(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6583948
(24)【登録日】2019年9月13日
(45)【発行日】2019年10月2日
(54)【発明の名称】バーナ装置を用いた照明装置
(51)【国際特許分類】
F21S 13/00 20060101AFI20190919BHJP
F23D 14/06 20060101ALI20190919BHJP
F23D 14/28 20060101ALI20190919BHJP
【FI】
F21S13/00 100
F23D14/06 F
F23D14/28 Z
【請求項の数】6
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2019-45773(P2019-45773)
(22)【出願日】2019年3月13日
(62)【分割の表示】特願2017-23544(P2017-23544)の分割
【原出願日】2017年2月10日
(65)【公開番号】特開2019-96626(P2019-96626A)
(43)【公開日】2019年6月20日
【審査請求日】2019年6月6日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】390028163
【氏名又は名称】山岡金属工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106024
【弁理士】
【氏名又は名称】稗苗 秀三
(74)【代理人】
【識別番号】100167841
【弁理士】
【氏名又は名称】小羽根 孝康
(74)【代理人】
【識別番号】100168376
【弁理士】
【氏名又は名称】藤原 清隆
(72)【発明者】
【氏名】山岡 秀文
(72)【発明者】
【氏名】岡市 智禄
【審査官】
岩▲崎▼ 則昌
(56)【参考文献】
【文献】
特開2007−107753(JP,A)
【文献】
特開2007−3147(JP,A)
【文献】
特開2006−292186(JP,A)
【文献】
登録実用新案第3152674(JP,U)
【文献】
実公平7−28644(JP,Y2)
【文献】
実開平6−22717(JP,U)
【文献】
米国特許第4321656(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 13/00
F23D 14/06
F23D 14/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
大気圧下で燃料ガスの圧力を用いて一次空気をインジェクターで吸引して部分予混合気を形成し、それをバーナ部で燃焼させて火炎を生じさせるバーナ装置を用いた照明装置であって、バーナ部は、上面が閉塞された筒状に形成され、バーナ部の外周面に複数の炎孔が形成され、バーナ部の上面またはその上方に整流筒が上側に向かって設けられ、バーナ装置は、当該バーナ装置の外径よりも大きな内径を有する透明な筒体内に設置され、バーナ装置と筒体との空隙から二次空気を燃焼熱のドラフトによって供給して完全燃焼を行うことを特徴とする照明装置。
【請求項2】
大気圧下で燃料ガスの圧力を用いて一次空気をインジェクターで吸引して部分予混合気を形成し、それをバーナ部で燃焼させて火炎を生じさせるバーナ装置を用いた照明装置であって、バーナ部は、上面に複数の炎孔を有する筒状に形成され、バーナ部の外周面に複数の炎孔が形成され、バーナ部の上面またはその上方に整流筒が上側に向かって設けられ、上面の炎孔は整流筒の内側に位置し、バーナ装置は、当該バーナ装置の外径よりも大きな内径を有する透明な筒体内に設置され、バーナ装置と筒体との空隙から二次空気を燃焼熱のドラフトによって供給して完全燃焼を行うことを特徴とする照明装置。
【請求項3】
