特許第6583965号(P6583965)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6583965
(24)【登録日】2019年9月13日
(45)【発行日】2019年10月2日
(54)【発明の名称】直並列油圧式ハイブリット構造
(51)【国際特許分類】
   F16H 61/452 20100101AFI20190919BHJP
   B60K 6/12 20060101ALI20190919BHJP
【FI】
   F16H61/452
   B60K6/12
【請求項の数】12
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2016-541716(P2016-541716)
(86)(22)【出願日】2015年2月3日
(65)【公表番号】特表2017-511863(P2017-511863A)
(43)【公表日】2017年4月27日
(86)【国際出願番号】EP2015052215
(87)【国際公開番号】WO2015117964
(87)【国際公開日】20150813
【審査請求日】2018年1月25日
(31)【優先権主張番号】61/935,642
(32)【優先日】2014年2月4日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】515207385
【氏名又は名称】ダナ イタリア エスピーエー
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】セラーオ、ロレンツォ
(72)【発明者】
【氏名】オルネーラ、ギウリオ
(72)【発明者】
【氏名】コソリ、エトーレ
【審査官】 増岡 亘
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2011/0314801(US,A1)
【文献】 特表2003−519595(JP,A)
【文献】 特開昭53−138133(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 61/452
B60K 6/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
デュアルモータ油圧式ハイブリット伝動装置(1、1')であって、
動力源(2)と、
油圧回路(3)と、
油圧蓄圧器組立体(7)と、
1つ又は複数の制御弁(PA、PB、VHP、VLP)と、
出力シャフト(11)と
を備え、
前記油圧回路(3)は、
前記動力源(2)と駆動係合され、又は選択的に駆動係合される油圧ポンプ(4)と、
前記油圧ポンプ(4)と流体連通される第1の油圧モータ(5)と、
前記油圧ポンプ(4)と流体連通される第2の油圧モータ(6)と
を有し、
前記油圧蓄圧器組立体(7)は、高圧蓄圧器(7a)と、低圧蓄圧器(7b)とを有し、前記油圧蓄圧器組立体(7)は、前記油圧回路(3)と流体連通され、
前記第1の油圧モータ(5)は、前記出力シャフト(11)と駆動係合され、又は選択的に駆動係合され、
前記第2の油圧モータ(6)は、前記出力シャフト(11)と駆動係合され、又は選択的に駆動係合され、
前記複数の制御弁(PA、PB、VHP、VLP)は選択的に、前記油圧ポンプ(4)を前記第2の油圧モータ(6)から流体的に切り離しながら、前記油圧ポンプ(4)を前記第1の油圧モータ(5)と流体的に連通させ、かつ、同時に、
前記油圧蓄圧器組立体(7)を前記第1の油圧モータ(5)から流体的に切り離しながら、前記油圧蓄圧器組立体(7)を前記第2の油圧モータ(6)と流体的に連通させ、
前記複数の制御弁(PA、PB、VHP、VLP)は選択的に、
前記油圧ポンプ(4)を前記第1の油圧モータ(5)から流体的に切り離しながら、前記油圧ポンプ(4)を前記第2の油圧モータ(6)と流体的に連通させ、かつ、同時に、
前記油圧蓄圧器組立体(7)を前記第2の油圧モータ(6)から流体的に切り離しながら、前記油圧蓄圧器組立体(7)を前記第1の油圧モータ(5)と流体的に連通させる、
デュアルモータ油圧式ハイブリット伝動装置(1、1')。
【請求項2】
前記複数の制御弁(PA、PB、VHP、VLP)はさらに選択的に、
前記油圧ポンプ(4)を前記第1の油圧モータ(5)と前記第2の油圧モータ(6)とに同時に流体的に連通させる、
請求項1に記載のデュアルモータ油圧式ハイブリット伝動装置(1、1')。
【請求項3】
前記複数の制御弁(PA、PB、VHP、VLP)は、少なくとも1つのポンプ弁(PA、PB)を有し、
前記ポンプ弁(PA、PB)は、前記油圧ポンプ(4)と前記第1の油圧モータ(5)及び前記第2の油圧モータ(6)との間の流体連通を提供し、前記ポンプ弁(PA、PB)は、3つの制御位置又は制御構成を含み、
前記ポンプ弁(PA、PB)が第1の位置又は構成にセットされたとき、前記ポンプ弁(PA、PB)は、前記油圧ポンプ(4)を前記第1の油圧モータ(5)と、前記第2の油圧モータ(6)とに流体的に連通させ、
前記ポンプ弁(PA、PB)が第2の位置又は構成にセットされたとき、前記ポンプ弁(PA、PB)は、前記油圧ポンプ(4)を前記第1の油圧モータ(5)と流体的に連通させ、前記油圧ポンプ(4)を前記第2の油圧モータ(6)から流体的に切り離し、
前記ポンプ弁(PA、PB)が第3の位置又は構成にセットされたとき、前記ポンプ弁(PA、PB)は、前記油圧ポンプ(4)を前記第2の油圧モータ(6)と流体的に連通させ、前記油圧ポンプ(4)を前記第1の油圧モータ(5)から流体的に切り離す、
請求項1または2に記載のデュアルモータ油圧式ハイブリット伝動装置(1、1')。
【請求項4】
前記油圧ポンプ(4)、前記第1の油圧モータ(5)、及び前記第2の油圧モータ(6)はそれぞれ、第1の流体ポート及び第2の流体ポートを含み、
前記複数の制御弁(PA、PB、VHP、VLP)は、第1のポンプ弁(PA)を有し、前記第1のポンプ弁(PA)は、前記油圧ポンプ(4)の前記第1の流体ポート(4a)と、前記第1の油圧モータ(5)の前記第1の流体ポート(5a)と、前記第2の油圧モータ(6)の前記第1の流体ポート(6a)との間の流体連通を提供し、前記第1のポンプ弁(PA)は、3つの制御位置を有し、
前記第1のポンプ弁(PA)が第1の制御位置にセットされたとき、前記第1のポンプ弁(PA)は、前記油圧ポンプ(4)の前記第1の流体ポート(4a)を、前記第1の油圧モータ(5)の前記第1の流体ポート(5a)と、前記第2の油圧モータ(6)の前記第1の流体ポート(6a)とに流体的に連通させ、
前記第1のポンプ弁(PA)が第2の制御位置にセットされたとき、前記第1のポンプ弁(PA)は、前記油圧ポンプ(4)の前記第1の流体ポート(4a)を前記第1の油圧モータ(5)の前記第1の流体ポート(5a)と流体的に連通させ、前記油圧ポンプ(4)の前記第1の流体ポート(4a)を前記第2の油圧モータ(6)の前記第1の流体ポート(6a)から流体的に切り離し、
前記第1のポンプ弁(PA)が第3の制御位置にセットされたとき、前記第1のポンプ弁(PA)は、前記油圧ポンプ(4)の前記第1の流体ポート(4a)を前記第2の油圧モータ(6)の前記第1の流体ポート(6a)と流体的に連通させ、前記油圧ポンプ(4)の前記第1の流体ポート(4a)を前記第1の油圧モータ(5)の前記第1の流体ポート(5a)から流体的に切り離し、
前記複数の制御弁(PA、PB、VHP、VLP)は、第2のポンプ弁(PB)を有し、前記第2のポンプ弁(PB)は、前記油圧ポンプ(4)の前記第2の流体ポートと、前記第1の油圧モータ(5)の前記第2の流体ポート(5b)と、前記第2の油圧モータ(6)の前記第2の流体ポート(6b)との間の流体連通を提供し、前記第2のポンプ弁(PB)は、3つの制御位置を有し、
前記第2のポンプ弁(PB)が第1の制御位置にセットされたとき、前記第2のポンプ弁(PB)は、前記油圧ポンプ(4)の前記第2の流体ポートを、前記第1の油圧モータ(5)の前記第2の流体ポート(5b)と、前記第2の油圧モータ(6)の前記第2の流体ポート(6b)とに流体的に連通させ、
前記第2のポンプ弁(PB)が第2の制御位置にセットされたとき、前記第2のポンプ弁(PB)は、前記油圧ポンプ(4)の前記第2の流体ポートを前記第1の油圧モータ(5)の前記第2の流体ポート(5b)と流体的に連通させ、前記油圧ポンプ(4)の前記第2の流体ポートを前記第2の油圧モータ(6)の前記第2の流体ポート(6b)から流体的に切り離し、
前記第2のポンプ弁(PB)が第3の制御位置にセットされたとき、前記第2のポンプ弁(PB)は、前記油圧ポンプ(4)の前記第2の流体ポートを前記第2の油圧モータ(6)の前記第2の流体ポート(6b)と流体的に連通させ、前記油圧ポンプ(4)の前記第2の流体ポートを前記第1の油圧モータ(5)の前記第2の流体ポート(5b)から流体的に切り離す、
請求項3に記載のデュアルモータ油圧式ハイブリット伝動装置(1、1')。
【請求項5】
前記複数の制御弁(PA、PB、VHP、VLP)はさらに選択的に、
前記油圧蓄圧器組立体(7)を、前記第1の油圧モータ(5)と前記第2の油圧モータ(6)とに同時に流体的に連通させる、
請求項1から4の何れか一項に記載のデュアルモータ油圧式ハイブリット伝動装置(1、1')。
