(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、回転軸が長くなってしまうことで回転軸の固有振動数は小さくなる。その結果、遠心圧縮機の運転時における回転軸の回転周波数に近づいて共振しやすくなり、振動が増加してしまうことがある。そのため、ロータ本体を長くすることなく、吸込ノズル及び吐出ノズルとの干渉を避けつつドレン流路を設けることが要望されている。
【0009】
この発明は、ロータ本体を長くすることなく、吸込ノズル及び吐出ノズルとの干渉を避けつつドレン流路を設けることのできる多段遠心圧縮機を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明に係る第一態様によれば、多段遠心圧縮機は、軸線に沿って延びているロータ本体、及び前記ロータ本体の外面に固定されて軸線方向に複数段設けられたインペラを有するロータと、前記インペラから径方向外側に排出される流体を径方向内側に向かって案内する案内流路、及び前記案内流路の底部から鉛直方向の下方に向かって延びる連通孔を有するダイアフラムと、複数段の前記インペラのそれぞれに対応して前記軸線方向に配列された複数の前記ダイアフラムを内側に収容する車室と、複数の前記連通孔を繋ぐように前記軸線方向に延びている軸線方向流路と、
前記車室から前記鉛直方向の下方に向かって延びるドレン管と、を備え、前記車室は、前記軸線方向の第一端部側
で前記鉛直方向の下方に向かって延びるように設けられ、前記第一端部側の第一段の前記インペラに、前記車室の外部から作動流体を導く吸込ノズルと、前記軸線方向の第二端部側
で前記鉛直方向の下方に向かって延びるように設けられ、前記第二端部側の最終段の前記インペラから排出される前記作動流体を前記車室の外部に吐出する吐出ノズルと、前記軸線方向における前記吸込ノズルに最も近い位置に形成されている前記連通孔、及び前記軸線方向における最も前記吐出ノズルに最も近い位置に形成されている前記連通孔との間にのみ設けられ、
前記ドレン管と連通することで前記軸線方向流路と前記車室の外部とを連通するドレン流路と、を有
し、前記ドレン流路は、前記吸込ノズルに最も近い位置に形成されている前記連通孔及び前記吐出ノズルに最も近い位置に形成されている前記連通孔よりも軸線方向の内側位置に形成されている。
【0011】
このような構成によれば、ダイアフラムに形成された案内流路内に存在する流体は、案内流路の底部から連通孔を通って、軸線方向流路に流れ込む。軸線方向流路に流れ込んだ流体は、ドレン流路から車室の外部に排出される。ドレン流路は、吸込ノズルに最も近い位置に形成されている連通孔と吐出ノズルに最も近い位置に形成されている連通孔との間に設けられている。そのため、吸込ノズルよりも軸線方向の内側であって、吐出ノズルよりも軸線方向の内側にドレン流路を形成することができる。したがって、ドレン流路に接続されるドレン管のように車室の外部に配置される部材があっても、ら吸込ノズル及び吐出ノズルに干渉しない位置に配置することができる。
【0012】
この発明に係る第二態様によれば、多段遠心圧縮機は、第一態様において、前記軸線方向流路は、前記ダイアフラムの外周面と前記車室の内周面との間に設けられた隙間によって形成されているようにしてもよい。
【0013】
このような構成によれば、車室に対して複数のダイアフラムを設けたときに、ダイアフラムの外周面と車室の内周面との間に形成される隙間を、軸線方向流路とすることができる。したがって、軸線方向流路を形成するために、溝等を形成する必要が無く、低コストで軸線方向流路を設けることができる。
【0014】
この発明に係る第三態様によれば、多段遠心圧縮機は、第一態様において、前記軸線方向流路は、前記ダイアフラムの外周面に設けられた溝によって形成されているようにしてもよい。
【0015】
このような構成によれば、ダイアフラムの外周面から凹む溝によって、軸線方向の必要な領域に十分な流路断面積を有する軸線方向流路を設けることができる。
【0016】
この発明に係る第四態様によれば、多段遠心圧縮機は、第一から第三態様の何れか一つにおいて、前記ドレン流路は、一つのみ設けられているようにしてもよい。
【0017】
このような構成によれば、ドレン流路を吸込ノズル及び吐出ノズルに確実に干渉しないように設けることができる。
【0018】
この発明に係る第五態様によれば、多段遠心圧縮機は、第一から第五態様の何れか一つの多段遠心圧縮機において、前記車室内の前記軸線方向流路から前記流体を吸い出す吸引部をさらに備えるようにしてもよい。
【0019】