大気圧下で燃料ガスの圧力を用いて一次空気をインジェクターで吸引して部分予混合気を形成し、それをバーナ部で燃焼させて火炎を生じさせるバーナ装置を用いた照明装置であって、バーナ部は、上面を有する筒状に形成され、バーナ部の外周面に複数の炎孔が形成され、バーナ部の外周面の炎孔は、水平方向に開口され、かつ上面まで延伸された垂直方向に延びたスリット状とされ、上面に形成された炎孔を兼ね、バーナ部の上面またはその上方に整流筒が上側に向かって設けられ、バーナ装置は、当該バーナ装置の外径よりも大きな内径を有する透明な筒体内に設置され、バーナ装置と筒体との空隙から二次空気を燃焼熱のドラフトによって供給して完全燃焼を行うことを特徴とする照明装置。
【請求項4】
上面の炎孔に整流筒がかかり、整流筒の内側にある炎孔と外側にある炎孔とに分けられることを特徴とする請求項3記載の照明装置。
【請求項5】
筒体が火炎と接触しない大きさの内径と長さを有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の照明装置。
【請求項6】
風雨によって燃焼が不能とならないように、バーナ装置に対する給気口および排気口に、風雨の侵入を規制する防護部材が設けられ、屋外設置が可能とされたことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、長炎を発生するバーナ装置を用いた屋外環境で使用可能な照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
屋外でガスを燃焼させて発生した炎を立ち上がらせたかがり火のような照明装置として、
図8に示すようなものが非特許文献1に記載されている。この照明装置では、バーナ装置がガラス管内の下部に設置され、ガラス管内に輝炎が形成される。バーナ装置は、一次空気をインジェクターで吸引する部分予混合形式のバーナである。
【0003】
図9に示すように、バーナ装置の炎孔はセラミックの格子でできている。ここで、火炎の黄色を濃くするために、一次空気率を下げると、火炎基部から黄炎となり、火炎検知器、点火プラグもしくは排気通路に煤の付着する可能性が大きくなり、実用性や安全性に課題が生じる。一次空気率を増やせば、火炎基部を青炎にすることはできるが、火炎の下部が青く上部が黄色い装飾的な長炎としては不自然に感じる火炎となる。
【0004】
また、特許文献1には、管状火炎中に燃料をその軸方向に吹き込んで旋回する輝炎を形成する燃焼方法が開示されている。さらに、特許文献2には、ガラス管内で上記燃焼方法による燃焼を行う灯火装置が示されている。本灯火装置は、輝炎が旋回し見応えのある火炎が形成されるが、一方で、管状火炎は燃焼用空気の圧損が大きいという短所があり、商用電源を用いる強制送風機を必要とする。
【0005】
装飾的な火炎を演出する用途にガス暖炉がある。特許文献3には、赤外線バーナ火炎に炎色剤を付加することで、セラミック製の擬木が燃焼しているように見せるガス暖炉が示されている。赤外線バーナを用いているため、炎色反応を利用しても火炎は比較的短く、長さが0.5m程度に達する長炎を実現することはできない。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】有限会社いけだやホームページ(http://patioheater.ikedaya.net/)
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2013−145099号公報
【特許文献2】特開2013−145075号公報
【特許文献3】実開平5−36201号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記に鑑み、長炎を形成できるバーナ装置を用いて、屋外での照明や暖房に供することができる照明装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の照明装置に用いられるバーナ装置は、大気圧下で燃料ガスの圧力を用いて一次空気をインジェクターで吸引して部分予混合気を形成し、それをバーナ部で燃焼させて火炎を生じさせるバーナ装置であって、バーナ部は、上面が閉塞された筒状に形成され、バーナ部の外周面に複数の炎孔が形成され、バーナ部の上面またはその上方に整流筒が上側に向かって設けられたものである。
【0010】
