(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6584071
(24)【登録日】2019年9月13日
(45)【発行日】2019年10月2日
(54)【発明の名称】移載ユニットおよび移載装置
(51)【国際特許分類】
B65G 47/53 20060101AFI20190919BHJP
B65G 47/68 20060101ALI20190919BHJP
【FI】
B65G47/53 C
B65G47/68 D
【請求項の数】10
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-255137(P2014-255137)
(22)【出願日】2014年12月17日
(65)【公開番号】特開2016-113282(P2016-113282A)
(43)【公開日】2016年6月23日
【審査請求日】2017年12月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】502380361
【氏名又は名称】トーヨーカネツソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110559
【弁理士】
【氏名又は名称】友野 英三
(72)【発明者】
【氏名】間中 康幸
【審査官】
土田 嘉一
(56)【参考文献】
【文献】
実開平05−081135(JP,U)
【文献】
実開平06−067436(JP,U)
【文献】
特開平06−080241(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 47/53
B65G 47/68
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の搬送方向から第2の搬送方向へ被搬送物を載せ換える移載ユニットであって、
前記移載ユニットは昇降手段を有するとともに、
前記移載ユニットは第1ユニット及び第2ユニットを備え、
前記第1ユニットあるいは前記第2ユニットには、昇降方向に複数箇所から規制し複数のガイドレール部材及び規制部材を備えて成る規制手段を備え、
前記ガイドレール部材はX―Y平面に対して各4面又は3面ずつ外方向へ配置されるように構成され、
前記規制部材は各前記ガイドレール部材の前記各4面又は3面に外方向から夫々対向して線接触する複数の回転部材を備えたことを特徴とする移載ユニット。
【請求項2】
前記第1のユニットが上部ユニットを構成し、前記第2のユニットが下部ユニットを構成することを特徴とする請求項1記載の移載ユニット。
【請求項3】
前記上部ユニットに前記第1の搬送方向に直交又は斜交した搬送手段を備えることを特徴とする請求項2記載の移載ユニット。
【請求項4】
前記昇降手段は、前記下部ユニットに回転可能に取り付けられた偏心カムと、前記上部ユニットに取り付けられたカムフォロアとを備えることを特徴とする請求項2記載の移載ユニット。
【請求項5】
各前記回転部材には弾性を有する部材が巻かれていることを特徴とする請求項1記載の移載ユニット。
【請求項6】
各前記回転部材は弾性を有する部材によってなることを特徴とする請求項1記載の移載ユニット。
【請求項7】
前記ガイドレール部材はL型形状またはC型形状或いはコの字型形状もしくはU型形状或いはそれらの組合せを備え、前記ガイドレール部材の長手方向の2方の平面部に前記回転部材がそれぞれ当接することを特徴とする請求項1記載の移載ユニット。
【請求項8】
第1の搬送方向から第2の搬送方向へ被搬送物を載せ換える移載装置であって、
前記移載装置は、
第1の搬送方向へ搬送する第1搬送手段と、
第2の搬送方向へ搬送する第2搬送手段と、
前記第2搬送手段を昇降させる昇降手段と、
前記第2搬送手段の昇降方向に規制する規制手段とを備え、
前記規制手段は、
昇降方向に複数のガイドレール部材と、
各前記ガイドレール部材に当接する複数の規制部材とを備え、
前記ガイドレール部材はX―Y平面に対して各4面又は3面ずつ外方向へ配置されるように構成され、
前記規制部材は各前記ガイドレール部材の前記各4面又は3面に外方向から夫々対向して線接触する複数の回転部材を備え、
前記昇降手段により上昇あるいは下降する際に各前記ガイドレール部材に各前記規制部材が当接して昇降方向に規制することを特徴とする移載装置。
【請求項9】
前記昇降手段は、回転軸に取り付けられた偏心カムと、前記第2搬送手段に取り付けられたカムフォロアとを備えることを特徴とする請求項8記載の移載装置。
【請求項10】
