3F
8、C
5F
8、C
5F
12、CHF
3、BCl
3により構成されるセットに含まれ、ガスがアルゴンである場合は圧力閾値が100mTorrに等しい。
5)近似波形の近似度が標準化された近似電圧波形f(u)と標準化された鋸歯状高周波関数f
saw(u)を隔てる関数距離
dの逆数に等しく、その関数距離が、ルベーグの関数距離L
pによって構成されるセットに含まれており、
関数距離dが標準化近似波形と標準化された鋸歯状高周波関数を隔てる関数距離d∞であるときに、近似レベルが1.25以上、好ましくは2以上であり、関数距離d∞が、uをu=ωt/2πによって定義される標準変数として、解析式
【数2】
により定義される。
6)uを標準化された近似電圧波形の標準時間推移変数として、標準化後の近似電圧波形f(u)が、時間反転によって不変ではない波形、すなわち、f(u)=f(τ−u)を満たす実定数τが存在しない波形である。
7)標準化された近似電圧波形の、進行指数jによって識別される各最大電流について、最大電流の発生時刻t(max(j))を最大電流ma(j)に続く最初の最小電流min(j)の発生時刻t(min(j))と隔てる期間が、最初の最小電流min(j)の直後の最初の最大電流max(j+1)の発生時刻t(max(j+1))を最初の最小電流min(j)の発生時刻t(min(j))と隔てる期間と異なる。
8)標準化前の近似波形が、nを整数として最初の
n個の高調波周波数に制限された、鋸歯状関数に近似する切り捨て級数展開に等しく、下記の式で表され、
【数3】
ここで、V
0は所望のピーク電圧V
ppを得るために調節される電圧係数であり、級数展開の最初の高調波周波数の数
nが2以上、ωが基本周波数に対応する角周波数、
mが0と1の間にある実数パラメータであり、区間[0.5−δ4,0.5+δ4]に属する値
mが除外され、δ4が0.1以上、好ましくは0.2以上である。
9)標準化前の近似波形が、nを整数として最初の
n個の高調波周波数に制限された鋸歯状関数に近似する切り捨て級数展開に等しく、下記の式で表され、
【数4】
ここで、V
0が所望のピーク電圧V
ppを得るために調節される電圧係数であり、級数展開の始めの高調波周波数の数
nが2以上、ωが基本周波数に対応する角周波数であり、
δ3をπ/4以下、好ましくはπ/6以下、さらに好ましくはπ/8以下として、Φが区間
【数5】
と
【数6】
との和集合からなる高調波への共通位相シフトである。
10)標準化前の近似波形が、nを整数として最初の
n個の高調波周波数に制限された、鋸歯状関数に近似する切り捨て級数展開に等しく、下記の式で表され、
【数7】
ここで、V
0が所望のピーク電圧V
ppを得るために調節される電圧係数であり、級数展開の始めの高調波周波数の数
nが2以上、ωが基本周波数に対応する角周波数であり、
δ2をπ/4以下、好ましくはπ/6以下、さらに好ましくはπ/8以下として、Φが区間
【数8】
と
【数9】
との和集合からなる高調波への共通位相シフトである。
11)標準化前の近似波形が、nを整数として最初の
n個の高調波周波数に制限された、鋸歯状関数に近似する切り捨て級数展開に等しく、高調波の数が3以上、好ましくは4に等しい。
12)第1及び第2の勾配p1、p2、並びに/又はパラメータ
mが、エネルギーを供給される第1の電極で所望の電圧波形を得るために使用されるフィードバック・ループによって調節される。
【0025】
本発明の目的は、容量結合プラズマクラスタ内での基板のプラズマ処理の方法でもあり、ここで、プラズマリアクタは圧力P下でガスを収容しており、第1の電極及び第2の電極を含み、第1の電極は高周波エネルギーを供給され、この方法は、第1の電極と第2の電極のうち1つの電極の近傍で処理されるように基板を適位置にセットするステップと、前述したようにイオン流を非対称に生成するステップとを含む。
【0026】
特定の実施例によれば、基板のプラズマ処理の方法は、下記の特質のうち1つ又は複数を、単独又は組み合わせとして含む。
使用されるガスが、高反応性か、あまり高反応性ではないかのどちらかの、いくつかの化学種を生成する可能性があり、前記化学種が前記基板の処理に有益である場合は、前記反応性化学種の生成を電極に近づけるように移動させるように、また前記化学種の反応性があまり高くなく、且つ前記基板の処理に有害に働く場合は、前記化学種を遠ざけるように移動させるように、通電電圧の波形が調整される。
プラズマ処理方法が、基板上への蒸着のためのプラズマ法、基板をエッチングするためのプラズマ法、及び基板の表面を改変するためのプラズマ法により構成されるセットに含まれる。
【0027】