上記のバーナ部は、コンロ等の部分予混合バーナ(いわゆるブンゼンバーナ)に類似したもので、バーナ部の外周面に水平方向に炎孔を多数形成されたものである。このようなバーナ部では、燃料ガスを含む混合気の流量を増大させていくと、バーナ部の上面に渦が形成されて火炎が巻き込まれ、容易に乱流火炎となる。そのため、火炎長は伸びない。そこで、バーナ部の上面あるいは上方に整流筒が設けられると、火炎の巻込みが抑えられ、層流火炎状態が続いて、長炎が形成される。
【0011】
更に、バーナ部の上面に複数の炎孔が形成され、上面の炎孔は整流筒の内側に位置するようにすると、整流筒の内側では、整流筒によって二次空気の拡散侵入が抑えられるため、拡散燃焼の速度が遅くなって輝炎状態となる。したがって、火炎は一層長炎かつ輝炎となる。しかも、整流筒が火炎によって内外から加熱されて赤熱し、固体輻射として、光と熱(可視光から赤外光)を放射するようになり、火炎よりの輻射と重畳して、照明装置だけでなく暖房装置にも適したバーナ装置が構成される。
【0012】
バーナ部の外周面の炎孔は、水平方向に開口され、かつ垂直方向に延びたスリット状である。バーナ部の外周面の炎孔がよく用いられる単純な丸穴である場合、混合気流量が増加する、すなわち炎孔負荷が増大すると、火炎は容易に浮上り(リフト又はリフティング)、吹き飛んでしまう。そこで、炎孔をスリット状にすると、炎孔の面積に対する周長の比が大きくなるので、火炎の浮上りが抑えられる。その結果、炎孔負荷を大きくとることができ、長炎の形成が容易になる。
【0013】
バーナ部の外周面の炎孔が上面まで延伸されて、上面に形成された炎孔を兼ねることもできる。このように、水平方向の開口と上下方向の開口を一体的にした1つの炎孔は、バーナ部の斜め上方から薄刃の回転刃物を押し当ててスリットを切ることで、一回の加工で形成することができる。外周面と上面を個別に開口するよりも工数を少なくすることができ、結果として加工費を抑えることができる。
【0014】
点火栓や火炎検知器に接触する火炎の基部が青炎となり、火炎の上部に黄炎が形成されるように、一次空気率は10%〜50%に制限される。一般にいわゆるブンゼンバーナでは、火炎全体が青炎となるように、一次空気率は40%〜60%程度に設定される。火炎の中心部もしくは上部は黄炎となるが、火炎全体としては輝炎が形成されるものの、火炎の基部が青炎を保つようにするには、一次空気率が制限される。具体的には、10%〜50%程度の一次空気率を採用することにより、点火栓や火炎検知器に接触する部分が青炎となって、煤の付着を無くすることができ、照明又は暖房としての機器の信頼性が向上する。同時に、火炎は長炎となり、基部以外は輝炎となって、照明又は暖房の火炎として適当な外見と輻射性能を備えることになる。
【0015】
整流筒の素材は、耐熱金属の金網、金属繊維の織物もしくは不織布、多孔板、セラミック板、多孔セラミック板、ガラスもしくはセラミック繊維又はこれらの複合材のいずれかからなる。整流筒の役割は火炎の巻込みを抑える整流作用(乱流渦の抑制)にあるが、同時にこれらの構成材は、熱容量が小さく容易に高温となって固体放射を発生する。材料の選択によっては、波長の長い赤外領域の輻射が多く、暖房装置に適するものも選ぶことができる。当然ながら、これらの材料は、火炎の加熱に耐える耐熱材料でなければならない。
【0016】
整流筒に炎色剤を付着もしくは含有させ、あるいは炎色剤そのもの又は炎色剤を他の材料と混合して素材とし、当該整流筒の全部または一部を形成することも可能である。炎色反応とは、揮発した金属イオンが、燃焼熱などで並進速度の上がった分子種の衝突を受けて励起され、基底状態に戻る時にその金属特有の波長の光を放射する現象である。したがって、整流筒に炎色反応を起こす炎色剤が加わると、火炎の光に炎色反応の光が加わって火炎の色とは異なった色の光が得られ、照明の目的に沿う効果が得られる。具体的には、ナトリウム化合物を用いると黄色い光が、カリウム化合物を用いると桃色の光が加わる。その他、バリウム、銅、ストロンチウムなどの化合物が炎色剤として用いられる。なお、炎色剤と通常呼ばれるものは可視光を発光するものを言うが、適当な波長範囲の赤外光を発する物質を用いれば、暖房効果を補助することもできる。
