特許第6583932号(P6583932)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6583932表示装置、表示システム、表示方法、及び表示プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6583932
(24)【登録日】2019年9月13日
(45)【発行日】2019年10月2日
(54)【発明の名称】表示装置、表示システム、表示方法、及び表示プログラム
(51)【国際特許分類】
   H04N 5/66 20060101AFI20190919BHJP
   G09G 5/00 20060101ALI20190919BHJP
   G09G 5/10 20060101ALI20190919BHJP
【FI】
   H04N5/66 Z
   G09G5/00 510V
   G09G5/00 550D
   G09G5/00 555D
   G09G5/10 B
【請求項の数】11
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2017-501625(P2017-501625)
(86)(22)【出願日】2015年2月25日
(86)【国際出願番号】JP2015055396
(87)【国際公開番号】WO2016135881
(87)【国際公開日】20160901
【審査請求日】2017年8月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】300016765
【氏名又は名称】NECディスプレイソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100134544
【弁理士】
【氏名又は名称】森 隆一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(72)【発明者】
【氏名】清水 孝
【審査官】 益戸 宏
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−179875(JP,A)
【文献】 特開2008−145902(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 5/66
H04N 5/74
H04N 9/12
G09G 3/00−5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
他の表示装置が受信した、映像の調整を行うための映像関連情報を含む映像入力信号から変換された、前記映像関連情報を含まない映像信号が入力される映像入力部と、
前記映像入力信号に含まれる前記映像関連情報の変化を示す通信データを前記他の表示装置から受信する通信制御部と、
前記通信制御部が受信した前記通信データに基づき、前記映像入力部から入力された前記映像信号における、前記映像関連情報を判定する映像信号判定部と、
前記映像信号判定部の判定結果に基づいて、前記映像信号を調整する映像信号調整部とを備える、表示装置。
【請求項2】
前記映像信号判定部は、前記映像信号の最小輝度と最大輝度とを測定し、測定された前記最小輝度と前記最大輝度から求められる輝度の範囲が所定の範囲内であるか否かを判定する、請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記映像信号判定部は、前記輝度の範囲が所定の範囲内である場合には前記映像信号の階調範囲が第1の階調範囲であると判定し、前記輝度の範囲が所定の範囲内でない場合には前記映像信号の階調範囲が前記第1の階調範囲より広い階調範囲を有する第2の階調範囲であると判定し、
前記映像信号調整部は、前記映像信号判定部が判定した階調範囲に基づき、前記映像信号の階調範囲を調整する、請求項2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記映像信号判定部は、前記映像信号に基づき表示される映像の周辺部の輝度を測定し、測定された前記周辺部の輝度に基づき前記映像信号のスケーリングを判定する、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項5】
前記映像関連情報は、映像の階調範囲を示す情報、又は映像の表示範囲を示す情報である、
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項6】
受信した、映像の調整を行うための映像関連情報を含む映像入力信号から変換した、前記映像関連情報を含まない映像信号を出力する映像出力部と、
前記映像入力信号に含まれる前記映像関連情報の変化を検出する信号変化検出部と、
前記信号変化検出部が前記映像入力信号に含まれる前記映像関連情報の変化を検出したときに、前記映像入力信号に含まれる前記映像関連情報の変化を示す通信データを他の表示装置に送信する通信制御部と
を備える、表示装置。
【請求項7】
第1の表示装置と、第2の表示装置とを備える表示システムにおいて、
前記第1の表示装置は、
受信した、映像の調整を行うための映像関連情報を含む映像入力信号から変換した、前記映像関連情報を含まない映像信号を前記第2の表示装置に出力する映像出力部と、
前記映像入力信号に含まれる前記映像関連情報の変化を検出する信号変化検出部と、
前記信号変化検出部が前記映像入力信号に含まれる前記映像関連情報の変化を検出したときに、前記映像入力信号に含まれる前記映像関連情報の変化を示す通信データを前記第2の表示装置に送信する通信制御部と
を備え、
前記第2の表示装置は、
前記第1の表示装置から出力された記映像信号が入力される映像入力部と、
前記映像入力信号に含まれる前記映像関連情報の変化を示す通信データを前記第1の表示装置から受信する通信制御部と、
前記通信制御部が受信した前記通信データに基づき、前記映像入力部から入力された前記映像信号における、前記映像関連情報を判定する映像信号判定部と、
前記映像信号判定部の判定結果に基づいて、前記映像信号を調整する映像信号調整部とを備える、表示システム。
【請求項8】
他の表示装置が受信した、映像の調整を行うための映像関連情報を含む映像入力信号から変換された、前記映像関連情報を含まない映像信号が入力される映像入力工程と、
前記映像入力信号に含まれる前記映像関連情報の変化を示す通信データを前記他の表示装置から受信する受信工程と、
前記受信工程において受信した前記通信データに基づき、前記映像入力工程において入力された前記映像信号における、前記映像関連情報を判定する映像信号判定工程と、
前記映像信号判定工程における判定結果に基づいて、前記映像信号を調整する映像信号調整工程と
を含む、表示方法。
【請求項9】
受信した、映像の調整を行うための映像関連情報を含む映像入力信号から変換した、前記映像関連情報を含まない映像信号を出力する映像出力工程と、
前記映像入力信号に含まれる前記映像関連情報の変化を検出する信号変化検出工程と、
