(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
所定の電源周波数の交流電源に接続されたインバータ機器から負荷機器に所定の駆動周波数の駆動電圧が印加されているときに、前記負荷機器を通じて流れる対地漏洩電流を検出する漏洩電流検出装置であって、
前記インバータ機器は、
前記交流電源から入力された交流電圧をブリッジ整流して、正極側直流電路又は負極側直流電路に直流電圧を出力する、ブリッジ接続された少なくとも一対の整流器から構成された整流部と、
前記正極側直流電路と前記負極側直流電路との間に接続された平滑コンデンサと、
前記正極側直流電路又は前記負極側直流電路を、前記インバータ機器と前記負荷機器とを接続する出力電路に、二者択一的に接続するインバータ部と
を備え、
前記漏洩電流検出装置は、
前記出力電路、前記正極側直流電路、又は前記負極側直流電路に、前記電源周波数及び前記駆動周波数のいずれとも異なる信号周波数を有し、かつ想定される対地漏洩電流よりも大きい信号電流を印加して、前記整流部の前記少なくとも一対の整流器のうち、前記正極側直流電路に直流電圧を出力するプラス側整流器、又は前記負極側直流電路に直流電圧を出力するマイナス側整流器に、前記信号電流の少なくとも一部分を流すことによって、前記出力電路に接地電位から見てプラス側又はマイナス側にオフセットした前記信号周波数の信号電圧を発生させる信号印加手段と、
前記出力電路を流れる前記信号周波数を有する信号電流成分を抽出して検出する電流センサと、
を備えることを特徴とする、漏洩電流検出装置。
前記信号印加手段は、前記出力電路、前記正極側直流電路、又は前記負極側直流電路に前記信号電流を流し込む第1回路、及び、前記出力電路、前記正極側直流電路、又は前記負極側直流電路から前記信号電流を吸い込む第2回路のうちの一方又は双方を備える
ことを特徴とする、請求項1記載の漏洩電流検出装置。
前記交流電源と前記インバータ機器との間に漏電遮断器が設けられている場合に、前記信号印加手段及び前記インバータ機器とを含み、かつ前記漏電遮断器を含まない閉回路を構成するように、前記信号印加手段が、前記漏電遮断器と前記インバータ機器との間の電路にも接続される
ことを特徴とする、請求項1〜7のいずれかに記載の漏洩電流検出装置。
所定の電源周波数の交流電源に接続されたインバータ機器から負荷機器に所定の駆動周波数の駆動電圧が印加されているときに、前記負荷機器を通じて流れる対地漏洩電流を検出する漏洩電流検出方法であって、
前記インバータ機器は、
前記交流電源から入力された交流電圧をブリッジ整流して、正極側直流電路又は負極側直流電路に直流電圧を出力する、ブリッジ接続された少なくとも一対の整流器から構成された整流部と、
前記正極側直流電路と前記負極側直流電路との間に接続された平滑コンデンサと、
前記正極側直流電路又は前記負極側直流電路を、前記インバータ機器と前記負荷機器とを接続する出力電路に、二者択一的に接続するインバータ部と
を備え、
前記出力電路、前記正極側直流電路、又は前記負極側直流電路に、前記電源周波数及び前記駆動周波数のいずれとも異なる信号周波数を有し、かつ想定される対地漏洩電流よりも大きい信号電流を印加して、前記整流部の前記少なくとも一対の整流器のうち、前記正極側直流電路に直流電圧を出力するプラス側整流器、又は前記負極側直流電路に直流電圧を出力するマイナス側整流器に、前記信号電流の少なくとも一部分を流すことによって、前記出力電路に接地電位から見てプラス側又はマイナス側にオフセットした前記信号周波数の信号電圧を発生させる工程と、
前記出力電路を流れる前記信号周波数を有する信号電流成分を抽出して検出する工程と、
を有することを特徴とする、漏洩電流検出方法。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[本発明の原理]
本発明の実施形態の説明に先立ち、
図1〜
図10を参照して、本発明の原理を説明する。
まず、インバータ機器2の整流後の直流電圧が、インバータ部のスイッチング素子に開閉状態に応じて、接地電位に対してプラス側又はマイナス側にオフセットすることを説明する。
【0016】
(インバータ機器)
図1に、漏洩電流検出の対象となる電路を構成する一般的な三相交流電源1及びインバータ機器2の回路図の一例を示す。
同図に示すように、交流電源1からインバータ機器2に交流電圧が入力される。
図2(a)に曲線I,II及びIIIで示すように、交流電源1から出力される三相交流電圧のR相、S相及びT相の対地電圧波形は、位相が互いに120°ずれた同一レベルの正弦波を示す。
【0017】
インバータ機器2は、整流部20と、平滑コンデンサ23と、インバータ部24とを備えている。
整流部20は、交流電源1から交流電圧が入力されて正極側直流電路21及び負極側直流電路22に直流電圧を出力する。整流部20は、三相ブリッジ接続された3対の整流ダイオードD1〜D6で構成され、ブリッジ整流を行う。
平滑コンデンサ23は、正極側直流電路21と負極側直流電路22との間に接続され、整流部20から出力された直流電圧の脈流成分を平滑化する。
インバータ部24は、一対のスイッチング素子241及び242から構成され、正極側直流電路21又は負極側直流電路22を、インバータ機器2と負荷機器3とを接続する出力電路4に、二者択一的に接続する。スイッチング素子は、IGBTのほか、FET又はトランジスタで構成してもよい。
