(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6583962
(24)【登録日】2019年9月13日
(45)【発行日】2019年10月2日
(54)【発明の名称】溶接装置
(51)【国際特許分類】
B23K 9/10 20060101AFI20190919BHJP
B23K 9/073 20060101ALI20190919BHJP
G06T 7/20 20170101ALI20190919BHJP
【FI】
B23K9/10 A
B23K9/073 545
G06T7/20 300B
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-8185(P2016-8185)
(22)【出願日】2016年1月19日
(65)【公開番号】特開2017-127888(P2017-127888A)
(43)【公開日】2017年7月27日
【審査請求日】2018年11月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000262
【氏名又は名称】株式会社ダイヘン
(72)【発明者】
【氏名】石和久 将一
(72)【発明者】
【氏名】中俣 利昭
(72)【発明者】
【氏名】梅澤 一郎
【審査官】
岩見 勤
(56)【参考文献】
【文献】
特表2012−521891(JP,A)
【文献】
特開2014−41292(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2012/0012561(US,A1)
【文献】
特開平8−187368(JP,A)
【文献】
特開2012−118679(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 9/10
B23K 9/073
G06T 7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶接ワイヤを送給し、短絡期間とアーク期間とを繰り返してアーク溶接する溶接装置であって、
溶接状態が前記短絡期間であるか前記アーク期間であるかを判別して溶接状態判別信号を出力する溶接状態判別部と、
前記溶接状態判別信号に同期して溶接作業者の口唇の動きを撮像し、画像データを出力する画像撮像手段と、
前記画像データから前記口唇の動きを認識する口唇認識部と、
前記認識された口唇の動きに基づいて溶接条件設定信号を出力する溶接条件設定部と、
前記溶接条件設定信号を入力として溶接負荷に供給される出力を制御する溶接電源と、を備えた
ことを特徴とする溶接装置。
【請求項2】
前記画像撮像手段は、前記溶接作業者の前記口唇の動きを周期的に撮像して前記画像データを出力し、前記撮像するときに前記溶接状態判別信号が前記短絡期間であるときは前記アーク期間になるまで前記撮像を遅延する、
ことを特徴とする請求項1に記載の溶接装置。
【請求項3】
前記溶接状態判別信号に同期して前記溶接条件設定信号を前記溶接電源に通信する通信部をさらに備えた、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の溶接装置。
【請求項4】
前記口唇認識部は、前記溶接状態判別信号に同期して前記画像データから前記口唇の動きを認識する、
ことを特徴とする請求項3に記載の溶接装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、溶接ワイヤを送給し、短絡期間とアーク期間とを繰り返してアーク溶接する溶接装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
消耗電極式アーク溶接では、消耗電極である溶接ワイヤを送給し、溶接ワイヤと母材との間にアークを発生させて溶接が行われる。消耗電極式アーク溶接は、自動化が容易であり、かつ、高効率に溶接することができるために、広く使用されている。消耗電極式アーク溶接では、溶接ワイヤと母材との間が短絡期間とアーク期間とを繰り返す溶接状態となることが多い。短絡期間中は、短絡状態を早期に解除するために、溶接電流は急峻に増加し、ピーク値は600Aにも達する。アーク期間中は、溶接ビードを高品質に形成するために、溶接電流は緩やかに変化し、電流値も100〜300A程度となる。