前記信号変化検出工程において前記映像入力信号に含まれる前記映像関連情報の変化を検出したときに、前記映像入力信号に含まれる前記映像関連情報の変化を示す通信データを他の表示装置に送信する通信制御工程と
を含む、表示方法。
【請求項10】
第1の表示装置における、
受信した、映像の調整を行うための映像関連情報を含む映像入力信号から変換した、前記映像関連情報を含まない映像信号を第2の表示装置に出力する映像出力工程と、
前記映像入力信号に含まれる前記映像関連情報の変化を検出する信号変化検出工程と、
前記信号変化検出工程において前記映像入力信号に含まれる前記映像関連情報の変化を検出したときに、前記映像入力信号に含まれる前記映像関連情報の変化を示す通信データを前記第2の表示装置に送信する通信制御工程と
を含み、
前記第2の表示装置における、
前記第1の表示装置から出力された前記映像信号が入力される映像入力工程と、
前記映像入力信号含まれる前記映像関連情報の変化を示す通信データを前記第1の表示装置から受信する通信制御工程と、
前記通信制御工程において受信した前記通信データに基づき、前記映像信号における、前記映像関連情報を判定する映像信号判定工程と、
前記映像信号判定工程における判定結果に基づいて、前記映像信号を調整する映像信号調整工程と
を含む、表示方法。
【請求項11】
他の表示装置が受信した、映像の調整を行うための映像関連情報を含む映像入力信号から変換された、前記映像関連情報を含まない映像信号が入力される映像入力処理と、
前記映像入力信号に含まれる前記映像関連情報の変化を示す通信データを前記他の表示装置から受信する受信処理と、
前記受信処理において受信した前記通信データに基づき、前記映像信号における、前記映像関連情報を判定する映像信号判定処理と、
前記映像信号判定処理における判定結果に基づいて、前記映像信号を調整する映像信号調整処理と
をコンピュータに実行させる、表示プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置、表示システム、表示方法、及び表示プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
複数の映像表示部を備え、電源が投入されると、輝度の補正処理を開始する命令をスレーブ装置に送信するマルチ画面表示装置がある。
また、複数のディスプレイをデイジーチェーン接続し、信号源から供給される映像信号が前段のディスプレイから後段のディスプレイに順次送られるディスプレイがある。
また、入力信号の信号規格がフルレンジかリミットレンジかを自動的に判定する液晶テレビ装置がある。
また、映像信号の画面の一番上から1水平ラインずつ順次輝度レベルを計測する映像表示装置がある。
上記の技術は、例えば、特許文献1〜4に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012−222637号公報
【特許文献2】特開2012−138712号公報
【特許文献3】特開2008−022049号公報
【特許文献4】特開2004−186803号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
表示装置に入力される映像入力信号には、映像の階調情報や映像の表示範囲を示す情報であるスケーリング等の映像関連情報を含むものがある。例えば、映像入力信号の1つである、HDMI(High−Definition Multimedia Interface)(登録商標)信号には、映像関連情報として、AVI(Auxiliary Video Information)を含むInfoframe情報が含まれる。AVIには、例えば、RGB信号の階調範囲が、16〜235までのリミテッドレンジであるか、又は0〜256までのフルレンジであるかを示す「RGB Quantization Range」のパラメータが含まれる。また、AVIには、映像のスケーリングを示す「Scan Information」のパラメータが含まれる。
HDMI信号が入力された表示装置は、映像入力信号に含まれるInfoframe情報を確認して、表示する映像の階調やスケーリング等の調整を行うことができる。
【0005】
しかし、複数の表示装置(モニタ)をデイジーチェーン接続等により接続した従来のマルチシステム用表示装置では、映像入力信号を分配する映像分配器を削減することを目的として、前段の表示装置の映像入力部に入力された映像入力信号を映像信号に変換して、変換した映像信号を自装置のパネルに出力するとともに後段の表示装置に出力するものがある。例えば、映像信号をDP(Display Port)から出力する場合、DPから出力される映像信号には映像関連情報を含ませることができない。従って、HDMI信号のように映像入力信号に映像関連情報を含む場合であっても、後段のモニタにはHDMI信号の映像関連情報は入力されない。すなわち、前段の表示装置は、入力される映像入力信号に含まれる映像関連情報に基づき表示映像の調整ができるのに対して、映像関連情報が欠落する映像信号が入力される後段の表示装置は映像関連情報に基づく表示映像の調整ができない。従って、前段の表示装置で表示される映像と後段の表示装置で表示される映像とが異なってしまう場合があった。例えば、映像関連情報がRGB信号の階調範囲の情報を含む場合、後段の表示装置は階調範囲の調整ができないため、後段の表示装置で表示される映像の色合いが前段のモニタで表示される映像の色合いと異なってしまう場合があった。また、映像関連情報がスケーリングの情報を含む場合、後段の表示装置はスケーリングの調整ができないため、後段のモニタの周辺部に黒帯部分(黒枠状の形状を含む)が表示されたりする場合があった。
そこで、本発明は、映像入力信号が直接入力されない表示装置において表示映像の調整を可能とする、表示装置、表示システム、表示方法、及び表示プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施形態における表示装置は、他の表示装置が受信した、映像の調整を行うための映像関連情報を含む映像入力信号から変換された、前記映像関連情報を含まない映像信号が入力される映像入力部と、前記映像入力信号に含まれる前記映像関連情報の変化を示す通信データを前記他の表示装置から受信する通信制御部と、前記通信制御部が受信した前記通信データに基づき、前記映像入力部から入力された前記映像信号における、前記映像関連情報を判定する映像信号判定部と、前記映像信号判定部の判定結果に基づいて、前記映像信号を調整する映像信号調整部とを備える。
【発明の効果】
【0007】
映像入力信号が直接入力されない表示装置において表示映像の調整を可能とする、表示装置、表示方法、及び表示プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1の実施形態で例示する表示システムの構成を示す機能ブロック図である。
図2】Infoframe情報に含まれるAVI Informationの詳細を示すテーブルである。
図3】映像信号判定部の第1の構成を示すブロック図である。
