特許第6583982号(P6583982)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6583982
(24)【登録日】2019年9月13日
(45)【発行日】2019年10月2日
(54)【発明の名称】移動ルート解析システム
(51)【国際特許分類】
   H04M 11/00 20060101AFI20190919BHJP
   G06Q 30/02 20120101ALI20190919BHJP
【FI】
   H04M11/00 301
   G06Q30/02 300
【請求項の数】5
【全頁数】30
(21)【出願番号】特願2019-99383(P2019-99383)
(22)【出願日】2019年5月28日
(62)【分割の表示】特願2018-208492(P2018-208492)の分割
【原出願日】2018年11月5日
【審査請求日】2019年5月28日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】318008716
【氏名又は名称】株式会社スペース二十四インフォメーション
(74)【代理人】
【識別番号】100107674
【弁理士】
【氏名又は名称】来栖 和則
(72)【発明者】
【氏名】吉川 明宏
【審査官】 田畑 利幸
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2017/0006429(US,A1)
【文献】 特開2018−049560(JP,A)
【文献】 特開2017−033442(JP,A)
【文献】 特表2018−521301(JP,A)
【文献】 特開2019−015678(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04M 11/00−11/10
G06Q 30/02
H04W 4/029
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
閉じた空間内における複数人の移動ルートを解析するシステムであって、
前記閉じた空間内に空間離散的に設置された複数の発信機であって、各発信機は、固有の発信機IDを表す信号を発信するものと、
複数人のユーザによって携行される複数の通信端末であって、それぞれ、各発信機から信号を近距離無線通信方式で受信可能なものと、
前記複数の通信端末と通信可能な管理サーバと
を含み、
各ユーザの通信端末は、いずれかの発信機から信号を受信すると、その信号によって表される発信機IDと、当該通信端末の識別情報またはそのユーザの識別情報である端末/ユーザIDとを前記管理サーバに送信する送信部を含み、
前記管理サーバは、
各通信端末から前記発信機IDを前記端末/ユーザIDに関連付けて受信する受信部と、
その受信した発信機IDを前記端末/ユーザIDに関連付けてメモリに保存する保存部と、
発信機IDと空間座標値との間の予め定められた関係であって前記メモリに保存されているものに従い、各ユーザごとに、前記メモリに保存されている複数の発信機IDの時刻歴を、それに対応する複数の発信機の設置位置を表す複数の空間座標値の時刻歴に変換し、各ユーザごとに、前記複数の空間座標値の時刻歴から、各ユーザが実際に利用した移動ルートを推定する移動ルート推定部と、
前記複数人のユーザがそれぞれ個別に利用したと推定される複数の移動ルートのうち、互いに場所的に共通する部分を抽出し、その抽出された部分と同じ位置またはそれの近傍位置に、前記複数人のユーザが共通に示す関心の対象である関心対象が存在すると推定する関心対象推定部と
を含む移動ルート解析システム。
【請求項2】
各空間座標値は、前記閉じた空間に固定された座標系内において定義され、
前記移動ルート推定部は、各ユーザごとに、前記複数の空間座標値の時刻歴を、前記座標系内において複数の移動ベクトルが一列に並んで成る移動ベクトル列に変換し、その移動ベクトル列として前記移動ルートを定義し、
前記関心対象推定部は、各移動ベクトル列を、前記座標系内において複数のドットの集まりに変換し、それらドットのうち、前記複数人のユーザについての複数の移動ベクトル列の間で互いに実質的に一致するものを抽出し、それら抽出されたドットを、1本の直線セグメントまたは互いに直列に接続された複数本の直線セグメントより成る1本の直線セグメント列に変換し、1本の直線セグメントまたは1本の直線セグメント列として前記関心対象を定義する請求項1に記載の移動ルート解析システム。
【請求項3】
前記閉じた空間は、複数の商品が陳列されている店舗、複数の作品が展示されている展示室もしくは美術館、または、複数のアイテムが展示されている博物館を含む請求項1または2に記載の移動ルート解析システム。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに記載の管理サーバとしてコンピュータを機能させるためのプログラム。
【請求項5】
請求項4に記載のプログラムをコンピュータ読み取り可能に記録した記録媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物等、閉じた空間内における複数人の移動ルートまたは人流を解析する技術に関し、特に、複数人の移動ルートから、それら複数人に共通の関心の対象を抽出する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
建物等、閉じた空間内における複数人の移動ルートを解析する技術が既にいくつか提案されており、その一例が、災害時に建物(例えば、ビル、トンネル、地下街など)から複数人の脱出希望者が安全に脱出するためのルートを案内する技術である。
【0003】
災害時に避難ルートを案内する技術としては、例えば、特許文献1には、避難ルートマップ作成システムが開示されている。このシステムにおいては、避難希望者が携帯端末を携行し、その携帯端末は、GPSにより、自身の現在位置を測定してセンター装置に送信する。このシステムは、災害発生時に、実際に避難希望者が通行した経路の情報に基づき、確実に通行可能な避難ルートを特定する。
【0004】
特許文献2には、避難経路誘導システムが開示されている。このシステムにおいては、避難経路の複数個所にそれぞれ送受信機が設置される。サーバが、災害時に、避難経路情報を各送受信機に送信する。このサーバは、避難者の携帯端末の現在位置に応じて避難経路を計算する。避難者の携帯端末は、各送受信機から避難経路情報を受信する。
【0005】
特許文献3には、消防隊員の位置検知方法が開示されている。この方法によれば、建築物の各階にアンテナが設置される。消防隊員が発信機を携行する。その発信機から前記アンテナが受信した電波から、消防隊員の位置を検知する。
【0006】
特許文献4には、 複数階を備えた建物内の滞在者(要救助者および救助隊員)の位置を特定する位置特定システムが開示されている。このシステムにおいては、部屋に複数の発信機が設置され、滞在者は、携帯端末を所持する。各発信機は、信号を発信し、それを携帯端末が受信する。その携帯端末は、信号を受信した発信機に返信する。その信号を発信機が受信すると、その発信機は、自身のIDをサーバに送信する。
【0007】
避難の支援ではなく、展示室、店舗等の閉じた空間内において入場者に移動ルートを解析してその入場者の興味の対象を解析する技術として、特許文献5には、位置情報取得システムが開示されている。
【0008】
このシステムにおいては、入場者が携帯端末を携行する。展示室、店舗等の建物内に複数の電波発信機が設置されており、携帯端末は、各電波発信機から電波情報(位置情報)を受信し、携帯端末自身、方位情報を生成し、そのうえで、携帯端末は、所定の時間間隔で、それら位置情報および方位情報を管理サーバに送信する。その管理サーバは、受信した情報から、各携帯端末の移動軌跡の算出と、その移動軌跡中の各地点における滞在時間の算出と、各地点における携帯端末の向きの検出とを行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2011−95850号公報
【特許文献2】特開2007−11830号公報
【特許文献3】特開2005−55186号公報
【特許文献4】特許第6321134号公報
【特許文献5】特開2015−152483号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
災害時に、建物(本件書類の全体を通じて、この用語は、トンネル等の構造物を含む意味で、建造物と同義語として使用する。)内に設置された複数の発信機と、その建物からの脱出すなわち避難を希望する脱出希望者の携帯端末とを用いれば、その建物における実際の移動経路すなわち避難ルートを検出することは可能である。
【0011】
そして、そのようにして検出された避難ルートを、同じ建物からこれからまさに脱出しようとしている他の脱出希望者に案内すれば、その脱出希望者は、何の情報にも頼ることができない場合より確実にその建物から脱出することが期待される。
【0012】
しかし、災害時に、同じ建物について複数の避難ルートが存在する。例えば、複数階建ての建造物内において、脱出希望者が、上位階から下位階に歩いて降りる際に、どの階段(屋内階段か非常階段かなど)を利用するのか、どの通路を利用するのかなどの観点からすると、潜在的には、複数の避難ルートが存在する。
【0013】
しかし、実際に利用される避難ルートは、脱出希望者が避難を開始する位置(例えば、何階のフロアに居るのか)が互いに異なることから、避難開始位置ごとに異なる可能性、すなわち、位置依存性が存在する。
【0014】
さらに、災害時には、建物の損傷状況や損傷部位が次第に変化するため、1分前に安全であった避難ルートが、1分後には危険な避難ルートに転換してしまう可能性も否定できない。すなわち、避難ルートには、時間依存性も存在するのである。
