(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6583946
(24)【登録日】2019年9月13日
(45)【発行日】2019年10月2日
(54)【発明の名称】タービンホイール、ラジアルタービン、及び過給機
(51)【国際特許分類】
F02B 39/00 20060101AFI20190919BHJP
F01D 5/14 20060101ALI20190919BHJP
F02C 6/12 20060101ALI20190919BHJP
【FI】
F02B39/00 Q
F01D5/14
F02C6/12
【請求項の数】7
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2018-502937(P2018-502937)
(86)(22)【出願日】2016年3月2日
(86)【国際出願番号】JP2016056381
(87)【国際公開番号】WO2017149693
(87)【国際公開日】20170908
【審査請求日】2018年7月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】316015888
【氏名又は名称】三菱重工エンジン&ターボチャージャ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100210572
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 太一
(72)【発明者】
【氏名】吉田 豊隆
(72)【発明者】
【氏名】横山 隆雄
【審査官】
篠原 将之
(56)【参考文献】
【文献】
特開2008−128064(JP,A)
【文献】
特開2008−133766(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2006/0039791(US,A1)
【文献】
国際公開第2014/102981(WO,A1)
【文献】
特開2015−075013(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02B 39/00
F01D 5/04
F01D 5/14
F02C 6/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸線を中心として回転対称な形状を成し、前記軸線が延びる軸方向の一方の側である前側から他方の側である後側に向うに連れて次第に縮径されているディスクと、
前記ディスクの外周面に、前記軸線に対する周方向Dに間隔をあけて固定されている複数のブレードと、
を備え、
前記ブレードは、
前記ディスクの前記前側の部分から前記軸方向成分を含む方向に延び、前記軸線に対する径方向外側を向く前縁と、
前記ディスクの前記後側の部分から前記軸線に対する径方向成分を含む方向に延び、前記後側を向く後縁と、
前記前縁から前記後縁まで延び、互いに相反する側を向く正圧面及び負圧面と、
前記外周面から遠い側の縁を成すチップと、
を有し、
前記負圧面は、前記負圧面と前記チップとの境界及び前記前縁を含むチップ側前部と、前記負圧面と前記チップとの境界及び前記後縁を含むチップ側後部と、前記外周面との境界と前記前縁と前記後縁とを含み、前記チップ側前部及び前記チップ側後部に接する根元部と、を有し、
前記チップ側前部は、径方向視で、前記負圧面から前記正圧面に向かう反回転側に凹む凹曲面を成し、
前記チップ側後部は、径方向視で、前記正圧面から前記負圧面側に向かう回転側に凸の凸曲面を成し、
前記根元部は、前記回転側に凸の凸曲面を成す、
タービンホイール。
【請求項2】
請求項1に記載のタービンホイールにおいて、
前記チップ側前部と根元部との境目は、翼高さ方向で前記チップから翼高さの半分未満の位置である、
タービンホイール。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のタービンホイールにおいて、
前記チップ側前部と前記チップ側後部とは互いに接し、
前記チップと前記負圧面との境に形成されるチップライン上で、前記チップ側前部と前記チップ側後部との境目は、前記前縁からの距離が前記チップラインの全長の半分以上の位置である、