図4】1台目の表示装置の動作を示すフローチャートである。
図5】2台目以降の表示装置の動作を示すフローチャートである。
図6】映像信号判定部の第2の構成を示すブロック図である。
図7】パネルの周辺部に設けられる測定点を示す図である。
図8】第2の実施形態で例示する表示システムの構成を示す機能ブロック図である。
図9】表示装置の構成を示す機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本実施形態における表示装置を、図面を参照して説明する。
【0010】
[第1の実施形態]
先ず、図1を用いて、第1の実施形態における表示システムを説明する。図1は、第1の実施形態として例示する表示システム1の構成を示す機能ブロック図である。
【0011】
図1において、表示システム1は、1台目の表示装置として例示する第1の表示装置10、2台目以降の表示装置として例示する第2の表示装置20、及び、通信制御線30を備える。本実施形態では、第1の表示装置10と第2の表示装置20の2台を備えた表示システムを例示するが、第2の表示装置20の後段に3台目以降の表示装置をデイジーチェーン接続して表示システムを構成することができる。
【0012】
第1の実施形態において、第1の表示装置10と第2の表示装置20は、同じ装置構成である場合を示している。すなわち、第1の実施形態は、最初に映像入力信号が入力される表示装置を第1の表示装置として、同じ表示装置を2台目以降の表示装置として表示システムを構成することができる場合を例示している。同じ装置構成の表示装置で表示システムを構成することにより、どの表示装置の接続順序を気にすることなく表示装置を配置することができる。
【0013】
第1の表示装置10は、映像入力部11、映像出力部12、通信制御部13、システム制御部14、コマンド送受信部15、信号変化検出部16、映像信号判定部17、映像信号調整部18、及び、パネル19を備える。映像入力部11は、DVI(Digital Visual Interface)入力部111、DP入力部112、HDMI入力部113、HD−BaseT(登録商標)入力部114、及び、SDI(Serial Digital Interface)入力部115を有する。なお、図1では、パネル19を第1の表示装置10の外側に接続するように構成する場合を例示したが、パネル19は表示装置10に含まれるものとする。但し、本実施形態の表示装置は、パネルを含まない、パネルの表示を制御する装置としてもよい。次に説明する、第2の表示装置20におけるパネル29においても同様である。
【0014】
第2の表示装置20は、映像入力部21、映像出力部22、通信制御部23、システム制御部24、コマンド送受信部25、信号変化検出部26、映像信号判定部27、映像信号調整部28、及び、パネル29を備える。映像入力部21は、DVI入力部211、DP入力部212、HDMI入力部213、HD−BaseT入力部214、及び、SDI入力部215を有する。
【0015】
通信制御線30は、第1の表示装置10と第2の表示装置20とを通信可能に接続する制御線であり、例えば、RS−232C、Ethernet(登録商標)を用いた優先LAN(Local Area Network)を利用することができる。通信制御線30には、図示しないPCや3台目以降の表示装置が接続されていてもよい。
【0016】
先ず、第1の表示装置10の装置構成を説明する。
映像入力部11は、DVI入力部111、DP入力部112、HDMI入力部113、HD−BaseT入力部114、及び、SDI入力部115それぞれの映像入力信号のインターフェイスを有して、それぞれのインターフェイスの入力ケーブルを接続可能にしている。映像入力部11は、入力される上記複数種類の映像入力信号を切り替えることができる。映像入力信号の切り換えは、例えばユーザによるボタン操作等、明示的な選択操作により行うことができる。また、映像入力信号の切り換えは、映像入力部11が、入力ケーブルの物理的な接続を検出することにより、又は映像入力信号の入力を検出することにより行うことができる。
【0017】
映像出力部12は、DP出力部121、及びパネル接続部122を有する。本実施形態において、DP出力部121、及びパネル接続部122から出力される映像信号は、DP信号であるものとする。DP出力部121から出力されるDP信号は、第2の表示装置の映像入力部21のDP入力部212に入力される。すなわち、2台目以降の表示装置はデイジーチェーン接続によって前段の表示装置からDP信号が入力されるものとする。パネル接続部122から出力される映像信号は、パネル19に出力される。
本実施形態では、第1の表示システム1は、2台目以降の表示装置として第2の表示装置20が接続される場合を例示している。しかし、装置の構成は3台以上の表示装置を接続する構成であってもよい。
また、本実施形態では、映像出力部と映像入力部が1対1で接続されて複数の表示装置が1列状に接続される所謂デイジーチェーン接続によって映像信号が送信される場合を例示するが、例えば、1の映像出力部が複数の映像入力部に接続されて映像信号を送信するようにしてもよい。
【0018】
ここで、映像入力部11から入力される映像入力信号と、映像出力部12から出力される映像信号との関係について説明する。
例えば、映像入力部11から入力される映像入力信号がHDMI信号である場合、映像出力部12からHDMI信号を分配して出力するためには、HDMI信号の分配器を設けて出力する必要がある。また、2台目以降の表示装置においても、HDMI信号を分配して後段の表示装置に出力するためには同様に分配器が必要になる。複数種類の映像入力信号が入力可能な表示装置においては、映像入力信号の種類が増えると、分配器も映像入力信号の数に合わせて備える必要があり、コストが上昇する。例えばパブリックディスプレイ等の大型表示システムにおいては、使用する表示装置の数が多い。従って、2第目以降の表示装置において、DP信号やDVI信号等の単一の映像信号をデイジーチェーン接続で入力することにより、分配器を削減することができる。しかし、映像入力信号と映像信号とが異なる場合、1台目に入力される映像入力信号に含まれている映像関連情報が、出力する映像信号には含まれない場合がある。例えば、映像入力信号がHDMIのときに、2台目以降の表示装置に出力される映像信号がDP信号であった場合、出力される映像信号には、HDMIの映像関連情報が欠落することとなる。
【0019】
通信制御部13は、通信制御線30を介して、第2の表示装置20の通信制御部23と通信する。通信制御部13は、例えばネットワークコントローラである。通信制御部13は、映像入力部11に入力される映像入力信号の変化を示す通信データを通信制御部23に送信する。通信制御部13が送信する通信データは、通信制御線30の通信プロトコルに基づく通信手順において送信することができる。なお、通信制御線30に3台目以降の表示装置が接続されている場合、通信制御部13は、3台目以降の表示装置に対して映像入力信号の変化を示す通信データを送信することができる。また、本実施形態では、通信制御部13は、通信制御線30を介した有線の通信を制御する場合を例示したが、例えば無線通信を制御するものであってもよい。