前記ガイドレール部材はL型形状またはC型形状或いはコの字型形状もしくはU型形状、或いはそれらの組合せを備え、前記ガイドレール部材の長手方向の2方の平面部に前記回転部材がそれぞれ当接することを特徴とする請求項8記載の移載装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品等の被搬送物を搬送する搬送システムに係り、その搬送システムのコンベアライン等の搬送ラインの方向を転換する移載ユニットおよび移載装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
搬送物を一方の搬送ラインから他方の搬送ラインに載せ換えるために、搬送ライン上に方向を転換する移載装置が設けられている。
【0003】
かかる移載装置として、搬送されて来る被搬送物を進行方向からその直角方向又は斜交方向へ方向転換するために、昇降ユニットを上昇させて当該被搬送物を移動するものが知られている。この昇降ユニットの機構としては、例えば、エアシリンダ等を用い上下動を行われている。このエアシリンダ等を用いる場合では、昇降ユニットのガタツキ防止や保持の為にエアシリンダとボルト締結する固定構造が採られている。
【0004】
この固定構造に代えて、分離構造のものも一般的に知られている。特許文献1には、上下動の機構にカムを用い、その着脱可能とするために2本のガイドピンにより位置決めする構成が示されている。
【0005】
また、特許文献2には、両サイドの取付けられた向かい合わせの枠等の面にコロを摺動させる構成が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2014−152025号公報
【特許文献2】特開2011−6166号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来知られている固定構造のものは、エアシリンダや駆動モータの交換などのメンテナンス時に、ボルト締結を分解して作業することになり、時間と手間がかかるものであった。
【0008】
また、着脱可能なユニットとして、特許文献1に見られるようなガイドピンとそれに嵌まり合う孔との組合せでは、その構造上、挿入するガイドピンと滑り軸受となる孔の隙間が微細となり、僅かな埃・ゴミの堆積でガイドの摺動抵抗が増大し、動作不良等が発生しやすく、その清掃作業も頻繁に必要となる。また、取外し・組立に際して、複数本のガイドピンへの挿入する際の位置合わせ等で、角度ズレもあり困難性もある。
【0009】
また、特許文献2の構成のような両側面での保持では、振動等が発生し易く、振動に伴う回転体自体への荷重もかかり、回転部の破損や両側壁の破損等が発生しやすくなる。
【0010】
かかる従来の問題点を解決するために、本発明は、昇降ユニットを着脱可能とし、組み立て容易とするとともに、昇降に際して摺動する部分に埃・ゴミ等の堆積があっても動作に影響が無く、揺れや振動、ガタツキなどなく安定して動作する移載装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
かかる目的を達成するために、本発明は、第1の搬送方向から第2の搬送方向へ被搬送物を載せ換える移載ユニットであって、前記移載ユニットは昇降手段を有するとともに、前記移載ユニットは第1ユニットと第2ユニットを備えてなり、前記第1ユニットあるいは前記第2ユニットには昇降方向に複数箇所から規制する規制手段を備えたことを特徴とする移載ユニットを提供するものである。
【0012】
本発明によれば、移載ユニットの第1ユニットと第2ユニットが規制手段により、複数の箇所から規制されるので、その取り付け、取り外しが安定にできるとともに、ユニット間の着脱が容易となる。
【0013】
また、本発明は、複数箇所から規制する前記規制手段として、複数のガイドレール部材と規制部材を備えて成り、前記第2ユニットあるいは前記第1ユニットには、各前記ガイドレール部材に夫々対向して規制部材を備えたことを特徴とする移載ユニットを提供するものである。
【0014】
本発明によれば、移載ユニットの第1ユニットと第2ユニットがガイドレール部材と規制部材とにより結合されるので、ユニット間の着脱が容易となるとともに安定して複数の部材により規制されるので振動等にも影響されることがない。
【0015】
また、本発明によれば、前記ガイドレール部材には、少なくとも1平面部を備え、前記規制部材は、各前記ガイドレール部材の前記平面部に夫々対向して回転する複数の回転部材を備えることを特徴とする移載ユニットを提供するものである。
【0016】
