(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
従来、包装ラインでは、箱やフィルム等の包装資材の種類変更等に伴い、たとえば、仕切り間隔、送り出し速度、サクションカップの位置、プッシャの押込み深さ、不良品排除を決定づける閾値などを設定ないし調整する必要があった。すなわち、装置の構成要素の位置、間隔、数値、その他の設定ないし調整が必要であった(以降において、この変更作業ないし調整作業を「型替え」と適宜称する)。
【0003】
この型替えは、一日に複数回おこなうことも珍しくなく、型替え箇所(調整部位)は一回につきおよそ30前後であるが、複雑なラインでは倍以上、場合によっては100程度となることもある。また、調整部位は分散しているのが通常であり、作業時間は1時間以上要することもある。
【0004】
従来では、紙媒体のマニュアルやタブレットを見ながら順次作業場所に移動し、適正に型替えをおこなっていた。
【0005】
しかしながら、従来の技術では以下の問題点があった。
マニュアルやタブレットを見る場合は片手がふさがり、両手作業が困難となるという問題点があった。また、両手を解放する場合は、マニュアルやタブレットを別の所に置かないといけないが、必ずしも近場で見やすい場所に置けるとも限らない。このとき、設定値等を覚えられればよいが、実際は、たとえば三軸を調整する場合には、無意味な複数ケタの数字を3つ覚える必要があるなど、確実性に欠けてしまうといった問題点があった。すなわち、従来は、包装ラインの型替えの作業性が悪いという問題点があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上記に鑑みてなされたものであって、包装ラインの型替えの作業性と確実性を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の包装ラインシステムは、製箱機、箱詰機、ピロー包装機、フィルム包装機、その他の包装機について、包装機のラインの全体または部分を構成するライン構成装置と、ライン構成装置において設定ないし調整が必要な部位の近傍に配置される、タッチパネル式の表示面を有する複数の端末装置と、各端末装置と接続した、タッチパネル式の表示部を有する主装置と、を有する包装ラインシステムであって、主装置は、箱、フィルム、その他の包装資材、および/または、収容物に基づいて名付けられた作業名を表示部を介して入力する作業名入力手段と、作業名と、部位の名称と、作業名に対応した、当該部位の位置、間隔、数値その他の設定ないし調整に関する情報である設定情報と、当該名称と設定情報とをどの端末装置に表示させるかの情報と、を組にして記憶した記憶手段と、作業名入力手段により入力された作業名に基づき、記憶手段に記憶された情報の組を抽出する抽出手段と、抽出手段により抽出された情報を、該当する端末装置へ送出する情報送出手段と、端末装置からの通知に基づいて、作業名入力手段により入力された作業名にかかる総ての部位の設定ないし調整が完了したと判断される場合に、ライン構成装置の起動ないし駆動をおこなわしむる表示である開始表示を表示部に表示させる主表示制御手段と、を具備し、端末装置は、それぞれ、主装置から送出された情報を入力する情報入力手段と、情報入力手段により入力された情報に基づき、表示面に部位の名称と設定情報とを表示させる表示手段と、表示面へのタッチを検知して、設定ないし調整が完了した旨の表示をおこなう端末表示制御手段と、表示面へのタッチを検知して、当該タッチにかかる部位の設定ないし調整が完了したことを主装置へ通知する完了通知手段と、を具備し、ライン構成装置は、主装置における開始表示へのタッチに基づき起動ないし駆動を開始することを特徴とする。
【0009】
すなわち、請求項1にかかる発明は、調整部位にタッチパネル端末装置を配置して、ハンズフリーにて作業性と確実性を向上させることができる。
詳細には、設定ないし調整が必要な部位近傍にて設定情報を確認しながら作業をおこなえ、タッチパネルをタッチすることで作業の終わった部位とそうでない部位の区別を明瞭化し個々の作業の確実性を高め、総ての作業が終了しないとライン構成装置の作動が抑制されるようにして型替えの確実性を向上させる。
