(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記均し動作手段により前記均し動作が所定回数実行されても前記フル可能性状態が検知されたままである場合、前記報知手段は、前記収納部がフル状態である旨を報知することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の貨幣処理装置。
前記均し動作手段は、前記収納部の下部に設けられ、硬貨が積載される繰出ベルトを含み、前記均し動作として、前記繰出ベルトを逆転させる逆転動作および前記繰出ベルトを正転させる正転動作をそれぞれ第1回数および第2回数だけ行い、その後、前記検知部により前記フル可能性状態が検知されない場合は、前記均し動作を終了することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の貨幣処理装置。
前記均し動作手段により前記均し動作が所定回数実行されても、前記フル可能性状態が検知されたままである場合、前記報知手段は、前記収納部がフル状態である旨を報知することを特徴とする請求項9に記載の貨幣処理システム。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明に係る実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、各図において同等の機能を有する構成要素には同一の符号を付す。なお、本願において、「貨幣」とは、「硬貨」、「紙幣」の総称であり、「硬貨」及び「紙幣」の少なくともいずれか一方のことを意味する。
【0023】
<貨幣処理システム1>
まず、本実施形態に係る貨幣処理システム1の全体構成について
図1〜
図3を参照して説明する。
図1および
図2に示すように、貨幣処理システム1は、硬貨の入出金処理を行う硬貨処理機100と、紙幣の入出金処理を行う紙幣処理機200と、硬貨処理機100および紙幣処理機200を管理するPOSレジスタ(管理装置)300とを備えている。硬貨処理機100は硬貨の入出金処理を行い、紙幣処理機200は紙幣の入出金処理を行うように構成されている。以下、硬貨処理機100および紙幣処理機200をまとめて貨幣処理装置ともいう。硬貨処理機100および紙幣処理機200は、例えば釣銭機であり、
図1に示すように、左右方向に並べて配置される。
【0024】
貨幣処理システム1は、
図1および
図2に示すように、棒金を収納するための棒金ドロア506を有する棒金管理機500をさらに備えてもよい。この棒金管理機500は、
図1に示すように硬貨処理機100と一体になっていてもよいし、あるいは、硬貨処理機100と別体であってもよい。
【0025】
図3に示すように、硬貨処理機100は、硬貨処理機100、紙幣処理機200および棒金管理機500を統合して制御する上位制御部101と、硬貨処理機100のみを制御する硬貨制御部102とを有する。上位制御部101及び硬貨制御部102は互いに通信可能に接続されている。また、紙幣処理機200は、紙幣処理機200を制御する紙幣制御部202を有する。この紙幣制御部202は、硬貨処理機100の上位制御部101に通信可能に接続されている。また、棒金管理機500は、棒金管理機500を制御する棒金制御部502を有する。この棒金制御部502は、硬貨処理機100の上位制御部101に通信可能に接続されている。また、POSレジスタ300は、POSレジスタ300を制御するPOS制御部306を有する。このPOS制御部306は、硬貨処理機100の上位制御部101に通信可能に接続されている。
【0026】
硬貨処理機100において硬貨の補充処理(入金処理も含む)、出金処理、精査処理、回収処理等の様々な処理を行うと、硬貨処理機100の硬貨識別部150で識別された結果は硬貨処理機100からPOSレジスタ300に出力されて、当該結果が後述するPOS表示部302で表示される。また、紙幣処理機200において紙幣の補充処理(入金処理も含む)、出金処理、精査処理、回収処理等の様々な処理を行うと、紙幣処理機200の紙幣識別部250で識別された結果も紙幣処理機200から上位制御部101を介してPOSレジスタ300に出力されて、当該結果がPOS表示部302で表示される。また、棒金管理機500から出力される棒金の有無に関する情報、棒金の金種に関する情報等も棒金管理機500から上位制御部101を介してPOSレジスタ300に出力されて、当該情報がPOS表示部302で表示される。
【0027】
次に、紙幣処理機200、棒金管理機500、POSレジスタ300および硬貨処理機100の構成について詳しく説明する。
【0028】
<紙幣処理機200>
紙幣の入出金処理を行う紙幣処理機200の構成について説明する。
【0029】
図1および
図2に示すように、紙幣処理機200は、略直方体形状の紙幣筐体205と、紙幣筐体205の外部から紙幣を入金するための紙幣入金部210と、紙幣入金部210から入金された紙幣を搬送する紙幣搬送部220と、紙幣入金部210から入金された紙幣の金種等を識別する紙幣識別部250と、紙幣搬送部220で搬送された紙幣を金種別に収納するとともに収納された紙幣を繰り出す複数の紙幣収納部260と、入金リジェクト紙幣や紙幣収納部260に収納されていた紙幣を出金するための紙幣出金部290とを備えている。
【0030】
紙幣入金部210は、紙幣が入金されると駆動されて当該紙幣を1枚ずつ紙幣筐体205内に繰り出す入金紙幣操出部(図示せず)を有している。また、紙幣収納部260は、必要に応じて紙幣収納部260から紙幣を1枚ずつ繰り出す出金紙幣繰出部(図示せず)を有している。
【0031】
また、
図2に示すように、紙幣搬送部220には、回収処理を行う際に紙幣収納部260から繰り出された紙幣を収納する回収カセット235が連結されている。ある金種の紙幣収納部260がフル(満杯)状態またはニアフル(ほぼ満杯)状態である場合には、その紙幣収納部260に収納される金種の紙幣はオーバーフロー紙幣として回収カセット235に収納される。