【0015】
さらに、最初の脱出希望者が利用した避難ルートが存在する場合、その利用が達成されたのは、たままたその脱出希望者であったからであったというように特殊性を有する可能性がある。すなわち、避難ルートには、利用者依存性も存在するのである。
【0016】
そのため、ある脱出希望者が実際に利用した避難ルートが、必ずしも、別の脱出希望者にとり、かつ、別の場所で、かつ、別のタイミングで、同じ建物からの脱出に安全であるとは限らない。
【0017】
したがって、脱出希望者の脱出開始位置ごと(例えば、フロアごと)に、かつ、各瞬間ごとにリアルタイムで、本当に安全な避難ルートを推定し、その結果を避難情報として、建物からの脱出をこれから試みようとする脱出希望者に提供することが望ましい。
【0018】
さらに、同じ避難ルートを同じタイミングで複数人の脱出希望者が利用したという事実がある場合にはじめて、その避難ルートを、高い信頼性のもとに、他の脱出希望者に案内すべきであると考えられる。
【0019】
また、移動ルートを解析することが役に立つ別の用途として、閉じた空間、例えば、複数の商品が陳列されている店舗、複数の作品が展示されている展示室や博物館、美術館、図書館などにおいて、複数人のユーザ(通信端末のユーザ)がそれぞれ個別に利用したと推定される複数の移動ルートのうち、互いに場所的に共通する部分を抽出し、その抽出された部分と同じ位置またはそれの近傍位置に、前記複数人のユーザが共通に示す関心の対象が存在すると推定するという用途が存在する。
【0020】
この用途においては、複数人のユーザが共通に示す関心の対象が判明し、その判明結果を利用すれば、例えば、その対象が商品である場合には、その商品のマーケティング活動の活性化を支援できる。
【0021】
以上説明した知見を背景に、本発明は、閉じた空間内における複数人の移動ルートから、それら複数人に共通の関心の対象を抽出する技術を提供することを課題としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0022】
その課題を解決するために、本発明の一側面によれば、閉じた空間内における複数人の移動ルートを解析するシステムであって、
前記閉じた空間内に空間離散的に設置された複数の発信機であって、各発信機は、固有の発信機IDを表す信号を発信するものと、
複数人のユーザによって携行される複数の通信端末であって、それぞれ、各発信機から信号を近距離無線通信方式で受信可能なものと、
前記複数の通信端末と通信可能な管理サーバと
を含み、
各ユーザの通信端末は、いずれかの発信機から信号を受信すると、その信号によって表される発信機IDと、当該通信端末の識別情報またはそのユーザの識別情報である端末/ユーザIDとを前記管理サーバに送信する送信部を含み、
前記管理サーバは、
各通信端末から前記発信機IDを前記端末/ユーザIDに関連付けて受信する受信部と、
その受信した発信機IDを前記端末/ユーザIDに関連付けてメモリに保存する保存部と、
発信機IDと空間座標値との間の予め定められた関係であって前記メモリに保存されているものに従い、各ユーザごとに、前記メモリに保存されている複数の発信機IDの時刻歴を、それに対応する複数の発信機の設置位置を表す複数の空間座標値の時刻歴に変換し、各ユーザごとに、前記複数の空間座標値の時刻歴から、各ユーザが実際に利用した移動ルートを推定する移動ルート推定部と、
前記複数人のユーザがそれぞれ個別に利用したと推定される複数の移動ルートのうち、互いに場所的に共通する部分を抽出し、その抽出された部分と同じ位置またはそれの近傍位置に、前記複数人のユーザが共通に示す関心の対象である関心対象が存在すると推定する関心対象推定部と
を含む移動ルート解析システムが提供される。
【0023】
また、本発明のあるアスペクトによれば、災害時に建物から複数人の脱出希望者が安全に脱出するためのルートを案内するシステムであって、
前記建物内に空間離散的に設置された複数の発信機であって、各発信機は、固有の発信機IDを表す識別信号を発信するものと、
複数人の脱出希望者によって携行される複数の通信端末であって、それぞれ、各発信機から識別信号を近距離無線通信方式で受信可能なものと、
前記複数の通信端末と通信可能な管理サーバと
を含み、
各脱出希望者の通信端末は、いずれかの発信機から信号を受信すると、その信号によって表される発信機IDと、当該通信端末の識別情報またはそのユーザの識別情報である端末/ユーザIDとを前記管理サーバに送信する送信部を含み、
前記管理サーバは、
各通信端末から前記発信機IDと前記端末/ユーザIDとを受信する受信部と、
その受信した発信機IDを、各通信端末が当該管理サーバに送信した送信時刻または当該管理サーバが各通信端末から受信した受信時刻と、前記端末/ユーザIDとに関連付けてメモリに保存する保存部と、
発信機IDと空間座標値との間の予め定められた関係であって前記メモリに保存されているものに従い、各脱出希望者ごとに、前記メモリに保存されている複数の発信機IDの時刻歴を、それに対応する複数の発信機の設置位置を表す複数の空間座標値の時刻歴に変換し、各脱出希望者ごとに、前記複数の空間座標値の時刻歴から、各脱出希望者が実際に利用した避難ルートを推定する避難ルート推定部と、
前記複数の発信機のうち前記建物の出口の近傍位置に設置されているものの発信機IDを各通信端末が受信したか否かを判定することにより、前記避難ルート推定部によって複数人の脱出希望者がそれぞれ個別に利用したと推定される複数の避難ルートのうち、前記建物の前記出口からの脱出に成功した複数人の脱出成功者が利用した複数の避難ルートを複数の脱出成功避難ルートとして選択し、それら脱出成功避難ルートの間で互いに場所的に共通するセグメントを、前記複数人の脱出希望者ではなくそのうちの前記複数人の脱出成功者が共通に利用した成功脱出ルートとして推定する成功脱出ルート推定部と
を含み、
各空間座標値は、前記建物に固定された3次元直交座標系内において3次元的に定義され、
前記避難ルート推定部は、各脱出希望者ごとに、前記複数の空間座標値の時刻歴を、前記建物に固定された3次元直交座標系内において複数の移動ベクトルが一列に並んで成る移動ベクトル列に変換し、その移動ベクトル列として前記避難ルートを定義し、
前記成功脱出ルート推定部は、各移動ベクトル列を、前記建物に固定された3次元直交座標系内において複数のドットの集まりに変換し、それらドットのうち、前記複数人の脱出希望者についての複数の移動ベクトル列の間で互いに実質的に一致するものを抽出し、それら抽出されたドットを、1本の直線セグメントまたは互いに直列に接続された複数本の直線セグメントより成る1本の直線セグメント列に変換し、1本の直線セグメントまたは1本の直線セグメント列として前記成功脱出ルートを定義し、
前記推定された成功脱出ルートを同じ建物内の他の脱出希望者に案内する災害時脱出ルート案内システムが提供される。
【0024】
また、本発明の一側面によれば、災害時に建物から複数人の脱出希望者が安全に脱出するためのルートを案内するシステムであって、
前記建物内に空間離散的に設置された複数の発信機であって、各発信機は、固有の発信機IDを表す識別信号を発信するものと、
複数人の脱出希望者によって携行される複数の通信端末であって、それぞれ、各発信機から識別信号を近距離無線通信方式で受信可能なものと、
前記複数の通信端末と通信可能な管理サーバと
を含み、
各脱出希望者の通信端末は、いずれかの発信機から信号を受信すると、その信号によって表される発信機IDと、当該通信端末の識別情報またはそのユーザの識別情報である端末/ユーザIDとを前記管理サーバに送信する送信部を含み、
前記管理サーバは、
各通信端末から前記発信機IDと前記端末/ユーザIDとを受信する受信部と、
その受信した発信機IDを、各通信端末が当該管理サーバに送信した送信時刻または当該管理サーバが各通信端末から受信した受信時刻と、前記端末/ユーザIDとに関連付けてメモリに保存する保存部と、
発信機IDと空間座標値との間の予め定められた関係であって前記メモリに保存されているものに従い、各脱出希望者ごとに、前記メモリに保存されている複数の発信機IDの時刻歴を、それに対応する複数の発信機の設置位置を表す複数の空間座標値の時刻歴に変換し、各脱出希望者ごとに、前記複数の空間座標値の時刻歴から、各脱出希望者が実際に利用した避難ルートを推定する避難ルート推定部と、
前記複数の発信機のうち前記建物の出口の近傍位置に設置されているものの発信機IDを各通信端末が受信したか否かを判定することにより、前記避難ルート推定部によって複数人の脱出希望者がそれぞれ個別に利用したと推定される複数の避難ルートのうち、前記建物の前記出口からの脱出に成功した複数人の脱出成功者が利用した複数の避難ルートを複数の脱出成功避難ルートとして選択し、それら脱出成功避難ルートの間で互いに場所的に共通するセグメントを、前記複数人の脱出希望者ではなくそのうちの前記複数人の脱出成功者が共通に利用した成功脱出ルートとして推定する成功脱出ルート推定部と
を含み、
その推定された成功脱出ルートを同じ建物内の他の脱出希望者に案内する災害時脱出ルート案内システムが提供される。
【0025】
本発明によって下記の各態様が得られる。各態様は、項に区分し、各項には番号を付し、必要に応じて他の項の番号を引用する形式で記載する。これは、本発明が採用し得る技術的特徴の一部およびそれの組合せの理解を容易にするためであり、本発明が採用し得る技術的特徴およびそれの組合せが以下の態様に限定されると解釈すべきではない。すなわち、下記の態様には記載されていないが本明細書には記載されている技術的特徴を本発明の技術的特徴として適宜抽出して採用することは妨げられないと解釈すべきなのである。
【0026】
さらに、各項を他の項の番号を引用する形式で記載することが必ずしも、各項に記載の技術的特徴を他の項に記載の技術的特徴から分離させて独立させることを妨げることを意味するわけではなく、各項に記載の技術的特徴をその性質に応じて適宜独立させることが可能であると解釈すべきである。