タービンホイール。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載のタービンホイールにおいて、
前記チップ側前部における前記凹曲面の曲率半径は、前記チップ側後部における前記凸曲面の曲率半径以上である、
タービンホイール。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載のタービンホイールにおいて、
前記正圧面は、前記正圧面と前記チップとの境界及び前記前縁を含むチップ側前部と、前記正圧面と前記チップとの境界及び前記後縁を含むチップ側後部とを有し、
前記正圧面の前記チップ側前部は、径方向視で、前記反回転側に凸の凸曲面を成し、
前記正圧面の前記チップ側後部も、径方向視で、前記回転側に凹む凹曲面を成す、
タービンホイール。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載のタービンホイールと、
前記軸線を中心として前記軸方向に延び、前記タービンホイールが固定されているタービン回転軸と、
前記タービンホイールを回転可能に覆うタービンハウジングと、
を備えるラジアルタービン。
【請求項7】
請求項6に記載のラジアルタービンと、
圧縮機と、
を備え、
前記圧縮機は、
前記軸線を中心として回転する圧縮機回転軸と、
前記圧縮機回転軸に固定されているインペラと、
前記インペラを覆う圧縮機ハウジングと、
を有し、
前記タービン回転軸と前記圧縮機回転軸とは、同一の軸線上に位置して互いに連結されて一体回転し、過給機回転軸を成す、
過給機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タービンホイール、ラジアルタービン、及び過給機に関する。
【背景技術】
【0002】
タービンは、軸線を中心として回転するタービン回転軸と、タービン回転軸の外周側に固定されているタービンホイールと、タービンホイールを覆うハウジングと、を有する。タービンホイールは、タービン回転軸に固定されているディスクと、このディスクの外周面に周方向に間隔をあけて設けられている複数のブレードと、を有する。複数のブレードの相互間には、各ブレードの前縁相互間から作動流体が流入する。この作動流体は、各ブレードの後縁相互間から流出する。
【0003】
ラジアルタービンでは、ブレードの前縁が軸線に対する径方向外側を向いている。また、ブレードの後縁が軸線が延びる軸方向における後側を向いている。よって、ラジアルタービンでは、作動流体が径方向外側から流入し、軸方向の後側に抜ける。
【0004】
このようなラジアルタービンとしては、例えば、以下の特許文献1に記載されているラジアルタービンがある。このラジアルタービンの正圧面は、正圧面から負圧面に向かう回転側に凹む凹曲面を成している。また、負圧面は、回転側に凸の凸曲面を成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−011560号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
タービンでは、ハウジングに対してタービンホイールを相対回転させるために、ブレードのチップとハウジングの内周面との間に隙間がある。この隙間は、一般的にチップクリアランスと呼ばれる。タービン効率を高めるためには、このチップクリアランスをできる限り小さくすることが好ましい。しかしながら、軸震動やタービンホイールの熱膨張の影響等で、ブレードのチップとハウジングの内周面との接触を回避するため、このチップクリアランスの縮小には限度がある。
【0007】
タービンでは、チップクリアランスを抜ける作動流体の流れ、つまりクリアランスフローを低減することがタービン効率の向上につながる。そこで、本発明は、クリアランスフローを低減できるタービンホイール、ラジアルタービン、及び過給機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するための発明に係る第一態様としてのタービンホイールは、
