(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記伝熱促進構造は、前記中温部で、前記流通方向に交差する方向に並ぶ前記フィンにおける前記流通方向の長さ寸法が、前記高温部における前記フィンに比べて大きくなっている構造を有する請求項1から3のいずれか一項に記載の流体昇温装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、流体昇温装置については、さらなる小型化による省スペース化や軽量化が望まれている。ここで、流体昇温装置の冷媒は超臨界圧の状態で用いられる。超臨界圧流体は、臨界圧に近く過度に高い圧力でなければ、ある温度で定圧比熱が極大値をもつ。この温度を擬臨界温度といい、擬臨界温度付近では定圧比熱が大きいために、空気との間で熱交換が行われても冷媒の温度変化が小さい。冷媒が二酸化炭素の場合、圧力が10MPa〜12MPa程度とすると、擬臨界温度は45℃〜70℃程度となる。例えば、20℃の空気を120℃程度まで昇温させる場合、二酸化炭素はおおよそ130℃から40℃まで変化することになるが、その中間領域に擬臨界温度を含むことになる。
そのため、特許文献1のような熱交換器の構成の場合には、空気流れ方向の中間部において擬臨界温度付近の冷媒と熱交換することになるが、空気が冷媒温度に近づく一方、冷媒は温度変化が小さいために、空気と冷媒の温度差が小さくなる領域が表れ、熱交換を効率的に行わせることが難しい。このため必要な熱交換量を確保するためには、伝熱面積を大きくすることが必要となり、熱交換器が大型化してしまうという課題がある。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、効率的に熱交換を行って、小型化が可能な流体昇温装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は以下の手段を採用する。
本発明の第一の態様に係る流体昇温装置は、流体が流通するダクトと、前記ダクト内に配されて、前記流体の流通方向に交差する方向に互いに間隔をあけて並んだ複数のフィンを有して該フィン同士の間を前記流体が流通するとともに、該フィンが前記流通方向に積層される熱交換部と、前記熱交換部に前記流通方向の下流側から超臨界圧状態で流入して上流側から流出する冷媒が流通可能に、前記フィンに前記流通方向に交差する方向に貫通して設けられたチューブと、を備え、前記熱交換部は、前記流通方向の最下流側に配される高温部と、該高温部を流通した前記冷媒が流入して流通する中温部と、該中温部を流通した前記冷媒が流入して流通する低温部と、前記中温部での伝熱を促進させる伝熱促進構造とを備え
、前記伝熱促進構造は、前記中温部が前記低温部よりも前記流通方向の下流側に配置され、前記低温部を流通した後の前記流体が前記中温部を流通するとともに、前記中温部に前記低温部を流通しない前記流体を流入させるバイパス流路が設けられた構造を有している。
【0008】
このような流体昇温装置によると、ダクトを流通する流体が冷媒によって昇温される。この際、熱交換部の中温部には、超臨界圧状態で、高温部で熱交換を行った後の冷媒が流入する。このため、中温部に流入する冷媒の温度は、擬臨界温度付近となることがあり、この状態では流体と冷媒の温度差が小さくなって熱交換効率が低くなってしまう。ここで、熱交換部に中温部での伝熱を促進させる伝熱促進構造が設けられていることで、中温部での伝熱を促進し、熱交換効率を向上することができ、熱交換部を小型化することも可能となる。
また、このように伝熱促進構造としてバイパス流路が設けられていることで、中温部には、バイパス流路からの温度の低い流体と、低温部を通過することで低温部で冷媒と熱交換されて昇温された流体とが混合した流体が流入する。即ち、低温部を通過して昇温された流体より低い温度の流体が中温部に流入することになるため、中温部での流体と冷媒との温度差を大きくすることができ、熱交換効率を向上することができる。
【0009】
また、本発明の第二の態様に係る流体昇温装
置は、
