(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6583939
(24)【登録日】2019年9月13日
(45)【発行日】2019年10月2日
(54)【発明の名称】蒸気発生器スラッジランス装置
(51)【国際特許分類】
G21F 9/28 20060101AFI20190919BHJP
【FI】
G21F9/28 522B
G21F9/28 521B
【請求項の数】5
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2018-152043(P2018-152043)
(22)【出願日】2018年8月10日
(62)【分割の表示】特願2016-533653(P2016-533653)の分割
【原出願日】2014年8月21日
(65)【公開番号】特開2019-7968(P2019-7968A)
(43)【公開日】2019年1月17日
【審査請求日】2018年8月10日
(31)【優先権主張番号】14/135,619
(32)【優先日】2013年12月20日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】501010395
【氏名又は名称】ウエスチングハウス・エレクトリック・カンパニー・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100091568
【弁理士】
【氏名又は名称】市位 嘉宏
(72)【発明者】
【氏名】ホーキンス、フィリップ、ジェイ
【審査官】
右▲高▼ 孝幸
(56)【参考文献】
【文献】
特表2013−510282(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G21F 9/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
蒸気発生器スラッジランスを蒸気発生器(10)内の構造物に整列させるための当該スラッジランス用の整列ツール組立体であって、当該蒸気発生器は管板(38)を包み込む胴部(12)と、当該管板から延びる管径が実質的に均一の複数の細管(24)とを有し、当該細管は実質的に規則的なパターンに配列され、互いに隣接する細管間には実質的に一様な狭い隙間(28)があり、当該規則的なパターンの概して中央には中央レーン(26)があり、当該胴部は当該中央レーンに整列する1つ以上のアクセス開口(30)を有し、当該整列ツール組立体は、
駆動組立体(56)とレール(48)を支持するように構成された取付け組立体(60)と、
レール(48)に沿って移動し、当該レール上のスラッジランスのノズル組立体(42)と、整列ツール上の指針(178)に最も近い位置にある当該複数の細管(24)のうちの1つとの間の直線距離を測定するように構成された整列ツール(176)と
から成り、
前記指針(178)が垂直方向から第1の方向へ90度横方向に回転することにより、前記ノズル組立体(42)と前記複数の細管(24)のうちの1つとの間の距離を測定することを特徴とする、整列ツール組立体。
【請求項2】
前記指針(178)が前記第1の方向とは反対の第2の方向へ横方向に回転することにより、前記ノズル組立体(42)と前記ノズル組立体の反対側にある構造物(32)との間の距離を測定することを特徴とする、請求項1の整列ツール組立体。
【請求項3】
前記構造物が、実質的に前記中央レーン(26)に沿って延びる仕切板(32)である、請求項2の整列ツール組立体。
【請求項4】
前記指針(178)が前記第1の方向へ回転して噴射口(40)を前記隙間(28)に整列させることを特徴とする、請求項1のスラッジランス。
【請求項5】
前記指針(178)を回転自在に支持するハウジングの表面(206)は、前記指針の角度位置を前記ノズル組立体(42)からの直線距離に変換するためのマーク(DP、R1)を有することを特徴とする、請求項1のスラッジランス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般にチューブ・シェル型蒸気発生器に関し、具体的には、かかる蒸気発生器の二次側からスラッジを洗浄除去するための洗浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
加圧水型原子炉の蒸気発生器は、典型的には、縦置き胴部と、管群を形成するよう胴部内に配設された複数のU字管と、U字湾曲部とは反対側の端部でU字管を支持する管板と、管板の下側と協働する仕切板と、管群の一端に一次流体入口ヘッダを、また管群の他端に一次流体出口ヘッダを形成するチャンネルヘッドとより成る。一次流体入口ノズルは一次流体入口ヘッダと流体連通関係にあり、また、一次流体出口ノズルは一次流体出口ヘッダと流体連通関係にある。蒸気発生器の二次側は、管群と胴部との間に位置して外側の胴部との間に環状室を形成する管群外筒から成り、管群のU字形湾曲部の端部の上方には給水リングが設けられている。
