特許第6584086号(P6584086)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6584086
(24)【登録日】2019年9月13日
(45)【発行日】2019年10月2日
(54)【発明の名称】光学系及び撮像装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 13/00 20060101AFI20190919BHJP
【FI】
   G02B13/00
【請求項の数】8
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2015-28905(P2015-28905)
(22)【出願日】2015年2月17日
(65)【公開番号】特開2016-151664(P2016-151664A)
(43)【公開日】2016年8月22日
【審査請求日】2017年12月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000133227
【氏名又は名称】株式会社タムロン
(74)【代理人】
【識別番号】100124327
【弁理士】
【氏名又は名称】吉村 勝博
(74)【代理人】
【識別番号】100143786
【弁理士】
【氏名又は名称】根岸 宏子
(72)【発明者】
【氏名】山中 久幸
(72)【発明者】
【氏名】岡田 圭介
(72)【発明者】
【氏名】岩澤 嘉人
【審査官】 小倉 宏之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−169249(JP,A)
【文献】 特開2005−284099(JP,A)
【文献】 特開2001−356381(JP,A)
【文献】 特開平09−230239(JP,A)
【文献】 特開2008−070450(JP,A)
【文献】 特開2007−108398(JP,A)
【文献】 特開2002−162564(JP,A)
【文献】 特開平09−061714(JP,A)
【文献】 特開平08−220438(JP,A)
【文献】 特開平06−289298(JP,A)
【文献】 特開2014−123018(JP,A)
【文献】 特開2014−010283(JP,A)
【文献】 特開2014−142601(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0155527(US,A1)
【文献】 中国特許出願公開第101833162(CN,A)
【文献】 特開平11−119092(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 9/00 − 17/08
G02B 21/02 − 21/04
G02B 25/00 − 25/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体側から順に、正の屈折力を有する第1レンズ群と、負の屈折力を有する第2レンズ群と、正の屈折力を有する第3レンズ群とからなり、
前記第1レンズ群と前記第3レンズ群とを光軸方向に固定し、前記第2レンズ群を光軸方向に移動させることで無限遠物体から有限距離物体への合焦を行い、
前記第3レンズ群が、物体側から順に、物体側群と、開口絞りと、像側群とから構成されており、
以下の条件を満足することを特徴とする光学系。
0.01 < f3b/f < 3.00 ・・・(1)
0.722 ≦ f3 /f < 1.10 ・・・(2a)
0 < Cr3af/f ・・・(3)
0.60 < f1/f < 1.30 ・・・(8)
但し、
f3b:前記像側群の焦点距離
f :当該光学系の焦点距離
f3 :前記第3レンズ群の焦点距離
Cr3af:前記物体側群の最も物体側の面の曲率半径
f1 :前記第1レンズ群の焦点距離
である。
【請求項2】
前記物体側群の最も物体側の面と、前記物体側群の最も像面側の面とが以下の条件を満足する請求項1に記載の光学系。
1.0 < Cr3af/Cr3ar < 4.0 ・・・(4)
但し
r3ar:前記物体側群の最も像面側の面の曲率半径
である。
【請求項3】
前記第2レンズ群が以下の条件を満足する請求項1又は請求項2に記載の光学系。
0.30 < |f2|/f < 1.20 ・・・(5)
但し、
f2:前記第2レンズ群の焦点距離
である。
【請求項4】
前記第2レンズ群が、正の屈折力を有するレンズを少なくとも1枚有する請求項1から請求項のいずれか一項に記載の光学系。
【請求項5】
前記第2レンズ群が、正の屈折力を有するレンズ1枚と負の屈折力を有するレンズ1枚とから構成される請求項1から請求項のいずれか一項に記載の光学系。
【請求項6】
前記第3レンズ群が以下の条件を満足する請求項1から請求項のいずれか一項に記載の光学系。
1.8 < f3/(f×tanω) < 5.0 ・・・(6)
但し
ω :当該光学系の無限遠合焦時おける半画角
である。
【請求項7】
前記物体側群と前記像側群とが以下の条件を満足する請求項1から請求項のいずれか一項に記載の光学系。
1.0 < |f3a|/f3b ・・・(7)
但し、