【請求項6】
前記第1の油圧モータ(5)及び前記第2の油圧モータ(6)はそれぞれ、第1の流体ポート(5a、6a)及び第2の流体ポート(5b、6b)を有し、
前記複数の制御弁(PA、PB、VHP、VLP)は、
前記油圧蓄圧器組立体(7)を、前記第1の油圧モータ(5)及び前記第2の油圧モータ(6)のうちの1つと又は両方と流体的に連通させることが、
前記高圧蓄圧器(7a)を前記第1の流体ポートと、又は複数の前記第1の流体ポートとに流体的に連通させ、かつ、同時に、前記低圧蓄圧器(7b)を前記第2の流体ポートと、又は複数の前記第2の流体ポートとに流体的に連通させること、及び、
前記高圧蓄圧器(7a)を前記第2の流体ポートと、又は複数の前記第2の流体ポートとに流体的に連通させ、かつ、同時に、前記低圧蓄圧器(7b)を前記第1の流体ポートと、又は複数の前記第1の流体ポートとに流体的に連通させること
のうちの1つを選択的に含む
よう構成される、
請求項1から5の何れか一項に記載のデュアルモータ油圧式ハイブリット伝動装置(1、1')。
【請求項7】
前記複数の制御弁(PA、PB、VHP、VLP)は、少なくとも1つの蓄圧器弁(VHP、VLP)を有し、
前記蓄圧器弁(VHP、VLP)は、前記油圧蓄圧器組立体(7)と前記第1の油圧モータ及び前記第2の油圧モータとの間の流体連通を提供し、前記蓄圧器弁(VHP、VLP)は、少なくとも3つの制御位置又は制御構成を含み、
前記蓄圧器弁(VHP、VLP)は、
前記蓄圧器弁(VHP、VLP)が第1の位置又は構成にセットされたとき、前記油圧蓄圧器組立体(7)は、前記油圧回路(3)から流体的に切り離され、
前記蓄圧器弁(VHP、VLP)が第2の位置又は構成にセットされたとき、前記高圧蓄圧器(7a)は、前記第1の油圧モータ(5)及び前記第2の油圧モータ(6)のうちの少なくとも1つの第1の流体ポートと選択的に流体的に連通され、前記低圧蓄圧器(7b)は、前記高圧蓄圧器(7a)が流体的に連通されている前記第1の油圧モータ又は前記第2の油圧モータ、若しくは前記第1の油圧モータ及び前記第2の油圧モータの対応する第2の流体ポート又は複数の第2の流体ポートと流体的に連通され、
前記蓄圧器弁(VHP、VLP)が第3の位置又は構成にセットされたとき、前記高圧蓄圧器(7a)は、前記第1の油圧モータ(5)及び前記第2の油圧モータ(6)のうちの少なくとも1つの前記第2の流体ポートと選択的に流体的に連通され、前記低圧蓄圧器(7b)は、前記高圧蓄圧器(7a)が流体的に連通されている前記第1の油圧モータ又は前記第2の油圧モータ、若しくは前記第1の油圧モータ及び前記第2の油圧モータの対応する前記第1の流体ポート又は複数の第1の流体ポートと流体的に連通される
よう構成される、
請求項1から6の何れか一項に記載のデュアルモータ油圧式ハイブリット伝動装置(1、1')。
【請求項8】
少なくとも1つの蓄圧器弁(VHP、VLP)は、前記少なくとも1つのポンプ弁を通じて、前記第1の油圧モータと前記第2の油圧モータとに流体連通される、
請求項3、4、および7の何れか一項に記載のデュアルモータ油圧式ハイブリット伝動装置(1、1')。
【請求項9】
前記少なくとも1つの蓄圧器弁(VHP、VLP)は、少なくとも1つの高圧蓄圧器弁(VHP)を含み、前記高圧蓄圧器弁(VHP)は、前記高圧蓄圧器(7a)と前記第1の油圧モータ及び前記第2の油圧モータとの間の流体連通を提供し、前記高圧蓄圧器弁(VHP)は、少なくとも3つの制御位置を含み、
前記高圧蓄圧器弁(VHP)が第1の制御位置にセットされたとき、前記高圧蓄圧器弁(VHP)は、前記高圧蓄圧器(7a)を前記第1の油圧モータと前記第2の油圧モータ(5、6)とから流体的に切り離し、
前記高圧蓄圧器弁(VHP)が第2の制御位置にセットされたとき、前記高圧蓄圧器弁(VHP)は、前記高圧蓄圧器(7a)を前記第1の油圧モータ(5)及び前記第2の油圧モータ(6)のうちの少なくとも1つの第1の流体ポートと選択的に流体的に連通させ、
前記高圧蓄圧器弁(VHP)が第3の制御位置にセットされたとき、前記高圧蓄圧器弁(VHP)は、前記高圧蓄圧器(7a)を前記第1の油圧モータ(5)及び前記第2の油圧モータ(6)のうちの少なくとも1つの第2の流体ポートと選択的に流体的に連通させ、
前記少なくとも1つの蓄圧器弁(VHP、VLP)は、低圧蓄圧器弁(VLP)を含み、前記低圧蓄圧器弁(VLP)は、前記低圧蓄圧器(7b)と前記第1の油圧モータ及び前記第2の油圧モータ(5、6)との間の流体連通を提供し、前記低圧蓄圧器弁(VLP)は、少なくとも3つの制御位置を含み、
前記低圧蓄圧器弁(VLP)が第1の制御位置にセットされたとき、前記低圧蓄圧器弁(VLP)は、前記低圧蓄圧器(7b)を前記第1の油圧モータ及び前記第2の油圧モータから流体的に切り離し、
前記低圧蓄圧器弁(VLP)が第2の制御位置にセットされたとき、前記低圧蓄圧器弁(VLP)は、前記低圧蓄圧器(7b)を前記第1の油圧モータ(5)及び前記第2の油圧モータ(6)のうちの少なくとも1つの前記第2の流体ポートと選択的に流体的に連通させ、
前記低圧蓄圧器弁(VLP)が第3の制御位置にセットされたとき、前記低圧蓄圧器弁(VLP)は、第1のポンプ弁(PA)を通じて、前記低圧蓄圧器(7b)を前記第1の油圧モータ(5)及び前記第2の油圧モータ(6)のうちの少なくとも1つの前記第1の流体ポートと選択的に流体的に連通させる、
請求項7又は8に記載のデュアルモータ油圧式ハイブリット伝動装置(1、1')。
【請求項10】
前記少なくとも1つのポンプ弁及び前記少なくとも1つの蓄圧器弁(VHP、VLP)は、
前記ポンプ弁(PA、PB)が前記第1の位置又は構成にセットされ、前記蓄圧器弁(VHP、VLP)が前記第2の位置又は構成にセットされたとき、前記高圧蓄圧器(7a)は、前記第1の油圧モータ(5)及び前記第2の油圧モータ(6)の複数の第1の流体ポートと流体的に連通され、前記低圧蓄圧器(7b)は、前記第1の油圧モータ(5)及び前記第2の油圧モータ(6)の複数の第2の流体ポートと流体的に連通され、
前記ポンプ弁(PA、PB)が前記第1の位置又は構成にセットされ、前記蓄圧器弁(VHP、VLP)が前記第3の位置又は構成にセットされたとき、前記高圧蓄圧器(7a)は、前記第1の油圧モータ(5)及び前記第2の油圧モータ(6)の複数の第2の流体ポートと流体的に連通され、前記低圧蓄圧器(7b)は、前記第1の油圧モータ(5)及び前記第2の油圧モータ(6)の複数の第1の流体ポートと流体的に連通され、
前記ポンプ弁(PA、PB)が前記第2の位置又は構成にセットされ、前記蓄圧器弁(VHP、VLP)が前記第2の位置又は構成にセットされたとき、前記高圧蓄圧器(7a)は、前記第2の油圧モータ(6)の第1の流体ポート(6a)と流体的に連通され、前記低圧蓄圧器(7b)は、前記第2の油圧モータ(6)の第2の流体ポート(6b)と流体的に連通され、前記油圧蓄圧器組立体(7)は、前記第1の油圧モータ(5)から流体的に切り離され、
前記ポンプ弁(PA、PB)が前記第2の位置又は構成にセットされ、前記蓄圧器弁(VHP、VLP)が前記第3の位置又は構成にセットされたとき、前記高圧蓄圧器(7a)は、前記第2の油圧モータ(6)の前記第2の流体ポート(6b)と流体的に連通され、前記低圧蓄圧器(7b)は、前記第2の油圧モータ(6)の前記第1の流体ポート(6a)と流体的に連通され、前記油圧蓄圧器組立体(7)は、前記第1の油圧モータ(5)から流体的に切り離され、
前記ポンプ弁(PA、PB)が前記第3の位置又は構成にセットされ、前記蓄圧器弁(VHP、VLP)が前記第2の位置又は構成にセットされたとき、前記高圧蓄圧器(7a)は、前記第1の油圧モータ(5)の前記第1の流体ポート(5a)と流体的に連通され、前記低圧蓄圧器(7b)は、前記第1の油圧モータ(5)の前記第2の流体ポート(5b)と流体的に連通され、前記油圧蓄圧器組立体(7)は、前記第2の油圧モータ(6)から流体的に切り離され、
前記ポンプ弁(PA、PB)が前記第3の位置又は構成にセットされ、前記蓄圧器弁(VHP、VLP)が前記第3の位置又は構成にセットされたとき、前記高圧蓄圧器(7a)は、前記第1の油圧モータ(5)の前記第2の流体ポート(5b)と流体的に連通され、前記低圧蓄圧器(7b)は、前記第1の油圧モータ(5)の前記第1の流体ポート(5a)と流体的に連通され、前記油圧蓄圧器組立体(7)は、前記第2の油圧モータ(6)から流体的に切り離される
ようさらに構成される、
請求項3、4、8、および9の何れか一項に記載のデュアルモータ油圧式ハイブリット伝動装置(1、1')。
【請求項11】
前記第1の油圧モータ(5)及び前記第2の油圧モータ(6)は、サミングギアボックス(10)を通じて、前記出力シャフト(11)と駆動係合され、又は選択的に駆動係合され、前記サミングギアボックス(10)は、前記第1の油圧モータ(5)により提供される第1のトルク及び前記第2の油圧モータ(6)により提供される第2のトルクを前記出力シャフト(11)において合計する、
請求項1から10の何れか一項に記載のデュアルモータ油圧式ハイブリット伝動装置(1、1')。
【請求項12】
前記サミングギアボックスはさらに、
前記第1の油圧モータ(5)及び前記第2の油圧モータ(6)のうちの1つのみを前記出力シャフト(11)と駆動係合させること、及び、