【0003】
原子炉内を循環して加熱された一次流体は、一次流体入口ノズルを介して蒸気発生器に流入する。この一次流体は、一次流体入口ノズルから一次流体入口ヘッダに入り、U字管群の内部を通って一次流体出口ヘッダへ流出し、そこから一次流体出口ノズルを通って原子炉冷却系の残りの部分へ導かれる。同時に、管板上方の管群の外側に接する蒸気発生器の二次側へは、蒸気発生器内の給水リングに接続された給水ノズルを介して給水が導入される。一実施態様において、給水は、蒸気発生器に入るとすぐに、管群上方に支持された湿分分離器から戻ってくる水と混ざり合う。ダウンカマ流と呼ばれるこの混合物は、胴部に隣接する環状室を下降した後、環状室の底部の下方にある管板によって方向を転換された後、管群外筒の内側をU字管の外側と熱伝達関係を成して上昇する。水が管群と熱伝達関係を成して循環する間、細管内の一次流体から細管周囲の水へ熱が伝達され、細管周囲の水の一部が蒸気に変換される。この蒸気は上昇して多数の湿分分離器を通過するが、その間に蒸気から同伴湿分が分離される。蒸気はその後蒸気発生器を出て、典型的にはタービンへ送られ、当技術分野において周知の方法で電気を発生させる。
【0004】
一次流体は放射性物質を含み、U字管の壁のみにより給水から隔離されているため、このU字管の壁は、かかる放射性物質を隔離する一次バウンダリの一部である。したがって、U字管を欠陥のない状態に保つことが重要である。U字管の壁に漏洩を引き起こす原因が少なくとも2つあることがわかっている。稼働している蒸気発生器から採取した細管試験片のひび割れ付近で発見された高い腐食度と、制御された実験室条件下で腐食性元素により発生させた欠陥がこれらのひび割れに類似することから、高い腐食度が粒界腐食の原因すなわち細管ひび割れの原因として考えられることがわかっている。
【0005】
細管漏洩のもうひとつの原因は、細管の減肉と考えられる。細管の渦電流探傷検査から、管板上に蓄積したスラッジの高さに対応する管板付近に細管の減肉が起きることがわかっている。加圧水型原子炉の蒸気発生器の運転中、水が蒸気に変わる際に二次側に付着物が発生する。この付着物は管板上にスラッジとして蓄積する。このスラッジは、主成分の鉄酸化物粒子および銅化合物と、その他の少量の鉱物から成り、給水から管板上に、さらには管板と細管との間の環状部内に析出したものである。蓄積したスラッジの高さは、スラッジ中の磁鉄鉱に感応する低周波数信号を用いた渦電流探傷検査によって推測することができる。スラッジの高さと細管壁の減肉箇所の相関関係は、スラッジ付着物によって細管壁にリン酸塩溶液やその他の腐食性物質が濃集しやすい場所ができ、その結果、細管減肉が起きることを強く示唆している。
【0006】
前述の理由から、蒸気発生器の適切な運転を維持するには定期的に洗浄して付着物を除去するのが望ましい。典型的には、U字管の中心(細管レーン)に沿ってスプレーノズルを導入することにより、付着物を管群から外方へ移動させる。管群のすぐ外側の環状部で付着物を水流により吸込口へ送り込み、そこから蒸気発生器の外へ出して処分する。
【0007】
コンバッション・エンジニアリング社が以前に製造していたような一部の蒸気発生器では、スラッジランスにより、その中心から外方へ通常アクセスできる範囲は、細管レーンを狭隘にする部材により制限される。この部材は、細管レーンの中心に直接配設される仕切板であり、水平方向のアクセス範囲を公称1−5/16インチ(2.85cm)に制限する。製造公差のため、仕切板と内側列の細管との間の空間は1インチ(2.54cm)近くなることがある。空間がこのようにさらに狭くなるのは、仕切板が内側列の細管と平行に配設されていないせいであることが多い。
【0008】
細管レーンに沿う利用可能な空間は非常に狭いので、現状において、洗浄は、高圧かつ大量の水の噴流を蒸気発生器の管群の周囲に沿って掃引することによって行なわれる。洗浄の際、噴霧状態の水の多くが蒸気発生器の中心へ差し向けられるため、付着物は内方へ押しやられ、除去が一層困難になる。蒸気発生器の中心へ向けて水を噴射するこの方法の別の問題点は、スラッジ付着物の大部分が、洗浄水噴射口から遠く離れた、スプレーがエネルギーと集中力を失った場所にあることである。また、噴射口スプレーが、効果的な洗浄を行える管板に対して垂直に近い方向に差し向けられるのではなく、管板に平行に近い方向に差し向けられるということがある。
【0009】