f3a : 前記物体側群の焦点距離
である。
【請求項8】
請求項1〜請求項のいずれか一項に記載の光学系と、当該光学系の像面側に、前記光学系によって形成された光学像を電気的信号に変換する撮像素子とを備えたことを特徴とする撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本件発明は、光学系及び撮像装置に関し、特に、デジタルスチルカメラやデジタルビデオカメラ等の固体撮像素子を用いた撮像装置に好適な光学系及び当該光学系を備えた撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、デジタルスチルカメラ、デジタルビデオカメラ等の固体撮像素子を用いた撮像装置が普及している。特に、近年の撮像光学系の高性能化、小型化等に伴い、小型の撮像システムの普及が急速に進んでいる。
【0003】
このような小型の撮像システムの光学系として、種々の単焦点光学系が提案されている。例えば、特許文献1には、物体側から順に、正の屈折力を有する前群と、開放絞りと、負の屈折力を有する後群とを備えた焦点距離の比較的長い単焦点光学系が記載されている。一般に、焦点距離の長い望遠レンズでは、焦点距離が長くなるに従って、色収差が多く発生する。そこで、例えば、特許文献1に記載の単焦点光学系では、光路内に回折格子面を配置し、この回折格子により色収差の補正を行うことで、良好な結像性能を得ている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014−109700号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の光学系は、光学系を構成するレンズの枚数が多く、光学系の小型化が十分に図られていない。また、当該光学系のFnoは2.8よりも大きく、明るさが不足している。近年、小型の撮像システムの光学系では、より一層の小型化が求められると共に、特に、単焦点光学系においてはFnoが2.8より明るい大口径化に対する要望が強い。
【0006】
本発明の課題は、小型の撮像システムに好適な小型、高性能、且つ、大口径の光学系及び撮像装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本件発明の光学系は、物体側から順に、正の屈折力を有する第1レンズ群と、負の屈折力を有する第2レンズ群と、正の屈折力を有する第3レンズ群とからなり、前記第1レンズ群と前記第3レンズ群とを光軸方向に固定し、前記第2レンズ群を光軸方向に移動させることで無限遠物体から有限距離物体への合焦を行い、前記第3レンズ群が、物体側から順に、物体側群と、開口絞りと、像側群とから構成されており、以下の条件を満足することを特徴とする。
【0008】
0.01 < f3b/f < 3.00 ・・・(1)
0.722 ≦ f3 /f < 1.10 ・・・(2a)
0 < Cr3af/f ・・・(3)
0.60 < f1/f < 1.30 ・・・(8)
但し、
f3b:前記像側群の焦点距離
f :当該光学系の焦点距離
f3 :前記第3レンズ群の焦点距離
Cr3af:前記物体側群の最も物体側の面の曲率半径
f1 :前記第1レンズ群の焦点距離
である。
【0009】
また、本件発明の撮像装置は、光学系と、当該光学系の像面側に、前記光学系によって形成された光学像を電気的信号に変換する撮像素子とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本件発明によれば、小型の撮像システムに好適な小型、高性能、且つ、大口径の光学系及び撮像装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本件発明の実施例1の光学系のレンズ構成例を示す断面図である。
図2】実施例1の光学系の無限遠合焦時の球面収差図、非点収差図及び歪曲収差図である。
図3】本件発明の実施例2の光学系のレンズ構成例を示す断面図である。
図4】実施例2の光学系の無限遠合焦時の球面収差図、非点収差図及び歪曲収差図である。
図5】本件発明の実施例3の光学系のレンズ構成例を示す断面図である。
図6】実施例3の光学系の無限遠合焦時の球面収差図、非点収差図及び歪曲収差図である。
図7】本件発明の実施例4の光学系のレンズ構成例を示す断面図である。
図8】実施例4の光学系の無限遠合焦時の球面収差図、非点収差図及び歪曲収差図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本件発明に係る光学系及び撮像装置の実施の形態を説明する。
【0013】
1.光学系
1−1.光学系の構成
本件発明に係る光学系は、物体側から順に、正の屈折力を有する第1レンズ群と、負の屈折力を有する第2レンズ群と、正の屈折力を有する第3レンズ群とからなり、第1レンズ群と第3レンズ群とを光軸方向に固定し、第2レンズ群を光軸方向に移動させることで無限遠物体から有限距離物体への合焦を行い、第3レンズ群が、物体側から順に、物体側群と、開口絞りと、像側群とから構成されており、後述する条件式(1)で表される条件を満足することを特徴とする。まず、本件発明に係る光学系の光学系の構成について説明する。