【0003】
溶接作業者は、片手で溶接トーチを操作し、もう一方の手で保護面を把持して溶接を行う。溶接作業者が溶接電流、溶接電圧等の溶接条件を調整するときには、一旦溶接を中断し、手元にある条件設定器のツマミを調整して行うことが一般的である。しかし、これでは、最適な溶接条件に調整するまでには、何度も溶接を中断しなければならず、長い時間が必要となる。このために、溶接を行いながら溶接条件の調整が可能な溶接トーチ(例えば、特許文献1参照)が販売されている。この溶接トーチには、溶接条件を調整するツマミが設けられている。溶接作業者は、溶接を行いながら、このツマミを調整して、溶接条件を調整する。しかしながら、複雑で、かつ、微妙なトーチ操作を行いながら、ツマミを調整するには、熟練した技量が必要である。未熟練作業者がこの溶接トーチを使いこなすことは困難であった。
【0004】
また、特許文献2の発明では、口唇の動きを光学的手段で読み取り、対象物に対して指令を与える装置が開示されている。このような装置を、上述したアーク溶接に適用すれば、溶接作業者は口唇の動きによって溶接条件を調整することが可能となる。この方法では、両手には追加の操作が不要であるので、未熟練作業者であっても簡単に使いこなすことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2015−202498号公報
【特許文献2】特開2004−24863号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したように、消耗電極式アーク溶接では、短絡期間中に急峻に変化し、かつ、大電流値の溶接電流が通電する。このために、非常に強い磁界がアーク発生部の周囲空間に形成される。特許文献2の発明のように、口唇の動きをCCDカメラ等の撮像手段によって撮像するときに、強い磁界から影響を受けて、画像データに大きなノイズが重畳する問題があった。この結果、口唇の動きを正しく認識することができないために、溶接電源に対して溶接条件の調整を行うことができなかった。
【0007】
そこで、本発明では、消耗電極式アーク溶接において、溶接中に溶接作業者の口唇の動きを撮像し、撮像された画像データに基づいて溶接電源に対する溶接条件の調整を行うことができる溶接装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決するために、請求項1の発明は、
溶接ワイヤを送給し、短絡期間とアーク期間とを繰り返してアーク溶接する溶接装置であって、
溶接状態が前記短絡期間であるか前記アーク期間であるかを判別して溶接状態判別信号を出力する溶接状態判別部と、
前記溶接状態判別信号に同期して溶接作業者の口唇の動きを撮像し、画像データを出力する画像撮像手段と、
前記画像データから前記口唇の動きを認識する口唇認識部と、
前記認識された口唇の動きに基づいて溶接条件設定信号を出力する溶接条件設定部と、
前記溶接条件設定信号を入力として溶接負荷に供給される出力を制御する溶接電源と、を備えた
ことを特徴とする溶接装置である。
【0009】
請求項2の発明は、前記画像撮像手段は、前記溶接作業者の前記口唇の動きを周期的に撮像して前記画像データを出力し、前記撮像するときに前記溶接状態判別信号が前記短絡期間であるときは前記アーク期間になるまで前記撮像を遅延する、
ことを特徴とする請求項1に記載の溶接装置である。
【0010】
請求項3の発明は、前記溶接状態判別信号に同期して前記溶接条件設定信号を前記溶接電源に通信する通信部をさらに備えた、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の溶接装置である。
【0011】
請求項4の発明は、前記口唇認識部は、前記溶接状態判別信号に同期して前記画像データから前記口唇の動きを認識する、