【0017】
各炎孔と整流筒との距離を変えると、火炎に揺らぎを生じさせることができる。すなわち、整流筒の高さを変えて乱流(巻込み)を一部生じさせる、整流筒の断面を円形から変形する、円筒状のバーナ部に対して整流筒を偏心して設置する、火炎の流れを変える別部材を整流筒に介在させるといったことにより、それぞれの炎孔と整流筒との距離が異なってくる。整流筒が円筒状でバーナ部と同心円上に配される場合、火炎はほとんど乱れのない層流直進火炎となる。この場合、火炎は最も長炎となる。一方、照明を装飾的にしたい場合には、ある程度火炎に揺らぎのある方が、鑑賞効果が高まる。そのため、上記のような形態にすることにより、層流直進火炎を敢えて乱して、火炎に揺らぎや変形が与えられ、視覚効果を高めることができる。
【0018】
上記のバーナ装置を用いた照明装置において、バーナ装置は、当該バーナ装置の外径よりも大きな内径を有する透明な筒体内に設置され、バーナ装置と筒体との空隙から二次空気を燃焼熱のドラフトによって供給して完全燃焼を行う。
【0019】
この照明装置では、熱交換器を設けないため、排ガスは高温になる。そのため、温度差に起因する密度差で浮力(ドラフト)が生じ、バーナ装置と筒体との間を空気が下方から上方に向けて流通し、その一部が燃焼反応に二次空気として使用される。空隙を適当な大きさにすることにより、完全燃焼が達成される。なお、流通空気量はバーナ装置と筒体との空隙だけではなく、筒体の入口や出口の面積を変えることでも調整できる。したがって、ドラフトのみで二次空気を流通させることができ、ファンやブロアを用いる必要がなくなる結果、商用電源が不要となり、照明装置を屋外でも容易かつ安価に設置できる。なお、筒体は内部の燃焼による発熱に耐えるだけの耐熱性を持たなければならないが、その耐熱温度は筒体内壁に沿って流れる空気による冷却効果で低下し得る。
【0020】
筒体は火炎と接触しない大きさの内径と長さを保有すべきである。上記のバーナ装置によって形成される火炎は、火炎の基部を除いて煤前駆体を含む輝炎となり得る。輝炎が相対的に温度の低い固体壁に接すると、煤前駆体の燃焼反応が凍結され、当該固体壁に煤が付着し得る。煤が筒体に付着すると、筒体の光透過性が失われるため、照明又は暖房としての機能が損なわれる。更には、排ガス通路に煤が堆積すると、通路の圧損が増加し、二次空気流量が減少して、不完全燃焼に至る危険性も生じ得る。上記のバーナ装置によって形成される火炎は基本的に揺らぎの少ない層流直進火炎であるため、その火炎の最大径より大きな内径を有する筒体を用いれば、火炎と筒体との接触はなくなり、上記の危険は抑止される。なお、火炎を視認できる直径は、二次空気の流れによって変化するため、筒体外の静止空気中で燃焼させた場合と同じではない。
【0021】
風雨によって燃焼が不能とならないように、バーナ装置に対する給気口および排気口に、風雨の侵入を規制する防護部材が設けられることで、照明装置は屋外設置が可能となる。筒体の長さが長いと、給気口と排気口の高さ方向の位置が異なる。したがって、適切な防風対策を施さないと、風によって燃焼用空気の流量や流れ方向に変化が生じ、燃焼に支障をきたすおそれがある。また、雨が直接筒体の上部から侵入すると、水の冷却効果で火炎は消滅するおそれがある。そこで、風による燃焼用空気の流れの変化を抑える給気口と排気口の位置と大きさを選定し、防護部材を給気口、排気口もしくはノズル周辺を含むバーナ装置の周囲に取り付けて、その影響を最小限に留める。雨については、筒体の出口の大きさ以上の笠を防護部材として、筒体の上方に取り付けることにより、雨の侵入を抑制する。これにより、照明装置を屋外に設置することが可能となる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によると、炎が揺らぐ装飾的な長炎を形成することにより、魅力的で癒しのある空間を創造できる照明装置を実現できる。しかも、輻射効率も高くなり、暖房装置としても活用できる照明装置を実現できる。さらに、自発的に二次空気を取り込むことができるので、燃焼ファン用の商用電源が不要となり、設置場所の制約を最小限に留めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図6】他の実施形態のバーナ部の平面図および正面図