【0014】
本件発明に係る光学系では、最も物体側に配置される第1レンズ群が正の屈折力を有する。このため、第2レンズ群には第1レンズ群により収束された光が入射するため、第2レンズ群を外径の小さなレンズで構成することができ、第2レンズ群の小型化及び軽量化を図ることができる。また、第2レンズ群が負の屈折力を有するため、当該光学系をテレフォトタイプの構成とすることができる。このため、系全体の焦点距離よりもその光学全長を短くすることができ、系全体の小型化を図ることができる。そして、最も像面側に配置される第3レンズ群が正の屈折力を有するため、第3レンズ群において光束を集光することができ、大口径化を図ることができる。すなわち、本件発明によれば、正負正の3群構成を採用することで、小型の撮像システムに好適な小型で大口径の光学系を得ることができる。
【0015】
また、本件発明では、第1レンズ群と第3レンズ群とを光軸方向に固定し、第2レンズ群を光軸方向に移動させることで無限遠物体から有限距離物体への合焦を行う。合焦群である第2レンズ群は、上述したとおり、第1レンズ群の収束作用により、小型化及び軽量化が図られているため、第2レンズ群を移動させるための負荷が小さく迅速な合焦動作を行わせることができ、且つ、系全体を小型化することができる。以下、各レンズ群の構成について説明する。
【0016】
(1)第1レンズ群
第1レンズ群は、正の屈折力を有し、後述する条件式等を満足するものであれば、その具体的なレンズ構成は特に限定されるものではない。
【0017】
(2)第2レンズ群
第2レンズ群の構成についても、負の屈折力を有し、後述する条件式等を満足するものであれば、その具体的なレンズ構成は特に限定されるものではないが、正の屈折力を有するレンズを少なくとも1枚有することが好ましい。負の屈折力を有する第2レンズ群内に、正の屈折力を有するレンズを少なくとも1枚配置することにより、合焦時における第2レンズ群の移動に伴う色収差の変動を抑制することができ、被写体との距離によらず優れた結像性能を得ることができる。
【0018】
さらに、第2レンズ群が正の屈折力を有するレンズ1枚と、負の屈折力を有するレンズ1枚とから構成されることが好ましい。第2レンズ群を正負各1枚のレンズから構成することにより、第2レンズ群をより小型及び軽量にすることができ、より迅速な合焦動作を行わせることができる。このとき、第2レンズ群を正の屈折力を有するレンズ1枚と、負の屈折力を有するレンズ1枚とを接合した接合レンズから構成することが好ましい。接合レンズにより第2レンズ群を構成することにより、組み立て時における製造誤差を低減することができ、製造誤差に起因する収差発生を抑制することができる。
【0019】
(3)第3レンズ群
本件発明では、第3レンズ群が、物体側から順に、物体側群と、開口絞りと、条件式(1)を満足する像側群とから構成されている。すなわち、第3レンズ群において、開口絞りを挟んで、物体側群と、像側群とを配置することにより、開口絞りの前後において、軸上光線及び軸外光線のいずれについても発生した収差を打ち消し合わせることが容易になり、高性能な光学系を得ることができる。
【0020】
第3レンズ群において、物体側群の屈折力は特に限定されるものではない。当該光学系において、最も像面側に正の屈折力を有する像側群を配置することにより、上述したとおり、当該光学系の大口径化を達成することができる。
【0021】
また、第3レンズ群において、物体側群の最も像面側の面の曲率半径、及び物体側群の最も物体側の面の曲率半径が、それぞれ後述する条件式(3)、条件式(4)を満足することが好ましい。なお、これらの点については後述する。
【0022】
そして、像側群の最も像面側の面は、像面側に凸の形状を有することが好ましい。すなわち、当該光学系における最終面を像面側に凸の形状とすることにより、最終面において光束を集光させることができ、当該光学系のレンズ径を大きくすることなく、大口径化を達成することができる。
【0023】
(4)防振群
本件発明に係る光学系において、上述した第1レンズ群〜第3レンズ群のうち、いずれかのレンズ群の一部を光軸に垂直方向に移動させて、撮像時の振動等に起因する回転ブレ等を補正する防振群として用いてもよい。
【0024】
1−2.条件式
次に、本件発明に係る光学系が満足すべき条件、又は、満足することが好ましい条件について説明する。
【0025】
1−2−1.条件式(1)
本件発明に係る光学系は、像側群が以下の条件を満足するものとする。
【0026】
0.01 < f3b/f < 3.00 ・・・(1)
但し、
f3b:像側群の焦点距離
f :当該光学系の焦点距離
である。
【0027】
上記条件式(1)は、当該光学系の焦点距離に対する像側群の焦点距離の比を規定する式である。条件式(1)を満足することにより、当該光学系において最も像面側に配置される像側群により光束を集光することができるため、当該光学系の大口径化を図ることができる。また、各種収差補正を良好に行うことができ、当該光学系の小型化及び高性能化を図ることができる。
【0028】