このような構成によれば、複数段の案内流路に設けられた連通孔から軸線方向流路に流れ込んだ流体を吸引部で吸い出すことができる。これにより、ドレン流路から流体を車室の外部に確実に排出することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、ロータ本体を長くすることなく、吸込ノズル及び吐出ノズルとの干渉を避けつつドレン管を設けることができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
(第1実施形態)
以下、本発明に係る第一実施形態について
図1、
図2を参照して説明する。
図1に示すように、本実施形態の圧縮機は、複数のインペラ30を備える一軸多段式の遠心圧縮機(多段遠心圧縮機)100である。
【0023】
遠心圧縮機100は、軸線Pを中心として回転するロータ2と、ロータ2を外周側から覆うケーシング10と、を備えている。
【0024】
ロータ2は、軸線Pに沿って延びているロータ本体(回転軸)20と、ロータ本体20とともに回転する複数のインペラ30と、を有している。
【0025】
ロータ本体20には、モータ等の駆動機(不図示)が連結されている。ロータ本体20は、この駆動機によって回転駆動されている。ロータ本体20は、軸線Pを中心とする円柱状をなして軸線Pの延びる軸線方向に延在している。ロータ本体20は、後述する軸受10bによって軸線方向の両端が回転可能に支持されている。
【0026】
インペラ30は、ロータ本体20の外面に固定されている。インペラ30は、ロータ本体20とともに回転することによって遠心力を利用してプロセスガス(作動流体)Gを圧縮する。インペラ30は、ロータ本体20に対して軸線方向に複数段設けられている。本実施形態のインペラ30は、ロータ本体20に対して軸線方向の両側に配置された軸受10bの間に配置されている。インペラ30は、ディスク31と、ブレード32と、カバー33とを備えた、いわゆるクローズ型のインペラである。
【0027】
ディスク31は、それぞれロータ本体20における軸線方向の第一端部P1側から第二端部P2側に向かって、ロータ本体20の径方向の外側に漸次拡径する円盤状に形成されている。
【0028】
ブレード32は、ディスク31から軸線方向に突出するように形成されている。ブレード32は、ロータ本体20の周方向に所定間隔を空けて複数形成されている。
【0029】
カバー33は、軸線方向におけるディスク31とは反対側から複数のブレード32を覆っている。カバー33は、ディスク31に対向する円盤状に形成されている。
【0030】
インペラ30は、ディスク31、ブレード32、及びカバー33によって内部にインペラ流路35が画成されている。インペラ流路35は、軸線方向の上流側である第一端部P1側の入口から流入して圧縮されたプロセスガスGを径方向の外側の出口に排出する。
【0031】
軸線方向に沿って配列された複数のインペラ30によってインペラ群3が構成されている。本実施形態の遠心圧縮機100は、一つのインペラ群3を有している。
【0032】
本実施形態の遠心圧縮機100は、インペラ群3の軸線方向に配列された六つのインペラ30に対応するように、第一圧縮機段101、第二圧縮機段102、第三圧縮機段103、第四圧縮機段104、第五圧縮機段105、第六圧縮機段106の六段の圧縮機段を備えている。
【0033】
本実施形態の遠心圧縮機100は、プロセスガスGが軸線方向の第一端部P1側を上流側とする。また、本実施形態の遠心圧縮機100は、軸線方向の第二端部P2側を下流側とする。本実施形態の遠心圧縮機100では、上流側から下流側に向かってプロセスガスGは段階的に圧縮されながら流れる。
【0034】
ここで、軸線方向の第一端部P1側とは、ロータ本体20の一端20a側であって、
図1の紙面左側である。また、軸線方向の第二端部P2側とは、ロータ本体20の一端20a側とは反対側の他端20b側であって、
図1の紙面右側である。
【0035】
ケーシング10は、車室(外部ケーシング)10aと、ダイアフラム群6と、軸受10bとを有している。
【0036】
車室10aは、遠心圧縮機100の外装を形成している。車室10aは、円筒状に形成されている。車室10aは、中心軸がロータ本体20の軸線Pに一致して形成されている。車室10aは、ダイアフラム群6を内側に収容している。
【0037】
軸受10bは、ロータ本体20の両端部に一つずつ設けられている。軸受10bは、ロータ本体20を回転可能に支持している。これらの軸受10bは、それぞれ後述する第一端部側ダイアフラム61、第二端部側ダイアフラム62にそれぞれ取り付けられている。