本発明によれば、移載ユニットの第1ユニットと第2ユニットがガイドレール部材の平面部と回転部材とにより結合されるので、ユニット間の着脱が容易となるとともに複数の面に規制されるので振動等にも影響されることがない。
【0017】
また、本発明の各前記回転部材には弾性を有する部材が巻かれているか、あるいは、各前記回転部材が弾性を有する部材からなる移載ユニットを提供するものである。
【0018】
本発明によれば、ガイドレールに接触する回転部材の摩耗を防ぐことができるとともに、回転部材自体を弾性部材とすることで、その交換を容易にできる。
【0019】
また、本発明は、前記ガイドレール部材はL型形状またはC型形状(コの字型形状もしくはU型形状)或いはそれらの組合せを備え、前記ガイドレール部材の長手方向の2方の平面部に前記回転部材がそれぞれ当接する移載ユニットを提供するものである。
【0020】
本発明によれば、ガイドレール部材がL型形状で、その2方向の平面部に回転部材が接触するので、X−Y平面上において、X方向とY方向に拘束力が働き、振動や揺れに対して規制することができ、また、ガタツキも防止できる。
【0021】
また、本発明は、第1の搬送方向から第2の搬送方向へ被搬送物を載せ換える移載装置であって、前記移載装置は、第1の搬送方向へ搬送する第1搬送手段と、第2の搬送方向へ搬送する第2搬送手段と、前記第2搬送手段を昇降させる昇降手段と、前記第2搬送手段の昇降方向に規制する規制手段とを備え、前記規制手段は、昇降方向に複数のガイドレール部材と、各前記ガイドレール部材に当接する複数の規制部材とを備えて成り、前記昇降手段により上昇あるいは下降する際に各前記ガイドレール部材と各前記規制部材とが昇降方向に規制することを特徴とする移載装置を提供するものである。
【0022】
本発明によれば、第2搬送手段を着脱容易にすることができるとともに、揺れや振動、ガタツキに対して安定化することができる。
【0023】
また、本発明は、前記ガイドレール部材はL型形状またはC型形状(コの字型形状もしくはU型形状)或いはそれらの組合せを備え、前記ガイドレール部材の長手方向の2方の平面部に前記規制部材がそれぞれ当接する移載装置を提供するものである。前記規制部材として回転部材を使用できる。
【0024】
本発明によれば、ガイドレール部材がL型形状またはC型形状(コの字型形状もしくはU型形状)或いはそれらの組合せを備え、その2方向の平面部に回転部材が接触するので、X−Y平面上において、X方向とY方向に拘束力が働き、振動や揺れ、ガタツキに対して規制することができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明の移載装置または移載ユニットによれば、例えばカムとカムフォロアとを備えてなる昇降手段と、規制手段としてガイドレール部材と規制部材とを備えてなり、移載装置の昇降ユニットを着脱容易とするとともに、振動や揺れを規制できガタツキもなく安定して搬送路に組み込むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本発明の一実施形態に係る移載装置を搬送ラインに組み込んだ全体構成を示す図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る移載装置の下部ユニットと上部ユニット(昇降ユニット)を分離した、全体斜視図を示し、
図2(a)は搬送路を含む下部ユニットを示し、
図2(b)は上部ユニット(昇降ユニット)を示す。
【
図3】本発明の一実施形態に係る移載装置内の移載ユニットを示す図であり、
図3(a)は平面図、
図3(b)は
図3(a)の矢線Aから見た側面図、
図3(c)および
図3(d)は
図3(a)の矢線Bから見た側面図を示し、
図3(c)は、昇降ユニットが下降している状態の側面図、
図3(d)は、昇降ユニットが上昇している状態の側面図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係るガイドレール部材と回転部材の配置関係を説明する図であり、昇降ユニットが下降状態にあるときの状態を示し、
図4(a)がその全体斜視図、
図4(b)は平面図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係るガイドレール部材と回転部材の配置関係を説明する分解斜視図である。
【
図6】本発明の一実施形態に係る別の実施例としてのガイドレール部材と回転部材の配置関係を説明する図であり、昇降ユニットが下降状態にあるときの状態を示し、
図6(a)がその全体斜視図、
図6(b)は平面図である。
【