軸線を中心として回転対称な形状を成し、前記軸線が延びる軸方向の一方の側である前側から他方の側である後側に向うに連れて次第に縮径されているディスクと、前記ディスクの外周面に、前記軸線に対する周方向Dに間隔をあけて固定されている複数のブレードと、を備え、前記ブレードは、前記ディスクの前記前側の部分から前記軸方向成分を含む方向に延び、前記軸線に対する径方向外側を向く前縁と、前記ディスクの前記後側の部分から前記軸線に対する径方向成分を含む方向に延び、前記後側
を向く後縁と、前記前縁から前記後縁まで延び、互いに相反する側を向く正圧面及び負圧面と、前記外周面から遠い側の縁を成すチップと、を有し、前記負圧面は、前記負圧面と前記チップとの境界及び前記前縁を含むチップ側前部と、前記負圧面と前記チップとの境界及び前記後縁を含むチップ側後部と
、前記外周面との境界と前記前縁と前記後縁とを含み、前記チップ側前部及び前記チップ側後部に接する根元部と、を有し、前記チップ側前部は、径方向視で、前記負圧面から前記正圧面に向かう反回転側に凹む凹曲面を成し、前記チップ側後部は、径方向視で、前記正圧面から前記負圧面側に向かう回転側に凸の凸曲面を成
し、前記根元部は、前記回転側に凸の凸曲面を成す。【0009】
タービンホイールにおけるブレードのチップと、このタービンホイールを覆うタービンハウジングの内周面との間には、チップクリアランスと呼ばれる隙間がある。チップクリアランスを抜ける作動流体の流れ、つまりクリアランスフローの存在は、タービン効率の低下につながる。
【0010】
ここで、仮に、負圧面の全体が回転側に凸の凸曲面であるブレードを比較例とする。この比較例では、クリアランスフローの結果、ブレードの正圧面側から負圧面側に流れた漏れ流体が、渦流となり、このブレードの負圧面に沿って流れる。このブレードの負圧面に沿う漏れ流体の流れは、さらになるクリアランスフローを誘引する。
【0011】
一方、当該タービンホイールでは、ブレードの負圧面におけるチップ側前部が、反回転側に凹む凹曲面である。このため、当該タービンホイールでは、負圧面に対するクリアランスフローの離角が、比較例における負圧面に対するクリアランスフローの離角よりも大きくなる。よって、当該タービンホイールでは、ブレードの前縁側の部分におけるチップクリアランスを経て、このブレードの負圧面側に流れた漏れ流体の多くは、このブレードの負圧面に付着せずに、この負圧面から離れて流れる。このように、当該タービンホイールでは、漏れ流体の多くがブレードの負圧面から離れて流れるため、クリアランスフローの誘引を抑えることができる。この結果、当該タービンホイールでは、比較例よりもクリアランスフローを低減でき、タービン効率を高めることができる。
【0013】
上記目的を達成するための発明に係る
第二態様としてのタービンホイールは、
前記
第一態様のタービンホイールにおいて、前記チップ側前部と根元部との境目は、翼高さ方向で前記チップから翼高さの半分未満の位置である。
【0014】
上記目的を達成するための発明に係る
第三態様としてのタービンホイールは、
前記第一又は第二態様のタービンホイールにおいて、前記チップ側前部と前記チップ側後部とは互いに接し、前記チップと前記負圧面との境に形成されるチップライン上で、前記チップ側前部と前記チップ側後部との境目は、前記前縁からの距離が前記チップラインの全長の半分以上の位置である。
【0015】
上記目的を達成するための発明に係る
第四態様としてのタービンホイールは、
前記第一から
第三態様のいずれかのタービンホイールにおいて、前記チップ側前部における前記凹曲面の曲率半径は、前記チップ側後部における前記凸曲面の曲率半径以上である。
【0016】
上記目的を達成するための発明に係る
第五態様としてのタービンホイールは、
前記第一から
第四態様のいずれかのタービンホイールにおいて、前記正圧面は、前記正圧面と前記チップとの境界及び前記前縁を含むチップ側前部と、前記正圧面と前記チップとの境界及び前記後縁を含むチップ側後部とを有し、前記正圧面の前記チップ側前部は、径方向視で、前記反回転側に凸の凸曲面を成し、前記正圧面の前記チップ側後部も、径方向視で、前記回転側に凹む凹曲面を成す。
【0017】
上記目的を達成するための発明に係る