【0038】
ダイアフラム群6は、車室10aの内部に収容される。ダイアフラム群6は、車室10aとロータ2との間の空間に配置されている。ダイアフラム群6は、複数段のインペラ30のそれぞれに対応して軸線方向に配列された複数のダイアフラム60によって構成されている。本実施形態のダイアフラム群6は、各圧縮機段に対応するインペラ30への入口流路及びインペラ30からの出口流路の少なくとも一方の流路をそれぞれ形成する。ダイアフラム60は、軸線方向に積層されるように複数並んでいる。ダイアフラム60は、相互に接続されることで、プロセスガスGの流通する流路を画成している。
【0039】
本実施形態のダイアフラム群6は、第一端部側ダイアフラム61と、第一ダイアフラム63と、第二ダイアフラム64と、第三ダイアフラム65と、第四ダイアフラム66と、第五ダイアフラム67と、第六ダイアフラム68と、第二端部側ダイアフラム62と、からなる複数のダイアフラム60によって構成されている。複数のダイアフラム60は、軸線方向に順に積層され、ボルトや溶接等によって相互に固定されている。
【0040】
第一端部側ダイアフラム61は、複数のダイアフラム60のうち、軸線方向の最も上流側(第一端部P1側)に配置されている。第一ダイアフラム63は、第一端部側ダイアフラム61の軸線方向の下流側に配置されている。第二ダイアフラム64は、第一ダイアフラム63の軸線方向の下流側に配置されている。第三ダイアフラム65は、第二ダイアフラム64の軸線方向の下流側に配置されている。第四ダイアフラム66は、第三ダイアフラム65の軸線方向の下流側に配置されている。第五ダイアフラム67は、第四ダイアフラム66の軸線方向の下流側に配置されている。第六ダイアフラム68は、第五ダイアフラム67の軸線方向の下流側に配置されている。第二端部側ダイアフラム62は、複数のダイアフラム60のうち、軸線方向の最も下流側(第二端部P2側)に配置されている。
【0041】
ダイアフラム60は、案内流路A及び連通孔70を有する。本実施形態では、複数のダイアフラム60のうち、第一ダイアフラム63と、第二ダイアフラム64と、第三ダイアフラム65と、第四ダイアフラム66と、第五ダイアフラム67と、第六ダイアフラム68と、が案内流路A及び連通孔70を有する。
【0042】
案内流路Aは、インペラ30から径方向外側に排出されるプロセスガスGを径方向内側に向かって案内する。これにより、案内流路Aは、前段のインペラ30から排出されたプロセスガスGを軸線方向で隣接する後段のインペラ30に導入する。
連通孔70は、案内流路Aの底部から鉛直方向の下方に向かって延びている。
【0043】
ここで、具体的に、案内流路Aを含むダイアフラム60によって形成される流路について、軸線方向の上流側から順に説明する。本実施形態では、ダイアフラム群6は、プロセスガスGが流通する上流側から順に、吸込口11、吸込流路12、複数のディフューザ流路13、複数の曲がり流路14、リターン流路15、吐出流路16、及び吐出口17を画成している。
【0044】
吸込口11は、外部から吸込流路12にプロセスガスGを流入させる。吸込口11は、車室10aの外部から流入してきたプロセスガスGをダイアフラム群6の内部に流入させる。吸込口11は、ダイアフラム群6の外周側に開口された断面円形状、長円形状または矩形状をなしている。吸込口11は、ダイアフラム群6の最も鉛直方向の下方に位置する底部で、鉛直方向の下方を向いて開口している。吸込口11は、径方向の外側から径方向の内側に向かって流路面積を徐々に減少させながら、吸込流路12に接続されている。
【0045】
吸込流路12は、吸込口11とともに、外部から軸線方向に複数並ぶインペラ30のうち最も上流側に配置された第一圧縮機段101に対応するインペラ30へプロセスガスGを流入させる入口流路を形成している。吸込流路12は、吸込口11から径方向の内側に延びている。吸込流路12は、その向きを径方向から軸線方向の下流側に変化させつつ、第一圧縮機段101に対応するインペラ30のインペラ流路35の軸線方向の上流側を向く入口に接続されている。吸込流路12は、軸線Pを含む断面の形状が軸線Pを中心とする円環状に形成されている。
【0046】
ディフューザ流路13は、インペラ30のインペラ流路35から径方向外周側に流出したプロセスガスGが流入する出口流路である。ディフューザ流路13は、インペラ流路35の径方向の外側を向く出口に接続されている。ディフューザ流路13は、径方向断面視で直線状をなす径方向に延びる流路である。軸線方向の最も上流側のディフューザ流路13は、第一圧縮機段101に対応するインペラ30のインペラ流路35の出口から径方向の外側に向かって延びて、曲がり流路14に接続されている。