これに対して、条件式(1)の数値が上限値以上になると、すなわち像側群の焦点距離が当該光学系の焦点距離に対して大きくなり過ぎると、像側群により光束を十分に集光することができず、大口径化が困難になり、好ましくない。また、条件式(1)の値が下限値以下になると、すなわち像側群の焦点距離が当該光学系の焦点距離に対して小さくなり過ぎると、球面収差やコマ収差、像面湾曲の補正が困難になり、好ましくない。
【0029】
これらの効果を得る上で、像側群は、下記の条件式(1)’を満足することが好ましく、条件式(1)’’を満足することがより好ましく、条件式(1)’’’を満足することがさらに好ましい。
【0030】
0.10 < f3b/f < 2.50 ・・・(1)’
0.20 < f3b/f < 2.00 ・・・(1)’’
0.30 < f3b/f < 1.50 ・・・(1)’’’
【0031】
1−2−2.条件式(2)
本件発明に係る光学系において、第3レンズ群が以下の条件を満足することが好ましい。
【0032】
0.50 < f3/f < 1.10 ・・・(2)
但し、
f3:第3レンズ群の焦点距離
である。
【0033】
条件式(2)は、本件発明に係る光学系の焦点距離に対する第3レンズ群の焦点距離の比を規定する式である。条件式(2)を満足することにより、当該光学系のより一層の小型化、高性能化を図ると共に、大口径化を達成することができる。
【0034】
これに対して、条件式(2)の値が上限値以上になると、すなわち当該光学系の焦点距離に対して第3レンズ群の焦点距離が大きくなり過ぎると、光学系の全長が大きくなるため、当該光学系の小型化が困難になる。これと同時に、第3レンズ群で光束を十分に収束させることができず、当該光学系の大口径化を図ることが困難になる。これらの点から、条件式(2)の値が上限値以上になることは好ましくない。また、条件式(2)の数値が下限値以下になると、すなわち当該光学系の焦点距離に対して第3レンズ群の焦点距離が小さくなり過ぎると、球面収差やコマ収差の補正が困難になり、好ましくない。
【0035】
これらの効果を得る上で、第3レンズ群は、下記の条件式(2)’を満足することが好ましく、条件式(2)’’を満足することがより好ましい。
【0036】
0.55 < f3/f < 1.00 ・・・(2)’
0.60 < f3/f < 0.95 ・・・(2)’’
【0037】
1−2−3.条件式(3)
本件発明に係る光学系において、物体側群の最も物体側の面が以下の条件を満足することが好ましい。
【0038】
0 < Cr3af/f ・・・(3)
但し、
Cr3af:前記物体側群の最も物体側の面の曲率半径
である。
【0039】
上記条件式(3)は、当該光学系の焦点距離に対する物体側群の最も物体側の面の曲率半径の比を規定する式である。条件式(3)を満足する場合、物体側群の最も物体側の面が物体側に凸の形状となり、少ないレンズ枚数で球面収差や像面湾曲を良好に補正することができる。このため、小型、且つ、高性能な光学系を得ることが容易になる。
【0040】
これに対して、条件式(3)の値が下限値以下になると、物体側群の最も物体側の面が平面若しくは物体側に凹の形状となる。この場合、少ないレンズ枚数で球面収差や像面湾曲を良好に補正することが困難になり、良好な結像性能を維持しつつ、当該光学系の小型化を図ることが困難になる。
【0041】
これらの効果を得る上で、物体側群の最も物体側の面が、下記の条件式(3)’を満足することが好ましく、条件式(3)’’を満足することがより好ましく、条件式(3)’’’を満足することがさらに好ましく、条件式(3)’’’’を満足することが最も好ましい。
【0042】
0.10 < Cr3af/f < 20.00 ・・・(3)’
0.14 < Cr3af/f < 10.00 ・・・(3)’’
0.20 < Cr3af/f < 5.00 ・・・(3)’’’
0.26 < Cr3af/f < 2.00 ・・・(3)’’’’
【0043】
1−2−4.条件式(4)
本件発明に係る光学系において、物体側群の最も物体側の面と、物体側群の最も像面側の面とが以下の条件を満足することが好ましい。
【0044】
1.0 < Cr3af/Cr3ar < 4.0 ・・・(4)
但し、
Cr3ar:物体側群の最も像面側の面の曲率半径
である。
【0045】
上記条件式(4)は、上記物体側群の最も像面側の面の曲率半径に対する上記物体側群の最も物体側の面の曲率半径の比を規定する式である。条件式(4)を満足する場合、少ないレンズ枚数で球面収差やコマ収差、サジタルフレアの補正をより良好に行うことができる。このため、小型、且つ、高性能な光学系を得ることがより容易になる。
【0046】
これに対して、物体側群の最も物体側の面と、物体側群の最も像面側の面とが条件式(4)を満足しない場合、少ないレンズ枚数で、球面収差やコマ収差、サジタルフレアを補正することが困難になり、良好な結像性能を得るには収差補正に要するレンズ枚数が増加し、当該光学系の大型化につながるため好ましくない。
【0047】
これらの効果を得る上で、物体側群の最も物体側の面と、物体側群の最も像面側の面とが条件式(4)’を満足することがより好ましい。
【0048】
1.0 < Cr3af/Cr3ar < 3.0 ・・・(4)’