スラッジランスによる洗浄を効果的に行う上での課題の一つは、洗浄水噴射口を細管の隙間、すなわち細管の間の空間、に整列できることである。コンバッション・エンジニアリング社が設計した蒸気発生器の場合、細管の隙間は公称0.116インチ(0.295cm)である。細管の間へ深く浸透させるには、±0.02度の正確さで角度を調整することが望ましい。周縁部から内方へ水を噴射する場合、装置が移動するたびに噴射口の位置を変えて細管の隙間に整列させる必要があるので、隙間に対する調整、また角度の調整が一層難しくなる。
【0010】
したがって、本発明の目的は、蒸気発生器の細管レーンの、仕切板と細管の第1列との間を邪魔されずに移動できるスラッジランスを提供することである。
【0011】
本発明の別の目的は、隙間に整列するよう角度を調整しながら、細管の第1列から所定の距離離隔させるのが容易なスラッジランスを提供することである。
【0012】
本発明のさらなる目的は、動作を開始する前に仕切板からの距離を確認できるスラッジランスを提供することである。
【0013】
本発明の追加の目的は、移動のたびに噴射口を隙間に整列するよう再校正する必要のないスラッジランスを提供することである。
【0014】
本発明のさらなる目的は、ノズルの噴射口からの高圧流体により生じる横向きの反力に抗して、スラッジランスのノズルを支持することである。
【発明の概要】
【0015】
上記およびその他の目的は、管板を包み込む胴部と、当該管板から延びる管径が実質的に均一の複数の細管とを有し、実質的に規則的なパターンに配列された細管の互いに隣接する細管の間に実質的に一様な狭い間隙がある蒸気発生器に使用されるスラッジランスによって達成される。この規則的なパターンの概して中央には中央レーンがあり、この中央レーンのほぼ中心に沿って仕切板が延びる。胴部は、中央レーンに整列した1つ以上のアクセス開口を有し、スラッジランスはこの開口を介して中央レーンにアクセスできる。スラッジランスは、駆動組立体とレールを支持するように構成された取付け組立体を具備し、当該駆動組立体は、当該レールを仕切板の片方の側の細管と仕切板との間の中央レーンに沿って移動させるように構成されている。レールに連結されたノズル組立体は、液体の流路を画定する本体組立体を有している。ノズル組立体は、細管と仕切板との間を通過できる大きさを有する。ノズル組立体の本体組立体の噴射口から高圧流体が噴出する際に反動でノズルが動くのを防ぐために、ノズル組立体の本体組立体は、当該組立体のキャビティ内を往復移動可能であり、当該ノズル組立体が中央レーンに配置されると仕切板に接触する方向へ付勢されるプランジャを有する。
【0016】
一実施態様において、プランジャの周囲のキャビティは、高圧流体がノズル組立体を介して送出される時、キャビティ内をプランジャが移動しないように構成されている。この実施態様では、高圧流体が、プランジャをキャビティ内の定位置に押し止める。
【0017】
別の実施態様では、ノズル組立体の本体組立体は流路と流体連通関係にある複数の噴射口を有し、これらの噴射口から細管の間の隙間を通る流体が噴出する。この実施態様では、噴射口を隙間に整列させるための整列ツールがレールに取り付けられている。好ましくは、整列ツールはレールに沿って移動可能であり、ノズル組立体と、整列ツール上の指針に最も近い細管との間の距離を測定することができる。望ましくは、この指針は、垂直方向から2つの互いに反対の方向のうち少なくとも1つの方向へ横方向に90度回転し、当該互いに反対の方向のうちの第1の方向はノズル組立体と最も近い細管との間の距離を測定し、当該互いに反対の方向のうちの第2の方向はノズル組立体と仕切板との間の距離を測定する方向である。別の実施態様では、指針が第1の方向へ回転すると、噴射口が細管の間の隙間に整列する。好ましくは、この指針を回転自在に支持するハウジングの表面に、指針の角度位置をノズル組立体からの直線距離に変換するためのマークが付いている。
【0018】
本発明は、上段に概説したように、蒸気発生器スラッジランス用の整列ツールも企図している。
【図面の簡単な説明】
【0019】
本発明の詳細を、好ましい実施態様を例にとり、添付の図面を参照して以下に説明する。
【0020】
【0021】
【
図2】
図1に概要を示すタイプの蒸気発生器の部分断面図である。管板の上方を切ったこの断面図は、中央細管レーンに沿って延びる仕切板を示している。
【0022】
【
図3】
図2に示す仕切板周辺部分の拡大断面図である。
【0023】
【
図4】蒸気発生器に取り付けられ、手穴を貫通する、本発明の一実施態様の平面図である。
【0024】
【
図5】蒸気発生器の
図4に示す部分の立面図である。
【0025】
【
図6】
図5に示す本発明の実施態様のスプレーヘッド、レールおよび振動組立体の断面図である。
【0026】
【0027】
【
図8A】
図6に示すスプレーヘッドの立断面図である。
【0028】
【
図8B】
図8Aの線A‐Aに沿うヘッド組立体の断面図である。
【0029】
【
図8C】
図8Bに示すスプレーヘッド組立体の後部の拡大断面図である。
【0030】