【発明を実施するための形態】
【0024】
本実施形態の照明装置を
図1〜3に示す。照明装置は、燃料ガスを燃焼させて長炎を形成するバーナ装置1と、輝炎状態になった長炎を外部から視認できるようにして、熱を放射する筒体2とから構成され、バーナ装置1の上側に筒体2が配される。
【0025】
図4に示すように、バーナ装置1は、大気圧下で燃料ガスの圧力を用いて一次空気をインジェクター3で吸引して部分予混合気を形成し、それを燃焼させるバーナ部4を有する。
図5に示すように、バーナ部4は、上面が閉塞された円筒状に形成され、バーナ部4の外周面および上面に、複数の炎孔5,6が形成される。バーナ部4の上面に、整流筒7が火炎の流れの整流を行うために設けられる。
【0026】
バーナ部4は、黄銅、ステンレス鋼もしくは鋳鉄等でできたバーナ本体10、バーナキャップ11によって構成され、バーナ本体10の上面にバーナキャップ11が嵌め込まれる。バーナキャップ11の外周面には、水平方向に開口された多数のスリット状の炎孔5が形成され、バーナキャップ11の上面には、上下方向に開口された複数の円形の炎孔6が形成されている。上面の複数の炎孔6は、同心円上に等間隔に配置されている。
【0027】
そして、バーナ装置1は、ガスコック12、ガバナ13、ガスボンベ14、ノズル15、混合管(インジェクター)3、火炎検知器16、点火栓17、制御装置18を備えている。バーナ装置1は、ステンレス鋼製のケース20に収容されている。ケース20の上面は閉塞され、上面の中央に円孔21が形成される。円孔21からバーナ部4が上方に突出している。炎孔5,6は、ケース20の上面よりも上方に位置する。ケース20の外周面に、外部の空気を取り入れる通気口22が形成される。
【0028】
ガスコック12は、燃料ガス通路の開閉、流量調節に用いられ、ガスコック12の操作に連動して、点火装置が作動する。点火装置の点火栓17は、火花放電によって燃料ガスに点火するために用いられる。放電は、点火トランスによる高電圧の印加により行われる。電磁弁23は、失火(吹き消え)時や過熱時に燃料ガスを安全に遮断するために用いられ、ガスコック12と一体に構成されることも多い。ガバナ13は、燃料ガスを整圧するため、あるいはガスボンベ14の高圧ガスを減圧かつ整圧するために用いられる。ガスボンベ14は、燃料ガスを配管で供給することが不経済な場合に用いられ、通常はプロパンガスボンベである。火炎検知器16は、火炎の有無を検知する。火災検知器16として、熱電対、フレームロッド、紫外線光電管などが用いられる。火炎の立消えが生じた時、火災検知器16がこれを検知すると、安全装置(立消え安全装置)の作用として電磁弁23が燃料ガスを遮断する。制御装置18は、点火装置、電磁弁23、点火トランスなどを制御する。
【0029】
整流筒7は、薄肉の円筒状に形成され、耐熱金属の金網、金属繊維の織物もしくは不織布、多孔金属板、セラミック板、多孔セラミック板、ガラスもしくはセラミック繊維又はこれらの複合材からなる。整流筒7は、バーナキャップ11の上面に載置され、バーナ部4に対して着脱可能とされる。あるいは、整流筒7はバーナキャップ11の上方に配される。整流筒7をバーナキャップ11の上方に配する場合、整流筒7を支持する支持材が設けられる。バーナ部4の周囲に複数の支柱が設けられ、支持材が支柱に取り付けられる。支柱は、ケース20に取り付けられ、円孔21から上方向に向かって突出している。支持材は、バーナキャップ11の上方に位置しており、整流筒7が支持材に載置される。
【0030】
整流筒7は、円形のバーナキャップ11よりも小径とされ、上面の炎孔6によって形成される円よりも大径とされ、バーナキャップ11に対して同心円上に位置する。そのため、バーナキャップ11の上面の炎孔6は、整流筒7の内側に位置し、外周面の炎孔5は整流筒7の外側に位置する。これにより、整流筒7は、バーナキャップ11の上面への火炎の巻込みと二次空気の拡散侵入を抑える作用をし、長い層流直進火炎の形成を促進する。更に、整流筒7は、火炎a、bにより内外から加熱され、固体放射が行われるので、整流筒7は暖房に寄与する。