【0020】
システム制御部14は、第1の表示装置10の全体の制御を行う。本実施形態では、システム制御部14は、映像入力部11、映像出力部12、通信制御部13、コマンド送受信部15、信号変化検出部16、映像信号判定部17、及び映像信号調整部18を制御する場合を例示する。システム制御部14は、例えば、例えばCPU(Central Processing Unit)を備え、プログラムによって動作する。
【0021】
コマンド送受信部15は、映像入力部11に入力される映像入力信号の変化があったときに、映像入力信号の変化を示す通信コマンドを生成し、通信制御部13に送信する。通信制御部13は、送信された通信コマンドを含む通信データを通信制御線30の通信プロトコルに従って送信する。なお、コマンド送受信部15のコマンド受信機能いついては、コマンド送受信部25において説明する。
【0022】
信号変化検出部16は、映像入力部11から入力される映像入力信号に変化があったか否かを検出する。本実施形態において信号変化検出部16が検出するのは、映像入力部11から入力される映像入力信号が変化することにより映像信号に対する再調整が必要な場合の映像入力信号の変化である。例えば、映像入力信号の階調範囲やスケーリングが変化した場合である。映像入力信号の変化は、例えば、図2を用いて説明する映像関連情報の変化を判断することにより検出することができる。また、映像入力部11に入力される映像入力信号のユーザによる明示的な切り替えを検知することにより検出することができる。
【0023】
映像信号判定部17は、第1の表示装置10においては利用しない。すなわち、映像信号判定部17は第1の表示装置10が、2台目以降の表示装置として配置されたときに利用される。第2の表示装置20における映像信号判定部27の動作の詳細は後述する。
【0024】
映像信号調整部18は、映像入力部11に入力される映像入力信号をパネル19の表示仕様に合わせて調整し、調整した映像信号を映像出力部12に出力する。映像信号調整部18は、例えば、映像入力部11から入力される映像入力信号に含まれる映像関連情報に基づき出力する映像信号を調整する。ここで、図2を用いて、映像関連情報について説明する。
【0025】
図2は、映像入力信号がHDMI信号の場合における映像関連情報として例示する、Infoframe情報に含まれるAVI Informationの詳細を示すテーブルである。
図1で説明した映像入力信号には、映像関連情報を含むHDMI信号がある。本実施形態では、映像入力信号がHDMI信号の場合における映像関連情報を例示して説明する。
図2において、AVI Informationには、図示する映像関連情報が含まれる。本実施形態では、映像関連情報の中で、「Scan Information」及び「RGB Quantization Range」を用いて映像信号を調整する場合を例示する。したがって、図2においては、映像関連情報のうち、「Scan Information」及び「RGB Quantization Range」について説明し、他の映像関連情報の説明は省略する。
【0026】
「Scan Information」は、映像の表示範囲を調整するためのスケーリングの情報である。例えば、オーバースキャンはスケーリングが0%より大きい場合であり、例えばテレビ受像機に映像を出力する場合は15%のオーバースキャンに設定される。一方、アンダースキャンは、スケーリングが0%未満である場合を示す。HDMI信号を出力する機器には、HDMI信号の接続先に合わせてスケーリングを変更できる機器があり、出力されるHDMI信号には映像関連情報として、出力するHDMI信号のスケーリングの情報を示す「Scan Information」を含めることができる。したがって、「Scan Information」の情報を得られない2台目以降に接続される表示装置においては、正しいスケーリングがされないためにパネル周辺部に黒帯部分が生じる場合がある。
【0027】
「RGB Quantization Range」は、映像信号のRGB信号の階調範囲を示す。例えば、「RGB Quantization Range」が「Limited」(リミテッドレンジ)の場合、RGB信号の階調範囲が16〜235であることを示す。また、「RGB Quantization Range」が「Full」(フルレンジ)の場合、RGB信号の階調範囲が0〜255であることを示す。映像信号の階調範囲と表示装置で表示される映像の階調範囲が異なると、表示される映像の色合いが正しく表示されない。例えば、映像信号の階調範囲が16〜235のリミテッドレンジであるときに、表示装置の階調範囲が0〜255のフルレンジに設定されていると、映像信号の黒色を示す階調値16は、表示装置の黒色を示す階調値0に対して16階調高くなるため、映像信号の黒色が表示装置において白っぽく表示されることになる。一方、映像信号の階調範囲が0〜255のフルレンジであるときに、表示装置の階調範囲が16〜235のリミテッドレンジに設定されていると、表示される映像全体が本来表示される映像に比べて暗く沈んだ色合いになる。したがって、「RGB Quantization Range」の情報を得られない2台目以降に接続される表示装置においては、映像の色合いが正しく表示されない場合がある。
【0028】
図1で説明した信号変化検出部16は、映像入力信号に含まれる上述した「Scan Information」または「RGB Quantization Range」の値に基づき、映像有力信号に変化があったか否かを検出することができる。
以上で、図2を用いた、映像関連情報として例示するAVI Informationの説明を終了する。
【0029】
再び図1に戻り、第1の実施形態では、映像信号調整部18は、上述した映像関連情報に基づき、映像入力部11から入力された映像入力信号の階調範囲とスケーリングを調整して、階調範囲とスケーリングが調整された映像信号を、映像出力部12を介してパネル19に出力する。なお、本実施形態では、パネル19及びパネル29はフルレンジの階調範囲を有するものとする。すなわち、映像信号調整部18は、映像入力部11から入力された映像入力信号の階調範囲をパネル19の階調範囲に合わせて常にフルレンジに調整するものとする。
【0030】
パネル19は、映像出力部12のパネル接続部122から出力される映像信号(DP信号)に基づき映像を表示する。複数のパネルを隣接して配置するマルチモニタシステムにおいては、パネル19は、第2の表示装置に接続されるパネル29と隣接させて配置される。従って、パネル19で表示される映像とパネル29で表示される映像とで色合いや画面サイズが異なると映像不一致が目立つ不具合を生じる。
【0031】
次に、第2の表示装置20の構成を説明する。第2の表示装置の構成は原則的に第1の表示装置10の構成と同一である。従って、第1の表示装置10と同じ動作をする構成については説明を省略する。