流体が流通するダクトと、前記ダクト内に配されて、前記流体の流通方向に交差する方向に互いに間隔をあけて並んだ複数のフィンを有して該フィン同士の間を前記流体が流通するとともに、該フィンが前記流通方向に積層される熱交換部と、前記熱交換部に前記流通方向の下流側から超臨界圧状態で流入して上流側から流出する冷媒が流通可能に、前記フィンに前記流通方向に交差する方向に貫通して設けられたチューブと、を備え、前記熱交換部は、前記流通方向の最下流側に配される高温部と、該高温部を流通した前記冷媒が流入して流通する中温部と、該中温部を流通した前記冷媒が流入して流通する低温部と、前記中温部での伝熱を促進させる伝熱促進構造とを備え、前記伝熱促進構造は、前記中温部で、前記流通方向に交差する方向に並ぶ前記フィンの数量が前記高温部よりも多く、かつ、前記高温部と同じ間隔もしくは狭い間隔で前記フィンが並ぶ構造を有している。
【0010】
このような流体昇温装置によると、熱交換部における中温部に流入する冷媒の温度は、擬臨界温度付近となっており、この状態では流体と冷媒の温度差が小さくなり熱交換効率が低くなってしまう。ここで、中温部における流通方向に交差する方向のフィンの数量が多い(高温部フィンの数量が少ない)ことで、中温部で流体と冷媒の接触面積を大きくできる。従って、流体と冷媒との温度差が小さい中温部での伝熱を促進して熱交換効率を向上することができ、流通方向の熱交換部の長さ寸法を小さくでき、小型化を図ることが可能となる。
さらに、高温部で、流通方向に交差する方向のフィンの数量が少なくなっていることで、高温部へ冷媒が流入する時点での冷媒の温度を低くしたとしても、高温部を通過した後の流体の平均温度を高い状態に保つことができる。即ち、高温部を通過した後の流体において、流通方向に交差する方向の一方側と他方側での温度差を小さくできる。換言すると、流体昇温装置を通過して吹出される流体の温度を所定の温度に維持しつつ、高温部に流入する冷媒の温度を低くすることができる。従って、冷媒を超臨界圧状態とするために用いられる圧縮機からの冷媒の吐出温度を低くすることができ、圧縮機を含むシステム全体の信頼性の向上、及び、システム全体のCOP(Coefficient Of Performance)の向上につながる。
【0011】
また、本発明の第三の態様に係る流体昇温装置では、上記第
二の態様における前記伝熱促進構造は、
前記中温部が前記低温部と並列に配置され、これら前記中温部と前記低温部とに並列で前記流体が流通する構造を有していてもよい。
【0012】
このように
中温部と低温部とが並列に設けられていることで、中温部に、低温部の冷媒との熱交換を行う前の、より温度の低い流体を流入させることができる。このため、中温部で冷媒と流体との温度差を大きくすることが可能となり、中温部での伝熱を促進し、熱交換効率を向上することができ、熱交換部を小型化することが可能となる。
【0015】
また、本発明の第
四の態様に係る流体昇温装置では、上記第一から第
三のいずれかの態様における前記伝熱促進構造は、前記中温部で、前記流通方向に交差する方向に並ぶ前記フィンにおける前記流通方向の長さ寸法が、前記高温部における前記フィンに比べて大きくなっている構造を有していてもよい。
【0016】
このようにすることで、冷媒と流体との温度差が小さい熱交換部の中温部で、伝熱面積を大きくすることができ、この領域での熱交換効率を向上することができる。
【0017】
また、本発明の第
五の態様に係る流体昇温装
置は、
流体が流通するダクトと、前記ダクト内に配されて、前記流体の流通方向に交差する方向に互いに間隔をあけて並んだ複数のフィンを有して該フィン同士の間を前記流体が流通するとともに、該フィンが前記流通方向に積層される熱交換部と、前記熱交換部に前記流通方向の下流側から超臨界圧状態で流入して上流側から流出する冷媒が流通可能に、前記フィンに前記流通方向に交差する方向に貫通して設けられたチューブと、を備え、前記熱交換部は、前記流通方向の最下流側に配される高温部と、該高温部を流通した前記冷媒が流入して流通する中温部と、該中温部を流通した前記冷媒が流入して流通する低温部と、前記中温部での伝熱を促進させる伝熱促進構造とを備え、前記低温部で、前記流通方向に交差する方向に並ぶ前記フィンの数量が前記中温部と同じかもしくは少なく、かつ、前記中温部と同じ間隔もしくは広い間隔で前記フィンが並んでい
る。
【0018】
また、本発明の第
六の態様に係る流体昇温装
置は、