また、タッチパネル端末装置は、事実上、電子ペーパ様の薄型・小型・低スペックの装置を採用でき、既存のラインに対しても安価に導入できる。
【0010】
包装機は、製箱機、箱詰機、ピロー包装機、フィルム包装機、を含み広義である。シュリンクラップするようなものも含まれる。包装資材は、被せるもの、包むもの、収容するものを意味し、収容物とは、被せられる対象、包まれる対象、収容される対象を意味する。
なお、端末装置はライン構成装置に複数台配置するが、調整部位が近接して複数存在する場合は、一つの調整の名称とその設定情報とを横一行に表示し、端末装置を共用して一台で複数行にて複数の調整部位を表示させるようにしてもよい。一画面に収まらない場合は、次ページボタンを表示し、タッチにより次の画面または、次の行が表示されるようにしてもよい。たとえば「ボトムウォール:00600」、「トップウォール:00560」、「フロントウォール:01885」、「バックウォール:00300」、「取出装置高さ:00320」、「プッシャ番号01:12.3」、「吸引目盛:8.2」、「アーム08番:12.3,4.2,−8.9」などの表示例を挙げることができる。仕様の態様により、設定ないし調整に関する情報に限定されず、注意事項、たとえば、「アーム02番設定後に、プッシャ8番を調整。順序注意」のような内容が付加されていてもよい。
作業名は型替えの識別名称をいう。たとえば、「菓子箱04」などという名称をいう。
設定ないし調整が完了した旨の表示の方法は特に限定されず、たとえば、部位の名称と設定情報の一行表示の右端に枠囲みで「完了」の表記があり、これが反転表示される態様を挙げることができる。この他、画面全体が完了という表記に変わる、一行表示自体が反転または太字または消滅する、というような態様とすることもできる。
【0011】
請求項2に記載の包装ラインシステムは、請求項1に記載の包装ラインシステムにおいて、各部位は色分けされており、表示面における部位の名称と設定情報との表示は、当該部位と同じ配色とすることを特徴とする。
【0012】
すなわち、請求項2にかかる発明は、設定ないし調整をする部位の取り違えを少なくし、作業の確実性が向上する。特に、端末装置が近接して配置されていたり、複数行表示をしたりする場合に、作業の確実性が向上する。
【0013】
なお、色づけられる「部位の名称と設定情報との表示」とは、文字色という意義に限定されず、背景や枠囲み等、当該情報を看取させるものであれば特に限定されない。
【0014】
請求項3に記載の包装ラインシステムは、請求項1または2に記載の包装ラインシステムにおいて、表示面へのタッチの時間間隔を計測する計測手段と、計測手段により計測された時間間隔が所定の時間間隔より短い場合に警告をおこなう警告手段と、を具備したことを特徴とする。
【0015】
すなわち、請求項3にかかる発明は、適当にまとめてタッチするような作業者の意識を変え、個々の作業後にそれぞれタッチという鉄則を遵守させ、型替えの確実性を向上させる。
【0016】
なお、警告は広義であり、警告音、回転灯点滅等の他、監督者への通知や、ログ記録も含まれるものとする。
【0017】
請求項4に記載の包装ラインにステムは、請求項1または2に記載の包装ラインシステムにおいて、表示面へのタッチの時間間隔を計測する計測手段を具備し、計測手段により計測された時間間隔が所定の時間間隔より短い場合には開始表示が表示されないことを特徴とする。
【0018】
すなわち、請求項4にかかる発明は、適当にまとめてタッチするような作業者の意識を変え、個々の作業後にそれぞれタッチという鉄則を遵守させ、型替えの確実性を向上させる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、包装ラインの型替えの作業性と確実性を向上させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しながら詳細に説明する。ここでは、カラー表示可能な複数のタッチパネル式電子ペーパと、タッチパネル式のモニタが備わった中央制御装置とが無線接続された態様について説明する。また、箱詰めについての態様について説明する。