【0032】
映像入力部21は、他の表示装置として例示する第1の表示装置10が受信した映像入力信号に基づく映像信号が入力される。映像入力部21は、DVI入力部211、DP入力部212、HDMI入力部213、HD−BaseT入力部214、及び、SDI入力部215それぞれの映像入力信号のインターフェイスを有している。しかし、本実施形態で例示する表示システム1では、映像入力部21には、DP入力部112にDP信号が入力され、他の信号の入力部は使用しないものとする。映像入力部21を映像入力部11と同様の構成とすることにより、第2の表示装置20を映像入力信号が入力される第1の表示装置としても使用することも可能となる。なお、DP入力部212に入力されるDP信号には、図2において説明した映像関連情報は含まれないものとする。
【0033】
通信制御部23は、通信制御線30を介して、第1の表示装置10の通信制御部23と通信する。通信制御部23は、第1の表示装置10の映像入力部11に入力される映像入力信号の変化を示す通信データを通信制御部13から受信する。なお、接続される表示装置が3台目以降である場合においても、通信制御部23と同様の動作を行う。
【0034】
コマンド送受信部25は、通信制御部23が第1の表示装置10の通信制御部13から映像入力信号の変化を示す通信データを受信したときに、映像信号判定部27に対して、映像入力信号が変化した旨を通知する。なお、コマンド送受信部25は、コマンド送受信部15で説明したコマンド送信機能も有する。
【0035】
信号変化検出部26は、映像入力部21から入力される第1の表示装置10において映像入力信号に変化があったか否かを検出する。しかし、本実施形態では映像入力部21には、常にDP信号入力部212を介してDP信号が入力されるため、第2の表示装置20においては機能しないものとする。
【0036】
映像信号判定部27は、通信制御部23が受信した通信データに基づき、映像入力部21から入力された映像信号の判定を行う。映像信号判定部27は、信号変化検出部26が第1の表示装置における映像入力信号の変化を検出したときに、映像入力部21から入力されるDP信号のRGB信号の階調範囲の判定を実行する。映像信号判定部27の詳細を、図3を用いて説明する。
【0037】
図3は、映像信号判定部27の第1の構成を示すブロック図である。図3において、映像信号判定部27の第1の構成として例示する映像信号判定部271は、最小輝度測定部2711と、最大輝度測定部2712を備える。
【0038】
映像信号判定部2727は、最小輝度測定部2711によって映像信号の最小輝度を測定し、最大輝度測定部2712によって最大輝度を測定し、測定された最小輝度と最大輝度から求められる輝度の範囲が所定の範囲内であるか否かを判定する。
最小輝度測定部2711は、映像入力部21から入力されるDP信号のRGB信号の最小輝度を測定する。最大輝度測定部2712は、映像入力部21から入力されるDP信号のRGB信号の最大輝度を測定する。RGB信号の輝度は、例えばRGB信号の信号レベルを基に検出することができる。映像信号判定部271は、最小輝度測定部2711が測定した最小輝度が予め設定された最小輝度より大きく、かつ最大輝度測定部2712が測定した最大輝度が予め設定された最大輝度より小さい場合、映像入力部21から入力されるDP信号は、第1の階調範囲とて例示するリミテッドレンジの階調範囲であると判定する。
一方、映像信号判定部271は、最小輝度測定部2711が測定した最小輝度が予め設定された最小輝度以下であり、または最大輝度測定部2712が測定した最大輝度が予め設定された最大輝度以上である場合、映像入力部21から入力されるDP信号は、第1の階調範囲より広い階調範囲を有する第2の階調範囲として例示するフルレンジの階調範囲であると判定する。
階調の判定は、例えば、所定の時間内におけるRGB信号における輝度を測定することにより行うことができる。また、パネル29の所定の位置に表示される映像のRGB信号における輝度を測定することにより行うことができる。また、映像信号に含まれる階調の分布に基づき階調の判定を行ってもよい。
映像信号判定部271は、リミテッドレンジ又はフルレンジの階調範囲の判定結果を映像信号調整部28に出力する。
以上で、図3を用いた、映像信号判定部27の第1の構成として例示した映像信号判定部271の説明を終了する。
【0039】
再び図1に戻り、映像信号調整部28は、映像信号判定部27から入力された階調範囲の判定結果に基づき、映像入力部21から入力される映像信号(DP信号)を調整して、調整した映像信号(DP信号)を映像出力部22に出力する。
映像信号調整部28は、2つの階調処理の処理モードを有している。1つ目の処理モードは、入力されたDP信号をリミテッドレンジからフルレンジへの拡張処理を行うモードである。2つ目の処理モードは、入力されたDP信号の拡張処理を行わない処理モードである。2つの処理モードは、例えば、映像信号調整部28の内部メモリにフラグの有無によって設定される。
映像信号調整部28は、映像信号判定部27から入力された階調範囲がリミテッドレンジである場合、上記階調処理の処理モードを拡大処理の処理モードにするフラグ設定を行う。すなわち 、拡大処理の処理モードに設定された映像信号調整部28は、映像入力部21から入力される映像信号に対して階調範囲を16〜235から16〜235に拡張する。
一方、映像信号調整部28は、映像信号判定部27から入力された階調範囲がフルレンジである場合、上述した拡大処理の処理モードを解除するフラグ設定を行う。すなわち、拡大処理の処理モードが解除された映像信号調整部28は、映像入力部21から入力されるフルレンジの映像信号に対する階調範囲の調整をしない。
なお、映像信号調整部28は、映像信号調整部18と同様に映像入力部21から入力される映像入力信号の映像関連情報に基づく映像信号の調整を行う機能も有するものとする。すなわち、第2の表示装置20を映像入力信号が入力される1台目の表示装置とした場合においても、映像信号調整部28は映像関連情報に基づく映像信号の調整を行うことができる。
【0040】
パネル29は、映像出力部22のパネル接続部222から出力される映像信号(DP信号)に基づき映像を表示する。上述した階調範囲の設定によって映像信号の階調範囲はパネル29の階調範囲と同じフルレンジとなり、パネル29で表示される映像はパネル19で表示される映像と同じ色合いとなり、映像が不一致になることを防止できる。
【0041】
なお、図3で説明した映像信号判定部271が階調範囲の判定を行うタイミングは、上述の通り、第1の表示装置10の映像入力信号の変化を示す通信データを受信したときである。映像信号判定部271が階調範囲を判定するタイミングによっては、映像入力部21から入力される映像信号によっては階調範囲を正しく判定できない場合がある。本実施形態では、通信制御線を介して第1の表示装置10から2台目以降の表示装置に階調範囲を判定するタイミングを通知することにより、2台目以降の表示装置において最適なタイミングで映像信号の階調範囲の判定処理を行うことが可能になる。すなわち、第1の表示装置10から送信される映像入力信号の変化を示す通信データによって、2台目以降の表示装置は、自動的に階調範囲の判定を行うことができる。従って、映像入力信号の変化を示す通信データは、自動判定のリクエストコマンドとして機能する。