【0018】
整流部20は、
図2(a)に曲線I,II及びIIIでそれぞれ示したR相、S相及びT相の三相交流電圧波形の最大値及び最小値を選択する。このため、
図2(b)に示すように、平滑コンデンサ23が無い場合に、正極側直流電路21に出力される太線IVで示す出力波形、及び負極側直流電路22に出力される太破線Vで示す波形は、三相交流電圧波形と重なる。
【0019】
図2(c)に、正極側直流電路21及び負極側直流電路22に出力される整流波形IV及びVのみを示す。正極側直流電路21の電位と負極側直流電路22の電位との電位差Vdが、直流電圧として使用される。
なお、
図2(c)は、接地電位を基準として見た波形として、整流波形IV及びVを示している。
【0020】
図2(d)に、
図2(c)に示した整流波形IV及びVを、負極側直流電路22を基準として見た整流波形VIとして示す。同図に示すように、整流波形VIは、波(リップル)を有する直流電圧の脈動波形として現れる。このリップルを除去するために、正極側直流電路21と負極側直流電路22との間に平滑コンデンサ23が接続されている。
【0021】
(整流後の直流電圧のオフセット)
図3(a)に、平滑コンデンサ23が接続されていないときの整流波形VIと、平滑コンデンサ23が接続されているときの整流波形VIIとを示す。
平滑コンデンサ23が接続されていないときの整流波形VIの電圧は、交流電源1から入力される三相交流電圧と一致している。
一方、平滑コンデンサ23が接続されているときの整流波形VIIの電圧は、平滑コンデンサ23に電荷が充電されることにより、整流波形VIの最大値付近で電圧が維持される。
【0022】
その結果、
図3(a)に示すように、三相交流電圧が最大となる頂上タイミング(1)では、三相交流電圧と整流波形VIIの電圧とが一致しているが、それ以外の非頂上タイミング(2)では、同図中に斜線で示すように、整流波形VIIの電圧が三相交流電圧と同じリップル整流波形VIよりも大きくなっている。これは、平滑コンデンサ23に電荷が充電されているためである。
【0023】
ここで、
図4に整理して示すと、
図4(a)に示すように、頂上タイミング(1)では、整流波形VIIの電圧Vbが三相交流電圧Vdと一致している。
一方、
図4(b)に示すように、非頂上タイミング(2)では、整流波形VIIの電圧Vbが三相交流電圧Vdよりも大きくなっている。同図に示すように、非頂上タイミング(2)において、整流波形VIIの電圧Vbが三相交流電圧Vdよりも大きい場合、整流波形VIIの電圧Vbは、正極側直流電路21の電圧を基準にしてマイナス側にオフセットする場合と、負極側直流電路22の電圧を基準にしてプラス側にオフセットする場合がある。
【0024】
図3(b)に、非頂上タイミング(2)において、正極側直流電路21に出力される太線IVで示す整流波形、及び負極側直流電路22に出力される太破線Vで示す整流波形の電圧が正極側直流電路21の電圧を基準にしてマイナス側にオフセットした場合の波形を示す。この場合、同図中に斜線で示すように、整流波形Vの電位が三相交流電圧I,II及びIIIよりも低くなるタイミングが存在する。その結果、整流波形IV, Vのプラス側とマイナス側の電位が上下対称とならず、接地電位からみて、マイナス側にオフセットした状態となる。
【0025】
また、
図3(c)に、非頂上タイミング(2)において、正極側直流電路21に出力される太線IVで示す整流波形、及び負極側直流電路22に出力される太破線Vで示す整流波形の電圧が正極側直流電路21の電圧を基準にしてマイナス側にオフセットした場合の波形を示す。この場合、同図中に斜線で示すように、整流波形IVの電位が三相交流電圧よりも高くなるタイミングが存在する。その結果、整流波形IV, Vのプラス側とマイナス側の電位が上下対称とならず、接地電位からみて、プラス側にオフセットした状態となる。
【0026】
(回路の電流の流れ)
頂上タイミング(1)において、
図5(a)に実線矢印で示すように、交流電源1から整流部20の整流ダイオードD1〜D6を経由して、平滑コンデンサ23にチャージ電流が流れる。このとき、チャージ電流は、プラス側の整流ダイオードD1〜D3と、マイナス側の整流ダイオードD4〜D6をそれぞれ流れる。
なお、整流ダイオードD1〜D6は、電流が流れると、約0.7Vの電圧降下が生じるため、厳密には、整流後の電位は、交流電源1から入力された三相交流電圧よりも1.4V程度小さくなる。
【0027】
平滑コンデンサ23に充電された電荷は、三相モータなどの負荷機器(
図5(a)では図示せず。)の駆動により消費される。
図5(a)に破線矢印で示すように、平滑コンデンサ23から出力された電流は、負荷機器を経由して、平滑コンデンサ23に戻る。
非頂上タイミング(2)において、平滑コンデンサ23に充電された電荷が負荷駆動により消費されると、平滑コンデンサ23の両端電圧が徐々に低下する。再度、頂上タイミング(1)で、消費された電荷が平滑コンデンサ23に再びチャージされる。このようにして、頂上タイミング(1)でのチャージと、非頂上タイミング(2)での消費が繰り返される。
【0028】
図5(b)に、頂上タイミング(1)において流れるスパイク状のチャージ電流波形Icを示す。同図に示すように、三相交流電圧の電位差が最大になる頂上タイミング(2)においてのみ電流が流れている。