第六態様としてのラジアルタービンは、
前記第一から
第五態様のいずれかのタービンホイールと、前記軸線を中心として前記軸方向に延び、前記タービンホイールが固定されているタービン回転軸と、前記タービンホイールを回転可能に覆うタービンハウジングと、を備える。
【0018】
上記目的を達成するための発明に係る
第七態様としての過給
機は、
前記
第六態様のラジアルタービンと、圧縮機と、を備え、前記圧縮機は、前記軸線を中心として回転する圧縮機回転軸と、前記圧縮機回転軸に固定されているインペラと、前記インペラを覆う圧縮機ハウジングと、を有し、前記タービン回転軸と前記圧縮機回転軸とは、同一の軸線上に位置して互いに連結されて一体回転し、過給機回転軸を成す。
【発明の効果】
【0019】
本発明の一態様では、ク
リアランスフローを低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明に係る一実施形態における過給機の断面図である。
【
図2】本発明に係る一実施形態におけるラジアルタービンの要部断面図である。
【
図3】本発明に係る一実施形態におけるタービンホイールの展開図である。
【
図4】本発明に係る一実施形態におけるタービンホイールの斜視図である。
【
図5】本発明に係る一実施形態におけるラジアルタービン内での作動流体の流れを示す説明図である。
【
図6】比較例におけるラジアルタービン内での作動流体の流れを示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明に係る過給機の実施形態について、図面を用いて説明する。
【0022】
本実施形態の過給機は、
図1に示すように、空気Aを圧縮してエンジンに送り込む圧縮機10と、エンジンからの排気ガスEXで駆動するラジアルタービン30と、圧縮機10とラジアルタービン30とを連結する連結部20と、を備える。
【0023】
圧縮機10は、軸線Arを中心として回転する円柱状の圧縮機回転軸11と、圧縮機回転軸11の外周に取り付けられている圧縮機インペラ16と、圧縮機インペラ16を覆う圧縮機ハウジング12と、を有する。
【0024】
ラジアルタービン30は、軸線Arを中心として回転するタービン回転軸31と、タービン回転軸31に取り付けられているタービンホイール40と、タービンホイール40を覆おうタービンハウジング32と、を有する。
【0025】
連結部20は、軸線Arを中心として回転する円柱状の連結回転軸21と、連結回転軸21を覆うセンターハウジング22と、連結回転軸21を回転可能に支持する軸受23と、を有する。軸受23は、センターハウジング22の内周側に固定されている。
【0026】
圧縮機回転軸11の軸線Arと連結回転軸21の軸線Arとタービン回転軸31の軸線Arとは、同一軸線Ar上をこの順で並んで配置されている。圧縮機回転軸11と連結回転軸21とタービン回転軸31とは、互い連結されて一体回転し、過給機回転軸を成す。また、圧縮機ハウジング12とセンターハウジング22とタービンハウジング32は、互いに連結されて過給機ハウジングを成す。
【0027】
ここで、軸線Arが延びる方向を軸方向Daとし、この軸方向Daの一方側を軸方向前側Daf、この軸方向Daの他方側を軸方向後側Dabとする。本実施形態では、圧縮機10が連結部20に対して軸方向前側Dafに設けられ、ラジアルタービン30が連結部20に対して軸方向後側Dabに設けられている。また、軸線Arに対する径方向を単に径方向Drとし、径方向Drで軸線Arから遠ざかる側を径方向外側Dro、径方向Drで軸線Arに近づく側を径方向内側Driとする。また、軸線Arを中心とした周方向を単に周方向Dcとする。この周方向Dcでタービンホイール40が回転する側を周方向回転側Dcrとする。
【0028】
タービンホイール40は、
図2〜
図4に示すように、ディスク41と、複数のブレード42と、を有する。ディスク41は、軸線Arを中心として回転対称な形状を成し、軸方向後側Dabに向うに連れて次第に縮径されている。複数のブレード42は、ディスク41の外周面41aに、周方向Dcに間隔をあけて固定されている。
【0029】
ブレード42は、
図2及び