前記第1の油圧モータ(5)及び前記第2の油圧モータ(6)の両方を前記出力シャフト(11)から離すこと
のうちの1つを選択的に行う、
請求項11に記載のデュアルモータ油圧式ハイブリット伝動装置(1、1')。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、油圧式ハイブリット伝動装置に関し、当該伝動装置は、油圧ポンプ及び当該油圧ポンプと流体連通する2つの油圧移動ユニットを有する油圧回路を備え、当該油圧回路と流体連通する油圧蓄圧器組立体をさらに備える。このような複数の油圧式ハイブリット伝動装置システムは、例えば、トラクタ、ホイールローダ、車輪付き掘削機、バックホウローダ、テレハンドラ、ダンプ車などの、農業、鉱業又は建設業に使用される複数のオフハイウェイ作業機械において応用され得る。
【0002】
本出願は、2014年2月4日に出願された米国特許仮出願第61/935,642号に基づく優先権を主張し、この仮出願の全体を参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
全てのハイブリット・パワートレイン・システムが、運動エネルギーを回復することによって、及び、機関出力の緩衝を可能にすることによって(例えば、パワートレインの動作点の最適管理を通じて)、燃料の消費を減少させる。例えば、既知の直列油圧式ハイブリット配置が蓄圧器と複数の主要ラインとの圧力連結を特徴としており、それは、蓄圧器圧が複数のパワートレイン動作条件(外的負荷及び速度)と一致しているときのみ、ブースティング及び再生が可能であることを意味する。
【発明の概要】
【0004】
従って、本願発明の目的が複数の蓄圧器と複数の油圧式機械との連通について改良された柔軟性を有する油圧式ハイブリット構造を設計することである。
【0005】
この目的は、請求項1に記載のデュアルモータ油圧式ハイブリット伝動装置によって解決される。複数の特別の実施形態が複数の独立請求項において説明される。
【0006】
こうして、デュアルモータ油圧式ハイブリット伝動装置が提案され、当該デュアルモータ油圧式ハイブリット伝動装置は、動力源と、油圧回路と、油圧蓄圧器組立体と、1つ又は複数の制御弁と、出力シャフトとを備え、油圧回路は、動力源と駆動係合され、又は選択的に駆動係合される油圧ポンプと、油圧ポンプと流体連通される第1の油圧移動ユニットと、油圧ポンプと流体連通される第2の油圧移動ユニットとを有し、油圧蓄圧器組立体は、高圧蓄圧器と低圧蓄圧器とを有し、油圧蓄圧器組立体は、油圧回路と流体連通され、第1の油圧移動ユニットは、出力シャフトと駆動係合され、又は選択的に駆動係合され、第2の油圧移動ユニットは、出力シャフトと駆動係合される、又は選択的に駆動係合される。
【0007】
複数の制御弁は、このようにして、油圧ポンプと複数の油圧移動ユニットと蓄圧器組立体との間の流体連通を提供し、複数の制御弁が、油圧ポンプを第2の油圧移動ユニットから流体的に切り離しながら、油圧ポンプを第1の油圧移動ユニットと流体的に連通させ、かつ、同時に、油圧蓄圧器組立体を第1の油圧移動ユニットから流体的に切り離しながら、油圧蓄圧器組立体を第2の油圧移動ユニットに流体的に連通させる位置又は構成に、選択的に切り替えられることができる、又はセットされることができるよう構成される。
【0008】
このドキュメントの範囲内において、「〜と流体連通する」という記述は、例えば、1つ又は複数の弁を通じて、「〜と流体的に連通される」及び「〜と選択的に流体的に連通される」のうちの少なくとも1つを含み得る。
【0009】
提案されている配置は、任意のレベルの圧力(又は充電状態)で蓄圧器電力の使用を可能にすることによって、エネルギー管理戦略により大きな自由度を与える。例えば、既知の直列ハイブリッド構造に関する提案されている伝動装置の利点は、任意のレベルの蓄圧器圧で出力シャフトにおいてトルクを合計する能力にあり、こうして、蓄圧器圧を出力負荷から分離する。
【0010】
動力源は、例えば、内燃エンジン又は電動エンジンなどのエンジンであってよい。油圧ポンプは、静油圧アキシャルピストンポンプ、又は、静油圧ラジアルピストンポンプなどの静油圧ポンプを含み得る。油圧ポンプは、可変油圧移動を有し得る。例えば、油圧ポンプは、移動可能な斜板又は斜軸設計を有し得る。第1及び/又は第2の油圧移動ユニットは、例えば、静油圧アキシャルピストンモータ、又は、静油圧ラジアルピストンモータなどの油圧モータを含み得る。第1及び/又は第2の油圧移動ユニットは、可変油圧移動を有し得る。例えば、第1及び/又は第2の油圧移動ユニットは、移動可能な斜板又は斜軸設計を有し得る。
【0011】
複数の蓄圧器は、複数の圧縮ガス蓄圧器として構成され得る。蓄圧器は、油などの油圧流体を対応する蓄圧器に充填し、又は部分的に充填することによって加圧されてよく、それにより、蓄圧器に含まれるガスの量を圧縮する。ガスは、窒素などの不活性ガスであってよい。同様に、蓄圧器は、蓄圧器に含まれた圧縮ガスを散逸させることによって、減圧されてよく、それにより、蓄圧器に含まれた油圧流体を蓄圧器の外へ押し出して流体流を生成する。蓄圧器は、例えば、少なくとも300バール、又は少なくとも400バールの最大作動圧力までの静油圧で動作するよう採用され得る。
【0012】
複数の制御弁は、例えば、1つ又は複数の閉止弁、及び/又は、1つ又は複数の方向弁、並びに/若しくは、1つ又は複数の比例弁を含み得る。複数の制御弁は、電磁力を通じて及び/又は油圧力を通じて制御可能であり得る。例えば、複数の制御弁、又は、複数の制御弁のうちの一部は、1つ又は複数のパイロット弁を通じて、制御可能であり得る。出力シャフトは、車両出力部と駆動係合されてよく、又は選択的に駆動係合されてよい。車両出力部は、例えば、駆動軸、車両の車軸、最終駆動、又は1つ又は複数の車輪のうちの少なくとも1つを含み得る。
【0013】
好ましくは、複数の制御弁は、このようにして、油圧回路と蓄圧器組立体との間の流体連通を提供し、複数の制御弁が、高圧蓄圧器及び低圧蓄圧器のうちの1つ又は両方を油圧回路から選択的に流体的に切り離し得るよう構成される。
【0014】
複数の制御弁は、このようにして、油圧ポンプと複数の油圧移動ユニットと蓄圧器組立体との間の流体連通をさらに提供してよく、複数の制御弁が、油圧ポンプを第1の油圧移動ユニットから選択的に流体的に切り離しながら、油圧ポンプを第2の油圧移動ユニットと流体的に連通させ、かつ、同時に、油圧蓄圧器組立体を第2の油圧移動ユニットから流体的に切り離しながら、油圧蓄圧器組立体を第1の油圧移動ユニットと流体的に連通させる位置又は構成に切り替えられることができる、又はセットされることができるよう構成されてよい。
【0015】
これは、特に、第1及び第2の油圧移動ユニットが異なる設計を特徴とするとき、及び/又は、第1及び第2の油圧移動ユニットがそれらの出力シャフトとの(選択的な)機械的連結において異なるとき、動力源と蓄圧器組立体とにより提供されるトルク/電力が出力シャフトにおいて組み合わされることができる組み合わせの数をさらに増加させ得る。例えば、第1及び第2の油圧移動ユニットは、異なる(最大)移動を特徴としてよく、及び/又は、異なるギア比を通じて、出力シャフトと(選択的に)機械的に連結されてよい。
【0016】
追加的に、又は、代替的に、複数の制御弁は、このようにして、油圧ポンプと複数の油圧移動ユニットと蓄圧器組立体との間の流体連通を提供してよく、複数の制御弁が、油圧ポンプを第1の油圧移動ユニットと第2の油圧移動ユニットと選択的に同時に流体的に連通させる位置又は構成に切り替えられることができる、又はセットされることができるよう構成されてよい。
【0017】
通常、油圧ポンプ、第1の油圧移動ユニット、及び第2の油圧移動ユニットはそれぞれ、第1の流体ポートと第2の流体ポートとを有する。
【0018】
第1の油圧移動ユニットと流体的に連通される油圧ポンプは、次に、好ましくは、閉回路構成、すなわち、外部環境から閉じられる構成において、第1の油圧移動ユニットの第1の流体ポートと流体的に連通される油圧ポンプの第1の流体ポートと、第1の油圧移動ユニットの第2の流体ポートと流体的に連通される油圧ポンプの第2の流体ポートとを一般的に含む。例えば、油圧ポンプと第1の油圧移動ユニットとを含む、そのような閉回路における最小油圧が、少なくとも10バール又は少なくとも20バールであってよい。
【0019】
同じ方法において、第2の油圧移動ユニットと流体的に連通される油圧ポンプは、好ましくは、閉回路構成、すなわち、外部環境から閉じられる構成において、第2の油圧移動ユニットの第1の流体ポートと流体的に連通される油圧ポンプの第1の流体ポートと、第2の油圧移動ユニットの第2の流体ポートと流体的に連通される油圧ポンプの第2の流体ポートとを一般的に含む。例えば、油圧ポンプと第2の油圧移動ユニットとを含む、そのような閉回路における最小油圧が少なくとも10バール又は少なくとも20バールであってよい。
【0020】