【0029】
一方、非頂上タイミング(2)においては、対地絶縁抵抗成分に流れる漏洩電流のみが、整流部20の整流ダイオードに流れる。このとき、インバータ部24のスイッチング素子である一対のIGBT241及び242のうち、どちらのIGBTがオンになっているかで、電流の流れ方が変わる。
【0030】
図6(a)に、一対のIGBT241及び242のうち、プラス側のIGBT241がオンになっているときの電流の流れを示す。
同図中に矢印で示すように、プラス側のIGBT241がオンになっているときは、プラス側の整流ダイオードD1〜D3、プラス側のIGBT241、及び対地絶縁抵抗Rgを経由してアースに向かって電流が流れる。このとき、プラス側の整流ダイオードD1〜D3それぞれにおいて、ダイオードの両端電圧(アノード、カソード間電圧)が約0.7Vに固定されるため、整流後の直流電圧は、プラス側である正極側直流電路21の電位が基準となり、接地電位からみてマイナス側にオフセットする。
【0031】
また、
図6(b)に、一対のIGBT241及び242のうち、マイナス側のIGBT242がオンになっているときの電流の流れを示す。
同図中に矢印で示すように、マイナス側のIGBT242がオンになっているときは、マイナス側の整流ダイオードD4〜D6、マイナス側のIGBT242、及び対地絶縁抵抗Rgを経由して電流が戻る。このとき、マイナス側の整流ダイオードD4〜D6それぞれにおいて、ダイオードの両端電圧(アノード、カソード間電圧)が約0.7Vに固定されるため、整流後の直流電圧は、マイナス側である負極側直流電路22の電位が基準となり、接地電位からみてプラス側にオフセットする。
【0032】
ここで、
図6(c)に実際のインバータ制御時の整流後の直流電圧波形を示す。
同図中、曲線Iは、正極側直流電路21に出力された整流後の直流電圧波形を示し、曲線IIは、負極側直流電路22に出力された整流後の直流電圧波形を示す。
実際のインバータ機器2では、プラス側のIGBT241とマイナス側のIGBT242とが、常に一方がオン状態となるように、高速でオンオフを繰り返している。このため、整流後の直流電圧波形は、曲線I及びIIで示すように、IGBT241及び242のオンオフに同期して変化する。
なお、プラス側のIGBT241がオン状態の時間とマイナス側のIGBT242がオン状態の時間とは、長い時間の平均的に見た場合に等しいため、接地電位から見た整流後の直流電圧波形I及びIIは、ほぼ上下対称となる。
【0033】
以上説明したように、本発明の発明者は、インバータ部を構成するスイッチング素子の開閉状態に因り、整流後の直流電圧が対地に対してプラス側又はマイナス側にオフセットすることに着目した。
そして、本発明者は、もしインバータ部のスイッチング素子の開閉状態に関係なく、外部から信号を印加することによって、整流後の直流電圧のオフセット方向を任意の周波数で制御することができれば、インバータ機器から出力電路に、対地に対して任意の周波数の信号を出力させることができると考えた。
以下、インバータ機器2の出力に、商用周波数、負荷機器の駆動周波数(例えば、モータの回転周期)以外の周波数を発生させる原理を説明する。
【0034】
(出力電路への信号電流の印加)
まず、スイッチング素子の開閉状態に関係なく、インバータ機器の出力電圧をオフセットさせて、インバータ機器から出力電路に任意の周波数の信号を出力させる方法として、インバータ機器2の出力電路4に、外部からオフセットさせるための信号電流を印加する例を説明する。
【0035】
(プラス側の信号電流の印加)
図7(a)に、プラス側のIGBT241がオン状態のときに、インバータ機器2の出力電路4に外部の定電流源5からプラスの信号電流を印加した場合の電流の流れを示す。
非頂上タイミング(2)において、プラス側のIGBT241がオン状態のとき、信号電流を印加するまでは、
図7(a)に破線矢印で示すように、プラス側の平滑ダイオードD1〜D3に漏洩電流が流れていたが、出力電路4に信号電流を印加することによって、同図に実線矢印で示すように、マイナス側の平滑ダイオードD4〜D6に電流が流れるようになる。その結果、平滑後の直流電圧の基準が、正極側直流電路21から負極側直流電路22に切り替わり、インバータ機器2の出力がプラス側にオフセットされる。
【0036】
以下に、より詳細に説明する。
(i)出力電路4に外部からプラスの信号電流を印加する。信号電流は、対地絶縁抵抗Rgに流れる漏洩電流よりも十分大きい電流である。
(ii)対地絶縁抵抗Rgに流れる漏洩電流は、元々プラス側の平滑ダイオードD1〜D3から流れていたが、実線矢印で示すように、定電流源5から漏洩電流が流れる形に変わる。
(iii)出力電路4に信号電流を印加したことによって、プラス側の平滑ダイオードD1〜D3から対地に向かっていた破線矢印で示す電流が流れなくなる。
(iv)定電流源5から印加された信号電流のうち、対地に向かって流れた漏洩電流以外の残りの電流は、インバータ機器2へ流れる。
(v)インバータ機器2へ流れた電流は、平滑コンデンサ23へ流れ込む。
(vi)平滑コンデンサ23へ流れた電流は、マイナス側の平滑ダイオードD4〜D6を経由して、交流電源1へ流れる。