図1は、本発明の包装ラインシステムの概念図である。
【0022】
<包装ラインシステムの外観構成>
図1に示したように、包装ラインシステム1は、箱の組立てから箱に収容物を収容し出荷可能な状態にするラインを構成する様々な装置群10と、調整部位近傍に配置された電子ペーパ20と、各電子ペーパ20へ設定情報等を送信しまた各電子ペーパから完了通知を受信する中央制御装置30を備える。なお、電子ペーパ20と中央制御装置30とは、無線アクセスポイント装置40を介して接続されている。型替えに際しては、送り出す箱自体を変える場合の他、箱が同じであっても収容物を異ならせたり、収容物の量を異ならせる場合もあり、一日に複数回の型替えが必要となる。
【0023】
型替えにおいては、アームその他の機械的構成の類を交換する作業はほとんど生じず、たいていの場合、特定箇所の設定変更や調整作業が主となる。
包装ラインシステム1では、そのような作業が必要な箇所(以降、調整部位と適宜称する。)の近傍に電子ペーパ20が配置されており、型替えに際して、中央制御装置30からの情報に基づき各電子ペーパ20の表示内容が更新され、作業者がそれらを確認しながら両手作業にて型替え作業を効率的におこなえるようにしている。
【0024】
<包装ラインシステムのハードウェア構成:中央制御装置>
包装ラインシステム1をハードウェアの観点から説明する。
図2は、本発明の包装ラインシステムのハードウェア構成の一例を示した図である。
【0025】
中央制御装置30は、汎用のコンピュータ、たとえば、パーソナルコンピュータを用いることができる。中央制御装置30は、そのハードウェア構成として、CPU301と、ROM302と、RAM303と、ストレージとしてハードディスク(HD)304と、グラフィックスカード305と、タッチパネル式のモニタ306と、キーボード(K/B)307と、マウス(MOUSE)308と、ネットワークインターフェースカード(NIC)309と、を有する。
【0026】
CPU301は、OSと共に中央制御装置30全体を制御し、調整部位の名称とその設定情報とを対応する電子ペーパ20へそれぞれ送出し、また、電子ペーパ20からの完了報告を受信する。また、装置群10の起動制御や駆動制御もおこなう。
設定情報は、各電子ペーパ20において表示され箱および/または収容物に対応した情報であって当該電子ペーパ20の配置された近傍にある単数もしくは複数の調整部位の、位置、間隔、数値その他の設定ないし調整に関する情報をいう。具体的な情報内容は後述する。
【0027】
ROM302は、ブートプログラム等を記憶する。使用の態様によっては、ROM302は、中央制御装置30の制御プログラムを格納しておいてもよい。RAM303は、CPU301のワークエリアとして使用する。具体的には、ハードディスク304から読み出されたデータの内容やプログラム内容などを一時的に格納する。
【0028】
ハードディスク304は、オペレーティングシステム(OS)、アプリケーションプログラム、各種のデータを記憶する。ハードディスクの構成については後述する。
【0029】
グラフィックスカード305は、モニタ306へ出力すべき画像信号を送出する。使用の態様より、各電子ペーパ20にて表示される設定情報を確認できるようにモニタ306へウィンドウ表示させるようにしてもよい。
【0030】
NIC309は、中央制御装置30をネットワークNに接続する。なお、具体的な説明は省略するがイーサーネットに接続し、その一つの末端に無線アクセスポイント装置40を設けている。
【0031】
ハードディスク304は、アプリケーション部310とデータ格納部330とにより構成される。アプリケーション部310は、中央制御装置30全体を制御するOS311と、電子ペーパ20との間で情報の授受、また、装置群10の起動ないし駆動制御をおこなう管理プログラム群312とにより構成される。
【0032】
管理プログラム群312は、どの型替えとするかを入力・選択などする作業名管理プログラム321と、作業名、調整部位の名称、設定情報などを入出力等する組情報管理プログラム322と、電子ペーパへのタッチの時間間隔を計測等する時間管理プログラム323と、装置群10の起動や駆動を制御ないし管理するライン管理プログラム324と、を有する。