【0027】
(1) 災害時に建物から複数人の脱出希望者が安全に脱出するためのルートを案内するシステムであって、
前記建物内に空間離散的に設置された複数の発信機であって、各発信機は、固有の発信機IDを表す識別信号を発信するものと、
複数人の脱出希望者によって携行される複数の通信端末であって、それぞれ、各発信機から識別信号を近距離無線通信方式で受信可能なものと、
前記複数の通信端末と通信可能な管理サーバと
を含み、
各脱出希望者の通信端末は、いずれかの発信機から信号を受信すると、その信号によって表される発信機IDと、当該通信端末の識別情報またはそのユーザの識別情報である端末/ユーザIDとを前記管理サーバに送信する送信部を含み、
前記管理サーバは、
各通信端末から前記発信機IDと前記端末/ユーザIDとを受信する受信部と、
その受信した発信機IDを、各通信端末が当該管理サーバに送信した送信時刻または当該管理サーバが各通信端末から受信した受信時刻と、前記端末/ユーザIDとに関連付けてメモリに保存する保存部と、
発信機IDと空間座標値との間の予め定められた関係であって前記メモリに保存されているものに従い、各脱出希望者ごとに、前記メモリに保存されている複数の発信機IDの時刻歴を、それに対応する複数の発信機の設置位置を表す複数の空間座標値の時刻歴に変換し、各脱出希望者ごとに、前記複数の空間座標値の時刻歴から、各脱出希望者が実際に利用した避難ルートを推定する避難ルート推定部と、
複数人の脱出希望者がそれぞれ個別に利用したと推定される複数の避難ルートのうち、互いに場所的に共通する部分を、それら脱出希望者が共通に利用した成功脱出ルートとして推定する成功脱出ルート推定部と
を含む災害時脱出ルート案内システム。
【0028】
(2) 前記管理サーバは、さらに、
前記推定された成功脱出ルートを、他の複数人の脱出希望者の複数の通信端末に配信し、それにより、成功脱出ルートに基づく避難誘導情報を複数人の脱出希望者の間で共有する成功脱出ルート配信部を含む(1)項に記載の災害時脱出ルート案内システム。
【0029】
(3) 前記避難ルート推定部は、前記建物に災害が発生したか否かを判定する災害判定部を含み、
前記避難ルート推定部は、その災害判定部によって災害が発生したと判定されると、起動し、
前記成功脱出ルート推定部は、いずれの脱出希望者が前記建物からの脱出に成功したか否かを判定する脱出判定部を含み、
前記成功脱出ルート推定部は、前記推定された複数の避難ルートのうち、前記建物からの脱出に成功したと前記脱出判定部によって判定された複数人の脱出希望者が利用したと推定されるものを選択し、その選択された複数の避難ルートから前記成功脱出ルートを推定する(1)または(2)項に記載の災害時脱出ルート案内システム。
【0030】
(4) 前記災害判定部は、前記建物内に設置されている火災報知器または前記建物外に存在する災害監視システムに連動する(3)項に記載の災害時脱出ルート案内システム。
【0031】
(5) 前記脱出判定部は、各脱出希望者の通信端末から、前記複数の発信機のうち前記建物の出口の近傍位置または前記建物の外部に設置されているものの発信機IDを受信したときに、各脱出希望者が前記建物からの脱出に成功したと判定する(3)または(4)項に記載の災害時脱出ルート案内システム。
【0032】
(6) 前記建物は、複数のフロアを有し、
前記成功脱出ルート推定部は、前記建物の各フロアごとに、かつ、逐次反復的にリアルタイムに、成功脱出ルートを推定する(1)ないし(5)項のいずれかに記載の災害時脱出ルート案内システム。
【0033】
(7) さらに、各脱出希望者ごとに、前記推定された成功脱出ルートに対応する複数の発信機に関連付けて前記メモリに保存されている複数の送信時刻または受信時刻間の時間差から、前記成功脱出ルートに沿った各脱出希望者の移動速度を計算し、その計算された移動速度に基づき、前記成功脱出ルートを利用して前記建物から脱出する場合の困難度を推定する脱出困難度推定部を含む(1)ないし(6)項のいずれかに記載の災害時脱出ルート案内システム。
【0034】
(8) (1)ないし(7)項のいずれかに記載の通信端末としてコンピュータを機能させるためのプログラム。
【0035】
本明細書の全体を通じて、「プログラム」という用語は、例えば、それの機能を果たすためにコンピュータにより実行される指令の組合せを意味するように解釈したり、それら指令の組合せのみならず、各指令に従って処理されるファイルやデータをも含むように解釈することが可能であるが、それらに限定されない。
【0036】
また、このプログラムは、それ単独でコンピュータにより実行されることにより、所期の目的を達するものとしたり、他のプログラムと共にコンピュータにより実行されることにより、所期の目的を達するものとすることができるが、それらに限定されない。後者の場合、本項に係るプログラムは、データを主体とするものとすることができるが、それに限定されない。
【0037】
(9) (1)ないし(7)項のいずれかに記載の管理サーバとしてコンピュータを機能させるためのプログラム。
【0038】
(10) (8)または(9)項に記載のプログラムをコンピュータ読み取り可能に記録した記録媒体。
【0039】
本明細書の全体を通じて、「記録媒体」という用語は、種々な形式の記録媒体を意味するように解釈することが可能であり、そのような記録媒体は、例えば、フレキシブル・ディスク等の磁気記録媒体、CD、CD−ROM等の光記録媒体、MO等の光磁気記録媒体、ROM等のアンリムーバブル・ストレージ等を含むが、それらに限定されない。
【0040】
(11) 閉じた空間内における複数人の移動ルートを解析するシステムであって、
前記閉じた空間内に空間離散的に設置された複数の発信機であって、各発信機は、固有の発信機IDを表す信号を発信するものと、
複数人のユーザによって携行される複数の通信端末であって、それぞれ、各発信機から信号を近距離無線通信方式で受信可能なものと、
前記複数の通信端末と通信可能な管理サーバと
を含み、
各ユーザの通信端末は、いずれかの発信機から信号を受信すると、その信号によって表される発信機IDと、当該通信端末の識別情報またはそのユーザの識別情報である端末/ユーザIDとを前記管理サーバに送信する送信部を含み、
前記管理サーバは、
各通信端末から前記発信機IDと前記端末/ユーザIDとを受信する受信部と、
その受信した発信機IDを、各通信端末が当該管理サーバに送信した送信時刻または当該管理サーバが各通信端末から受信した受信時刻と、前記端末/ユーザIDとに関連付けてメモリに保存する保存部と、
発信機IDと空間座標値との間の予め定められた関係であって前記メモリに保存されているものに従い、各ユーザごとに、前記メモリに保存されている複数の発信機IDの時刻歴を、それに対応する複数の発信機の設置位置を表す複数の空間座標値の時刻歴に変換し、各ユーザごとに、前記複数の空間座標値の時刻歴から、各ユーザが実際に利用した移動ルートを推定する移動ルート推定部と、
前記複数人のユーザがそれぞれ個別に利用したと推定される複数の移動ルートのうち、互いに場所的に共通する部分を抽出し、その抽出された部分と同じ位置またはそれの近傍位置に、前記複数人のユーザが共通に示す関心の対象が存在すると推定する関心対象推定部と
を含む移動ルート解析システム。
【0041】
ここに、「閉じた空間」としては、例えば、複数の商品が陳列されている店舗、複数の作品が展示されている展示室や博物館、美術館などがある。
【0042】
(12) 閉じた空間内における複数人の移動ルートを解析するシステムであって、
前記閉じた空間内に空間離散的に設置された複数の発信機であって、各発信機は、固有の発信機IDを表す信号を発信するものと、
複数人のユーザによって携行される複数の通信端末であって、それぞれ、各発信機から信号を近距離無線通信方式で受信可能なものと、
前記複数の通信端末と通信可能な管理サーバと
を含み、
各ユーザの通信端末は、いずれかの発信機から信号を受信すると、その信号によって表される発信機IDと、当該通信端末の識別情報またはそのユーザの識別情報である端末/ユーザIDとを前記管理サーバに送信する送信部を含み、
前記管理サーバは、
各通信端末から前記発信機IDと前記端末/ユーザIDとを受信する受信部と、
その受信した発信機IDを、各通信端末が当該管理サーバに送信した送信時刻または当該管理サーバが各通信端末から受信した受信時刻と、前記端末/ユーザIDとに関連付けてメモリに保存する保存部と、
発信機IDと空間座標値との間の予め定められた関係であって前記メモリに保存されているものに従い、各ユーザごとに、前記メモリに保存されている複数の発信機IDの時刻歴を、それに対応する複数の発信機の設置位置を表す複数の空間座標値の時刻歴に変換し、各ユーザごとに、前記複数の空間座標値の時刻歴から、各ユーザが実際に利用した移動ルートを推定する移動ルート推定部と、
各ユーザごとに、前記推定された移動ルートに対応する複数の発信機IDに関連付けて前記メモリに保存されている複数の送信時刻または受信時刻間の時間差から、前記移動ルートのうち、当該ユーザの移動速度が基準値より低い部分をボトルネックとして抽出するボトルネック抽出部と
を含む移動ルート解析システム。
【0043】
ここに、「閉じた空間」としては、例えば、複数の商品が陳列されている店舗、複数の作品が展示されている展示室や博物館、美術館や、組織のもとに相互に連携する複数の部署が空間離散的に存在する事業体(例えば、会社、工場、病院、役所、生産現場など)などがある。
【0044】
(13) 災害時に建物から複数人の脱出希望者が安全に脱出するためのルートを案内する方法であって、
当該方法は、
前記建物内に空間離散的に設置された複数の発信機であって、各発信機は、固有の発信機IDを表す識別信号を発信するものと、