このように、インバータ機器2を流れる電流の経路が、プラス側の整流ダイオードD1〜D3からマイナス側の整流ダイオードD4〜D6に切り替わるため、整流後の直流電圧の基準が、正極側直流電路21から負極側直流電路22に切り替わり、インバータ機器2の出力がプラス側にオフセットされる。
【0037】
さらに、非頂上タイミング(2)において、マイナス側のIGBT242がオン状態のときも、プラスの信号電流を印加している間、マイナス側の平滑ダイオードD4〜D6に電流が流れるため、整流後の直流電圧の基準が負極側直流電路22になる。
【0038】
これにより、プラスの信号電流を印加している間は、インバータ部のスイッチング素子の開閉状態に関係なく、整流後の直流電圧の基準が負極側直流電路22になり、インバータ機器2の出力がプラス側にオフセットされる。
【0039】
(マイナスの信号電流の印加)
また、
図7(b)に、マイナス側のIGBT242がオン状態のときに、インバータ機器2の出力電路4に外部の定電流源5からマイナスの信号電流を印加した場合の電流の流れを示す。
非頂上タイミング(2)において、マイナス側のIGBT242がオン状態のとき、信号電流を印加するまでは、
図7(b)に破線矢印で示すように、マイナス側の平滑ダイオードD4〜D6に漏洩電流が流れていたが、出力電路4に信号電流を印加することによって、同図に実線矢印で示すように、プラス側の平滑ダイオードD1〜D3に電流が流れるようになる。その結果、平滑後の直流電圧の基準が、負極側直流電路22から正極側直流電路21に切り替わり、インバータ機器2の出力がマイナス側にオフセットされる。
【0040】
以下に、より詳細に説明する。
(i)出力電路4に外部からマイナスの信号電流を印加する(電流を吸い込む)。信号電流は、対地絶縁抵抗Rgに流れる漏洩電流よりも十分大きい電流である。
(ii)対地絶縁抵抗Rgに流れる漏洩電流は、元々プラス側の平滑ダイオードD1〜D3から流れていたが、実線矢印で示すように、定電流源5へ漏洩電流が吸い込まれる形に変わる。
(iii)出力電路4に信号電流を印加したことによって、対地からマイナス側の平滑ダイオードD4〜D6に向かっていた破線矢印で示す電流が流れなくなる。
(iv)定電流源5に吸い込まれる信号電流で、対地から流れてきた漏洩電流以外の残りのインバータ機器2から流れてきた電流も吸い込む。
(v)インバータ機器2から流れてくる電流は、プラス側の平滑ダイオードD1〜D3から、平滑コンデンサ23を経由して流れてくる。
このように、インバータ機器2を流れる電流の経路が、マイナス側の整流ダイオードD4〜D6からプラス側の整流ダイオードD1〜D3に切り替わるため、整流後の直流電圧の基準が、負極側直流電路22から正極側直流電路21に切り替わり、インバータ機器2の出力がマイナス側にオフセットされる。
【0041】
さらに、非頂上タイミング(2)において、プラス側のIGBT241がオン状態のときも、マイナスの信号電流を印加している間、プラス側の平滑ダイオードD1〜D3に電流が流れるため、整流後の直流電圧の基準が正極側直流電路21になる。
【0042】
これにより、マイナスの信号電流を印加している間は、インバータ部のスイッチング素子の開閉状態に関係なく、整流後の直流電圧の基準が正極側直流電路21になり、インバータ機器2の出力がマイナス側にオフセットされる。
【0043】
したがって、プラスの信号電流とマイナスの信号電流とを交互に任意の周波数で印加すれば、インバータ機器の出力をその周波数でプラス側とマイナス側に交互にオフセットすることができる。
【0044】
(信号印加手段)
このようなプラスの信号電流とマイナスの信号電流とを交互に印加する信号印加手段5としては、
図8に示すように、プラスの定電流源5aと、マイナスの定電流源5bとを組み合わせて用いることが好ましい。
【0045】
また、代わりに、
図8に示すように、信号印加手段5として、抵抗を介して接続された高電圧源5cと抵抗を介して接続された低電圧源5dとを組み合わせて用いてもよい。抵抗の抵抗値は、印加した低周波信号が負荷機器3の駆動に実質的に影響しない程度に大きい値が望ましく、かつ、漏洩検出対象の負荷機器3の絶縁抵抗値よりも小さいことが望ましい。また、抵抗の抵抗値は、一定値(例えば、1MΩ)を設定してもよいし、複数のレンジの抵抗値(例えば、10kΩ、100kΩ、1MΩ、10MΩ)を設定してレンジを切り替えてもよい。複数のレンジの抵抗値を設けることにより、広いレンジの対地漏洩電流を検出することができる。
【0046】
また、代わりに、
図8に示すように、信号印加手段5として、抵抗を介して接続されたダイオード5e及び5fを用いてもよい。
【0047】
また、直流の信号電流を印加する場合には、プラス又はマイナスの定電流源5a又は5bだけでもよいし、また、代わりに、抵抗を介して出力電路4に接続された高電圧源5c又は低電圧源5dだけでもよい。
【0048】
(出力電路以外への信号電流の印加)
また、信号電流を印加する部位は、出力電路4に限定されず、例えば、正極側直流電路21でもよいし、負極側直流電路22でもよい。
【0049】
図9(a)に、プラス側のIGBT241がオン状態のときに、負極側直流電路22に、外部の定電流源5からプラスの信号電流を印加した場合の電流の流れを示す。
非頂上タイミング(2)において、プラス側のIGBT241がオン状態のとき、信号電流を印加するまでは、