複数の制御弁は、少なくとも1つのポンプ弁を有してよく、ポンプ弁は、油圧ポンプと油圧移動ユニットとの間の流体連通を提供し、ポンプ弁は、3つの制御位置又は制御構成を含み、ポンプ弁が第1の位置/構成にセットされたとき、ポンプ弁は、油圧ポンプを第1の油圧移動ユニットと第2の油圧移動ユニットと流体的に連通させ、ポンプ弁が第2の位置/構成にセットされたとき、ポンプ弁は、油圧ポンプを第1の油圧移動ユニットと流体的に連通させ、油圧ポンプを第2の油圧移動ユニットから流体的に切り離し、ポンプ弁が第3の位置/構成にセットされたとき、ポンプ弁は、油圧ポンプを第2の油圧移動ユニットと流体的に連通させ、油圧ポンプを第1の油圧移動ユニットから流体的に切り離す。
【0021】
より具体的には、複数の制御弁は、第1のポンプ弁を有してよく、第1のポンプ弁は、油圧ポンプの第1の流体ポートと、第1の油圧移動ユニットの第1の流体ポートと、第2の油圧移動ユニットの第1の流体ポートとの間の流体連通を提供し、第1のポンプ弁は、3つの制御位置を有し、第1のポンプ弁が第1の制御位置にセットされたとき、第1のポンプ弁は、油圧ポンプの第1の流体ポートを第1の油圧移動ユニットの第1の流体ポートと、第2の油圧移動ユニットの第1の流体ポートと流体的に連通させ、第1のポンプ弁が第2の制御位置にセットされたとき、第1のポンプ弁は、油圧ポンプの第1の流体ポートを第1の油圧移動ユニットの第1の流体ポートと流体的に連通させ、油圧ポンプの第1の流体ポートを第2の油圧移動ユニットの第1の流体ポートから流体的に切り離し、第1のポンプ弁が第3の制御位置にセットされたとき、第1のポンプ弁は、油圧ポンプの第1の流体ポートを第2の油圧移動ユニットの第1の流体ポートと流体的に連通させ、油圧ポンプの第1の流体ポートを第1の油圧移動ユニットの第1の流体ポートから流体的に切り離す。
【0022】
複数の制御弁は、第2のポンプ弁をさらに有してよく、第2のポンプ弁は、油圧ポンプの第2の流体ポートと、第1の油圧移動ユニットの第2の流体ポートと、第2の油圧移動ユニットの第2の流体ポートとの間の流体連通を提供し、第2のポンプ弁は、3つの制御位置を有し、第2のポンプ弁が第1の制御位置にセットされたとき、第2のポンプ弁は、油圧ポンプの第2の流体ポートを第1の油圧移動ユニットの第2の流体ポートと、第2の油圧移動ユニットの第2の流体ポートと流体的に連通させ、第2のポンプ弁が第2の制御位置にセットされたとき、第2のポンプ弁は、油圧ポンプの第2の流体ポートを第1の油圧移動ユニットの第2の流体ポートと流体的に連通させ、油圧ポンプの第2の流体ポートを第2の油圧移動ユニットの第2の流体ポートから流体的に切り離し、第2のポンプ弁が第3の制御位置にセットされたとき、第2のポンプ弁は、油圧ポンプの第2の流体ポートを第2の油圧移動ユニットの第2の流体ポートと流体的に連通させ、油圧ポンプの第2の流体ポートを第1の油圧移動ユニットの第2の流体ポートから流体的に切り離す。
【0023】
第1のポンプ弁及び第2のポンプ弁は次に、それらが選択的に、両方ともそれらの第1の制御位置にセットされ、両方ともそれらの第2の制御位置にセットされ、又は、両方ともそれらの第3の制御位置にセットされるよう、一般的に構成される、又は制御される。
【0024】
複数の制御弁は、このようにして、蓄圧器組立体と複数の油圧移動ユニットとの間の流体連通をさらに提供してよく、複数の制御弁が油圧蓄圧器組立体を第1の油圧移動ユニットと第2の油圧移動ユニットとに同時に流体的に連通させる位置又は構成に切り替えられることができる、又はセットされることができるよう構成されてよい。
【0025】
複数の制御弁は、このようにして、蓄圧器組立体と複数の油圧移動ユニットとの間の流体連通を提供してよく、油圧蓄圧器組立体を第1の油圧移動ユニット及び第2の油圧移動ユニットのうちの1つ又は両方とに流体的に連通させることが、高圧蓄圧器を第1の流体ポートと又は複数の第1の流体ポートとに流体的に連通させ、かつ、同時に、低圧蓄圧器を第2の流体ポートと又は複数の第2の流体ポートとに流体的に連通させること、及び、高圧蓄圧器を第2の流体ポートと又は複数の第2の流体ポートとに流体的に連通させ、かつ、同時に、低圧蓄圧器を第1の流体ポートと又は複数の第1の流体ポートとに流体的に連通させることのうちの1つを選択的に含むよう構成されてよい。
【0026】
複数の制御弁は、少なくとも1つの蓄圧器弁を有してよく、蓄圧器弁は、蓄圧器組立体と複数の油圧移動ユニットとの間の流体連通を提供し、蓄圧器弁は、少なくとも3つの制御位置又は制御構成を有し、蓄圧器弁は、蓄圧器弁が第1の位置/構成にセットされたとき、油圧蓄圧器組立体が油圧回路から流体的に切り離され、蓄圧器弁が第2の位置/構成にセットされたとき、高圧蓄圧器が第1及び第2の油圧移動ユニットのうちの少なくとも1つの第1の流体ポートと流体連通し、高圧蓄圧器が流体的に連通される油圧移動ユニット又は複数の油圧移動ユニットの対応する第2の流体ポートと又は複数の第2の流体ポートと低圧蓄圧器が流体連通し、蓄圧器弁が第3の位置/構成にセットされたとき、高圧蓄圧器が第1及び第2の油圧移動ユニットのうちの少なくとも1つの第2の流体ポートと流体連通し、高圧蓄圧器が流体的に連通される油圧移動ユニット又は複数の油圧移動ユニットの対応する第1の流体ポート又は複数の第1の流体ポートと低圧蓄圧器が流体連通するよう構成される。
【0027】
特に、少なくとも1つの蓄圧器弁は、少なくとも1つのポンプ弁を通じて、複数の油圧移動ユニットと流体連通し得る。
【0028】
例えば、蓄圧器弁は、高圧蓄圧器弁を含んでよく、高圧蓄圧器弁は、高圧蓄圧器と複数の油圧移動ユニットとの間の流体連通を提供し、高圧蓄圧器弁は、3つの制御位置を有し、高圧蓄圧器弁が第1の制御位置にセットされたとき、高圧蓄圧器弁は、高圧蓄圧器を複数の油圧移動ユニットから流体的に切り離し、高圧蓄圧器弁が第2の制御位置にセットされたとき、高圧蓄圧器弁は、例えば、第1のポンプ弁を通じて、高圧蓄圧器と、第1及び第2の油圧移動ユニットのうちの少なくとも1つの第1の流体ポートとの間の流体連通を選択的に提供し、高圧蓄圧器弁が第3の制御位置にセットされたとき、高圧蓄圧器弁は、例えば、第2のポンプ弁を通じて、高圧蓄圧器と、第1及び第2の油圧移動ユニットのうちの少なくとも1つの第2の流体ポートとの間の流体連通を選択的に提供する。
【0029】
少なくとも1つの蓄圧器弁は、低圧蓄圧器弁をさらに含んでよく、低圧蓄圧器弁は、低圧蓄圧器と複数の油圧移動ユニットとの間の流体連通を提供し、低圧蓄圧器弁は、少なくとも3つの制御位置を有し、低圧蓄圧器弁が第1の制御位置にセットされたとき、低圧蓄圧器弁は、低圧蓄圧器を複数の油圧移動ユニットから流体的に切り離し、低圧蓄圧器弁が第2の制御位置にセットされたとき、低圧蓄圧器弁は、例えば、第2のポンプ弁を通じて、低圧蓄圧器と、第1及び第2の油圧移動ユニットのうちの少なくとも1つの第2の流体ポートとの間の流体連通を選択的に提供し、低圧蓄圧器弁が第3の制御位置にセットされたとき、低圧蓄圧器弁は、例えば、第1のポンプ弁を通じて、低圧蓄圧器と、第1及び第2の油圧移動ユニットのうちの少なくとも1つの第1の流体ポートとの間の流体連通を選択的に提供する。
【0030】
少なくとも1つのポンプ弁及び少なくとも1つの蓄圧器弁は、ポンプ弁が第1の位置/構成にセットされ、蓄圧器弁が第2の位置/構成にセットされたとき、高圧蓄圧器が第1及び第2の油圧移動ユニットの複数の第1の流体ポートと流体的に連通され、低圧蓄圧器が第1及び第2の油圧移動ユニットの複数の第2の流体ポートと流体的に連通され、ポンプ弁が第1の位置/構成にセットされ、蓄圧器弁が第3の位置/構成にセットされたとき、高圧蓄圧器が第1及び第2の油圧移動ユニットの複数の第2の流体ポートと流体的に連通され、低圧蓄圧器が第1及び第2の油圧移動ユニットの第1の流体ポートと流体的に連通され、ポンプ弁が第2の位置/構成にセットされ、蓄圧器弁が第2の位置/構成にセットされたとき、高圧蓄圧器が第2の油圧移動ユニットの第1の流体ポートと流体的に連通され、低圧蓄圧器が第2の油圧移動ユニットの第2の流体ポートと流体的に連通され、蓄圧器組立体が第1の油圧移動ユニットから流体的に切り離され、ポンプ弁が第2の位置/構成にセットされ、蓄圧器弁が第3の位置/構成にセットされたとき、高圧蓄圧器が第2の油圧移動ユニットの第2の流体ポートと流体的に連通され、低圧蓄圧器が第2の油圧移動ユニットの第1の流体ポートと流体的に連通され、蓄圧器組立体が第1の油圧移動ユニットから流体的に切り離され、ポンプ弁が第3の位置/構成にセットされ、蓄圧器弁が第2の位置/構成にセットされたとき、高圧蓄圧器が第1の油圧移動ユニットの第1の流体ポートと流体的に連通され、低圧蓄圧器が第1の油圧移動ユニットの第2の流体ポートと流体的に連通され、蓄圧器組立体が第2の油圧移動ユニットから流体的に切り離され、ポンプ弁が第3の位置/構成にセットされ、蓄圧器弁が第3の位置/構成にセットされたとき、高圧蓄圧器が第1の油圧移動ユニットの第2の流体ポートと流体的に連通され、低圧蓄圧器が第1の油圧移動ユニットの第1の流体ポートと流体的に連通され、蓄圧器組立体が第2の油圧移動ユニットから流体的に切り離されるようさらに構成されてよい。
【0031】
第1の油圧移動ユニット及び第2の油圧移動ユニットは、サミングギアボックスを通じて、出力シャフトと駆動係合され、又は選択的に駆動係合され、サミングギアボックスは、出力シャフトにおいて、第1の油圧移動ユニットにより提供される第1のトルクと、第2の油圧移動ユニットにより提供される第2のトルクとを合計するよう構成される。