本発明の目的はまた、イオン流に非対称性を生成するためのプラズマ処理システムでもあり、このシステムは、
1つのガス又は混合ガスを全圧P下で収容しており、第1の電極及び第2の電極を含み、第1の電極が高周波エネルギーを供給される、容量結合プラズマリアクタと、
ガス又は混合ガスの全圧Pを調節するための手段と、
基本周期Tの波形の基本高調波に相当する下側周波数を有する周期高周波電圧波形(Vt)を生成するために、結合容量を通して第1の電極に接続された電圧波形ジェネレータとを有する。
【0028】
このプラズマ処理システムは、
uを前記基本周期Tに対する時間tの比率として定義された標準時間として、時間と振幅で区間[−1;1]に標準化された標準化電圧波形f(u)が、標準化された鋸歯状高周波関数f
SAW(u)の一定の近似度の近似波形であることと、
標準化された鋸歯状高周波関数f
SAW(u)が、第1の勾配p1を有する標準化された電圧の時間推移の第1の線形部分及びその直後に続く第2の勾配p2を有する標準化された電圧の時間推移の第2の線形部分からなる基本周期Tの周期パターンを有し、第1及び第2の勾配の振幅が異なっていて符号が逆であり、前記パターンの極小点と極大点が同じ単位振幅を有することと、
近似波形の近似度及びガス又は混合ガスの全圧Pが、第1の電極におけるイオン流と第2の電極におけるイオン流の間にイオン流の非対称な外観を生じさせるために十分な高さであることと
を特徴とする。
【0029】
特定の実施例によれば、このシステムは、下記の特質のうち1つ又は複数を、単独又は組み合わせとして含む。
ガス又は混合ガスの全圧P及び電圧波形ジェネレータを調節するための手段が、上記に定義されるステップの1つを適用するために構成されている。
第2の電極が接地されているか、又は浮遊電位にセットされている。
【0030】
本発明は、もっぱら実例として与えられ、図面を参照しながら下記に記載されるいくつかの実施例の説明を読むことにより、より良く理解される。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本発明及び
図1によれば、イオン流を非対称に生成するためのプラズマ処理システム2が、ガス6又は混合ガスを収容する容量結合高周波プラズマリアクタ4CCP、処理対象の基板8、プラズマリアクタ4のためのプログラマブルな通電手段10、リアクタ4のインレット14に注入(inject)される電圧波形を測定するための手段12、プラズマに含まれるガス又は混合ガスの全圧Pを調節するための手段16、基板8の表面状態の処理プロセスに従う手段18、及び電子コンピュータ20を有する。
【0033】
プラズマリアクタ4は処理チャンバ22、第1の高周波電圧波で高周波エネルギーを供給される第1の電極24、及び、この実例では28に接地され、電力供給源をもたない第2の電極26を有する。
【0034】
或いは、第2の電極は浮遊電位に設定されるか、又は第2の高周波電圧波でバイアスされる。第2の電極がバイアスされる場合は、第1の電極上の第1の高周波電圧波は基準として外部量を仮定し、これは好ましくは第2の電極のものと同じである。
【0035】
基板8にはプラズマ処理が施されることが意図され、この実例では説明として、接地された、又は電力供給源のない第2の電極26上に置かれるものとして示されている。或いは、処理対象の基板8は、高周波エネルギーを供給される第1の電極24の近傍に配置される。実際には、基板8の配置の選択は、促進又は回避を目指す化学反応次第である。
【0036】
プログラマブルな通電手段10は、直列接続されたプログラマブル電圧波形ジェネレータ32、高周波電力増幅器34及び結合容量36を有し、結合容量36はリアクタ4の第1の電極24と高周波電力増幅器34の出力の間に接続されている。波形ジェネレータ32は入力端子38を含み、この端子は、生成すべき波形の特性パラメータをコンピュータ20から受け取るためにコンピュータ20に接続されている。
【0037】
リアクタ4のインレット14に注入される電圧波形を測定するための手段12は、第1の電極24に注入される通電電圧を測定するためにリアクタ4のインレット14に接続された高電圧(HV)プローブ42及び、第1の電極24で測定された通電電圧を瞬間ごとに入力端子46で受け取るためにプローブから出ているオシロスコープ44を有する。オシロスコープ44は出力端子50を含み、この端子は、インレット14で測定された通電波形の時間推移信号をコンピュータ20に配信するためにコンピュータ20に接続されている。
【0038】