【0031】
筒体2は、バーナ部4よりも大径の透明な円筒である。筒体2は、ケース20の上面の円孔21に嵌め込まれる、あるいはケース20の上面に載置される。筒体2の内側にバーナ部4および整流筒7がある。筒体2の外側に格子25が設けられ、筒体2の上側に笠26が設けられる。
【0032】
筒体2の内径は火炎の最大径より大きく、筒体2の長さは、燃焼させるガスの燃焼特性と最大燃焼量を考慮して、最も長くなる火炎よりも長くする必要がある。火炎の接触による笠26などへの煤の付着を抑止するためである。
【0033】
筒体2の下部を隠すためのカバー27が設けられる。耐熱性を有する金属製のカバー27は、円筒状に形成され、支柱に上下方向にスライド可能に取り付けられる。カバー27は、筒体2の下部の外周面を覆い、カバー27の上端は整流筒7の上端よりも高い位置にある。したがって、カバー27は、バーナ部4、整流筒7および支柱も隠す。なお、バーナ装置1の炎を見せる演出効果を得られるようにするために、カバー27を透明な材質にしてもよい。あるいはカバー27に窓を設けて、カバー27の内側が見えるようにしてもよい。
【0034】
格子25は、可燃物が筒体2に接触するのを防止したり、接触による人体の火傷を防止したりするためのものであり、筒体2を囲むように、金網、線材もしくは金属多孔板などで枠状に形成される。格子25は、ケース20の上面に着脱可能に取り付けられ、格子25の上端は筒体2の上端よりも高い位置にある。
【0035】
笠26は、風雨が直接筒体2内に侵入することを防止するために設けられ、格子25の上端に取り付けられ、筒体25の上端の出口を覆う。笠26と筒体2との間には、筒体2の出口から排出される燃焼排ガスが通過するための隙間が形成され、筒体2の出口が排気口とされる。笠26の材料は、ある程度の耐熱性や不燃性が必要なため、ステンレス鋼やアルミ合金、あるいは鍍金された鋼板などが用いられる。
【0036】
本照明装置を屋外に設置する場合、風雨が燃焼に影響する。そこで、風雨によって燃焼が不能とならないように、風雨の侵入を規制する防護部材28が設けられる。防護部材は、バーナ装置1に対する給気口および排気口に設けられる。具体的には、通気口22や筒体2の出口から入る風が燃焼用空気の流量や流れの向きに影響することを抑えるために、
図4に示すように、防護部材28は、給気口である一次空気取入口の近傍に設けられる。防護部材28は、金属多孔板や適当に開口を開けた金属筒などで円筒状に形成される。また、防護部材28は、二次空気取入口、すなわちバーナ部4と筒体2の間の隙間に設けられる。なお、笠26も排気口を覆う防護部材である。
【0037】
このように、筒体2は、内側で燃焼させた火炎を灯火やかがり火といった照明として外部から視認できるようにし、また火炎や筒体2からの輻射は暖房に利用される。ただし、本照明装置を専ら暖房や加熱用途に用いる場合、筒体2は必ずしも透明(可視光を透過)である必要はなく、赤外光を透過し、あるいは赤外光の輻射率の高い不透明な筒でも良い。筒体2には、内部の火炎による加熱に耐える程度の耐熱性が要求され、また屋外に設置される場合には、雨水による急冷による熱衝撃(ヒートショック)に耐え得る性能、すなわち線膨張率の小ささも要求される。このような要求性能から、屋外で照明装置又は暖房装置として利用する場合には、石英ガラスが最適な材料として挙げられる。
【0038】
ガスコック12が操作されると、ガスボンベ14から燃料ガスがノズル15に供給され、ノズル15から燃料ガスが高速で噴出され、その運動量にてインジェクター3で周囲の空気が吸引され、混合気が形成される。ただし、輝炎(黄炎)を形成するために、一次空気率は通常のブンゼンバーナより低い10%〜50%に抑えられる。
【0039】
バーナ部4の外周面の炎孔5および上面の炎孔6から燃料と空気の予混合気が噴出されて燃焼する。各炎孔5,6からの燃焼において、火炎の基部では、予混合火炎で青炎a、bとなる個別に分離された火炎が形成され、その直下流で合体し、長い拡散火炎の輝炎cとなる。これにより、煤の付着が抑えられる長い火炎が形成される。