以上で、図1を用いた、第1の実施形態で例示する表示システム1の構成を示す機能ブロック図の説明を終了する。
【0042】
次に、図4及び図5を用いて、第1の表示システム1の動作を説明する。
図4は、1台目の表示装置として例示する第1の表示装置10の動作を示すフローチャートである。図5は、2台目以降の表示装置として例示する第2の表示装置20の動作を示すフローチャートである。
図4において、信号変化検出部16は、映像入力部11から入力される映像入力信号の変化があったか否かを判断する(ステップS11)。
映像入力信号の変化がないと判断された場合(ステップS11;NO)、ステップS11の処理に戻り、映像入力信号の変化があるまでステップS11の処理を繰り返す。
一方、映像入力信号の変化があると判断された場合(ステップS11;YES)、信号変化検出部16は、図2で説明したAVI Informationに変化があったか否かを判断する(ステップS12)。
AVI Informationに変化がないと判断された場合(ステップS12;NO)、ステップS11の処理に戻る。
一方、AVI Informationに変化があると判断された場合(ステップS12;YES)、信号変化検出部16は、コマンド送受信部15に対して、映像入力信号の変化を示す通信コマンドを生成するようにする。生成された通信コマンドは自動判定のリクエストコマンドとして通信制御部13から2台目以降の表示装置へ送信される(ステップS13)。
【0043】
図5において、第2の表示装置20のコマンド送受信部25は、自動判定のリクエストコマンドを受信したか否かを判断する(ステップS21)。
自動判定のリクエストコマンドを受信していないと判断した場合(ステップS11;NO)、ステップS21の処理に戻り、自動判定のリクエストコマンドを受信するまでステップS21の処理を繰り返す。
一方、自動判定のリクエストコマンドを受信したと判断した場合(ステップS11;NO)、コマンド送受信部25は、映像信号判定部27に対してコマンドの受信を通知し、映像入力部21から入力されたDP信号のビデオレベルの階調範囲を自動判定を実行させる(ステップS22)。
ステップS22の処理を実行後、映像信号判定部27は、階調範囲がリミテッドレンジの範囲内であるか否かを判断する(ステップS23)。
階調範囲がリミテッドレンジの範囲内である場合(ステップS23;YES)、映像信号調整部28は、拡大処理設定に設定される(ステップS24)。
一方、階調範囲がリミテッドレンジの範囲内でない場合(ステップS23;NO)、映像信号調整部28は、拡大処理設定が解除される(ステップS25)。
ステップS24の処理又はステップS25の処理の実行後、ステップS21の処理に戻る。
以上で、図4及び図5を用いた、第1の表示システム1の動作の説明を終了する。
【0044】
次に、図6を用いて、映像信号判定部27における他の実施形態について説明する。図6は映像信号判定部27の第2の構成として例示する映像信号判定部272の構成を示すブロック図である。図6において、映像信号映像信号判定部272は、最小輝度測定部2721、最大輝度測定部2722、及び周辺輝度測定部2723を備える。
【0045】
最小輝度測定部2721は、図3で説明した最小輝度測定部2711と同様に、映像入力部21から入力されるDP信号のRGB信号の最小輝度を測定する。最大輝度測定部2722は、最大輝度測定部2712と同様に、映像入力部21から入力されるDP信号のRGB信号の最大輝度を測定する。最小輝度測定部2721の判定及び最大輝度測定部2722に基づき、映像信号判定部271と同様に、映像入力部21から入力されるDP信号がリミテッドレンジの階調範囲であるか、又はフルレンジの階調範囲であるかを判定する。
【0046】
周辺輝度測定部2723は、映像信号に基づきパネル29に表示される映像のパネル周辺部分の輝度を測定することにより、映像入力部21から入力される映像信号(DP信号)のスケーリングを確認する。映像入力部21から入力されるDP信号には、図2で説明したHDMI信号に含まれていたスケーリングの情報が含まれない。従って、DP信号のスケーリングの設定とパネル29におけるスケーリングの設定が不一致であると、パネル29に表示される映像の周辺部に黒帯部分が生じる場合がある。周辺輝度測定部2723は、映像の周辺部の輝度を測定することにより、映像の周辺部分に黒帯部分が生じているか否かを判定し、スケーリングの不一致を検出する。
以上で、図6を用いた、映像信号判定部272の構成を示すブロック図の説明を終了する。
【0047】
次に、図7を用いて、周辺輝度測定部2723が輝度を測定するパネル29に表示される映像の周辺部について説明する。図7は、パネル29の周辺部に設けられる測定点を示す図である。
図7において、パネル29の表示画面には、図示しないPCからの出力映像191が表示されている。パネル29の表示画面には、表示画面の周辺部192において、黒帯部分が生じる場合がある。パネル29の表示画面には、左上から時計回りに丸印で図示する、P1〜P8までの8点の測定点が設定されている。但し、測定点の数及び形状は任意であり、例えば、P1、P3、P5、及びP7で図示する4点を測定点としてもよい。また、8点以上の測定点を設定してもよい。さらに、輝度の測定範囲も任意である。図7では測定点を所定の範囲を有する丸印で例示している。所定範囲の輝度は、測定した範囲の輝度の平均値とすることができる。また、所定の範囲の輝度を測定する代わりに、パネル19の1点(例えば、RGB各1画素)の輝度を測定してもよい。スケーリングの不一致は、映像の周辺部分に黒帯部分が生じることにより測定される。従って、測定点の数や形状は、検出対象となる発生する黒帯部分の形状に合わせて設定することが望ましい。黒帯部分は輝度が所定値以下となる部分が帯状に連続することで測定することができる。
以上で、図7を用いた、周辺輝度測定部2723が輝度を測定するパネル29に表示される映像の周辺部についての説明を終了する。
【0048】
[第2の実施形態]
次に、図8を用いて、第2の実施形態における表示システムを説明する。図8は、第2の実施形態として例示する表示システム2の構成を示す機能ブロック図である。
【0049】
図8において、表示システム2は、1台目の表示装置として例示する第1の表示装置40、2台目以降の表示装置として例示する第2の表示装置50、及び、通信制御線60を備える。第2の実施形態では、第1の表示装置40と第2の表示装置50の2台を備えた表示システムを例示するが、第2の表示装置50の後段に3台目以降の表示装置をデイジーチェーン接続して表示システムを構成することができる。
【0050】