流体が流通するダクトと、前記ダクト内に配されて、前記流体の流通方向に交差する方向に互いに間隔をあけて並んだ複数のフィンを有して該フィン同士の間を前記流体が流通するとともに、該フィンが前記流通方向に積層される熱交換部と、前記熱交換部に前記流通方向の下流側から超臨界圧状態で流入して上流側から流出する冷媒が流通可能に、前記フィンに前記流通方向に交差する方向に貫通して設けられたチューブと、を備え、前記熱交換部は、前記流通方向の最下流側に配される高温部と、該高温部を流通した前記冷媒が流入して流通する中温部と、該中温部を流通した前記冷媒が流入して流通する低温部と、前記中温部での伝熱を促進させる伝熱促進構造とを備え、前記低温部で、前記流通方向に交差する方向に並ぶ前記フィンにおける前記流通方向の長さ寸法が、前記中温部における前記フィンに比べて同じかもしくは小さくなってい
る。
また、本発明の第七の態様に係る流体昇温装置は、流体が流通するダクトと、前記ダクト内に配されて、前記流体の流通方向に交差する方向に互いに間隔をあけて並んだ複数のフィンを有して該フィン同士の間を前記流体が流通するとともに、該フィンが前記流通方向に積層される熱交換部と、前記熱交換部に前記流通方向の下流側から超臨界圧状態で流入して上流側から流出する冷媒が流通可能に、前記フィンに前記流通方向に交差する方向に貫通して設けられたチューブと、を備え、前記熱交換部は、前記流通方向の最下流側に配される高温部と、該高温部を流通した前記冷媒が流入して流通する中温部と、該中温部を流通した前記冷媒が流入して流通する低温部と、前記中温部での伝熱を促進させる伝熱促進構造とを備え、前記伝熱促進構造は、前記中温部及び前記低温部が前記高温部よりも上流側に配置され、前記中温部が前記低温部と並列に配置され、これら前記中温部と前記低温部とに並列で前記流体が流通する構造を有している。
【発明の効果】
【0019】
上記の流体昇温装置によれば、熱交換部に伝熱促進部を設けることで、効率的に熱交換を行って、小型化が可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態に係る昇温装置1(流体昇温装置)について説明する。
〔第一実施形態〕
昇温装置1は、いわゆる熱風発生装置であって、圧縮機100で高温かつ超臨界圧状態とされた二酸化炭素C(冷媒)によって、空気A(流体)の昇温を行って、乾燥器等で用いる熱風を発生させる。熱風は、例えば80℃〜120℃程度の温度で昇温装置1から吹出される。
【0022】
図1及び
図2に示すように、この昇温装置1は、空気Aが流通するダクト5と、ダクト5内に配された熱交換器6とを備えている。
【0023】
ダクト5は、空気Aとして例えば外気や、他の装置からの排気を取り込んで流通させる流路を形成している。
ここで、ダクト5を流通する空気Aの流れる方向を流通方向D1とする。
【0024】
熱交換器6は、空気Aを昇温する熱交換部7と、熱交換部7へ二酸化炭素Cを流入させるチューブ8とを有している。
【0025】
熱交換部7は、ダクト5内に配されて、流通方向D1に交差する方向(以下、単に交差方向D2とする)に互いに等間隔で並んだ同一形状・同じ大きさのフィン11を複数有している。そしてこれら交差方向D2に一列に並ぶ複数のフィン11を有するフィン群10が、流通方向D1に複数積層されて構成されている。
各フィン11は、アルミニウムなどの金属材料によって同じ寸法に形成され、交差方向D2に隣り合うフィン11同士の間の空間を、空気Aが流通するようになっている。
【0026】
図2に示すように、熱交換部7は三つに分割されて構成されている。即ち、熱交換部7は、圧縮機100からの二酸化炭素Cが流入する高温部15と、高温部15を流通した後の二酸化炭素Cが流入する中温部16と、中温部16を流通した後の二酸化炭素Cが流入する低温部17を備えている。
【0027】
高温部15は、流通方向D1の最下流側に配置されている。
【0028】
中温部16は、高温部15の上流側に隣接して配置され、高温部15で空気Aと熱交換を行って、より低温となった二酸化炭素Cが流入して流通し、空気Aとの熱交換を行う。
なお、本実施形態では中温部16を流通する二酸化炭素Cは、擬臨界温度付近の状態となっており、熱交換を行っても、二酸化炭素Cの温度変化が小さい状態となっている。
【0029】
低温部17は、中温部16と流通方向D1におけるおおよそ同じ位置で、中温部16と並列に、中温部16及び高温部15と隣接して配置されている。そして中温部16で空気Aと熱交換を行ってより低温となった二酸化炭素Cが流入して流通し、空気Aとの熱交換を行う。