図4に示すように、前縁43と、後縁44と、チップ45と、正圧面46pと、負圧面46nと、を有する。前縁43は、ディスク41の軸方向前側Dafの部分から軸方向成分を含む方向に延び、径方向外側Droを向いている。後縁44は、ディスク41の軸方向後側Dabの部分から径方向成分を含む方向に延び、軸方向後側Dabを向いている。正圧面46pと負圧面46nとは、前縁43から後縁44まで延び、互いに相反する側を向いている。よって、正圧面46pと負圧面46nとは、背合わせの関係である。負圧面46nは周方向回転側Dcrを向いており、正圧面46pはその反対側を向いている。チップ45は、ブレード42中でディスク41の外周面41aから遠い側の縁である。
【0030】
負圧面46nは、チップ側前部47nと、チップ側後部48nと、根元部49nと、を有する。チップ側前部47nは、チップ45と負圧面46nとの境界及び前縁43を含む部分である。チップ側後部48nは、チップ側前部47nに接し、チップ45と負圧面46nとの境界及び後縁44を含む部分である。根元部49nは、チップ側前部47n及びチップ側後部48nに接し、ディスク41の外周面41aと負圧面46nとの境界と、前縁43と、後縁44と、を含む部分である。負圧面46n中における、チップ側前部47nとチップ側後部48nと根元部49nとは、互いに重なり合う部分がない。
【0031】
ここで、正圧面46pから負圧面46nに向かう側を回転側Sr(
図3参照)とする。また、負圧面46nから正圧面46pに向かう側を反回転側Soとする。
【0032】
チップ側前部47nは、
図3に示すように、このブレード42に対する径方向視で、反回転側Soに凹む凹曲面を成す。チップ側後部48nは、このブレード42に対する径方向視で、回転側Srに凸の凸曲面を成す。負圧面46nの根元部49nは、このブレード42に対する径方向視で、回転側Srに凸の凸曲面を成す。
【0033】
チップ側前部47nにおける凹曲面の曲率半径R1は、例えば、チップ側後部48nにおける凸曲面の曲率半径R2以上である。また、チップ45と負圧面46nとの境に形成されるチップライン45l上で、チップ側前部47nとチップ側後部48nとの境目bは、例えば、前縁43からの距離がチップライン45lの全長の半分以上の位置である。また、チップ側前部47nと根元部49nとの境目は、
図2に示すように、翼高さ方向でチップ45から翼高さの半分未満の位置である。
【0034】
正圧面46pも、負圧面46nと同様、
図2及び
図4に示すように、チップ側前部47pと、チップ側後部48pと、根元部49pと、を有する。チップ側前部47pは、チップ45と正圧面46pとの境界及び前縁43を含む部分である。チップ側後部48pは、チップ側前部47pに接し、チップ45と正圧面46pとの境界及び後縁44を含む部分である。根元部49pは、チップ側前部47p及びチップ側後部48pに接し、ディスク41の外周面41aと正圧面46pとの境界と、前縁43と、後縁44と、を含む部分である。正圧面46p中における、チップ側前部47pとチップ側後部48pと根元部49pとは、互いに重なり合う部分がない。
【0035】
正圧面46pのチップ側前部47pは、
図3に示すように、このブレード42に対する径方向視で、半回転側Soに凸の凸曲面を成す。正圧面46pのチップ側後部48pも、このブレード42に対する径方向視で、回転側Srに凹む凹曲面を成す。さらに、正圧面46pの根元部49pも、このブレード42に対する径方向視で、回転側Srに凹の凹曲面を成す。
【0036】
タービンハウジング32には、
図1に示すように、タービンホイール40が回転可能に収納されるホイール室33と、作動流体F(EX)が流入するスクロール流路34と、作動流体Fが排気される排気口35と、が形成されている。スクロール流路34は、周方向成分を含む方向に延びる流路である。スクロール流路34は、ホイール室33の軸方向後側Dabの部分であって、ホイール室33の径方向外側Droの部分で、ホイール室33と連通している。スクロール流路34に流入した作動流体Fは、この連通部分を経て、径方向外側Droからホイール室33内に流入する。ホイール室33は、軸方向後側Dabの端で開口している。この開口が、前述の排気口35である。ホイール室33に流入した作動流体Fは、この排気口35から排気される。