【0032】
また、
図2に示すように、紙幣搬送部220には、例えば紙幣の2枚繰り出し等の搬送異常に起因して、紙幣収納部260から繰り出された紙幣が紙幣識別部250によって識別できない場合に、当該紙幣(出金リジェクト紙幣)を収納する出金リジェクト部230が連結されている。
【0033】
図3に示すように、紙幣処理機200の紙幣制御部202には、インターフェース232、紙幣入金部210、紙幣搬送部220、出金リジェクト部230、紙幣識別部250、紙幣収納部260、紙幣出金部290等が接続されている。そして、紙幣制御部202は、紙幣入金部210、紙幣搬送部220、紙幣識別部250、紙幣収納部260、紙幣出金部290等と信号の送受信を行い、これらを制御するように構成されている。
【0034】
<棒金管理機500>
棒金を収納し、管理する棒金管理機500について説明する。
【0035】
図1および
図2に示すように、棒金管理機500は、棒金筐体505と、棒金筐体505に対して引き出し可能に設けられた棒金ドロア506とを備えている。棒金ドロア506は、棒金を1本ずつ収納する棒金収納部520を複数個有する。また、
図2に示すように、棒金ドロア506の底面には、スリット525が形成されている。なお、この棒金ドロア506内には、棒金以外にもバラ硬貨、紙幣、商品券等も収納することが可能な補助収納領域530が設けられていてもよい。
【0036】
棒金管理機500は、棒金の有無および金種を検知する手段として棒金検知部580をさらに備えている。この棒金検知部580は、棒金ドロア506と棒金筐体505との間に設けられたロータリエンコーダ(変位検出手段)と、棒金筐体505内に設けられたセンサ(いずれも図示せず)とを有する。
【0037】
ロータリエンコーダは、棒金筐体505に対する棒金ドロア506の位置を検出することが可能である。より詳しくは、ロータリエンコーダは、所定の角度ピッチでスリットが設けられた格子円盤と、格子円盤に向けて光を発光する発光部と、発光部で発光され格子円盤のスリットを通過した光を受光する受光素子とを有する。ロータリエンコーダは、受光部で受光された波形に基づいて格子円盤(入力軸)の回転変位を検出し、回転変位量を示す信号を棒金制御部502に出力する。棒金制御部502は、回転変位量から、棒金筐体505に対する棒金ドロア506の引き出し量を把握する。
【0038】
センサは、棒金筐体505の一方の内面(例えば筐体下側の内面)に設けられ、棒金ドロア506に向けて光を発光する発光部と、棒金筐体505の他方の内面(例えば筐体上側の内面)に設けられ、当該発光部によって発光されスリット525を通過した光を受光する受光部とを有する。このセンサにより、棒金の有無が検出される。
【0039】
棒金ドロア506を棒金筐体505から引き出す際に、当該センサの受光部は棒金の移動に応じた形状の光波形を検知する。すなわち、受光部がスリット525を通過した光を検知した後、棒金ドロア506とともに引き出される棒金によって発光部の光が一旦遮断される。さらに棒金が引き出されると、発光部の光が再びスリット525を通過するようになり、受光部が光を検知する。棒金制御部502は、受光部が光を検知しなくなってから再び光を検知するまでの棒金ドロア506の引き出し量を、ロータリエンコーダで検知された回転変量から把握する。これにより棒金の直径が検出される。このようにして棒金の直径を検出することで、棒金の金種の把握することも可能である。
【0040】
なお、棒金収納部520内の棒金の有無および金種を検知する手段としては、上記の方式に限定されない。例えば、各棒金収納部520に、棒金の有無や金種(材質)を検知するセンサを配置してもよい。
【0041】
棒金筐体505には、棒金ドロア506を棒金筐体505に対して閉鎖位置に固定するロック部560(
図3参照)が設けられている。また、本実施形態の棒金管理機500は、棒金筐体505に対して棒金ドロア506が開状態になっているか閉状態になっているかを検知する開閉検知部570(
図3参照)も備えている。
【0042】
棒金管理機500の棒金制御部502には、
図3に示すように、インターフェース532、棒金検知部580、開閉検知部570、ロック部560等が接続されている。そして、棒金制御部502は、棒金検知部580、開閉検知部570、ロック部560等と信号の送受信を行い、これらを制御するように構成されている。
【0043】
<POSレジスタ300>
次に、POSレジスタ300の構成について説明する。POSレジスタ300は、商品の購入情報を登録するとともに、硬貨処理機100や紙幣処理機200に対して硬貨や紙幣の入出金処理を実行させるように構成されている。POSレジスタ300は、例えば、硬貨処理機100および紙幣処理機200上に配置される。
【0044】
図1および
図2に示すように、POSレジスタ300は、店員等の操作者が操作することが可能なPOS操作部304と、POS表示部302とを備えている。操作者は、POS操作部304を介してPOS制御部306に対して様々な指令を与えることが可能である。POS表示部302は、硬貨処理機100における硬貨の処理状況、紙幣処理機200における紙幣の処理状況、硬貨処理機100の内部に収納された硬貨の在高、紙幣処理機200の内部に収納された紙幣の在高および棒金管理機500の内部に収納された棒金の在高等を表示する。
【0045】
図2および
図3に示すように、POSレジスタ300は、サーバ(例えば店舗サーバ)400に通信可能に接続されている。POSレジスタ300からサーバ400に売上金情報等が送信されるように構成されている。また、各種設定情報が、サーバ400からPOSレジスタ300(複数台でも可)に配信されるように構成されている。
【0046】