【0033】
なお、上記プログラムは、中央制御装置30が果たす役割の観点から集約したプログラム群を説明したものであって、実際のプログラムは多数のコンポーネントやDLLなどにより構成される。後述する機能的構成は、これらのプログラムが単体もしくは複数で、場合によってはデータ格納部330と協働して各種実現されるものである。
【0034】
次に、データ格納部330について説明する。データ格納部330は、作業名と、調整部位の名称と、作業名に対応した、当該調整部位の位置、間隔、数値その他の設定ないし調整に関する情報である設定情報と、当該名称と設定情報とをどの端末装置に表示させるかの情報と、を組にして記憶している。また、サーボモータやサクションカップの吸引圧など、型替えに応じて自動的に設定されるプリセットデータも記憶している。
【0035】
図3は、データ格納部330に格納された、情報の組の構成概念図である。図示したように、作業名(型替え名)が「菓子箱A1」のとき、この菓子箱(便宜的に菓子箱Aと称する)に対応する各種適切な数値等がそれぞれの電子ペーパ20に表示されるように格納されている。なお、「ボトムウォール」、「トップウォール」、「フロントウォール」、「バックウォール」は組となっており、一つの電子ペーパにまとめて表示される(4行の表示がなされる)。実際の表示例は後述する。
【0036】
<包装ラインシステムのハードウェア構成:電子ペーパ>
電子ペーパ20は、主要なハードウェア構成として、中央制御装置30との間で情報を授受する送受信部201と、描画を制御する描画制御部202と、タッチパネル式のカラー表示可能な画面203と、を有する。
【0037】
送受信部201は、中央制御装置30からの情報(調整部位の名称と設定情報とを中心とした情報の組)を無線アクセスポイント装置40を介して受信する。また、画面203へのタッチを検知すると、その旨を(必要に応じて調整部位の名称と共に)中央制御装置30へ送信する。ここでは、送受信には2.4GHz帯、通信規格IEEE802.15.4のものを採用している。なお、中央制御装置30からは、各電子ペーパ20へ一斉に設定情報が送出されるが、送受信部201が所定のプロトコルを用いて各電子ペーパ20それぞれと通信し、誤りなく、その電子ペーパ20で表示されるべき情報が適正に受信されるようにしている。
【0038】
描画制御部202は、受信した情報を作業者が視認可能に出力(表示)すべく変換する。なお、本実施の形態では、調整部位は色分けされており、描画制御部202は、電子ペーパ20の表示も同一の配色をおこなうようにしている。これにより、作業能率が向上する。なお、調整部位が近接している場合には、一つの電子ペーパ20に、調整部位の数だけ情報を表示させるものも存在する。このときも、スクロールや色分け表示の制御をおこなう。
【0039】
画面203はタッチパネルであり、描画制御部202で変換された情報を出力する(カラーで表示をおこなう)。
図4に、画面203の構成例を示した。ここでは、横320ドット×縦192ドット、筐体サイズは、約140mm×85mm×16mmの例を示している。図示したように、調整部位の名称と、その設定情報と、完了マークが一行で描画されている。なお、3行それぞれが別の色であるが、図ではこれを背景ドットの違いで表している。また、上二つの作業は完了しており、完了マークを反転させて表示している。
【0040】
なお、無線アクセスポイント装置40は、無線変換送出部401を主要なハードウェア構成とし、各電子ペーパ20へ送出すべき情報を無線にて送出すべく処理をおこなう。
【0041】
<包装ラインシステムの機能的構成>
次に、包装ラインシステム1の機能的構成について説明する。
図5は、包装ラインシステム1の機能的構成例を示した説明図である。
【0042】
まず、電子ペーパ20は、その主たる機能的構成として、情報入力部521と、表示面表示部522と、端末表示制御部523と、完了通知部524と、を有する。
【0043】