図7】本発明の一実施形態に係る別の実施例としてのガイドレール部材と回転部材の配置関係を説明する分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、図面を参照して本発明を実施するための形態について説明する。
まず、本発明の一実施形態に係る移載装置を搬送ラインに組み込んだ全体構成を
図1に示している。
図1において、第1の搬送方向にある搬送ライン1と第2の搬送方向にある搬送ライン3とのライン間で、被搬送物を載せ換える移載装置2が搬送ライン1に組み込まれている。第1の搬送方向、即ち進行方向にある搬送ライン1には、搬送方向に複数のキャリアローラ11が並列して取り付けられている。キャリアローラ11相互間に連結ベルト12が接続されており、図示しない駆動モータによりキャリアローラ11に回転力が与えられ順次相互に回転する。このキャリアローラ11の上を被搬送物が移動していく。この搬送ライン1中で移載装置2がある部分に並設されたキャリアローラ11は、第1の搬送方向へ搬送するもので、第1の搬送手段を構成している。この移載装置2の上部に当たるキャリアローラ11については、その一部が、説明上省略されている。
【0028】
また、第2の搬送方向として、進行方向と直角方向を例にあげているが、この進行方向に対し斜交方向であっても同様にして構成できる。従って、以下では、第2の搬送手段として、直角方向を例に説明する。
【0029】
移載装置2には所定数のホイール21とそのホイール21の要所個所に移載ベルト22が取り付けられたベルトユニットが複数、第1の搬送手段を構成するキャリアローラ11間に並設されている。このベルトユニットを構成するホイール21は、図示しない駆動モータにより回転駆動され、ベルト22が第2の搬送手段となり、第1の搬送方向、即ち進行方向と直角方向(または斜交方向)に搬送路を形成することになる。後で説明するように、この移載装置2は、第1の搬送方向へ被搬送物が搬送されている間は、下降した状態を保っている。そして、第1の搬送方向から第2の搬送方向へ載せ換える対象となる被搬送物が移載装置2に到達したときに移載装置の移載ベルト22が取り付けられたベルトユニットが上昇し、被搬送物を第2の搬送方向にある搬送ライン3へ、被搬送物を誘導する。この搬送ライン3には搬送ライン1と同様にキャリアローラ31が複数並置され、そのキャリアローラ31間を相互に連結ベルト32で連結されている。被搬送物は、この搬送ライン3上を移動していくことになる。本発明に係るこの移載装置2の昇降機構の構成について、
図2以下の説明で明らかとなる。
【0030】
図2は、本発明の一実施形態に係る移載装置の下部ユニットと上部ユニット(昇降ユニット)を分離した、全体斜視図を示し、
図2(a)は搬送路を含む下部ユニット30を示し、
図2(b)は上部ユニット(昇降ユニット)23を示している。
【0031】
図2(a)において、搬送フレーム24に下部ユニット30が取り付けられている。この下部ユニット30には、昇降ユニットとなる上部ユニット23を昇降させる昇降用の偏心カム29が回転軸291に取り付けられている。この昇降用の偏心カム29は、回転軸291に連結ベルト281を介して連結された駆動モータ28により回転させられる。また、昇降作動時に上部ユニット23と連動して横揺れ等を規制する規制手段の下部ユニット30側として、回転部材(ホイール)26が固定部材27により固定されている。
【0032】
図2(b)に示すように、昇降ユニットとなる上部ユニット23には、第2の搬送手段となる、所定数のホイール21とそのホイール21の要所個所に移載ベルト22が取り付けられたベルトユニットが複数並置されている。モータ243(図示していない)より回転されるローラ231がこのベルトユニットに回転動作を与える。ベルトユニットの回転による搬送方向は第1の搬送方向と交叉する方向となる。また、下部ユニット30の偏心カム29に対向した個所に、カムフォロア233が取り付けられている。また、昇降作動時に下部ユニット23と連動して横揺れ等を規制する規制手段となるガイドレール部材25と規制部材として各回転部材(ホイール)26とが各対向する位置に取り付けられている。
図2の中央に矢線Cにて示すように下部ユニット30と上部ユニット23を各回転部材26にガイドレール25が嵌まり合うように、即ち図示中の丸A1が丸B1に、丸A2が丸B2に結合することで、偏心カム29がカムフォロア233に対向し組み合って移載ユニットを構成する。さらに、第1の搬送路となるキャリアローラ11を含め移載装置2を構成する。
【0033】
図3は、本発明の一実施形態に係る移載装置内の上部ユニットと下部ユニットとを備えてなる移載ユニットを示す図であり、
図3(a)はその平面図、
図3(b)は