電子コンピュータ20は第1の出力端子52を含み、この端子は、生成する波形の特性パラメータとしてコマンドを波形ジェネレータ32に与えるために、波形ジェネレータ32に入力端子38を通して接続されている。コンピュータ20は、測定された波形を分析するために、オシロスコープ44によって提供される、測定された通電電圧の時間的推移信号を受け取るように構成されており、分析は、例えば、測定された波形を適切な信号に基づいて分解し、次に測定された波形と分析結果の波形を本発明による第1の電極24における所望の波形を使用して比較し、プログラマブルな波形ジェネレータ32によって生成された波形の特性パラメータを改変することにより、測定された波形を比較結果に応じて補正することによって行われる。
【0039】
よって、第1の電極24上の所望の波形は、直列接続された一連の要素、すなわち波形ジェネレータ32、高周波電力増幅器34、結合容量36、HVプローブ42、オシロスコープ44及びコンピュータ20によって作られたフィードバック・ループ54を使用して生成される。
【0040】
コンピュータ20はまた、この実例では第2の出力端子56も含み、この端子は、リアクタ4に収容されたガス6の所望の圧力設定値を提供する目的でガスの圧力Pを調節するための手段16の入力に結合されている。
【0041】
或いは、リアクタ4に収容されたガス6又は混合ガスの所望の全圧設定値は手動で提供される。
【0042】
プログラマブルな電圧波形ジェネレータ32は、その波形の基本高調波に相当する下側周波数、V
maxとして示される正の最大振幅、及びV
minとして示される負の最小振幅を有する高周波(RF)電圧波形V(t)を生成するように構成される。これらの振幅の絶対値V
max及び−V
minは、この実例では等しいと仮定されるが、或いは、それらは異なっていてもよい。
【0043】
振幅と時間で標準化され、f(u)として示される電圧波形は、波形V(t)から変換によって定められてもよく、その変換ではu=t/Tで、V
maxとV
minにそれぞれ対応するf
maxとf
minがf
max=−f
min=1である。
【0044】
振幅と時間で標準化され、f(u)として示される電圧波形は次の式によって定義される。
【0046】
振幅と時間で標準化される電圧波形f(u)は、振幅と時間で標準化された鋸歯状高周波関数f
SAW(u)の、ある近似度での近似波形である。
【0047】
標準化された鋸歯状高周波関数は、第1の勾配p1を有する標準化された電圧の時間推移の第1の線形部分及びその直後に続く第2の勾配p2を有する標準化された電圧の時間推移の第2の線形部分からなる連続基本周期Tの周期パターンを有し、第1及び第2の勾配p1、p2の大きさが異なっていて符号が逆であり、パターンの極小点と極大点は同じ単位振幅を有する。
【0048】
近似波形の近似度及びガスの圧力Pは、第1の電極24におけるイオン流と第2の電極26におけるイオン流の間にイオン流の非対称な外観を生じさせるために十分な大きさであるように選択される。
【0049】
周期的な高周波電圧波形V(t)は微分可能であり、1以上の整数pをパラメータとして下記の式により定義される勾配非対称性係数Fによって測られる勾配非対称性を有する。
【0051】
V’(t)は時刻tにおけるその波形の微分係数を示す。
【0052】
F(p)の分子は波形V(t)の周期パターンにおける正の勾配の第1の平均m+(p)と波形V(t)の同じ周期パターンにおける負の勾配の第2の平均m−(p)の間の差を表す。
【0053】
F(p)の分母は周期波形の微分係数のノルムの大きさを表す。
【0054】
この波形は、F(p)が整数pに応じて決まる閾値以上であるときに第1と第2の電極上でイオン流の非対称効果を観察するために十分な、勾配非対称性を有する。
【0055】
好ましくは、pは2に設定される。この場合、波形は、F(2)が0.1に等しい閾値以上であるときに第1と第2の電極上でイオン流の非対称効果を観察するために十分な、勾配非対称性を有する。
【0056】
波形が明らかな非対称性を有するための必要不十分条件のうち、下記の2つの必要条件について言及すべきである。
【0057】
第1の条件に従えば、uを標準化された近似電圧波形の標準時間推移変数として、標準化後の近似電圧波形f(u)は、時間反転によって不変ではない波形、すなわち、f(u)=f(τ−u)を満たす実定数τが存在しない波形でなければならない。
【0058】
第2の条件に従えば、標準化された近似電圧波形の、進行指数jによって識別される各最大電流について、最大電流の発生時刻t(max(j))を最大電流max(j)に続く最初の最小電流min(j)の発生時刻t(min(j))と隔てる期間は、最初の最小電流min(j)の直後の最初の最大電流max(j+1)の発生時刻t(max(j+1))を最初の最小電流min(j)の前記発生時刻t(min(j))と隔てる期間と異なる。