【0047】
曲がり流路14は、プロセスガスGの流通方向を径方向の外側に向かう方向から径方向の内側に向かう方向へと転向させる。つまり、曲がり流路14は、径方向断面視でU字状をなす流路となっている。軸線方向に隣接するインペラ30を繋ぐ流路のうち、曲がり流路14がダイアフラム群6内で最も径方向の外周側に設けられている。
【0048】
リターン流路15は、曲がり流路14を流通したプロセスガスGをインペラ30に流入させる入口流路である。リターン流路15は、径方向の内側に向かって径方向断面視で直線状に延びながら、その流路幅が徐々に拡がっている。リターン流路15は、ダイアフラム群6の径方向の内側でプロセスガスGの流通方向を軸線方向の下流側に変化させている。軸線方向の最も上流側のリターン流路15は、軸線方向の下流側に配置された第二圧縮機段102に対応するインペラ流路35の軸線方向の上流側を向く入口に接続されている。リターン流路15は、流路を横切るように断面視翼形状のリターンベーン150が周方向に複数設けられている。
【0049】
リターンベーン150は、リターン流路15内で曲がり流路14からのプロセスガスGを所望の方向へ転向させてインペラ流路35に案内する。本実施形態のリターンベーン150の所望の方向とは、例えば、インペラ30のインペラ流路35からのプロセスガスGの旋回成分を取り除くような方向、即ち、径方向に対してインペラ30の回転方向の後方側に傾斜する方向を意味している。
【0050】
これらディフューザ流路13、曲がり流路14、及びリターン流路15は、案内流路Aを構成している。つまり、第一圧縮機段101に対応するインペラ30の周りに形成された案内流路Aは、第一圧縮機段101に対応するインペラ30から径方向外側に排出されるプロセスガスGを径方向内側に向かって案内する。これにより、第一圧縮機段101に対応する案内流路Aは、第一圧縮機段101に軸線方向で隣接する第二圧縮機段102に対応するインペラ30に導入する。
【0051】
第一圧縮機段101に対応するインペラ30よりも下流側に配置された第二圧縮機段102に対応するインペラ30の周りに形成された案内流路Aについては、上述の第一圧縮機段101に対応する案内流路Aと同様の構成であるため、その説明は省略する。また、第三圧縮機段103、第四圧縮機段104、第五圧縮機段105、第六圧縮機段106のそれぞれに対応する案内流路Aについても上述の第一圧縮機段101に対応する案内流路Aと同様の構成であるため、その説明は省略する。つまり、第二圧縮機段102、第三圧縮機段103、第四圧縮機段104、及び第五圧縮機段105、のそれぞれに対応する案内流路Aは、ディフューザ流路13、曲がり流路14、及びリターン流路15によって構成されている。
【0052】
吐出流路16は、第六圧縮機段106に対応するインペラ30のインペラ流路35の出口に繋がるディフューザ流路13に接続されている。吐出流路16は、ディフューザ流路13から径方向の外側に向かって延びている。吐出流路16は、吐出口17に接続されている。
【0053】
吐出口17は、吐出流路16とともに、軸線方向に複数並ぶインペラ30のうち最も下流側に配置された第六圧縮機段106に対応するインペラ30からプロセスガスGを流出させる出口流路である。吐出口17は、ダイアフラム群6の内部からプロセスガスGを外部に排出させる。吐出口17は、ダイアフラム群6の外周側に開口された断面視円形状、長円形状または矩形状をなしている。吐出口17は、ダイアフラム群6の底部に、下方を向いて開口している。
【0054】
第一端部側ダイアフラム61及び第二端部側ダイアフラム62は、径方向の内側に軸受10bを収容している。第二端部側ダイアフラム62は、第一端部側ダイアフラム61と同じ材料で形成されている。
【0055】
第一ダイアフラム63は、遠心圧縮機100の複数の圧縮機段のうち、第一圧縮機段101に対応して設けられている。第一ダイアフラム63は、第一端部側ダイアフラム61の軸線方向の下流側に隣接され、第二ダイアフラム64の軸線方向の上流側に隣接されている。第一ダイアフラム63は、第一端部側ダイアフラム61と軸線方向に互いに向かい合っている。これにより、第一ダイアフラム63は、第一端部側ダイアフラム61とともに吸込口11及び吸込流路12を形成している。第一ダイアフラム63は、径方向の内側にインペラ30を収容可能な空間が形成されている。第一ダイアフラム63は、第一圧縮機段101に対応するインペラ30から排出されたプロセスガスGを流通させるディフューザ流路13及び曲がり流路14が内部に形成されている。