【
図9A】
図4および
図5に示す取付け組立体および中間プレートの正面図である。
【
図9B】
図4および
図5に示す取付け組立体および中間プレートの側面図である。
【
図9C】
図4および
図5に示す取付け組立体および中間プレートの底面図である。
【0031】
【0032】
【0033】
【0034】
【0035】
【
図14】
図11の線D−Dに沿ったインデックス駆動組立体の断面図である。
【0036】
【
図15】好ましい実施態様のスラッジランス組立体の一部を構成する整列ツールの断面図である。
【0037】
【0038】
【0039】
【0040】
【
図19】細管の隙間に整列する位置にあるスイングアーム指針を示す概略図である。
【0041】
【
図20】第1列の距離を測定するスイングアーム位置を概略的に示す上面図および正面図である。
【0042】
【
図21】仕切板の距離を測定するスイングアーム位置を概略的に示す上面図および正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
図1は、加圧水型原子炉(図示せず)の蒸気発生器10を示す。蒸気発生器10については、2008年10月14日に発行された米国特許第7,434,546号に極めて詳細に記載されている。大まかに言って、蒸気発生器10は密閉空間14を画定する長尺の概して円筒状の胴部12と、少なくとも1つの一次流体入口16と、少なくとも1つの一次流体出口18と、少なくとも1つの二次流体入口20と、少なくとも1つの二次流体出口22と、当該一次流体入口16と当該一次流体出口18との間に延設され、当該一次流体入口16および当該一次流体出口18と流体連通関係にある複数の実質的に均一な管径の細管24とを含む。円筒状の胴部12は、その長手軸が実質的に垂直方向に延びるように配置するのが一般的である。細管24は、密閉空間内にあって流体入口16と流体出口18を分離するマニホールドの一部を形成する管板38に封止結合されている。
図1に示すように、細管24は概して逆「U」字形の経路を成す。
図2および
図3に示すように、細管24は、隣接する細管24の間に実質的に一様な狭い隙間28のある実質的に規則的なパターンに配置されている。細管の隙間28(
図3に示す)は、典型的には約0.11〜0.41インチ(0.30〜1.04cm)の間であり、より典型的には約0.116インチ(0.29cm)である。また図示のように、細管24の「U」字部は、胴部12の中心を横切る細管レーン26を画定する。細管レーン26の両端には、細管レーンへのアクセス開口30が存在する。細管レーンアクセス開口30は通常円形であり、その口径は典型的には約5〜8インチ(12.7〜20.3cm)、より典型的には約6インチ(15.2cm)である。
【0044】
加圧水型原子炉の稼働中、原子炉からの加熱された一次水は、一次流体入口16から入って細管24を通過し、一次流体出口18を介して蒸気発生器10から排出される。二次水は二次流体入口20から蒸気発生器10へ流入し、蒸気出口22から蒸気発生器10を出る。二次水は細管24の外面に沿って流動する間に蒸気に変換され、細管24同士の間、管板38の表面、および蒸気発生器10のその他の構造物の上にスラッジを蓄積させる。大型のスラッジランスによるこのスラッジへのアクセスは、典型的には、細管レーンアクセス開口30を介して行われる。
【0045】
図2に示すのは、
図1の線2−2に沿う蒸気発生器の部分断面図である。ある特定の設計の蒸気発生器において、仕切板32は、手穴であるアクセス開口30のほぼ中心軸に沿って延びるため、スラッジランスがアクセスする上で制約となる。このタイプの蒸気発生器は、細管レーンから外向きに高圧水を噴射すると共に、胴部12と細管24との間の環状領域に沿う周縁部を流れる水流を導入すると効果的な洗浄を行える。この水流は矢印34で示す円周方向に流れ、位置36(検査用開口)のところで吸引されるため付着物と水が蒸気発生器から除去される(米国特許第4,079,701号の説明を参照)。仕切板32と内側列の細管との間の隙間「G」は、細管の間の隙間に正確に整列させる必要のある噴流を噴射口から導入するための空間としては小さく狭いものである。また、この小さい隙間「G」は、反対向きの噴射口からの水流によりスラッジランスのノズルにかかる反力を相殺させるにあたり制約となる。反対向きの相殺用噴射口が存在しない場合、典型的には50ポンド(22.7キログラム)の反力がスラッジランスのノズルにかかる。
【0046】
図3に示すのは、蒸気発生器10、仕切板32、細管24および手穴であるアクセス開口30の拡大断面図である。蒸気発生器の製造公差のため、仕切板32は細管と平行でないことがある。この角度のずれにより、内側列の細管と仕切板との間の隙間にばらつきが生じる。「G1」と「G2」の差は、仕切板の長さに沿って最大0.25インチ(0.64cm)になることがある。