【0049】
1−2−5.条件式(5)
本件発明に係る光学系において、第2レンズ群が以下の条件を満足することが好ましい。
【0050】
0.30 < |f2|/f < 1.20 ・・・(5)
但し、
f2:第2レンズ群の焦点距離
である。
【0051】
上記条件式(5)は、当該光学系の焦点距離に対する第2レンズ群の焦点距離の比を規定する式である。条件式(5)を満足する場合、第2レンズ群の屈折力が適正な範囲内となり、テレフォト比の小さな光学系を得ることができる。すなわち、焦点距離に比して光学全長の小さな小型の光学系を得ることができる。また、合焦群である第2レンズ群の屈折力が適正な範囲内となるため、合焦時の収差変動を抑制し、被写体との距離によらず、少ないレンズ枚数でも良好な結像性能を得ることができ、小型、且つ、高性能な光学系を得ることが容易になる。
【0052】
これに対して、条件式(5)の値が上限値以上になると、すなわち当該光学系の焦点距離に対して第2レンズ群の焦点距離が大きくなり過ぎると、テレフォト比を小さくすることが困難になる。この場合、光学全長が大きくなり、光学系の小型化を図る上で好ましくない。また、また、条件式(5)の値が下限値以下になると、すなわち当該光学系の焦点距離に対して第2レンズ群の焦点距離が小さくなり過ぎると、合焦群である第2レンズ群の屈折力が大きく、合焦時の位置変化による収差発生量が大きくなる。このため、収差補正に要するレンズ枚数が増加し、良好な結像性能を維持しつつ、当該光学系の小型化を図ることが困難になる。
【0053】
これらの効果を得る上で、第2レンズ群が下記の条件式(5)’を満足することが好ましく、条件式(5)’’を満足することがより好ましく、条件式(5)’’’を満足することがさらに好ましく、条件式(5)’’’’を満足することが最も好ましい。
【0054】
0.40 < |f2|/f < 1.10 ・・・(5)’
0.40 < |f2|/f < 1.00 ・・・(5)’’
0.40 < |f2|/f < 0.92 ・・・(5)’’’
0.59 < |f2|/f < 0.92 ・・・(5)’’’’
【0055】
1−2−6.条件式(6)
本件発明に係る光学系において、第3レンズ群が以下の条件を満足することが好ましい。
【0056】
1.8 < f3/(f×tanω) < 5.0 ・・・(6)
但し、
f3: 第3レンズ群の焦点距離
ω : 光学系の無限遠合焦時おける半画角
である。
【0057】
上記条件式(6)は、当該光学系の撮像像高に対する第3レンズ群の焦点距離の比を規定する式である。条件式(6)を満足する場合、第3レンズ群において、軸上光線及び軸外光線のいずれについても、発生した収差を開口絞りの前後で打ち消し合わせることが容易になり、高性能な光学系を得ることができる。
【0058】
これに対して、条件式(6)を満足しない場合、開口絞り前後における収差の打ち消しあいが困難となり、軸上光線及び軸外光線のいずれも発生する収差を小さくすることが困難になり、好ましくない。
【0059】
これらの効果を得る上で、第3レンズ群は下記の条件式(6)’を満足することが好ましく、条件式(6)’’を満足することがより好ましい。
【0060】
2.0 < f3/(f×tanω) < 4.2 ・・・(6)’
2.2 < f3/(f×tanω) < 4.2 ・・・(6)’’
【0061】
1−2−7.条件式(7)
本件発明に係る光学系において、物体側群と像側群とが以下の条件を満足することが好ましい。
【0062】
1.0 < |f3a|/f3b ・・・(7)
但し、
f3a : 物体側群の焦点距離
であり、f3bは上述のとおりである。
【0063】
上記条件式(7)は、第3レンズ群の像側群の焦点距離に対する物体側群の焦点距離の比を規定する式である。条件式(7)を満足する場合、像側群の屈折力が適正になり、第3レンズ群により光束を収束させることができ当該光学系の大口径化が容易になる。
【0064】
上記条件式(7)を満足しない場合、すなわち像側群の焦点距離が大きく、屈折力が弱くなるため、大口径化が困難となり、好ましくない。
【0065】
これらの効果を得る上で、物体側群と像側群とが下記の条件式(7)’を満足することがより好ましい。
【0066】
1.3 < |f3a|/f3b ・・・(7)’
【0067】
上述したとおり、像側群は正の屈折力を有することが好ましい。また、物体側群は、正・負いずれの屈折力であってもよいが、正の屈折力を有することがより好ましい。物体側群と像側群がともに正の屈折力を有することで、上述したとおり、開口絞り前後の収差の打ち消しあいが容易となり、高性能な光学系を得ることができる。
【0068】
1−2−8.条件式(8)
本件発明に係る光学系において、第1レンズ群が以下の条件を満足することが好ましい。
0.60 < f1/f < 1.30 ・・・(8)
但し、
f1:第1レンズ群の焦点距離
f :当該光学系の焦点距離
である。
【0069】
条件式(8)は、当該光学系の焦点距離に対する第1レンズ群の焦点距離の比を規定する式である。条件式(8)を満足することにより、当該光学系の焦点距離に対する第1レンズ群の焦点距離が適切な範囲内となり、当該光学系の小型化、高性能化を図ると共に、大口径化を達成することができる。