【0030】
このように、本実施形態の熱交換部7では、中温部16が低温部17と並列に配置され、これら中温部16と低温部17とに並列で空気Aが流通する。この並列構造は、二酸化炭素Cと熱交換を行う前のより低い温度の空気Aが、擬臨界温度付近の二酸化炭素Cとの温度差を大きく保った状態で中温部16に流入することで熱交換量を増大可能な伝熱促進構造19となっている。即ち、熱交換部7は、中温部16での伝熱を促進させる伝熱促進構造19を備えて構成されている。
【0031】
ここで、本実施形態の熱交換部7では、交差方向D2の寸法は、中温部16>高温部15>低温部17となっている。即ち、交差方向D2に並ぶフィン11の枚数(各フィン群10におけるフィン11の枚数)は、中温部16>高温部15>低温部17となっている。なお、流通方向D1の寸法は、本実施形態では中温部16、高温部15、低温部17ともに略同一寸法である。
【0032】
チューブ8は、熱交換部7における各フィン11を交差方向D2に貫通するようにして熱交換部7に設けられている。より具体的には、チューブ8は、高温部15、中温部16、及び低温部17でそれぞれ、一のフィン群10におけるフィン11を交差方向D2の一方側から他方側に向かって貫通して挿通されるとともに、他方側で流通方向D1の上流側に隣接するフィン群10のフィン11に貫通して挿通され、交差方向D2の一方側に向かって延びている。
【0033】
そしてチューブ8は、流通方向D1に隣接するフィン群10を次々に貫通しており、高温部15、中温部16、及び低温部17の各々において最も下流側のフィン群10における交差方向D2の一方側の端部を入口とし、最も上流側のフィン群10における交差方向D2の他方側の端部を出口として、入口から二酸化炭素Cを流入させ、出口から流出させる。
【0034】
さらに、本実施形態では、このチューブ8は、高温部15の出口と中温部16の入口、中温部16の出口と低温部17の入口とを接続し、高温部15の入口には圧縮機100の出口が接続されている。このようにして、圧縮機100で生成された高温かつ超臨界圧状態の二酸化炭素Cを流通方向D1の熱交換部7の下流側から流入させ、空気Aと熱交換を行った後に上流側から流出させる。
【0035】
このような昇温装置1によると、ダクト5を流通する空気Aが二酸化炭素Cとの熱交換によって昇温される。この際、熱交換部7の中温部16には、超臨界圧状態で高温部15で熱交換を行った後、擬臨界温度付近となった二酸化炭素Cが流入する。
【0036】
ここで、熱交換部7において中温部16と低温部17とが並列に配置された伝熱促進構造19が設けられていることで、二酸化炭素Cが擬臨界温度付近となっているために熱交換効率が低くなる中温部16に、二酸化炭素Cとの熱交換を行う前のより温度の低い空気Aを流入させることができる。
【0037】
このため、中温部16で二酸化炭素Cと空気Aとの温度差を大きくすることが可能となり、中温部16での伝熱を促進し、熱交換効率を向上することができる。従って、所定の熱交換能力を得ようとした場合に、熱交換部7を小型化することも可能となる。そしてこのように熱交換部7が小型化されることによって、流通方向D1に積層されるフィン群10の数を減らすことが可能となり、重量およびコストを抑えることが可能となる。
【0038】
本実施形態の昇温装置1によると、伝熱促進構造19を設けたことで、効率的に熱交換を行って熱風を発生させるとともに、装置全体の小型化が可能となる。
【0039】
〔第二実施形態〕
次に、
図3を参照して、本発明の第二実施形態について説明する。
第一実施形態と同様の構成要素には同一の符号を付して詳細説明を省略する。
本実施形態の昇温装置21は、熱交換部27に設けられた伝熱促進構造29が第一実施形態と異なっている。
【0040】
熱交換部27では、流通方向D1の下流側から上流側に向かって、互いに流通方向D1に離間して、高温部15、中温部26、及び低温部17が設けられ、圧縮機100からの二酸化炭素Cが高温部15に流入して熱交換を行った後に、中温部26に流入して熱交換が行なわれ、さらに低温部17に流入する。即ち、第一実施形態と異なり、中温部26は、低温部17よりも下流側に配置されている。
【0041】