図3に示すように、POSレジスタ300のPOS制御部306は、硬貨処理機100の上位制御部101に通信可能に接続されているとともに、サーバ400にも通信可能に接続されている。そして、このPOS制御部306は、硬貨処理機100の上位制御部101を介して硬貨制御部102、紙幣制御部202および棒金制御部502に指令を送信する。この結果、POSレジスタ300は、硬貨処理機100に対して硬貨の入出金処理を行わせ、紙幣処理機200に対して紙幣の入出金処理を行わせ、棒金管理機500の棒金ドロア506を開放させる。
【0047】
また、POS制御部306は、上位制御部101を介して、硬貨制御部102、紙幣制御部202および棒金制御部502からそれぞれ、硬貨処理機100、紙幣処理機200および棒金管理機500における硬貨、紙幣および棒金の処理状況や在高に係る情報を受け取る。
【0048】
図3に示すように、POSレジスタ300のPOS制御部306は、インターフェース332を介して、硬貨処理機100の上位制御部101、サーバ400に対して信号の送受信を行う。また、記憶部355には、硬貨処理機100における硬貨の処理状況、硬貨処理機100の内部に収納された硬貨の在高、紙幣処理機200における紙幣の処理状況、紙幣処理機200の内部に収納された紙幣の在高、および棒金管理機500の内部に収納された棒金の在高等の様々な情報が記憶される。
【0049】
なお、POSレジスタ300は、クレジットカード等の各種カードを読み取るカードリーダ360と、プリンタ等からなる印字部370も有している。POS表示部302で表示される情報や記憶部355で記憶されている情報は、当該印字部370で印字することが可能である。
【0050】
また、
図1に示すように、POSレジスタ300には、客(購入者)が視認可能な追加の表示部302aが設けられており、様々な情報を表示部302に表示させる代わりに、あるいは表示部302における表示に加えて、表示部302aに表示させることが可能である。
【0051】
<硬貨処理機100>
次に、硬貨の入出金処理を行う硬貨処理機100の構成について説明する。なお、
図4〜
図7は、本実施形態に係る硬貨処理機100の構成を示すための図面である。また、硬貨処理機において、「上流」とは硬貨の搬送方向の「上流」を意味し、「下流」とは硬貨の搬送方向の「下流」を意味する。
【0052】
硬貨処理機100は、
図1および
図2に示すように、略直方体形状の硬貨筐体105と、硬貨筐体105の外部から硬貨を入金する硬貨入金部110と、硬貨筐体105内に設けられ、硬貨を収納するとともに収納された硬貨を繰り出す硬貨収納部160と、硬貨入金部110から入金された硬貨を1枚ずつ硬貨収納部160まで入金経路に沿って搬送する入金硬貨搬送部120と、入金経路に沿って設けられ、入金硬貨搬送部120により搬送される硬貨を識別する硬貨識別部150と、硬貨収納部160から繰り出された硬貨を出金経路に沿って搬送する出金硬貨搬送部180と、出金経路に繰り出されて出金硬貨搬送部180により搬送された硬貨を出金する硬貨出金部190とを備えている。
【0053】
なお、硬貨入金部110、入金硬貨搬送部120、硬貨識別部150および硬貨出金部190はそれぞれ、特許請求の範囲の「入金部」、「搬送部」、「識別部」および「出金部」に対応する。
【0054】
また、
図1に示すように、硬貨筐体105の上面には、操作者が操作信号を入力したり操作者に所定の情報を表示したりするための操作表示部152が設けられている。この操作表示部152は、例えばタッチパネルで構成されており、操作表示部152に直接触れることで、操作者が操作信号を入力することが可能である。
【0055】
図3に示すように、硬貨処理機100の上位制御部101には、インターフェース132と、操作表示部152と、様々な情報を記憶する記憶部155が接続されている。また、硬貨制御部102には、硬貨入金部110、入金硬貨搬送部120、硬貨識別部150、硬貨収納部160、出金硬貨搬送部180、硬貨出金部190、振分部126,127(127a〜127f),129,186、および検知センサ124,125,185等が接続されている。上位制御部101は、操作表示部152および記憶部155等と信号の送受信を行い、これらを制御するように構成されている。硬貨制御部102は、硬貨入金部110、入金硬貨搬送部120、硬貨識別部150、硬貨収納部160、補助収納部(精査庫)170、出金硬貨搬送部180、硬貨出金部190、振分部126,127(127a〜127f),129,186、および検知センサ124,125,185等と信号の送受信を行い、これらを制御するように構成されている。
【0056】
図4に示すように、硬貨入金部110は、硬貨を投入するための硬貨入金口111と、硬貨を入金経路に繰り出す繰出ベルト112と、硬貨入金口111を開閉するためのシャッター115とを有している。繰出ベルト112は、硬貨入金口111に投入された硬貨、および後述する繰出搬送部171(
図6参照)によって繰り出された硬貨を入金経路に繰り出す。なお、
図4において、繰出ベルト112は硬貨を左方向に向かって繰り出す。
【0057】
入金硬貨搬送部120は、硬貨を支持するピンを有する無端状のピン付きベルト121と、ピン付きベルト121を駆動する駆動ローラ122a〜122eとを有している。ピン付きベルト121は、
図4において反時計回りに硬貨を搬送する。駆動ローラ122a〜122eのうち少なくとも一つには駆動モータ(図示せず)が連結されている。また、入金経路には、入金経路に沿って硬貨が通過したことを検知するための複数の検知センサ124a,124bおよび検知センサ125a〜125fが設けられている。
【0058】
入金硬貨搬送部120のピン付きベルト121は、駆動ローラ122aから
図4の上方向に延びた入金搬送領域121aと、駆動ローラ122bに巻き掛けられて入金搬送領域121aから
図4の右方向に延びた入金搬送領域121bと、入金搬送領域121bから駆動ローラ122cに巻き掛けられた箇所を介して
図4の左方向に延びた入金搬送領域121cと、駆動ローラ122dに巻き掛けられて入金搬送領域121cから
図4の上方向に延びた入金搬送領域121dと、この入金搬送領域121dから駆動ローラ122eに巻き掛けられた箇所を介して