複数人の脱出希望者によって携行される複数の通信端末であって、それぞれ、各発信機から識別信号を近距離無線通信方式で受信可能なものと、
前記複数の通信端末と通信可能な管理サーバと
を用いて実行され、
当該方法は、
各脱出希望者の通信端末が、いずれかの発信機から信号を受信すると、その信号によって表される発信機IDと、当該通信端末の識別情報またはそのユーザの識別情報である端末/ユーザIDとを前記管理サーバに送信する送信工程と、
前記管理サーバが、各通信端末から前記発信機IDと前記端末/ユーザIDとを受信する受信工程と、
前記管理サーバが、その受信した発信機IDを、各通信端末が当該管理サーバに送信した送信時刻または当該管理サーバが各通信端末から受信した受信時刻と、前記端末/ユーザIDとに関連付けてメモリに保存する保存工程と、
前記管理サーバが、発信機IDと空間座標値との間の予め定められた関係であって前記メモリに保存されているものに従い、各脱出希望者ごとに、前記メモリに保存されている複数の発信機IDの時刻歴を、それに対応する複数の発信機の設置位置を表す複数の空間座標値の時刻歴に変換し、各脱出希望者ごとに、前記複数の空間座標値の時刻歴から、各脱出希望者が実際に利用した避難ルートを推定する避難ルート推定工程と、
前記管理サーバが、複数人の脱出希望者がそれぞれ個別に利用したと推定される複数の避難ルートのうち、互いに場所的に共通する部分を、それら脱出希望者が共通に利用した成功脱出ルートとして推定する成功脱出ルート推定工程と
を含む災害時脱出ルート案内方法。
【0045】
(14) 閉じた空間内における複数人の移動ルートを解析する方法であって、
当該方法は、
前記閉じた空間内に空間離散的に設置された複数の発信機であって、各発信機は、固有の発信機IDを表す信号を発信するものと、
複数人のユーザによって携行される複数の通信端末であって、それぞれ、各発信機から信号を近距離無線通信方式で受信可能なものと、
前記複数の通信端末と通信可能な管理サーバと
を用いて実行され、
当該方法は、各ユーザの通信端末が、いずれかの発信機から信号を受信すると、その信号によって表される発信機IDと、当該通信端末の識別情報またはそのユーザの識別情報である端末/ユーザIDとを前記管理サーバに送信する送信工程と、
前記管理サーバが、各通信端末から前記発信機IDと前記端末/ユーザIDとを受信する受信工程と、
前記管理サーバが、その受信した発信機IDを、各通信端末が当該管理サーバに送信した送信時刻または当該管理サーバが各通信端末から受信した受信時刻と、前記端末/ユーザIDとに関連付けてメモリに保存する保存工程と、
前記管理サーバが、発信機IDと空間座標値との間の予め定められた関係であって前記メモリに保存されているものに従い、各ユーザごとに、前記メモリに保存されている複数の発信機IDの時刻歴を、それに対応する複数の発信機の設置位置を表す複数の空間座標値の時刻歴に変換し、各ユーザごとに、前記複数の空間座標値の時刻歴から、そのユーザが実際に利用した移動ルートを推定する移動ルート推定工程と、
前記管理サーバが、前記複数人のユーザがそれぞれ個別に利用したと推定される複数の移動ルートのうち、互いに場所的に共通する部分を抽出し、その抽出された部分と同じ位置またはそれの近傍位置に、前記複数人のユーザが共通に示す関心の対象が存在すると推定する関心対象推定工程と
を含む移動ルート解析方法。
【図面の簡単な説明】
【0046】
図1図1は、本発明の例示的な一実施形態に従う災害時脱出ルート案内システムを示す全体系統図である。
図2図2(a)は、図1に示す建物を示す部分透明斜視図であり、図2(b)は、図2(a)に示す建物のうちの2か所の玄関と2か所の階段と2階フロアとを取り出して示す平面図である。
図3図3は、図1に示す建物内のある部屋を、それの縦壁に複数の発信機が設置されている状態で示す部分斜視図である。
図4図4は、図1に示す各発信機を示す機能ブロック図である。
図5図5は、図1に示す各携帯端末を示す機能ブロック図である。
図6図6は、図5に示す携帯端末のコンピュータによって実行される発信機ID送信プログラムを概念的に表すフローチャートである。
図7図7(a)−図7(f)は、図6に示す発信機IDプログラムのうち、発信機から受信した信号を処理する部分を説明するために、複数種類の受信エリアを示す概念図および信号処理アルゴリズムを説明するためのタイムチャートである。
図8図8は、図1に示す管理サーバを示す機能ブロック図である。
図9図9は、図1に示す管理サーバを示す別の機能ブロック図であって、特に当該管理サーバのソフトウエア構成を表すものである。
図10図10は、図9に示す管理サーバのメモリに予め保存されている発信機IDと空間座標値とフロア階数との関係(変換テーブル)を概念的に表形式で表す図である。
図11図11(a)は、図9に示す管理サーバのメモリに一時的に保存される複数の受信地点の時刻歴の一例を概念的に表形式で表す図であり、図11(b)は、図11(a)に示す複数の受信地点の時刻歴から変換された複数の移動ベクトルの時刻歴の一例を概念的に表形式で表す図である。
図12図12(a)は、図11(a)に示す複数の受信地点の時刻歴を3次元空間上で受信地点列として表す概念図であり、図12(b)は、図11(b)に示す複数の移動ベクトルの時刻歴を3次元空間上で移動ベクトル列として表す概念図である。
図13図13(a)は、同じ建物について取得された3本の移動ベクトル列をxy平面上で表現する図であり、図13(b)は、図13(a)に示す3本の移動ベクトル列のうちの重複部分を先行する避難フェーズ1の成功脱出ルートとしてxy平面上で表現する図であり、図13(c)は、後続する避難フェーズ2の成功脱出ルートをxy平面上で表現する図である。
図14図14(a)は、避難フェーズ1において、図9に示す管理サーバのメモリに一時的に、各フロアごとに保存される成功脱出ルートと脱出困難度との関係(避難誘導情報)を概念的に表形式で表す図であり、図14(b)は、避難フェーズ2における前記関係(避難誘導情報)を概念的に表形式で表す図である。
図15図15は、図8に示す管理サーバのコンピュータによって実行される受信処理プログラムを概念的に表すフローチャートである。
図16図16は、図8に示す管理サーバのコンピュータによって実行される避難ルート推定プログラムを概念的に表すフローチャートである。
図17図17は、図8に示す管理サーバのコンピュータによって実行される成功脱出ルート推定プログラムを概念的に表すフローチャートである。
図18図18は、図8に示す管理サーバのコンピュータによって実行される脱出困難度推定プログラムを概念的に表すフローチャートである。
図19図19は、図8に示す管理サーバのコンピュータによって実行される送信処理プログラムを概念的に表すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0047】
以下、本発明のさらに具体的で例示的な複数の実施の形態のうちの一つを図面に基づいて詳細に説明する。
【0048】
図1には、本発明の一実施形態に従う災害時脱出ルート案内システム(以下、単に「システム」という。)10が全体系統図で示されている。このシステム10は、閉じた空間内における複数人の移動ルートまたは人流を解析する技術に関し、具体的には、災害時に建物12から複数人の脱出希望者が安全に脱出するためのルートを案内する技術に関する。
【0049】
<システム全体の構成について>
【0050】
概略的には、図1に示すように、このシステム10は、建物12内に空間離散的に設置された複数の発信機30でと、複数人の脱出希望者によって携行される複数の携帯端末(前記「通信端末」の一例)90と、遠隔地にある管理センタ40によって運営・管理され、複数の携帯端末90と通信可能な管理サーバ50とを有する。
【0051】
複数の発信機30と複数の携帯端末90とは、近距離無線通信方式で一方向に接続されるのに対し、複数の携帯端末90と管理サーバ50とは、インターネットなどのグローバルネットワークを介して、遠距離無線通信方式で双方向に接続される。
【0052】
<建物について>
【0053】
図2(a)に示すように、建物12の一例は、二階建てである。図2(b)に示すように、建物20の1階部分13には、第1玄関14および第2玄関15と、第1階段16および第2階段17とが存在する。建物20の2階部分20には、4つの部屋21,22,23,24と、第1廊下25および第2廊下26とが存在する。
【0054】
さらに、図2(b)に示すように、建物12内には、火災報知器28が複数個所に設置され、さらに、建物12の外部に、災害監視システム29が設置されている。火災報知器28は、建物12内での出火を検知し、一方、災害監視システム29は、建物12外での出火(例えば、外壁、庭、隣地などでの出火)を検知する。
【0055】
図1に示すように、建物12内には、複数の発信機30が設置される。図3に例示するように、建物12内のある部屋(例えば、部屋22)の縦壁に複数の発信機30が空間離散的に設置される。それら発信機30は、建物12の内部のうち、脱出希望者が利用することが想定される複数の通路(各玄関14,15内のスペース、各廊下25,26、各部屋21−24内のスペースなど)のすべてに空間離散的に設置される。各発信機30は、縦壁に設置されても、天井に設置されても、フロア上に設置されても、天井から吊られた状態で設置されてもよい。
【0056】
さらに、いくつかの発信機30は、各玄関14,15の外壁に設置される。それら発信機30は、脱出希望者が確実にいずれかの玄関14,15から脱出したことを確認するために用いることが可能である。
【0057】
<発信機について>
【0058】
図4に示すように、各発信機30は、固有の信号を発信し、その固有の信号は、固有の発信機IDを表す。各発信機30が、建物12のうちのいずれの位置に設置されているのかは既知であるため、発信機IDにその設置位置すなわち空間座標値(x,y,z)が予め割り当てられる。
