(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
専用のモニタ装置を設置する方法では、モニタ装置を設置して観測を開始し、該当の故障が生じた旨の連絡を顧客から受けたら、該モニタ装置を回収して解析するので、サービスマンによる設置と回収の少なくとも2回の出張が必要になり、手間がかかる。また、家庭用の燃焼装置に、大型装置と同様の遠隔監視システムを導入することは難しい。
【0007】
ところで、近年、普及が著しいスマートフォンやタブレット端末などの携帯型情報処理端末は、ネットワークを介した通信機能やGPS機能、など多様な機能を備えているので、再現性の悪い故障のモニタ装置としてこれを活用することが望まれる。
【0008】
本発明は、上記の問題を解決しようとするものであり、再現性の悪い故障の原因を突き止めるための情報を収集するように携帯型情報処理端末を機能させるプログラムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
かかる目的を達成するための本発明の要旨とするところは、次の各項の発明に存する。
【0010】
[1]携帯型情報処理端末を、
燃焼装置の故障の原因になる所定の環境要素の状況を検出する検出部、
前記携帯型情報処理端末が前記燃焼装置の設置場所の周辺に存在するか否かを判定する位置判定部、
前記携帯型情報処理端末が、前記燃焼装置の設置場所の周辺に存在する場合に前記検出部による検出結果のログを記録する記録部、
として機能させ、
前記環境要素は、無線電波によるノイズを含み、
前記検出部は、前記携帯型情報処理端末が備えるタッチセンサのノイズ耐性処理の稼働状況に基づいて前記ノイズのレベルを推定する
ことを特徴とするプログラム。
【0011】
上記発明では、携帯型情報処理端末を利用して、燃焼装置の故障の原因になる各種の環境要素、たとえば、温度、湿度、高周波ノイズレベルなどのログを取る。
特に上記発明では、無線ノイズは、再現性の悪い故障の原因になり得るので、そのログを取る。また、携帯型情報処理端末が備えるタッチセンサは、高周波ノイズの影響でタッチ操作を誤検知しないように、感度の調整などのノイズ耐性処理を行っている。そこで、本発明のプログラムは、タッチセンサのノイズ耐性処理の稼働状況から無線ノイズのレベルを推定する。
【0013】
上記発明では、携帯型情報処理端末は使用者に所持されて各所に持ち運ばれるので、携帯型情報処理端末が燃焼装置の設置場所の近傍に存在する場合にその場所の環境要素のログを取る。
[2]携帯型情報処理端末を、
燃焼装置の故障の原因になる所定の環境要素の状況を検出する検出部、
前記携帯型情報処理端末が前記燃焼装置の設置場所の周辺に存在するか否かを判定する位置判定部、
前記燃焼装置から故障の発生を示す故障情報を取得する故障情報取得部、
前記携帯型情報処理端末が、前記燃焼装置の設置場所の周辺に存在する場合に前記検出部による検出結果のログと前記故障情報とを時間的に対応付けて記録する記録部、
として機能させる
ことを特徴とするプログラム。
上記発明では、故障の発生時刻と、その時刻のログとを対比することで故障の原因を推定することが可能になる。
[3]前記携帯型情報処理端末を、
前記記録部に記録されている前記故障情報と前記ログとに基づいて、前記故障情報が示す故障の原因を推定する推定部としてさらに機能させる
ことを特徴とする[2]に記載のプログラム。
[4]前記環境要素は、無線電波によるノイズを含み、
前記検出部は、前記携帯型情報処理端末が備えるタッチセンサのノイズ耐性処理の稼働状況に基づいて前記ノイズのレベルを推定する
ことを特徴とする[2]または[3]に記載のプログラム。
【0014】
[
5]前記携帯型情報処理端末は、全地球測位システムによって自端末の位置を認識する機能を備え、
前記携帯型情報処理端末を、前記全地球測位システムによって認識した自端末の位置の履歴に基づいて、前記燃焼装置の設置場所を特定する設置場所特定部としてさらに機能させる
ことを特徴とする
[1]乃至[4]のいずれか1つに記載のプログラム。
【0015】
上記発明では、携帯型情報処理端末のGPS機能を利用して、使用者の自宅の場所を推定し、その場所を燃焼装置の設置場所に特定する。
【0018】
[
6]前記環境要素は、気温、湿度の少なくとも一方を含む、
ことを特徴とする[1]乃至[
5]のいずれか1つに記載のプログラム。
【0019】
上記発明では、気温や湿度が、異常に高い又は低い状況は、再現性の悪い故障の原因になり得るので、それらのログをとる。
【発明の効果】
【0023】