次に、中央制御装置30は、その主たる機能的構成として、作業名入力部531と、記憶部532と、抽出部533と、情報送出部534と、主表示制御部535と、計測部536と、警告部537と、ライン管理部538と、を有する。
【0044】
ただし、包装ラインシステム1は全体でシステムが構築され、各機能的構成は協働するものであって、電子ペーパ20の機能的構成の中に、実際には中央制御装置30の構成要素を必要とする場合や、逆に、中央制御装置30の機能的構成の中に、電子ペーパ20の構成要素を必要とする場合も存在する。
【0045】
なお、装置群10のうち、ここでは、4つの調整部位(名称:ボトムウォール、トップウォール、フロントウォール、バックウォール、そしてこれらを便宜的にα、β、γ、εと表記する。)が近接していて一つの電子ペーパ20にてそれらの情報が表示される例を概念的に示している(
図4参照)。
【0046】
まず、中央制御装置30の機能的構成から説明する。
作業名入力部531は、箱および/または収容物に基づいて名付けられた作業名をモニタ306を介して入力する。モニタ306は、タッチパネル式であり、対話的に操作し、作業名を選択していく。たとえば、「菓子箱A1」、「菓子箱A2」など、記憶部532に記憶された名称が表示され、タッチにより選択される。
作業名入力部531は、モニタ306と、OS311と、作業名管理プログラム321などによりその機能を実現することができる。
【0047】
記憶部532は、作業名と、調整部位の名称と、作業名に対応した設定情報と、当該名称と設定情報とを表示させるべき電子ペーパ20のID情報と、を組にして記憶している。情報の構成概要は
図3に示したとおりである。
記憶部532は、データ格納部330と、キーボード307と、組情報管理プログラム322と、RAM303などによりその機能を実現することaできる。
【0048】
抽出部533は、作業名入力部531により入力された作業名に基づき、記憶部532に記憶された情報の組を抽出する。すなわち、作業名に紐付けされた一連の情報の組を抽出する。
抽出部533は、データ格納部330と、組情報管理プログラム322と、RAM303などによりその機能を実現することができる。
【0049】
情報送出部534は、抽出部533により抽出された情報を、該当する電子ペーパ20へ送出する。作業名に紐付けされた一連の情報は、電子ペーパ20のIDにより更にグループ化されている。
図3に示したように、電子ペーパID=0x01には、4組の情報が対応し、電子ペーパID=y002には、1組の情報が対応している。情報送出部534は、IDに紐付けされた「調整部位の名称−設定情報」の組を当該IDの電子ペーパ20に送出する。なお、電子ペーパ20の識別は特に限定はないが、当然ながら混信が生じないように処理され、適宜適切な通信プロトコルにより情報が授受される。
情報送出部534は、組情報管理プログラム322と、OS311と、RAM303と、NIC309などによりその機能を実現することができる。
【0050】
主表示制御部535は、電子ペーパ20からの通知を受信し、作業名入力部531により入力された作業名にかかる総ての調整部位の設定ないし調整が完了したと判断される場合に、装置群10の起動ないし駆動をおこなわしむる表示である開始表示をモニタ306に表示させる。これはまず、電子ペーパ20それぞれから、当該電子ペーパ20で表示した作業の完了報告がはいり、モニタ306上では、逐次その旨が表示される(図示せず)。そして、総ての完了報告が上がってきた場合に、モニタ306に「型替完了」「起動」と表示される。この「起動」表示が開始表示である(
図1参照)。
また、主表示制御部535は、次説する計測部536により計測された時間間隔が所定の時間間隔より短い場合には、この「起動」表示を表示しないように制御する。すなわち、装置群10を運転できなくする。型替え作業者が適当にまとめてタッチするような状況を排除し、個々の作業後にそれぞれタッチという鉄則を遵守させ、型替えの確実性を向上させるためである。
主表示制御部535は、ライン管理プログラム324と、モニタ306とNIC309などによりその機能を実現することができる。
【0051】