【0059】
まず、概念的に説明するに、発信機30は、固有の発信機IDを識別し得る識別信号を局地的に発信する非接触式または接触(近接)式の通信デバイスである。
【0060】
次に、作動方式を説明するに、発信機30は、固有の識別信号を外部からのトリガ信号を要することなく能動的に、局地的に、かつ、供給電力が不足しない限り永続的に発信する。
【0061】
発信機30は、一般に、識別信号としてのビーコン信号を発信するビーコン装置、無線標識などの名称でも知られている装置である。この発信機30は、一例においては、原信号を変調することにより、対応する発信機IDを表す識別信号を生成し、その生成された識別信号を、IR信号、Bluetooth(登録商標)信号、NFC(近距離無線通信)信号などとして局地的に発信する。
【0062】
次に、図4を参照してハードウエア構成を説明するに、発信機30は、プロセッサ100およびそのプロセッサ100によって実行される複数のアプリケーションを記憶するメモリ102を有するコンピュータ104を主体として構成されている。
【0063】
この発信機30は、さらに、電源としての交換可能な使い捨て電池106を有している。電池106に代えて、充電可能な電池を採用したり、外部電源としての商用電源または太陽電池を採用することが可能である。
【0064】
外部電源として太陽電池を採用する場合、昼間に太陽電池を用いて発電された電気エネルギーのうち余剰のものをバッテリに蓄積し、夜間には、そのバッテリから電池エネルギーを取り出して発信機30を作動させてもよい。
【0065】
この発信機30は、さらに、識別信号を生成して発信する発信部108を有している。その発信部108は、電池106によって作動させられるとともに、コントローラ110によって制御される。そのコントローラ110は、コンピュータ100によって制御される。
【0066】
発信機30のソフトウエア構成を説明するに、プロッサ100は、発信機IDが反映されるように、原信号(例えば、搬送信号)を変調するための信号をコントローラ110に対して出力する。そのコントローラ110は、発信部108を制御し、その結果、発信部108は、今回発信すべき識別信号を生成する。その後、その生成された識別信号が発信部108から発信される。
【0067】
<携帯端末について>
【0068】
脱出希望者(ユーザ)の携帯端末90は、ユーザによって携帯されるとともに無線通信機能を有するデバイス、例えば、携帯電話機、スマートフォン、ラップトップ型コンピュータ、タブレット型コンピュータ、PDAなどである。また、携帯端末90は、ユーザの通信端末の一例であり、その通信端末は、ユーザによって携帯されないもの、例えば、車載通信端末でもよい。
【0069】
次に、図5を参照して携帯端末90のハードウエア構成を説明するに、携帯端末90は、プロセッサ130およびそのプロセッサ130によって実行される複数のプログラム(「アプリケーション」ともいう)を記憶するメモリ132を有するコンピュータ134を主体として構成されている。
【0070】
この携帯端末90は、さらに、情報を表示する表示部(例えば、液晶ディスプレイ)136と、発信機30および管理サーバ50からの信号を受信する受信部138と、信号を生成してその信号を管理サーバ50に送信する送信部140とを有する。ここに、受信部138は、センサ26の送波器27からの電磁波を感知する部分であるとともに、発信機30からの識別信号を感知する部分でもある。
【0071】
この携帯端末90は、さらに、ユーザからデータやコマンドを入力するための入力部150を有する。その入力部150は、例えば、所望の情報(例えば、コマンド、データなど)を携帯端末90に入力するためにユーザによって操作可能な操作部を有する。その操作部としては、ユーザによって操作可能なアイコン(例えば、仮想的なボタン)を表示するタッチスクリーン、ユーザによって操作可能な物理的な操作部(例えば、キーボード、キーパッド、ボタンなど)、音声を感知するマイクなどがあるが、これらに限定されない。
【0072】
この携帯端末90は、さらに、GPS(衛星測位システム)受信機152を有する。GPS受信機152は、よく知られているように、複数のGPS衛星から複数のGPS信号を受信し、それらGPS信号に基づき、GPS受信機152の地球上における位置(緯度、経度および高度)を三角測量によって測定する。
【0073】
この携帯端末90は、さらに、自身の加速度を検出する加速度センサ154を内蔵している。その加速度センサ154は、携帯端末90に搭載されているため、携帯端末90と一体的に振動し、その結果、加速度センサ154自体に作用する加速度を、携帯端末90およびそれを携帯しているユーザに作用する加速度と等価なものとして検出する。
【0074】
ここで、この発信機30に関連付けてユーザの携帯端末90の一機能を説明するに、その携帯端末90は、発信機30から識別信号を受信している状態で、その携帯端末90のコンピュータに予めインストールされているあるプログラム、すなわち、発信機処理のための専用アプリケーション(以下、「発信機用アプリケーション」という。)を起動させる(ログイン)と、前記受信した識別信号を復調し、それにより、前記発信機IDを解読する。携帯端末90は、さらに、その解読された発信機IDをユーザIDまたは端末ID(デバイスID)と共に管理サーバ50に送信する。
【0075】
さらに、携帯端末90は、発信機30から識別信号を受信している状態で、前記発信機用アプリケーションを起動させると、前記受信した識別信号(例えば、その識別信号の強度)に基づき、その識別信号を発信したときの発信機30の位置と、その識別信号を受信したときの携帯端末90の位置との間の距離を測定することも行う。
【0076】
すなわち、携帯端末90は、発信機30から受信した識別信号に基づき、その発信機30が実際に設置されている車室22に固有の発信機IDと、そのときの発信機30との距離との双方を獲得するようになっているのである。
【0077】
<発信機の受信レンジ>
【0078】
発信機30には、みかけ上、2種類の受信エリアが割り当てられる。それらは、受信可能エリアと有効受信エリア(以下、「受信レンジ」または「受信圏」ともいう。)である。
【0079】
それらエリアは、いずれも、発信機30の設置位置を中心とする1つの円で概して画定される。受信圏のいくつかの例が、図7(a)および図7(d)に示されている。
【0080】
発信機30の受信可能エリアは、最大受信半径(例えば、約50m)を有するのに対し、有効受信エリアは、有効受信半径(例えば、0mから約50mまでの範囲内の任意の値)を有する。最大受信半径は不変値であるのに対し、有効受信半径は、後述のように、携帯端末90によって随時設定可能な可変値である。
【0081】
受信可能エリアは、発信機30の電力供給が正常である場合に、発信機30からの識別信号が到達可能なエリア、すなわち、そのエリア内に存在する限り、携帯端末90がその識別信号を受信可能なエリアを意味する。
【0082】
これに対し、有効受信エリアは、受信可能エリアの最大受信半径より小さい有効受信半径を有している。最大受信半径は、任意に設定することが不可能であるのに対し、有効受信半径は、携帯端末90においてソフト的に任意に設定することが可能である。
【0083】
すなわち、最大受信半径は、ハードウエアによって決まる受信限度を意味するのに対し、有効受信半径は、ソフトウエアによって決まる受信限度を意味するということが可能なのである。
【0084】
前述のように、携帯端末90は、それが受信した識別信号の強度に基づき、発信機30との距離を測定する。その距離測定値は、有効受信半径を超えることもあれば、超えないこともある。そして、その距離測定値が受信有効半径を超えないときは、携帯端末90が有効受信エリア内に存在するときであるのに対し、その距離測定値が受信有効半径を超えるときは、携帯端末90が受信可能エリア内には存在するが有効受信エリア内には存在しないときである。
【0085】
本実施形態においては、発信機30の受信レンジが、例えば、半径が約1m−5mの円形領域であるように設定される。すなわち、携帯端末90内において使用される受信有効半径が約1m−5m内の固定値に設定されるのである。
【0086】
携帯端末90内において受信有効半径は変化しないが、実際には、携帯端末90との距離が同じであっても、識別信号の受信強度が外乱等によって変動してしまう。そのため、見かけ上、図7(a)および図7(d)に例示するように、受信圏の半径が変動してしまう。ここで、その見かけ受信圏は、受信強度の変動誤差を有効受信半径の変動として表現した場合のその有効受信半径を有する受信圏を意味する。
【0087】
図6には、携帯端末90のコンピュータ134によって実行される発信機ID送信プログラムが概念的にフローチャートで表されている。また、図7(a)−図7(f)は、図6に示す発信機IDプログラムのうち、携帯端末90が、発信機30から受信した信号を処理する部分を説明するために、複数種類の受信エリアを示す概念図および信号処理アルゴリズムを説明するためのタイムチャートである。
【0088】
前記発信機ID送信プログラムの説明に先立ち、前記信号処理アルゴリズムを説明する。
【0089】
図7(a)−図7(c)は、前記見かけ受信圏が正規受信圏(前記有効受信半径を忠実に反映した受信圏)と一致する場合において、一列に並んだ3個の発信機30から受信した信号から発信機IDを抽出する様子を示している。
【0090】
本実施形態においては、それら発信機30間の間隔が、例えば、正規受信圏が相互にオーバーラップしないように設定される。例えば、有効受信半径が2mに設定される場合には、発信機間間隔が、2m×2より長い距離、例えば、5mに設定される。
【0091】