図4の下方向に延びた入金搬送領域121eとを有している。
【0059】
なお、繰出ベルト112で繰り出された硬貨は、入金搬送領域121a、入金搬送領域121b、入金搬送領域121cおよび入金搬送領域121dを経て、硬貨収納部160に収納されることとなる。本実施形態では、
図4に示すように、入金搬送領域121bに硬貨識別部150が設けられている。この硬貨識別部150は、硬貨の金種の識別を行うが、金種以外に、硬貨の真偽、正損、新旧等の識別を行ってもよい。
【0060】
図4に示すように、入金搬送領域121dには、金種別硬貨収納部161a〜161fの各々に対応した検知センサ125a〜125fと、検知センサ125a〜125fからの情報を受けて各金種別硬貨収納部161a〜161fに対応する金種の硬貨を振り分ける複数(本実施形態では6つ)の入金振分部127a〜127fが設けられている。なお、金種別硬貨収納部161a〜161fは、特許請求の範囲の「(複数の)収納部」に対応する。
【0061】
各検知センサ125a〜125fは、対応する金種別硬貨収納部161a〜161fの上流位置に設けられている。例えば、金種別硬貨収納部161aの直前の上流には検知センサ125aが設けられ、金種別硬貨収納部161bの直前の上流には検知センサ125bが設けられている。金種別硬貨収納部161c〜161fについても同様である。
【0062】
検知センサ125a〜125fは、光を発光する発光部と、発光部で発光された光を受光する受光部とを有している。そして、発光部から発光された光が硬貨で遮断されて受光部で受光されないようになることで、硬貨が受光部と発光部との間まで搬送されたことを検知する。一方、発光部から発光された光が硬貨で遮断されなくなり、再び受光部で発光部から発光された光を受光するようになることで、硬貨が受光部と発光部との間を通過したことを検知する。
【0063】
また、検知センサ125aで硬貨の通過が確認されたが下流位置の検知センサ125bで硬貨の通過が確認されなかった場合には、入金振分部127aで硬貨が取り込まれて、入金振分部127aに対応する金種別硬貨収納部161aに硬貨が収納されたと判断される。他の検知センサ125b〜125fについても同様である。
【0064】
硬貨収納部160は、
図4に示すように、硬貨識別部150により識別された硬貨を収納する複数(本実施形態では6つ)の金種別硬貨収納部161a〜161fを有している。金種別硬貨収納部161a〜161fは、水平方向で並列に配置され、金種別に硬貨を収納する。また、金種別硬貨収納部161a〜161fは、収納した硬貨を繰出可能に構成されている。なお、金種別硬貨収納部161a〜161fは、
図4の下から順番に、500円硬貨、100円硬貨、50円硬貨、10円硬貨、5円硬貨および1円硬貨を収納する。金種別硬貨収納部161a〜161fは、対応する硬貨を、例えば100枚〜200枚程度収納することが可能である。
【0065】
金種別硬貨収納部161a〜161fは、
図6に示すように、仕切り板30により仕切られている。また、金種別硬貨収納部161a〜161fごとに繰出ベルト21が設けられている。
【0066】
入金硬貨搬送部120により搬送された硬貨は、振分部127a〜127fにより振り分けられ、金種別硬貨収納部161a〜161fに金種別に収納される。収納された硬貨は繰出ベルト21の上に積載される。より詳しくは、硬貨は、金種別硬貨収納部161a〜161f内に、振分部127a〜127fの鉛直下方近傍に山積みされた状態で収納される傾向にある。
【0067】
出金硬貨搬送部180は、
図6に示すように、硬貨を搬送する無端状の出金搬送ベルト181と、この出金搬送ベルト181を駆動する駆動ローラ182a,182bとを有している。駆動ローラ182aおよび182bのうち少なくとも一つには、駆動モータ(図示せず)が連結されている。出金搬送ベルト181は、
図6の右から左へと硬貨を搬送する。また、リジェクト硬貨用の振分部129の下方には、振分部129で振り分けられた硬貨を硬貨出金部190へ導くためのリジェクト搬送経路129bが設けられている。
【0068】
また、出金硬貨搬送部180は、出金搬送ベルト181の下流側端部の上方に設けられた逆転ローラ187と、出金搬送ベルト181の下流側に設けられ、略水平方向(
図6の左右方向)で延在するガイド板188aと、ガイド板188aの上方に設けられ、ガイド板188aとの間で硬貨を挟持して搬送する出金搬送ベルト188bとを有している。なお、出金搬送ベルト188bはタイミングベルトであり、通路幅の中央で略水平方向(
図9の左右方向)で延在している。
【0069】
硬貨出金部190は、出金硬貨搬送部180の下流側端部、
図6で言うと左側端部に設けられている。この硬貨出金部190は、出金硬貨搬送部180の出金搬送ベルト181で搬送されて硬貨筐体105内から硬貨を繰り出すための出金口191と、出金口191から繰り出された硬貨を受ける出金受け部192とを有している。
【0070】
図6に示すように、硬貨処理機100は、入金経路以外の箇所に設けられた補助収納部170と、この補助収納部170内に収納された硬貨を入金経路の上流位置に繰り出す繰出搬送部171とをさらに備えている。補助収納部170は、出金経路に繰り出された硬貨のうち硬貨出金部190で出金されない硬貨の一部又は全部を収納する。また、補助収納部170内に収納された硬貨は、繰出搬送部171によって入金経路の上流位置にある硬貨入金部110に繰り出されるように構成されている。
【0071】
図5で示すように、出金振分部186は、全ての金種別硬貨収納部161a〜161fの硬貨繰出位置よりも、硬貨出金部190側の位置(すなわち金種別硬貨収納部161aよりも左側の位置)に設けられている。出金振分部186が開状態となって硬貨が出金振分部186に取り込まれることで、当該硬貨は出金経路から外れて補助収納部170に収納されることとなる(
図6参照)。
【0072】
なお、出金振分部186で取り込まれない硬貨は、出金経路をそのまま搬送され、最終的には硬貨出金部190に出金されることとなる。