ことを特徴とする請求項3に記載の溶接装置である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、溶接状態がアーク期間であるときに同期して溶接作業者の口唇の動きを画像撮像手段によって撮像し、画像データから口唇の動きを認識し、認識した結果に基づいて溶接条件を調整することができる。撮像は、溶接電流の変化が緩やかであり、かつ、小電流値であるアーク期間に同期して行われるために、画像データにノイズが重畳することを抑制することができる。このために、溶接作業者の口唇の動きを正しく認識することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の実施の形態1に係る溶接装置のブロック図である。
【
図2】カメラCMの撮像タイミングを示す図である。
【
図3】本発明の実施の形態2に係る溶接装置のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
【0015】
[実施の形態1]
実施の形態1の発明では、口唇認識部MD、溶接条件設定部WCが溶接電源PSの近傍又は電源内に設けられている場合である。カメラCMは、保護面の内側に設けられている。したがって、カメラCMは、アーク発生部の近くに位置することになる。この結果、カメラCMは、溶接電流Iwの通電による磁界からのノイズを受けやすいことになる。
【0016】
図1は、本発明の実施の形態1に係る溶接装置のブロック図である。以下、同図を参照して各ブロックについて説明する。
【0017】
ワイヤ送給機FDは、溶接電源PSのプラス出力端子と接続され、溶接ワイヤ1を送給するための送給モータ(図示は省略)を内蔵している。溶接トーチWTは、ワイヤ送給機FDに接続されて、電力、溶接ワイヤ1及びシールドガスをアーク発生部に供給する。溶接トーチWTは、溶接作業者によって把持される。溶接トーチWTから送給された溶接ワイヤ1と母材2との間にアーク3が発生する。母材2は、溶接電源PSのマイナス出力端子と接続される。溶接ワイヤ1と母材2との間には溶接電圧Vwが印加し、溶接電流Iwが通電する。
【0018】
溶接状態判別部STBは、溶接電圧Vwを検出し、検出された値がしきい値未満のときは短絡期間であると判別してLowレベルとなり、しきい値以上のときはアーク期間であると判別してHighレベルとなる溶接状態判別信号Stbを出力する。しきい値は、例えば10Vに設定される。
【0019】
カメラCMは、上記の溶接状態判別信号Stbを入力として、溶接作業者の口唇の動きを周期的に撮像し、画像データCmを出力する。カメラCMは、各撮像時に溶接状態判別信号StbがHighレベル(アーク期間)であるときはその時点で撮像し、各撮像時に溶接状態判別信号StbがLowレベル(短絡期間)であるときはHighレベル(アーク期間)になるまで遅延させて撮像する。カメラCMは、周期撮像信号S1及び最終撮像信号S2(共に図示は省略)を内部で生成している。周期撮像信号S1は、予め定めた周期ごとに短時間Highレベルとなる信号である。この周期撮像信号S1が短時間Highレベルである時点がアーク期間であるときはそのままの最終撮像信号S2を出力する。他方、周期撮像信号S1が短時間Highレベルである時点が短絡期間であるときはアーク期間になるまで遅延させた最終撮像信号S2を出力する。実際の撮像タイミングは、最終撮像信号S2が短時間Highレベルのときに同期して行われる。カメラCMは、例えばCCDカメラである。カメラCMは、溶接作業者の口唇の動きを撮像できるように、保護面(図示は省略)の内側に設けられている。カメラCMが、画像撮像手段に相当する。
【0020】
口唇認識部MDは、上記の画像データCmを入力として、画像データCmから口唇の動きを認識して、口唇認識信号Mdを出力する。
【0021】
溶接条件設定部WCは、上記の口唇認識信号Mdを入力として、以下の1)〜4)の処理を行い、溶接条件設定信号Wcを出力する。溶接条件設定信号Wcは、例えば溶接電流設定信号Ir、溶接電圧設定信号Vr等である。
1)口唇認識信号Mdが「あ」に対応した信号であり、この状態が所定時間継続するごとに、溶接電流設定信号Irの値を所定値だけ増加させる。