【0070】
これに対して、条件式(8)の値が上限値以上になると、すなわち第1レンズ群の焦点距離が当該光学系の焦点距離に対して大きくなり過ぎると、光学系の全長が大きくなる共に、周辺光量の確保が困難になり、好ましくない。また、条件式(8)の値が下限値以下になると、すなわち第1レンズ群の焦点距離が当該光学系の焦点距離に対して小さくなり過ぎると、軸上色収差やコマ収差、像面湾曲を補正することが困難になり、良好な結像性能を得ることができず好ましくない。
【0071】
これらの効果を得る上で、本件発明に係る光学系は、下記の条件式(8)’を満足することが好ましく、条件式(8)’’を満足することがより好ましく、条件式(8)’’’を満足することがさらに好ましく、条件式(8)’’’’を満足することが最も好ましい。
【0072】
0.70 < f1/f < 1.20 ・・・(8)’
0.75 < f1/f < 1.20 ・・・(8)’’
0.80 < f1/f < 1.10 ・・・(8)’’’
0.80 < f1/f < 1.03 ・・・(8)’’’’
【0073】
1−2−9.条件式(9)
当該光学系が防振群を備える場合、防振群が以下の条件を満足することが好ましい。この場合、防振時の収差変動を抑制することができ、当該光学系を小型に維持しつつ、防振時も高い結像性能を得ることができる。
【0074】
0.1 < |(1−βvc)×βr| < 0.8 ・・・・(9)
但し、
防振群とは、光軸に対して垂直方向に移動可能なレンズ群をいうものとし、
βvc : 無限遠合焦時における防振群の横倍率
βr : 防振群より像側に位置する全レンズの無限遠合焦時における合成横倍率
である。
【0075】
2.撮像装置
次に、本件発明に係る撮像装置について説明する。本件発明に係る撮像装置は、上記本件発明に係る光学系と、当該光学系の像面側に設けられた、当該光学系によって形成された光学像を電気的信号に変換する撮像素子とを備えたことを特徴とする。ここで、撮像素子等に特に限定はなく、CCDセンサやCMOSセンサなどの固体撮像素子等も用いることができる。本件発明に係る撮像装置は、デジタルカメラやビデオカメラ等のこれらの固体撮像素子を用いた撮像装置に好適である。また、当該撮像装置は、レンズが筐体に固定されたレンズ固定式の撮像装置であってもよいし、一眼レフカメラやミラーレス一眼カメラ等のレンズ交換式の撮像装置であってもよいのは勿論である。
【0076】
次に、実施例を示して本件発明を具体的に説明する。但し、本件発明は以下の実施例に限定されるものではない。以下に挙げる各実施例の光学系は、デジタルカメラ、ビデオカメラ、銀塩フィルムカメラ等の撮像装置(光学装置)に用いられる撮像光学系である。また、各レンズ断面図において、図面に向かって左方が物体側、右方が像面側である。

【実施例1】
【0077】
(1)光学系の構成
図1は、本件発明に係る実施例1の光学系の無限遠合焦時におけるレンズ構成を示すレンズ断面図である。当該光学系は、物体側から順に、正の屈折力を有する第1レンズ群G1と、負の屈折力を有する第2レンズ群G2と、正の屈折力を有する第3レンズ群G3とから構成されている。
【0078】
第1レンズ群G1は、物体側から順に、正の屈折力を有するレンズL1と、正の屈折力を有するレンズL2及び負の屈折力を有するレンズL3を接合した接合レンズと、から構成される。
第2レンズ群G2は、物体側から順に、物体側に凹面を向けた正の屈折力を有するレンズL4と、負の屈折力を有する両凹レンズL5とを接合した接合レンズにより構成される。
【0079】
第3レンズ群G3は、物体側から順に、正の屈折力を有する物体側群G3aと、開口絞りと、正の屈折力を有する像側群G3bと、から構成される。物体側群G3aは、物体側から順に、物体側に凸面を向けた正の屈折力を有するレンズL6と、正の屈折力を有するレンズL7及び負の屈折力を有する両凹レンズL8を接合した接合レンズと、から構成される。像側群G3bは、物体側から順に、負の屈折力を有するレンズL9と、正の屈折力を有するレンズL10と、物体側に凹面を向けた負の屈折力を有するレンズL11及び正の屈折力を有するレンズL12を接合した接合レンズと、像側に凸面を向けた正の屈折力を有するレンズL13と、から構成される。
【0080】
当該実施例1の光学系において、無限遠物体から近距離物体への合焦の際、第1レンズ群G1と第3レンズ群G3が光軸方向に固定された状態で、第2レンズ群G2が光軸に沿って像面IMG側に移動する。また、手振れ等により撮像時に振動が発生した時には、防振群として、第3レンズ群G3の像側群G3b中のレンズL10を光軸と垂直な方向に動かすことで、像面IMG上の像のブレを補正する。なお、第3レンズ群G3の像側群G3bに含まれるレンズL10を防振群とする代わりに、像側群G3bにおいて最も物体側に配置されるレンズL9を防振群としてもよい。また、これらのレンズに限らず、第3レンズ群G3を防振群としても同様な効果が得られる。
【0081】