そして、熱交換部27には、伝熱促進構造29としてバイパス流路28が設けられている。
バイパス流路28は、ダクト5を流通する空気Aの一部を、低温部17を経由させずに中温部26に流入させる流路である。バイパス流路28を流通しない残りの空気Aは、低温部17に流入して流通する。
【0042】
本実施形態では、中温部26の交差方向D2の寸法が最も大きく、低温部17及び高温部15が中温部26に比べて小さくなっている。即ち、中温部26における各フィン群10のフィン11の枚数が最も多くなっている。このような構成によって、低温部17とダクト5の壁面との間には隙間が形成されており、この隙間がバイパス流路28となっている。
【0043】
本実施形態の昇温装置21によると、伝熱促進構造29としてバイパス流路28が設けられていることで、熱交換部27における中温部26に、バイパス流路28からの二酸化炭素Cとの間で熱交換される前の空気Aと、低温部17を通過することで低温部17で二酸化炭素Cと熱交換されて昇温された空気Aとが混合した空気Aが流入する。即ち、低温部17を通過して昇温された流体より低い温度の空気Aが中温部26に流入するため、中温部26での空気Aと二酸化炭素Cとの温度差を大きくすることができる。従って、中温部26で、空気Aと、擬臨界温度付近となった二酸化炭素Cとの熱交換効率を向上することができる。
【0044】
ここで、本実施形態のバイパス流路28は、上述したようなダクト5の壁面と低温部17との間に形成された流路でなくともよい。即ち、低温部17を経由しない空気Aを取り込んで中温部26に流入可能とする配管等を中温部26に接続することで、別途、バイパス流路を形成してもよい。
【0045】
〔第三実施形態〕
次に、
図4を参照して、本発明の第三実施形態について説明する。
第一実施形態及び第二実施形態と同様の構成要素には同一の符号を付して詳細説明を省略する。
本実施形態の昇温装置51は、熱交換部58に設けられた伝熱促進構造59が第一実施形態及び第二実施形態と異なっている。
【0046】
熱交換部58は、圧縮機100からの二酸化炭素Cが流入する高温部55と、高温部55を流通した後の二酸化炭素Cが流入する中温部56と、中温部56を流通した後の二酸化炭素Cが流入する低温部57とを備えている。
【0047】
高温部55は、流通方向D1の最下流側に配置されている。
【0048】
中温部56は、高温部55の上流側に隣接して配置され、高温部55で空気Aと熱交換を行って、より低温となった二酸化炭素Cが中温部56に流入して流通し、空気Aとの間で熱交換を行う。
なお、本実施形態では中温部56を流通する二酸化炭素Cは擬臨界温度付近となっており、熱交換を行っても、二酸化炭素Cの温度変化が小さい状態となっている。
【0049】
また、中温部56では、高温部55よりも交差方向D2に並ぶ各フィン群10におけるフィン11の数量が多く、かつ、高温部55と同じ間隔、もしくは狭い間隔をあけてフィン11が並んでいる。このような中温部56の構成が、伝熱促進構造59となっている。
【0050】
低温部57は、本実施形態では高温部55と同一の大きさとなって、同じ数量のフィン11を交差方向D2に同じ間隔で有している。そして低温部57は、中温部56の上流側に中温部56に隣接して配置され、中温部56で空気Aと熱交換を行って、より低温となった二酸化炭素Cを流入させて流通させ、空気Aとの熱交換を行う。
なお、低温部57では、交差方向D2に並ぶフィン11の数量が、中温部56より少なくともよいし、中温部56よりも広い間隔で前記フィンが並んでいてもよい。
【0051】
本実施形態の昇温装置51によると、熱交換部58における中温部56に流入する二酸化炭素Cの温度は、擬臨界温度付近となっており、この状態では空気Aと二酸化炭素Cとの温度差が小さくなり、熱交換効率が低くなってしまう。ここで、中温部56でフィン11の数量が多く、中温部56での交差方向D2の方向の長さ寸法が高温部55に比べて大きくなって、幅広となっていることで、中温部56で、空気Aと二酸化炭素Cとの接触面積を大きくできる。
【0052】
従って、空気Aと二酸化炭素Cとの温度差が小さい中温部56での伝熱を促進し、熱交換効率を向上することができ、流通方向D1の熱交換部58の長さ寸法を小さくでき、小型化を図ることが可能となる。
【0053】