2)口唇認識信号Mdが「い」に対応した信号であり、この状態が所定時間継続するごとに、溶接電流設定信号Irの値を所定値だけ減少させる。
3)口唇認識信号Mdが「う」に対応した信号であり、この状態が所定時間継続するごとに、溶接電圧設定信号Vrの値を所定値だけ増加させる。
4)口唇認識信号Mdが「え」に対応した信号であり、この状態が所定時間継続するごとに、溶接電圧設定信号Vrの値を所定値だけ減少させる。
【0022】
溶接電源PSは、上記の溶接条件設定信号Wcを入力として、溶接負荷に供給される出力を制御する。溶接条件設定信号Wcに含まれる溶接電流設定信号Irに基づいて溶接ワイヤ1の送給速度(溶接電流Iw)が設定される。溶接条件設定信号Wcに含まれる溶接電圧設定信号Vrに基づいて溶接電圧Vwが設定される。
【0023】
図2は、カメラCMの撮像タイミングを示す図である。同図(A)は溶接電流Iwの時間変化を示し、同図(B)は溶接電圧Vwの時間変化を示し、同図(C)は溶接状態判別信号Stbの時間変化を示し、同図(D)は周期的に発生する周期撮像信号S1の時間変化を示し、同図(E)は修正後の最終撮像信号S2の時間変化を示す。以下、同図を参照して説明する。
【0024】
同図において、時刻t1〜t2の期間は短絡期間となり、時刻t2〜t3の期間はアーク期間となり、時刻t3〜t4の期間は短絡期間となり、時刻t4〜t5の期間はアーク期間となり、時刻t5〜t6の期間は短絡期間となり、時刻t6〜t7の期間はアーク期間となる。
【0025】
各短絡期間中は、同図(A)に示すように、溶接電流Iwは急峻に増加し、同図(B)に示すように、溶接電圧Vwは数Vの短絡電圧値になる。各アーク期間中は、同図(A)に示すように、溶接電流Iwは緩やかに減少し、同図(B)に示すように、溶接電圧Vwは数十Vのアーク電圧値となる。
【0026】
同図(C)に示すように、溶接状態判別信号Stbは、各短絡期間中はLowレベルとなり、各アーク期間中はHighレベルとなる。
【0027】
同図(D)に示すように、カメラCM内の周期撮像信号S1は、一定周期ごとに短時間Highレベルとなるトリガ信号である。周期撮像信号S1は、時刻t2〜t3のアーク期間中の時刻t21と、時刻t3〜t4の短絡期間中の時刻t31と、時刻t6〜t7のアーク期間中の時刻t61とにおいて、短時間Highレベルとなる。時刻t21、時刻t31及び時刻t61の時間間隔は一定である。
【0028】
時刻t21において周期撮像信号S1が短時間Highレベルとなったときに、溶接状態判別信号StbはHighレベル(アーク期間)である。このために、同図(E)に示すように、最終撮像信号S2は、時刻t21において短時間Highレベルとなり、カメラCMはこのタイミングで撮像する。
【0029】
時刻t31において周期撮像信号S1が短時間Highレベルとなったときに、溶接状態判別信号StbはLowレベル(短絡期間)である。このために、同図(E)に示すように、最終撮像信号S2は、時刻t31からアーク期間に入るまで遅延されて時刻t41において短時間Highレベルとなり、カメラCMはこのタイミングで撮像する。時刻t41は、アーク期間中である。
【0030】
時刻t61において周期撮像信号S1が短時間Highレベルとなったときに、溶接状態判別信号StbはHighレベル(アーク期間)である。このために、同図(E)に示すように、最終撮像信号S2は、時刻t61において短時間Highレベルとなり、カメラCMはこのタイミングで撮像する。
【0031】
このように、カメラCMの撮像タイミングを、アーク期間とすることによって、磁界の強度の変化が緩やかなときに撮像することができるので、画像データCmへのノイズの重畳を抑制することができる。
【0032】
同図において、短絡が発生する周期は一定ではないが、10〜100ms程度である。また、周期撮像信号S1の周期は、40〜100ms程度に設定される。短絡期間の時間長さは、アーク期間の時間長さの3〜30%程度と短い。このために、撮像タイミングをアーク期間になるように遅延しても、ほぼ周期的な撮像が可能である。