【0073】
補助収納部170は、硬貨を収納するための補助収納庫177と、出金振分部186の下方に形成され、出金振分部186で振り分けられた硬貨を受け入れる出金側受入口(図示せず)と、この出金側受入口で受け入れられた硬貨を補助収納庫177に導く導入路(図示せず)とを有している。なお、補助収納庫177には、例えば500円硬貨であれば70枚〜150枚程度を収納することが可能である。
【0074】
出金経路において、出金振分部186の直前の上流位置(
図4および
図5において右側の位置)と出金振分部186の下流位置(
図5において左側の位置)の各々には検知センサ185a,185bが設けられており、硬貨の通過を検知することが可能である。各検知センサ185a,185bは、光を発光する発光部と、発光部で発光された光を受光する受光部とを有している。そして、発光部から発光された光が硬貨で遮断されて受光部で受光されないようになることで硬貨が受光部と発光部との間まで搬送されたことを検知し、発光部から発光された光が硬貨で遮断されなくなり、再び受光部で発光部から発光された光を受光するようになることで硬貨が受光部と発光部との間を通過したことを検知する。
【0075】
そして、出金振分部186の下流位置に設けられた検知センサ185bにおいて、発光部から発光された光が硬貨で遮断されて受光部で受光されないようになる回数を計数することで、硬貨出金部190に出金された硬貨の枚数を計数することが可能である。また、出金振分部186の直前の上流位置に設けられた検知センサ185aにおいて、発光部から発光された光が硬貨で遮断されて受光部で受光されないようになる回数を計数し、この回数から、出金振分部186の下流位置に設けられた検知センサ185bで計数された回数を差し引くことで、出金振分部186で振り分けられて補助収納庫177に収納された硬貨の枚数を計数することが可能である。
【0076】
補助収納庫177は、硬貨収納部160の下方に設けられており、その大きさは自由に設計可能である。本実施形態では、
図6に示すように、補助収納庫177が、出金振分部186の下方から100円硬貨を収納するための金種別硬貨収納部161bの下方まで
図6の左右方向で延びている。
【0077】
上述した繰出搬送部171は、その一部が補助収納庫177内に設けられている。この繰出搬送部171は、硬貨を繰り出すための突起を有し、無端状の突起付きベルト172と、突起付きベルト172を駆動する駆動ローラ173a〜173cとを有している。また、駆動ローラ173a〜173cの少なくとも一つには、駆動モータ(図示せず)が連結されている。
【0078】
ここで、硬貨収納部160についてより詳しく説明する。硬貨収納部160は、
図7に示すように、金種別硬貨収納部161a〜161f内に収納された硬貨を繰り出す硬貨繰出部20を有する。この硬貨繰出部20は、硬貨を搬送する無端状の繰出ベルト21と、この繰出ベルト21を駆動する駆動ローラ22a,22bと、回転軸が偏心した揺動ローラ23と、ベルト棒24と、逆転ローラ26とを有している。繰出ベルト21で搬送された硬貨は、
図6で言うと、紙面の裏側から表側に向かって繰り出されることとなる。なお、揺動ローラ23は、回転軸を偏心させたものに限らず、横断面が略多角形(例えば三角形)のものであってもよい。
【0079】
駆動ローラ22a,22bの少なくとも一つには、駆動モータ(図示せず)が連結されている。揺動ローラ23は、繰出ベルト21の動きに合わせて回転し、硬貨の山を効率的に崩すべく、繰出ベルト21上の硬貨を上下に揺動させる。ベルト棒24は、繰出ベルト21が硬貨筐体105内の部材と干渉しないように設けられている。
【0080】
金種別硬貨収納部161a〜161f内の硬貨は、繰出ベルト21により出金硬貨搬送部180の方に搬送され、繰出ベルト21と逆転ローラ26との間の隙間を通る。これにより、硬貨は、1枚ずつ分離された状態で金種別硬貨収納部161a〜161fの外に搬送される。
【0081】
金種別硬貨収納部161aは、
図7に示すように、所定枚数の硬貨が繰り出された際にそれ以上の硬貨が繰り出されないように硬貨の繰り出しをストップさせるためのストッパー40と、繰出ベルト21により繰り出される硬貨の枚数を検知する払出センサ50とを有している。なお、金種別硬貨収納部161b〜161fについても、金種別硬貨収納部161aと同様に構成されている。
【0082】
ストッパー40は、ソレノイドにより電磁駆動されるピンを有し、このピンを繰出ベルト21に向けて駆動することで、硬貨の繰り出しをストップさせる。
【0083】
払出センサ50は、光を発光する発光部と、発光部で発光された光を受光する受光部とを有し、検知センサ125a〜125fで説明したのと同様の方式で動作する。発光部から発光された光が硬貨で遮断されて受光部で受光されないようになる回数を計数することで、払出センサ50は出金硬貨搬送部180に繰り出された硬貨の枚数を計数することが可能である。
【0084】
また、硬貨収納部160には、
図7に示すように、フル可能性状態を検知するための検知部10が設けられている。本実施形態において、フル可能性状態は、金種別硬貨収納部161a〜161fに収納された硬貨の山の、所定位置(すなわち検知部10が設けられている水平位置)における高さが閾値以上である状態である。換言すれば、フル可能性状態は、金種別硬貨収納部161a〜161fのうち少なくともいずれか一つが硬貨で一杯の可能性がある状態である。
【0085】
なお、均し動作によってフル可能性状態が解除される場合がある。本実施形態では、均し動作は、金種別硬貨収納部161a〜161f内に収納された硬貨の山を崩して均す動作のことをいい、収納庫の整理動作とも呼ばれる。一方、均し動作を所定回数行ってもフル可能性状態が解除されない場合、金種別硬貨収納部161a〜161fのうち少なくともいずれか一つが硬貨で一杯である(すなわちフル状態)と判定される。
【0086】
検知部10は、光を発光する発光部と、発光部で発光された光を受光する受光部とを有している。発光部は、