【0032】
サミングギアボックスは、第1及び第2の油圧移動ユニットのうちの1つのみを出力シャフトと駆動係合すること、及び、両方の油圧移動ユニットを出力シャフトから離すことのうちの1つを選択的に行うようさらに構成され得る。さらに、提案されたデュアルモータ油圧式ハイブリット伝動装置は、1つ又は複数の制御弁を制御するよう構成される電子制御ユニットを含み得る。換言すれば、制御ユニットは、複数の制御弁を1つ又は複数の制御構成に切り替えるよう構成されてよい。例えば、制御ユニットは、オペレータからの入力に基づいて、及び/又は、1つ又は複数のセンサにより提供される測定データに基づいて、制御弁を制御するよう構成されてよい。例えば、複数のセンサは、速度センサを含んでよく、測定データは、速度データを含んでよい。
【図面の簡単な説明】
【0033】
現在提案されたデュアルモータ油圧式ハイブリット伝動装置の複数の好ましい実施形態が以下の詳細な説明において記載され、複数の添付の図面において記述される。
図1】1つの動作モードにおけるデュアルモータ油圧式ハイブリット伝動装置の第1の実施形態を示す。
図2】さらなる動作モードにおける図1の伝動装置を示し、デュアルモータ油圧式ハイブリット伝動装置の第2の実施形態を示す。
図3】さらなる動作モードにおける図1の伝動装置を示し、デュアルモータ油圧式ハイブリット伝動装置の第2の実施形態を示す。
図4】さらなる動作モードにおける図1の伝動装置を示し、デュアルモータ油圧式ハイブリット伝動装置の第2の実施形態を示す。
図5図1−4の伝動装置1の変形例であるデュアルモータ油圧式ハイブリット伝動装置を示す。
【発明を実施するための形態】
【0034】
図1は、自動車(不図示)のデュアルモータ油圧式ハイブリット伝動装置1を示す。車両は、例えば、ホイールローダなどのオフハイウェイ車両であってよい。伝動装置1は、内燃エンジン2と油圧回路3とを備える。油圧回路3は、エンジン2と駆動係合される静油圧ポンプ4と、第1の静油圧モータ5と、第2の静油圧モータ6とを有する。静油圧モータ5、6は、第1のポンプ弁PAを通じて、第2のポンプ弁PBを通じて、及び流体ライン20a、20b、30a、30b、40a、40bを通じて、ポンプ4と流体連通する。
【0035】
ポンプ弁PA、PBの制御位置又はスプール位置が、例えば、電磁力を通じて、又は油圧力を通じて、制御されることができる。後述の例では、ポンプ弁PA、PBは、複数の対応するパイロット弁(不図示)を通じて、制御されることができる。ポンプ弁PA、PB(又は、適用可能であれば、複数の対応するパイロット弁)は、電子制御ユニット(不図示)を通じて、複数の有線又は無線電磁信号を介して、制御されることができる。
【0036】
換言すれば、流体ライン20a、20b、30a、30b、40a、40bは、このようにして、ポンプ4とモータ5、6とを連通し、弁PA、PBは、弁PA、PBを対応する制御位置又は制御構成に切り替えることによって、ポンプ4がモータ5、6のうちの少なくとも1つと選択的に流体的に連通され得るよう構成される。具体的には、弁PA、PBの1つの制御構成では、ポンプ4は、モータ5、6の両方と流体的に連通される。弁PA、PBの別の制御構成では、ポンプ4は、第1のモータ5と流体的に連通され、第2のモータ6から流体的に切り離される。弁PA、PBの別の制御構成では、ポンプ4は、第2のモータ6と流体的に連通され、第1のモータ5から流体的に切り離される。これについては、さらに以下においてより詳細に説明される。
【0037】
第1のモータ5の伝動シャフト8及び第2のモータ6の伝動シャフト9が、サミングギアボックス10を通じて、伝動装置1の出力シャフト11と選択的に駆動係合される。出力シャフト11は、車両出力部12と駆動係合される、又は選択的に駆動係合される。車両出力部12は、例えば、駆動軸、車両の車軸、最終駆動、及び1つ又は複数の車輪のうちの少なくとも1つを含み得る。ギアボックス10は、出力シャフト11においてモータ5、6により提供されるトルクを選択的に合計するよう構成される。つまり、ギアボックス10は、モータ5、6両方の出力シャフト8、9を出力シャフト11と選択的に同時に連結させ得る。ギアボックス10は、出力シャフト11をモータ5、6の両方から選択的に同時に離すようさらに構成される。ギアボックス10は、所与の時間において、モータ5、6のうちの1つのみを出力シャフト11と選択的に駆動係合させるようさらに構成される。つまり、ギアボックス10は、第2のモータ6を出力シャフトから離しながら、第1のモータ5を出力シャフト11と選択的に駆動係合させるよう構成される。ギアボックス10は、第1のモータ5を出力シャフト11から離しながら、第2のモータ6を出力シャフト11と選択的に駆動係合させるよう構成される。
【0038】
伝動装置1は、高圧蓄圧器7aと低圧蓄圧器7bとを有する油圧蓄圧器組立体7をさらに備える。蓄圧器7a、7bは、圧縮ガス蓄圧器として構成される。蓄圧器7a、7bは、窒素などの不活性ガスを充填した密封のブラダを含む中空容器として構成される。蓄圧器7a、7bは、蓄圧器容器に油などの油圧流体を充填し、又は部分的に充填することによって加圧されてよく、それにより、ブラダに含まれるガスを圧縮する。蓄圧器7a、7bは、ブラダに含まれるガスを散逸させることによって減圧されてよく、これにより、蓄圧器容器に含まれる油圧流体が容器の外へ移動され、それにより、流体流を生成する。
【0039】
蓄圧器組立体7は、高圧蓄圧器弁VHPを通じて、低圧蓄圧器弁VLPを通じて、流体ライン50、60を通じて、油圧回路3と流体連通する。高圧蓄圧器7aは、高圧蓄圧器弁VHPを通じて、流体ライン50、60を通じて、油圧回路3と流体連通し、低圧蓄圧器7bは、低圧蓄圧器弁VLPを通じて、流体ライン50、60を通じて、油圧回路3と流体連通する。
【0040】
蓄圧器弁VHP、VLPの制御位置又はスプール位置は、例えば、電磁力を通じて、又は、油圧力を通じて、制御されることができる。後述の例では、蓄圧器弁VHP、VLPは、複数の対応するパイロット弁(不図示)を通じて、制御されることができる。ポンプ弁PA、PBのように、蓄圧器弁VHP、VLP(又は、適用可能であれば、複数の対応するパイロット弁)は、上述の電子制御ユニット(不図示)を通じて、複数の有線又は無線電磁信号を介して、制御されることができる。
【0041】
以下では、ポンプ弁PA、PBの設計と、ポンプ弁PA、PBにより、及び、油圧回路3の流体ライン20a、20b、30a、30b、40a、40bにより提供される、ポンプ4とモータ5、6との間の連通とが詳細に説明される。
【0042】
ポンプ4は、第1の流体ポート4aと第2の流体ポート4bとを有する。第1のモータ5は、第1の流体ポート5aと第2の流体ポート5bとを有する。第2のモータ6は、第1の流体ポート6aと第2の流体ポート6bとを有する。
【0043】
第1のポンプ弁PAは、4つの流体ポートPAa、PAb、PAc、PAdと3つの制御位置PA.1、PA.2、PA.3とを含む4/3ウェイの方向弁である。
【0044】
ポンプ弁PAが第1の制御位置PA.1(図1の弁PAの中心位置)に切り替えられた、又はセットされたとき、ポンプ弁PAの全ての流体ポートPAa−dは相互に流体的に連通され、これにより、油圧流体が全ての流体ポートPAa−dの間を流れ得る。
【0045】
ポンプ弁PAが第2の制御位置PA.2(図1の弁PAの最底部位置)に切り替えられた、又はセットされたとき、第1の流体ポートPAaは、第4の流体ポートPAdと流体的に連通され、これにより、油圧流体が第1の流体ポートPAaと第4の流体ポートPAdとの間を流れてよく、第2の流体ポートPAbは第3の流体ポートPAcと流体的に連通され、これにより、油圧流体が第2の流体ポートPAbと第3の流体ポートPAcとの間を流れてよい。さらに、ポンプ弁PAが第2の制御位置PA.2にあるとき、第1の流体ポートPAa及び第4の流体ポートPAdは両方、第2の流体ポートPAbと第3の流体ポートPAcとの両方から流体的に切り離され、これにより、油圧流体が一方、流体ポートPAaとPAdとの間を流れない場合があり、他方、流体ポートPAbとPAcの間を流れない場合がある。
【0046】
ポンプ弁PAが第3の制御位置PA.3(図1の弁PAの最上部位置)に切り替えられた、又はセットされたとき、第1の流体ポートPAaは、第2の流体ポートPAbと流体的に連通され、これにより、油圧流体が第1の流体ポートPAaと第2の流体ポートPAbとの間を流れてよく、第3の流体ポートPAcは、第4の流体ポートPAdと流体的に連通され、これにより、油圧流体が第3の流体ポートPAcと第4の流体ポートPAdとの間を流れてよい。さらに、ポンプ弁PAが第3の制御位置PA.3にあるとき、第1の流体ポートPAa及び第2の流体ポートPAbは両方、第3の流体ポートPAc及び第4の流体ポートPAdの両方から流体的に切り離され、これにより、油圧流体が一方、流体ポートPAaとPAbとの間を流れない場合があり、他方、流体ポートPAc、PAdとの間を流れない場合がある。
【0047】