第2の実施形態において、第1の表示装置40と第2の表示装置50は、それぞれ専用の装置構成である場合を示している。すなわち、第2の実施形態は、最初に映像入力信号が入力される表示装置は常に第1の表示装置40を使用し、2台目以降の表示装置は第2の表示装置50を使用して表示システムを構成する場合を例示している。専用の表示装置を使用することにより、表示装置の構成を簡略化してコストの低減を図ることが可能となる。特に、2台目以降の表示装置を多数接続する表示システムにおいて、2台目以降の表示装置のコストの削減を図ることができる。
【0051】
第1の表示装置40は、映像入力部41、映像出力部42、通信制御部33、システム制御部44、コマンド送受信部45、信号変化検出部46、映像信号調整部48、及び、パネル49を備える。第1の表示装置40は、第1の表示装置10が備えていた映像信号判定部17を備えていない。映像信号判定部17は、2台目以降に接続される表示装置において利用される機能であり、第1の表示装置においては省略することができる。
【0052】
第1の表示装置40における、映像入力部41、映像出力部42、通信制御部33、システム制御部44、コマンド送受信部45、信号変化検出部46、映像信号調整部48、及び、パネル49は、第1の表示装置10における、映像入力部11、映像出力部12、通信制御部13、システム制御部14、コマンド送受信部15、信号変化検出部16、映像信号調整部18、及び、パネル19と同様の構成であり、説明を省略する。
【0053】
第2の表示装置50は、映像入力部51、映像出力部52、通信制御部53、システム制御部54、コマンド送受信部55、映像信号判定部57、映像信号調整部58、及び、パネル59を備える。第2の表示装置50は、第2の表示装置20が備えていた、信号変化検出部26を備えていない。信号変化検出部26は、入力される映像入力信号の変化を検出する機能であり、映像入力信号が直接入力されない2台目以降の表示装置においては省略することができる。
【0054】
映像入力部51は、DP入力部511を有する。映像入力部51は、映像入力部41が有する、DVI入力部411、HDMI入力部413、HD−BaseT入力部414、及び、SDI入力部415を有していない。すなわち、第2の実施形態においては、2台目以降の表示装置には、常にDP信号がデイジーチェーンで入力される場合を例示している。映像入力部51の入力ポートを簡略化することにより、2台目以降の表示装置のコストを削減することができる。なお、第2の実施形態ではDP信号をデイジーチェーンで接続する場合を例示したが、DP信号以外の、例えばDVI信号によって接続してもよい。
【0055】
第2の表示装置50における、映像入力部51、映像出力部52、通信制御部53、システム制御部54、コマンド送受信部55、映像信号判定部57、映像信号調整部58、及び、パネル59は、第2の表示装置20における、映像入力部21、映像出力部22、通信制御部23、システム制御部24、コマンド送受信部25、映像信号判定部27、映像信号調整部28、及び、パネル29と同様の構成であり、説明を省略する。
以上で、図8を用いた、第2の実施形態における表示システム2の説明を終了する。
【0056】
次に、図9を用いて、表示装置の構成を説明する。図9は、表示装置の構成を示す機能ブロック図である。
図9において、表示装置70は、他の表示装置が受信した映像入力信号に基づく映像信号が入力される映像入力部71と、映像入力信号の変化を示す通信データを他の表示装置から受信する通信制御部73と、通信制御部73が受信した通信データに基づき、映像入力部71から入力された映像信号の判定を行う映像信号判定部77と、映像信号判定部77の判定結果に基づいて、映像信号を調整する映像信号調整部78とを備える。
以上で、図9を用いた、表示装置70の構成の説明を終了する。
【0057】
なお、上述した第1の表示装置10、第2の表示装置20、第1の表示装置40、及び第2の表示装置50は、パネルが接続可能なコンピュータで実現するようにしてもよい。その場合、各機能ブロックの機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することで実現してもよい。ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウエアを含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでもよい。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよく、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよく、FPGA(Field Programmable Gate Array)等のプログラマブルロジックデバイスを用いて実現されるものであってもよい。
【0058】
また、第1の表示装置10、第2の表示装置20、第1の表示装置40、及び第2の表示装置50の各機能は、図1図3図6、及び図8等で説明した機能を有する限り、複数の図示した機能ブロックを1の機能ブロックにまとめて実装してもよいし、図示した1の機能ブロックを複数の機能ブロックとして分割して実装してもよい。
【0059】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0060】
以上に例示した実施形態は、表示装置、表示システム、表示方法、及び表示プログラムに適用することができる。
【0061】
なお、以上の説明に関して更に以下の付記を開示する。
(付記1)
他の表示装置が受信した映像入力信号に基づく映像信号が入力される映像入力部と、
前記映像入力信号の変化を示す通信データを前記他の表示装置から受信する通信制御部と、
前記通信制御部が受信した前記通信データに基づき、前記映像入力部から入力された映像信号の判定を行う映像信号判定部と、
前記映像信号判定部の判定結果に基づいて、前記映像信号を調整する映像信号調整部と
を備える、表示装置。
(付記2)
前記映像信号判定部は、前記映像信号の最小輝度と最大輝度とを測定し、測定された前記最小輝度と前記最大輝度から求められる輝度の範囲が所定の範囲内であるか否かを判定する、付記1に記載の表示装置。
(付記3)
前記映像信号判定部は、前記輝度の範囲が所定の範囲内である場合には前記映像信号の階調範囲が第1の階調範囲であると判定し、前記輝度の範囲が所定の範囲内でない場合には前記映像信号の階調範囲が前記第1の階調範囲より広い階調範囲を有する第2の階調範囲であると判定し、
前記映像信号調整部は、前記映像信号判定部が判定した階調範囲に基づき、前記映像信号の階調範囲を調整する、付記2に記載の表示装置。
(付記4)
前記映像信号判定部は、前記映像信号に基づき表示される映像の周辺部の輝度を測定し、測定された前記周辺部の輝度に基づき前記映像信号のスケーリングを判定する、付記1から3のいずれか1に記載の表示装置。
(付記5)
受信した映像入力信号に基づき、映像信号を出力する映像出力部と、
前記映像入力信号の変化を検出する信号変化検出部と、