さらに、高温部55で、交差方向D2のフィン11の数量が少なくなっていることで、高温部55へ二酸化炭素Cが流入する時点での二酸化炭素Cの温度を低くしたとしても、高温部55を通過した後の空気Aの平均温度を高い状態に保つことができる。
即ち、高温部55を通過した後の空気Aにおいて、交差方向D2の一方側と他方側での温度差を小さくできる。換言すると、昇温装置51を通過した後の空気Aの温度を所定の温度に維持しつつ、圧縮機100から高温部55に導入する二酸化炭素Cの温度を低くすることができる。
【0054】
より具体的には、高温部55に流入する二酸化炭素Cの温度を135℃とし、最下流のフィン群10を通過することによって熱交換した後の二酸化炭素Cの温度が125℃となる場合、吹出される空気A(熱風)の温度は二酸化炭素Cの温度より10℃低い温度となるとしたら、交差方向D2の一方側(
図4の紙面に向かって下側)で高温部55に流入して吹出される空気A(熱風)の温度が125℃であり、交差方向D2の他方側(
図4の紙面に向かって上側)で高温部55から吹出される空気A(熱風)の温度が115℃となり、交差方向D2で平均して120℃の空気Aが吹出されることになる(
図4の実線参照)。
【0055】
一方で、仮に、高温部55における交差方向D2に並ぶフィン11の数量と、中温部56における交差方向D2に並ぶフィン11の数量とが同じになっている場合、即ち、交差方向D2の寸法が高温部55と中温部56とで同じになっている場合、高温部55から吹出される空気Aの温度を120℃に保つ場合には、例えば、交差方向D2の一方側で吹出される空気Aの温度を130℃とし、交差方向D2の他方側で吹出される空気Aの温度を110℃とする必要がある(
図4の破線参照)。
【0056】
即ち、高温部55における交差方向D2の一方側で、二酸化炭素Cによって空気Aの温度を130℃まで上昇させなければならない。このため、二酸化炭素Cを、より高温の140℃で高温部55へ流入させる必要がある。
【0057】
この点、本実施形態では交差方向D2の一方側での空気Aの温度を125℃に抑えることができるので、その分、二酸化炭素Cの温度は低くて済むことになる。
【0058】
従って、圧縮機100からの二酸化炭素Cの吐出温度を低くすることができ、圧縮機100を含むシステム全体の信頼性の向上、及び、システム全体のCOP(Coefficient Of Performance)の向上につながる。
【0059】
ここで、
図5に示すように、中温部76では、各フィン11Aの流通方向D1の長さ寸法が高温部55におけるフィン11に比べて大きくなっていてもよい。このようにすることで、二酸化炭素Cが擬臨界温度付近となっていることで、二酸化炭素Cと空気Aとの温度差が小さくなっている中温部76で伝熱面積を大きくすることができ、この領域での熱交換効率を向上することができる。
【0060】
また、
図6に示すように、本実施形態の熱交換部58は、
図4に示す低温部57と中温部56とが一体となった部分61を備えていてもよい。
【0061】
このような場合でも、空気Aと二酸化炭素Cとの温度差が小さくなってしまう中温部56での伝熱を促進し、流通方向D1の熱交換部58の長さ寸法、即ち、フィン群10の積層数量を小さくでき、小型化を図ることが可能となる。また、圧縮機100からの二酸化炭素Cの吐出温度を低くすることができ、圧縮機100を含むシステム全体の信頼性の向上、及び、システム全体のCOPの向上につながる。
さらに、低温部57と中温部56とが一体になった構成(部分61)を熱交換部58に採用することで昇温装置51が簡易な構造となり、昇温装置51の製造が容易となる。
【0062】
さらに、同様に
図7に示すように、熱交換部58は、
図5に示す低温部57と中温部76とが一体となった部分81を備えていてもよい。
【0063】
以上、本発明の実施形態について詳細を説明したが、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲内において、多少の設計変更も可能である。
例えば、冷媒として超臨界圧状態の二酸化炭素Cを用いたが、超臨界圧状態で用いられる他の物質を冷媒として用いることが可能である。
【0064】
また、流体として空気Aを昇温する場合に限定されず、他の気体を昇温してもよい。
【0065】
また、上述の各実施形態の構成を適宜組み合わせてもよい。