図7の紙面に垂直な方向に光を発光する。そして、発光部から発光された光が、金種別硬貨収納部161a〜161f内の硬貨の山で遮断されて受光部で受光されないようになることで、フル可能性状態が検知される。一方、発光部から発光された光が硬貨の山で遮断されなくなり、再び受光部で発光部から発光された光を受光するようになることで、検知部10は、フル可能性状態が解除されたことを検知する。
【0087】
硬貨処理機100は、検知部10によりフル可能性状態が検知された場合に硬貨の均し動作を行う均し動作手段を備えている。本実施形態では、硬貨繰出部20が均し動作手段として機能する。硬貨繰出部20による均し動作について
図8を参照して説明する。
【0088】
図8は、硬貨の均し動作の一例を示すタイムチャートである。この例では、1回の均し動作として、繰出ベルト21を逆転させる逆転動作と、繰出ベルト21を正転させる正転動作とを各1回行う。
図8は、均し動作を3回実行する場合を示している。ここで、逆転動作は、硬貨の繰出方向とは逆方向に繰出ベルト21を回転させる動作であり、正転動作は、硬貨の繰出方向に繰出ベルト21を回転させる動作である。
【0089】
まず、300ミリ秒の間、繰出ベルト21を
図7の反時計回りに回転させ(すなわち繰出ベルト21を逆転させ)、その後50ミリ秒間、繰出ベルト21を停止させる。これにより、金種別硬貨収納部161a〜161f内の硬貨は駆動ローラ22a側に移動する。次に、500ミリ秒の間、繰出ベルト21を
図7の時計回りに回転させ(すなわち繰出ベルト21を正転させ)、その後50ミリ秒間、繰出ベルト21を停止させる。これにより、金種別硬貨収納部161a〜161f内の硬貨は駆動ローラ22b側に移動する。このように繰出ベルト21を反時計回りおよび時計回りに回転させることで、硬貨の山が均される。
【0090】
なお、均し動作間において、繰出ベルト21の正転時間および逆転時間は互いに異なっていてもよい。例えば
図8の場合、1回目および2回目の均し動作では正転時間が500ミリ秒であるのに対し、3回目の均し動作では正転時間を2500ミリ秒としている。
【0091】
また、均し動作において、始めに繰出ベルト21を正転させ、その後逆転させてもよい。
【0092】
また、均し動作において、繰出ベルト21の正転動作回数および逆転動作回数は任意に決めてもよい。1回の均し動作において、例えば、逆転動作を2回行い、正転動作を1回行うようにしてもよい。より一般的には、1回の均し動作において、繰出ベルト21を逆転させる逆転動作および繰出ベルト21を正転させる正転動作をそれぞれ第1回数N
1および第2回数N
2(N
1,N
2は1以上の整数)だけ行ってもよい。
【0093】
本実施形態では検知部10および繰出ベルト21の駆動機構(駆動モータ等)は金種別硬貨収納部161a〜161f間で共有されているが、検知部10および繰出ベルト21を各金種別硬貨収納部161a〜161fに個別に設けてもよい。これにより、金種ごとにフル可能性状態を検知し、フル可能性状態が検知された金種の硬貨のみを対象にして均し動作を行うことができる。その結果、硬貨処理機100の消費電力を低減させることができる。また、均し動作に伴う騒音を低減し、静粛性を向上させることもできる。
【0094】
また、硬貨の金種に応じて、均し動作の処理内容を変えてもよい。例えば、重い金種の硬貨(500円硬貨等)については、繰出ベルト21の回転時間を比較的長くする、あるいは、繰出ベルト21の回転速度を比較的早くしてもよい。これにより、より効率的に均し動作を実行することができる。
【0095】
上記のように本実施形態では硬貨繰出部20が均し動作手段として機能するが、均し動作手段はこれに限るものではない。例えば、バラ硬貨等が投入される硬貨収納部の下部に設けられ、硬貨を1枚ずつ繰り出すための繰出用回転円盤(図示せず)を回転させることにより、当該円盤上の硬貨の山を均してもよい。あるいは、硬貨収納部内に棒状や板状等の可動部材(図示せず)を設け、当該可動部材で硬貨の山を突いたり押したりすることで硬貨収納部内の硬貨の山を均してもよい。
【0096】
次に、硬貨処理機100の報知手段について説明する。硬貨処理機100は、均し動作手段が均し動作を行っている間、均し動作を実行中である旨を報知する報知手段を備えている。なお、報知手段は、均し動作手段が均し動作を行う際に、均し動作を実行する旨を報知することも可能である。一般的に言えば、報知手段は、均し動作を実行する旨および/または前記均し動作を実行中である旨を報知する。本実施形態では、硬貨処理機100の操作表示部152が報知手段として機能する。
【0097】
なお、紙幣処理機200やPOSレジスタ300が報知手段を備えてもよい。例えば、POSレジスタ300の表示部300および/または追加の表示部302aを報知手段として機能させてもよい。POSレジスタ300の表示部302,302aは硬貨処理機100の操作表示部152よりも大きく、見やすい位置にあるため、メッセージの視認性を向上させることができる。その結果、操作者は、硬貨の均し動作を実行中であることをより容易に認識することができる。この場合、硬貨処理機100は、POSレジスタ300に対し、均し動作を実行中である(または、これから均し動作を実行する)ことを示す情報を送信してもよいし、あるいは、単にフル可能性状態が検知されたことを示す情報を送信してもよいし、あるいは、均し動作実行中である旨(または均し動作を実行する旨)を示す文字情報を送信してもよい。
【0098】
また、報知手段は、タッチパネルや液晶ディスプレイ等の表示手段に限らず、スピーカやプリンタ等であってもよい。報知手段がスピーカの場合、均し動作を実行する際に、「均し動作中です。しばらくお待ち下さい。」等の音声メッセージを出力する。また、この場合、報知手段は、均し動作によりフル可能性状態が解除され、補充処理を再開する際に、「補充動作を再開します。」との音声メッセージを出力したり、フル状態と判定された際に、「補充動作を完了します。余った硬貨を回収して下さい。」との音声メッセージを出力してもよい。