図7(a)に示すシナリオにおいては、ユーザが携帯端末90を持って、3個の発信機A,B,Cを左側から右側に定速で歩行すると、図7(b)に示すように、携帯端末90が受信する信号(以下、単に「受信信号」という。)によって表される発信機IDが、オーバーラップする期間を経過することなく、むしろ、空白の期間を経過するように、時間と共に変化する。
【0092】
これに対し、本実施形態においては、図7(c)に示すように、発信機IDの空白期間が発生しないように、すなわち、発信機IDがシームレスで変化するように、信号処理される。具体的には、例えば、発信機30からの受信信号が消滅すると、直前に存在していた受信信号によって表される発信機IDが、現在の発信機IDとみなされる。その結果、ある発信機IDの受信期間と別の発信機IDの受信期間との間に空白期間が出現せずに済む。
【0093】
本実施形態においては、携帯端末90が、発信機IDが切り換わるごとに、その発信機IDを管理サーバ50に送信するため、その管理サーバ50は、発信機IDが切り換わるごとに、受信時刻を計測することになる。すなわち、携帯端末90は、発信機IDが切り換わるか否かを問わず、定期的に発信機IDを管理サーバ50に送信するわけではないのである。これにより、携帯端末90の送信負荷が軽減され、同時に、管理サーバ50の受信負荷が軽減される。
【0094】
これに対し、図7(d)−図7(f)は、前記見かけ受信圏が正規受信圏と一致せず、しかも、正規受信圏より拡大して隣の受信圏とオーバーラップした場合において、一列に並んだ3個の発信機30から受信した信号から発信機IDを抽出する様子を示している。
【0095】
図7(d)に示すシナリオにおいては、ユーザが携帯端末90を持って、3個の発信機A,B,Cを左側から右側に定速で歩行すると、図7(e)に示すように、携帯端末90が受信する信号によって表される発信機IDが、オーバーラップする期間、すなわち、混信が発生する期間を経過して、時間と共に変化する。
【0096】
これに対し、本実施形態においては、図7(f)に示すように、発信機IDのオーバーラップ期間が発生しないように、すなわち、常に1個の発信機IDしか存在しないように、信号処理される。具体的には、例えば、受信信号の混信が発生すると、新たな発信機IDのみ有効とされ、古い発信機IDが無効にされる。その結果、ある発信機IDの受信期間と別の発信機IDの受信期間との間にオーバーラップ期間が出現せずに済む。
【0097】
ここで、図6を参照して前記発信機ID送信プログラムを説明する。
【0098】
このプログラムは、携帯端末90に電源が投入されると、1)無条件で、自動的に実行が、例えばバックグラウンドで、開始されるか、2)携帯端末90が前記GPSを用いて測位した現在位置が建物12と合致することを携帯端末90が検知したことを条件に、自動的に実行が開始されるか、3)携帯端末90が管理サーバ50から起動指令(管理サーバ50が建物12に災害が発生したことを検知するとそれに応答して管理サーバ50が起動指令を送信する場合)を受信するとそれに応答して自動的に実行が開始されるか、または、4)ユーザからの起動指令に応答して手動的に実行が開始される。
【0099】
いずれにしても、このプログラムは、携帯端末90のコンピュータ134によって繰返し実行される。各回の実行時には、まず、ステップS61において、受信部138がいずれかの発信機30からの信号を受信したか否かが判定される。受信しなかった場合には、ステップS62において、このプログラムの前回の実行時に発信機30から取得された前回の発信機ID(i−1)が0であったか否かが判定される。この判定がYESであれば、ステップS63において、今回の発信機ID(i)が0に設定され、それにより、発信機IDが0にホールドされる。以上で、このプログラムの今回の実行が終了する。
【0100】
これに対し、ステップS62の判定がNOであれば、ステップS64において、今回の発信機ID(i)が前回の発信機ID(i−1)と同じものに設定される。それにより、発信機IDが前回の発信機ID(i−1)にホールドされ、発信機IDの空白期間の発生が防止される。
【0101】
その後、ステップS69において、今回の発信機ID(i)が前回の発信機ID(i−1)とは異なるか否か、すなわち、発信機IDがシフトしたか否かが判定される。今回は、そのシフトは存在しないから、判定がNOとなり、管理サーバ50との送信を行うステップS70がスキップされる。以上で、このプログラムの今回の実行が終了する。
【0102】
これに対し、受信部138がいずれかの発信機30からの信号を受信した場合には、ステップS61の判定がYESとなり、続いて、ステップS66において、その受信した信号から今回の発信機ID(i)が取得される。その後、ステップS67において、今回は、受信部138が複数の発信機30から信号を同時に受信したために複数の発信機ID(i)が存在するか否かが判定される。今回は、1個の発信機ID(i)しか存在しないと仮定すれば、その判定がNOとなり、続いて、ステップS68において、その1個の発信機ID(i)が正規に採用される。
【0103】
その後、ステップS65において、今回の発信機ID(i)が前回の発信機ID(i−1)とは異なるか否か、すなわち、発信機IDがシフトしたか否かが判定される。今回は、そのシフトは存在しないと仮定すると、判定がNOとなり、ステップS70がスキップされる。以上で、このプログラムの今回の実行が終了する。
【0104】
これに対し、今回は、そのシフトは存在すると仮定すると、判定がYESとなり、ステップS70において、今回の発信機ID(i)が、当該携帯信端末90ののユーザの識別情報であるユーザID(当該携帯信端末90の端末IDでもよい)と共に、管理サーバ50に送信される。以上で、このプログラムの今回の実行が終了する。
【0105】
これに対し、今回は、受信部138が複数の発信機30から信号を同時に受信したために複数の発信機ID(i)が存在すると仮定すると、ステップS67の判定がYESとなり、ステップS70において、複数の発信機ID(i)(通常であれば、2個の発信機ID(i))のうち、前回の発信機ID(i−1)とは異なるものが、今回の発信機ID(i)として採用される。その結果、発信機IDのオーバーラップ期間の発生が防止される。その後、ステップS65に移行する。
【0106】
<管理サーバについて>
【0107】
次に、管理サーバ50のハードウエア構成を説明するに、図8には、管理サーバ50が機能ブロック図で表されている。管理サーバ50は、プロセッサ160およびそのプロセッサ160によって実行される複数のアプリケーションを記憶するメモリ162を有するコンピュータ164を主体として構成されている。
【0108】
この管理サーバ50は、さらに、情報を表示する表示部(例えば、液晶ディスプレイ)166と、携帯端末90からの信号を受信する受信部168と、信号を生成してその信号を携帯端末90に送信する送信部170と、時計172とを有する。この管理サーバ50は、発信機30からの受信を直接的には行わず、事実上、携帯端末90を介して行うことになる。
【0109】
図9には、管理サーバ50のうちの特にソフトウエア構成が別の機能ブロック図で表されている。管理サーバ50は、避難誘導情報の生成および拡散のため、概略的には、建物12の各フロアごとに、かつ、逐次反復的にリアルタイムで、各脱出希望者ごとに実際の避難ルートを探索し、複数人の脱出希望者がそれぞれ個別に利用したと推定される複数の避難ルートのうち、互いに場所的に共通する部分を、それら脱出希望者が共通に利用した成功脱出ルートとして推定する。
【0110】
この機能を実現するために、図9に示すように、管理サーバ50は、各携帯端末90の送信部140から発信機IDとユーザIDとを受信する受信部200と、その受信した発信機IDを、管理サーバ50が各携帯端末90から受信した受信時刻と、前記ユーザIDとに関連付けてメモリ162に保存する保存部202とを有する。
【0111】
図9に示すように、管理サーバ50は、さらに、発信機IDと空間座標値との間の予め定められた関係(変換テーブル)であってメモリ162に保存されているものに従い、各脱出希望者ごとに、メモリ162に保存されている複数の発信機IDの時刻歴を、それに対応する複数の発信機の設置位置(受信地点)を表す複数の空間座標値の時刻歴に変換し、各脱出希望者ごとに、前記複数の空間座標値の時刻歴から、各脱出希望者が実際に利用した避難ルートを推定する避難ルート推定部204を有する。
【0112】
図10には、前記関係(変換テーブル)が概念的に表されている。この関係に従えば、1個の発信機IDから、1個の空間座標値であってその発信機IDが割り当てられている1個の発信機30が建物12に設置されている空間位置を取得でき、さらに、その発信機30が建物12に設置されているフロアの階数も取得できる。
【0113】
したがって、この変換テーブルを参照すれば、複数の発信機IDの時刻歴を、それに対応する複数の発信機の設置位置を表す複数の空間座標値の時刻歴に変換できる。
【0114】
図11(a)には、脱出希望者ごとにメモリ162に一時的に保存される複数の空間座標値の時刻歴、すなわち、複数の受信地点の時刻歴の一例がデータとして表されている。また、図11(b)には、脱出希望者ごとに、図11(a)に示す複数の受信地点の時刻歴(離散データ)から変換された複数の移動ベクトルの時刻歴(連続データ)、すなわち、脱出希望者が実際に利用したと推定される避難ルートがデータとして表されている。
【0115】
図12(a)には、図11(a)に示す複数の受信地点の時刻歴が3次元空間上で受信地点列(離散データ)として表されている。この図に示す受信地点列においては、第1廊下25に相当する部分受信地点列と、第1階段16に相当する部分受信地点列と、第1玄関14に相当する部分受信地点列とが一列に順に並んでいる。
【0116】