図3(a)の矢線Aから見た側面図、
図3(c)および
図3(d)は、
図3(a)の矢線Bから見た側面図を示し、
図3(c)は、昇降ユニットが下降している状態の側面図、
図3(d)は、昇降ユニットが上昇している状態の側面図を、それぞれ示している。なお、
図3(c)および
図3(d)は、
図2(b)の矢線D方向から見た図に相当する。
【0034】
図3(a)において、昇降手段を構成する下部ユニット30側の偏心カム29と上部ユニット23側のカムフォロア233(図示省略)は、上下左右の4か所に設けられている。図示の上側および下側の偏心カム29は回転軸291によりそれぞれ連結され、駆動モータ28により回転される。また、規制手段を構成する下部ユニット30の回転部材26と上部ユニット23のガイドレール部材25は中央部分に4か所配置されている。ガイドレール部材25は一例としてL型のレール状を示し、各平面部を成す面に回転部材26としてガイドホイールが2個、異なる方向から押さえるように取り付けられている。即ち、一つのガイドレール部材25にガイドホイール26が二つ配置され、都合8個のホイールによりガイドレール部材に規制をかけている。
【0035】
図3(b)は、下部ユニット30と上部ユニット23の連結した状態で、上部ユニット23が上昇した側にある場合を示している。
【0036】
図3(c)に図示のように、上部ユニット(昇降ユニット)23が下降している状態では、移載ベルト22の搬送面となる上面の高さl1は、この移載ユニットが組み込まれる搬送ラインのホイールの上面よりも低い位置にある。従って、搬送ラインに被搬送物が移動してきても、この移載ユニットにより方向転換はされない。
【0037】
図3(d)に図示のように、上部ユニット(昇降ユニット)23が上昇している状態では、移載ベルト22の搬送面となる上面の高さl2は、この移載ユニットが組み込まれる搬送ラインのホイールの上面よりも高い位置となる。従って、搬送ラインに被搬送物が移動してきて、この移載ユニットの上にくると移載ベルト22の上面が搬送面となり、当該被搬送物は方向転換されることになる。
【0038】
以上の説明では、本発明の一実施形態に係るガイドレール部材と回転部材の構成について、上部ユニット23にガイドレール部材25を設け、下部ユニット30に回転部材26を設けたものを示した。この配置関係は逆であってもよい。即ち、上部ユニット23に回転部材26を設け、下部ユニット30にガイドレール部材25を設ける構成であってもよい。
【0039】
図4及び
図5は、規制手段として、ガイドレール部材と回転部材の関係を具体的に示すものである。
図4は、本発明の一実施形態に係るガイドレール部材と回転部材の配置関係を説明する図であり、昇降ユニットが下降状態にあるときの状態を示し、
図4(a)がその全体斜視図を、
図4(b)は平面図を示している。また、
図5は、本発明の一実施形態に係るガイドレール部材と回転部材の配置関係を説明する分解斜視図である。
図4(a)において、ガイドレール部材25はL型形状でX−Y平面上に平面部を互いに対向するように配置、取り付けられている。その各8つの平面部に対して、回転部材26が各8個、図示するように例えば取り付け金具27によりユニットの底部に取り付けられている。このガイドレール25と回転部材26との配置、取り付け関係を平面視で見ると
図4(b)のようになる。各回転部材26の回転面が、各ガイドレール部材25の異なる平面でX−Y平面上で互いに略直交する方向から複数の支点で支持され規制されることになる。即ち、ガイドレール部材の平面の平滑面に回転部材が線接触して上下動し、保持される。異なる方向から支持することになり、ガタツキなく荷重を支えることができる。
【0040】
図5の分解斜視図にて示すように、これらガイドレール部材25と回転部材26とが、図中の矢線で示す方向で嵌め合わされる。これらガイドレール部材25と回転部材26とが、それぞれ何れか一方の部材を上部ユニット23に、他方の部材を下部ユニット30に取り付けられる。従って、上部ユニット23と下部ユニット30
を組み合わせ
る際に、各ガイドレール部材25が各回転部材26の間に挟まれる如く嵌合するので、その取り付けも容易である。従って、着脱容易となる。又取り付けられた状態で、各平面を異なる方向から規制することになるので、揺れや振動、ガタツキを防止することができる。
【0041】
この回転部材26としてホイールとして説明したが、これに限定されるものではない。例えば、硬質ゴム等の弾性体を用いることができる。また、ホイールの外周をウレタンなどの被覆材で覆うことでもよい。これにより、騒音の軽減や衝撃の緩和、キンク時や挿入時の傾き吸収することができる。