図9(a)に破線矢印で示すように、プラス側の平滑ダイオードD1〜D3に漏洩電流が流れていたが、負極側直流電路22に信号電流を印加することによって、
図9(a)に実線矢印で示すように、マイナス側の平滑ダイオードD4〜D6に電流が流れるようになる。その結果、平滑後の直流電圧の基準が、正極側直流電路21から負極側直流電路22に切り替わり、インバータ機器2の出力がプラス側にオフセットされる。
また、このプラスの信号電流が印加されているときに、対地絶縁抵抗Rgに流れる漏洩電流は、平滑コンデンサ23から供給される。
【0050】
図9(b)に、マイナス側のIGBT242がオン状態のときに、正極側直流電路21に、外部の定電流源5からマイナスの信号電流を印加した場合の電流の流れを示す。
非頂上タイミング(2)において、マイナス側のIGBT242がオン状態のとき、信号電流を印加するまでは、
図9(b)に破線矢印で示すように、マイナス側の平滑ダイオードD4〜D6に漏洩電流が流れていたが、正極側直流電路21にマイナスの信号電流を印加することによって、
図9(b)に実線矢印で示すように、プラス側の平滑ダイオードD1〜D3に電流が流れるようになる。その結果、平滑後の直流電圧の基準が、負極側直流電路22から正極側直流電路21に切り替わり、インバータ機器2の出力がマイナス側にオフセットされる。
また、このマイナスの信号電流が印加されているときに、対地絶縁抵抗Rgに流れる漏洩電流も、平滑コンデンサ23から供給される。
【0051】
(三相駆動電力を出力するインバータ機器)
図10(a)に示すように、三相駆動電圧を出力するインバータ機器2は、インバータ部24が三相ブリッジインバータ回路で構成されている。同図に示す例では、三相ブリッジインバータ回路を構成する3対のIGBTで三相駆動電圧を制御している。
3対のIGBTのうち2対のIGBTがプラス側でオンとなっている場合には、正極側直流電路21が平滑後の直流電圧の基準となり、一方、3対のIGBTのうち2対のIGBTがマイナス側でオンとなっている場合には、負極側直流電路22が平滑後の直流電圧の基準となる。
図10(a)に示す例では、2対のIGBTがプラス側でオンとなっているため、マイナス側の整流ダイオードD4〜D6に電流が流れない。その結果、マイナス側でオンとなっているIGBTを通る、破線矢印で示す電流は流れない。
【0052】
図10(b)に、三相駆動電力が出力される三相三線の出力電路4にそれぞれプラスの信号電流を印加した場合の電流の流れを示す。同図に示すように、プラス側の整流ダイオードD1〜D3に流れ込んでいた電流は打ち消される。一方、対地からマイナス側の整流ダイオードD4〜D6に、
図10(a)では流れていなかった漏洩電流が流れ出す。その結果、マイナス側の整流ダイオードD4〜D6には、印加された信号電流と、流れ出した漏洩電流が、交流電源1へ向かって流れる。これにより、負極側直流電路22が平滑後の直流電圧の基準となり、インバータ機器2の出力がプラス側へオフセットされる。
なお、信号電流は、出力電路4を構成する三相三線のうちの一つに印加すれば十分であるが、三線うちの2つ以上に互いに同相で印加してもよい。
【0053】
[本発明の実施形態]
以下、図面を参照して、本発明に係る漏洩電流検出装置及び対地漏洩電流検出方法の実施形態を説明する。
図11に、本実施形態に係る漏洩電流検出装置を示す。漏洩電流検出装置は、商用交流電源のような所定の電源周波数fgの三相交流電源1に接続されたインバータ機器2から三相モータのような負荷機器3に所定の駆動周波数fdの多相駆動電圧が印加されている電路を測定対象とし、活線状態で、負荷機器3の絶縁抵抗を通じて流れる対地漏洩電流を検出可能に構成されている。
【0054】
インバータ機器2は、交流電源1から入力された交流電圧をブリッジ整流して、正極側直流電路21及び負極側直流電路22に直流電圧を出力する、ブリッジ接続された三対の整流器としての三相ブリッジ接続された三対のダイオードD1〜D6(
図1参照)から構成された整流部20と、正極側直流電路21と負極側直流電路22との間に接続された平滑コンデンサ23と、正極側直流電路21又は負極側直流電路22を、インバータ機器2と負荷機器3とを接続する出力電路4に、二者択一的に接続するインバータ部24とを備えている。
【0055】
そして、漏洩電流検出装置は、出力電路4、正極側直流電路21、又は負極側直流電路22に、電源周波数fg及び駆動周波数fdのいずれとも異なる信号周波数fを有し、かつ想定される対地漏洩電流よりも大きい信号電流を印加して、整流部20の三対の整流器として三相ブリッジ接続されたダイオードのうち、正極側直流電路21に直流電圧を出力するプラス側ダイオード、又は負極側直流電路22に直流電圧を出力するマイナス側ダイオードに、信号電流の少なくとも一部分を流すことによって、出力電路4に信号周波数fの信号電圧を発生させる信号印加手段5と、出力電路4を流れる信号周波数を有する信号電流成分を抽出して検出する電流センサ6とを備える。
【0056】
信号印加手段5は、出力電路4、正極側直流電路21、又は負極側直流電路22に信号電流を流し込む第1回路、及び、出力電路4、正極側直流電路21、又は負極側直流電路22から信号電流を吸い込む第2回路のうちの一方又は双方を備える。