【0047】
図4および
図5は、それぞれ、蒸気発生器10に取り付けられ、手穴であるアクセス開口30を貫通する本発明の一実施態様(後述)の平面図および立面図である。回転式高圧噴射口40は、蒸気発生器内に水流を導入し、細管間の不要な残留物を破壊して解放し、蒸気発生器の外部構造に向けて移動させる。それと共に、縁辺部の流れと吸引装置によって、残留物を蒸気発生器から除去する。噴射口40は、ヘッド組立体44に取り付けられたノズル組立体42の一部である。
図5において噴射口40は下向きになっているが、これは、システムが加圧されて高圧水を噴射口を介して押し出す始動時の通常の姿勢である。
図4では、噴射口40は回転して水を細管の隙間28に差し向ける水平に最も近い姿勢になっている。噴射口が下向きの垂直姿勢からほぼ水平の姿勢へ回転すると、噴流の反動によって、ヘッド組立体44が仕切板32の方へ押し付けられる。ロッキングプランジャ46(詳細は後述)が仕切板32に対して作用することによりヘッド組立体44が横方向に固定され、洗浄スプレーが細管の隙間に対する角度が維持される。連結された2つ以上のレール組立体48を使用して、ヘッド組立体44を管群内の細管レーンに沿って並進させる。レール組立体48はまた、高圧水流を通過させノズルを回転させるための手段を提供する。後部のレール組立体には、振動組立体50が固着されている。振動組立体は、噴射口40の掃引動作のために回転駆動力を提供する。回り継手54に接続されたクイックカップリング52に導入される水は、給水ホースの柔軟な動きを可能にする。中間プレート58に取り付けられ、取付け組立体60に支持されたインデックス駆動組立体56は、蒸気発生器10の内部への、また外部へのレール48の正確な並進を可能にする。レール組立体48の断面形状は、十分な曲げ剛性を提供するので、ヘッド組立体を蒸気発生器内へ7フィート以上入ったところに位置決めするにあたり追加の支持は不要である。各組立体については後述する。洗浄を効果的に行うには、噴射口40を細管の各隙間に位置決めする必要がある。細管の隙間に対する噴射口の適切な割り出しは、整列マーク62と調整可能な指針64によって再設定または確認できる。
【0048】
図6に示すのは、ヘッド44、レール48および振動組立体50の断面図である。流路66は、振動組立体50からヘッド組立体44への高圧水(約3,000psi)の送り出しに使用する。駆動シャフト68は、回転運動を振動組立体50からヘッド組立体44へ伝達する。振動組立体50とレール48はいずれも、米国特許出願公開第2011/0079186号に開示されたものに類似する。ここで説明する実施態様において、駆動シャフト68は水路66の下方に位置するため、ノズル40の回転軸はヘッド組立体44の底部付近にある。この構成は、ノズル40を蒸気発生器の管板付近に配置し、ノズルを支持し、ヘッド組立体44が機能を果たす上で必要な構成機器をヘッド組立体内に配置できるようにする上で望ましい。
【0049】
図7は、米国特許出願公開第2011/0079186号にも開示された振動組立体50の拡大断面図である。駆動シャフト68の回転は、スロット72内のピン70によって±90度に制限される。レール組立体48に過度な応力がかかるおそれがあるので、噴射口40の偶発的な上向きの回転を防止することが重要である。
【0050】
図8Aは、高圧水スプレーを正確に細管隙間に差し向ける手段を提供するヘッド組立体44の立断面図である。流路66に流入する高圧水は、ノズル本体76の環状開口74の周りに差し向けられる。水はその後、アンギュラーポート78を介してオフセットポート80へ流入する。このポート80はノズル回転軸82からずれているため、仕切板32と内側列の細管24との間の限られた空間内で噴射口40を掃引させるための隙間が提供される。封止された玉軸受84は、ノズル本体76にかかる約50ポンドの半径方向荷重に対して回転方向の剛性的な支持を提供する。回転方向の摩擦を最小限に抑えるために、環状開口74内を高圧に保つ2つのシール86が漏洩を制限する。水が多少シールから漏れる可能性があるので、前置の開口88を、後置の封止された軸受84のところで水圧が上昇するのを防ぐための漏洩経路にする。ピン92によって所定位置に固定された低圧シール90は、ポート94を介する高圧シールからの漏洩水の向きを変える障壁となる。低圧シール90がないと、水は駆動シャフト68に沿って流れ、蒸気発生器から流出する可能性がある。
【0051】
前述のように、ロッキングプランジャ46は仕切板32に作用してヘッド組立体44を横方向に固定することにより、洗浄スプレーが細管の隙間に整列する角度を維持する。ロッキングプランジャ46は、ヘッド組立体44と一体的である。
図8Bは、
図8Aに示すヘッド組立体44の線A−A沿う断面図である。