【0056】
第二ダイアフラム64は、遠心圧縮機100の複数の圧縮機段のうち第二圧縮機段102に対応して設けられている。第二ダイアフラム64は、第三ダイアフラム65の軸線方向の上流側に隣接されている。第二ダイアフラム64は、第一ダイアフラム63と軸線方向に互いに向かい合っている。これにより、第二ダイアフラム64は、第一ダイアフラム63とともに第二圧縮機段102に対応するインペラ30にプロセスガスGを流通させるリターン流路15を形成している。第二ダイアフラム64は、第二圧縮機段102に対応するインペラ30にプロセスガスGから排出されたプロセスガスGを流通させるディフューザ流路13及び曲がり流路14が内部に形成されている。第二ダイアフラム64は、径方向の内側にインペラ30を収容可能な空間が形成されている。
【0057】
第三ダイアフラム65は、遠心圧縮機100の複数の圧縮機段のうち第三圧縮機段103に対応して設けられている。第三ダイアフラム65は、第四ダイアフラム66の軸線方向の上流側に隣接されている。第三ダイアフラム65は、第二ダイアフラム64と軸線方向に互いに向かい合っている。これにより、第三ダイアフラム65は、第二ダイアフラム64とともに第三圧縮機段103に対応するインペラ30にプロセスガスGを流入するリターン流路15を形成している。第三ダイアフラム65は、第三圧縮機段103に対応するインペラ30から排出されたプロセスガスGを流通させるディフューザ流路13及び曲がり流路14が内部に形成されている。第三ダイアフラム65は、径方向の内側にインペラ30を収容可能な空間が形成されている。
【0058】
第四ダイアフラム66は、遠心圧縮機100の複数の圧縮機段のうち第四圧縮機段104に対応して設けられている。第四ダイアフラム66は、第五ダイアフラム67の軸線方向の上流側に隣接されている。第四ダイアフラム66は、第三ダイアフラム65と軸線方向に互いに向かい合っている。これにより、第四ダイアフラム66は、第三ダイアフラム65とともに第四圧縮機段104に対応するインペラ30にプロセスガスGを流入するリターン流路15を形成している。第四ダイアフラム66は、第四圧縮機段104に対応するインペラ30から排出されたプロセスガスGを流通させるディフューザ流路13及び曲がり流路14が内部に形成されている。第四ダイアフラム66は、径方向の内側にインペラ30を収容可能な空間が形成されている。
【0059】
第五ダイアフラム67は、遠心圧縮機100の複数の圧縮機段のうち第四圧縮機段104に対応して設けられている。第五ダイアフラム67は、第六ダイアフラム68の軸線方向の上流側に隣接されている。第五ダイアフラム67は、第四ダイアフラム66と軸線方向に互いに向かい合っている。これにより、第五ダイアフラム67は、第四ダイアフラム66とともに第五圧縮機段105に対応するインペラ30にプロセスガスGを流入するリターン流路15を形成している。第五ダイアフラム67は、第五圧縮機段105に対応するインペラ30から排出されたプロセスガスGを流通させるディフューザ流路13及び曲がり流路14が内部に形成されている。第五ダイアフラム67は、径方向の内側にインペラ30を収容可能な空間が形成されている。
【0060】
第六ダイアフラム68は、遠心圧縮機100の複数の圧縮機段のうち第六圧縮機段106に対応して設けられている。第六ダイアフラム68は、第二端部側ダイアフラム62の軸線方向の上流側に隣接されている。第六ダイアフラム68は、第五ダイアフラム67と軸線方向に互いに向かい合っている。これにより、第六ダイアフラム68は、第五ダイアフラム67とともに第六圧縮機段106に対応するインペラ30にプロセスガスGを流入するリターン流路15を形成している。第六ダイアフラム68は、径方向の内側にインペラ30を収容可能な空間が形成されている。第六ダイアフラム68は、第二端部側ダイアフラム62と軸線方向に互いに向かい合っている。これにより、第六ダイアフラム68は、第二端部側ダイアフラム62ととともに第六圧縮機段106に対応するインペラ30から排出されたプロセスガスGを流通させるディフューザ流路13、吐出流路16、及び吐出口17を形成している。
【0061】
車室10aは、吸込ノズル18と、吐出ノズル19とを有している。