第1及び第2回路の少なくとも一方は、例えば、定電流回路であってもよいし、また、例えば、出力電路4、正極側直流電路21、又は負極側直流電路22に、抵抗を介して接続された交流又は直流電圧源であってもよい。また、出力電路4を抵抗とダイオードを介して接地させて信号印加手段5としてもよい。
図8に示した例では、5a、5c及び5fがそれぞれ第1回路に該当し、5b、5d及び5eがそれぞれ第2回路に該当する。
信号電流は、出力電路4を構成する三相三線のうちの一つに印加すれば十分であるが、三線うちの2つ以上に互いに同相で印加してもよい。また、信号印加手段は、出力電路4等に後付けで接続することができる。
【0057】
電流センサ6は、出力電路4が貫通するように構成された零相変流器(ZCT)61と、零相変流器61の零相電流のうち信号周波数の成分を抽出して検出する検出部62とから構成されている。零相変流器61は、例えば、クランプタイプとして、出力電路4に後付けで設置することができる。
なお、零相変流器61の代わりに、フラックスゲート方式を用いた電流センサを設けてもよい。
【0058】
零相変流器61は、インバータ機器2と負荷機器3との間の出力電路4に流れる三相の合成された零相電流を測定する。この零相電流は、出力電路4の対地間静電容量(C)各相の容量成分電流(Iocu,Iocv,Iosw)と、絶縁抵抗(R)を介して負荷機器3の三相モータの各相から大地に流れる抵抗成分電流(Iv,Iu,Iw)とを合成した値(Iocu+Iocv+Iosw+Iv+Iu+Iw)として測定される。
このとき、負荷機器3を通じて対地漏洩がない場合には、信号周波数fの信号電流成分は、出力電路4に流れない。一方、負荷機器3の絶縁劣化等により対地漏洩がある場合には、信号電流成分も出力電路4に流れる。
【0059】
検出部62は、例えば、ローパスフィルタ、バンドパスフィルタなどの周波数フィルタを備え、零相変流器61が検出した零相電流(Iocu+Iocv+Iosw+Iv+Iu+Iw)のうち、信号周波数fの信号電流成分を抽出して対地漏洩電流Ioとして検出する。
【0060】
この信号電流成分は、交流電源1の商用交流電源周波数fg(例えば、50Hz又は60Hz)及び負荷機器3の駆動周波数fd(例えば、200Hz)のいずれとも異なる信号周波数f、例えば、より低い周波数(例えば、0.25Hz〜10Hz)である。このため、信号電流成分を抽出することにより、交流電源1の商用交流電源周波数成分及び負荷機器3の駆動周波数成分による磁界ノイズ及び容量結合ノイズの影響を低減することができる。
特に、信号周波数fを低周波数にすれば、容量成分電流の影響も低減することができる。
このように、本実施形態の漏洩電流検出装置及び方法によれば、活線状態でノイズの影響を低減して対地漏洩電流を精度良く検出することができる。
【0061】
さらに、本実施形態の漏洩電流検出装置は、信号電流の電圧を取得する電圧取得部7と、電流センサ6で検出された信号電流成分と、電圧取得部7で取得された信号電流の電圧とに基づく処理をする処理部8とを備えている。
電圧取得部7は、例えば、電圧計で構成することができる。また、処理部8は、例えば、マイクロコンピュータで構成することができる。
【0062】
[交流信号電流]
(容量成分電流の分離)
信号電流が信号周波数fの交流である場合、信号周波数fの交流の信号電流成分として検出された対地漏洩電流I
0には、絶縁劣化による抵抗成分電流Iorだけでなく、対地間静電容量に流れる容量成分電流I
ocも含まれる。
【0063】
抵抗成分電流Iorの電流ベクトルの位相は、電圧波形の位相と同位相である。一方、容量成分電流I
ocの電流ベクトルの位相は、電圧波形の位相Vに対して90°進んでいる。このため、
図12に示すように、対地漏洩電流(信号電流成分)I
0は、抵抗成分電流Iorと、容量成分電流I
ocとの合成ベクトルとなる。
【0064】
容量成分電流I
ocは、周波数に比例するため、信号周波数が低いいほど、対地漏洩電流I
0の検出に与える容量成分電流I
ocの影響を低減することができる。したがって、信号周波数は、電源周波数及び駆動周波数のいずれよりも低いことが好ましい。
【0065】
本実施形態においては、対地漏洩電流をより精度良く検出するため、処理部8は、電流センサ6で検出された信号電流成分I
oと、電圧取得部7で取得された信号電流の電圧Vとから位相差θを求め、この位相差θに基づいて、対地漏洩電流である信号電流成分I
oのうち、信号電流の電圧に対して位相が90°ずれている対地間静電容量に流れる容量成分電流I
ocを含まない、信号電流の電圧と同位相の抵抗成分電流Iorを算出する。
【0066】
具体的には、処理部8は、下記の式(1)により、抵抗成分電流Iorを算出する。
Ior=I
ocosθ ・・・(1)
このように、容量成分電流の分離することにより、対地漏洩電流をより精度良く検出することできる。
【0067】
(誘電損失の分離)
ところで、従来は、工場設備の漏洩電流を検出する場合、通常、設備全体での対地漏洩電流が測定されていた。その場合の対地漏洩電流の検出精度には、例えば、ミリアンペア(mA)のオーダーの精度が必要であった。
これに対し、1つの三相モータのような負荷機器3を通じて流れる対地漏洩電流を検出する場合の検出精度には、例えば、マイクロアンペア(μA)のオーダーの精度が必要となることがある。
【0068】