第2のポンプ弁PBは、第1のポンプ弁PAと同一である。つまり、第2のポンプ弁も、4つの流体ポートPBa、PBb、PBc、PBdと、3つの制御位置PB.1、PB.2、PB.3とを有する4/3ウェイの方向弁である。第2のポンプ弁PBの3つの制御位置PB.1、PB.2、PB.3における、第2のポンプ弁PBの流体ポートPBaとPBbとPBcとPBdとの間の流体連通/切り離しは、第1のポンプ弁PAに関して説明されたものに類似する。これは、図1の弁PA及びPBの図示から当業者にとっては直ちに明らかである。
【0048】
流体ライン20aは、ポンプ4の第1の流体ポート4aを第1のポンプ弁PAの第3の流体ポートPAcと流体的に連通させる。流体ライン20bは、ポンプ4の第2の流体ポート4bを第2のポンプ弁PBの第1の流体ポートPBaと流体的に連通させる。流体ライン30aは、第1のポンプ弁PAの第2の流体ポートPAbを第1のモータ5の第1の流体ポート5aと流体的に連通させる。流体ライン30bは、第2のポンプ弁PBの第4の流体ポートPBdを第1のモータ5の第2の流体ポート5bと流体的に連通させる。流体ライン40aは、第1のポンプ弁PAの第4の流体ポートPAdを第2のモータ6の第1の流体ポート6aと流体的に連通させる。流体ライン40bは、第2のポンプ弁PBの第2の流体ポートPBbを第2のモータ6の第2の流体ポート6bと流体的に連通させる。
【0049】
上述の制御ユニットは、ポンプ弁PA、PBを制御するよう構成され、これにより、所与の時間において、両方の弁は、それらの第1の制御位置PA.1及びPB.1に、それらの第2の制御位置PA.2及びPB.2に、又は、それらの第3の制御位置PA.3及びPB.3にある。換言すれば、所与の時間において、ポンプ弁PA、PBは、以下においてP.1、P.2及びP.3と称される3つの可能な制御構成のうちの1つにあることができる。第1の制御構成P.1において、第1のポンプ弁PAは、第1の制御位置PA.1にあり、第2のポンプ弁PBは、第1の制御位置PB.1にある。第2の制御構成P.2においては、第1のポンプ弁PAは、第2の制御位置PA.2にあり、第2のポンプ弁PBは、第2の制御位置PB.2にある。第3の制御構成P.3において、第1のポンプ弁PAは、第3の制御位置PA.3にあり、第2のポンプ弁PBは第3の制御位置PB.3にある。
【0050】
ポンプ弁PA、PBの設計、及び、ポンプ弁PA、PBと流体ライン20a−b、30a−b、40a−bとを通じたポンプ4とモータ5、6との間の連通に関する上記の説明から、以下の内容が直ちに明らかである。
【0051】
ポンプ弁PA、PBが第1の制御構成P.1にあるとき、ポンプ4は、流体ライン20a−b、30a−b、40a−bを含む閉回路において、モータ5、6の両方と流体的に連通される。具体的には、第1の制御構成P.1において、ポンプ4の第1の流体ポート4aは、第1のモータ5の第1の流体ポート5aと、第2のモータ6の第1の流体ポート6aと流体的に連通され、ポンプ4の第2の流体ポート4bは、第1のモータ5の第2の流体ポート5bと、第2のモータ6の第2の流体ポート6bと流体的に連通される。
【0052】
ポンプ弁PA、PBが第2の制御構成P.2にあるとき、ポンプ4は、流体ライン20a−b、30a−bを含む閉回路において、第1のモータ5と流体的に連通され、第2のモータ6から流体的に切り離される。具体的には、第2の制御構成P.2において、ポンプ4の第1の流体ポート4aは、第1のモータ5の第1の流体ポート5aと流体的に連通され、ポンプ4の第2の流体ポート4bは、第1のモータ5の第2の流体ポート5bと流体的に連通される。
【0053】
ポンプ弁PA、PBが第3の制御構成P.3にあるとき、ポンプ4は、流体ライン20a−b、40a−bを含む閉回路において、第2のモータ6と流体的に連通され、第1のモータ5から流体的に切り離される。具体的には、第3の制御構成P.2において、ポンプ4の第1の流体ポート4aは、第2のモータ6の第1の流体ポート6aと流体的に連通され、ポンプ4の第2の流体ポート4bは、第2のモータ6の第2の流体ポート6bと流体的に連通される。
【0054】
以下では、蓄圧器弁VHP、VLPの設計、及び、蓄圧器弁VHP、VLP、流体ライン50、60、ポンプ弁PA、PB、及び油圧回路3の流体ライン30a−b、40a−bにより提供される、蓄圧器組立体7とモータ5、6との間の連通が、詳細に説明される。
【0055】
高圧蓄圧器弁VHPは、3つの流体ポートVHPa、VHPb、VHPcと、3つの制御位置VHP.1、VHP.2、VHP.3とを有する3/3ウェイの方向弁である。
【0056】
高圧蓄圧器弁VHPが第1の制御位置VHP.1(図1の弁VHPの中心位置)に切り替えられた、又はセットされたとき、全ての流体ポートVHPa―cは、互いから流体的に切り離され、これにより、油圧流体がポートVHPa―cの間を流れない場合がある。
【0057】
高圧蓄圧器弁VHPが第2の制御位置VHP.2(図1の弁VHPの最左の位置)に切り替えられた、又はセットされたとき、第1の流体ポートVHPaは、第2の流体ポートVHPbと流体的に連通され、これにより、油圧流体が第1の流体ポートVHPaと第2の流体ポートVHPbとの間を流れ得る。さらに、高圧蓄圧器弁が第2の制御位置VHP.2にあるとき、第1の流体ポートVHPa及び第2の流体ポートVHPbの両方は第3の流体ポートVHPcから流体的に切り離され、これにより、油圧流体が一方、流体ポートVHPaとVHPbとの間を流れない場合があり、他方、流体ポートVHPcを流れない場合がある。
【0058】
高圧蓄圧器弁VHPが第3の制御位置VHP.3(図1の弁VHPの最右の位置)に切り替えられた、又はセットされたとき、第1の流体ポートVHPaは、第3の流体ポートVHPcと流体的に連通され、これにより、油圧流体が第1の流体ポートVHPaと第3の流体ポートVHPcとの間を流れ得る。さらに、高圧蓄圧器弁が第3の制御位置VHP.3にあるとき、第1の流体ポートVHPa及び第3の流体ポートVHPcの両方は、第2の流体ポートVHPbから流体的に切り離され、これにより、油圧流体が一方、流体ポートVHPaとVHPcとの間を流れない場合があり、他方、流体ポートVHPbを流れない場合がある。
【0059】
低圧蓄圧器弁VLPは、高圧蓄圧器弁VHPと同一である。つまり、低圧蓄圧器弁VLPも、3つの流体ポートVLPa、VLPb、VLPcと、3つの制御位置VLP.1、VLP.2、VLP.3とを有する3/3ウェイの方向弁である。低圧蓄圧器弁VLPの3つの制御位置VLP.1、VLP.2、VLP.3における、低圧蓄圧器弁VLPの流体ポートVLPaとVLPbとVLPcとの間の流体連通/切り離しは、高圧蓄圧器弁VHPに関して説明されたものに類似する(VLP.2が図1の弁VLPの最右の位置に対応し、VLP.3が最左の位置に対応することを除く)。これは、図1の弁VHP及びVLPの図示から当業者にとっては直ちに明らかである。
【0060】
高圧蓄圧器弁VHPの第1の流体ポートVHPaは(永久に)、高圧蓄圧器7aと流体的に連通される。同様に、低圧蓄圧器弁VLPの第1の流体ポートVLPaは(永久に)、低圧蓄圧器7bと流体的に連通される。流体ライン50は、高圧蓄圧器弁VHPの第2の流体ポートVHPb及び低圧蓄圧器弁VLPの第3の流体ポートVLPcを、第1のポンプ弁PAの第1の流体ポートPAaと流体的に連通させる。流体ライン60は、高圧蓄圧器弁VHPの第3の流体ポートVHPc及び低圧蓄圧器弁VLPの第2の流体ポートVLPbを、第2のポンプ弁PBの第3の流体ポートPBcと流体的に連通させる。
【0061】
上述の制御ユニットは、蓄圧器弁VHP、VLPを制御するよう構成され、これにより、所与の時間において、両方の弁は、それらの第1の制御位置VHP.1及びVLP.1に、それらの第2の制御位置VHP.2及びVLP.2に、又は、それらの第3の制御位置VHP.3及びVLP.3にある。換言すれば、所与の時間において、蓄圧器弁VHP、VLPは、以下においてV.1、V.2及びV.3と称される3つの可能な制御構成のうちの1つにあることができる。第1の制御構成V.1において、高圧蓄圧器弁VHPは、第1の制御位置VHP.1にあり、低圧蓄圧器弁VLPは、第1の制御位置VLP.1にある。第2の制御構成V.2において、高圧蓄圧器弁VHPは、第2の制御位置VHP.2にあり、低圧蓄圧器弁VLPは、第2の制御位置VLP.2にある。第3の制御構成V.3において、高圧蓄圧器弁VHPは、第3の制御位置VHP.3にあり、低圧蓄圧器弁VLPは、第3の制御位置VLP.3にある。
【0062】
制御ユニットは、ポンプ弁構成P.1、P.2、P.3と蓄圧器弁構成V.1、V.2、V.3とを独立に制御するようさらに構成される。つまり、ポンプ弁構成P.1、P.2、P.3のうちのそれぞれは、蓄圧器弁構成V.1、V.2、V.3のうちのそれぞれと組み合わされることができる。結果的に、以下においてT.1、T.2、T.3、T.4、T.5、T.6、T.7、T.8、T.9と称される、伝動装置1の合計3×3=9の弁構成がある。これらの構成は、以下の一覧に従って定義される。T.1:P.1+V.1; T.2:P.1+V.2; T.3:P.1+V.3; T.4:P.2+V.1; T.5:P.2+V.2; T.6:P.2+V.3; T.7:P.3+V.1; T.8:P.3+V.2; T.9:P.3+V.3.