図12(b)には、図11(b)に示す複数の移動ベクトルの時刻歴が3次元空間上で移動ベクトル列(連続データ)として表されている。この図に示す移動ベクトル列においては、第1廊下25に相当する部分移動ベクトル列と、第1階段16に相当する部分移動ベクトル列と、第1玄関14に相当する部分移動ベクトル列とが一列に順に並んでいる。
【0117】
図9に示すように、管理サーバ50は、さらに、複数人の脱出希望者がそれぞれ個別に利用したと推定される複数の避難ルートのうち、互いに場所的に共通する部分を、それら脱出希望者が共通に利用した成功脱出ルートとして推定する成功脱出ルート推定部206を有する。
【0118】
図13(a)には、建物12について取得された例示的な3本の移動ベクトル列が、説明の便宜上、xy平面上で表現されている。また、図13(b)には、図13(a)に示す3本の移動ベクトル列のうちの重複部分が、先行する避難フェーズ1(ある時刻t1)の成功脱出ルートとしてxy平面上で表現されている。その例示的な成功脱出ルートは、第1廊下25に相当するセグメントと、第1階段16に相当するセグメントと、第1玄関14に相当するセグメントとを有する。また、図13(c)には、後続する避難フェーズ2(時刻t1より後の時刻t2)の例示的な成功脱出ルートがxy平面上で表現されている。その例示的な成功脱出ルートは、第1廊下25に相当するセグメントと、第2階段17に相当するセグメントと、第2玄関15に相当するセグメントとを有する。
【0119】
このように、成功脱出ルートは、建物12の損傷・被災の進捗に応じ、時々刻々変化する可能性がある。
【0120】
図9に示すように、管理サーバ50は、さらに、各脱出希望者ごとに、前記推定された成功脱出ルートに対応する複数の発信機30に関連付けてメモリ162に保存されている複数の受信時刻間の時間差から、前記成功脱出ルートに沿った各脱出希望者の移動速度を計算し、その計算された移動速度に基づき、前記成功脱出ルートを利用して前記建物から脱出する場合の困難度を推定する脱出困難度推定部208を有する。
【0121】
図9に示すように、管理サーバ50は、さらに、避難誘導情報を他の複数人の脱出希望者の複数の携帯端末90に配信し(ブロードキャストし)、それにより、避難誘導情報を複数人の脱出希望者の間で共有する送信部210(成功脱出ルート配信部を含む)を有する。
【0122】
図14に示すように、「避難誘導情報」は、各フロアごとに推定された成功脱出ルートと、各脱出ルートごとに推定された脱出困難度とを含んでいる。
【0123】
したがって、その避難誘導情報を取得した脱出希望者は、自身が今いるフロアから、どの場所を通過して建物12から脱出することが推奨されるのか、しかも、その脱出に際し、どの程度の準備および心構えが必要であるのか、どの程度混雑しているのかなどを避難誘導情報から、知得することが可能となる。
【0124】
図15には、管理サーバ50のコンピュータ164によって実行される受信処理プログラムが概念的にフローチャートで表されている。
【0125】
このプログラムは、携帯端末90のコンピュータ134によって繰返し実行される。各回の実行時には、まず、ステップS1501において、受信部168がいずれかの携帯端末90から信号(発信機IDとユーザID)を受信したか否かが判定される。受信がなければ、判定がNOとなり、このプログラムの今回の実行が終了する。
【0126】
これに対し、受信があれば、ステップS1501の判定がYESとなり、ステップS1502において、時計172を用いて現在時刻が受信時刻として計測される。続いて、ステップS1503において、前記受信した信号からユーザIDが抽出される。その後、ステップS1504において、前記受信した信号から発信機IDが抽出される。
【0127】
続いて、ステップS1505において、その抽出された発信機IDが、図10に例示する変換テーブルを参照することにより、対応する空間座標値(受信地点の位置を表すデータ)に変換される。その後、ステップS1506において、図11(a)に例示するように、メモリ162に、前記計測された受信時刻と、前記抽出された発信機IDと、前記変換によって取得された空間座標値とが、互いに関連付けて保存される。以上で、このプログラムの今回の実行が終了する。
【0128】
図16には、管理サーバ50のコンピュータ164によって実行される避難ルート推定プログラムが概念的にフローチャートで表されている。
【0129】
このプログラムは、携帯端末90のコンピュータ134によって繰返し実行される。各回の実行時には、まず、ステップS1601において、図9に示すように、火災報知器28および災害監視システム29のうちの少なくとも一方を監視することにより、建物12に災害が発生したか否かが判定される。災害は発生しなければ、判定がNOとなり、このプログラムの今回の実行が終了する。
【0130】
これに対し、建物12に災害が発生した場合には、ステップS1601の判定がYESとなり、ステップS1602において、複数人の脱出希望者(例えば、建物12の複数人の関係者として予め管理サーバ50に登録されているもの)のうち、このプログラムの今回の実行の対象となる1人(実行対象者)が今回の対象脱出希望者として選択される。
【0131】
続いて、ステップS1603において、図11(a)に示すように、メモリ162のうち、今回の対象脱出希望者に関連付けられているデータを読み出すことにより、図12(a)に示すように、複数の受信地点が時系列的に一列に並んだ時刻歴、すなわち、受信地点列が取得される。
【0132】
その後、ステップS1604において、その取得された受信地点列が、図11(b)および図12(b)に示すように、移動ベクトル列に変換される。その移動ベクトル列が、避難ルートを推定するデータである。
【0133】
このプログラムは、定期的に実行されるため、各脱出希望者の避難が時間と共に進み、避難ルートが次第に長くなるにつれて、移動ベクトル列も長くなる。
【0134】
受信地点列を移動ベクトル列に変換するためのアルゴリズムを具体的にかつ例示的に説明するに、図11に示す例においては、例えば、時刻t1のときの空間座標値P1と、後続する時刻t2のときの空間座標値P2から、P1を始点、P2を終点とする第1の移動ベクトルが生成される。次に、時刻t2のときの空間座標値P2と、後続する時刻t3のときの空間座標値P3から、P2を始点、P3を終点とする第2の移動ベクトルが生成される。
【0135】
この例においては、空間座標値P2が、第1の移動ベクトルと第2の移動ベクトルとに、両者間の接続点として共有される。その結果、図12(a)に示す離散データが、図12(b)に示す連続データに変換される。受信地点列から移動ベクトル列への変換処理は、受信地点列の補間処理として把握することも可能である。
【0136】
続いて、ステップS1605において、全脱出希望者が実行対象者として選択されたか否かが判定される。未だ実行対象者として選択されていない脱出希望者が存在する場合には、判定がNOとなり、ステップS1606において、別の脱出希望者が次回の実行対象者として選択される。その後、ステップS1603に戻る。
【0137】
ステップS1603−S1606の実行が、全脱出希望者について反復されると、ステップS1605の判定がYESとなり、ステップS1607において、全脱出希望者(全員分)について実際の避難ルートの推定が完了したと判定される。
【0138】
図17には、管理サーバ50のコンピュータ164によって実行される成功脱出ルート推定プログラムが概念的にフローチャートで表されている。
【0139】
このプログラムは、携帯端末90のコンピュータ134によって繰返し実行される。各回の実行時には、まず、ステップS1701において、全員分について避難ルートの推定が完了したか否かが判定される。完了しない場合には、判定がNOとなり、このプログラムの今回の実行が終了する。
【0140】
これに対し、前記推定が完了した場合には、ステップS1701の判定がYESとなり、ステップS1702において、各脱出希望者の避難ルートごとに、各脱出希望者がその避難ルートを利用しての脱出に成功したか否かが判定される。具体的には、例えば、各脱出希望者がいずれかの玄関14,15を通過して建物12から脱出したか否か、例えば、各脱出希望者ごとにメモリ162に保存されている複数の発信機IDの中に、玄関14,15の外側に設置されている発信機30に対応する発信機IDが存在するか否かが判定される。
【0141】
続いて、ステップS1703において、メモリ162に保存されている複数人の脱出希望者の複数の避難ルートのうち、脱出に成功したと判定されたものが、複数の対象避難ルートとして選択される。
【0142】
その後、ステップS1704において、選択された複数の対象避難ルートのうち重複部分(重複部分が複数箇所存在する場合には、それぞれ)が、成功脱出ルートとして抽出される。
【0143】
その重複部分を抽出するためのアルゴリズムの一例を説明する。
【0144】
第1ステップにおいて、複数の対象避難ルートを表す複数の移動ベクトル列をそれぞれ、建物12に固定された3次元直交座標系(x軸:縦軸、y軸:横軸,z軸:高さ軸)内において複数のドットの集まりに変換する。各ドットは、3次元座標値(x,y,z)によって表現される。すなわち、始点と終点から1つのベクトルを表現するベクトル・データが、そのベクトルを表す連続図形を複数のドット(ピクセル)の集まりとして表現した場合のそれぞれのドット(ピクセル)の位置を3次元的に表すビットマップデータに変換されるのである。
【0145】
第2ステップにおいて、そのようにして取得された複数のドットのうち、全員分の複数の移動ベクトル列の間で互いに実質的に一致する3次元座標値(誤差値が許容値以下である3次元座標値同士)を抽出する。
【0146】
第3ステップにおいて、そのようにして抽出された複数のドットを、1本の直線セグメント(1本の直線)または互いに直列に接続された複数本の直線セグメントより成る1本の直線セグメント列(1本の折れ線)に変換する。1本の直線セグメントまたは1本の直線セグメント列が、成功脱出ルートを表現する。