計測部536は、電子ペーパ20の画面203へのタッチの時間間隔を計測する。また、警告部537は、計測部536により計測された時間間隔が所定の時間間隔より短い場合に警告をおこなう。調整部位における設定ないし調整の作業には当然ながら一定の時間がかかり、また、その調整部位の次にどの調整部位にて作業をするか、すなわち、作業順序・作業手順は通常きまっている。包装ラインシステム1では、調整部位の作業が終了した場合に作業者にその調整部位に対応した電子ペーパ20をタッチさせるようにしており、この作業完了報告が中央制御装置30に通知される。
【0052】
したがって、作業者が仮にめんどくさがってまとめてタッチしたりすると時間間隔が短くなり、警告がなされる。逆に、変に端折るようなことをすると警告がでてしまうため、作業者は、かならず、電子ペーパ20を意識しながら、表示を見る−作業をする−画面203をタッチする、という手順を守ることとなり、作業の確実性が向上する。
【0053】
なお、一台の電子ペーパ20に複数組の作業が表示される場合には、各行をタッチしていき、その時間間隔が測定されるようにしている。タッチした行(作業が完了した部分)については、
図4に示したように完了が反転表示される。
計測部536は、時間管理プログラム323と、NIC309と画面203などによりその機能を実現することができる。
【0054】
ライン管理部538は、モニタ306に表示された開始表示「起動」へのタッチに基づき、装置群10の起動ないし駆動を開始させる。
ライン管理部538は、ライン管理プログラム324と、OS311と、NIC309と装置群10などによりその機能を実現することができる。
【0055】
次に、電子ペーパ20の機能的構成について説明する。電子ペーパ20は、包装ラインシステム1に多数設置されているが、ここでは、そのうちの一つについて説明する。
【0056】
情報入力部521は、中央制御装置30から送出された情報(調整部位の名称と作業名に対応した設定情報)を入力する。
情報入力部は、送受信部201によりその機能を実現することができる。
【0057】
表示面表示部522は、情報入力部521により入力された情報に基づき、画面203に調整部位の名称と設定情報とを表示させる。
表示面表示部522は、画面203と、描画制御部202などによりその機能を実現することができる。
【0058】
端末表示制御部523は、表示面へのタッチを検知して、作業(設定ないし調整)が完了した旨の表示をおこなう。
図4の例では、反転表示として示してある。なお、端末表示制御部523は、調整部位の色分けに応じた表示色としてその表示制御もおこなう。
端末表示制御部523は、描画制御部202などによりその機能を実現することができる。
【0059】
完了通知部524は、画面203へのタッチを検知して、当該タッチにかかる調整部位の作業が完了したことを中央制御装置30へ通知する。これが積み重なり、装置群10の起動制御がなされる。
完了通知部524は、画面203と送受信部201などによりその機能を実現することができる。
【0060】
なお、包装ラインシステム1は、型替えに際して、必ずしも毎回すべての数値等が変わるわけでない。そこで、作業性を向上させるため、変更のある部分だけを目立たせるように表示させるなどしてもよい。
【0061】
以上説明したように、包装ラインシステム1では、型替え作業を調整箇所の近傍にて電子ペーパ20によりその内容を表示し、ハンズフリーにて作業が可能となり、作業性が向上する。特に、従来は、ある箇所の型替えをおこなった後、別の場所に移動し、タブレットをスワイプさせたり紙媒体のマニュアルをめくりなおしたりして、その都度、再確認が必要であったところ、必要な設定情報だけが該当箇所にて表示されているので、この点からも作業効率が向上する。また、電子ペーパ20が多数使用されても、導入コストが低廉で済むので、既存のラインにも提供可能となる。また、軽量で電池による長期駆動が可能であり、設置性にも優れる。
【0062】
更に、装置群10の起動ないし駆動には、電子ペーパ20のタッチおよび適正な時間間隔が要求されるので、作業者に作業手順を遵守させることとなり、作業の確実性も向上する。