吸込ノズル18は、軸線方向の第一端部側に設けられている。吸込ノズル18は、第一圧縮機段101に対応する第一段のインペラ30に、車室10aの外部からプロセスガスGを導く。第一段のインペラ30は、インペラ群3の中で最も軸線方向の第一端部側に配置されている。吸込ノズル18は、車室10aの底部側に設けられている。吸込ノズル18は、鉛直方向の下方に向かって延びるよう設けられている。吸込ノズル18は、吸込口11に接続されている。
【0062】
吐出ノズル19は、軸線方向の第二端部側に設けられている。吐出ノズル19は、第六圧縮機段106に対応する最終段のインペラ30から排出されるプロセスガスGを、車室10aの外部に吐出する。最終段のインペラ30は、インペラ群3の中で最も軸線方向の第二端部側に配置されている。吐出ノズル19は、車室10aの底部側に設けられている。吐出ノズル19は、鉛直方向の下方に向かって延びるよう設けられている。吐出ノズル19は、吐出口17に接続されている。つまり、吐出ノズル19は、吸込ノズル18と軸線方向に間隔を空けて配置されている。
【0063】
連通孔70は、
図2に示すように、各ダイアフラム60の曲がり流路14から鉛直方向の下方に延びている。連通孔70は、曲がり流路14の中で鉛直方向の最も下方に位置する底部と、ダイアフラム60の鉛直方向の下方の外周面とを連通している。
【0064】
第一ダイアフラム63は、曲がり流路14の底部14zから下方に向かって延びている第一連通孔71を備えている。第一連通孔71は、第一ダイアフラム63の下部外周面63fで開口している。下部外周面63fは、第一ダイアフラム63の外周面のうち、最も鉛直方向の下方位置する部分である。
【0065】
第二ダイアフラム64は、曲がり流路14の底部14zから下方に向かって延びている第二連通孔72を備えている。第二連通孔72は、第二ダイアフラム64の下部外周面64fで開口している。下部外周面64fは、第二ダイアフラム64の外周面のうち、最も鉛直方向の下方位置する部分である。第二連通孔72は、周方向の位置が第一連通孔71と同じ位置に形成されている。
【0066】
第三ダイアフラム65は、曲がり流路14の底部14zから下方に向かって延びている第三連通孔73を備えている。第三連通孔73は、第三ダイアフラム65の下部外周面65fで開口している。下部外周面65fは、第三ダイアフラム65の外周面のうち、最も鉛直方向の下方位置する部分である。第三連通孔73は、周方向の位置が第二連通孔72と同じ位置に形成されている。
【0067】
第四ダイアフラム66は、曲がり流路14の底部14zから下方に向かって延びている第四連通孔74を備えている。第四連通孔74は、第四ダイアフラム66の下部外周面66fで開口している。下部外周面66fは、第四ダイアフラム66の外周面のうち、最も鉛直方向の下方位置する部分である。第四連通孔74は、周方向の位置が第三連通孔73と同じ位置に形成されている。
【0068】
第五ダイアフラム67は、曲がり流路14の底部14zから下方に向かって延びている第五連通孔75を備えている。第五連通孔75は、第五ダイアフラム67の下部外周面67fで開口している。下部外周面67fは、第五ダイアフラム67の外周面のうち、最も鉛直方向の下方位置する部分である。第四連通孔74は、周方向の位置が第四連通孔74と同じ位置に形成されている。
【0069】
ケーシング10内には、複数の連通孔70を繋ぐように軸線方向に延びている軸線方向流路200が形成されている。本実施形態の軸線方向流路200は、複数のダイアフラム60の外周面と車室10aの内周面との間に設けられた隙間76によって形成されている。この隙間76は、車室10aの底部内周面10fと、第一ダイアフラム63の下部外周面63f、第二ダイアフラム64の下部外周面64f、第三ダイアフラム65の下部外周面65f、第四ダイアフラム66の下部外周面66f、及び第五ダイアフラム67の下部外周面67fとの間に形成されている。軸線方向流路200は、ダイアフラム群6において軸線方向の両端部に位置する第一連通孔71と第五連通孔75とを繋いでいる。本実施形態の軸線方向流路200は、第一連通孔71、第二連通孔72、第三連通孔73、第四連通孔74、及び第五連通孔75を繋いでいる。軸線方向流路200は、第一連通孔71と第五連通孔75との間で、軸線方向に沿って連続するよう形成されている。
【0070】
隙間76は、第一端部側ダイアフラム61、第一ダイアフラム63、第二ダイアフラム64、第三ダイアフラム65、第四ダイアフラム66、及び第五ダイアフラム67の外径のうち鉛直方向の下方を、車室10aの鉛直方向の下方における底部内周面10fの内径よりも、所定寸法小さくすることで形成することができる。
【0071】