【0040】
整流筒7の内側には炎孔6からの火炎が、外側には炎孔5からの火炎が分離して形成される。いずれの炎孔5,6にも同一の一次空気率の部分予混合気が供給されるが、外側の炎孔5には、二次空気が十分供給されるので、青炎が形成される。内側の炎孔5からの火炎は、整流筒7によって二次空気の侵入が抑えられ、黄炎が形成される。
【0041】
更に、火炎基部の青炎は火炎の安定性が高く吹き飛びが起きにくい。よって、屋外に設置する場合にも、単なる拡散火炎(赤火燃焼火炎)に比較すれば、耐風性能に優れた火炎を形成することができる。
【0042】
ここで、整流筒7に炎色剤を塗布、付着、含侵させる、あるいは整流筒7を炎色剤そのもので形成すると、整流筒7から炎色剤が揮発して、炎色反応により発光する。炎色反応とは、燃焼熱等のエネルギーによって加速された分子種が、揮発した炎色剤の金属イオンに衝突して、そのイオンを励起し、その後基底状態に戻るときにイオン種固有の波長の光を放射する現象である。炎色剤としては、ナトリウム(Na;黄色)、カリウム(K;桃色)、ストロンチウム(Sr;赤色)、銅(Cu;緑青色)、バリウム(Ba;緑色)等の塩が用いられる。融点や整形の容易性もしくは腐食性等によって適当な塩が選定されるが、炭酸塩やシュウ酸塩が用いられることが多い。整流筒7に炎色剤による炎色反応を生じさせるため、整流筒7は、金網、金属多孔板、金属繊維板、金属繊維織物、セラミックあるいはこれらの組合せで形成し、炎色剤を塗布、付着、含侵あるいは整形して機能を発揮させる。
【0043】
また、円筒状の整流筒7をバーナキャップ11の同心円上に配置すると、揺らぎの少ない層流直進火炎が形成される。このときの火炎の動きが最も少ない。そこで、整流筒7をバーナキャップ11に対して偏心して配置する、あるいは整流筒7を多角形、星形、直線状などのように変形させた形状にすると、各炎孔5,6と整流筒7との距離が変わるので、火炎の流れが乱れて、火炎に揺らぎが生じ、装飾効果が高まる。あるいは、整流筒7の内側に螺旋状の線材や帯鋼を入れることによっても、同様の効果が得られる。また、整流筒7の上端あるいは下端を凹凸にして、整流筒7の高さを変えることにより、各炎孔5,6と整流筒7との距離が変わる。これにより、火炎の流れの一部に乱流が生じ、火炎に揺らぎを生じさせることができる。
【0044】
他の実施形態のバーナ装置を
図6に示す。バーナ部4の炎孔30がバーナキャップ11の上縁の角に切られて形成される。角を開口することによって、水平方向の開口と垂直方向の開口とが一体化される。すなわち、外周面の炎孔30が上面まで延伸されて、上面の炎孔を兼ねる。
【0045】
図7に示すように、整流筒7がバーナキャップ11の上面に配されると、上面の炎孔30に整流筒7がかかり、整流筒7の内側にある炎孔30と外側にある炎孔30とに分かれる。炎孔30からは横向きの火炎と上向きの火炎が一体的に作られるが、形成された火炎は整流筒7の内側を通るものと外側を通るものに二分され、
図4に示すような上記実施形態と同様の火炎が形成される。
【0046】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で上記実施形態に多くの修正および変更を加え得ることは勿論である。バーナ部4の形状は、円筒状に限らず、多角形の筒、楕円の筒、直線状の筒、複数の直線状の筒を組み合わせたものであってもよい。また、複数の炎孔5をバーナキャップ11の外周面にだけ形成して、バーナキャップ11の上面に整流筒7を載置してもよい。整流筒7により、バーナ部4の上面への火炎の巻き込みが抑えられ、長炎を形成できる。
【符号の説明】
【0047】
1 バーナ装置
2 筒体
4 バーナ部
5 外周面の炎孔
6 上面の炎孔
7 整流筒
10 バーナ本体
11 バーナキャップ
20 ケース
22 通気口
25 格子
26 笠
28 防護部材
30 炎孔
a 青炎
b 青炎
c 輝炎
d 燃料ガス
e 空気
f 燃焼排ガス