図8Cは、ロッキングプランジャが仕切板32によって部分的に押された状態を示す拡大断面図である。
図8Cにおいて、ヘッド組立体44が蒸気発生器の内部へ、また外部へ並進する際、圧縮ばね98がピストン96を仕切板32に対して付勢する。ばね98の力は、ヘッド組立体44が横方向へ過度に反れないように十分に小さい(0.5ポンド(0.23キログラム)未満)ものである。ピストン96は、仕切板32とピストン96との間に小さな摩擦の存在を許容して、仕切板が損傷しないように、アセタールなどのポリマー製とする。
【0052】
ポリマーピストン96の外径部分の剛性を高めるために、端部キャップ102によって捕捉されるステンレス鋼リング100を使用する。ステンレス鋼リング100は、含水膨張による直径の変化が起きにくく、「ロック」状態で高めの摩擦係数を提供する。ステンレス鋼リング100を、ロックリング104とOリング106が取り囲んでいる。ロックリング104は、高い強度、中程度の摩擦係数、低い弾性係数および低い吸水率を実現するために、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)製であるのが好ましい。Oリング106とロックリング104は、ヘッド組立体のハウジング108とカバープレート110との間に捕捉される。シールリング112は、流体の損失を防いで、環状チェンバ114を加圧できるようする。
【0053】
図8Aおよび
図8Cにおいて、ロッキングプランジャは以下のように機能する。ランス組立体は当初、細管レーンと平行に(後述する)、仕切板の十分近くに整列しているので、ロックプランジャのピストン96は仕切板にちょうど接した状態にあるかまたはそれにより押された状態にある。リング100の外径とロックリング104の内径との間の半径方向の小さな隙間は、ばね98がピストン96を仕切板32に密着させる状態に保つための摺動可能な界面を提供する。加圧水を流す前に、ランスのヘッド組立体は、
図8Aに示すように噴射口が下向きの状態で蒸気発生器内に配置される。水圧を上昇させると、ポート66から流体がヘッドに流入し始める。噴射口40の直径が小さくて水流が制限されるため、ポート66における圧力がシステムのポンプ圧まで上昇する。高圧水がポート116さらには環状チェンバ114へ流入するための流路がある。環状チェンバ114内の加圧水は、Oリング106を半径方向内方へ移動させてロックリング104に押し付け、さらにロックリング104を鋼製リング100の周りに押し付ける。ロックリング104の内径と鋼製リング100の外径との間の半径方向の隙間は十分に小さく、ロックリングの変形が材料の弾性限界より十分に少ない値に保たれるため、システムが減圧されると、ロックリングはOリング106を半径方向外方へ押しやり、ピストン96が自由に動けるようになる。システムが加圧された時ピストン96が軸方向に動けないようにするために、ロックリング104は、ハウジング108とカバープレート110の間に軸方向に捕捉される。噴射口が下向きの状態でシステムが加圧されると、噴射口からの流水はヘッドを横方向ではなく上方へ持ち上げる反力を発生させるが、この動きはレール組立体48によって抑えられる。システムが加圧状態の時、ピストン96は仕切板32に対して固定された位置にある。洗浄の際噴射口を管群の方へ回転すると、ヘッド組立体44を仕切板32の方向へ強制的に向ける水平の反力が生じる。ピストン96がロックされると、ヘッドの横方向の移動が阻止されるため、噴射口40が細管の隙間に整列する角度が保たれる。
【0054】
図9A、9B、9Cは、蒸気発生器10に取り付けられた取付け組立体60および中間プレート58を示す。インデックス駆動組立体(
図9に示さず)は、ねじ穴118または120(仕切板のどちらの側でランス装置を移動させるかによる)に係合するボルトによって、中間プレート58に取り付けられる。ねじ穴に対応する合わせピン122または124によって、インデックス駆動組立体を中間プレート58に対して正確に位置決めする。中間プレートの位置を一旦調整したら、インデックス駆動組立体を取り外して、ほとんどまたはまったく調整せずに仕切板32のいずれかの側に配置することができる。中間プレート58は、4つのクランプノブ126によって取付け組立体60に固定される。高さ調整器128によって、中間プレート58の左右傾斜、前後傾斜、および垂直位置を調整できる。中間プレート58の横方向位置および角度位置(偏角)は、ねじ130によって調整できる。取付け組立体60に設けられたスロット開口132は、横方向および角度方向の移動を可能にする。
【0055】
インデックス駆動組立体56を
図10〜14に示す。このインデックス駆動組立体56は、米国特許出願公開第2011/0079186号に記載されたものに類似するが、レール組立体48からの片持ちばり荷重の増大に対処する横方向支持機構および軸受支持部が追加されている点で相違する。脱落防止上部取り付けねじも利用される。