【0059】
この両方の条件は、整数pがどのような値であっても勾配非対称性係数F(p)がゼロではないときに満たされる。
【0060】
また、この両方の条件は、標準化された波形が、逆の符号の勾配p1とp2が異なる絶対値を有する鋸歯状関数に十分近いときに満たされる。
【0061】
図2及び本発明の第1の実施例によれば、第1の曲線102は第1の波形をもつ標準化された通電電圧V
AC(t)の時間的推移を表し、標準化前の通電電圧V
AC(t)は、π/2に等しいΦの特定の値について式
【数12】
を満たす。
【0062】
V
0は電圧係数を指し、ωは角周波数であり、この実例では13.56MHzの周波数frに対応する(ω=2πfr)。この実例ではV
0は、200Vに等しい所望のピーク間電圧V
ppを提供するように設定される。
【0063】
第2の曲線104は、第2の波形をもつ標準化された通電電圧V
AC(t)の時間的推移を表し、標準化前の通電電圧V
AC(t)は、3π/2に等しいΦの値について式
【数13】
を満たす。
【0064】
この両方の波形について、電圧V
AC(t)の最小値に対する最大値の比率に少なくとも等しい係数αを使用して推定される波形の振幅の非対称性は、1に等しい。よって、この場合、振幅の影響からは非対称性は生じない。
【0065】
第1の波形102は、ある期間にわたり、約2.5に等しい正の勾配p1をもつ第1の傾斜に全体として近い第1の信号上昇部分及び、約−10に等しい第2の負の勾配p2をもつ第2の傾斜に全体として近い第2の信号低下部分を有する。
【0066】
同様に、第2の波形104は、ある期間にわたり、約−2.5に等しい負の勾配をもつ第1の傾斜に全体として近い第1信号低下部分及び、約10に等しい第2の正の勾配をもつ第2の傾斜に全体として近い第2の信号上昇部分を有する。
【0067】
よって、本発明の第1の実施例の第1及び第2の電圧波形は、それ自体をそれぞれ、一定の近似度をもつ第1の高周波鋸歯状関数及び第2の高周波鋸歯状関数の近似波形と考えてもよく、それぞれ振幅で標準化された第1及び第2の高周波鋸歯状関数の傾斜勾配(p1;p2)は、(2.5;−10)と(−2.5;10)にそれぞれ等しい。
【0068】
図3によれば、第3の曲線112は、プラズマの観測点とエネルギーを供給される第1の電極を隔てる分離距離
xに対応したプラズマの時間平均イオン化率〈K
iz〉のPIC(Particle in Cell:セル内粒子)シミュレーションによるシミュレーションを使用して計算された、空間プロファイルを示す図である。
【0069】
本明細書では、プロファイルは、ガスが圧力400mTorr下のアルゴンであり、波形が
図2のΦ=π/2の波形であり、ピーク間電圧Vppが200Vに等しいプラズマ構成について計算される。
【0070】
通電信号が、高エネルギー電子の密度の非対称な空間分布をプラズマ内に生成した。すなわち、1つの電極、ここではRFエネルギーを供給される第1の電極24上の高エネルギー電子の密度が、他方の電極、ここでは接地された第2の電極26上の密度よりも高くなっている。これにより、ここではアルゴンである、注入されたガスによって異なる化学種の生成率もまた、
図3に示される非対称な空間分布を有し、ここでは、プラズマの時間平均イオン化率〈K
iz〉は、第1の電極24では第2の電極26で観測される値の2倍の大きさである。
【0071】
これにより、例えば、ある材料の蒸着又はエッチングを高速化できるように、ここでは第1の電極24である1つの電極に到着する流量を増加させる可能性がある。この、第1の電極24での流量の増加は、イオンのエネルギーを増加させることなく達成される。
【0072】
有利には、他方の電極、ここでは第2の電極26では、イオンの流量はより少ない。
【0073】
そのような効果により、第1の電極上で蒸着若しくはエッチング、又は、基板の目的の表面の改変をより迅速に行うことにより、また、それによって、蒸着若しくはエッチング又は目的の表面の改変に要する時間を削減することにより、或いは、第2の電極上での蒸着若しくはエッチング又は目的の表面の改変を減少させることにより、また、それによって第2の電極の洗浄又は交換の保守時間を削減することにより、基板のプラズマ処理プロセスの歩留まりが上がる可能性が得られる。
【0074】
この勾配非対称性効果を観測するには、ガスの圧力が十分であること、すなわち、ここではアルゴンの圧力が、100mTorr以上であることが必要なことに留意されたい。