なお、図1において、第3レンズ群G3において、物体側群G3aと、像側群G3bとの間に示す「S」は開口絞りである。また、第3レンズ群G3の像面側に示す「CG」はカバーガラスであり、ローパスフィルターや赤外カットフィルター等を表す。また、カバーガラスの像面側に示す「IMG」は像面であり、具体的には、CCDセンサやCMOSセンサなどの固体撮像素子の撮像面、或いは、銀塩フィルムのフィルム面等を示す。これらの符号等は実施例2〜実施例4で示す各レンズ断面図においても同様である。
【0082】
(2)数値実施例
次に、当該光学系の具体的数値を適用した数値実施例について説明する。表1に当該光学系のレンズデータを示す。表1において、「面No.」は物体側から数えたレンズ面の順番(面番号)、「r」はレンズ面の曲率半径、「d」はレンズ面の光軸上の間隔、「Nd」はd線(波長λ=587.6nm)に対する屈折率、「νd」はd線に対するアッベ数をそれぞれ示している。また、表2は、表1に示した光軸上の可変間隔である。また、各条件式(1)〜条件式(9)の数値を表9に示す。なお、各表中の長さの単位は全て「mm」であり、画角の単位は全て「°」である。これらの表に関する事項は実施例2〜実施例4で示す各表においても同様であるため、以下では説明を省略する。
【0083】
図2に当該光学系の無限遠合焦時の縦収差図をそれぞれ示す。それぞれの縦収差図は、図面に向かって左から順に、球面収差、非点収差、歪曲収差を表している。球面収差を表す図では、縦軸は開放F値との割合、横軸にデフォーカスをとり、実線がd線(波長λ=587.6nm)、破線がC線(波長λ=656.3nm)、一点鎖線がg線(波長λ=435.8nm)における球面収差を表す。非点収差を表す図では、縦軸は像高、横軸にデフォーカスをとり、実線がサジタル面、破線がメリジオナル面での非点収差を表す。歪曲収差を表す図では、縦軸は像高、横軸に%をとり、歪曲収差を表す。これらの縦収差図に関する事項は実施例2〜実施例4で示す各縦収差図においても同様であるため、以下では説明を省略する。
【0084】
また、当該光学系の焦点距離(f)、F値(Fno)、半画角(ω)は以下のとおりである。
f =82.500
Fno=1.829
ω =14.835
【0085】
【表1】
【0086】
【表2】
【実施例2】
【0087】
(1)光学系の構成
図3は、本件発明に係る実施例2の光学系の無限遠合焦時におけるレンズ構成を示すレンズ断面図である。当該光学系は、物体側から順に、正の屈折力を有する第1レンズ群G1と、負の屈折力を有する第2レンズ群G2と、正の屈折力を有する第3レンズ群G3とから構成されている。
【0088】
第1レンズ群G1は、物体側から順に、正の屈折力を有するレンズL1と、正の屈折力を有するレンズL2と、負の屈折力を有するレンズL3及び正の屈折力を有する正レンズL4を接合した接合レンズと、から構成される。
第2レンズ群G2は、物体側から順に、物体側に凹面を向けた正の屈折力を有するレンズL5と、負の屈折力を有する両凹レンズL6とを接合した接合レンズにより構成される。
【0089】
第3レンズ群G3は、物体側から順に、正の屈折力を有する物体側群G3aと、開口絞りと、正の屈折力を有する像側群G3bと、から構成される。物体側群G3aは、物体側から順に、物体側に凸面を向けた正の屈折力を有するレンズL7と、正の屈折力を有するレンズL8と、負の屈折力を有する両凹レンズL9と、から構成される。像側群G3bは、物体側から順に、負の屈折力を有するレンズL10と、正の屈折力を有するレンズL11と、物体側に凹面を向けた負の屈折力を有するレンズL12及び正の屈折力を有するレンズL13を接合した接合レンズと、像側に凸面を向けた正の屈折力を有するレンズL14と、から構成される。
【0090】
当該実施例2の光学系において、無限遠物体から近距離物体への合焦の際、第1レンズ群G1と第3レンズ群G3が光軸方向に固定された状態で、第2レンズ群G2が光軸に沿って像面IMG側に移動する。また、手振れ等により撮像時に振動が発生した時には、防振群として、第3レンズ群G3の像側群G3b中のレンズL11を光軸と垂直な方向に動かすことで、像面IMG上の像のブレを補正する。なお、実施例1と同様に、このレンズL11以外のレンズを防振群としてもよいのは勿論である。
【0091】
(2)数値実施例
次に、当該光学系の具体的数値を適用した数値実施例について説明する。表3は、当該光学系のレンズデータであり、表4は、表3に示した光軸上の可変間隔である。また、表9に条件式(1)〜条件式(9)の数値を示す。さらに、図4は、当該光学系の無限遠合焦時の縦収差図である。
【0092】
また、当該光学系の焦点距離(f)、F値(Fno)、半画角(ω)は以下のとおりである。
f =82.500
Fno=1.830
ω =14.835
【0093】
【表3】
【0094】
【表4】
【実施例3】
【0095】
(1)光学系の構成
図5は、本件発明に係る実施例3の無限遠合焦時におけるレンズ構成を示すレンズ断面図である。当該光学系は、物体側から順に、正の屈折力を有する第1レンズ群G1と、負の屈折力を有する第2レンズ群G2と、正の屈折力を有する第3レンズ群G3と、から構成されている。
【0096】