そこで、本実施形態では、対地漏洩電流をより一層精度良く検出するため、処理部8は、誘電損失Lを含まない、正味の抵抗成分電流である絶縁抵抗成分を更に算出する。
誘電損失Lは、対地間静電容量に交流電圧が印加されたときに、抵抗と同様に熱が発生する現象であり、
図12に示すように、電圧波形Vの位相と同位相を有する。
【0069】
正味の抵抗成分電流は、信号周波数が変化しても変化しない特性を有する。一方、誘電損失は、周波数が上昇すると増加する特性を有する。このため、この特性の違いを利用して、抵抗成分電流Iorから正味の抵抗成分電流(絶縁抵抗成分)を誘電損失と分離して算出することができる。
【0070】
誘電損失Lを分離するため、処理部8は、インバータ機器2に、複数の信号周波数の信号電流を印加して、複数の信号周波数それぞれの信号電流成分を出力電路4に出力させる。電圧取得部7は、複数の信号周波数それぞれにおける信号電流の電圧を取得する。
なお、複数の信号周波数は、同時に印加しても良いし、タイミングをずらして印加してもよい。
【0071】
そして、処理部8は、複数の信号周波数それぞれにおいて、対地漏洩電流I
oのうちの抵抗成分電流Iorを、上記の式(1)に従って算出する。続いて、処理部8は、複数の信号周波数それぞれにおける抵抗成分電流Iorに基づいて、信号周波数が0Hzであるときの抵抗成分電流を、信号周波数に依存する対地間静電容量での誘電損失成分を含まない、正味の抵抗成分電流である絶縁抵抗成分として更に算出する。
【0072】
具体的には、例えば、誘電損失の周波数変化を、
図13(a)のグラフに直線Iで示す1次関数と仮定して、表1に示す少なくとも2つ信号周波数(f1及びf2)における抵抗成分電流(Ior1及びIor2)及び信号電流の電圧(V1及びV2)に基づいて、以下の連立方程式(2)及び(3)を解いて、正味の抵抗成分電流である絶縁抵抗成分I
Rを算出するとよい。
図9(a)のグラフにおいて、絶縁抵抗成分は、信号周波数=0Hzのときの抵抗成分電流(Ior1)、即ち、直線Iの切片の値に相当する。
【0074】
Ior
1 =b(f1)+I
R ・・・(2)
Ior
2・(V1/V2) =b(f2)+I
R ・・・(3)
なお、式(2)及び式(3)中のbは、
図13(a)のグラフの直線定数を表す。
また、
図13(a)のグラフのIor
2’は、信号電流の電圧を同条件とするために規格化したIor
2・(V1/V2)を表す。
【0075】
また、f2=2×f1の場合には、以下のようにして正味の抵抗成分電流である絶縁抵抗成分I
Rを算出することもできる。
【0076】
(1)まず、信号印加手段5が、2つの信号周波数(f1,f2)の信号電流をインバ出力電路4にそれぞれ印加する。
なお、2つの信号周波数(f1,f2)は、同時に出力してもよいし、1つの周波数を出力する都度、次の(2)及び(3)の工程を繰り返してもよい。
【0077】
(2)そして、電圧取得部7が、これらの2つの信号周波数(f1,f2)それぞれにおける信号電流の電圧(V1,V2)を測定するとともに、電流センサ6の検出部62が、2つの信号周波数(f1,f2)それぞれにおける信号電流成分の電流(Io1,Io2)のレベルをそれぞれ測定する。さらに、処理部8が、信号電流の電圧と信号電流成分との位相差θを求める。
【0078】
(3)次いで、処理部8が、2つの信号周波数(f1,f2)それぞれにおける信号電流の電圧と信号電流成分(Io1,Io2)との位相差から、2つの信号周波数(f1,f2)それぞれにおける対地漏洩電流(Io1,Io2)のうちの抵抗成分電流(Ior
1,Ior
2)を算出する。
【0079】
(4)次いで、2つの信号周波数(f1,f2)それぞれにおける抵抗成分電流(Ior
1,Ior
2)から、負荷機器の絶縁抵抗の劣化により流れる対地漏洩電流である正味の抵抗成分電流(絶縁抵抗電流)が信号周波数に依存しないことを利用して、絶縁抵抗成分と誘電損失とを次のよう分離する。
【0080】
ここでは、第2の信号周波数f2が第1の信号周波数f1の2倍としているので、
図13(a)に示すように、第1の信号周波数(f1)のときの抵抗成分電流(Ior
1)と第2の信号周波数(f2)の規格化した抵抗成分電流(Ior
2’=(V1/V2)×Ior
2)との差分(Ior
2’−Ior
1)が、第1の信号周波数(f1)のとき抵抗成分電流(Ior
1)の誘電損失Lと等しくなっている。
したがって、第1の信号周波数(f1)のときの抵抗成分電流(Ior
1)から、差分(Ior
2’−Ior
1)を除算した値が、正味の抵抗成分電流である絶縁抵抗成分I
Rとなる。
このようにして、絶縁抵抗成分I
Rを容易に求めることができる。
【0081】
さらに、信号電流の電圧(V1)を絶縁抵抗成分I
Rで除算することにより、三相モータ3の絶縁抵抗R(V1/I
R)を精度良く算出することができる。
【0082】
なお、誘電損失Lも三相モータ3のような負荷機器の絶縁劣化を知るパラメータの一つであるため、信号電流の電圧(V1)を抵抗成分電流Ior1で除算したものを、三相モータ3の絶縁抵抗Rとして算出してもよい。
また、信号電流の電圧(V1)を信号電流成分Ioで除算したものを、三相モータ3の絶縁抵抗Rとして算出することもできる。
【0083】
また、例えば、誘電損失の周波数変化を、