【0075】
ここで、第1の波形を形成する高調波の数は4に等しく、これは鋸歯状信号を近似する能力と通電波形の生成の簡単さの妥協点として適当である。
【0076】
図4によれば、第1の曲線122は、使用されるガスが400mTorrに等しい圧力P下のアルゴンであり、印加される波形が4つの高調波からなり、ピーク間電圧Vppが200Vに等しく、式
【数14】
を満たすプラズマ構成でのシミュレーションによって計算された、標準化された自己バイアス電圧η/Vppが示す、区間[0,2]の標準化シフト角Φ(/π)に対応した推移を示す。
【0077】
第2の曲線124は、同じプラズマ構成での、電極でのイオン流の比率の、標準化シフト角Φ(/π)に対応した推移を示す。
【0078】
自己バイアス電圧ηは、位相シフトΦ=π/2では正で、
図2の第1の波形に対応し、Φ=3π/2では負で、
図2の第2の波形に対応する。
【0079】
電極におけるイオン流の比率|Γ
ip/Γ
ig|は、RFエネルギーを供給される第1の電極に到着するイオンの流量Γ
ipの接地された第2の電極26に到着するイオンの流量Γ
igに対する比率の絶対値として定義され、Φ=π/2では単位元より大きく、Φ=3π/2では単位元より小さい。これは、これらの顕著な例における勾配の非対称効果を示している。
【0080】
これらの波形の両方について、このようにして最小のイオン衝撃エネルギーIBE(Ion Bombardment Energy)に対する最大のイオン流量を得る。これらの最適解はΦ=π/2の場合はエネルギーを供給される第1の電極24に対応し、Φ=3π/2の場合は接地された第2の電極26に対応する。
【0081】
本発明の第2の実施例によれば、曲線122及び124の両方で、
図2に示される両方の関数のクラスを第2の関数項にまで拡大して、それらの2つの同じ非対称鋸歯状関数を
図2の第1及び第2の波形に関連する勾配とは異なる勾配に近似することができる。本発明による電圧波形の第2の関数項は、Φ∈[π/2−δ1,π/2+δ1]∪[3π/2−δ1,3π/2+δ1]として、式
【数15】
を満たす。
【0082】
δ1は、π/4以下、好ましくはπ/6以下、より好ましくはπ/8以下であるように選択される。
【0083】
図5によれば、それぞれ20mTorr、100mTorr、200mTorr、400mTorr、800mTorrに等しいガス圧の値をパラメータとする第1、第2、第3、第4、第5の曲線132、134、136、138、140は、ガスがアルゴンであり、波形が
図2のΦ=π/2の波形であり、ピーク間電圧Vppが200Vに等しいプラズマ構成での、プラズマの観測点とエネルギーを供給される電極24を隔てる分離距離
xに対するプラズマの時間平均イオン化率〈K
iz〉の推移の曲線を示す。
【0084】
第1の曲線132は、20mTorrに等しい最小の圧力Pでは、イオン化がプラズマの中核で発生し、第1の電極と第2の電極を隔てる中心軸の周囲で対象の輪郭を有することを示す。
【0085】
Pが上昇すると、電極の近傍でイオン化率の上昇が起こり、第1の電極24の側と第2の電極26の側の間に鮮明な非対称性が出現する。
【0086】
図6によれば、第1の曲線142及び第2の曲線144は、ガスが圧力400mTorr下のアルゴンであり、波形が
図2のΦ=π/2のものであり、ピーク間電圧Vppが200Vに等しいプラズマ構成での、エネルギーを供給される電極に向けたシースの両側の電圧の差と接地された電極に向けたシースの両側の電圧の差の比率ΔV
p/ΔV
g及び、それらの電極におけるイオン流の比率|Γ
ip/Γ
ig|の、区間[1mTorr,800mTorr]を示すガスの圧力に対応した、それぞれの推移を示す。
【0087】
図6に示されるように、非常に低い圧力、ここではP=20mTorrのアルゴンガスでは、非対称性は現れない。イオン流の最大衝撃エネルギーIBEに関して、非対称性の増加は圧力Pの増加に線形に対応しないことに留意されたい。非対称性は、100mTorrから検出可能で、約200mTorrで急激に増加し、その後、緩やかに増加する。
【0088】
図5及び
図6によれば、ガスがアルゴンで、波形が
図2の波形のうちΦ=π/2のものである場合に、圧力は、ガスの圧力Pが100mTorr以上のときにイオン流の非対称性を出現させるために十分であるように推定される。波形が
図2の第1の波形に応じた鋸歯状の波形である場合、この閾値圧力値はほぼ同一である。
【0089】
一般に、圧力Pが閾値P
s(gas)以上であるときに、イオン流を非対称に生成するために十分であるようにガス圧力Pが推定され、閾値P