【0063】
以下では、異なる弁構成T.1からT.9に関連付けられる、伝動装置1の複数の動作モードが説明される。ポンプ弁PA、PBを通じたポンプ4とモータ5、6との間の流体連通は、詳細に上述されている。ポンプ4とモータ5、6との間の連通が蓄圧器弁VHP,VLPの構成V.1、V.2、V.3からの影響を受けないので、構成T.1−T.9の以下の説明において、一方、蓄圧器7a、7bの間のみの連通、他方、ポンプ4と第1のモータ5と第2のモータ6との間の連通のみがいくぶん詳細に説明される。
【0064】
弁構成T.1(=P.1+V.1)に関連付けられる動作モードにおいて、蓄圧器組立体7は、油圧回路3から流体的に切り離され、ポンプ4は、第1のモータ5及び第2のモータ6と流体的に連通される(図1を参照)。このモードは、デュアルモータ静油圧伝動装置の標準静油圧モードに対応する。モータ5、6は両方、ポンプ4により駆動される。
【0065】
弁構成T.2(=P.1+V.2)に関連付けられる動作モードは、図2に示される。ここ及び以下では、繰り返される複数の特徴が同じ参照符号により示される。再び、ポンプ4は、モータ5、6の両方と流体的に連通される。加えて、蓄圧器組立体7は、モータ5、6の両方と流体的に連通される。具体的には、高圧蓄圧器7aは、第1のモータ5の第1の流体ポート5aと、第2のモータ6の第1の流体ポート6aと流体的に連通され、低圧蓄圧器7bは、第1のモータ5の第2の流体ポート5bと、第2のモータ6の第2の流体ポート6bと流体的に連通される。このモードは、デュアルモータ直列ハイブリットモードに対応する。このモードにおいて、高圧で高圧蓄圧器7aに格納される油圧流体が、モータ5、6の両方を通じて、高圧蓄圧器7aから低圧蓄圧器7bへ移動されてよく、それにより、例えば、車両の前方運動(前方加速度)の間に追加のトルクをモータ5、6に加える。また、このモードにおいて、蓄圧器7a、7bは、車両の後方運動(後方減速度)の間に車両を減速させるのに用いられ得る。
【0066】
弁構成T.3(=P.1+V.3、不図示)に関連付けられる動作モードにおいて、ポンプ4は再び、モータ5、6の両方と流体的に連通される。再び、蓄圧器組立体7は、モータ5、6の両方と流体的に連通される。構成T.2とは対照的に、構成T.3において、高圧蓄圧器7aは、第1のモータ5の第2の流体ポート5bと、第2のモータ6の第2の流体ポート6bと流体的に連通され、低圧蓄圧器7bは、第1のモータ5の第1の流体ポート5aと、第2のモータ6の第1の流体ポート6aと流体的に連通される。再び、このモードは、デュアルモータ直列ハイブリットモードに対応する。このモードにおいて、蓄圧器組立体7は、車両の前方運動(前方減速度)の間に車両を減速させる、又は、車両の後方運動(後方加速度)の間に車両を加速させるのに用いられ得る。
【0067】
弁構成T.4(=P.2+V.1、不図示)に関連付けられる動作モードにおいて、蓄圧器組立体7は再び、油圧回路3から流体的に切り離される。ポンプ4は第1のモータ5と流体的に連通され、第2のモータ6から流体的に切り離される。このモードは、第1のモータ5のみを用いるシングルモータ静油圧伝動装置の標準静油圧モードに対応する。
【0068】
弁構成T.5(=P.2+V.2、不図示)に関連付けられる動作モードにおいて、ポンプ4は、第1のモータ5と流体的に連通され、第2のモータ6から流体的に切り離される。同時に、蓄圧器組立体7は、第2のモータ6と流体的に連通され、第1のモータ5から流体的に切り離される。具体的には、高圧蓄圧器7aは、第2のモータ6の第1の流体ポート6aと流体的に連通され、低圧蓄圧器7bは、第2のモータ6の第2の流体ポート6bと流体的に連通される。
【0069】
このモードにおいて、ポンプ4、第1のモータ5及び流体ライン20a、30a、20b、30bにより形成される(サブ)回路が、蓄圧器7a、7b、第2のモータ6及び流体ライン50、60、40a、40bにより形成される(サブ)回路から流体的に分離される。第1のモータ5は、ポンプ4のみにより電力供給され、第2のモータ6は、蓄圧器組立体7のみにより電力供給される。ポンプ4により提供されるトルク/電力と、蓄圧器組立体7により提供されるトルク/電力とはギアボックス10においてのみ合計される。従って、たとえ油圧回路3における油圧と蓄圧器組立体7における油圧との間に圧力のミスマッチがあったとしても、伝動装置1は、このモードに切り替えられることができる。このモードは、並列モードに対応し、例えば、前方加速度の間に用いられ得る。
【0070】
弁構成T.6(=P.2+V.3、不図示)に関連付けられる動作モードは、蓄圧器7a、7bの第2のモータ6との流体連通が置き換えられることを除き、上で説明されている、弁構成T.5に関連付けられるモードと同一である。具体的には、高圧蓄圧器7aはここでは、第2のモータ6の第2の流体ポート6bと流体的に連通され、低圧蓄圧器7bはここでは、第2のモータ6の第1の流体ポート6aと流体的に連通される。上で説明されている構成T.5に関連付けられるモードのように、このモードは、並列モードに対応し、例えば、後方加速度の間に用いられ得る。
【0071】
弁構成T.7(不図示)に関連付けられる動作モードにおいて、蓄圧器組立体7は、油圧回路3から流体的に切り離される。ポンプ4は、第2のモータ6と流体的に連通され、第1のモータ5から流体的に切り離される。このモードは、第2のモータ6のみを用いるシングルモータ静油圧伝動装置の標準静油圧モードに対応する。
【0072】
弁構成T.8(=P.3+V.2)に関連付けられる動作モードは図3に示される。このモードは、上で説明されている構成T.5に関連付けられるモードと同様である。しかしながら、T.5に関して、第1のモータ5及び第2のモータ6の機械的な手順が置き換えられる。ポンプ4はここでは、第2のモータ6と流体的に連通され、第1のモータ5から流体的に切り離される。同時に、蓄圧器組立体7は、第1のモータ5と流体的に連通され、第2のモータ6から流体的に切り離される。具体的には、高圧蓄圧器7aは、第1のモータ5の第1の流体ポート5aと流体的に連通され、低圧蓄圧器7bは、第1のモータ5の第2の流体ポート5bと流体的に連通される。
【0073】
再び、このモードにおいて、ポンプ4、第2のモータ6及び流体ライン20a、40a、20b、40bにより形成される(サブ)回路が、蓄圧器7a、7b、第1のモータ5及び流体ライン50、60、30a、30bにより形成される(サブ)回路から流体的に分離される。第1のモータ5は、蓄圧器組立体7のみにより電力供給され、第2のモータ6は、ポンプ4のみにより電力供給される。ポンプ4により提供されるトルク/電力と蓄圧器組立体7により提供されるトルク/電力とがギアボックス10においてのみ合計される。従って、たとえ油圧回路3における油圧と蓄圧器組立体7における油圧との間に圧力のミスマッチがあったとしても、伝動装置1は、このモードに切り替えられることができる。このモードは、並列モードに対応し、例えば、前方加速度の間に用いられ得る。
【0074】
弁構成T.9(=P.3+V.3)に関連付けられる動作モードは、図4に示される。これは、蓄圧器7a、7bの第1のモータ5との流体連通が置き換えられることを除き、上で説明されている、弁構成T.8に関連付けられるモードと同一である。具体的には、高圧蓄圧器7aはここでは、第1のモータ5の第2の流体ポート5bと流体的に連通され、低圧蓄圧器7bはここでは、第1のモータ5の第1の流体ポート5aと流体的に連通される。上で説明されている構成T.8に関連付けられるモードのように、このモードは、並列モードに対応し、例えば、後方加速度の間に用いられ得る。
【0075】
図5は、図1−4の伝動装置1の変形例であるデュアルモータ油圧式ハイブリット伝動装置を示す。上記のように、繰り返される複数の特徴が同じ参照符号により示される。図5の実施形態は、蓄圧器7a、7bが、ポンプ弁PA、PBの制御構成と殆ど独立に、モータ5、6と選択的に流体的に連通されることができるという点において、図1−4の実施形態と異なる。加えて、ポンプ弁PA、PBのそれぞれは、2つの2/2弁により実現される。より具体的には、弁PAは、2つの弁PA.A及びPA.Bにより実現され、弁PBは、2つの弁PB.A及びPB.Bにより実現される。
【0076】
当業者であれば、図5の概略図から容易に理解するように、ポンプ4は、モータ5、6の両方と、又はモータ5、6のうちの1つのみと、選択的に流体的に連通されることができる。
【0077】
例えば、ポンプ4は、第1のポンプ弁PA.A及びPA.Bを第1の制御位置PA.A.1及びPA.B.1(図5に示されているように)にそれぞれ切り替えることにより、かつ、同時に、第2のポンプ弁PB.A及びPB.Bを第1の制御位置PB.A.1及びPB.B.1にそれぞれ切り替えることにより、モータ5、6の両方と流体的に連通されることができる。ポンプ4は、ポンプ弁PA.A、PA.B、PB.A及びPB.Bのそれぞれを、それらのそれぞれの制御位置PA.A.1、PA.B.2、PB.A.2及びPB.B.2に切り替えることにより、第1のモータ5と流体的に連通されることができ、同時に、第2のモータ6から流体的に切り離されることができる。ポンプ4は、ポンプ弁PA.A、PA.B、PB.A及びPB.Bのそれぞれを、それらのそれぞれの制御位置PA.A.2、PA.B.1、PB.A.1及びPB.B.2に切り替えることにより、第2のモータ6と流体的に連通されることができ、同時に、第1のモータ5から流体的に切り離されることができる。