なお、隙間76は、車室10aの下端部において、底部内周面10fの内径が、複数のダイアフラム60の外径よりも大きくなるよう、車室10aの内径を少なくとも下端部で拡大するように形成してもよい。
【0072】
車室10aは、底部で軸線方向流路200と車室10aの外部とを連通するドレン流路77が形成されている。ドレン流路77は、軸線方向の第一端部側と第二端部側とに位置する一対の連通孔に対して軸線方向の内側にのみ設けられている。つまり、ドレン流路77は、軸線方向における吸込ノズル18に最も近い位置に形成されている第一連通孔71、及び軸線方向における吐出ノズル19に最も近い位置に形成されている第五連通孔75との間にのみ設けられている。ドレン流路77は、一つのみ設けられている。ドレン流路77は、軸線方向の位置が吸込ノズル18及び吐出ノズル19と重ならない位置に形成されている。ドレン流路77は、軸線方向の位置が第一連通孔71及び第五連通孔75と重ならない位置に形成されている。ドレン流路77は、複数の連通孔70のうち、ロータ本体20の軸線方向の中心に近い連通孔70の直下に形成されることが好ましい。本実施形態のドレン流路77は、第三連通孔73と軸線方向の位置が重なるように形成されている。
【0073】
車室10aの底部には、ドレン流路77に連通するようにドレン管78が接続されている。ドレン管78は、車室10aから鉛直方向の下方に向かって延びている。ドレン管78には、図示しない開閉弁が設けられている。ドレン管78は、開閉弁が開かれることで軸線方向流路200からドレン流路77を通して流体を排出することができる。本実施形態のドレン管78は、ドレン流路77に対応するように一つのみ設けられている。
【0074】
このような遠心圧縮機100においては、運転停止時等にケーシング10内の流路に残存したプロセスガスGが液化した場合、液化したプロセスガスGはドレン液(液体)として、各段の曲がり流路14の底部14zに溜まる。
【0075】
曲がり流路14の底部14zに溜まったドレン液は、第一連通孔71、第二連通孔72、第三連通孔73、第四連通孔74、第五連通孔75を通って下方の軸線方向流路200に流れ込む。軸線方向流路200に流れ込んだドレン液は、ドレン流路77を介し、ドレン管78に流れ込む。ドレン管78の開閉弁(図示無し)が開くと、ドレン液は、ドレン管78から外部へと排出される。
【0076】
上述した実施形態の遠心圧縮機100によれば、複数のダイアフラム60に形成された曲がり流路14内に存在するドレン液は、それぞれ連通孔70を通って、ダイアフラム60の下部外周面63f、64f、65f、66f、67fと車室10aの底部内周面(内周面)10fとの間の軸線方向流路200に流れ込む。軸線方向流路200に流れ込んだドレン液は、ドレン流路77からドレン管78を通して車室10aの外部に排出される。ドレン流路77は、軸線方向の第一端部P1側と第二端部P2側とに位置する一対の連通孔70に対し、軸線方向の内側に設けられている。つまり、ドレン流路77は、最も第一端部P1側の第一連通孔71と最も第二端部P2側の第五連通孔75との間に設けられている。そのため、吸込ノズル18よりも軸線方向の内側であって、吐出ノズル19よりも軸線方向の内側にドレン流路77を形成することができる。したがって、これら吸込ノズル18及び吐出ノズル19に干渉しない位置にドレン流路77に接続されるドレン管78を配置することができる。つまり、ドレン管78のように車室10aの外部に配置される部材があっても、吸込ノズル18及び吐出ノズル19に干渉させずに配置することができる。
【0077】
これにより、ドレン流路77及びドレン管78を設けるために吸込ノズル18と吐出ノズル19との間隔を広げる必要がない。つまり、ロータ本体20を長くすることなく、ドレン流路77及びドレン管78を設けることができる。したがって、ロータ2の固有振動数が低くなって、遠心圧縮機100の運転時におけるロータ2の回転周波数に近づいて共振するのを抑えることができる。このようにして、ロータ本体20を長くすることなく、吸込ノズル18及び吐出ノズル19との干渉を避けつつドレン管78を設けることが可能となる。
【0078】
また、軸線方向流路200は、ダイアフラム60の下部外周面63f、64f、65f、66f、67fと車室10aの底部内周面10fとの間に設けられた隙間76によって形成されている。このような構成によれば、車室10aに対してダイアフラム群6を固定して設けたときに、ダイアフラム60の下部外周面63f、64f、65f、66f、67fと車室10aの底部内周面10fとの間に形成される隙間76を、軸線方向流路200とすることができる。したがって、軸線方向流路200を形成するために、溝等を加工して形成する必要が無く、低コストで軸線方向流路200を設けることができる。