本発明に係るプログラムによれば、携帯型情報処理端末を利用して、再現性の悪い故障の原因を突き止めるための情報を収集することができる。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面に基づき本発明の実施の形態を説明する。
【0026】
図1は、本発明の実施の形態に係る風呂給湯器システム8の構成例を示している。風呂給湯器システム8は、燃焼装置としての風呂給湯器10と、タブレット端末やスマートフォンなどの携帯型情報処理端末30を備えて構成される。携帯型情報処理端末30には、該携帯型情報処理端末30を、風呂給湯器10のリモートコントローラとして機能させるためのアプリケーションプログラム(風呂給湯器アプリと略する)がインストールされている。
【0027】
風呂給湯器10は、給水を加熱して所定の出湯栓3へ出湯する機能、浴槽2へ注湯(湯張り)する機能、浴槽2内の湯水を追い焚きする機能などを備えている。また、設定された予約時刻になったら浴槽2へ湯張りする風呂の予約機能を有している。
【0028】
風呂給湯器10は、ガス供給会社等のガス供給源から供給される燃焼ガスをバーナ(燃焼部)11で燃焼させて熱交換器12を加熱する。給水は、熱交換器12の水管を通る際に熱交換器12から受熱して昇温される。
【0029】
風呂給湯器システム8の使用者の自宅には、インターネットに接続された無線ルータ6が設けられ、風呂給湯器10と携帯型情報処理端末30はこの無線ルータ6が提供する無線LAN(Local Area Network)に接続されている。この接続において、風呂給湯器10のゲートウエイアドレス(無線LANルータ6のLAN側アドレス)と携帯型情報処理端末30のゲートウエイアドレスを一致させる(風呂給湯器10と携帯型情報処理端末30とをホームネットワークに接続する)。風呂給湯器10と携帯型情報処理端末30は無線ルータ6を介した無線LANを通じて通信する。
【0030】
無線ルータ6を介することで、風呂給湯器10と携帯型情報処理端末30が通信可能な距離は、一定距離以内(例えば、携帯型情報処理端末30の自宅及びその周辺)に制限される。
【0031】
インターネットには、各種のWebサーバが接続されており、携帯型情報処理端末30は、インターネット上の任意のWebサイト7から各種の情報を取得することができる。
【0032】
風呂給湯器10は、当該風呂給湯器10の動作を制御する制御基板14を備えている。制御基板14は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)を主要部として構成されており、CPUがROMに格納されているプログラムを実行することで、風呂給湯器10として機能が実現される。制御基板14は、無線LANに接続して通信するための通信I/F(Interface)、風呂給湯器10が備える各センサの検出値を入力する入力I/F、ガス比例弁、送風ファンなどに制御信号を出力する出力I/F等を備えている。
【0033】
風呂給湯器10は自装置の動作状態を監視し、故障の発生を検出する。たとえば、故障の発生として、点火不良が生じたことなどを検出する。故障の発生を検出した場合、風呂給湯器10は、故障の発生および故障の内容を携帯型情報処理端末30に通知するようになっている。
【0034】
携帯型情報処理端末30は、風呂給湯器アプリを使用することで、風呂給湯器10のリモートコントローラとして機能する。すなわち、風呂給湯器10の運転に関する指示を使用者から受け付ける機能および風呂給湯器10の運転状態を表示する機能などを果たす。たとえば、給湯温度の設定、風呂温度の設定、風呂の予約設定、風呂の自動運転(浴槽2に注湯し、風呂設定温度に保持する機能)のオン/オフ、などの指示を受け付けたり、これらに関する情報やエラー情報を表示したりする。
【0035】
また、携帯型情報処理端末30は、風呂給湯器アプリを実行することで、再現性の悪い故障の原因を突き止めるために、故障の原因になる所定の環境要素の状況を検出し、その検出結果のログを記録する機能、および該ログを解析して故障の原因を推定する機能等を果たす。なお、再現性の悪い故障の修理依頼を受けた時に、利用者の携帯型情報処理端末30に風呂給湯器アプリが入っていない場合には、インストールを依頼して、ログを取れるようにする。
【0036】
風呂給湯器10のリモコンとして機能する携帯型情報処理端末30は、使用者から受け付けた設定や指示の内容を風呂給湯器10に送信する。また、風呂給湯器10から各種の情報を受信して表示する。
【0037】