図13(b)のグラフに曲線IIで示す2次関数と仮定して、表2に示す少なくとも3つ信号周波数(f3、f4、f5)における抵抗成分電流(Ior3、Ior4、Ior5)及び信号電流の電圧(V3、V4、V5)に基づいて、以下の連立方程式(4)〜(6)を解いて、正味の抵抗成分電流である絶縁抵抗成分I
Rを算出してもとよい。
ここで、
図13(b)のグラフにおいて、絶縁抵抗成分I
Rは、信号周波数f=0Hzのときの抵抗成分電流(Ior)の値に相当する。
【0085】
Ior3 =a(f3)
2+b(f3)+I
R ・・・(4)
Ior4・(V3/V4) =a(f4)
2+b(f4)+I
R ・・・(5)
Ior5・(V3/V5) =a(f5)
2+b(f5)+I
R ・・・(6)
なお、式(4)〜式(6)中のa及びbは、
図9(b)のグラフの曲線IIの傾きを表す定数である。
また、
図9(b)のグラフのIor
4’及びIor
5’は、それぞれ信号電流の電圧を同条件とするために規格化したIor
4・(V3/V4)及びIor
5・(V3/V5)を表す。
【0086】
[直流信号電流]
また、信号電流が直流である場合、即ち、信号周波数f=0Hzである場合、信号電流成分も直流成分となる。その場合、信号電流成分として直流成分電流を検出するので、交流電源1の周波数成分及び三相モータ3の駆動周波数成分による磁界ノイズの影響を低減することができる。
さらに、直流成分電流Iorは、容量成分電流を含まないため、三相モータ3の絶縁劣化による正味の抵抗成分電流I
Rだけを直流成分電流Iorとして容易に検出することができる。これにより、対地漏洩電流を精度良く検出することができる。
さらに、処理部8は、電圧取得部7で取得した信号電流の電圧(DCV)を、電流センサ6で検出された信号電流成分の電流(Ior)で除算することによって、負荷機器3の対地絶縁抵抗値R(=DCV/Ior)を算出する。これにより、対地絶縁抵抗値をも精度良く算出することができる。
【0087】
[漏電遮断器の誤作動防止]
次に、
図14を参照して、交流電源1とインバータ機器2との間に漏電遮断器9が設けられている場合の回路接続例を説明する。
同図に示すように、漏電遮断器9が設けられている場合、信号印加手段5及びインバータ機器2とを含み、かつ漏電遮断器9を含まない閉回路を構成するように、信号印加手段5が、漏電遮断器9とインバータ機器2との間の電路10にも接続されるとよい。
このように漏電遮断器9を含まない閉回路を構成することによって、信号電流により漏電遮断器9が誤作動して電路が遮断されることが防止される。
【0088】
以上、本発明の漏洩電流検出装置及び対地漏洩電流検出方法の実施形態について説明したが、本発明に係る漏洩電流検出装置及び対地漏洩電流検出方法は上述した実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲で種々の変更実施が可能である。
上述した実施形態では、インバータ機器が交流電源として三相交流電源に接続された例を説明したが、本発明では、検査対象とする電路の交流電源は三相交流電源に限定されず、例えば、単相交流電源であってもよいし、三相以外の多相交流電源であってもよい。
また、上述した実施形態では、検査対象とする電路のインバータ機器の整流部がブリッジ接続された整流器をダイオードで構成した例を説明したが、本発明では、整流部の整流器はダイオードのようなPN接合素子に限定されず、例えば、サイリスタのような整流器であってもよい。
また、上述した実施形態では、検査対象とする電路にインバータ機器が三相駆動電圧を出力する例を説明したが、本発明では、電路に出力される駆動電圧は三相に限定されず、単相駆動電圧であってもよいし、三相以外の多相交流電圧であってもよい。
また、上述した実施形態では、負荷機器として三相モータを接続した電路を検査対象とした例を説明したが、本発明では、負荷機器は三モータに限定されず、例えば、三相以外のモータや、他の電動機器であってもよい。
また、上述した実施形態では、電源周波数及び駆動周波数のいずれよりも低い信号周波数を有し、かつ、多相駆動電圧よりも低い電圧を有する低周波の信号電流を印加した例を説明したが、本発明では、信号電流は、低周波の信号に限定されず、電源周波数及び駆動周波数のいずれとも異なる周波数であればよく、これらの周波数よりも高い周波数であってもよい。また、信号電流の信号周波数は、電流センサによって信号周波数の信号電流成分が電源周波数及び駆動周波数から分離して抽出できる程度以上に、電源周波数及び駆動周波数のいずれの周波数からも離れていることが好ましい。
また、上述した実施形態では、三相交流電源の結線方式をスター結線とした例を説明したが、交流電源の結線方式はこれに限定されず、例えば、デルタ結線としてもよい。
【解決手段】交流電源1に接続されたインバータ機器2から負荷機器3に所定の駆動周波数の駆動電圧が印加されているときに、負荷機器3を通じて流れる対地漏洩電流を検出する漏洩電流検出装置であって、電源周波数及び駆動周波数のいずれとも異なる信号周波数を有し、かつ想定される対地漏洩電流よりも大きい信号電流を出力電路4に印加して、
出力電路に接地電位から見てプラス側又はマイナス側にオフセットした信号周波数の信号電圧を発生させる信号印加手段5と、出力電路4を流れる信号周波数を有する信号電流成分を抽出して検出する電流センサ6とを備える。