【0099】
また、報知手段は、貨幣処理装置に設けられてもよいし、貨幣処理装置の管理装置(POSレジスタ300、入出金機の管理用パソコン等)に設けられてもよい。
【0100】
<硬貨処理機100の補充処理動作>
次に、
図9のフローチャートを参照して、上述した硬貨処理機100の硬貨補充処理の一例について説明する。なお、処理フローの初期状態として、操作表示部152またはPOSレジスタ300を介して操作者により、硬貨の補充処理操作が選択されているものとする。
【0101】
まず、硬貨入金部190に硬貨が投入された場合(ステップS1:Yes)、投入硬貨の繰り出し、識別、振分を行い(ステップS2)、そうでない場合、ステップS3に進む。ステップS2では、硬貨入金部110の硬貨投入口111に投入された硬貨が繰出ベルト112により1枚ずつ入金経路に繰り出され、硬貨識別部150により識別され、入金振分部127a〜127fにより金種ごとに振り分けられ、金種別硬貨収納部161a〜161fに収納される。なお、硬貨識別部150により異常な硬貨であると識別された硬貨は、リジェクト硬貨用の振分部129により振り分けられ、硬貨出金部190に出金される。
【0102】
硬貨補充処理を実行している間、報知手段(例えば硬貨処理機100の操作表示部152)は、
図10に示すように、硬貨を補充中である旨(「補充中です」)を報知する。
【0103】
ステップS3では、操作者による終了指示がある場合には補充処理を終了し(ステップS3:Yes)、そうでない場合はステップS1に戻る。
【0104】
検知部10がフル可能性状態を検知した場合(ステップS4:Yes)、繰出ベルト112による投入硬貨の繰出処理を停止する(ステップS5)。そうでない場合(ステップS4:No)、ステップS1に戻る。なお、検知部10が金種別硬貨収納部161a〜161fに個別に設けられている場合、ステップS4においていずれかの検知部10がフル可能性状態を検知した場合、ステップS5に進む。
【0105】
ステップS5の後、リトライ回数を示す変数iに所定の値(ここでは3)を設定する(ステップS6)。
【0106】
次に、報知手段が、均し動作を報知する(ステップS7)。例えば、硬貨処理機100の操作表示部152またはPOSレジスタ300の表示部302,302aは、
図11に示すように、均し動作を実行中である旨(「収納庫を整理中です しばらくお待ち下さい」)を報知する。あるいは、操作表示部152またはPOSレジスタ300の表示部302,302aは、「これから、収納庫の整理を行います しばらくお待ち下さい」というメッセージを表示してもよい。これにより、操作者は、硬貨の繰出処理が停止しても、均し動作によるものであることを容易に把握できる。
【0107】
次に、均し動作手段が、均し動作を実行する(ステップS8)。本実施形態では、繰出ベルト21に溜まった硬貨の山を均すため、硬貨制御部102が硬貨繰出部20を制御して繰出ベルト21を正転および逆転させる。均し動作を1回行った後、検知部10がフル可能性状態を検知しているかどうかを判定する(ステップS9)。この判定は、
図8の例では、正転(1)を実行後の50ミリ秒の停止時間に行う。
【0108】
均し動作実行後も検知部10がフル可能性状態を検知している場合(ステップS9:Yes)、ステップS10に進む。一方、フル可能性状態を検知しなくなった場合(ステップS9:No)、報知手段が均し動作の報知を終了し(ステップS11)、ステップS1に戻って補充処理を再開する。
【0109】
ステップS10では、フル可能性状態の検知が連続3回目であるかどうかを判定する。フル可能性状態の検知が連続3回目である場合(ステップS10:Yes)、リトライ回数の変数iを1つ減らす(ステップS12)。そうでない場合(ステップS10:No)、ステップS8に戻って再度均し動作を実行する。
【0110】
ステップS12でリトライ回数の変数iを1つ減らした後、リトライ回数の変数iが0であるかどうかを判定する(ステップS13)。
【0111】
リトライ回数の変数iが0である場合(ステップS13:Yes)、報知手段が、フル状態、すなわち金種別硬貨収納部161a〜161fのうち少なくともいずれか1つが一杯である旨を報知する(ステップS14)。例えば、
図12に示すように、硬貨処理機100の操作表示部152またはPOSレジスタ300の表示部302,302aは、金種別硬貨収納部が一杯である旨(「収納庫異常(フル状態)」)を報知する。フル状態になると、操作者は、操作表示部152に表示されたガイダンスに従って、硬貨投入口111や繰出ベルト112等に残った硬貨を手作業で回収する。なお、手作業によらず、硬貨処理機100が硬貨投入口111や繰出ベルト112等に残った硬貨を搬送して、補助収納部170に収納したり、あるいは硬貨出金部190に出金するようにしてもよい。
【0112】
一方、ステップS13においてリトライ回数の変数iが0でない場合(ステップS13:No)、ステップS8に戻って再度均し動作を実行する。このようにして、均し動作は最大9回(=3×3)実行される。
【0113】
上記のように、均し動作手段により均し動作が所定回数(本実施形態では9回)実行されても、フル可能性状態が検知されたままである場合に、報知手段は、硬貨収納部160が一杯である旨(フル状態)を報知する。
【0114】
なお、上記処理フローにおいて、ステップS5〜S8の実行順序は任意である。例えば、均し動作を開始した後、均し動作を実行中である旨を報知してもよい。
【0115】
また、検知部10が金種別硬貨収納部161a〜161fに個別に設けられている場合は、報知手段はフル状態と判定された金種の金種別硬貨収納部が一杯である旨を報知してもよい。例えば、報知手段は、「10円硬貨の収納庫が一杯です。これ以上10円硬貨を補充することはできません。」と報知する。この場合、フル状態が検知された金種のみを硬貨出金部190に出金し(あるいは補助収納部170に収納し)、他の金種の硬貨については補充処理を継続してもよい。