図2は、携帯型情報処理端末30の概略構成を示している。携帯型情報処理端末30は、当該携帯型情報処理端末30の動作を統括制御する制御部としてのCPU31を備えている。CPU31には、ROM32、RAM33、不揮発メモリ34、操作部35、表示部38、通信部39、姿勢検出部41、GPS機能部42、音声出力部43、カメラ(カメラデバイス)44などが接続されている。
【0038】
ROM32には、各種の固定データが格納される。不揮発メモリ34は、電源をオフにしても記憶内容を保持する書き換え可能なメモリであり、OS(Operating System)のプログラム、風呂給湯器アプリを含む各種のアプリケーションプログラム、各種の設定内容などが記憶される。
【0039】
CPU31が不揮発メモリ34に格納された風呂給湯器アプリを実行することで、携帯型情報処理端末30は風呂給湯器10のリモコンとして機能する、また、故障情報や故障の原因になる所定の環境要素のログを記録する機能、故障の原因を推定する機能を果たす。
【0040】
RAM33はCPU31がアプリケーションプログラムを実行する際に各種のデータを一時的に格納するワークメモリや表示データを一時記憶するメモリとして使用される。
【0041】
表示部38は、操作画面や設定画面等を表示可能な液晶ディスプレイなどで構成される。
【0042】
操作部35は、ユーザから各種の操作を受け付ける機能を果たす。操作部35は、表示部38の画面上に設けられ、指やペンなどによって押下された位置を検出するタッチセンサ(タッチパネル)36のほか、少数のハードキーなどで構成される。コントロールユニット37はタッチセンサ36の感度の調整やノイズキャンセル等を行う。
【0043】
通信部39は、無線LANによって風呂給湯器10や他の外部装置、インターネット上のWebサイト7と通信する機能を果たす。
【0044】
姿勢検出部41は、ジャイロや加速度センサを利用して携帯型情報処理端末30の姿勢を検出する。姿勢検出部41により、携帯型情報処理端末30が縦長の向きで使用されているか、横長の向きで使用されているか、携帯型情報処理端末30がユーザに所持されているか、どこかに置かれているか等が検出される。
【0045】
GPS機能部42は、全地球測位システム(GPS:Global Positioning System)を利用して、携帯型情報処理端末30の現在の位置(緯度、経度等)を特定する機能を果たす。
【0046】
音声出力部43は、アンプ、スピーカを備え、電気的な音声信号を音波に変換して出力する。カメラ(カメラデバイス)44は、映像を撮影する機能を果たし、携帯型情報処理端末30の背面に、あるいは背面と正面にそれぞれ設けられる。
【0047】
風呂給湯器アプリによって動作する携帯型情報処理端末30は、風呂給湯器10の故障の原因になる所定の環境要素の状況を検出する検出部、検出部による検出結果のログを記録する記録部、風呂給湯器10から故障の発生を示す故障情報を取得する故障情報取得部、記録部に記録されている故障情報とログとに基づいて故障情報が示す故障の原因を推定する推定部、としての機能を果たす。
【0048】
次に、風呂給湯器システム8において、再現性の悪い故障の原因を突き止めるために、気温(温度)、湿度、ノイズ等の環境要素の状況のログと故障の発生情報とを時間的に対応付けて記録する記録処理について説明する。
【0049】
図3は、記録処理の概略を示す流れ図である。まず、風呂給湯器アプリに基づいて動作する携帯型情報処理端末30は、風呂給湯器10の設置場所を特定する(ステップS101、設置場所特定部)。設置場所の特定は以下のように行う。
【0050】
(1)ユーザに自宅の位置を指定させる方法
たとえば、ユーザが風呂給湯器10の設置場所の近く(たとえば、ユーザの自宅のリビング)に居るときに、風呂給湯器アプリが稼働している携帯型情報処理端末30に対して、現在自宅に居る旨の入力操作をユーザに行ってもらい、GPS機能を使用して、そのときの携帯型情報処理端末30の位置の緯度、経度を取得し、これを風呂給湯器10の設置場所に特定する。
【0051】
(2)ユーザの行動パターンからユーザの自宅(自宅=風呂給湯器10の設置場所)を特定する方法
たとえば、携帯型情報処理端末30が備えるGPS機能を利用して、携帯型情報処理端末30の位置の履歴を記録し、該履歴を解析してユーザの自宅の位置(風呂給湯器10の設置場所)を特定する。
【0052】
携帯型情報処理端末30の位置の履歴の解析は、たとえば、以下のような条件で行う。
【0053】
・一定時間以上、同じ姿勢が継続している、
・夜間である、
・携帯型情報処理端末30が充電中である、
・毎日、同じ場所に戻ってきている、
・風呂の自動運転が行われている時間に居る場所である、
・風呂給湯器10と通信可能な状態のときに居る場所である、