【0037】
ホイール室33に流入した作動流体Fは、
図5に示すように、タービンホイール40における各ブレード42の前縁43相互間からブレード42相互間に流入する。ブレード42相互間に流入した作動流体Fは、各ブレード42の後縁44相互間から流出する。作動流体Fは、ブレード42相互間を流れる過程で、タービンホイール40に対して回転力を付与する。なお、本実施形態において、作動流体Fは、排気ガスEXである。
【0038】
ブレード42のチップ45と、タービンハウジング32の内周面であってチップ45と対向する部分との間には、チップクリアランスCt(
図2参照)と呼ばれる隙間がある。タービン効率を高めるためには、このチップクリアランスCtをできる限り小さくすることが好ましい。しかしながら、軸震動やタービンホイール40の熱膨張の影響等で、ブレード42のチップ45とタービンハウジング32の内周面とが接触するリスクを回避するため、このチップクリアランスCtの縮小には限度がある。
【0039】
チップクリアランスCtを抜ける作動流体Fの流れ、つまりクリアランスフローの存在は、タービン効率の低下につながる。このため、クリアランスフローの低減が望まれる。
【0040】
ここで、本実施形態におけるクリアランスフローについて説明するまえに、比較例のタービンホイールにおけるクリアランスフローについて、
図6を参照して説明する。
【0041】
比較例のタービンホイー
ル40cも、ディスク41cと複数のブレード42cとを有する。ブレード42cの正圧面46pcは、その全体が回転側Srに凹む凹曲面を成している。また、このブレード42cの負圧面46ncは、その全体が回転側Srに凸の凸曲面を成している。
【0042】
周方向Dcで隣接している第一ブレード42cxと第二ブレード42cyとの間に流入した作動流体Fの多くは、前述したように、これらのブレード42cx,42cyの後縁44相互間から流出する。しかしながら、一部の作動流体Fは、第二ブレード42cyの正圧面46pc側から、この第二ブレード42cyにおけるチップクリアランスCtを経て、漏れ流体Flとして、この第二ブレード42cyの負圧面46nc側に流れる。すなわち、一部の作動流体Fは、第二ブレード42cyにおけるチップクリアランスCtを経て、漏れ流体Flとして、第二ブレード42cyと第三ブレード42czとの間に流入する。
【0043】
第二ブレード42cyと第三ブレード42czとの間に流入した漏れ流体Flは、渦流となり、第二ブレード42cyの負圧面46ncに付着し、この負圧面46ncに沿って流れる。この第二ブレード42cyの負圧面46ncに沿った漏れ流体Flの流れにより、クリアランスフローが誘引される。よって、第二ブレード42cyの前縁43側の部分で生じたクリアランスフローFcにより、第二ブレード42cyの前縁43と後縁44との中間部分でも、クリアランスフローが生じる。この誘引されたクリアランスフローにより、第二ブレード42cyと第三ブレード42czとの間に流入した漏れ流体Flも、渦流となり、第二ブレード42cyの負圧面46ncに沿って流れる。この第二ブレード42cyの負圧面46ncに沿った漏れ流体Flの流れによっても、クリアランスフローが誘引される。このため、第二ブレード42cyの中間部分で生じたクリアランスフローにより、第二ブレード42cyの後縁44側の部分でも、クリアランスフローが生じる。
【0044】
すなわち、比較例では、ブレード42cの前縁43から後縁44までのブレード42c全体でクリアランスフローが生じる。
【0045】
次に、本実施形態におけるクリアランスフローについて、
図5を用いて説明する。
【0046】
本実施形態においても、第一ブレード42xと第二ブレード42yとの間に流入した作動流体Fの一部は、第二ブレード42yの前縁43側の部分で、第二ブレード42yの正圧面46p側から、この第二ブレード42yにおけるチップクリアランスCtを経て、漏れ流体Flとして、この第二ブレード42yの負圧面46n側に流れる。すな
わち、一部の作動流体Fは、第二ブレード42yの前縁43側の部分におけるチップクリアランスCtを経て、漏れ流体Flとして、第二ブレード42yと第三ブレード42zとの間に流入する。