【0116】
また、
図13に示すように、報知手段は、均し動作を実行中である旨をポップアップ表示により報知してもよい。これにより、メッセージの視認性を向上させることができ、操作者は、硬貨の均し動作を実行中であることをより容易に認識することができる。
【0117】
また、検知部10が金種別硬貨収納部161a〜161fに個別に設けている場合には、
図13に示すように、報知手段は、均し動作を行っている硬貨の金種を報知してもよい。これにより、操作者は、実行中の均し動作について、より詳しく把握することができる。
【0118】
また、
図14に示すように、報知手段は、均し動作の実行回数を報知してもよい。これにより、操作者は、均し動作の進行状況を把握することができる。また、補充処理を再開するまでに実行された均し動作の回数から、操作者は、金種別硬貨収納部の空き具合を推定することができる。
【0119】
上記のように、本実施形態では、報知手段が、均し動作を実行する旨および/または均し動作を実行中である旨を報知する。このため、硬貨の補充処理が急に停止しても操作者は均し動作によるものであることが容易に把握でき、慌てずに均し動作の終了を待つことができる。よって、本実施形態によれば、均し動作の実行に伴う操作者の困惑を軽減し、誤対応を防止することができる。
【0120】
また、本実施形態では、均し動作手段は、1回の均し動作として、繰出ベルト21を逆転させる逆転動作および繰出ベルト21を正転させる正転動作をそれぞれ1回ずつ行い、1回の均し動作が終わるたびにフル可能性状態を検知しているかどうかを判定する。これにより、均し動作の待ち時間を短縮することができる。例えば、
図8の例において、正転(3)が終了したときに判定を行う場合には、補充処理を再開するまでに最短でも約5秒かかる。これに対し、1回の均し動作で繰出ベルト21の逆転動作および正転動作をそれぞれ1回ずつ行い、1回の均し動作が終わるたびにフル可能性状態を検知しているかどうかを判定する場合、最短で約1秒足らずで補充処理を再開することができる。
【0121】
<補充処理動作の変形例>
次に、補充処理動作の変形例について、
図15のフローチャートを参照して説明する。本変形例は、金種別硬貨収納部に収納された硬貨を補助収納部170に退避させる点が前述の補充処理動作と異なる。補助収納部170に退避させることで、補充処理を継続させることが可能である。
【0122】
ステップS13(リトライ回数の変数iが0であるかどうかの判定)までは前述の補充処理と同様であるので、その後の処理から説明を始める。
【0123】
リトライ回数の変数iが0でない場合(ステップS13:No)、前述の補充処理と同様に、ステップS8に戻って再度均し動作を実行する。一方、リトライ回数の変数iが0である場合(ステップS13:Yes)、上位制御部101または硬貨制御部102が退避動作を実施するかどうかを判定する(ステップS17)。ここで、「退避動作」とは、硬貨収納部160の硬貨の少なくとも一部を補助収納部170に搬送することをいう。
【0124】
ステップS17の判定は、操作者が予め硬貨処理機100に設定し記憶部155に保存された情報に基づいて行う。なお、報知手段が退避動作を行うかどうかを報知し、操作者が入力した情報に基づいて判定を行ってもよい。
【0125】
退避動作を実施する場合(ステップS17:Yes)、報知手段は退避動作を実行中である旨を報知する(ステップS18)。
図16に示すように、報知手段(例えば操作表示部152またはPOSレジスタ300の表示部302,302a)は、退避動作を実行中である旨(「あふれ金BOXへ搬送中です」)を報知する。ここで、「あふれ金BOX」は補助収納部170を指している。
【0126】
なお、報知手段は、退避動作を実行する際に、退避動作を実行する旨を報知してもよい。例えば、操作表示部152またはPOSレジスタ300の表示部302,302aは、「これから、あふれ金BOXへの搬送を行います」というメッセージを表示する。
【0127】
次に、硬貨制御部102が硬貨収納部160、出金硬貨搬送部180および補助収納部170を制御して、硬貨収納部160内の硬貨を補助収納部170に搬送する(ステップS19)。
【0128】
ステップS19の後、リトライ回数を示す変数iに所定の値(ここでは1)を設定する(ステップS20)。ステップS20の後、ステップS8に戻って再度均し動作を実行する。なお、ステップS19の後、ステップS20に進むのではなく、ステップS1に戻って補充処理を再開するようにしてもよい。
【0129】
一方、退避動作を実施しない場合(ステップS17:No)、前述の補充処理と同様に、報知手段が、フル状態、すなわち金種別硬貨収納部161a〜161fのうち少なくともいずれか1つが一杯である旨を報知する(ステップS14)。
【0130】
なお、ステップS18とステップS19の実行順序は任意である。すなわち、補助収納部170への硬貨搬送を開始してから、報知手段は退避動作を実行中である旨を報知してもよい。
【0131】
上記のように、補充処理の変形例では、均し動作手段により均し動作が所定回数(本実施形態では9回)実行されても、フル可能性状態が検知されたままである場合、報知手段は退避動作を実行中である旨を報知する。これにより、操作者は、均し動作が停止しても、退避動作によるものであることを容易に把握できる。
【0132】
なお、上記実施形態の説明では、釣銭機を例にとって説明したが、本発明の貨幣処理装置はこれに限られるものではない。例えば、本発明の貨幣処理装置は、店舗のバックヤードに設置され、売上金を入金したり、釣銭準備金を出金する貨幣入出金機であってもよい。
【0133】
上記の記載に基づいて、当業者であれば、本発明の追加の効果や種々の変形を想到できるかもしれないが、本発明の態様は、上述した実施形態に限定されるものではない。特許請求の範囲に規定された内容及びその均等物から導き出される本発明の概念的な思想と趣旨を逸脱しない範囲で種々の追加、変更及び部分的削除が可能である。