【0079】
また、ドレン流路77は、軸線方向の両側に位置する第一連通孔71と第五連通孔75との間で、軸線方向の内側に、一つのみ設けられている。このような構成によれば、最低限の数のドレン流路77を吸込ノズル18及び吐出ノズル19に確実に干渉しないように設けることができる。
【0080】
(第2実施形態)
次に、この発明に係る多段遠心圧縮機の第2実施形態について説明する。この第2実施形態で示す遠心圧縮機100Aは、第1実施形態の遠心圧縮機100に対し、軸線方向流路200が異なるのみである。したがって、第2実施形態の説明においては、第1実施形態と同一部分に同一符号を付して説明するとともに重複説明を省略する。つまり、第1実施形態で説明した構成と共通する遠心圧縮機100の全体構成については、その説明を省略する。
【0081】
(第2実施形態)
第2実施形態では、軸線方向流路200Aは、ダイアフラム60の外周面で凹む溝76mによって構成されている。つまり、軸線方向流路200は、複数のダイアフラム60の外周面と、車室10aの下端部における底部内周面10fとの隙間76により形成される構成に限定されるものではない。
【0082】
具体的には、
図3に示すように、隙間76を形成する複数のダイアフラム60の外周面の一部に軸線方向に連続する溝76mを形成して軸線方向流路200Aを形成することが可能である。
このような構成とすることで、溝76mをダイアフラム60の外周面からの凹ませる量を調整することで、軸線方向流路200の流路断面積を任意に設定することができる。したがって、軸線方向の必要な領域に十分な流路断面積を有する軸線方向流路200Aを設けることができる。
【0083】
(第3実施形態)
次に、この発明に係る多段遠心圧縮機の第3実施形態について説明する。この第3実施形態で示す遠心圧縮機100Bは、第1実施形態の遠心圧縮機100に対し、ドレン管78からのドレン水の排出を促す排出補助手段として、吸引部を備える点が異なるのみである。したがって、第3実施形態の説明においては、第1実施形態と同一部分に同一符号を付して説明するとともに重複説明を省略する。つまり、第1実施形態で説明した構成と共通する遠心圧縮機100の全体構成については、その説明を省略する。
【0084】
図4に示すように、本実施形態のドレン管78には、ブロア(吸引部)80等の負圧源が接続されている。このブロア80は、作動することで、ドレン管78及びドレン流路77の内部を負圧状態とし、軸線方向流路200である隙間76からドレン流路77、ドレン管78を通して、ケーシング10内の液体を吸い出すことができる。
【0085】
この実施形態の遠心圧縮機100Bでは、複数段の曲がり流路14に設けられた連通孔70から軸線方向流路200に流れ込んだ液体をブロア80で吸い出すことができる。そのため、ドレン管78を通してドレン流路77から液体を車室10aの外部に確実に排出することができる。
【0086】
(その他の実施形態)
なお、この発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、この発明の趣旨を逸脱しない範囲において、設計変更可能である。
【0087】
例えば、上記各実施形態では、ドレン流路77及びドレン管78を、軸線方向の両端部に位置する第一連通孔71と第五連通孔75よりも、軸線方向における内側位置に、1つのみ設けるようにしたが、これに限られない。軸線方向の両端部に位置する第一連通孔71と第五連通孔75よりも、軸線方向における内側位置であれば、ドレン流路77及びドレン管78を複数組設けるようにしてもよい。
【0088】
また、軸線方向流路200である隙間76や溝76mは、軸線と平行であることに限定されるものではなく、軸線に対して傾斜していてもよい。したがって、例えば、車室10aの底部内周面10fを、ドレン流路77に向かって漸次下方に下がるよう、傾斜させて形成することも可能である。
【0089】
また、上記各実施形態では、ケーシング10内に、複数のダイアフラム60から構成されるダイアフラム群6を1群のみ備えるようにしたが、ダイアフラム群を複数群備えるようにしてもよい。この場合、それぞれのダイアフラム群において、軸線方向の両端部に位置する一対の連通孔よりも、軸線方向における内側にドレン流路77及びドレン管78を設けるようにする。これによって、それぞれのダイアフラム群において、ドレン流路77及びドレン管78が、吸込ノズル18や吐出ノズル19に干渉するのを抑えることができる。