【0047】
第二ブレード42yと第三ブレード42zとの間に流入した漏れ流体Flは、本実施形態でも、渦流となる。但し、本実施形態では、この漏れ流体Flのほとんどが、第二ブレード42yの負圧面46nから離れて、この第二ブレード42yと第三ブレード42zの間をこれらのブレード42y,42zの後縁44側に流れる。
【0048】
比較例の負圧面46nc全体は、回転側Srに凸の凸曲面である。一方、本実施形態の負圧面46nにおけるチップ側前部47nは、反回転側Soに凹む凹曲面である。よって、本実施形態における負圧面46nに対するクリアランスフローFcの離角α1は、比較例における負圧面46ncに対するクリアランスフローFcの離角α2よりも大きくなる。なお、
離角αとは、クリアランスフローFcが負圧面とチップとの境界を横切る位置における負圧面に対する接線と、このクリアランスフローFcとが成す角度である。このため、本実施形態では、第二ブレード42yの前縁43側の部分におけるチップクリアランスCtを経て、第二ブレード42yと第三ブレード42zとの間に流入した漏れ流体Flの多くは、第二ブレード42yの負圧面46nに付着せずに、この負圧面46nから離れて流れる。この漏れ流体Flの流れと、第二ブレード42yの負圧面46nとの間には、第二ブレード42yと第三ブレード42zの間に流入した作動流体Fが流れる。
【0049】
この結果、本実施形態では、第二ブレード42yの前縁43側の部分でクリアランスフローFcが生じても、このクリアランスフローFcにより新たなクリアランスフローFcが誘引されない。このため、本実施形態では、比較例よりもクリアランスフローFcを低減でき、タービン効率を高めることができる。
【0050】
ところで、ラジアルタービン30のサイズが小さくなれば、基本的にチップクリアランスCtも小さくなる。しかしながら、ラジアルタービン30のサイズが小さくなっても、チップクリアランスCtはそれほど小さくならない。この理由は、前述したように、チップクリアランスCtが、軸震動やタービンホイール40の熱膨張の影響等で、ブレード42のチップ45とタービンハウジング32の内周面との接触を回避するための隙間であるからである。このため、前縁43の長さ又は後縁44の長さに対するチップクリアランスCtの割合は、ラジアルタービン30が小型化するほど大きくなる。よって、ラジアルタービン30が小型化するほど、ラジアルタービン30に流入する作動流体Fの流量に対するクリアランスフローの流量の割合が高まる。
【0051】
このため、例えば、中型又は小型乗用車用の過給機に用いるラジアルタービン30では、クリアランスフローの低減率を高めるため、チップライン45l上で、負圧面46nにおけるチップ側前部47nとチップ側後部48nとの境目bは、前述したように、前縁43からの距離がチップライン45lの全長の半分以上の位置であることが好ましい。また、チップ側前部47nにおける凹曲面の曲率半径R1は、前述したように、チップ側後部48nにおける凸曲面の曲率半径R2以上であることが好ましい。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明の一態様では、ク
リアランスフローを低減できる。
【符号の説明】
【0053】
10:圧縮機、11:圧縮機回転軸、12:圧縮機ハウジング、16:圧縮機インペラ、20:連結部、21:連結回転軸、22:センターハウジング、23:軸受、30:ラジアルタービン、31:タービン回転軸、32:タービンハウジング、33:ホイール室、34:スクロール流路、35:排気口、40:タービンホイール、41:ディスク、41a:外周面、42:ブレード、43:前縁、44:後縁、45:チップ、45l:チップライン、46n:負圧面、46p:正圧面、47n,47p:チップ側前部、48n,48p:チップ側後部、49n,49p:根元部、Ct:チップクリアランスCt、F:作動流体、Fc:クリアランスフロー、Fl:漏れ流体、Ar:軸線、Da:軸方向、Dab:軸方向後側、Daf:軸方向前側、Dc:周方向、Dr:径方向、Dri:径方向内側、Dro:径方向外側、Sr:回転側、So:反回転側