【実施例】
【0016】
以下、本発明に係る実施例を、図を用いて説明する。
なお、本実施形態では、上下水道設備を監視するシステムを例にとって説明するものとする。
【0017】
先ず、
図1を用いて本実施例における監視システムの構成について説明する。
図1は、本実施例における監視システムの構成図である。
図1において、PLC監視装置100は、CPUモジュール200と高機能OSモジュール300と入出力モジュール400で構成されたPLCである。よって、高機能OSモジュール300もPLCのモジュールの1つである。
PLC監視装置100は、監視対象900から出力される信号を入出力モジュール400経由で取り込み、取り込まれた信号はCPUモジュール200経由で、高機能OSモジュール300に取り込まれ、高機能OSモジュール300内に蓄積される。
【0018】
高機能OSモジュール300はPLC内部メモリに展開されたデータを読みだしてデータ処理を行って自身に保存を行う。また、WEBサーバ等によるデータの表示機能を有し、ネットワーク接続したパソコンなどの表示機器にデータ表示を行う。すなわち、高機能OSモジュール300は、通信回線1000にて接続した表示装置1100に、蓄積したデータを表示する機能を有している。言い換えれば、高機能OSモジュールは、外部とのデータのやり取りを行う通信機能と、データの保存、表示制御を行う監視機能を有している。なお、使用者に対するインターフェイスは表示装置1100が行う。
【0019】
次に、
図2を用いてPLC監視装置100のハード構成について説明する。
図2において、高機能OSモジュール300は、高機能OSを実装するためのCPU302と主記憶装置303と補助記憶装置304から成るコンピューター301と、データ保存用RAM305とCPUモジュール200との通信インターフェイスであるバスIF用通信コントローラ306を内蔵した通信コントローラ307で構成される。
【0020】
CPU302上で動作するソフトウェアは主記憶装置303を使用して動作をするが、頻繁に更新を行う必要があるデータはデータ保存用RAM305に保存しながら動作を行なう。
【0021】
CPUモジュール200と高機能OSモジュール300、入出力モジュール400はモジュール間の通信を行うための通信バスを内蔵した通信用バスインターフェイス(ベースモジュール)500で接続されている。各モジュール間のインターフェイスはバスインターフェイスとなっており、各モジュール内のメモリを読み書きすることでデータのやり取りを行っている。すなわち、CPUモジュール200のCPU用通信コントローラ202や、高機能OSモジュール300内のバスIF用通信コントローラ306、また、入出力モジュール400内のバスIF用通信コントローラ402は、メモリであり、メモリの特定アドレスをCPUが読み書きすることで通信コントローラとしての機能を有している。
【0022】
なお、近年PLCは小型化が進んでおり、複数の機能を1つのICで処理を行うことは実装面積を削減できる点で利点が大きい。そのため、本実施例では、データ保存用RAM305とバスIF用通信コントローラ306を1つのICメモリで構成することで実装面積を小さくしている。
【0023】
高機能OSモジュールとCPUモジュールの通信にバスインターフェイスを用いて、特定のアドレスに一時データ保存用のRAM305の内容を出力する。すなわち、高機能OSモジュール300のバスでアクセスする領域のうち特定のアドレスエリアがデータ保存用RAM305の内容の領域になっている。CPUモジュール200のユーザープログラム(シーケンスプログラム)は、バスインターフェイス経由で一時データ保存用RAM305の内容を高周期で、定期的に読み出し、CPUモジュールのメモリ203に保存するようにプログラムされている。CPUモジュールは高機能OSモジュールより動作が速いため、高機能OSモジュールが一時データを更新するよりも高周期でデータを読み出すことができるためデータの取りこぼしが防がれる。そして、CPUモジュールのメモリ203は揮発性メモリであるが、電池204から常時電源供給されてデータが保護されているため、電源断中もデータの保持が自動で行われる。そのため、PLC監視装置100が電源断されても一時データはメモリ203内に保持され、電源断によるデータの欠損を防ぐことができる。
【0024】
次に、起動処理の手順を説明する。PLC監視装置100の電源を投入すると、CPUモジュール200と高機能OSモジュール300は同時に起動処理を開始するが、高機能OSモジュール300よりもCPUモジュール200の方が起動時間が短いためCPUモジュール200が先に起動処理を終了する。よって、PLC装置の起動時には、動作の速いCPUモジュール上のユーザープログラムが起動した後、高機能OSモジュールが起動するため、高機能OSモジュールは起動処理の中でCPUモジュールに保存しておいた一時データを読み出して処理を開始することができる。高機能OSモジュール300は、起動処理の中で先に起動完了しているCPUモジュールから一時データを読み出して受け取り、一時データを復元させるデータ復帰を行ってから起動処理を完了する。
【0025】
以上のように、本実施例は、PLCを用いたPLC監視装置であって、PLCは、PLCモジュールとして入出力モジュールとCPUモジュールと高機能OSモジュールを有し、高機能OSモジュール内に一時データを保存するためのRAMを設け、PLCモジュール間の通信にバスインターフェイスを用い、特定のアドレスにRAMの内容を出力するように構成する。
【0026】
また、高機能OSモジュールは、起動処理中にCPUモジュールに保存しておいた一時データを読み出してデータ復帰を行ってから起動処理を完了するように構成する。
【0027】
また、PLCを用いたPLC監視装置に用いられるPLCモジュールである高機能OSモジュールであって、高機能OSを搭載し、一時データを保存するためのRAMを設け、PLCのモジュール間の通信に用いるバスインターフェイスでRAMの内容が出力可能に構成する。
【0028】
また、PLCを用いたPLC監視装置であって、PLCは、PLCモジュールとして入出力モジュールとCPUモジュールと高機能OSモジュールを有し、高機能OSモジュール内に一時データを保存するためのRAMを設け、CPUモジュールのシーケンスプログラムは、RAMの内容を定期的に読み出しCPUモジュールのメモリに保存するようにプログラムされている構成とする。
【0029】
よって、本実施例は、高機能OSモジュールの電源断や再起動処理による一時データの欠損を防ぐことができる。これによって、動作の遅い、高機能OSモジュールを利用してデータ処理を行うPLC監視装置の信頼性を確保することができる。
【0030】
以上実施例について説明したが、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。また、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。