s(gas)は、ガスの性質によって異なるものであり、標準化された通電波形が緩勾配の絶対値が2.5に等しい標準化された鋸歯状関数であるときに、それより上の圧力では第1の電極でのイオン流と第2の電極でのイオン流の間にイオン流の非対称性が明確に出現する圧力として定義されるものである。ガスの性質によって異なる閾値圧力値P
s(gas)は、標準化された通電波形が、Φ=π/2として式
【数16】
で表されるとき、又は波形の勾配非対称性係数F(2)が0.1に等しいときに、それより高い圧力では第1の電極でのイオン流と第2の電極でのイオン流の間にイオン流の非対称性が明確に出現する圧力として定義されてもよい。
【0090】
図7aによれば、第1、第2、第3、第4、第5の空間プロファイル152、154、156、158、160は、プラズマの通電波形を形成する高調波の個数である代替可能な1から5の数
nをそれぞれパラメータとして、使用されるガスが400mTorrに等しい圧力下のアルゴンであり、適用される波形がn個の高調波からなり、Φ=π/2として式
【数17】
を満たし、ピーク間電圧Vppが200Vに等しいプラズマ構成での、電子加熱率の時間平均〈S
e〉の距離
xに対応した変動を示す。
【0091】
図7bによれば、第1、第2、第3、第4、第5の空間プロファイル162、164、166、168、170は、プラズマの通電波形を形成する高調波の個数である代替可能な1から5の数
nをそれぞれパラメータとして、
図7aと同じプラズマ構成での、プラズマのイオン化率の時間平均〈K
iz〉の距離
xに対応した変動を示す。
【0092】
図7aによれば、高調波の数
nが増加すると、〈S
e〉の第1の極大点はRFエネルギーを提供される第1の電極に近づくが、第2の極大点は接地された第2の電極26の方向にはほとんど移動しない。これは、エネルギーを供給される第1の電極24に向けて配置されたシースでのみ、シースの厚みが減少することを意味する。
【0093】
図7aでは、電極の付近の〈S
e〉の極大点の振幅に見られる差は、わずかなものに過ぎない。
【0094】
それに対して、
図7bでは、イオン化率の時間平均〈K
iz〉のプロファイル内の2つの極大点の間に鮮明な差が見られる。
nが4以上の場合、エネルギーを供給される第1の電極24の付近の〈K
iz〉の極大点の値は、接地された第2の電極26の付近の〈K
iz〉の極大点の値の少なくとも2倍よりも大きい。
【0095】
nが2以上のときに〈K
iz〉のプロファイルに現れる非対称性の結果、
図8に示されるように、イオン流は1つの電極と他方の電極の間で異なる。
【0096】
図8によれば、1から5まで変化する高調波の数
nに関連する曲線172、174、176、178、180によって示されるイオン流はそれぞれ、接地された第2の電極26で観測されるイオン流との関係において標準化される。第1の電極24でのイオン流は、接地された第2の電極26でのイオン流を40%超えることもある。実際には、高調波の数
nが1から5まで増えるとき、接地された第2の電極でもわずかにイオン流が増えるが、同時に、エネルギーを与えられる第1の電極でのイオン流はその流れの2倍になる。
【0097】
本発明の第3の実施例によれば、Φ=π/2として
【数18】
と表される電圧波形の式は、この式でΦ=π/2の値に限定して表される関数のクラスを第3の関数項にまで広げて、同じ2つの非対称鋸歯状関数を、
図2の第1及び第2の波形に関連するものよりも常に傾斜させて近似することができる。本発明による電圧波形の第3の関数項は、Φ∈[π/2−δ2,π/2+δ2]∪[3π/2−δ2,3π/2+δ2]として、式
【数19】
を満たす。
【0098】
δ2は、π/4以下、好ましくはπ/6以下、より好ましくはπ/8以下であるように選択される。
【0099】
図9によれば、
図2の第1の最適化されていない波形102を最適化した波形182は、第1の最適化されていない波形102の最も急峻な2つの立ち上がりエッジを最小化することによって、最適化されていない波形102に対応する鋸歯状関数184により近づけられている。最適化された波形182の式は、
【数20】
と表される。
【0100】
ここでV
0は電圧係数を指し、ωは角周波数であり、この実例では13.56MHzの周波数fに対応する(ω=2πf)。この実例ではV
0は、200Vに等しい所望のピーク間電圧V
ppを得るように設定される。
【0101】
第3の実施例で行ったのと同様に、本発明の第4の実施例によれば、最適化された波形182の式は、Φ=π/2の値に限定し、高調波の数
nを4に限定して式
【数21】