【0056】
正面図と右側立面図を、それぞれ
図10Aおよび
図10Bに示す。インデックス駆動組立体の主要部は、下部ハウジング134、上部ハウジング136および正面カバー138である。脱落防止ねじ140は、下部ハウジングを、取付け組立体60上の中間プレート58に結合するために使用される。レール組立体48は、インデックス駆動組立体56に位置するので、透視的に示してある。
【0057】
図11は、インデックス駆動組立体56の平面図である。脱落防止ねじ140へのアクセスを、調整可能な指針64と共に示してある。
【0058】
図12は、
図10Aの線B−Bに沿う断面図であり、レール組立体48のための横方向クランプ機構を示している。軸144により支持された2つの玉軸受142は、レール48を小さな摩擦で並進させ蒸気発生器に出入りできるようにしながら、横方向において下部ハウジング134に対して決まった距離に位置決めする。軸148上に支持された第2の組の玉軸受146は、ブラケット150に取り付けられている。ねじ溝付き軸154のノブ152を締めると、ブラケット150と軸受146が共にレール48の方へ移動して、レールを軸受142に密着させる。ブラケット150に圧入される合わせピン156には、正面カバー138の穴に摺動自在に結合するのに十分な半径方向の隙間がある。軸受142および146によって、レールに特定の横方向クランプ荷重を加えるのが望ましい。クランプ力が過大であると、転がり摩擦が増え、ブラケット150に過剰な応力がかかる可能性がある。クランプ力が過小であると、レール48が横方向に動いて噴射口40が非整列になる可能性がある。軸受142および146がレール48と接触する時点で、ブラケット150と正面カバー138との間に所定の隙間158がある。ノブ152をさらに締めると隙間158が閉じ、ブラケット150が適正な横方向荷重の板ばねとして機能する。
【0059】
図13は、
図11の線C−C沿う断面図であり、軸受142と146の間に位置し、下部ハウジング134に対して横方向に支持されたレール48を示している。レール48は、軸受162および164により下部ハウジング134に回転自在に固定された駆動ホイール160により、垂直方向に支持される。下部ハウジング内には、第2の遊び車(図示せず)も設置されている。上部ハウジング136内の2つの遊び車組立体166によって、垂直方向の支持機構が完成する。
【0060】
図14は、
図11の線D−Dに沿う断面図である。上部ハウジング136は、リニア玉軸受170を貫通する一対の軸168によって下部ハウジング134に摺動自在に結合されている。ねじ溝付きノブ172を締めると、上部ハウジング136が下部ハウジング134の方へ押され、レール48が垂直方向において剛性的に支持される。
【0061】
スラッジを効果的に除去するには、噴射口40を細管の隙間に位置決めし、噴射口の角度を細管の隙間と平行にすることが重要である。横方向の反りを制限するように仕切板に対して作用させる場合、ランスから仕切板までの距離が許容限度内にあるのを確認することも重要である。整列ツールはそうした機能を有し、仕切板のいずれの側でも対応することができる。
図15に示すのは、1つ以上のレール48に取り付けることができる、アーム組立体174および指針組立体176から成る整列ツールである。レール駆動シャフト68は、アーム174と指針176の間で回転運動を伝達するために使用される。
【0062】
図16Aおよび
図16Bは、それぞれアーム組立体174の正面図および立断面図である。軸180に取り付けられたスイングアーム178は、一対の玉軸受184によってハウジング182に回転自在に結合されている。玉軸受184は、ナット186および内側の球溝スペーサ188によって軸180に対して軸方向に拘束されている。留めねじ190は、回転自在な組立体をハウジング182内において軸方向に動かないよう固定する。テイパー付き継手197は、遊びをなくすために軸方向に荷重がかけられたレール駆動シャフト68に係合する。ボールプランジャ192は、スイングアームを(図示のように)上向きに保持するために、または時計回りもしくは反時計回りに90度回転した状態に保持するために、3つの溝194のうちのいずれか1つに係合する。スイングアーム178は、蒸気発生器に出入りする並進時に垂直位置に位置決めされる。90度の位置は、インデックス指針(後述する)の設定に使用される。ハウジング182の「C」字形状部の上に設置されるプラスチック製案内部材196および198は、ばねピン200によってハウジング182に摺動自在に固定される。プラスチック製案内部材196および198は、蒸気発生器細管24との金属同士の接触を防止する。下方のプラスチック製案内部材198には、駆動ピン204(