【0033】
以下、実施の形態1の発明の作用効果について説明する。溶接作業者が溶接トーチWTを操作しながら溶接しているときに、溶接電流Iwを増加させたいと思った場合には、「あ」と発音する形に口唇を動かす。保護面の内側に設けられているカメラCMが、アーク期間に同期して口唇の動きを連続的に撮像している。口唇認識部MDは、画像データCmから口唇の動きが「あ」であることを認識して、「あ」に対応した口唇認識信号Mdを出力する。溶接条件設定部WCは、口唇認識信号Mdを入力として、溶接電流設定信号Irを増加させる。溶接電源PSは、溶接電流設定信号Irが増加されると、溶接ワイヤ1の送給速度を加速させて、溶接電流Iwを増加させる。同様に、溶接作業者が、「い」と所定時間発音すれば、溶接電流Iwは所定値だけ減少する。「う」と発音すると、溶接電圧Vwが増加し、「え」と発音すれば溶接電圧Vwが減少する。
【0034】
上述した実施の形態1によれば、短絡期間とアーク期間とを繰り返す消耗電極式アーク溶接のアーク期間に同期して溶接作業者の口唇の動きを画像撮像手段によって撮像し、画像データから口唇の動きを認識し、認識した結果に基づいて溶接条件を調整することができる。撮像は、溶接電流の変化が緩やかであるアーク期間に同期して行われるために、画像データにノイズが重畳することを抑制することができる。このために、口唇の動きを正しく認識することができる。
【0035】
「実施の形態2」
実施の形態2の発明では、溶接条件設定部WCが溶接電源PSの近傍又は電源内に設けられている場合である。この結果、口唇認識部MDと溶接条件設定部WCとの間が5〜50m程度離れている。このために、口唇認識信号Mdを溶接条件設定部WCまで通信するための通信部CSが追加されている。
【0036】
図3は、本発明の実施の形態2に係る溶接装置のブロック図である。同図は、
図1と対応しており、同一ブロックには同一符号を付して、それらの説明は繰り返さない。同図は、
図1の口唇認識部MDを第2口唇認識部MD2に置換し、
図1に通信部CSを追加したものである。以下、同図を参照してこれらのブロックについて説明する。
【0037】
第2口唇認識部MD2は、上記の画像データCm及び上記の溶接状態判別信号Stbを入力として、溶接状態判別信号StbがHighレベルであるときに同期して、画像データCmから口唇の動きを認識して、口唇認識信号Mdを出力する。
【0038】
通信部CSは、上記の溶接状態判別信号Stb及び上記の口唇認識信号Mdを入力として、溶接状態判別信号StbがHighレベルであるときに同期して、上記の口唇認識信号Mdを溶接条件設定部WCに通信する。通信は、無線通信でも良いし、有線通信でも良い。
【0039】
上述した実施の形態2によれば、口唇認識信号Mdを通信によって溶接条件設定部WCに入力するようにしている。実施の形態2では、溶接状態判別部STB、カメラCM、第2口唇認識部MD2及び通信部CSがアーク発生部の近傍に設けられており、溶接条件設定部WCが溶接電源PSの近郷又は電源内に設けられている場合である。このような形態の場合には、第2口唇認識部MD2及び/又は通信部CSが磁界の影響を受けて誤動作するおそれがある。このために、実施の形態2では、第2口唇認識部MD2及び/又は通信部CSは、磁界の影響が小さいアーク期間に同期して動作するようにしている。この結果、誤動作を抑制することができる。
【0040】
上述した実施の形態においては、溶接条件として溶接電流及び溶接電圧の場合について説明したが、これら以外にも以下のパラメータを含めても良い。溶接の起動/停止等である。
【符号の説明】
【0041】
1 溶接ワイヤ
2 母材
3 アーク
CM カメラ
Cm 画像データ
CS 通信部
FD ワイヤ送給機
Ir 溶接電流設定信号
Iw 溶接電流
MD 口唇認識部
Md 口唇認識信号
MD2 第2口唇認識部
PS 溶接電源
S1 周期撮像信号
S2 最終撮像信号
STB 溶接状態判別部
Stb 溶接状態判別信号
Vr 溶接電圧設定信号
Vw 溶接電圧
WC 溶接条件設定部
Wc 溶接条件設定信号
WT 溶接トーチ