前記信号変化検出部が前記映像入力信号の変化を検出したときに、前記映像入力信号の変化を示す通信データを他の表示装置に送信する通信制御部と
を備える、表示装置。
(付記6)
第1の表示装置と、第2の表示装置とを備える表示システムにおいて、
前記第1の表示装置は、
受信した映像入力信号に基づき、映像信号を前記第2の表示装置に出力する映像出力部と、
前記映像入力信号の変化を検出する信号変化検出部と、
前記信号変化検出部が前記映像入力信号の変化を検出したときに、前記映像入力信号の変化を示す通信データを前記第2の表示装置に送信する通信制御部と、
を備え、
前記第2の表示装置は、
前記第1の表示装置から出力された映像入力信号が入力される映像入力部と、
前記映像入力信号の変化を示す通信データを前記第1の表示装置から受信する通信制御部と、
前記通信制御部が受信した前記通信データに基づき、前記映像入力部から入力された映像信号の判定を行う映像信号判定部と、
前記映像信号判定部の判定結果に基づいて、前記映像信号を調整する映像信号調整部と
を備える、表示システム。
(付記7)
他の表示装置が受信した映像入力信号に基づく映像信号が入力される映像入力工程と、
前記映像入力信号の変化を示す通信データを前記他の表示装置から受信する受信工程と、
前記受信工程において受信した前記通信データに基づき、前記映像入力工程において入力された映像信号の判定を行う映像信号判定工程と、
前記映像信号判定工程における判定結果に基づいて、前記映像信号を調整する映像信号調整工程と
を含む、表示方法。
(付記8)
前記映像信号判定工程において、前記映像信号の最小輝度と最大輝度とを測定し、測定された前記最小輝度と前記最大輝度から求められる輝度の範囲が所定の範囲内であるか否かを判定する、付記7に記載の表示方法。
(付記9)
前記映像信号判定工程において、前記輝度の範囲が所定の範囲内である場合には前記映像信号の階調範囲が第1の階調範囲であると判定し、前記輝度の範囲が所定の範囲内でない場合には前記映像信号の階調範囲が前記第1の階調範囲より広い階調範囲を有する第2の階調範囲であると判定し、
前記映像信号調整工程において、前記映像信号判定工程において判定された階調範囲に基づき、前記映像信号の階調範囲を調整する、付記8に記載の表示方法。
(付記10)
前記映像信号判定工程において、前記映像信号に基づき表示される映像の周辺部の輝度を測定し、測定された周辺部の輝度に基づき前記映像信号のスケーリングを判定する、付記7から9のいずれか1に記載の表示方法。
(付記11)
受信した映像入力信号に基づき、映像信号を出力する映像出力工程と、
前記映像入力信号の変化を検出する信号変化検出工程と、
前記信号変化検出工程において前記映像入力信号の変化を検出したときに、前記映像入力信号の変化を示す通信データを他の表示装置に送信する通信制御工程と
を含む、表示方法。
(付記12)
第1の表示装置における、
受信した映像入力信号に基づき、映像信号を第2の表示装置に出力する映像出力工程と、
前記映像入力信号の変化を検出する信号変化検出工程と、
前記信号変化検出工程において前記映像入力信号の変化を検出したときに、前記映像入力信号の変化を示す通信データを前記第2の表示装置に送信する通信制御工程と、
を含み、
前記第2の表示装置における、
前記第1の表示装置から出力された前記映像信号が入力される映像入力工程と、
前記映像入力信号の変化を示す通信データを前記第1の表示装置から受信する通信制御工程と、
前記通信制御工程において受信した前記通信データに基づき、前記映像信号の判定を行う映像信号判定工程と、
前記映像信号判定工程における判定結果に基づいて、前記映像信号を調整する映像信号調整工程と
を含む、表示方法。
(付記13)
他の表示装置が受信した映像入力信号に基づく映像信号が入力される映像入力処理と、
前記映像入力信号の変化を示す通信データを前記他の表示装置から受信する受信処理と、
前記受信処理において受信した前記通信データに基づき、前記映像信号の判定を行う映像信号判定処理と、
前記映像信号判定処理における判定結果に基づいて、前記映像信号を調整する映像信号調整処理と
をコンピュータに実行させる、表示プログラム。
(付記14)
前記映像信号判定処理において、前記映像信号の最小輝度と最大輝度とを測定し、測定された前記最小輝度と前記最大輝度から求められる輝度の範囲が所定の範囲内であるか否かを判定する、付記13に記載の表示プログラム。
(付記15)
前記映像信号判定処理において、前記輝度の範囲が所定の範囲内である場合には前記映像信号の階調範囲が第1の階調範囲であると判定し、前記輝度の範囲が所定の範囲内でない場合には前記映像信号の階調範囲が前記第1の階調範囲より広い階調範囲を有する第2の階調範囲であると判定し、
前記映像信号調整処理において、前記映像信号判定処理において判定された階調範囲に基づき、前記映像信号の階調範囲を調整する、付記14に記載の表示プログラム。
(付記16)
前記映像信号判定処理において、前記映像信号に基づき表示される映像の周辺部の輝度を測定し、測定された周辺部の輝度に基づき前記映像信号のスケーリングを判定する、付記13から15のいずれか1に記載の表示プログラム。
(付記17)
受信した映像入力信号に基づき、映像信号を出力する映像出力処理と、
前記映像入力信号の変化を検出する信号変化検出処理と、
前記信号変化検出処理において前記映像入力信号の変化を検出したときに、前記映像入力信号の変化を示す通信データを他の表示装置に送信する通信制御処理と
をコンピュータに実行させる、表示プログラム。
(付記18)
第1の表示装置における、
受信した映像入力信号に基づき、映像信号を第2の表示装置に出力する映像出力処理と、
前記映像入力信号の変化を検出する信号変化検出処理と、
前記信号変化検出処理において前記映像入力信号の変化を検出したときに、前記映像入力信号の変化を示す通信データを前記第2の表示装置に送信する通信制御処理と、
を含み、
前記第2の表示装置における、
前記第1の表示装置から出力された前記映像信号が入力される映像入力処理と、
前記映像入力信号の変化を示す通信データを前記第1の表示装置から受信する通信制御処理と、
前記通信制御処理において受信した前記通信データに基づき、前記映像信号の判定を行う映像信号判定処理と、
前記映像信号判定工程における判定結果に基づいて、前記映像信号を調整する映像信号調整処理と
をコンピュータに実行させる、表示プログラム。
【符号の説明】
【0062】
1、2 表示システム
10、40 第1の表示装置
20、50、70 第2の表示装置
11、21、41、51、71 映像入力部
12、22、42、52 映像出力部
13、23、43、53、73 通信制御部
14、24、44、54 システム制御部
15、25、45、55 コマンド送受信部
16、26、46 信号変化検出部
17、27、57、77 映像信号判定部
18、28、48、58、78 映像信号調整部
19、29、49、59 パネル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9