【0078】
高圧蓄圧器7aと低圧蓄圧器7bとを含む蓄圧器組立体7は、2/2弁VHP1、VHP2、VHP3、VHP4、VHP5、VHP6、VLP1、VLP2、VLP3、VLP4、VLP5、VLP6を用いて、油圧回路と選択的に流体的に連通されることができる。弁VHP1−6とVLP1−6とのそれぞれは、開位置及び閉位置を有する2/2ウェイ閉止弁である。
【0079】
高圧蓄圧器7aは、6つの高圧蓄圧器弁VHP1、VHP2、VHP3、VHP4、VHP5、VHP6のセットを通じて、流体ライン20a、30a、40a、20b、30b、40bのそれぞれと選択的に流体的に連通されることができる。
【0080】
弁VHP1は、開位置にあるとき、その流体ライン100を介して、高圧蓄圧器7aを流体ライン20aと選択的に流体的に連通させる。弁VHP1は、閉位置にあるとき、流体ライン20aを高圧蓄圧器7aから分離させる。
【0081】
弁VHP2は、開位置にあるとき、その流体ライン100を介して、高圧蓄圧器7aを流体ライン20bと選択的に流体的に連通させる。弁VHP2は、閉位置にあるとき、流体ライン20bを高圧蓄圧器7aから分離させる。
【0082】
弁VHP3は、開位置にあるとき、その流体ライン100を介して、高圧蓄圧器7aを流体ライン30aと選択的に流体的に連通させる。弁VHP3は、閉位置にあるとき、流体ライン30aを高圧蓄圧器7aから分離させる。
【0083】
弁VHP4は、開位置にあるとき、その流体ライン100を介して、高圧蓄圧器7aを流体ライン40aと選択的に流体的に連通させる。弁VHP4は、閉位置にあるとき、流体ライン40aを高圧蓄圧器7aから分離させる。
【0084】
弁VHP5は、開位置にあるとき、その流体ライン100を介して、高圧蓄圧器7aを流体ライン40bと選択的に流体的に連通させる。弁VHP5は、閉位置にあるとき、流体ライン40bを高圧蓄圧器7aから分離させる。
【0085】
弁VHP6は、開位置にあるとき、その流体ライン100を介して、高圧蓄圧器7aを流体ライン30bと選択的に流体的に連通させる。弁VHP6は、閉位置にあるとき、流体ライン30bを高圧蓄圧器7aから分離させる。
【0086】
従って、弁VHP1、VHP2、VHP3、VHP4、VHP5、VHP6の組み合わせが、高圧蓄圧器7aを油圧回路3から切り離すこと、高圧蓄圧器7aを第1のモータ5の第1の流体ポート5aと流体的に連通させること、高圧蓄圧器7aを第2のモータ6の第1の流体ポート6aと流体的に連通させること、高圧蓄圧器7aを第1のモータ5の第2の流体ポート5bと流体的に連通させること、高圧蓄圧器7aを第2のモータ6の第2の流体ポート6bと流体的に連通させること、低圧蓄圧器7bを第1のモータ5の第1の流体ポート5aと、第2のモータ6の第1の流体ポート6aと流体的に連通させること、及び、低圧蓄圧器7bを第1のモータ5の第2の流体ポート5bと、第2のモータ6の第2の流体ポート6bと流体的に連通させることのうちの選択的に1つに用いられることができるということが、当業者であれば、容易に理解されるものである。
【0087】
さらに、ポンプ弁PA.A、PA.B、PB.A、PB.Bがそれぞれ、それらの第1の制御位置PA.A.1、PA.B.1、PB.A.1、PB.B.1に切り替えられたとき、高圧蓄圧器7aは同時に、弁VHP1を通じて、第1のモータ5及び第2のモータ6のそれぞれの第1の流体ポート5a、6aと流体的に連通され得る。同様に、ポンプ弁PA.A、PA.B、PB.A、PB.Bがそれぞれ、それらの第1の制御位置PA.A.1、PA.B.1、PB.A.1、PB.B.1に切り替えられたとき、高圧蓄圧器7aは同時に、弁VHP2を通じて、第1のモータ5及び第2のモータ6のそれぞれの第2の流体ポート5b、6bと流体的に連通され得る。
【0088】
類似する方式において、低圧蓄圧器7bは、低圧蓄圧器弁VLP1、VLP2、VLP3、VLP4、VLP5、VLP6のセットを通じて、流体ライン20a、20b、30a、30b、40a、40bのそれぞれと選択的に流体的に連通されることができる。
【0089】
弁VLP1は、開位置にあるとき、その流体ライン100を介して、高圧蓄圧器7aを流体ライン20aと選択的に流体的に連通させる。弁VLP1は、閉位置にあるとき、流体ライン20aを高圧蓄圧器7aから分離させる。
【0090】
弁VLP2は、開位置にあるとき、その流体ライン100を介して、高圧蓄圧器7aを流体ライン20bと選択的に流体的に連通させる。弁VLP2は、閉位置にあるとき、流体ライン20bを高圧蓄圧器7aから分離させる。
【0091】
弁VLP3は、開位置にあるとき、その流体ライン100を介して、高圧蓄圧器7aを流体ライン30bと選択的に流体的に連通させる。弁VLP3は、閉位置にあるとき、流体ライン30bを高圧蓄圧器7aから分離させる。
【0092】
弁VLP4は、開位置にあるとき、その流体ライン100を介して、高圧蓄圧器7aを流体ライン40bと選択的に流体的に連通させる。弁VLP4は、閉位置にあるとき、流体ライン40bを高圧蓄圧器7aから分離させる。
【0093】
弁VLP5は、開位置にあるとき、その流体ライン100を介して、高圧蓄圧器7aを流体ライン40aと選択的に流体的に連通させる。弁VLP5は、閉位置にあるとき、流体ライン40aを高圧蓄圧器7aから分離させる。
【0094】
弁VLP6は、開位置にあるとき、その流体ライン100を介して、高圧蓄圧器7aを流体ライン30aと選択的に流体的に連通させる。弁VLP6は、閉位置にあるとき、流体ライン30aを高圧蓄圧器7aから分離させる。
【0095】
従って、弁VLP1、VLP2、VLP3、VLP4、VLP5、VLP6が、低圧蓄圧器7bを油圧回路3から切り離すこと、低圧蓄圧器7bを第1のモータ5の第1の流体ポート5aと流体的に連通させること、低圧蓄圧器7bを第2のモータ6の第1の流体ポート6aと流体的に連通させること、低圧蓄圧器7bを第1のモータ5の第2の流体ポート5bと流体的に連通させること、低圧蓄圧器7bを第2のモータ6の第2の流体ポート6bと流体的に連通させること、低圧蓄圧器7bを第1のモータ5の第1の流体ポート5aと、第2のモータ6の第1の流体ポート6aと流体的に連通させること、及び、低圧蓄圧器7bを第1のモータ5の第2の流体ポート5bと、第2のモータ6の第2の流体ポート6bと流体的に連通させることのうちの選択的に1つに用いられることができるということが、当業者であれば、容易に理解されるものである。
【0096】
さらに、ポンプ弁PA.A、PA.B、PB.A、PB.Bが、それらの第1の制御位置PA.A.1、PA.B.1、PB.A.1、PB.B.1にそれぞれ切り替えられたとき、低圧蓄圧器7bは同時に、弁VLP1を通じて、第1のモータ5及び第2のモータ6のそれぞれの第1の流体ポート5a、6aと流体的に連通され得る。同様に、ポンプ弁PA.A、PA.B、PB.A、PB.Bが、それらの第1の制御位置PA.A.1、PA.B.1、PB.A.1、PB.B.1にそれぞれ切り替えられたとき、低圧蓄圧器7bは同時に、弁VLP2を通じて、第1のモータ5及び第2のモータ6の第2の流体ポート5b、6bと流体的に連通され得る。
【0097】
加えて、さらなる安全性及び漏れを低減させるために、2つの追加の2/2弁(例えば、VHP及びVLP)が、蓄圧器7a及び7bをライン100及び200からそれぞれ分離させるのに用いられることができる。
【0098】
従って、当業者は、図5の伝動装置が図1から図4の伝動装置1と同じ動作モードで動作され得る方法を容易に理解する。
【0099】
現在提案されている、シンプルな直列ハイブリッドモードに関する伝動装置の利点は、任意のレベルの蓄圧器圧で機械的伝動装置入力においてトルクを合計する能力にあり、こうして、蓄圧器圧を道路負荷から分離する。加えて、たとえ標準静油圧モードにあったとしても、それは2つのモータのうちの1つを油圧切り離しにすることを可能にし、こうして、損失を低減させる。
【0100】
複数の特定の実施形態において、複数のモードのうちの一部を除去することによって回路を単純化することが可能な場合がある。特に、図1−4において、複数の基本動作モード及び各モードを得るための油圧制御デバイスの動作を示す。特に、3/3蓄圧器弁(又は異なる実施形態を有するそれらの均等な実現)が、4/3ライン弁が直列と並列モードとの間を切り替えながら、各蓄圧器を、油圧回路3の高圧ラインと、油圧回路3の低圧ラインと連通させる、又は何れも連通させない機能を解決する。直列モードは、両方のモータが同じ圧力源と連通されているとき、中心位置に対応する。一方、並列モードは、ポンプを第1のモータに連通させ、蓄圧器を第2のモータに連通させることによって実現される。この構成において、複数の蓄圧器弁を切り替えることが、第2のモータに対して作用する圧力を変える(ブースティング対再生からの切り替えと同等)。
【0101】
異なる電気装置も可能である。異なる電気装置は、2つのモータの両方に一緒に電力供給するものと対照的に、1つのモータを駆動させる発電機ともう1つのモータを駆動させる電池とを含む。異なる電気装置は、特定の条件においてパワーエレクトロニクスの損失を低減させることによって全体的な効率から見て何らかの利点を提供する。
図1
図2
図3
図4
図5