などの条件から、自宅に居ると推定されたときのGPS情報から自宅の場所(≒風呂給湯器10の設置場所)を特定する。
【0054】
なお、住所等をユーザに入力させることで、風呂給湯器10の設置場所を特定してもよい。
【0055】
次に、風呂給湯器アプリで動作する携帯型情報処理端末30は、再現性の悪い故障の原因となる環境要素のログや故障情報の記録を開始する旨の指示(記録開始指示)をユーザから受けるのを待つ(ステップS102;No)。携帯型情報処理端末30の操作部35にて記録開始指示を受けたら(ステップS102;Yes)、携帯型情報処理端末30の現在位置をGPS機能で取得し、現在位置が風呂給湯器10の設置場所の近傍か否かを判定する(ステップS103)。
【0056】
なお、携帯型情報処理端末30が風呂給湯器10と無線LAN等を介して通信可能な場合は、風呂給湯器10の設置場所の近くに携帯型情報処理端末30が存在すると判定してもよい。この判定方法の場合、風呂給湯器10の設置場所を特定しなくてもよい。
【0057】
携帯型情報処理端末30の現在位置が、風呂給湯器10の設置場所の近傍でなければ(ステップS103;No)、故障原因のログや故障情報の記録を行わずに、ステップS111に移行する。
【0058】
携帯型情報処理端末30の現在位置が、風呂給湯器10の設置場所の近傍の場合は(ステップS103;Yes)、故障の原因になる所定の環境要素の状況を示す情報を収集して記録する(ステップS104〜S106)。具体的には、風呂給湯器10の設置場所の周辺の気温、湿度等の気象情報と(ステップS104)、無線電波によるノイズレベルを取得し(ステップS105)、該取得した気象情報と、ノイズレベルと、これらの計測日時とを対応付けたものをログとして不揮発メモリ34に記録する。
【0059】
気象情報の取得は、次のようにして行う。
・携帯型情報処理端末30が、温度、湿度を検出するセンサを備える場合には、それらのセンサの検出値から風呂給湯器10の設置場所の気温や湿度を取得する。温度センサが携帯型情報処理端末30の内部温度を検出する場合は、検出された内部温度を補正して周囲の気温を推定する。
・インターネット上の所定のWebサイト7にアクセスして、風呂給湯器10の設置場所の気温、湿度の情報を取得する。
【0060】
ノイズレベルは、タッチセンサ36のコントロールユニット37によるノイズ耐性処理の稼働状況から検出(推定)する。コントロールユニット37は、周囲の無線ノイズの影響を受けてタッチセンサ36が誤検知しないように、ノイズ耐性処理を行う。ノイズ耐性処理は、無線ノイズを検出し、検出した無線ノイズのレベルに応じて、タッチセンサ36の感度やマルチタッチキャンセル処理の設定等を変更する。そこで、風呂給湯器アプリは、タッチセンサ36のコントロールユニット37が行うノイズ耐性処理の稼働状況を調べて無線電波によるノイズレベルを検出(推定)する。
【0061】
ノイズ耐性処理では、閾値調整、ドリフト補正、マルチタッチキャンセル処理、計測周期の調整、などが行われるので、それらの状況から無線ノイズのレベルを推定する。
【0062】
たとえば、閾値調整では、非タッチ時の計測値の平均値とタッチ時の計測値との差分と比較される閾値を調整する。上記差分が閾値を超える場合にタッチ状態と判定される。閾値はタッチ感度と共にノイズに対する余裕度に影響を与える。コントロールユニット37は、ノイズレベルが高くなると、閾値を高めるように閾値調整を行うので、風呂給湯器アプリは、コントロールユニット37が設定している閾値からノイズレベルを推定することができる。
【0063】
また、強い高周波ノイズを受けると、タッチセンサ36の電極にノイズが一様に印加されてタッチが多点で発生したとの誤検知が生じる。コントロールユニット37は、ノイズレベルが高いときには、上記の誤検知を防止するためにマルチタッチキャンセル処理(複数箇所で同時にタッチを受けた場合にそれらのタッチを無効にする処理)を実施するので、風呂給湯器アプリは、コントロールユニット37がマルチタッチキャンセル処理を稼働させているか否かに基づいてノイズレベルを推定する。
【0064】
このように、タッチセンサ36のコントロールユニット37によるノイズ耐性処理の稼働状況に基づいて、高周波ノイズ(無線電波によるノイズ)の発生状況(ノイズレベル)を推定するので、高周波ノイズを検出するためのセンサを別途設けることなく、ノイズレベルを認識することができる。
【0065】
風呂給湯器アプリで動作する携帯型情報処理端末30は、上記のようにして取得した気温、湿度、ノイズレベル等の情報を、これらの計測日時と対応付けて不揮発メモリ34にログとして記録する(ステップS106)。