図10Bに示す)と自由に係合できるように穴202が設けられている。
【0063】
図17および
図18は、それぞれ指針組立体176の立断面図および背面図である。後部ブロック206は、脱落防止ねじ208によってレール48に結合されている。合わせピン210はレール/ブロック組立体の正確な位置決めを可能にする。割りブッシング212は、駆動シャフト214と後方のブロック206を、駆動シャフトが後方のブロックに対して適切に回転および並進できるように連結する。指針216は回転自在であり、正方形の駆動部218を有するシャフト214に結合されている。正方形の駆動部にある小さな隙間が、指針216内におけるシャフト214の並進を可能にする。割りブッシング212の間にある圧縮ばね220は、ブッシング212同士を引き離す力を与える。後方のブッシングは、指針216をブロック206から引き離し(擦れを防ぐため)、保持部材224により軸方向に固定されたスラスト座金222の方へ押し付ける。シャフト214の外径は、シャフト上をブッシングが移動しないように、前方の割りブッシング212の取り付け内径より十分に大きいものである。したがって、圧縮ばね220はシャフト214に対し、図で左方の軸方向の荷重を与える。次に、シャフトにかかるこの軸方向の荷重は、各レール駆動シャフトおよびアーム組立体174に加わるため回転方向の遊びがなくなる。
【0064】
図18には、2組の罫書き線が示されている。上側の「DP」と記された組は、ランスから仕切板までの距離を測るためのものである。下側の「R1」と記された組は、第1列細管(中央細管レーンに隣接する列)からランスまでの距離を測るためのものである。右側と左側のいずれの組の罫書き線を使用するかは、仕切板のいずれの側にランスを取り付けるかによる。整列ツールは、いずれの側においても機能する。
図16のスイングアーム78の半径方向の並進と、ランスの細管(または仕切板)への実際の直線変位とを直接相関できるように、罫書き線の間隔が適切に設定されている。ランスと細管との間の直線変位の値に基づき、横方向調節ねじ(
図9の130)の位置決めを直接計算できる。
【0065】
図19は、細管の隙間に整列した位置にあるスイングアーム178を示す。まず、スイングアーム178を回転させて上向きにし、整列ツールが蒸気発生器内に並進できるようにする。一旦細管レーン内に入ったら、スイングアーム178を細管24に当たらないよう確認しながら細管の方へ回転させる。細管に当たったことがわかった場合、スイングアーム178を90度回転させることができるようになるまで、整列ツールを細管レーンに沿って並進させる。スイングアームを90度回転させた状態で、スイングアームの前面が細管24に接触するまでツールを内方へ(
図19の左方へ)移動させる。ここが、噴射口が細管の隙間に整列する位置である。
図5において、インデックス指針64はその後、マーク62のうちの1つ、または2つのレールの接合部に対応する位置に設定される。
【0066】
噴射口40の角度を細管の隙間と平行になるようにするには、スイングアーム178を回転して垂直にし、整列ツールが蒸気発生器に出入りできるようにする。整列ツールは、隣接するレールマーク62へ、または一つおきに隣のマークへ移動すると、細管に対して
図20に示すように位置に来る。次に、スイングアーム178を細管の方へ、その縁部226が細管24に接触するまで回転させる。前述のように、指針組立体176上で「R1」距離を測定する。次に、スイングアーム178を垂直位置に戻して、整列ツールを蒸気発生器の内方へまたは外方へ再配置することにより、さらに「R1」の測定値を得る。レールマーク62の直線間隔は既知であり、「R1」の読みは直線変位に対応するので、細管に対する角度のずれを直接計算することができる。このずれは、前述の横方向調節ねじにより補正することができる。角度を補正した後、スイングアームを
図19に示す位置にして、インデックス指針64をリセットする必要があるかもしれない。
【0067】
整列ツールが最後に果たす機能は、仕切板32までの距離の測定である。
図21に示すように、スイングアームをその縁部228が仕切板32に接触するまで回転させる。変位は、指針組立体176の「DP」目盛りで測定する。やはり前述の横方向調節ねじを用いて、横方向の変位を補正する。
【0068】
本発明のスラッジランスは特に仕切板を有する蒸気発生器に適しているが、当該整列ツールは、仕切板を持たない蒸気発生器にも適用できる。
【0069】
本発明の特定の実施態様について詳しく説明してきたが、当業者は、本開示書全体の教示するところに照らして、これら詳述した実施態様に対する種々の変更および代替への展開が可能である。したがって、ここに開示した特定の実施態様は説明目的だけのものであり、本発明の範囲を何らも制約せず、本発明の範囲は添付の特許請求の範囲に記載の全範囲およびその全ての均等物である。