【0147】
第3ステップにおいて、建物12の複数の部位のうち、そのようにして取得された成功脱出ルートが通過するものを抽出する。例えば、図13(b)に示す成功脱出ルートの一例においては、第1玄関14が、その成功脱出ルートを簡潔に表現する用語として選択される。また、図13(c)に示す成功脱出ルートの一例においては、第2玄関15が、その成功脱出ルートを簡潔に表現する用語として選択される。
【0148】
ステップS1704が終了すると、ステップS1705において、そのようにして取得された成功脱出ルートが、対応するフロアに関連付けてメモリ162に保存される。例えば、図13(b)に示す成功脱出ルートは、1階部分13に設置された発信機30と、2階部分20に設置された発信機30とを用いて形成されたから、1階フロアと2階フロアとにそれぞれ関連付けられる。以上で、このプログラムの今回の実行が終了する。
【0149】
重複部分を抽出するためのアルゴリズムの別の例を説明する。
【0150】
メモリ162において、全員またはほぼ全員の間で共有される同じ発信機コードを共有発信機コードとして探索し、その探索された複数の共有発信機コードを受信時刻順(例えば、一人の脱出希望者についての複数の受信時刻を参照して複数の共有発信機コードの時刻歴を生成する)に並べ、それにより、成功脱出ルートを定義する。
【0151】
図18には、管理サーバ50のコンピュータ164によって実行される脱出困難度推定プログラムが概念的にフローチャートで表されている。
【0152】
このプログラムは、携帯端末90のコンピュータ134によって繰返し実行される。各回の実行時には、まず、ステップS1801において、最新の成功脱出ルートに属する複数の移動ベクトルの各々に沿って脱出希望者が移動したときの移動速度が個別移動速度として計算される。
【0153】
個別移動速度を計算するためのアルゴリズムを具体的に、図13(b)に示す成功脱出ルートを例にとって説明する、この成功脱出ルートは、6本の移動ベクトルによって定義され、それら移動ベクトルのうち最も上流側の移動ベクトルは、図13(a)に示すように、脱出希望者Aと、脱出希望者Bと、脱出希望者Cとの間で共有される。しかし、その移動ベクトルに沿って移動したときの各脱出希望者の移動速度は、互いに一致するとは限らない。
【0154】
例えば、脱出希望者Aについては、最も上流側の移動ベクトルは、受信時刻t3に取得された始点座標値P3と、受信時刻t4に取得された始点座標値P4とによって定義される。始点−終点間距離(=線分P3P4の長さ)を受信時刻の差(=t4−t3)で割り算した値が、この移動ベクトルについての個別移動速度である。同様にして、脱出希望者Bについても、同じ移動ベクトルにつき、個別移動速度が計算される。同様にして、脱出希望者Cについても、同じ移動ベクトルにつき、個別移動速度が計算される。
【0155】
最も上流側の移動ベクトルについては、それら3つの個別移動速度を平均化した値が、個別移動速度である。これと同様にして、他の各移動ベクトルについても個別移動速度が計算される。
【0156】
続いて、ステップS1802において、最新の成功脱出ルートに属する複数の移動ベクトルについてそれぞれ計算された複数の個別移動速度の合成値が合成移動速度として計算される。その合成移動速度は、重みなし平均値としたり、重み付き平均値とすることが可能である。
【0157】
その後、ステップS1803において、その計算された合成移動速度に基づき、脱出希望者が最新の成功脱出ルートを利用して脱出したときの困難度が推定される。
【0158】
例えば、合成移動速度の計算値が基準値以上である場合には、脱出が円滑に行われた可能性があるから、脱出時の困難度が低かったと推定される。これに対し、合成移動速度の計算値が、基準値より低い場合には、脱出が円滑に行われなかった可能性があるから、脱出時の困難度が高かったと推定される。
【0159】
続いて、ステップS1804において、その推定された困難度が、成功脱出ルートに関連付けてメモリ162に保存される。以上で、このプログラムの今回の実行が終了する。
【0160】
図19には、管理サーバ50のコンピュータ164によって実行される送信処理プログラムが概念的にフローチャートで表されている。
【0161】
このプログラムは、携帯端末90のコンピュータ134によって繰返し実行される。各回の実行時には、まず、ステップS1901において、メモリ162から、最新の成功脱出ルートを表す成功脱出ルート・データが読み出される。次に、ステップS1902において、メモリ162から、最新の脱出困難度を表す脱出困難度データが読み出される。続いて、ステップS1903において、それら読み出された成功脱出ルート・データおよび脱出困難度データにより、避難誘導情報が生成される。その後、ステップS1904において、その生成された避難誘導情報が送信部170からすべての脱出希望者の携帯端末90に送信される。以上で、このプログラムの今回の実行が終了する。
【0162】
ところで、このシステム10によれば、建物12に火災が発生した場合、消防隊員がその建物12に到着する前においては、その建物12内に滞在している複数人の脱出希望者が自力で建物12を脱出する活動が支援される。
【0163】
消防隊員が建物12、すなわち、火災の現場に到着すると、消防隊員は、建物12内に取り残されている生存者を探索して救出することに努める。このとき、消防隊員は、建物12内の危険な場所に進入することが必要となる可能性がある。
【0164】
このとき、消防隊員は、遠隔操作と自律航行とが可能なドローンであってカメラと通信機器とを搭載したものを先行させ、そのドローンに誘導してもらう。すなわち、消防隊員の前方に、ホバリング可能なドローンが飛行し、そのドローンのカメラで現場を撮影してその映像を消防隊員の携帯端末に送信する。これにより、消防隊員は、遠隔的に現場を撮影して、生存者の捜索および安全な進路の確保を、危険度を減らして行うことが可能となる。
【0165】
なお付言するに、上述のいくつかの実施形態は、本発明を、災害時における建物からの脱出支援という用途に適用したものであるが、他の用途に適用することが可能である。
【0166】
例えば、本発明を、閉じた空間内において、複数人のユーザ(携帯端末90のユーザ)がそれぞれ個別に利用したと推定される複数の移動ルートのうち、互いに場所的に共通する部分を抽出し、その抽出された部分と同じ位置またはそれの近傍位置に、前記複数人のユーザが共通に示す関心の対象が存在すると推定するという用途に適用することが可能である。
【0167】
この態様においては、複数人のユーザが共通に示す関心の対象が判明し、その判明結果を利用すれば、例えば、その対象が商品である場合には、その商品のマーケティング活動の活性化を支援できる。
【0168】
ここに、「閉じた空間」としては、例えば、複数の商品が陳列されている店舗、複数の作品が展示されている展示室や博物館、美術館、図書館などがある。
【0169】
本発明は、さらに、閉じた空間内において、各ユーザごとに、前記推定された移動ルートに対応する複数の発信機IDに関連付けて前記メモリに保存されている複数の送信時刻または受信時刻間の時間差から、前記移動ルートのうち、当該ユーザの移動速度が基準値より低い部分をボトルネックとして抽出するという用途に適用することが可能である。
【0170】
この態様において、閉じた空間内におけるボトルネックが抽出されれば、そのボトルネックが軽減ないしは消滅するように、人流や部署の配置、通路の改善を支援できる。
【0171】
ここに、「閉じた空間」としては、例えば、組織のもとに相互に連携する複数の部署が空間離散的に存在する事業体(例えば、会社、工場、病院、役所、生産現場など)などがある。
【0172】
さらに付言するに、本実施形態において、携帯端末90において実行されていた処理の全部または一部をその代わりに管理サーバ50において実行してもよいし、逆に、管理サーバ50において実行されていた処理の全部または一部をその代わりに携帯端末90において実行してもよい。実行されるべき処理がいずれのデバイスで実行されるのかは、そのときの事情、例えば、取り扱われるデータの量や種類、各デバイスの処理速度および記憶容量などによって決まるのが通常であるからである。
【0173】
以上、本発明の例示的な実施の形態のいくつかを図面に基づいて詳細に説明したが、これらは例示であり、前記[発明の概要]の欄に記載の態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変形、改良を施した他の形態で本発明を実施することが可能である。
【要約】
【課題】閉じた空間内における複数人の移動ルートからそれら複数人に共通の関心の対象を抽出する。
【解決手段】閉じた空間内に複数の発信機が設置され、複数人のユーザの複数の通信端末が、それぞれ、各発信機から信号を近距離無線通信方式で受信する。管理サーバが、各ユーザの通信端末から発信機IDをユーザIDに関連付けて受信してメモリに保存し、各ユーザごとに、そのメモリに保存されている複数の発信機IDの時刻歴を、それに対応する複数の発信機の設置位置を表す複数の空間座標値の時刻歴に変換し、各ユーザごとに、その時刻歴から、各ユーザの移動ルートを推定し、複数人のユーザの複数の移動ルートのうち互いに場所的に共通する部分を抽出し、その抽出された部分と同じ位置またはそれの近傍位置に、複数人のユーザが共通に示す関心の対象である関心対象が存在すると推定する。
【選択図】図15
図1
図2
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図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
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図18
図19