【0042】
また、ガイドレール部材25としてL型形状を例示しているが、このL型に限られるものではない。それぞれ平板状の平面を有するものでもよく、各平面を有する平板状部材を
図4に図示するようにX−Y平面上で対向するように配置してもよい。
【0043】
図6及び
図7は、規制手段として別の実施例を示もので、先の規制手段であるL型形状に代えてC型形状(或いは、コの字型形状もしくはU型形状。以下同じ)のガイドレール部材と回転部材の関係を具体的に示すものである。この
図6は、本発明の別の実施例としてのガイドレール部材と回転部材の配置関係を説明する図であり、昇降ユニットが下降状態にあるときの状態を示し、
図6(a)がその全体斜視図を、
図6(b)は平面図を示している。また、
図7は、本発明の別の実施例としてのガイドレール部材と回転部材の配置関係を説明する分解斜視図である。
【0044】
図6(a)において、ガイドレール部材25´はC型形状でX−Y平面上に背中合わせの如く互いに対向するように配置、取り付けられている。その各3つの平面部、計6箇所に対して、回転部材26´が各3個、計6箇所、図示するようにユニットの底部に取り付けられている。このガイドレール25´と回転部材26´との配置、取り付け関係を平面視で見ると
図6(b)のようになる。各回転部材26´の回転面が、各ガイドレール部材25´の異なる平面でX−Y平面上で互いに略直交する方向から複数の支点で支持され規制されることになる。即ち、ガイドレール部材の平面の平滑面に回転部材が線接触して上下動し、保持される。異なる方向から支持することになり、ガタツキなく荷重を支えることができる。
【0045】
図7の分解斜視図にて示すように、これらガイドレール部材25´と回転部材26´とが、図中の矢線で示す方向で嵌め合わされる。これらガイドレール部材25´と回転部材26´とが、それぞれ何れか一方の部材を上部ユニット23に、他方の部材を下部ユニット30に取り付けられる。従って、上部ユニット23と下部ユニット30と
を組み合わせ
る際に、各ガイドレール部材25´が各回転部材26´の間に挟まれる如く嵌合するので、その取り付けも容易である。従って、着脱容易となる。又取り付けられた状態で、各平面を異なる方向から規制することになるので、揺れや振動、ガタツキを防止することができる。
【0046】
この回転部材26´としてホイールとして説明したが、これに限定されるものではない。先の実施例にて説明したのと同様に、例えば、硬質ゴム等の弾性体を用いることができる。また、ホイールの外周をウレタンなどの被覆材で覆うことでもよい。これにより、騒音の軽減や衝撃の緩和、キンク時や挿入時の傾き吸収することができる。
【0047】
また、
図4に示すL型形状のガイドレール部材25と、
図6に示すC型形状のガイドレール部材25´の何れか一方を入れ替えて、L型形状とC型形状との組合せにて構成するようにしてもよい。
【0048】
また、ガイドレール部材の形状としては、規制部材との関係で、平面部を有するものに限定されず、曲面を有するものや溝を形成するもの等、種々変形が考えられる。規制部材として回転部材26,26´を例にあげて説明したが、これに限られるものではなく、たとえばガイドレール部材に沿って摺動するものであってもよい。
【0049】
本発明によれば、位置合わせを容易とし、ズレによる損傷もなく、仮にゴミ等が付着してもその清掃を容易とできる。
【0050】
以上説明した各実施形態は、本発明の理解のために例示されたものであり、本発明は、これら実施形態に限定されず、特許請求の範囲の記載によって定義される。また、本発明の技術思想から離れるものでない限り、特許請求の範囲に記載の構成と均等であるものも本発明の保護の範囲に含まれるものである。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明の移載装置または移載ユニットによれば、ガイドレール部材と回転部材とを備えてなる規制手段により、移載装置の昇降ユニットを着脱容易とするとともに、振動や揺れを規制できガタツキもなく安定して搬送路に組み込むことができ、また、ゴミ等が付着してもその清掃を容易とでき物流センターにおける物品搬送や工場における部品搬送等、搬送ラインの構築に利用可能性が大きい。
【符号の説明】
【0052】
1,3…搬送ライン
2…移載装置
11,31…キャリアローラ
12,32…連結ベルト
21…ホイール
22…移載ベルト
23…上部ユニット(昇降ユニット)
233…カムフォロア
24…搬送フレーム
25,25´…ガイドレール部材
26,26´…回転部材
29…偏心カム
30…下部ユニット