によって表される関数のクラスを第4の関数項まで広げて、同じ2つの非対称鋸歯状関数を、
図2の第1及び第2の波形に関連するものよりも常に傾斜させて近似する。本発明による電圧波形の第4の関数項は、式
【数22】
を満たす。
【0102】
、
ここで
nは2以上の高調波の個数であり、ΦはΦ∈[π/2−δ3,π/2+δ3]∪[3π/2−δ3,3π/2+δ3]となるような高調波中の一様な位相シフト角を指す。
【0103】
δ3は、π/4以下、好ましくはπ/6以下、より好ましくはπ/8以下であるように選択される
【0104】
本発明の第5の波形の実施例によれば、式
【数23】
によって定義される波形のセットを使用することによって放電の非対称性を継続的に変化させることができる。
【0105】
ここで
nは高調波の数、
mは、無限個の周波数で波形が構成されるときに、ある期間での小数
mの位置に波形の極小点がくるようなパラメータである。
mが0に近づくと、波形は、ある最適化された様式で、n次高調波で切り詰められた上り鋸歯状波形(Φ=π/2)に近づく。
mが1に近づくと、波形は
図9に示される最適化された様式で、
n次で切り詰められた下り鋸歯状波形(Φ=3π/2)、つまり上り勾配よりも緩やかな下り勾配を有する波形に近づく。n次高調波で切り詰められた対称形の三角形に近いかその三角形である波形に対応する、0.5に近いか0.5に等しい
mの値は除去する必要がある。よって、mは次式を満たす必要がある。
Φ∈[0;0.5−δ4]∪[0.5+δ4;1]
【0106】
δ4は、0.1以上であるように、好ましくは0.2以上であるように選択される。
【0107】
図10によれば、0から1の間で変化するパラメータ
mの11個の異なる値をパラメータとする11個の波形が、高調波
nの個数を4として示されている。この場合、標準化前の波形の通電電圧V
AC(t)は次式を満たす。
【0109】
除去すべき
mの値の区間[0.5−,0.5+]が
図10に描かれ、参照番号202で示されている。
【0110】
図11は、ガスが400mTorrに等しい圧力下にあるアルゴンで、波形が、高調波の個数が4に等しく、ピーク間電圧Vppが200Vに等しいとしてパラメータmによって変調された波形であるプラズマ構成で、
mの変化が放電の非対称性に及ぼす影響を示す。
【0111】
第1の曲線212は、給電された第1の電極24に近いシースを通した電圧と、接地された第2の電圧26に向けたシースを通した電圧の電圧比率ΔV
p/ΔV
gの時間に対応した変化を、パラメータmの関数として示す。
【0112】
第2の曲線214は、同じ電極でのイオン流の比率の絶対値|Γ
ip/Γ
ig|の時間に対応した変化を示す。
【0113】
予想されるように、m’=1−mの効果は
mの効果とは逆である。さらに、mが、0.5より低い値又は高い値を通って0.5に近づくと、非対称性が減少する。よって、第5の実施例の波形の式に記載される解析式は、放電の非対称性を継続的に変化させるための手段である。
【0114】
mが0から0.1まで増加するときに非対称性が減少しないことに留意されたい。これは、負の勾配は大きく変化しないが正の勾配は緩くなるために急峻な立ち上がりが制限されることに起因する。よって、0.1<m<0.9のとき、効果はほぼ線形である。
【0115】
図12によれば、ガスが二水素であり、波形が、ピーク間電圧Vppが200Vに等しい、
図9の4つの周波数をもつ最適化されていない波形102であるプラズマ構成で、エネルギーを与えられる電極と接地された電極でのイオン流の比率|Γ
ip/Γ
ig|が、イオンH
+、H
2+及びH
3+についてそれぞれ示されている。
【0116】
図13によれば、
図12のものと同じプラズマ構成で、各電極上の、H
3+とH
+の間及びH
3+とH
2+の間のイオン流の比率が示されている。
【0117】
よって
図12及び
図13は、例えば水素ガスでは化学種H
2+、H
3+、H
+などの、いくつかの化学種がプラズマ内に存在するとき、それらの化学種がどちらも、他の化学種を生成しながら消滅する前に短い距離しか移動できないという意味で反応性が高い場合には、化学種を電極の近くで生成すると有利であり得、また処理プロセスを電極上で行うと有益であり得ることを示す。逆に、後者の反応性があまり高くなく、前述の電極上で行われるプロセスにとって有害になるであろう場合は、化学種を電極から離れた所で生成することのみが有用であり得る。その場合、電極の近傍では化学種の濃度は低くなると推測される。
【0118】