第1レンズ群G1は、物体側から順に、正の屈折力を有するレンズL1と、正の屈折力を有するレンズL2と、負の屈折力を有するレンズL3及び正の屈折力を有するレンズL4を接合した接合レンズと、から構成される。
第2レンズ群G2は、物体側から順に像面側に凸面を向けた正の屈折力を有するレンズL5と、負の屈折力を有する両凹レンズL6とを接合した接合レンズにより構成される。
【0097】
第3レンズ群G3は、物体側から順に、負の屈折力を有する物体側群G3aと、開口絞りと、正の屈折力を有する像側群G3bと、から構成される。物体側群G3aは、物体側から順に、物体側に凸面を向けた正の屈折力を有するレンズL7と負の屈折力を有する両凹レンズL8とを接合した接合レンズにより構成される。像側群G3bは、物体側から順に、正の屈折力を有するレンズL9と、負の屈折力を有する両凹レンズL10と、正の屈折力を有する両凸レンズL11及び負の屈折力を有する両凹レンズL12を接合した接合レンズと、像側に凸面を向けた正の屈折力を有するレンズL13と、から構成される。
【0098】
当該実施例3の光学系において、無限遠物体から近距離物体への合焦の際、第1レンズ群G1と第3レンズ群G3が光軸方向に固定された状態で、第2レンズ群G2が光軸に沿って像面IMG側に移動する。また、手振れ等により撮像時に振動が発生した時には、防振群として、第3レンズ群G3の像側群G3b中のレンズL13を光軸と垂直な方向に動かすことで、像面IMG上の像のブレを補正する。なお、実施例1と同様に、このレンズL13以外のレンズを防振群としてもよいのは勿論である。
【0099】
(2)数値実施例
次に、当該光学系の具体的数値を適用した数値実施例について説明する。表5は、当該光学系のレンズデータであり、表6は、表5に示した光軸上の可変間隔である。また、表9に条件式(1)〜条件式(9)の数値を示す。さらに、図6は、当該光学系の無限遠合焦時の縦収差図である。
【0100】
また、当該光学系の焦点距離(f)、F値(Fno)、半画角(ω)は以下のとおりである。
f =113.000
Fno=1.456
ω =10.632
【0101】
【表5】
【0102】
【表6】
【実施例4】
【0103】
(1)光学系の構成
図7は、本件発明に係る実施例4の光学系の無限遠合焦時におけるレンズ構成を示すレンズ断面図である。当該光学系は、物体側から順に、正の屈折力を有する第1レンズ群G1と、負の屈折力を有する第2レンズ群G2と、正の屈折力を有する第3レンズ群G3と、から構成されている。
【0104】
第1レンズ群G1は、物体側から順に、正の屈折力を有するレンズL1と、正の屈折力を有するレンズL2及び負の屈折力を有するレンズL3を接合した接合レンズと、から構成される。
第2レンズ群G2は、物体側から順に、負の屈折力を有する両凹レンズL4と、像面側に凹面を向けた負の屈折力を有するレンズL5及び正の屈折力を有するレンズL6を接合した接合レンズと、から構成される。
【0105】
第3レンズ群G3は、物体側から順に、負の屈折力を有する物体側群G3aと、開口絞りと、正の屈折力を有する像側群G3bと、から構成される。物体側群G3aは、物体側から順に、物体側に凸面を向けた正の屈折力を有するレンズL7と、負の屈折力を有する両凹レンズL8と、から構成される。像側群G3bは、物体側から順に、正の屈折力を有するレンズL9と、負の屈折力を有するレンズL10と、正の屈折力を有する両凸レンズL11及び負の屈折力を有する両凹レンズL12を接合した接合レンズと、像側に凸面を向けた正の屈折力を有するレンズL13と、から構成される。
【0106】
当該実施例4の光学系において、無限遠物体から近距離物体への合焦の際、第1レンズ群G1と第3レンズ群G3が光軸方向に固定された状態で、第2レンズ群G2が光軸に沿って像面IMG側に移動する。また、手振れ等により撮像時に振動が発生した時には、防振群として、第3レンズ群G3の像側群G3b中のレンズL10を光軸と垂直な方向に動かすことで、像面IMG上の像のブレを補正する。なお、実施例1と同様に、このレンズL10以外のレンズを防振群としてもよいのは勿論である。
【0107】
(2)数値実施例
次に、当該光学系の具体的数値を適用した数値実施例について説明する。表7は、当該光学系のレンズデータであり、表8は、表7に示した光軸上の可変間隔である。また、表9に条件式(1)〜条件式(9)の数値を示す。さらに、図8は、当該光学系の無限遠合焦時の縦収差図である。
【0108】
また、当該光学系の焦点距離(f)、F値(Fno)、半画角(ω)は以下のとおりである。
f =83.300
Fno=1.476
ω =14.665
【0109】
【表7】
【0110】
【表8】
【0111】
【表9】
【産業上の利用可能性】
【0112】
本件発明によれば、小型の撮像システムに好適な小型、高性能、且つ、大口径の光学系及び撮像装置を提供することができる。
【符号の説明】
【0113】
G1 ・・・第1レンズ群
G2 ・・・第2レンズ群
G3 ・・・第3レンズ群
G3a・・・物体側群
G3b・・・像側群
S ・・・開口絞り
CG ・・・カバーガラス
IMG・・・像面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8