【0066】
次に、風呂給湯器10から故障発生の情報を受信したか否かを調べ(ステップS107)、故障発生の情報を受信した場合は(ステップS107;Yes)、故障の内容と故障の発生時刻を記録(不揮発メモリ34に記憶)する(ステップS108)。
【0067】
次に、ログの記録モードが全記録モードに設定されているか否かを調べる(ステップS109)。全記録モードの場合は(ステップS109;Yes)、ステップS111に移行する。全記録モードでは、すべてのログが消去されずに残される。
【0068】
全記録モードでなければ(ステップS109;No)、故障発生時を中心にその前後の所定期間のログのみを残し、それ以外の期間のログは削除して(ステップS110)、ステップS111に移行する。たとえば、故障発生時刻の前後10分間のログを残し、それ以外のログは不揮発メモリ34から削除する。これにより、不揮発メモリ34の記憶領域の消費を抑えることができる。記録を取る期間が長くなった場合でも、不揮発メモリ34の容量不足でログを記録できないといった事態が回避される。
【0069】
ステップS111では、記録終了の指示を受けたか否かを判定し、記録終了の指示を受けていない場合は(ステップS111;No)、ステップS102に戻って処理を継続する。記録終了の指示を受けた場合は(ステップS111;Yes)、本処理を終了する。
【0070】
図4は、
図3の処理で記録したログと故障情報とから故障の原因を推定する処理の流れを示している。まず、不揮発メモリ34から故障の記録を抽出し(ステップS201)、該故障の発生時刻の前後所定期間における温度、湿度、ノイズレベルのログを不揮発メモリ34から読み出して解析する(ステップS202)。
【0071】
故障発生時刻の温度、湿度等の各気象要素の値が予め定めた正常範囲に入っているか否かを調べ(ステップS203)、正常範囲外であれば(ステップS203;Yes)、正常範囲外となった気象要素を故障の原因に推定する(ステップS204)。
【0072】
同様にして、故障発生時刻のノイズレベルが予め定めた正常範囲に入っているか否かを調べ(ステップS205)、正常範囲外であれば(ステップS205;Yes)、無線ノイズを故障の原因に推定する(ステップS206)。
【0073】
そして、推定した故障の原因を携帯型情報処理端末30の表示部38に表示して(ステップS207)、本処理を終了する。たとえば、1ヶ月後に、利用者に故障の内容、故障の発生時刻、推定した故障の原因などの表示を依頼してその表示内容を連絡してもらい、故障の原因に対応する修理部品を持って利用者宅に伺い、修理する。この時、ログのデータを直接携帯型情報処理端末30から取得できるようにし、故障の原因を推定し、故障の原因に対応する修理部品を持って利用者宅に伺ってもよい。また、詳細情報の表示要求を受けた場合には、故障発生時の温度、湿度、ノイズレベルなどの値を表示したり、故障発生時刻前後のログを表示したりする。これにより、雷雲によるノイズなのか、トラック等の違法無線なのか等の故障発生時の状況(例えば周波数、強度等)等から、修理の要否を判断し、修理ではなく説明にとどめたり、対応する修理部品を持って利用者宅に伺ったりしても良い。
【0074】
以上のように、風呂給湯器アプリが稼働する携帯型情報処理端末30で、再現性の悪い故障の原因となる温度、湿度、無線ノイズのレベルなどを検出し、その検出結果のログを記録するので、専用のモニタ装置を設置することなく、温度、湿度、ノイズレベル等のログを容易に取ることができる。
【0075】
携帯型情報処理端末30は、使用者に所持されて自宅以外の場所に持ち出されることもあるが、携帯型情報処理端末30のGPS機能を利用して、携帯型情報処理端末30が風呂給湯器10の設置場所の近傍に居るときにのみログを取るので、風呂給湯器10の設置場所以外の無関係の場所の温度、湿度、ノイズレベルなどをログとして記録したり、無関係の場所のノイズ等を故障の原因に誤判定したりすることが防止される。
【0076】
以上、本発明の実施の形態を図面によって説明してきたが、具体的な構成は実施の形態に示したものに限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0077】
実施の形態では、燃焼装置として風呂給湯器10を例示したが、燃焼装置はこれに限定されるものではない。実施の形態では、携帯型情報処理端末30は、風呂給湯器アプリにより風呂給湯器10のリモコンとして機能する例を示したが、本発明のプログラムは、
図3、もしくは
図3及び
図4の処理を実行できればよく、風呂給湯器10のリモコンとしての機能を果たさなくてもよい。