一般に、圧力P下のガスを収容し、高周波エネルギーを供給される第1の電極及び接地された第2の電極を含む容量結合高周波プラズマリアクタ内でイオン流を非対称に生成するための、本発明による方法は、波形の基本高調波に相当する下側周波数を有する高周波電圧波形で第1の電極にエネルギーを与えるステップを有する。
【0119】
振幅及び時間で標準化された電圧波形は、振幅及び時間で標準化された、ある鋸歯状高周波関数の、一定の近似度の近似波形である。
【0120】
標準化された鋸歯状高周波関数は、第1の勾配p1を有する標準化された電圧の時間推移の第1の線形部分及びその直後に続く第2の勾配p2を有する標準化された電圧の時間推移の第2の線形部分からなる基本周期の周期パターンを有し、第1及び第2の勾配の大きさは異なっていて符号が逆であり、パターンの極小点と極大点は同じ単位振幅を有する。
【0121】
近似波形の近似度及びガス圧力Pは、第1の電極におけるイオン流と第2の電極におけるイオン流の間にイオン流の非対称な外観を生じさせるために十分なものである。
【0122】
第1の勾配p1の絶対値と第2の勾配p2の絶対値のうち最も小さい絶対値は、3.8に等しい値以下、好ましくは2.5以下、より好ましくは2以下である。
【0123】
近似波形の近似度は、標準化された近似電圧波形と標準化された鋸歯状高周波関数f
saw(u)を隔てる関数距離
dの逆数に等しく、関数距離はルベーグの関数距離L
pによって構成されるセットに含まれる。
【0124】
標準化された近似波形と標準化された鋸歯状高周波関数を隔てる関数距離d1及び関数距離d∞はそれぞれ、次の解析表現により定義される。
【0126】
ここでuは、u=ωt/2πによって定義される標準化変数であり、f(u)は近似波形の標準化された表現であり、f
SAW(u)は関連する鋸歯状関数の標準化された表現である。
【0127】
距離d∞が使用される場合、d∞(f(u);f
SAW(u))は0.8以下、好ましくは0.5以下であり、近似波形及び関連する鋸歯状関数がそれぞれ、
図9の標準化後の第1の最適化されていない波形102及び、
図9の標準化後の関連する鋸歯状関数184である場合は、この距離は0.4に等しい。したがって、近似度は1.25以上、好ましくは2以上である。
【0128】
距離d1が使用される場合、d1(f(u);f
SAW(u))は0.5以下、好ましくは0.2以下である。
【0129】
図14は、
図9の標準化後の第1の最適化されていない波形102と
図9の標準化後の関連する標準化された鋸歯状関数184を隔てる関数距離d1を観察できる例である。
【0130】
第1の最適化されていない標準化波形102と標準化された鋸歯状関数184を隔てる関数距離d1は、次の解析表現によって定義される。
【0132】
ここでuは、u=ωt/2πによって定義される標準化変数、f(u)は第1の最適化されていない波形の標準化された表現、f
SAW(u)は関連する鋸歯状関数の標準化された表現である。
【0133】
この場合、uが単位長さにわたって変化するとき、斜線でハッチングされた曲線102と184の間にある区域292、294、296、298の差分面積の和が、距離d1(f(u);f
SAW(u))を表す。
【0134】
図9を参照すると、この幾何学的表現では、第1の最適された波形が第1の最適化されていない波形よりも鋸歯状関数に近いことが明確に示されていることが観察され得る。
【0135】
よって、1つはアルゴンのプラズマに関係し、もう1つは水素のプラズマに関係する、2つの異なる化学種について、本発明による方法の効果がプラズマのシミュレーションによって示された。
【0136】
他方で、両方の形式の信号を使用することによりプラズマ経路を介して行ったシリコン蒸着の実験では、それらの実験に関しては、この方法の実現性が証明された。
【0137】
基板上の蒸着について、好成績の基準は、
基板上の蒸着が迅速である、すなわちイオン流量が大きいこと、
基板に到着するイオンの衝撃エネルギーが低いこと、及び
洗浄頻度を下げてガスを有効利用するために、基板に近い電極の逆側の電極での蒸着率が低いことである。
【0138】
本発明による方法によって、従来のプラズマ蒸着方法とは異なり、これらの基準を満たす可能性が得られる。
【0139】
実際は、高周波だけを使用すると、両方の電極のそれぞれのレベルで確実に蒸着率を上げることができるが、蒸着率の上がり方は同じである。振幅の非対称性を使用すれば基板上のイオン衝撃エネルギーを確実に下げることができるが、他方の電極、すなわち基板に近い電極の逆側の電極での方が蒸着率が高くなる。
【0140】
プラズマによる表面エッチング又は処理についても、蒸着率をエッチング率又は表面処理率に置き換えることによって、それぞれ同じ特徴的な利益が得られる。